石田朗・松沢友紀・亀田佳代子・成末雅恵. 2000. 日本におけるカワウの増加と被害 −地域別・問題別の概況と今後の課題−. Strix 18: 1-27.
原著論文
平野敏明・君島昌夫・小堀政一郎・手塚功. 2000. 栃木県におけるカワウの生息状況. Strix 18: 29-43.
平井正志・橋本富三・西村泉・坂口守・大西幸枝・中村洋子・橋本祐子・秋田由美子. 2000. 三重県中部の自然海岸におけるシロチドリの繁殖. Strix 18: 45-53.
山本浩伸・大畑孝二. 2000. 石川県片野鴨池におけるトモエガモの個体数変動と採食場所への飛び立ち行動. Strix 18: 55-63.
植田睦之. 2000. カササギがオオワシの巣の周囲に営巣する頻度の地域差. Strix 18: 65-69.
黒沢令子・成末雅恵・川内博・鈴木君子. 2000. 東京におけるハシブトガラスと生ゴミの関係. Strix 18: 71-78.
柳川久・澁谷辰生. 2000. 北海道十勝地方の2つの小学校における鳥類のガラス衝突死.
Strix 18: 79-87.
佐藤重穂・黒岩哲夫. 2000. 森林性鳥類の生息種・密度調査におけるロードサイド・テリトリーマッピング法の有効性. Strix 18: 89-98.
短報
山本兆司. 2000. 鹿児島県甑島列島下甑島におけるハチクマの渡り. Strix 18: 99-103.
嶋田哲郎. 2000. 伊豆沼・内沼周辺における標識マガンの動向. Strix 18: 105-109.
穴田哲・多奈田功. 2000. イカルとシメによるモウソウチク虫えい内のハチ類の採食. Strix 18: 111-114.
長井晃. 2000. 育雛期のシジュウカラのなわばり外での採食頻度. Strix 18: 115-119.
小林繁樹. 2000. 山口県平生町で記録したサギ類3種の地上営巣例. Strix 18: 121-126.
筒渕美幸・澁谷辰生. 2000. 北海道内陸部におけるシロエリオオハムの記録 Strix 18: 127-130.
黒沢令子. 2000. ハシブトガラスがなわばり空白域に定着する過程の観察. Strix 18: 131-135.
平野敏明. 2000. ハンガーを巣材に使用したツミ. Strix 18: 137-139.
佐藤雅史. 2000. コシアカツバメの秋期のねぐら. Strix 18: 141-143.
関伸一. 2000. 九州におけるシジュウカラの3回繁殖の記録. Strix 18: 145-148.
樋口孝城・広川淳子・新城久. 2000. 北海道におけるカワウの群れの初記録. Strix 18: 149-152.
福田佳弘. 2000. 知床半島におけるウミネコの繁殖について. Strix 18: 153-156.
林英子. 2000. 東京港野鳥公園におけるコキアシシギの記録. Strix 18: 157-159.
多々良成紀. 2000. 高知県内で保護されたカワリシロハラミズナギドリ(淡色型). Strix 18: 161-164.
雑録
福田道雄. 2000. 日本のカワウに関する文献資料. Strix 18: 165-177. |
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| 石田朗・松沢友紀・亀田佳代子・成末雅恵. 2000. 日本におけるカワウの増加と被害
−地域別・問題別の概況と今後の課題−. Strix 18: 1-27. |
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関東,東海,関西の3地方におけるカワウの個体数増加や分布の拡大をまとめ,各地での漁業被害や森林被害について触れるとともに,その対応や有害鳥獣駆除などの実態を概括し,海外の事例なども参考にしながら今後の課題についてまとめた.
どの地方においても,カワウは1970年頃には非常に数の少ない鳥であったが,80年代以降,特に90年代に入ってから急激に個体数の増加がみられている.それと共に,関東地方や東海地方を中心に集団繁殖地の数も増加傾向にある.これらの動きに伴い,各地方において漁業被害や森林被害が生じてきている.
漁業被害については,漁業関係者に対して行なったアンケート調査で,37都府県でカワウの生息が確認されたが,その多くで食害が起こっていると報告された.食害を受ける魚種はアユ,フナ類,コイ,ウグイ,オイカワなど遊漁業で放流される魚種であり,その被害発生時期は3月から5月にかけて多いとする回答が多かった.一方,ほとんどの都府県で漁業被害の評価や測定をしておらず,具体的な対策もあまり行なわれていなかった.しかし,漁業関係者らは食害を減らす対策として有害鳥獣駆除を強く望んでいた.海外では,遊漁魚種や養魚場での食害などが報告されているものの,漁業資源の減少についてはそれぞれについて科学的な調査が行なわれており,その結果に基づいた被害防除の対策が講じられている.
森林被害については,東京都浜離宮庭園や滋賀県琵琶湖の竹生島などの史跡名勝に指定された場所や都市公園など,人目につく場所で被害がおこっている.森林被害の内容は,カワウの糞や枝折りによって,景観や材としての価値が損なわれたり,悪臭の原因となることなどである.このような被害の対応として,カワウの追い出しなどの対策が成功する場合もあるが,多くの場所ではカワウは定住する期間が長いほど,その場所に執着するために追い出しは困難を極めている.またたとえ追い出しに成功しても,追い出された個体が移住した先で,別の森林被害が起こる可能性がある.したがって,カワウの森林被害の対策としては,ある程度の面積やカワウによる撹乱を受けにくい,しかも社会的にも許容できる安定した営巣地をまず確保することである.このような受け皿を用意した上で,追い出しを行ない,もし分散したカワウが新たにねぐらや営巣を開始した場合には,初期の段階であれば追い出すことが可能と考えられる.一方,カワウによる樹木の衰弱や枯死を容認する場合には,樹木が衰弱する要因をとり払うような工夫,たとえば散水による糞の除去や土壌の改良,カワウの活動に強い樹種の植栽などの方策が考えられる.
アメリカでは,野生動物の調査と管理を包括的に行なう国家レベルの機関があるが,日本においては,このような広域的な調査と管理を行なう機関がない.当面行政が研究者や漁業関係者,NGOなどの関係者らとともに,被害評価や被害防除の対策,カワウの管理目標などを検討していくことが課題と考えられた. |
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| 平野敏明・君島昌夫・小堀政一郎・手塚功. 2000. 栃木県におけるカワウの生息状況.
Strix 18: 29-43. |
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筆者らは,1997年1月から1999年7月にかけて栃木県におけるカワウの生息状況を現地調査と聞き取り調査によって実施した.栃木県ではカワウの生息数は,鬼怒川や思川,渡良瀬遊水地などの県中央部から南部にかけての河川やその周辺地域に多く,北部では著しく少なかった.カワウは1年を通して生息していたが,12月から翌3月にかけて個体数は著しく増加した.現在のところカワウの繁殖記録はまったく得られていない.冬期の昼間の生息個体数の平均は,1996年には670羽,1997年には1066.5羽,1998年には1313.7羽であった.ねぐらは合計5か所で観察され,貯水池の船の上や川沿いの小さな林,大きな河川のそばの鉄塔の上が利用された.就塒個体数は,11月から翌3月にかけて増加し,4〜9月の間は減少した.1999年1月には3か所で最高1310羽が就塒した.昼間の生息個体数,就塒個体数とも1997年冬期以降急激に増加した.1997年以降の増加は,栃木県の近くのねぐらで追い出しを行なったためと考えられた.栃木県におけるカワウの生息分布は,那珂川など県北部の地域へ今後さらに広がることが予想された. |
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| 平井正志・橋本富三・西村泉・坂口守・大西幸枝・中村洋子・橋本祐子・秋田由美子.
2000. 三重県中部の自然海岸におけるシロチドリの繁殖. Strix 18: 45-53. |
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三重県安芸郡河芸町から津市にかけての自然海岸4.13qにおいて1996年から1998年までの3年間シロチドリの繁殖を調査した.海岸線を9区に分け,4月初めから7月末の各週末に調査した.調査地は一部にマツの植林があるもののほとんどが自然の砂浜海岸であった.シロチドリの営巣は調査地全域で発見された.巣のほとんどが砂の裸地でみられたが,一部は植生のある場所で発見された.巣は4月初めから7月末までみられ,ふ化のピークは5月中旬から6月中旬であった.
1997年および1998年の4月から5月の平均成鳥数はそれぞれ42.3羽および39.0羽であり,約20つがいの生息が推定された.観察された営巣数は年により変化し,21から48巣であった.観察した巣の中で,ふ化に至ったものは9.1〜23.8%であった.この率はコアジサシのコロニーで観察されたふ化率と較べて,極めて低かった.1996,1997および1998年に観察されたふ化ヒナ数はそれぞれ21,22および14羽であり,年による変動は小さかった.推定されたつがいあたりの観察ヒナ数は1997年および1998年でそれぞれ1.04羽および0.72羽であった.おもな繁殖阻害要因は飼い犬の散歩を含めた人のレジャー活動と犬やカラス類 Corvus spp. による卵やヒナの捕食であろうと推定された. |
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| 山本浩伸・大畑孝二. 2000. 石川県片野鴨池におけるトモエガモの個体数変動と採食場所への飛び立ち行動.
Strix 18: 55-63. . |
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1.1998年11月10日から1999年3月2日にかけて,石川県南部の片野鴨池において,トモエガモの個体数変動と採食場所に向かう飛び立ち行動についての調査を行なった.
2.トモエガモは,1998年11月2日から1999年3月6日まで観察され,1999年1月5日には最大個体数793羽が記録された.平均個体数は135.7±171.8(SD)羽であった.
3.トモエガモは,日没後に採食場所に向かって飛び立っていた.飛び立ち時刻と日没時刻の差は33.5±7.2分であった.飛び立ち時刻と日没時刻のあいだには,有意な回帰式が得られた.
4.トモエガモは,照度が0lxから0.9lxの範囲にあるときに多く飛び立っていた.
5.トモエガモの飛び立つ方向は,北東方向が多かったが,南の場合もあった.北東に飛び立った場合には加賀市柴山潟干拓地の水田地帯,南に飛び立った場合には加賀市下福田町の水田で採食していたと考えられた. |
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| 植田睦之. 2000. カササギがオオワシの巣の周囲に営巣する頻度の地域差. Strix
18: 65-69. |
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カムチャツカにおいて,オオワシの巣の周囲でカササギが営巣する頻度の地域差を1999年5月20日〜28日,7月30日〜8月5日の2回調査を行なった.
カムチャツカの東海岸で15巣の,西海岸で68巣の使用中のオオワシの巣を確認し,東海岸では86.6%と高い頻度でオオワシの巣の周囲でカササギの巣が確認されたのに対し,西海岸では6.8%と有意に少なかった.ヘリコプター上から確認できたカラス類の羽数は,東海岸では30分あたり14.00±13.55羽,西海岸では0.30±0.47羽と東海岸のほうが有意に多かった.
捕食者であるカラスの多い東海岸ではカササギはオオワシの巣の周囲で繁殖することによりカラスによる雛や卵の捕食を避け,カラスの少ない西海岸ではあまりそのような行動がみられないのだと考えられた. |
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| 黒沢令子・成末雅恵・川内博・鈴木君子. 2000. 東京におけるハシブトガラスと生ゴミの関係.
Strix 18: 71-78. |
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1999年5月,ハシブトガラスの繁殖期に,ルートセンサスを行ない,東京のハシブトガラスの密度と,生ゴミの集積所の数を調べた.ハシブトガラスの密度が高かったのは,ゴミ集積所の数が多く,しかもポリ袋などで出された手に入れやすいゴミが多い『繁華街』だった.こうした地域から出るゴミの中の豊富な残飯や生ゴミが,ハシブトガラスが集まる要因になっていると考えられる.また東京には,様々な規模の緑地を擁する公園があり,蓋のないゴミ箱があるので,食べ物を得やすい繁殖環境を提供していると思われた.
ハシブトガラスによるゴミの食い荒らしを防ぐためには,生ゴミの管理を徹底していくことが必要と思われ,現在行われているゴミ集積所の方式の中では,覆いのある容器に入れてしっかり蓋を閉じておくことと,袋の上からネットなどをかけて完全におおっておくことに効果があることが示唆された.今後,さらに根本的な解決法として,捨てる生ゴミや残飯の量を減らす方式を探る必要があると思われる. |
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| 柳川久・澁谷辰生. 2000. 北海道十勝地方の2つの小学校における鳥類のガラス衝突死.
Strix 18: 79-87. |
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1.北海道十勝管内の2か所の小学校で,建物の周辺環境(植生や人工建造物),鳥類相と衝突死する鳥類の個体数の関係を調べるため,1994年6月から12月まで調査を行なった.調査を行なった新得町立屈足小学校と佐幌小学校はガラスを多用した同型の体育館を有していた.
2.ラインセンサスの結果,屈足小学校では25種498個体,佐幌小学校では25種516個体の鳥類が観察された.屈足小学校では,スズメが最も多く(178個体. 2000. 35.7%),次いでコムクドリ(58個体. 2000. 11.6%),アオジ(53個体. 2000. 10.6%),ハクセキレイ(50個体. 2000. 10.0%)が多かった.佐幌小学校ではスズメ(152個体. 2000. 29.5%)が最も多く,次いでシメ(78個体. 2000. 15.1%)が多かった.
3.佐幌小学校では10種26個体のガラス衝突した鳥類が拾得されたが,屈足小学校では1個体のみであった.衝突死が最も多い鳥類はシメで11個体(40.7%)であった.死亡した鳥類はほとんど(85.2%)が幼鳥であった.
4.佐幌小学校の周辺では,巣立ちしたシメの幼鳥の群れが採食するのがしばしば観察された.また,佐幌小学校にはスズメ類やムクドリ類のための巣箱も架設されており,ホオジロ類が好むやぶ地も備わっていた.
5.両校間の衝突死個体数の差は,特にシメなどの建物周辺で繁殖,採餌する鳥類の個体数の違いに起因すると思われた. |
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| 佐藤重穂・黒岩哲夫. 2000. 森林性鳥類の生息種・密度調査におけるロードサイド・テリトリーマッピング法の有効性.
Strix 18: 89-98. |
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森林性鳥類のモニタリング法として,日本野鳥の会で採用されているロードサイド・テリトリーマッピング法について,その有効性を検討した.高知県の暖温帯二次林において,1998年の繁殖期に,この方法による調査を10回くり返して行なった.累積出現種数は,タカ類や夜行性種のような低頻度出現種を除くと5回の調査で飽和した.全種のなわばり区分数の増加速度は調査回数が増えるとともに低下し,4回目で10%以下,7回目で5%以下になった.主要な構成種の比率は3回目の調査まででほぼ安定した.したがって,調査のくり返しは5回ないし6回で主要な構成種とその構成比率がほぼ把握できたが,確認できるなわばり数は全体の約85%だった.種ごとのなわばり間距離からなわばり密度を推定し,この方法で得られたなわばり数と比較したところ,有意な相関があった.調査にかかる労力と得られる情報量を考慮すると,ロードサイド・テリトリーマッピング法は繁殖期の森林性鳥類のモニタリング法として適した方法であると考えられる |