早稲田環境塾のご案内

早稲田環境学研究所 第9期早稲田環境塾 塾生募集
(2016年2月3日~3月30日)

シマフクロウかく語りき
北のフロンティアから未来を拓く

日本野鳥の会でも力を入れて取り組んでいるシマフクロウの保護。当会評議員でもある原剛塾長(毎日新聞客員編集委員)が主宰する早稲田環境塾(主催:早稲田環境学研究所)で、自然科学はもちろん、社会科学や人文科学も含め領域を横断したシマフクロウに関する7つの講義を開きます。当会評議員でもある上田恵介立教大教授も登壇しますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

銀の滴ふるふるまわりに
金の滴ふるふるまわりに
という歌を歌いながら
川に沿って下り
人間の村を見下ろすと-‐‐‐‐
(知里(ちり)幸恵(ゆきえ)『アイヌ神謡集』「フクロウの神が自ら歌ったユカラ」)

シマフクロウ
私たちは何を失おうとしているのだろうか
(日本野鳥の会提供)

 世界一透明な湖、北海道摩周湖からの伏流水が噴き出す西別川・シュワンベツ水源地の養魚場に、1993年秋新月の夜、一対の巨大な鳥影が舞い降りました。
「ボー、ボー。ウー。」闇を圧してとどろく鳴き交わし。養魚場を見張る男たちに緊張が走ります。
 アイヌ民族集落の最高神コタン・コロ・カムイ、シマフクロウのつがいが、人間の生活圏で目撃された瞬間でした。1972年、シマフクロウは国の天然記念物に指定されました。しかし今も、「絶滅が近い」と予測されている「絶滅危惧-A」指定のままです。
 闇から現れた神と遭遇して22年。牛乳と鮭の日本一の大生産地、根釧台地とオホーツク海をつなぐ西別川の河畔に暮らす人々と自然の営みに何が起きたでしょうか。「人々」とは開高健が「ロビンソンの末裔」で描いた凄まじい苦闘の歴史をたどった開拓民の末裔たちです。
 独立自尊の住民の集い、「虹別コロカムイの会」による、「シマフクロウ百年の森づくり」の成果をたどり、人々の環境意識と地域社会変革の可能性を証明します。さらに私達の心にわだかまる近代化の影とは何か、現場から探求します。
 自然科学、社会科学、人文科学からの分析を交え、持続可能な社会像の原型をシマフクロウに托して立証します。5月第2週には虹別コロカムイの会の指導で、河畔林の植樹、シマフクロウの巣箱の清掃、オホーツク海の幸・バーベキュー大パーティに参加します。
 早稲田環境塾は2009年以来、「虹別コロカムイの会」(2009年緑化推進運動功労者総理大臣賞、日韓国際環境賞受賞)と協働しています。2015年から環境再生保全機構・地球環境基金の助成を受け、「河畔林造成とシマフクロウの繁殖、その生態系サービスの評価」プロジェクトを進めています。(詳しくは早稲田環境塾ホームページをご覧ください)。
 早稲田大学を拠点に2011年から開催されている「アジア学生交流フォーラム」(イオン環境財団主催。清華、高麗、マラヤ、ハノイ、プノンペン各大学から約100人が参加。無料)は、「生物多様性」をテーマに、2016年8月4日から8日まで西別川と知床半島に合宿,フィールドワークを行います。
 このセミナーに参加を希望する早大生諸君には、第9期環境塾が事前学習の機会になります。

全北海道でようやく140羽を数えるシマフクロウ。2015年5月のひな
全北海道でようやく140羽を数えるシマフクロウ。2015年5月のひな(原剛早稲田環境塾塾長撮影)

講義内容

  1. 今、なぜシマフクロウか(社会、経済学)2月3日
    原剛 早稲田環境塾長 (日本野鳥の会評議員 毎日新聞客員編集委員)
  2. アイヌ集落の神とイオマンテ(人文科学)2月10日
    内田祐一 アイヌ学の研究者(文部科学省 文化庁調査官)
  3. シマフクロウ百年の森づくりがめざす社会像と課題(領域横断)2月17日
    舘定宣 虹別コロカムイの会会長(北海道標茶町在住)
  4. 河畔林がシマフクロウを守り育てる(自然科学)2月24日
    田中淳志 農林水産政策研究所研究員(農水省)
  5. シマフクロウを隠さずに見せる工夫(自然、社会科学)3月16日
    早矢仕有子 シマフクロウの生態研究者(札幌大教授)
  6. シマフクロウに未来はあるか(自然、社会科学)3月23日
    上田恵介立教大教授 (日本鳥学会会長)
  7. 討論会 われらは何を探し求めているのか(領域横断)3月30日
    上田恵介、田中淳志 原剛

(司会 磯貝日月 早稲田環境学研究所研究員、塾プログラムオフィサー)

期間―前半2月3日~2月17日  後半3月16日~3月30日
毎週水曜日午後6時半から8時まで
場所―早稲田大学西早稲田キャンパス19号館309号室
費用―テキスト「シマフクロウの森と海から明日の日本を構想する」(早稲田環境塾研究会刊 A4版100頁)代など 社会人15000円、学生5000円。
申込みは 早稲田環境学研究所へ 先着順40名 1月30日〆切
〒169―0051東京都新宿区西早稲田1-21-1
早稲田大学19号館324号室
03―5286―1995

wasedakankyojyuku@gmail.com

http://waseda-ecoschool.jp/

シマフクロウ(Blakiston’s fish owl)

大型の魚食性フクロウ。両生類、哺乳類、鳥類なども捕食。
アイヌ民族が熊、丹頂鶴より上位に祭る集落の守り神「コタン・コロ・カムイ」。国指定天然記念物、絶滅が間近とされる「絶滅危惧A」に指定されている。
 木の枝にとまっている時は、大人の上半身くらい。翼を広げると 1.8メートルに達する。
かっては北海道の広い範囲に1000羽以上が分布、現在は日高山脈、根釧原野、知床半島など北海道東部に約140羽が生息。広葉樹大木の樹洞に営巣。環境省、日本野鳥の会、自然保護協会などが総がかりで保護に努めている。

夜行性のシマフクロウが魚を捕えた瞬間
夜行性のシマフクロウが魚を捕えた瞬間
(毎日新聞社提供)