No.117 2013年12月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせなど
 2013年度近畿ブロック会議参加報告
◆シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」
 第9回:探鳥会とリスクマネジメント
◆事務局からのお知らせなど
 カモ類の性比調査のお知らせ
 支部名称等変更のお知らせ
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.682

●2013/11 オホーツク
・はるばる京都からユリカモメ
●2013/11 宮古
・第26回岩手の野鳥を語る会
●2013/10 いわき
・鳥をして語らしめる
●2013/10 神奈川
・湘南タゲリ米近況
・珍写団
・眼鏡をかけた鳥
●2013/9 福井県
・探鳥会の記録、野鳥情報は貴重な財産
●2013/10 愛知県
・サギが集団繁殖するインターチェンジ
●2013/9 三重
・絶滅した鳥類
●2013/10 徳島
・コウノトリ県内記録
・2013年ツバメ類モニタリング結果
・ちょっと気になる野鳥の和名 カイツブリ

●2013/11 オホーツク
・はるばる京都からユリカモメ
9/9、網走市で足環付きのユリカモメが見られた。2001/2/20、京都市の鴨川で標識された個体で、2004年まで京阪神で越冬確認されていた。その間、何処にいたのか不明であるが、少なくとも13歳以上生きている。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.318,P2)

●2013/11 宮古
・第26回岩手の野鳥を語る会
 6/29、30、八幡平市で、県内3支部が集まる。カッコウを復活させよう ヨシの復元を:宮古支部が音頭を取り、解決策を練る。オオタカの種の保存法からの指定解除:岩手県ではオオタカは増加しているとは考えられない。各団体から環境省へ意見を出す。風力発電:北上高地で75基の計画があり、4月よりアセス開始、北上地区の住田町では55基の風力発電の計画がある。イヌワシの生息域で中止?3団体で連携して対処していく。
(宮古「ミサゴの海」NO.232,P3)

●2013/10 いわき
・鳥をして語らしめる
 9月の第18回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会にて。最近、福島の(原発事故)報道で、特に西へ行くほどその関わりがなくなっている。本部では7月原発被災地を巡るエコツワーを計画し、32名の参加者に同行した。地元漁港では北海道産の魚が供され、干拓地が一面湿地になり、80年前の姿に戻ってしまったと聞く。財団が行っている事は「鳥をして語らしめる」で、ツバメの情報収集もその1つ。確かな未来は懐かしい風景の中にある。人と生き物が折り合いをつけて生きていく、その先端にいるのが、野鳥の会の人たちである。会が生まれて80年となる来年、歴史を拓いた人々の表彰を予定する。
(いわき「かもめ」NO.119,P4)

●2013/10 神奈川
・湘南タゲリ米近況
 湘南タゲリ米販売は13年目を迎える。湘南地区でのタゲリ一斉調査で、10年以上前は55羽であったが、昨年は3羽になっている。相模川の以西の県内には
37羽とあり、県内全体でも50羽を切っていると推定される。タゲリ米の協力農家25軒となり、毎年、約2トンの米を買い上げている。タゲリの減少は続いているが、休耕田ビオトープが図られている。関東水と緑のネットワーク百選に選ばれ、ふゆみずたんぼの実験水田がスタートしている。
(神奈川「はばたき」NO.497,P2)

・珍写団
 「珍走団」は松本人志が「暴走族の名称は一種のカッコ良さが含まれるので、みっともない事を気付かせる」ために提唱して広まった呼称である。一部の野鳥カメラマンの無法ぶりに対し、野鳥カメラマンとするのではなく、「珍写団」の呼称を提唱したい。珍しければ何でも写すこれら集団を「珍写団」の名は相応である。「考えないで写す写真は何枚シュッターを切っても、個性のある写真にはならない
(女優故淡島千景の言葉)」
(神奈川「はばたき」NO.497,P3)

・眼鏡をかけた鳥
 日本産の鳥には和名にメガネがついた鳥はいないが、英名でspectacled(眼鏡をかけた)が付く、日本産の鳥がいる。ケイマフリ、ガビチョウ、トモエガモである。これらの鳥は眼の周りに羽毛がなくアイリングを有する。中には環から棒状の模様(眼鏡のつる)が延びている鳥もいる。他にオシドリの♀及びエクリプス、タマシギがいる。サンコウチョウには「眼鏡をかけた」はついていない。
(神奈川「はばたき」NO.497,P5)

●2013/9 福井県
・探鳥会の記録、野鳥情報は貴重な財産
 支部の活性化の中で「野鳥情報のDB化」が検討されている。2006/12:バードリサーチのフィールドノートの協力会員に登録。2010/5:本部の「野鳥情報ネットワーク情報発信」に参加。2010/8:野鳥の会北陸ネットワーク発足。2011/6:同中部ネットワーク(10支部)構築中。2012/6〜2013/6:福井県支部探鳥会の情報DB化入力完了。本部との連携は先送り課題である。
(福井県「つぐみ」NO.167,P3)

●2013/10 愛知県
・サギが集団繁殖するインターチェンジ
 木曽三川の東側に位置する蟹江、弥富インターチェンジには6種のサギのコロニーがあり、最大数7千羽、内43%がチュウサギである。両ICではフェンス、ワイヤー、標識等で車との共生が図られている。両ICの周辺は小河川、田圃が広がり、サギの採餌場になっている。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.320,P5〜8)

●2013/9 三重
・絶滅した鳥類
 リョコウバトは北米大陸に50億羽いたと推定され、撃ち落とされ1907年、カナダのケベックでの1羽が最後と思われる。動物園で飼育されていた個体も1914年絶滅した。エスキモーコシャクシギは北米最大個体数のシギであったが、20世紀頭には散発的に見られたが、狩猟で現在は絶滅と考えられる。モアはニュージーランドに生息した飛べない巨大鳥で9種の内、最大は200kg、背丈3m以上あった。9世紀、マオリ族の上陸で捕獲され、1770年には絶滅した。ドゥードゥーは10〜22kgの巨漢でインド洋の諸島に生息していたが、欧州人の上陸で1681年に絶滅した。
(三重「しろちどり」NO.77,P5〜6)

●2013/10 徳島
・コウノトリ県内記録
 1969/2、阿南市で衰弱した個体1を保護、1976/11、鳴門市で1、1983/11〜翌年3月、海南町の休耕田で1、04/1〜2、吉野川で1、07/2、鳴門市で衛星電波受信1、2013/8、小松島市で1、2013/9、鳴門山展望台を2羽が通過。2005年から兵庫県では飼育個体を放鳥しており、2007年以降の記録ではカラーリングが確認され、豊岡市の繁殖個体と思われる。
(徳島「野鳥徳島」NO.421,P4〜5)

・2013年ツバメ類モニタリング結果
 生物多様性とくしま会議は7〜8月、GPS機能付き携帯、スマホ、デジカメでツバメ類の営巣画像一般人から集め、グーグルマップ上にマークして調査した。ツバメは農家の倉庫に56巣、26巣の例があった。コシアカツバメは最近減ったが、公共のコンクリート建屋を好んで営巣している。イワツバメはコンクリートの橋、建屋を使うが少なく、河川上流部で営巣している。
(徳島「野鳥徳島」NO.421,P7)

・ちょっと気になる野鳥の和名 カイツブリ
 カイツブリは貝に食べると思っていたが、小魚ばかりである。カイツブリの語源は「掻きつ潜(くぐる)」とあるが、足で水を掻いて潜るのは他の潜水ガモも同様で、古人はカイツブリの足の動きをよく観察できる程、近づけなかったのでは。私は川に由来してカイ、ツブリは潜水時の水音、チョボ、チョブリの変化と思う。
(徳島「野鳥徳島」NO.421,P16)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.683

●2013/10 札幌
・羽毛、換羽
●2013/10 道南桧山
・民族学者宮本常一氏の著書の中の生物達
・アカショウビン営巣放棄
・ロシアまで往復したタンちゃん
(秋田タンチョウ友の会)
・第39回秋田-苫小牧海上野鳥センサス
●2013/10 新潟県
・鳥屋野潟ハクチョウ類生息状況
・ジシギ達の行動から見えるもの
●2013/10 富山
・ガンカモ類、ハクチョウ類調査2013
●2013/10〜11 京都
・街路樹でササゴイが繁殖
・ガンカモ調査30年
・秋の渡り鳥通過時期
●2013/10 長崎県
・ことわざ事典より
・長崎県の鳥ツクシガモ

●2013/10 札幌
・羽毛、換羽
 スズメ、ヒバリ、ヒヨドリ、ヤブサメ、ウグイス、エナガ等は幼後換羽した後に第1回冬羽はなく、直接成鳥羽になる。スズメ目の多くは生れた次の年の秋の換羽の第2回冬羽で成鳥になる。ルリビタキではそれに4年もかかる。日本産の鳥の多くは秋と春が換羽の時期で、秋は全身が換羽の完全換羽が多い。春は風切りは換羽せず、体羽のみの部分換羽か、全く換羽しない。幼後換羽で風切り、尾羽、雨覆の一部に換羽しなかった幼羽が残り、例えばツグミ類は大雨覆の先端に淡色の斑が残る。残った幼羽はやや小さく、擦り切れて色褪せている場合があり、齢判断の手掛かりになる。
(札幌「カッコウ」NO.357,P4〜9)

●2013/10 道南桧山
・民族学者宮本常一氏の著書の中の生物達
 闘鶏は古くから行われており、西暦879年、天皇が闘鶏を見学したとの記録がある。和歌山県田辺市には闘鶏神社があり、源平合戦で、いずれかにつくかが闘鶏で決められた。「鳥獣戯画」にも民間での闘鶏の絵がある。後日、鶏の研究者である秋篠宮殿下より「小国」という鶏を飼育して闘鶏にしたと聞く。下北半島の砂浜で、嘗ては大間の人は津軽海峡を群で渡って来る鹿を見ていたが、今は砂浜にその骸骨も見られなくなった。
(道南桧山「はちゃむ」NO.104,P4〜5)

・アカショウビン営巣放棄
 8/9、支部へ大沼のアカショウビンについて封書が届いた。同地では5年ぶりに求愛、造巣行動が確認され、雛の誕生が期待された。立入禁止の措置も虚しく、一部の心無いカメラマン達(珍写団)の立入りで営巣放棄となった。7/12、自ら生んだ卵を咥えて巣から出て行った由。「野鳥観察、撮影マナー」を周知徹底して頂きたい(函館市野鳥を愛するカメラマン)。カレンダーの写真にハヤブサの偵察飛行のタイトル、撮影者を警戒しての警戒飛行である。このような人は自分が野鳥を虐げている事に思いが至らない(支部代表 奥田孝一)。営巣中の画像、背景で営巣地が特定できる画像、オオタカ等の絶滅危惧種の雛や幼鳥の画像は繁殖期が終わった後でも、その写真を見て行動する人が出るので、HPやブログで不特定多数に公開いないようお願いする(広報G)。
(道南桧山「はちゃむ」NO.104,P7〜8)

・ロシアまで往復したタンちゃん
(秋田タンチョウ友の会)
 タンチョウの♂「タンちゃん」は2008/5、秋田に飛来し、2010/4まで滞在し、何と2010/5、ロシアのウラジオストック付近で確認された。2011年のウラジオストック航空の機内誌に写真が載った。その1箇月後、2010/6に北海道富良野市に飛来し、現在行方不明。秋田市とウラジオストク市は姉妹都市で、これも縁である。
(道南桧山「はちゃむ」NO.104,P9〜10)

・第39回秋田-苫小牧海上野鳥センサス
 3/28、7時半〜14時半、秋田港から新日本海フェリーに乗船し、デッキより海上を観察した。8:43、男鹿半島入道埼沖でスズメ成1が本船に5分程留まり、側壁上で活発に囀った後、北北西方向の海へ真直ぐ飛び出して行った。10:31、鰺ヶ沢沖でアオサギ1が海上を北北西へ飛行する。
(道南桧山「はちゃむ」NO.104,P11〜12)

●2013/10 新潟県
・鳥屋野潟ハクチョウ類生息状況
 新潟市の鳥屋野潟(170ha)で2001年から毎年、10月〜3月、調査した。同地ではコハクチョウが95%以上を占め、毎年10月上旬に飛来し、11月上旬〜中旬に最大羽数(約3千)に達する。1月以降徐々に減少し、3月には飛去する。最大羽数は2010/11/12の4,352羽。2001年〜2010年は緩やかに増加傾向にあったが、2011、12年は積雪のためか減っている。
(新潟県「野鳥会報」NO.76,P2〜5)

・ジシギ達の行動から見えるもの
 上越地区では8月中旬にはオオジシギが出現し、9月にチュウジシギ、9月中旬にタシギが到着する。タシギは水がある場所を好み、オオジシギ、チュウジシギは田圃の縁、草が生えた農道を好む。人が接近した時飛び立つのはオオジシギ、タシギ、チュウジシギの順でチュウジシギはすぐ近くに降りる。餌はミミズ、イトミミズが主である。ヤマシギ、アオシギも含め、ジシギは体を上下に揺す警戒行動をする。
(新潟県「野鳥会報」NO.76,P6〜8)

●2013/10 富山
・ガンカモ類、ハクチョウ類調査2013
 1月、富山県内44箇所でカウントした。結果はオオハクチョウ64、コハクチョウ570。カモ類19,706羽、内訳はコガモ5,910、マガモ4,540、カルガモ3,942、オナガガモ2,617.ホシハジロ602、キンクロハジロ408、オカヨシガモ134等。オオバン268。
(富山「愛鳥」NO.69,P6〜7)

●2013/10〜11 京都
・街路樹でササゴイが繁殖
 7月、福知山市で街路樹で準絶滅危惧種のササゴイが繁殖した。雛が4羽いる巣、親が抱卵中の巣、巣立ち済の2つの巣、計4巣が10日程前に市が剪定した丸裸の欅にあった。車が通る生活道路に巣があり、灯台下暗しである。市へは今後の対策を要望した。
http://www.ryoutan.co.jp/news/2013/07/31/006820.html
(京都「そんぐぽすと」NO.184,P9)

・ガンカモ調査30年
 1983年、支部の京都府内調査に始り、2003年からは環境省の「ガンカモ科鳥類全国一斉調査」を受託し、現在に至る。2008年、184調査地点で最大数の21,101羽を記録、今年は186箇所で17,747羽、内訳はコハクチョウ7、マガモ4,528、コガモ3,738、カルガモ2,422、ヒドリガモ1,921、スズガモ950、キンクロハジロ887、オシドリ721、ホシハジロ560、オナガガモ471、オカヨシガモ319、ヨシガモ312、ハシビロガモ214等。
(京都「そんぐぽすと」NO.184,P10〜13)

・秋の渡り鳥通過時期
 南丹市の京大学芦生研究林での鳥類標識調査での秋の渡り時期。エゾムシクイ:8/13〜26、メボソムシクイ:8/19〜11/4、ノゴマ:10/4〜11/5、ノジコ:10/7〜11/1、ミヤマホオジロ:10/14〜11/18、カシラダカ:10/15〜11/26、クロジ:10/13〜11/18、アオジ:10/26〜11/24、ルリビタキ:10/27〜11/26、カヤクグリ:10/31〜12/5。
(京都「そんぐぽすと」NO.184,P16)

●2013/10 長崎県
・ことわざ事典より
 「鷸蚌の争い」:シギとハマグリが挟みあっている間に、漁夫の餌食になる。「烏合の衆」:カラスの集団のごとくまとまりが無い。「烏鷺の争い」:囲碁の事。「鴛鴦の契り」:夫婦仲が良い事。「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知るらんや」:小鳥は大鳥の心は分からない。「雁の便り」:雁の足に手紙を結んで連絡した故事から。
(長崎県「つばさ」NO.310,P2〜3)

・長崎県の鳥ツクシガモ
 ツクシガモが冬鳥として諫早湾に飛来していた時は、日本最大の越冬地で1,000羽の飛来があった。97年の諫早湾閉め切り後の98年に、290羽が見られたが、その後激減し、諫早湾のツクシガモは消滅した。、現在は博多湾や北九州市の曽根海岸で群で見られ、諫早湾から移動した?
(長崎県「つばさ」NO.310,P10)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.684

●2013/11 千葉県
・年齢別ウミネコ
・五輪が東京の自然を破壊? (9/27 週刊朝日)
・珍客セグロサバクヒタキ (9/26 東京新聞)
・セアカゴケグモ県内初確認 (9/27 毎日新聞)
●2013/10 甲府
・H24年度ガモ科鳥類調査
●2013/11 長野
・ツバメの天敵
●2013/11-12 島根県
・飯梨川2013秋のシギ・チドリ
・夏の宍道湖のカモ
●2013/11 香川県
・ブッポウソウ保護・・・今でしょう
●2013/11 高知
・タカの渡り
●2013/10 筑後
・2013年度三池島調査
・冬鳥が戻った

●2013/11 千葉県
・年齢別ウミネコ
 ウミネコは大型カモメ類同様、4年で成鳥になる。この夏、銚子市への幼鳥飛来は早く、7/23であった。幼鳥は翼の先端が尾の先端より長い。嘴は基部がピンクで先端が黒い。足もピンク。上面の羽の縁を見ると摩耗が始まっているのが分かる。8月から秋に肩羽が第1回目冬羽に換羽する。第2回目夏羽では肩羽に淡いグレーが見られ、羽の摩耗と退色で全体的に淡色に見え、嘴基部は黄色みを帯び、先端部黒色の先に赤みが出る。第3回目夏羽では成鳥に近い色になり、嘴、足、虹彩も黄色になる。大型カモメ類は第3回目と成鳥冬羽の違いに顕著さあるが、ウミネコでは区別がつきにくい。
(千葉県「ほおじろ」NO.391,P3〜6、11)

・五輪が東京の自然を破壊? (9/27 週刊朝日)
 葛西臨海公園では五輪のカヌーのスラローム競技会場建設を巡って環境問題が浮上している。隣接する葛西海浜公園は都内唯一のラムサール条約登録候補地となっている。地元の江戸川区長は3月、「公園を半分壊す計画は許されない、東京都に強く抗議した」としている。20年以上かけ、生態系を形成した地域住民の憩いの場を壊し、五輪で僅か5日間使用するだけでは許されるのか。都は「都内にウォータースポーツの施設が殆ど無く、大会後は都民のラフティング(川下り)を楽しむ施設にする予定と言う。代替地の検討を訴える。
(千葉県「ほおじろ」NO.391,P13)

・珍客セグロサバクヒタキ (9/26 東京新聞)
 9/19頃、神奈川県座間市で畑の虫を捕り続け、尾羽を盛んに上下する迷鳥、セグロサバクヒタキが確認された。台風18号で運ばれて来たのであろう。全国から大勢の野鳥ファン(珍写団)が来訪した。野鳥写真家高橋喜代治さんは「日本海側に数少ない記録があるが、太平洋側では極めて珍しい」。中央アジアで繁殖し、アフリカで越冬する。
(千葉県「ほおじろ」NO.391,P13)

・セアカゴケグモ県内初確認 (9/27 毎日新聞)
 9/10、特定外来生物に指定されている毒ブモ「セアカゴケグモ」が市原市で5匹発見され、千葉県内では初確認となる。業者が駆除した。
(千葉県「ほおじろ」NO.391,P13)

●2013/10 甲府
・H24年度ガモ科鳥類調査
 H24/9〜H25/3、毎月、富士五胡と笛吹川、富士川水系で調査した。総計7,753羽(富士五胡5,031、河川2,722)、内訳は河口湖で2,322、山中湖2,043、笛吹川2,272、富士川450であった。種ではマガモ2,335(河口湖663、山中湖876、河川580)、コガモ1,244(河口湖528、山中湖9、河川924)、カルガモ(河口湖113、山中湖0、河川924)、ヒドリガモ964(河口湖258、山中湖339、河川367)、キンクロハジロ688(河口湖302、西湖235)、ホシハジロ779(山中湖520、河口湖169)、カワアイサ434(河口湖185、山中湖164、河川69)。コハクチョウ36(全て河川)。
(甲府「カワセミ」NO.124,P4)

●2013/11 長野
・ツバメの天敵
 2003年から白馬村のツバメの巣を調査している。当時の138巣は10年後の今年は49巣まで減っている。2007年頃より減少傾向にあったが、2009年に全国的に一気に減った。減少の一番の要因は天敵の襲撃で、その1は人間である。「糞が汚い、不衛生」として、巣を作らせず、「鳥獣保護法」に反して営巣中の巣を落したりする。「ツバメ子育て中、頭上注意」の張り紙で対応する優しさが欲しい。天敵その2はハシブトガラスである。カラスをツバメの巣に近付けさせない対策がされているが、賢いカラスは、雛が巣から出たところを狙っている。有害鳥獣駆除でカラストラップを設置しても、罠に掛かるのはハシボソガラスが大半で、トラップのあり方に気付くべき。
(長野「野鳥ながの」NO.521,P6)

●2013/11-12 島根県
・飯梨川2013秋のシギ・チドリ
 ムナグロ3(9/30)、ダイゼン3(9/30)、コチドリ8(9/22)、セイタカシギ8(9/19)、タシギ29(9/30)、オオソリハシシギ3(9/30)、ツルシギ2(9/30)、 コアオアシシギ4(9/17)、アオアシシギ4(9/5)、クサシギ3(9/5〜30)、タカブシギ12(9/17)、トウネン52(9/19)、キョウジョシギ3(9/10)、ソリハシシギ3(8/20〜9/17)、キアシシギ3(8/2〜9/13)。
(島根県「スペキュラム」NO.156,P2)

・夏の宍道湖のカモ
 8/7、越夏個体を調査した。オカヨシガモ2、ヒドリガモ2、マガモ11、カルガモ227、ホシハジロ3、キンクロハジロ55、スズガモ1。コブハクチョウ18(内8幼鳥)。
(島根県「スペキュラム」NO.156,P4)

●2013/11 香川県
・ブッポウソウ保護・・・今でしょう
 9月、2013年日本鳥学会でポスター発表した。ブッポウソウは岡山、広島、鳥取では人工巣箱設置で増加傾向にある。その他地域の九州、四国、山口、島根を 調査した。営巣事例が殆どが鉄製橋梁であり、巣穴として利用するハンドホール(作業孔)があるランガー橋とトラス橋を調査した。2013年、ブッポウソウ営巣は九州で9地点、四国で4地点、山口、島根で2地点であった。2011年から6地点が消滅していた。ブッポウソウは帰巣性が強く、一度繁殖に失敗すると、小群では営巣地から直ぐ姿を消す。
(香川県「かいつぶり」NO.358,P3〜6)

●2013/11 高知
・タカの渡り
 10/1〜14、芸西村の「かんがえる村」でタカの渡りを調査した。サシバ3,836、ハチクマ24、ノスリ35であった。サシバのピークは10/12の1,992であった。
(高知「しろぺん」NO.323,P3〜4)

●2013/10 筑後
・2013年度三池島調査
 今年度は三池島に4回上陸し、ベニアジサシを調査した。別に2回、本部自然保護室の支援を受けて洋上調査をした。昨年はベニアジサシは数十羽と極端に少なかったが、今年は約500羽の成鳥が営巣し、100羽以上の飛翔可能な幼鳥を確認した。洋上で小型のカタクチイワシの仲間を咥えた幼鳥が見られた。
(筑後「まめわり」NO.149,P6〜9)

・冬鳥が戻った
 2005/2006、2011/2012、東北南部以南で冬鳥が少なかった。モニタリングサイト1000のコアサイトでは高緯度、高標高地では例年通りであった。国内移動によるものか、大陸を含めた変動なのか、繁殖状況によるのか要因は不明(本部自然保護室 葉山室長)。昨冬ツグミ等が少なくなかった地域では渡りの当初は少なか
った(バードリサーチ)事があり、渡来する地区が変化したと言われる。2005年頃以降から冬鳥は減っており、昨冬はそれが更に加速したが、今冬は元に戻って来ている(横浜自然観察の森 古南幸弘)。
(筑後「まめわり」NO.149,P10)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.685

●2013/冬の巻 弘前
・つがる市冷水沼を鳥獣保護区に指定する要望書
・青森県の風力発電事業
●2013/11-12 宮城県
・津波被害残存林の保全に関わる要望書
・2013年秋シギ・チドリ類生息調査
・コムクドリ電線に300羽
●2013/11 埼玉
・サギ類の出現率の変化
・コムクドリの塒
●2013/11-12 諏訪
・ミゾゴイに注目!
・内陸のアオバト観察
・ツバメの塒、朝の様子
●2013/11 岡山県
・ヤマセミ
・スズメは早寝、早起き
●2013/11 熊本県
・増加したオオバン

2013/冬の巻 弘前
・つがる市冷水沼を鳥獣保護区に指定する要望書
 10/17、青森県知事へ要望書を提出した。同地では銃猟が行われ、池畔に薬莢が散乱しており、渡り鳥の休息、採餌場が失われている。沼に生育する植物コウホネが漢方薬用として90%以上乱採取されている。自然環境保全の措置のため、同地を鳥獣保護区に指定することを要望する。
(弘前「初列風切」NO.177,P4)

青森県の風力発電事業
 青森県の風力発電容量は32万KWで、5年連続で全国一である。設置数は212基で、北海道の280基に次ぐ。2020年には60万KWの目標が設定されている。軽軽半島では屏風山地帯で55基、十三湖南部で15基、洋上に十数基が今後予定されている。鳥谷川河口の中泊風力発電(3基)の環境影響評価方法書に対し、意見、質問を出した。同地はガン、ハクチョウの移動経路に当る。
(弘前「初列風切」NO.177,P5)

2013/11-12 宮城県
・津波被害残存林の保全に関わる要望書
 仙台湾沿岸には砂浜とクロマツの海岸林が延びていた。東日本大震災の津波で破壊され、残った松林を伐採撤去し、2mの土盛りと植林が進められている。9/4、支部は仙台森林管理署海岸防災復旧対策室に要望書を提出した。僅かに残っている森林でもオオタカ、ミサゴ、ハヤブサが営巣している。残存林は伐採せず、グリーンベルトとして可能な限り残して頂きたい。
(宮城県「雁」NO.262,P11)

・2013年秋シギ・チドリ類生息調査
 県内の湖沼、干潟の6箇所を調査した。全体で28種を記録、内、鳥の海では23種、内、トウネン80、アオアシシギ13、タカブシギ12、コチドリ11、オグロシギ11、タシギ8、アカアシシギ8、アカエリヒレシシギ7、オオソリハシシギ6、コアオアシシギ4、キアシシギ4、ソリハシシギ4、ハマシギ3、エリマキシギ3等。伊豆沼・内沼では5種、内、ムナグロ18。蕪栗沼では10種、内、ツルシギ9。
(宮城県「雁」NO.262,P12)

コムクドリ電線に300羽
 7/23、朝5時、仙台市青葉区の自宅の前の電線にコムクドリ約300羽がびっしり並んでいた(写真有)。10分ほどで西へ動いて行った。
(宮城県「雁」NO.262,P18)

2013/11 埼玉
・サギ類の出現率の変化
 過去28年間の26箇所の県内支部探鳥会でのサギ類の出現率を調べた。1984〜88年と2009〜13年出現率を比較すると、アオサギは3.68倍、ダイサギは1.59倍と増加、ゴイサギ0.55倍、コサギ0.31倍、チュウサギ0.17倍、アマサギ0.05倍と大幅に減少した。
(埼玉「しらこばと」NO.355,P2〜3)

・コムクドリの塒
 8/29、17:45、春日井市大沼運動公園前方の電線にコクドリ数羽を認め、道路脇の4本のユリノキに約30分間で2〜3,000羽が塒入りした。地元の方によると、8/15頃から集団塒ができている。9/2、41波で2,250+。9/5、30波で2,000+。9/9、群が別れ出す。9/10、少数がパラパラ塒入り。9/11、塒消滅。早朝の塒立ちは9/4、5:11、500羽、5:13、300羽、5:19、200羽、5:21、200羽、5:22、100羽、5:23、130羽。9/7、5:22、400〜500羽の3波。日中は公園周辺ではコムクドリ見当たらず。
(埼玉「しらこばと」NO.355,P4)

2013/11-12 諏訪
・ミゾゴイに注目!
 リニア新幹線ルート一帯でのアセス調査で、下伊那郡大鹿村でミゾゴイ生息が確認された(10/23 信濃毎日新聞)。世界で生息数600〜1,700羽の貴重な鳥である。10/21には岡谷市の塩嶺小鳥の森でも偶然にミゾゴイが観察されている。
(諏訪「いわすずめ」NO.153,P3)

・内陸のアオバト観察
 内陸に生息するアオバトは海水の代わりに、温泉、鉱泉、工場廃液、堆肥等から出る塩分を摂取している。この様子を下伊那、諏訪地方、山梨県北杜市で見ている。4月〜10月上旬、下伊那の漬物工場の庭の水溜まりで午前中3〜5回、10羽前後が来て、塩分が染み出た水を飲む。6、7月、ランダムに交尾行動が見られ、ディスプレイの疑似行動なのか不明。7月早朝、下諏訪で「ポポポギュ」の声が「オーアオーアオー」に混じっていた。「アオバトのふしぎ」によると、巣の近くで「ポポポポ」と鳴くとある。これは囀りに相当する?。アオバトの繁殖は日本のみで、一部は台湾、中国南部で越冬する。アオバトの巣の発見は今までに十数例で、長野県での発見は未だ無い。
(諏訪「いわすずめ」NO.153,P4〜5)

・ツバメの塒、朝の様子
 ツバメの早朝の塒の記録。8/13:4:11、真っ暗、時折ツバメの声が聞こえるが、飛んでいる個体はない。4:25、ツバメが盛んに鳴き出す。4:36、空が少し白む。4:44、ツバメがヨシの上で目立つ。4:50、ツバメ1羽の飛び立ちを見る。4:53、上空を十数羽のツバメが飛ぶのを見る。4:57、ツバメの声聞こえなくなり、スズメが盛んに鳴き出す。5:00、ツバメは既に塒発ちしたようである。ツバメは暗い内は上空へ上がらず、低い位置を飛び、天敵の目を避けるように飛び立っているので、ツバメの集団塒発ちを見るのは難しい。
(諏訪「いわすずめ」NO.153,P10)

2013/11 岡山県
・ヤマセミ
 1982〜84年、支部は県の委託で県内3大河川の86地区、2,280kmをロードセンサスした。181羽のヤマセミを記録した。それが2004〜06年の調査では確認数31羽で、20年間で1/6に減っている。減少要因は魚を主食とするアオサギ、カワウ、ミサゴの分布域増加で、大型種に餌を奪われているとの見方もあるが、生息環境悪化ではないか。河川の水質でBOD、COD平均値が1mg/L以下に生息し、2mg/L以上では全く生息確認できないていない。コンクリート護岸のため、土むき出しの側面が減り、直線化で淵や瀬が減っている。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.199,P4)

・スズメは早寝、早起き
 9/15〜25、2階のガラス窓の外枠で2羽の雀が塒した。内側の明りをつけても逃げず。帰ってくるのは日の入時、飛び立ちは日の出時の共に5分前後であった。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.199,P8)

2013/11 熊本県
・増加したオオバン
 熊本市の上江津湖を2005年以来、総計1941日、観察している。当初、数羽しかいなかったオオバンは増加し続け、2011/12には200羽を超え、増加は少し頭打ちになっているが、昨冬は250羽以上になった。2009年には熊本港で繁殖が確認され、越夏が始まっている。2012年越夏した2羽はアヒルの中でキャットフードを食べていた。2013年は越夏は無い。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.313,P7)
(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


ブロックからのお知らせなど

■2013年度近畿ブロック会議参加報告■

日時:自 2013年11月30日14:30
   至     12月 1日11:30
会場:長浜市立 湖北野鳥センター
琵琶湖水鳥・湿地センター
参加:ひょうご、京都支部、和歌山県支部、
大阪支部、奈良支部、滋賀、財団事務局
   計 32名
開会あいさつ 山岸滋賀代表より
 京都より独立して8年たつが、今回の議論を参考に支部の活動を進めたい。
財団 佐久間理事よりあいさつ
 80周年事業についてあらましの紹介等


近畿ブロック会議 集合写真

議事
・財団普及室より
1)探鳥会保険について
賠償責任は、組織を守るためのものであること。賠償保険の、限度額の引き上げを行ったこと、傷害保険の追加プランの紹介があった。
2)探鳥会スタッフ通信について
80週年を機に、探鳥会の意義やあり方についての見直しを図りたい。メールでの配信を主に行っているので、近畿では京都を除いて参加が低調なので報に協力を願いたい。
3)協働探鳥会について
 東京、奥多摩、神奈川と実施している。一般を対象としており、会員を増やすための探鳥会の研究をおこなっている。参加者の約3割が仮入会、1割が会員となっている。
4)トコロジストについて
「トコロジストになろう」発行のお知らせ。
意見等
 大阪より、最初の植物のレッドリストを民間で作成した時に、研究者が少なく懸念されたが、アマチュアの結集でうまく行った。トコロジストもこうした市民の活動の延長で賛同したい。
・京都支部
1)鳥類調査データの共有化について
 以前連携団体で共同で行っていた、ツバメのねぐら調査やタカの渡調査について再度の取り組みの呼びかけがなされた。これに対して財団より、関東ブロックで協同してシラコバトの調査を行い、ストリクスに発表していただいた例もあり、ブロックでの調査結果をストリクスで発表してほしいとの依頼があった。
2)増減の特徴的な種の推移について
探鳥会記録を使った出現率の変化やとりだよりでの投稿件数からみた増減傾向の紹介。ゴイサギの減少、ダイサギの増加など出現率の変化が、ミサゴやイソヒヨドリの情報投稿件数の増加が紹介された。
3)会員獲得(特に若い会員)についての取り組み紹介
子育て世代を狙った親子探鳥会や初心者向け探鳥会を計画。鳥ガール、パワースポット探鳥会などを構想中。大阪支部のムクドリ会員の取り組みも参考にしたい。。
 また、ホームページに会員専用サイトの準備をすすめ、Web会員制度を検討している。紙の支部報の発送経費を抑えることにもつながる。個人情報の点から現状では難しいが、これからはWebが重要なので、会員認証につて財団家も検討を行ってほしいとの意見があった。またムクドリ会員は現在100名程度で、1割程度の歩留まりとの紹介があった。
4)調査活動における傷害保険について
 支部での調査活動参加者の保険が、レクレーション保険の見直しで適応できなくなった。調査日やメンバーが事前に確定できるガンカモ調査については、社会福祉協議会の「福祉行事保険」が利用できることがわかった。委託を受けて行っている鳥獣保護区の調査などは、予め日程が決められず、無保険状態。国内旅行保険で対応できるが掛け金が高く現実的ではない。
・大阪支部
1)堺第7−3区のチュウヒ繁殖地の保護活動について
最終廃処分場である堺第7−3区で埋め立て終了後、2006年から2009年までチュウヒの繁殖が見られたが、2010年以降メス1羽のみ確認されていた。今年、侵入してきた樹木の伐採作業を行ったところ、つがいでの越冬がみられ、来シーズンの繁殖を期待している。
2)南港野鳥園の存続問題について
 橋下市長の行政改革の一環として、指定管理者制度の廃止を含む条例の一部は医師が可決された。支部では「南港野鳥園を存続させる会」を他団体とも作り活動してきたが残念。今後の体制について協議中。レンジャーを配置せず、NGOで市民サービスをやって欲しいとの求めがあり、反発もあるが野鳥園設立の経緯を考え、定例探鳥会の実施やイベントの充実で対応をと考えている。また、環境管理については業者発注となるが他団体等協力してやっていきたいと考えている。
・和歌山県支部
1)ホームセンターでの鳥の餌等の販売について
ホームセンターに入っているペットショップで売られている餌に、オウムなどと併記して、メジロ、オオルリ用などとの表示があり改善をホームセンターに求めるが効果が見られない、財団・連携団体での取り組みをとの要望
意見等
 財団より現状で法的な規制は現状では難しいが、環境省と協議したい。また業界団体等への働きかけも検討したい。地域での取り組みで添付の表示が変わった例などの紹介を行った。
・ひょうご
1)ツバメのねぐら調査結果の紹介
今年度の調査結果と過去とに比較の紹介が行われた。
2)オオタカの指定解除について
パブコメに対して出した意見の紹介がなされた。またオオタカの確認などのデータ量は増えているが、関西で実際に増えているか疑問との話があった。これについて大阪支部より2000,2001年に確認した48つがいの4割がなくなっていること。都市公園でカラスやドバトを食べて暮らしている例はあっても自然環境下での生息地は減少しているとの話があった。
3)環境教育の取り組みについて
兵庫県では小学5年で年間を通じた体験学習があり、親子バードウォッチングを2ヶ月に1回行っている。参加者も増えてきたが、関わる支部のリーダーも増えてきたり、積極的にスキルアップに務めるようになってきているとの紹介があった。
4)三者共催鳥学講座の紹介
大阪、ひょうご、日本バードレスキュー協会の共催で、鳥学講座を行っていることと、今後のスケジュールが紹介された。
 また大阪支部より第2回の講師であった大阪市大の堀江さんから、メジロの調査協力が来ていること、研究者との連携強化との視点からも協力をとの呼びかけがあった
・奈良
1)里山再生の取り組みとして10年前から実施している「竹とり・クラブ」の活動酒会があった。また、全国野鳥保護のつどいの一環として小冊子と「奈良の野鳥物語」の発行の紹介があった。
・滋賀
   支部設立以降継続しているタカ渡り調査の紹介があった。また、調査活動の他に、その時期にはホームページのアクセス数が20倍程度になり野鳥の会の広報にもなっていることの紹介があった。
・その他
1)共同でのツバメねぐら調査を、大阪支部の平氏を中心となって再開することとなり、今後メールで調整を行うこととなった。
2)次期2014,15年のブロック会議の幹事担当は大阪、2016,17は和歌山県支部が担当することが確認された。


近畿ブロック会議 観察会の様子

2日目
 早朝、早崎ビオトープでのコハクチョウの飛び立ち、湖岸でのオオヒシクイ、サカツラガンの観察が行われ、朝食後、オオワシの観察や琵琶湖の水鳥の観察が水鳥センターのスタッフの案内で行われ、取り合わせの結果56種を確認し終了となった。


シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」

探鳥会におけるリスクマネージメント

シリーズ第9回:探鳥会とリスクマネジメント

 シリーズ第1回の冒頭で述べたように、探鳥会におけるリスクはその開催実態から考えて、一般的な野外活動に比べて高い可能性がある。本来であれば冒頭で紹介すべき内容ではあるが、あらためて「探鳥会とリスクマネジメント」について述べてみたい。

■リスクマネジメント規格について
 リスクマネジメントについては、阪神・淡路大震災を契機として、企業等を中心に注目されてきており、2009年にISO(国際標準化機構)からISO 31000が公表されている。これを受けて、リスクマネジメントの国内規格であるJISQ31000も発行されている。
 ここで紹介する「探鳥会におけるリスクマネジメント」は、ISOやJISの規程を紹介するものではなく、これらの考えを参考として、われわれが日頃行っている探鳥会におけるリスクマネジメントについて、筆者の独自の整理で紹介するものである。会員の方からISOやJISとの関係はどうかとの質問もいただいたが、考え方としては大いに関係があるものの、基本的には無関係のものと理解いただきたい。

■リスクマネジメントとは
 リスクマネジメントは、「リスク」と「マネジメント」とに分けて整理すると分かりやすいと思う。
「リスク」とは、それが発生すると被害(事故)が発生し、人的、金銭的、物的、社会的信用低下などの被害を及ぼす恐れのあるものであり、それがいつ発生するか不確定であるという性質をもっている。リスクのレベルは、一般的に発生確率と被害規模の積で表現される。一方、「マネジメント」とは管理や処理、経営を意味する言葉である。この2つの言葉が組み合わされた「リスクマネジメント」とは、リスク管理つまり事故や危機がなるべく起きないように対処する活動のことを言い、最近では企業や学校、行政など多くの場においてリスクマネジメントが実行されマニュアルなどが次々と整備されてきている。
 具体的には、どのような人がどのように活動し、どのような環境下での現象を生み出していくかを詳細にシミュレーション(模擬実験)し、リスククリーニング(危険要因の選別と除去)しておくことであるということができる。
 まさにリスクマネジメントは、行動、活動、環境下でのプロセスを安全に遂行するために、それがどういう結果に導かれなければならないか、そのための障害となるあらゆるケースを想定(危険予知)し、そのケースが起きないように意図(危険回避)し、リスクを最小化することである。
 なお、リスクマネジメントは、「予防策」と「事後防止策」とからなり、次のように整理できる。
@リスクを顕在化させないための「予防策」
・障害となるあらゆるケースを想定(危険予知)する
・リスククリーニング(危険要因の選別と排除)する
・障害が生起しないよう意図(危険回避)する
Aリスクが顕在化した場合、その被害を極小化するための「事後防止策」
・役割分担も含め対策をあらかじめ決定しておく
・救助・救護の知識技術が駆使できるようにしておく

■リスクアセスメント
 リスクアセスメントとは、リスク管理の中核をなす活動であり、「リスク解析」と「リスク評価」により構成される。また、リスク解析の主要な項目は、シナリオ分析とリスク算定であり、必要に応じて弱点分析や対策効果算定を実施することになる。
【リスク解析(例)】
 リスク解析の一例として、次のようなマトリクス図に整理し、リスク領域の分類を行ってみると、リスク領域の分類と対応策が分かりやすいと思う。この図からも分かるように、中には領域Dのように、リスクを許容してもよい領域もある。

【リスク対策4つのケース】
 リスクアセスメントの結果を基に、総合的・多角的な判断を行い、状況に応じて次のような4ケースのリスク対策をとる必要がある。

@リスク低減
 一般的にリスク対策と呼ばれるもので、発生確率、被害規模又はその両方を低減するものである。例えば、安全対策確立のための体制整備(設備投資等)、組織改革による管理体制の充実・拡充、運用改善やマニュアル作成によるヒューマンエラーの防止、教育訓練による意識向上などの処置。
Aリスク移転
 被害規模が大きく発生確率が小さなリスクは、その対策費用が高額となることが多い。その対策費用が投資に絶えられないと判断される場合、保険をかけてリスクの移転を図る対処策。
Bリスク回避
 特に新たな事業の開始時における判断としてとられる対策で、事業展開の可否を判断する処置。リスクアセスメントを実施して、リスクレベルが高く、その改善策がないと判断される場合、新規事業(企画)への参入(実施)を回避(中止)することがある。
Cリスク保有
 特定のリスクから結果的に生じる損失負担及び利益を受容する処置である。リスクの発生確率は高いが被害規模の小さなリスク(極小規模の事故、日常的な災害など)や、被害規模は大きいが発生確率が低いリスク(大規模な自然災害、戦争など)に対して対策を講ずることは、巨額の費用がかかり、また投資が無駄になる可能性が高いなどの理由により、リスクを保有することが合理的と判断される場合の対処策。
【リスク評価】
 リスク評価とは、リスクとその物理的、社会的、経済的及び環境的要素や、影響についての量や質に関する詳細なデータを評価することであり、リスク評価の作業としては次のような項目がある。
@脅威の性質、規模及び可能性の特定
A脅威に対する脆弱性の有無及び脆弱度の判定
B利用可能な能力及び資源の特定
Cリスク許容レベルの確定
【リスク管理と危機管理】
 また、「リスク管理」と「危機管理」とを分けて考え、「リスク管理」は事故や危機がなるべく起きないように対処する活動とし、「危機管理(クライシスマネジメント)」は事故や危機的な状況が発生した後の活動をいう場合がある。

■ヒヤリハット(ハインリッヒ)の法則
 ヒヤリとかハッとした出来事のことで、事故に至らないものを指す。1件の死亡・重傷事故(障害)が発生したとすれば、それと同じ原因で29件の軽傷事故(障害)を起こし、同じ性質の無障害事故を300件伴っているとされ、これは「ハインリッヒの法則」としてよく知られている。
 この300件がヒヤリハット事例となり、リスクマネジメントにおいては、この法則に学ぶところが多い。例えば、将来の重大事故に結びつく可能性のある重要な事象を発見できる可能性があり、未然防止対策の重要な情報源となったり、多数のデータ収集から普遍的な情報を得ることができたりする場合が多い。また、「ヒヤリハット活動」と呼ばれる早期の報告、報告者の保護、早期の改善、情報の早期流通などの活動を通じて、関係者の意識向上に繋がることも期待される。

 探鳥会において実際に直面した軽い傷害等の事例を、平成20年11月29日に開催された関東ブロック協議会における事例から抜粋して紹介すると次のような事案がある。
・A支部:探鳥会で熱射病の人が出た。救急車を呼ぶ際に、現在地を説明するのに苦慮した。事前の訓練が必要。また、リーダーが救急隊に同行すると人手が足りなくなる。
・B支部:数年前に山道で転落した人がいた。骨折で歩けず、リーダー4人のうち2人が付き添い救急車がくるところまで担ぎ下ろした。入院治療となり、本部の保険で対応した。
・C支部:山の探鳥会では、携帯が使えないところがあるので要注意。事前のチェックが必要。
・D支部:山の探鳥会で子ども連れの参加者があり、子どもが迷子になったことがある。また、調査中に怪我をして,保険適応したことがある。
・E支部:山の探鳥会では,登りより下りの時の危険が高い。もうすぐ終了と油断したときに起こることが多いので注意が必要。
・F支部:定期探鳥会では、救急病院など緊急連絡先のリストを準備している。心臓ペースメーカーを付けていることを黙っていた参加者がいて、事故になりそうなことがあった。また、参加者がマムシに噛まれた事例もある。血清のある病院を調べておくとよい。
・G支部:担架の代用になるようにレジャーシートを携行している。握る部分だけに棒などを巻けば、担架の代用となる。
・H支部:背負って下ろすのに、ベルトを使って下ろしたことがある。

 以上紹介したような事例が増えていけばいくほど、重大な事故が起こる確立が高くなりることを、指導者は十分認識しておく必要がある。

■探鳥会におけるリスクマネジメント
 探鳥会におけるリスクマネジメントとは、探鳥会活動におけるリスク管理のことであり、これまでに述べたリスクマネジメントの考え方に従って、潜在する不確実性のある事項を整理・分析し、適切な対処法を検討・実施することである。
探鳥会は、前述のとおり自然の豊かな野外で行うことが多く、一般の野外活動に比べてリスクは高い。とりわけ、野外における危険な生物による被害のリスクは高い。
 従って、探鳥会のリーダーは、危険生物をはじめとする野外活動に伴うリスクに対し、十分な知識と対応策を習得しておく必要がある。
 探鳥会におけるリスクマネジメントにおいても、一般的なリスクマネジメントの一連の対策や対処手法を駆使して、事故のないような対応と、仮に事故が起こってしまった場合の適切な対処を行うことが肝要である。
 具体的には、探鳥会活動に潜在する不確実性のある事項を整理・分析し、適切な対処法を検討・実施すること。さらには、事後の防止策を講ずることが探鳥会におけるリスクマネジメントの基本である。

(危険を予知)=予防策
(危険を回避)=予防策
(救助・救護)=事後防止策

【探鳥会における自然の中での危険】
 探鳥会において、活動中の自然の中で想定される危険要因としては、次のようなものが考えられる。

@ 地学的要因によるもの
・気象的要因:天候激変、日射、寒冷、大雨、吹雪、強風、台風、落雷など
・火山爆発:溶岩や火砕流の流出、火山弾、熱風、山火事など
・地震:山崩れ、土石流、危険物倒壊、津波、火災など
・水害:洪水、高波、暴風雨、山津波、雪崩など

A 生物的要因によるもの
・植物:触れることによる痛み、かゆみ、かぶれ、食中毒、花粉アレルギーなど
・動物:咬傷、刺傷、毒の注入、毒に触れることによるかぶれ、食中毒など
・病気伝播:伝染性病原(野兎疫、エキノコッカス、アニサキスなど)、ツツガムシ病など

 自然の中では前述したような多くのリスク要因があり、探鳥会活動においてはこれらのリスク要因を念頭に置いて各種の対策を講じていく必要がある。
 一方、豊かな自然ほどそこに秘められる危険が大きいことも事実であり、探鳥会活動の目的と照らし合わせながらフィールドの選択を行い、自然の中でのリスクとうまくつきあっていく必要がある。
 近年の自然志向やアウトドアブームでは、都会での快適・利便・清潔・安全などを自然の中でも求める傾向があるが、人間にとってありがたくない要素も豊かな自然のうちであり、原因を排除するより、危険に対応する能力を身につけることが肝要である。

・自然は必ずしもよいことずくめではない!
 『危険をあなどってはいけない、
しかし危険を恐れていては進歩向上はない!』
 『危険であればあるほど教育的であることも、
クールに認識しよう!』
 柴田敏隆

【探鳥会リーダーに求められるリスク対策】
 事故は、多くの場合不安定な状態と不安定な行為により発生する。

不安定な状態×不安定な行為=事故発生(8割)

従って、事故発生率を低下させるためにはこれら二つの状態と行為をよく理解し、双方の危険値を低くすることが安全管理のポイントとなる。
不安定な状態や不安定な行為には、外的要因と人的要因があり、次のような整理を行うことができる。

■不安定な状態(外的要因)
→環境要因:気象の不良等の自然環境、場の不良等の活動環境 など
→物的要因:施設、道具、服装の不備など 

■不安定な行為(人的要因)
→知らない:安全に対する理解・認識・知識など
→危険に対する感受性:原体験の不足などによる低下など
→やらない:知識・能力があってもやらない、規律に弛緩があるからやらない、教育指導が低調になっているためやらないなど

 不安定な状態や不安定な行為を可能な限り低減し、探鳥会活動における事故を防止するためには、探鳥会リーダーは次のような手段を講ずる必要がある。
・下見の実施
・戒告(注意喚起)の実行
・緊急連絡体制の整備(医療機関の把握、緊急連絡カードの作成等)
・保険への加入
・救急用品の準備・携帯
・救急法の習得
・参加者の的確な状況把握(人数確認、健康管理、弱者の把握、心の安全など)
・正しい探鳥スタイルの徹底(長袖、長ズボン、長靴、日除け帽子、リュックなど)
・安全対策費の積み立て
・事故事例による学習など

 特に、戒告(注意喚起)は探鳥会に出かける前や、フィールド到着時に、大きな声で明確に必要事項を伝える必要がある。
 例えば、出発前に自分(探鳥会リーダー)より前を進まないこと、スズメバチが飛んできたらどう対処するかなどを、効果的な手段で伝達することが肝要だ。
 各種の講ずべき対策についてもれなく行っていくためには、事前にチェックリストを作成しておき、チェックを行う手法が有効だ。このチェックリストは、二重のチェック欄を設けておき、イベントの終了後にもチェックを行い、総括や反省に活用するとともに、次回に生かすことが重要である。

 さらに、探鳥会リーダーは参加者の実態をよく把握し、ケースバイケースで適切な対処を行う必要がある。特に、子供が中心の探鳥会を実施する場合には、現代の子供たちの特性をよく把握しておく必要がある。
【現代の子供たちの特性】
不規則な生活習慣
・生活技術の低下
・異年齢集団体験の不足
・自然体験の不足
・体力・機敏性の低下 など
 〔具体的な事例〕
・転倒・転落・衝突による打撲・骨折・切り傷が多い
・体育館やグランドで走り回っているときの転倒が増加
・それ以外の転倒も増加
・顔面・頭部のケガが増加傾向 (キャンプファイヤーの火の粉が目に入ってやけどをしたなど)
・前に転倒した時に手をつけず鼻を骨折など
・包丁・ナタ等刃物による切り傷が多い(野外炊飯やハンドクラフト等で増加)

■万一事故が起こってしまったときの
責任と心得

 万全の対策を講じていても、事故は起こることがある。そのような場合の対処の仕方につい事前に整理しマニュアル化を行ったり、日ごろからイメージトレーニングしておくことなどが重要である。

【事故が発生した場合の対処】
@ 事故の拡大防止
A 安全確保
B 必要な救急措置
C 事故発生の通報連絡(警察、保険会社等)
D 事故者への付き添い、連絡、他の参加者対応等  
E 事故者への安心感、医療機関への速やかな搬送
F 一応の処置が終わったら、世話になった人々へのお礼のあいさつ
G いっさいの措置が終わったら、世話になった人等へ再報告を兼ねたお礼とあいさつ

なお、事故に対する指導者(探鳥会リーダー)の責任には、次のような3つの責任がある。
@対応する責任:道義的に誠意を持って対応すること
A説明する責任:被害者等に対してきちんとした説明をまっとうにすること
B法的責任:刑事責任や民事責任のような法に基づく責任

 また、これらの責任の中には、社会的責任と道義的責任があり、裁判の際などにその責任が問われることがある。

【社会的責任】
・「未必の故意」:よくない結果が事前に予想・予測できながら、あえてその行為を行ってしまった場合、刑事罰の対象となることがある
【道義的責任】
・「不測の事態」:リーダーの事故を予測できる判断能力、事故の際の対応の不十分によって、被害者側の心情的納得が問題となり、責任が問われることがある

■刑事事件と民事事件
 自然保護という社会的使命のもとに、善意に基づいた探鳥会活動を行っていて不測の事態を起こした場合、刑事事故としては免訴になるのが一般的であるが、実際に刑事事件として起訴されたこともあり、十分注意しておく必要がある。
 一方、ボランテア活動であっても、民事事件として告訴され処分を受ける事例は多い。悪意はなかったが危険への予測に欠け、注意を怠り、事故後の処置が十分でなく、死亡や大きな後遺症をもたらしたような場合、物心両面からの補填賠償として被害者側が応分な慰謝料を求めることは社会通念となっている。この場合、リーダーや主催者が多額の慰謝料を払うケースも少なくなく、経済的にも大きな負担となる。
 なお、慰謝料の額の確定に当たっては、主催者やリーダーだけが一方的に瑕疵が認められることは少なく、事故の被害者側にも一定の瑕疵が認められる場合が多い。この場合、「過失相殺」が認められ、その率が問題となる。
〔参考〕
民法第722条
「被害者に過失があるときは、裁判所は損害賠償の額を定めるにあたりこれを考慮することができる」

■事例から学ぶリスクマネジメント
 探鳥会活動など、ボランテア活動であっても、刑事責任や民事責任が問われることがあることは既に述べたとおりである。これまで行われた裁判事例から、多くの留意点を学ぶことができる。例えば、子供会ハイキングにおける事故事例の場合、次のような責任が問われている。

@ 下見不十分
A 注意伝達方法不適切
B 許可範囲不明確
C 監視体制不備

また、サッカー試合中の落雷事故事例からは、落雷に関する予見責任は、一般的な認識や知識を超えた、予想以上に厳しい責任が問われるおそれが高いことが分かる。
 このような事例をもとに、探鳥会リーダー等が事故の裁判の際に強くその責任を問われる注意義務を整理すれば、次のようになる。

@ 安全な場所の選定(危険個所のチェック)
A 下検分の義務
B 周到な用具の準備と計画
C 注意事項の徹底(戒告、注意喚起)
D 参加者の健康、体力、技術、能力の把握
E 現場の安全確認
F 気象などの状況把握と適切な対処
G 適切な指導監督
H 臨機応変な処理
I 万一に備えての救急態勢

 民事事件などに対処するためには、先に述べた注意義務を認識した上で、リスクマネジメントの対処原則に従って必要な対策を講ずる必要がある。とりわけ、賠償責任保険への加入などのリスク移転措置を講ずることが肝要だ。

■探鳥会リーダーと救急・救護
 探鳥会リーダーは、ぜひ日赤などが行っている救命救急法の講習を受けておくべきである。そのような研修の中で、熱中症に対する対処策などもしっかり学んでおいてほしい。
 また、野外に出かけるときには、次のような薬品や器具類を準備しておくとよい。
@薬品:消毒薬、温・湿布薬、目薬、軟膏、内服薬など
A器具:包帯、保護ガーゼ、脱脂綿、油紙、救急絆創膏など
Bナイフ、ハサミ、ピンセット、毛抜き、体温計、毒吸い出し器、危険生物に関するハンドブックなど


▲毒の吸い出し器(左)と危険生物に関する冊子(右)  毒液吸い出し器は、ハチに刺された場合などに有効だ。ぜひ常備を! 「危険生物」の冊子は、野鳥の会バードプラザで入手できる。

■その他参考事項
 事故が起きたときの責任については、一般的認識が必ずしも適用するとは限らない。その1例として、事故に対する責任に関するQ&Aついて紹介しておこう。

Q、探鳥会参加申込書に「事故に対する責任は参加者が負う」と明記された誓約書があれば、事故に対し法的に有効か?
A、安全に関し、参加者の意識を高揚させる効果はあるかもしれないが、法的には有効ではない。
Q、リーダーに過失があれば、それがたとえボランテアであっても責任を問われるか?
A、ボランテアであっても責任が問われる。リーダー等の責任が問われない場合は、不可抗力による事故、参加者の自己過失による事故、不可避的事故などに限定される。探鳥会リーダー等には注意義務があり、それを怠れば当然責任を追及される。したがって、予想される危険を見通す予見義務、危険を避ける危険回避義務などがあることを十分認識しておかねばならない。

*文中の写真は、支部ネット通信インターネット版のカラーで見ることができます。カラーで見る場合は、下記URLをご利用ください。

http://www.wbsj.org/info/shibu/net/2013/12.html#n3
(公益財団法人日本野鳥の会理事長/佐藤仁志)

事務局からのお知らせなど

保全プロジェクト推進室より

■カモ類の性比調査のお知らせ■


 冬の池や湖で見かけるカモの群れ。オスが多いと感じたことはありませんか? カモ類の性比には偏りが見られることがあり、海外の研究事例によれば、ホシハジロでは北に行くほどオスの割合が高くなるそうです。日本周辺では、また他の種ではどうなのでしょうか。

 そこで、NPO法人バードリサーチが日本国内と韓国・台湾・香港の関係者に呼び掛け、環境省のガンカモ類の生息調査(ガンカモ一斉調査)と同じ調査期間にカモ類の性比の情報収集を行います。同じ種が100羽以上いる湖沼であればどこでも調査地として選べるので、皆さんが普段から観察しているフィールドで雌雄別にカウントし、調査に参加してみてはいかがでしょうか。調査の際にはなるべく手間がかからないよう、多数のカモ類がいる湖沼ではそのうちの一部(たとえば100羽)をサンプル調査するだけでも大丈夫です。

 調査結果はガンカモ類が越冬中の2月中に速報として取りまとめられますので、探鳥会での解説や施設の展示にも活用できます。ぜひ、ご参加ください。

【参加の方法】
●調査期間:2014年1月12日(日)を中心とした1月5日(日)から19日(日)の2週間。環境省が実施するガンカモ類の生息調査(ガンカモ一斉調査)と同時期です。
●調査内容:同じ種のカモが100羽以上いる湖沼を調査地に選んで下さい。参考のため100羽未満のカモ類の雌雄別個体数も記録して下さい。数が多い場合はサンプル調査で構いませんが、およその全数(百〜千単位)も記録して下さい。もともと個体数の少ない個体数が少ないオシドリ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ハシビロガモ、アイサ類がいれば、100羽に満たない数でも調査地になります。
●報告方法:調査日時、調査地名と位置(住所か緯度経度)、種名、雌雄それぞれの
個体数を
[email protected]
までお送りください。
●結果報告:2月に速報をお送りし、その後、最終の分析結果と全地点のデータをお送りします。データの非公開を希望される場合はお知らせ下さい。

調査内容や報告の仕方について、詳しくは
http://www.bird-research.jp/1/kamo
をご覧ください。

(保全プロジェクト推進室/田尻浩伸)

総務室より


■支部名称等変更のお知らせ■

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。
今月は支部名称等の変更はありません。

(総務室)

会員室より

■会員数■

 12月2日会員数37,312人(対前月-145)会員数は先月に比べ145人減少しました。11月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より97人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。11月の入会者数は108人で、前年同月の入会者98に比べ10人増加しました。また、11月の退会者は205人で、前年同月の退会者236人に比べ31人減少しました。

表1. 11月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(12月2日時点)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。今月からは転居先不明の会員も会員数に含めています。

表3.支部別の会員数(12月2日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

カレンダーも最後の一枚となり、何かと気ぜわしいこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
 さて、今回の探鳥会におけるリスクマネージメントのテーマは探鳥会とリスクマネジメントです。探鳥会で事故のないような対応と、仮に事故が起こってしまった場合の適切な対処法などが紹介されています。
寒い日が続きますが、お体にお気を付けてお過ごしください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。


支部ネット通信 第117号
◆発行
日本野鳥の会 2013年12月24日
◆担当
総務室 総務グループ 奥田秋穂/植月智子
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]