カンムリウミスズメ人工巣の開発

カンムリウミスズメ人工巣設置実験

最新情報

最新情報は下記をご覧ください。

設置の経過

2010
U字溝製人工巣 下田市神子元島にて設置開始
2011~
人工巣の利用確認調査、自然巣調査
2014
人工巣 改良開始
改良1 入り口のサイズ変更
2015
改良2 本体のサイズ変更
2016
改良3 捕食者(カラス)対策を追加
☆☆世界で初めて人工巣を使ってカンムリウミスズメの繁殖が成功!☆☆
新規にプラスチックBOX製人工巣導入
2017
改良4 プラBOX製人工巣サイズ変更
2018
改良5 プラBOX製人工巣の巣内温度対策、構造、産座の変更
プラBOX製人工巣へのカンムリウミスズメの出入りを確認
2019
改良6 産座の変更
糸島市烏帽子島に人工巣を初設置
☆☆初めてプラBOX製人工巣を使ってカンムリウミスズメの繁殖が成功!☆☆

目的

カンムリウミスズメは、かつては伊豆諸島のほとんどの島で繁殖していたとされています。しかし1980年代以降に繁殖が確認されているのは、新島(にいじま)の根浮岬(ねぶざき)と早島(はんしま)、神津島(こうづしま)の祗苗島(ただなえじま)と恩馳島(おんばせじま)、三宅島(みやけじま)の大野原島(おおのはらじま)、御蔵島(みくらじま)の元根(もとね)、八丈島(はちじょうじま)の小池根(こじね)、それに鳥島(とりしま)の8ヶ所で、昔に比べると、繁殖地は減少しています。
こうしたことから、繁殖地の減少をくい止めるとともに、繁殖数の増加を図るため人工巣の開発に着手しました。

実験地の神子元島

神子元島の概要

神子元島(みこもとじま)は伊豆諸島に隣接する伊豆半島にあり、伊豆諸島の最寄りの繁殖地である新島の根浮岬から約35kmの距離があります。静岡県下田市に属しており、下田港から南へ約11kmの沖合です。
島の周囲は約2km、標高約30mで北西から南東にやや長細い形の無人島です。樹木は生えておらず、一部にスゲ類などの草本類が茂っています。島の中央には日本最古の石造り灯台で文化財にもなっている神子元島灯台があります。この灯台は1871年から点灯しており、1976年までは職員が島に常駐していましたが現在は無人となっています。


神子元島全景


神子元島中央部の灯台関係施設

近年の営巣状況

1995年の調査では繁殖は確認されませんでした。2010年になり当会が2月から5月に5回の上陸をして、夜間滞在も含めて延べ30時間の踏査を行いました。その結果、3月23日に卵殻1個を発見したものの、巣を確認することはできませんでした。2013年以降の調査では数つがいの営巣を確認しています。このことから、83年に比べ、繁殖数は少なくなっていると考えられます。


2010年3月23日に発見した卵殻


神子元島周辺での洋上調査

捕食者の状況

過去にネズミ類やは虫類が生息していたという記録はありません。しかし灯台建設以降にネズミ類の侵入が疑われるため、2010年以降、複数回にわたりセンサーカメラやフットプリントによる調査を行いました。その結果、生息は確認できず、ネズミ類はいないかいたとしても非常に少ないと考えられました。また上陸調査で、は虫類の生息も確認していません。
その他の捕食者としては、ハヤブサ、ハシブトガラス、カモメ類を確認しています。


フットプリントの回収と確認作業

人工巣の設置場所

用地と許認可

神子元島の土地所有は、灯台のある中央部が海上保安庁、岸近くの周辺部は下田市になります。今回の人工巣設置予定地はちょうど中央部と周辺部の境界付近でしたので、下田海上保安部と下田市それぞれに土地使用を申請して許可をいただいています。
文化財の指定地内へ設置については、下田市教育委員会に現状変更願を提出して許可いただきました。また国立公園内への設置では、静岡県賀茂農林事務所に了解をいただきました。この他、環境省関東地方環境事務所、文化庁記念物課、静岡県教育員会からご助言をいただきました。

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