白神岬(北海道)周辺における風力発電施設の設置を認めないよう要望書を提出

当会は3月4日までに、鳥獣保護区である白神岬(北海道)周辺において風力発電施設の設置を認めないよう、地元自治体の松前町と福島町の各町長に対し要望書を提出しました。文書は函館支部と道南桧山支部をはじめとした当会北海道ブロック協議会、及び南北海道自然保護協会との連名によるものです。松前町と福島町にまたがる白神岳とその後背地に風力発電施設を建設する計画が持ち上がっていることに対し、野鳥保護の観点から提出いたしました。

平成21年3月3日

松前町長 前田 一男 様

(財)日本野鳥の会 会長 柳生 博
〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目9番23号 丸和ビル

日本野鳥の会北海道ブロック協議会 会長 藤巻裕蔵
〒062-0031 北海道札幌市豊平区西岡一条6丁目3-7
( 日本野鳥の会札幌支部、日本野鳥の会十勝支部、
日本野鳥の会滝川支部、日本野鳥の会オホーツク支部、
日本野鳥の会根室支部、日本野鳥の会釧路支部、
日本野鳥の会旭川支部、日本野鳥の会道北支部、
日本野鳥の会江別支部、日本野鳥の会小樽支部、
日本野鳥の会苫小牧支部、日本野鳥の会室蘭支部、
日本野鳥の会小清水支部 )

日本野鳥の会函館支部 支部長 有馬 健二
〒041-0841北海道函館市日吉町2丁目20番3号

日本野鳥の会道南檜山支部 支部長 林 吉彦
〒 041-1111北海道亀田郡七飯町本町3丁目4番17号

南北海道自然保護協会 会長 宗像 和彦
〒042-0955 北海道函館市高丘町2丁目14番

白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地での風力発電風車建設に対する要望書

 貴職におかれましては、日頃松前町の優れた自然環境と先人が連綿と繋いできた歴史と伝統を生かした地域産業の育成に努められ、活力あふれた町づくりに全力を傾注されておられることに心より敬意を表します。
さて、現在、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電用風車建設の動きがあります。道内各地の既存の風力発電施設では、オジロワシをはじめ希少な猛禽類が風車に衝突して命を落としています。また、風力発電施設の建設にあたり、野生動物の生息地と重なる場所に建設する、作業道路の設置、盛土や切土、森林の伐採を行うなどの土地改変が伴うものも多くあり、大小に関わらず貴重な自然環境を破壊しながらでも建設を行った施設があります。私たちは風力発電の導入をすべて否定するつもりはありません。しかし、自然環境に十分な配慮がなされた真にクリーンなエネルギーとしての風力発電でなければ、この地に受け入れることはできません。
こうしたことから、下記の通り要望いたします。

 松前町として白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地に渡り鳥の移動に障害となる風力発電施設の設置許可を出すことなく、優れた自然を後世に引き継いでくださるよう十分にご考慮ください。

理由は以下の通りです。

松前町は松前城に象徴されるように歴史と伝統を受け継ぎ発展してきました。城主は、地域の特産物として幕府にタカを献上したと聞いています。また、城主自ら鷹狩りを楽しんだともいわれ、このように松前町とその周辺は古くから猛禽類をはじめとした野鳥の多い場所として知られていました。白神岬と天狗山、町界を接する白神岳、さらにそれに続く後背地は、北海道を通過して本州や東南アジアとを行き来する鳥たちの移動ルートとして、最も重要な位置にあることが知られています。その重要さに鑑みて北海道は同地域を鳥獣保護区に、環境省は、松前、福島両町を鳥類観測2級ステーションに指定しています。
環境省の事業委託を受けた山階鳥類研究所の指導のもとに行われてきた松前町天狗山や福島町千軒での20年にも及ぶ鳥類調査により、エゾムシクイやセンダイムシクイおよびノゴマといった小鳥類をはじめとして、国内希少野生動物種および絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧ⅠB類・北海道絶滅危惧種に指定されているオジロワシ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧Ⅱ類・北海道絶滅危惧種に指定されているオオワシ、絶滅危惧Ⅱ類および北海道の絶滅危急種に指定されているハヤブサとオオタカ、準絶滅危惧および北海道の絶滅危急種に指定されているハイタカ、また準絶滅危惧および北海道の希少種に指定されているハチクマの渡りルートおよび狩り場であることが分かりました。
スペイン北部のナバラ地方および南部のタリファ地方はピレネー山脈およびジブラルタル海峡に接する矮小な地形(ボトルネック)により、猛禽類をはじめとした多くの鳥類の渡りルートとして知られています。また、数百基規模とたくさんの風力発電施設が建設されていることでも知られています。この二つの地域で一定期間、風力発電施設の影響で死亡した鳥類について調査を行った結果、非常に多くの鳥類、特に猛禽類の死亡が多いことが分かりました。それにより欧州では、鳥類の保護地区や渡り鳥が集中する場所、保護の必要性の高い種が生息する場所では、風力発電施設の建設を避ける必要があることが示されました。また、鳥類の大規模越冬地として知られるアメリカのアルタモントパスでも、風力発電施設による猛禽類の死亡事故が多発しています。そこでは、猛禽類が好んで利用する尾根が並ぶ丘陵地帯であるという地形的な特徴に加え、狩りという行動自体が衝突事故を起しやすくしていることが確認されました。
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺の建設計画地は渡りルートおよび鳥獣保護区であり、保護の必要性の高い猛禽類が多く利用する場所です。また、尾根の続く丘陵地であり、ハヤブサなどの狩り場も有する場所です。このように、計画地に風力発電施設を建設するに際し鳥類、特に猛禽類に対して衝突死などの危険を及ぼすような条件が揃っており、施設を建設すれば実際に事故が起きるものと私たちは考えています。このことから私たちは、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電施設が建設されることに対して反対の意見を示すものです。
行政機関および事業者がこのことを事前に認識しておきながら風力発電施設を建設し、実際に猛禽類に悪影響を与えた場合には、未必の故意よる鳥類の殺傷と言わざるを得ません。このようなことにならないよう、建設計画に対しましては、行政機関として十分に考慮をしていただけますようお願い申し上げます。

平成21年3月4日

福島町長 村田 駿 様

(財)日本野鳥の会 会長 柳生 博
〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目9番23号 丸和ビル

日本野鳥の会北海道ブロック協議会 会長 藤巻裕蔵
〒062-0031 北海道札幌市豊平区西岡一条6丁目3-7
( 日本野鳥の会札幌支部、日本野鳥の会十勝支部、
日本野鳥の会滝川支部、日本野鳥の会オホーツク支部、
日本野鳥の会根室支部、日本野鳥の会釧路支部、
日本野鳥の会旭川支部、日本野鳥の会道北支部、
日本野鳥の会江別支部、日本野鳥の会小樽支部、
日本野鳥の会苫小牧支部、日本野鳥の会室蘭支部、
日本野鳥の会小清水支部 )

日本野鳥の会函館支部 支部長 有馬 健二
〒041-0841北海道函館市日吉町2丁目20番3号

日本野鳥の会道南檜山支部 支部長 林 吉彦
〒 041-1111北海道亀田郡七飯町本町3丁目4番17号

南北海道自然保護協会 会長 宗像 和彦
〒042-0955 北海道函館市高丘町2丁目14番

白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地での風力発電風車建設不許可の要望書

 貴職におかれましては、日頃福島町の優れた自然環境を生かした地域産業の育成に努められ、活力あふれた町づくりに全力を傾注されておられることに心より敬意を表します。
さて、現在、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電用風車建設の動きがあります。道内各地の既存の風力発電施設では、オジロワシをはじめ希少な猛禽類が風車に衝突して命を落としています。また、風力発電施設の建設にあたり、野生動物の生息地と重なる場所に建設する、作業道路の設置、盛土や切土、森林の伐採を行うなどの土地改変が伴うものも多くあり、大小に関わらず貴重な自然環境を破壊しながらでも建設を行った施設があります。私たちは風力発電の導入をすべて否定するつもりはありません。しかし、自然環境に十分な配慮がなされた真にクリーンなエネルギーとしての風力発電でなければ、この地に受け入れることはできません。
こうしたことから、下記の通り要望いたします。

 福島町として白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地に渡り鳥の移動に障害となる風力発電施設の設置許可を出すことなく、優れた自然を後世に引き継いでくださるよう十分にご考慮ください。

理由は以下の通りです。
福島町には野鳥に関係する地名がいくつもあるように古くから野鳥の多い場所として知られていました。町界を接する白神岬と天狗山、町内の白神岳、さらにそれに続く後背地は、北海道を通過して本州や東南アジアとを行き来する鳥たちの移動ルートとして、最も重要な位置にあることが知られています。その重要さに鑑みて北海道は同地域を鳥獣保護区に、環境省は、松前、福島両町を鳥類観測2級ステーションに指定しています。
環境省の事業委託を受けた山階鳥類研究所の指導のもとに行われてきた松前町天狗山や福島町千軒での20年にも及ぶ鳥類調査により、エゾムシクイやセンダイムシクイおよびノゴマといった小鳥類をはじめとして、国内希少野生動物種および絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧ⅠB類・北海道絶滅危惧種に指定されているオジロワシ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧Ⅱ類・北海道絶滅危惧種に指定されているオオワシ、絶滅危惧Ⅱ類および北海道の絶滅危急種に指定されているハヤブサとオオタカ、準絶滅危惧および北海道の絶滅危急種に指定されているハイタカ、また準絶滅危惧および北海道の希少種に指定されているハチクマの渡りルートおよび狩り場であることが分かりました。
スペイン北部のナバラ地方および南部のタリファ地方はピレネー山脈およびジブラルタル海峡に接する矮小な地形(ボトルネック)により、猛禽類をはじめとした多くの鳥類の渡りルートとして知られています。また、数百基規模とたくさんの風力発電施設が建設されていることでも知られています。この二つの地域で一定期間、風力発電施設の影響で死亡した鳥類について調査を行った結果、非常に多くの鳥類、特に猛禽類の死亡が多いことが分かりました。それにより欧州では、鳥類の保護地区や渡り鳥が集中する場所、保護の必要性の高い種が生息する場所では、風力発電施設の建設を避ける必要があることが示されました。また、鳥類の大規模越冬地として知られるアメリカのアルタモントパスでも、風力発電施設による猛禽類の死亡事故が多発しています。そこでは、猛禽類が好んで利用する尾根が並ぶ丘陵地帯であるという地形的な特徴に加え、狩りという行動自体が衝突事故を起しやすくしていることが確認されました。
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺の建設計画地は渡りルートおよび鳥獣保護区であり、保護の必要性の高い猛禽類が多く利用する場所です。また、尾根の続く丘陵地であり、ハヤブサなどの狩り場も有する場所です。このように、計画地に風力発電施設を建設するに際し鳥類、特に猛禽類に対して衝突死などの危険を及ぼすような条件が揃っており、施設を建設すれば実際に事故が起きるものと私たちは考えています。このことから私たちは、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電施設が建設されることに対して反対の意見を示すものです。
行政機関および事業者がこのことを事前に認識しておきながら風力発電施設を建設し、実際に猛禽類に悪影響を与えた場合には、未必の故意よる鳥類の殺傷と言わざるを得ません。このようなことにならないよう、建設計画に対しましては、行政機関として十分に考慮をしていただけますようお願い申し上げます。