「むつ小川原港洋上風力発電事業 環境影響評価準備書」に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第 29 号

むつ小川原港洋上風力発電事業 環境影響評価準備書に係る意見書

平成27年7月8日 提出

項目 記入欄
氏名 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
環境影響評価準備書に対する意見

 この度、貴社が作成された「むつ小川原港洋上風力発電事業 環境影響評価準備書」について、次のとおり意見を提出します。

1)全体について
・第10.1.4.1-10表(1)~(8)について、○×ではなく、鳥の個体数を月別で示すこと。
・レーダー調査の結果、対象事業実施区域(以下、「実施区域」という。)周辺において、朝は広い範囲で多くの鳥類が利用していることから、朝の時間帯に風車を止めるなどの保全措置を講じることにより、バードストライクなど鳥類への影響を避けるべきである。なお、保全措置を講じるのは、レーダー調査を行った時期のみならず、同様の結果が得られる可能性のある時期をすべて含むものとする。
・レーダー調査の結果、日中は鳥が一定の方向に向かって飛翔していることが分かる。飛翔ルートを妨害する、またはバードストライクの発生確率を著しく高める可能性があることから、この飛翔ルートにかかる風車(尾駮地先側海岸沿風車の南端から6本、新納屋地先側風車の北端から4本)については、建設を行うべきでない。
・白色回転閃光灯の点灯とブレードの着色により風車の存在を鳥に目立たせる手法は、鳥の種によってその効果が違うため、全体としては点灯や着色の意義がよく分からないと環境省は述べている。貴社が点灯や着色の効果により鳥が風車を避けることを期待するのであれば、鳥の種ごとにその効果を検討したうえで、保全措置を講じるべきである。
・洋上風車の存在により漁礁効果が発生し、風車周辺で魚類の個体数が増加すれば、風車の存在による忌避影響を受けない鳥にとっては、餌場が劣化するのではなく、良好な餌場が生じる可能性の方が高い。それはすなわち、魚食性鳥類を誘引し、バードストライクの発生確率を著しく高める可能性がある。影響評価は、そういった観点からも行うべきである。
・風間(2012)では、鳥の種によっては、特に渡りの時期に障壁効果が生じ、風車の存在を避けて飛翔することがあると書かれている。しかし、すべての鳥が洋上風車を避けているとは一言も触れられていない。また、バードストライク、生息地放棄および忌避、障壁効果の3つのうち、洋上風力発電により生じたバードストライクはその把握が非常に困難であり、実際に把握されている例がほとんどないと少ないと書かれているだけである。影響評価において論文を参考にする場合は、その内容を精読し、曲解のないようにしなければならない。

2)各鳥類における影響評価について
・第10.1.4.1-7図(18)について、カンムリカイツブリは風車を忌避する可能性も考慮して、影響評価を行うこと。
・ウミスズメの種の識別について、高度120m以上ではウミスズメとカンムリウミスズメをどのように識別したのか記載すること。
・ウミスズメ類について、バードストライクの発生確率だけでなく、生息地放棄や障壁影響の有無や程度についても評価を行うこと。
・ミサゴは実施区域内での観測数が多く、高度Mでの飛翔も多いという結果が出ている。漁礁効果により風車周辺で魚が増えれば、ミサゴの様な魚食性鳥類を誘引し、バードストライクの発生確率を著しく高める可能性がある。国内ではすでにミサゴのバードストライク事例が2件発生していることから、バードストライクしにくい鳥とは言えない。そのため、ミサゴはバードストライクによる影響を受けやすいものとして、影響評価を行うべきである。
・ハヤブサについて、実施区域内での観測数は多くないが、高度Mで飛翔する割合が多い。漁礁効果により風車周辺で魚類が増加すれば、ハヤブサの餌となるカンムリカイツブリ等の鳥が増える可能性がある。そのことから、ハヤブサについては、風車建設によりその飛来数が増えることを考慮して影響評価を行うべきである。

3)事後調査について
・オオハクチョウ、ヒドリガモ、オナガガモなどのカモ類は、風車の存在による生息地放棄を起こしやすいことが海外の事例から知られている。そのことから、事後モニタリングにおいては、これらのカモ類の生息地放棄の有無や程度を十分に把握できる内容とすること。また、実際に影響が生じた場合は、早急に保全措置を講じること。
・事後調査については、特に渡りの時期において、レーダー調査を用いるなどして、障壁効果の発生の有無や程度を確認するための調査を行うべきである。
・第10.3-1表(1)に示した事後調査のうち、バードストライクの発生状況の確認については、実施区域周辺での漂着物調査だけでなく、鳥の飛翔が多い数か所において、TADS(熱動物感知システム)や英国のORJIPという組織が実施するような方式でモニタリングを行うべきである。

以上