財団法人 日本野鳥の会
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当会の活動

保全のための調査・研究

鳥の生息環境モニタリング調査



モニタリング調査全体のねらい

 日本の森林や水辺は、この10年あるいは20年のあいだでどう変化してきたでしょうか?シギやチドリのくる干潟や河原がなくなったという声があちこちから聞こえてきます。バードウォッチャーなら肌で感じる生息状況の変化ですが、具体的な資料を示そうとしても不十分なものしかありません。自然破壊が急速に進んでいる現在、鳥とかれらのすむ環境を保護するために、鳥の生息状況と環境の変化を資料としてきちんと集めていく必要性は、ますます高くなってきています。
鳥の生息環境モニタリング調査(以下、モニタリング調査とします)は、全国各地の鳥の生息環境として重要な地域で、鳥の生息状況と生息環境を定期的に監視(モニタリング)していくためのものです。私たちは、このモニタリング調査を、次のようなねらいのもとに、実施したいと考えています。

  • 鳥の生息状況と生息環境の変化をあきらかにする
  • 日本全国の重要な自然環境で、どのような鳥がどれくらい生息しているのか、また、その数や生息環境がどう変化しているのかをあきらかにします。
  • 環境の変化が鳥におよぼす影響をあきらかにする
  • 開発などによる生息環境の変化が、鳥にどのような影響をあたえるのかを、科学的な資料にもとづいて具体的に予測できるようにします。
  • 開発規制の指針をつくる
  • モニタリング調査によってあきらかにされた事実を、日本各地で進む開発を規制する環境保全対策案の指針づくりに生かします。
環境をしらべるのがポイント!

 モニタリング調査の特徴は、鳥の調査だけではなく、その生息環境の調査を行なうことです。たとえば、ある干潟が埋め立てられ、そこに見られた鳥が、急に減ったとします。しかし、この時に鳥の数だけしか調べられておらず、いつ干拓や埋め立てが行なわれて干潟の面積や質がどのように変化したのかがわからなければ、埋め立ての影響を明らかにすることはできません。
モニタリング調査では、5年を1つのサイクルとして、日本の代表的な鳥の生息環境である「森林と草原」、「干潟や河原」、「湖沼や河川」とに分けてしらべます。

モニタリング調査ガイド

私たちバードウォッチャーは、鳥たちと、鳥たちがすむ自然をみつめつづけてきました。そして、鳥たちや自然の危機にいち早く気がつき、守るために立上がってきました。この時にもっとも強い力となるのが、自然がどのように変わってきたのか、それにつれて鳥たちの数がどのように変わったのかを実際に見せることができる、具体的なデータです。これは、私たちが感じた危機を広く人に伝えるためにも、自然を保護するための対策を提案するためにも、欠くことのできないものです。 モニタリング調査は、私たちが未来に引き継いでいきたいと思う大切な日本の自然を見守りながら、保護のための基礎となるデータを集めてゆくものです。ぜひみなさんも自然の見はり役(モニター)となってください。

探鳥会記録などのデータベース化事業



バードウオッチングを記録しませんか


 全国的な野鳥の分布や数の変化は、鳥の生息環境モニタリングや鳥類繁殖分布調査(環境省)などで調べられていますが、鳥たちの現状を明らかにするためには、さらに多くの情報を集めていく必要があります。
各地で行われている探鳥会の記録は、このような全国の野鳥の状況を調べるための貴重な情報源ですが、これまで記録を集約する仕組みがなかったため、それらを研究・保護活動のために十分活用するには至っておりませんでした。
そこで2005年10月から、(財)日本野鳥の会、NPO法人バードリサーチ東京大学樋口研究室が共同で、探鳥会記録のような日常的に観察されている野鳥記録をデータベース化し、全国の野鳥の状態を解明するための仕組みをスタートさせました。日本野鳥の会では、この仕組みを使って、まずは探鳥会記録をデータベース化することを目標にしていますが、それ以外のバードウオッチングの記録をデータベース化することもできます。
探鳥会データから、どのようなことがわかるのでしょうか。例えば、グラフ1は東京大学の樋口広芳教授が日本野鳥の会の支部報に掲載されている探鳥会記録の一部をデータベース化して調べた夏鳥の種数の変化についてのグラフです。留鳥の種類には大きな変化がない3カ所の探鳥地で夏鳥の種数だけが減少傾向にあるため、越冬地の熱帯林が破壊されていることが夏鳥減少につながっている可能性が指摘されています(※)。また表1は東京支部の定例探鳥会記録をデータベース化して、高尾山での鳥の出現記録を細かく調べたものです。この表によると、ブッポウソウは1980年代前半で消滅し、そしてガビチョウが1998年から現れ始めたことがはっきり分かります。このように定例で行われている探鳥会の記録は地域のモニタリングとして重要ですし、またまた定期的に行なわれていない場所についても、その場所の鳥類相を知る上で貴重な情報です。
専門的な調査でなくとも、楽しみで行く探鳥会やバードウォッチングの記録を残しおくだけでも日本の鳥たちの現状を知るために、そしてその変化をみていくために大いに貢献することができます。私たちを楽しませてくれている鳥たちのためにもぜバードウオッチング記録のデータベース化にご協力ください。
(※)樋口広芳ほか・1999・夏鳥の減少実態研究報告.東京大学渡り鳥研究グループ・東京

参加のメリット

野鳥観察の記録をデータベース化することは、日本の野鳥の現状を調べるために重要であるだけでなく、データベース化事業に参加していただく皆様のデータ整理にもお役立ていただけます。データベースを使えば過去の観察記録を簡単に検索できるほか、観察場所や観察期間ごとに種のリストを作成したり、分布図を作成したりすることができます。
データベース化には、マークシートを使う方法(PDF 300KB)とWindows用のデータベースを使う方法があります。マークシートを使う方法でば、探鳥会で鳥合わせをするときに種名を塗りつぶすだけでデータベースを作ることができるのでとても簡単です。またコンピュータを使う方法は探鳥会以外の観察記録を蓄積するためにも役立てることができます。後者について詳しくは、野鳥データベースプロジェクトのホームページをご覧下さい。

野鳥データベースプロジェクトのホームページはこちら


参加方法


日本野鳥の会支部の方

探鳥会データベース化事業のご案内を2005年10月に支部事務局へお送りしていますので、そこに同封されている参加申込用紙をお使い下さい。または、自然保護室の野鳥データベースプロジェクト担当者までご連絡下さい。

その他の方

野鳥データベースプロジェクトは、日本野鳥の会会員であるかどうかにかかわらず参加していただけます。支部主催以外の探鳥会記録のデータベース化や、個人のバードウオッチング記録をデータベース化にご関心のある方は、 野鳥データベースプロジェクトのホームページからお申し込み下さい。
なお上記ホームページではWindows用のデータベースソフトを使用する方法だけを説明していますのが、マークシートをご希望の方はNPO法人バードリサーチへお問い合わせ下さい。

図1 探鳥会データベース化事業の概念図
探鳥会データベース化事業の概念図
グラフ1 探鳥会で分かった種数の変化
グラフ1 探鳥会で分かった種数の変化
図1 探鳥会データベース化事業の概念図
▲クリックすると大きな図をご覧いただけます。
 
表1 東京支部の高尾山探鳥会記録に見る種の消長
東京支部の高尾山探鳥会記録に見るブッポウソウの消長 東京支部の高尾山探鳥会記録に見るガビチョウの消長
東京都高尾山探鳥会でブッポウソウが
観察された月(●)と されなか った月(○)。
1980年代で高尾山から消滅したのがわかる。
東京都高尾山探鳥会でガビチョウが
観察された月(●) とされなかった月(○)。
1990年代後半に定着したのがわかる。
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