ナベヅル・マナヅルの現状は?
 
 日本で越冬するナベヅル・マナヅルは,20世紀はじめまでは日本全国で越冬していました.しかし,現在は,マナヅルは鹿児島県出水周辺のみ,ナベヅルは出水(いずみ)地方と山口県周南市(旧 熊毛町八代:やしろ)でのみ越冬しています.他は数家族が不定期に越冬する程度です.世界全体を見ても,ナベヅルは8〜9割が,マナヅルは5割前後が出水周辺で越冬するまでに集中化が進んでいます.
 
 20世紀に入り,生息地の湿地の開発や狩猟によりツル類は急激に減少しました.そのころから出水と周南市八代では,地域の人々がツル類を保護し,給餌,ねぐらの整備などが行なわれてきました.そして,地理・地形的要因もあって,多くのツル類が出水に集まってくるようになりました.現在,日本ではツル類の狩猟は行なわれていませんが,水田の乾田化や干潟の減少などでツル類がねぐらをとれるような浅水域がなく,ツル類の越冬地は出水から広がらない状況にあります.

 このように,多くのツル類が出水に集中しているのは,出水におけるの保護活動の成果なのですが,この集中化により伝染病発生時に大量死が起きる危険や農業被害の大規模化といった新たな問題も生じてきています.その解消のためにはツルが各地で分散して越冬していた昔の状態に戻すことが必要なのです.

  ナベヅル・マナヅルの越冬地の分布