野鳥保護と国際協力
国境を越える野鳥たち
 人間が作った国境をいともたやすく飛び越えてしまう野鳥たち。日本で記録のある野鳥の半数以上が渡り鳥です。

 春から夏にかけて、日本で繁殖するために東南アジアや南アジアの国々からやって来るのが夏鳥です。夏鳥たちは、日本で子育てを終えると暖かい南の国へ冬越しのために再び渡っていきます。
夏鳥の渡り



 秋から冬にかけて、日本で冬越しをするためにシベリアや中国東北部からやって来るのが冬鳥です。冬鳥たちは、日本で冬越しを終えると広大な北の国へ繁殖のために再び渡っていきます。
冬鳥の渡り



 シベリアや中国東北部などで繁殖した鳥たちの中には、東南アジアや南アジアの国々で冬越しをするものもいます。彼らは渡りの途中、休憩をしたりエネルギー補給をするために日本に立ち寄ります。春と渡りの時期に、一時的に日本に立ち寄る鳥たちを旅鳥と呼びます。
旅鳥の渡り


 では、どうして野鳥を守るために国際協力が必要なのでしょうか?
 それは、野鳥たちの生活を守るためには、子育てをする場所、冬越しをする場所、渡りの途中に羽を休めエネルギー補給のために立ち寄る場所で一体となった保全活動をする必要があるからです。どんなに日本国内で野鳥たちの生息地を守っても、渡っていく国々の環境が壊されると彼らはたちまち生活ができなくなってしまいます。日本の野鳥を守るためには、アジアをはじめとする国々との協力が欠かせません。




日本野鳥の会とアジアの自然保護
 日本野鳥の会では野鳥を守るために、アジアの国々との自然保護協力を積極的に進めています。私たちは次の図のような流れで、レッドデータブックや野鳥からみた重要生息地の情報に基づいて、アジアで守るべき種や環境を選び出し、各種調査や保護区の設立、保護活動を担う人材の育成を行っています。
アジアの自然保護の流れ


 もちろん日本野鳥の会だけでは、日本やアジアの野鳥そして彼らがすむ自然を守ることはできません。私たちは、会員やボランティアの皆さま、市民や行政、企業、そして各国のバードライフパートナーと力を合わせて自然保護に取り組んでいます。
国際協力の枠組み