世界一斉個体数調査(2012年)

2013年3月21日

2012年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

 東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」の結果がこのほどまとまりましたのでお知らせ致します。
 この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピン等東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
 日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2012年の国内での調査は1月13日~15日に8県40ヶ所で行われました。

1.2012年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

  • 2012年のクロツラヘラサギ世界一斉センサスは1月13日~15日に行われました。
  • この一斉調査は、クロツラヘラサギの分布範囲と越冬地での状態を比較する重要な調査です。
  • 今回の調査では計2,693羽が確認されました。これは前年の調査(2011年 1,848羽)から大幅に増加しており、これは1993年にこの調査が始まってから、最大の個体数です。
  • 2010年に記録された2493羽という数と比較しても、今回の調査結果はその記録から14%増加しています。この大幅な個体数の増加のほとんどは台湾で越冬するクロツラヘラサギの増加によるものです。
  • 台湾では前年の調査で記録された834羽から728羽増加し、合計1,562羽が確認されています。
  • 前年の調査と同様に香港と深圳の間に位置する后海湾と台南のTsengwen河口はクロツラヘラサギの最大の越冬地となっています。
  • 2011年には74羽、2012年には113羽のクロツラヘラサギがハイフン、広東およびシンファー湾、フーチェンで観察されました。これらのうちの2つは中国におけるクロツラヘラサギの重要な越冬地と言えます。
場所 2011年調査 2012年調査 前年比
台湾 843 1,562 +719
后海湾(香港、深セン) 411 393 -18
中国本土 198 328 +130
日本 270 283 +13
ヴェトナム 49 35 -14
マカオ 49 51 +2
韓国 26 41 +15
タイ 1 2 +1
カンボジア 1 2 +1 
合計 1,848 2,697 +849

(日本語訳 公益財団法人日本野鳥の会)

原文のリリース元
香港バードウォッチング協会(香港観鳥会、Hong Kong Bird Watching Society)

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

  • 200羽を超えるクロツラヘラサギが5年連続で確認された。2011年には270羽、2012年には284羽もの鳥が西日本で記録された。
  • 2010年からは4.7%増加、2011年からは5.2%が増加した。日本の個体数は2011年は世界の個体数の14.7%、2012年は世界の個体数の10.5%を占めている。
  • クロツラヘラサギは、2011年は35ヶ所、2012年では29ヶ所の調査地で越冬することがわかりました。

図1 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

図2 クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移