No.44 2007年11月号


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目次 ■フィールドマナー・アンケート
 「フィールドマナーについてのアンケート」実施結果
■支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■事務局からのお知らせなど
 「柳生会長と北海道の自然を楽しむ旅」
 とき野生復帰日中国際シンポジウム開催
 「支部報とりまとめ発送」次回日程の変更
 「白いファンタジア」上映にご協力下さい!
 会費等受取り口座の切り替えをお願いします
 07年度上半期のサポーターは3千6百人
 会員数 前月比で82人減

フィールドマナー・アンケート

■「フィールドマナーについてのアンケート」実施結果■

 各支部で積極的な活動を進められる中で、さまざまな課題に取り組まれていることと存じます。そうした中でもフィールドマナーの問題、課題について多くの声が聞かれます。そこで、実際に活動されている皆様の現況、ご意見をふまえ、フィールドマナーの内容や効果的な普及方法について検討をしてまいりたいと考え、アンケートを2007年9月に実施いたしました。その集計結果をお知らせいたします。

●アンケートを送っていただいた支部

 ご回答いただいた支部は89支部中36支部(38件※)で回収率は40.44%でした。ご協力いただいた支部の皆様、ありがとうございました(※道南檜山支部から3名の方にご返送いただいたため、それぞれ1件ずつとカウントいたしました)。
 オホーツク支部、旭川支部、滝川支部、札幌支部、函館支部、道南檜山支部、弘前支部、
 山形県支部、宮城県支部、いわき支部、茨城支部、埼玉県支部、千葉県支部、東京支部、
 神奈川支部、長野支部、伊那支部、甲府支部、遠江支部、愛知県支部、岐阜県支部、
 三重県支部、奈良支部、滋賀支部、京都支部、鳥取県支部、広島県支部、香川県支部、
 徳島県支部、高知支部、愛媛県支部、北九州支部、筑豊支部、大分県支部、宮崎県支部、
 鹿児島県支部
 (2007年10月末現在)

●結果の概要

【設問1】支部での具体的な問題・対応事例についておうかがいします
<設問1-1>貴支部の活動エリアにおいて、フィールドマナーに関する問題はありますか?

 36支部のうち「問題がある」が29支部、「問題はない」が7支部で、ご回答いただいた支部の8割は、活動地域で何らかの問題を抱えていることがわかりました(グラフ1-1)。
 支部全体でみると、「未回答(不明)」が53支部(59.6%)、「問題がある」が29支部(32.6%)、「問題はない」が7支部(7.9%)でした(グラフ1-2)。

グラフ1−1 フィールドマナーに関する問題の有無
グラフ1−2 フィールドマナーに関する問題の有無

<設問1-2>1-1で①あるとお答えの場合、その深刻さはどの程度でしょうか?

 「問題がある」と回答があったのは29支部(31件)でした。このうち「深刻」「きわめて深刻」の合計は19件で、全体の6割を占めました。「あまり深刻ではない」「深刻ではない」の合計は11件で、「事例はひとつではない〜(中略)〜様々あり答えられない」という回答が1件ありました(グラフ2)。

グラフ2 フィールドマナーに関する問題の深刻さ

<設問1-3>1-1で①あるとお答えの場合、マナーに問題があるのは会員の方でしょうか?
      非会員の方でしょうか?

 「不明」または「様々あり答えられない」という回答が5件ありました。「ほぼ全員が会員」という回答は1件もありませんでした(グラフ3)。

グラフ3 フィールドマナーに問題があるのは会員か、非会員か

<設問1-4>貴支部の活動エリアでおこっているフィールドマナーに関する問題について、より深刻である・重要度が高いとお考えの順に1〜10の番号をご記入ください
 ①一箇所に多人数が集中することによる問題
 ②採集に関する問題
 ③大声やおしゃべり・騒音に関する問題
 ④車・不法駐車に関する問題
 ⑤踏み荒らしに関する問題
 ⑥撮影に関する問題
 ⑦給餌に関する問題
 ⑧ゴミ投棄に関する問題
 ⑨繁殖に影響を与える行為に関する問題
 ⑩その他※
 ※⑩について、どのような問題ですか?

 優先順位1位の問題には10点を、2位には9点を、以下8点、7点・・・と加算してポイント集計したところ、高い順に「撮影に関する問題」、「繁殖に影響を与える行為に関する問題」、「一箇所に多人数が集中することによる問題」となりました。
 「⑩その他」については、地域住民とのトラブル、植物園など公用地で禁止されているペット問題や捕虫網持込などがあげられました。
 「支部ではどの問題も起きており、場所ごとに状況が異なるため、順番は一概には決められない」とのご指摘もいただきました(グラフ4)。

グラフ4 深刻な問題・重要度が高い問題は?

<設問1-5>フィールドマナーについて、貴支部として対応に苦慮された具体的な事例(成功事例・失敗事例)がありましたら、代表的なものを別紙記入表にてご紹介ください(3年以内のもの、2件まで、うち1件はできるだけ撮影に関する事例をお願いいたします)

 25支部から32件の事例をお寄せいただきました。対象となる種の記載では、猛禽類が6件と最も多く、次いでアカショウビンが5件、フクロウ類が4件、ブッポウソウ・サンコウチョウが2件、カラ類・カケス・クマゲラ・オオヨシキリ・ハクチョウ類・シロハラクイナ・カワセミ・レンカク・シギ類・オジロビタキ・ヤイロチョウ・コウノトリ・コウライアイサが各1件でした。
 今後フィールドマナーの効果的な普及方法を検討する中で、これらの事例を活用させていただきます。

【設問2】支部でのフィールドマナーの普及活動についておうかがいします
<設問2-1>貴支部でのフィールドマナーの普及活動は十分だと思いますか?

 「まあまあよくできている」「とてもよくできている」の合計が23件で、全体の6割を占めました。その一方で、「全くできていない」「あまり十分とはいえない」は合計15件で、全体の4割を占めました(グラフ5)。

グラフ5 支部のフィールドマナーの普及活動は十分だと思いますか?

その理由をお書きください

(1)全くできていない
 「支部会報での普及を予定しているが、まだ実施できていない」「探鳥会以外では特に行っていない」との記述がありました。探鳥会などで心構えを話してはいるが、程度・内容については支部内で統一されていない、という支部もありました。
(2)あまり十分とはいえない
 支部会員むけに啓発はできるが、会員以外には伝わりにくいという内容の記述が多くみられました。

  • 会員には探鳥会・支部報などを通じてある程度伝えることができるが、非会員には一切伝わらない。「フィールドマナーをうるさく言われるから入会しない」という非会員も多く、それらの行動が、逆に初心者の会員に悪影響を与える場合もある。
  • マナーの解釈は一通りではなく、立場や状況によって様々な解釈・判断がある。財団として基本的な姿勢を示すことは可能と思われるが、明確な基準を示しての呼びかけそのものが難しく、比較的抽象的な表現をせざるをえないことが、常に問題。

(3)まあまあよくできている
 探鳥会や学校等で開催する愛鳥教育の際に説明を行うという支部が最も多く、その他に支部報・ホームページでよびかけているという事例が多く寄せられました。問題が顕在化した時、支部報へ公開しているという支部もありました。

  • 探鳥会をはじめる前に参加者全員に「探鳥のしおり」を配布し、最初の項目に<ヤサシイキモチ>を復唱している。なお、探鳥中の私語は原則として慎むよう指導している。

(4)とてもよくできている

  • 見つけたら、他の参加者にはわからないようにして、必ずその場で本人に伝える(後でマナー違反を伝えることは絶対にしない)。

<設問2-2>支部が実施するフィールドマナーの普及方法について、アイデアがありましたらご紹介ください(デジカメ等の急速な普及も影響してか、昨今、撮影に関するマナーの問題が多く聞かれるようになっております。特に、撮影地(現場)で、マナー遵守をよびかける方法について、効果的なアイデアがありましたらご紹介ください)

 「対応に困っている」「検討はしているが、効果的な対策はでていない」「会員以外への働きかけが難しい」というご意見が多数みられました。
(1)撮影地(現地)でマナーを呼びかける方法・内容
 「常に呼びかけるしかない」「カメラマン等に直接チラシで呼びかける」というご意見が寄せられました。「各人でばらばらなフィールドマナーの説明について、どのように説明をするか、支部内で内容を統一し、どの探鳥会でも同じような対応をすべきだと思います」というご意見がある一方で、「撮影に関するマナーも、時と場合により基準は様々。どんな場合にも効果が期待できるような妙案は見当たりません」というご意見もありました。
 現地での具体的な対応例として、下記のような記載がありました。
・サンコウチョウ繁殖の時、互いに進入限度ラインを作り守りあったことがある
・珍鳥が出た際、交通誘導を行ったことがある
(2)写真の取り扱い
 「巣の写真などを評価しない」「作品評価の観点として、被写体の表情(警戒しているか、撮影者を意識しているか)を綿密にチェックしてアドバイスにつなげている」という事例が寄せられました。
(3)マスコミへの働きかけ
 「マスメディアでの取り扱い(新聞の写真入り、地図入り)に注意を促す必要を感じている。取り上げられ方によっては、人を呼び寄せる結果になってしまう」「マナーの遵守について、新聞、テレビなどに掲載してもらうことも効果がある」というご意見がありました。

【設問3】財団事務局のフィールドマナーの普及活動についておうかがいします
<設問3-1>財団事務局のフィールドマナーの普及方法は十分だと思いますか?(マスメディアを通じたものも含む)

 「まあまあよくできている」が18件、「全くできていない」「あまり十分とはいえない」が13件でした。「とてもよくやっている」は0件で、無回答は7件でした(グラフ6)。

グラフ6 財団事務局のフィールドマナーの普及活動は十分だと思いますか?

その理由をお書きください

(1)全くできていない

  • 財団関連のイベントなどでカメラメーカーなどのブースが中心となっているが、その中でフィールドマナーに関する普及が効果的に行われているように見受けられない。

(2)あまり十分とはいえない

  • 『野鳥』誌などで特集を組む、明確なキャッチコピーを作るなど、いろいろな面で「目立つ」形の呼びかけにはまだなっていないと思う。

  • マスメデイア(NHKテレビ地方局など)への広報不足。

(3)まあまあよくできている
 『野鳥』誌にたびたびフィールドマナーが掲載されていることへの評価がある一方で、

  • 会員以外の人たちに、どんな風にうけとめられているかがよくわからない。
  • 「やさしいきもち」とは別の切り口を会員外へ発信したほうがよい。
  • マスメデイアが育雛写真を取り上げているが、財団が是正すべくPRすべき。

とのご意見をいただきました。

  • マスメデイアなどへの露出度はまずまずと考えられるが、実効性の検証は難しいのでは?

というご意見もありました。

<設問3-2>財団が実施するフィールドマナーの普及方法について、アイデアがありましたらご紹介ください(会員外への広報、マスメデイア対策も含む。特にホームページの活用について、アイデアがありましたらご紹介ください)

(1)マスメデイアへの働きかけ・他団体との連携など

  • 新聞などでバードウィークに向けて意見広告を出す。
  • 賛同企業などの資金援助を受け、テレビ等でマナーを呼びかける意見広告を出す。
  • 環境省経由で、マスメディアに「警告」を発するのも一方法。
  • 「ヒナを拾わないで」のように他団体とも合同でキャンペーンする。

(2)会員外への働きかけ・方法など
 カメラ業界や愛好団体・販売店等を通じて、写真撮影から鳥の世界に入った人達に働きかける必要がある、とのご意見が多数よせられました。
(3)「フィールドマナー」という呼び名の検討を
 世間一般に「フィールドマナー」という言葉自体が認知されておらず、何を指しているのかわかりにくい。フィールドマナーの範囲をはっきりさせるとともに、呼び名自体も考え直したほうがよい、というご意見が寄せられました。
(4)その他
 「モラルに関するものは、繰り返し訴え続けることが重要。無言になってしまったとき敗北した(認めた)ことになる」という、継続が大切とのご意見も寄せられました。

【設問4】フィールドマナーの表現・内容についておうかがいします
「やさしいきもち」は1981年から提唱しておりますが、写真撮影や給餌への影響について会内外から指摘が増えてきたことを受け、2000年に「き・・・着るものにも一工夫」を、「気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑」という表現に変更しています。
 や・・・野外活動、無理なく楽しく
 き・・・気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
 さ・・・採集は控えて自然はそのままに
 も・・・持って帰ろう、思い出とゴミ
 し・・・静かに、そーっと
 ち・・・近づかないで、野鳥の巣
 い・・・一本道、道からはずれないで
 (全文につきましては添付資料をご参照ください)

<設問4-1>このほかに付け加えると良いと思われる内容がありましたら、理由を添えてご紹介ください

(1)「き」についてのご意見
 「着る物にも一工夫は必要」というご意見のほか、給餌に対する考え方へのご意見などがよせられました。
(2)「マナー」の表現・考え方について、複数のご意見がありました

  • 「○○○のマナー」と言うときには「○○○」のところに行為を表す言葉が用いられます(「喫煙マナー」、「携帯電話のマナー」など)。そのため、その名称を聞いただけで「○○○にもマナーが必要」ということが理解しやすく、普及啓蒙に効果を発揮していると考えます。そこで、野鳥の会も「フィールドマナー」ではなく、例えば「バードウォッチングのマナー」と呼ぶようにすると良いと思います。
  • 普通、「マナー」は、「他人を不愉快にさせないように」という視点でまとめられたものを指しますが、「やさしいきもち」は鳥、安全管理も視野に入れているので「マナー」の範囲に収まらない内容になっており、世間に理解を得にくいのではないかと思います。鳥への配慮・安全管理の視点は何か別な呼称を与えて普及させ、「マナー」は「人への配慮」だけに絞ったほうが、理解しやすくなると思います。
  • マナーは「他者へ配慮する」という姿勢が根底にあるべきですが、近年、マナーをマニュアル化したために、マニュアルに沿って行動しているかどうかで良し悪しを判断する「誤った」風潮が生まれていると聞きます。「やさしいきもち」の7項目もチェックリストのように見えることから、同じような風潮を生みやすいものになってしまっていると思います。伝えたいことは、「人にも鳥にも他の生き物にも迷惑をかけずに楽しみましょう」という、とてもシンプルな事柄なのですから、野鳥の会はそれをそのまま伝えていけば良いと思います。「やさしいきもち」を廃止する必要はありませんが、それ自体は「伝えたいこと」としてではなく「具体例」という位置づけで紹介するに留めるのが良いと思います。

●おわりに

 今回アンケートのとりまとめを担当して、改めて地域で対応に苦慮されている支部幹事の方が大変多いことに気付かされました。写真や資料・新聞記事などを添付して下さった方や、対応事例が掲載された支部報をお送りいただいた支部もありました。
 マナーやモラルに関する問題に、これといった決定打が見出しにくいことは承知いたしておりますが、およせいただきましたアンケートや事例をもとに、フィールドマナーの内容や効果的な普及方法について検討して参りたいと思います。

(普及室/横田さとる)

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.389

●2007/9 室蘭
・キジバトの子育て観察日記 
●2007/9-10 宮城県
・環境と鳥の関わり 
●2007/9 神奈川
・多摩川河口の自然を考える
・野鳥の特別飼育許可は必要か
・鳥と木の実
・サシバの渡り3題
●2007/9 宮崎県
・3段重ねのツバメの巣
・コアジサシ繁殖地保護で要望書
・ヤイロチョウ渡来地で保護監視員について要望書
・アニメ・白いファンタジア製作
・2007年IBA白書
・三菱UFJ信託銀行との遺贈等の提携

●2007/9 室蘭
・キジバトの子育て観察日記
 6/22、自宅で3m高さの所でキジバトが抱卵開始。窓際から見ると、50m先での工事の騒音に動ぜず、滅多に動かない。6/29、朝8時、親鳥が交代、7/7、雛1を見る。雛は親の嘴に自分の嘴を突込み、親は頭を上下に激しく振ってピジョンミルクを吐き戻す。親は夕方までミルクを与えては巣を離れ、また戻って与える。雛は親不在の時は声を立てない。7/14、巣の下を掃除した時、雛は30m先に飛び出してしまう。網で捕まえても静かで、巣に戻すと、親が来て給餌。7/15、朝、2、3日早く巣立つ。親は雛を捜すが見つからない様子。図鑑には抱卵は夜♀、昼♂が行い、交代は朝8〜10時頃と午後3〜5時頃で、孵化まで15、6日、巣立ちまで15〜7日とある。
(室蘭「ハヤブサ」NO.108,P9〜10)

●2007/9-10 宮城県
・環境と鳥の関わり
 支部にあるデータから環境と鳥の関わりを見てみた。人工林密生高木では1,415件、記録が多い順にカラ類(シジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラ等)18%、ウグイス類(ウグイス、ヤブサメ、キクイタダキ等)18%、ホオジロ類11%、ヒヨドリ10%、カラス類8(カケス他)%、アトリ類(カワラヒワ他)6%、キツツキ類5%、ヒタキ類(オオルリ、キビタキ、サンコウチョウ等)4%であった。人工林低木では307件、ホオジロ類17%、ウグイス類17%、カラ類14%、ヒヨドリ10%、アトリ類6%、カラス類6%、キツツキ類5%であった。
(宮城県「雁」NO.225,P18〜19)

●2007/9 神奈川
・多摩川河口の自然を考える
 神奈川県と川崎市は、多摩川河口に「神奈川口構想」を計画し、京浜臨海部工場跡地の利用と羽田空港拡張と一体で臨空産業を誘致するものである。羽田との連絡に橋を架ける可能性が高い。河口の干潟が変化し、鳥類の移動に支障が起こりうる。今秋に連絡道路の受入可否が決まるが、情報公開は十分にされていない。支部は1月アセス協議会設置を提案したが、行政で検討が行われているものは公開されていない。支部は10/27にシンポジウムを開催する。
(神奈川「はばたき」NO.424,P2)
・野鳥の特別飼育許可は必要か
 神奈川県はメジロについて特別飼養を認めている。1羽で飼育者は1世代のみ、65歳以上、販売譲渡は禁止、1年毎の再登録、鳥籠に許可証取り付け、指定の足環取り付けを要す。この特別飼養許可の廃止を求めたい。国は1世帯1羽のメジロに限り、捕獲と飼養を認めているが多くの自治体は事実上、その捕獲を認めておらず、関東では神奈川県のみが許可を出している。
(神奈川「はばたき」NO.424,P4〜5)
・鳥と木の実
 小鳥が丸呑みするに適するよう、実の直径は最大7〜8mmの球形をしている。毛があっては喉につかえそうで、柄があると嘴でくわえやすい。鳥の嘴は上下は大きく開くが、左右は嘴の幅以上に開かず、実の大きさの上限を決めている。アオキの実はカプセル状にして大きさを確保している。赤は緑の中で目立ち、鳥へ在処を教える。黒色の実も多く、赤の中に熟した黒との2色効果で、鳥への信号効果を高めている。ガマズミの実の中に緑色の毛が付いた虫こぶをタマバエが作る(ガマズミミケフシ)。イボタノキ等でも冬でも緑色のままの虫こぶを作り(ネズミモチミミドリフシ)、これらは幼虫が鳥に食べられないように進化した。(続)
(神奈川「はばたき」NO.424,P6〜7)
・サシバの渡り3題
 神奈川県では夏見なかったサシバが9月に見られ出し、短距離で緑地間を移動し、10月に入ると渡って行く群が見られる。県内陸の渡りの規模は不明であるが、緑地を通り、上昇気流が起こる小高い丘を通るルートがあると思われる。サシバの通り道に矢倉岳が有名であるが、その南の箱根の沢筋を上がって通過するサシバが矢倉岳の1割程度いるのが観察された。伊良部島での経験ではサシバの渡り高度は300〜1000mで雲中飛行はせず、雲の隙間を探して飛ぶ。比島付近に台風がある時は、台湾へ向って飛び出していかない。04年、行政のパトロールが無くなり、密猟復活が心配である。この地区を通るサシバは40年代20万羽、60年代10万羽であったものが、現在は2万羽程度まで減っている。
(神奈川「はばたき」NO.424,P10)

●2007/9 宮崎県
・3段重ねのツバメの巣
 宮崎市でビルの1階に3段重ねの珍しいツバメの巣がある。3年前から空気抜きに巣を作り、巣の上に巣を重ねて作り、今年は3段に重なった巣から2度も雛が巣立った。同じ番が作ったのか不明であるが、庇との隙間が10cm位まで狭まり、カラス対策か。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P9〜10)
・コアジサシ繁殖地保護で要望書
  宮崎市の清武川河口左岸のコアジサシのコロニーにオフロード車、馬の調教等で入り込むため、6/23、支部は宮崎県へ7月中旬まで全面立入禁止の要望書を出した。同地では3haに約600羽、288の巣で抱卵している。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P14 )
・ヤイロチョウ渡来地で保護監視員について要望書
  7/5、支部は御池の森のヤイロチョウ保護に対し、県へ要望書を出した。今回野生動物保護監視員制度が発足したが、支部はマナー向上の呼掛けをしているが、悪質なマナーが横行しており、同監視委員の教育に力を入れて欲しい。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P15)
・アニメ・白いファンタジア製作
  本部はタンチョウを主人公に自然や生命の大切さを伝えるアニメーション映画を遺贈を元に製作した。DVDを全国の児童福祉施設等に無償配布し、タンチョウと少女の触合い表現し、故人の遺志を子供たちに繋げたい。7/28、東京で、9/30、札幌で試写会があった。一般へも10月より実費領布する。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P18)
・2007年IBA白書
  IBA(Important Bird Areas、重要野生生息地)はBirdLife Internationalが野鳥の会を含む100箇国以上の加盟団体で共同監視している。同白書では今回、我国167箇所の現地情報、保護指定状況を掲載した。法的担保があるのは71箇所(43%)、担保が全く無いのは59箇所(35%)になる。領布価格2000円+送料。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P19)
・三菱UFJ信託銀行との遺贈等の提携
  5/10、本部と同銀行は遺贈等に関する業務提携で合意した。自然環境保護を目的とした提携で、野鳥の会への寄附、遺贈に対し、遺言、相続等の相談、不動産、有価証券の売却等のコンサルティングを行う。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.203,P19)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.390

●2007/10 オホーツク
・風力発電施設と野鳥
●2007/10 札幌
・札幌のクマタカ
●2007/9-10 群馬県
・群馬県内のセキレイ3種の分布
・夏鳥初認日
●2007/7 奈良
・日本有数のオシドリの越冬地 二津野ダム
・野鳥の食性
●2007/10 徳島県
・コモンシギ来訪
・珍鳥出現 鳴門海峡
・マリンピア沖洲第2期事業(人工海浜)に関する回答
●2007/9-10 島根県
・ハヤブサの繁殖
●2007/9 熊本県
・クロツラヘラサギの越冬状況

●2007/10 オホーツク
・風力発電施設と野鳥
 06年末現在、北海道での風車設置数は260基で、全国一である。米国加州アルタモントウィンドファームでは約5400基があり、イヌワシが毎年76羽以上死亡と推測されている。スペインではアフリカへのボトルネック地域でシロエリハゲワシがこれまでに400羽以上、衝突死している。風力発電施設の野鳥への影響は、衝突事故、撹乱による生息地移動、障壁による悪影響、生息地の消滅(直接的な環境消滅は施設の2、3%であるが、600m程度まで影響がある)、ウサギが増加し、猛禽類を風車に引き寄せる。02年のボン条約では計画段階での環境影響調査、問題ある可能性の有る地域の特定等が求められるが、我国は未加盟。日本は2014年まで発電量は増えるとされ、従来機の発電量が増えており、風車=CO2削減となっていない。バードストライクは予測可能で、それぞれが責務を実行すべきである。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.245,P3〜5)

●2007/10 札幌
・札幌のクマタカ
 クマタカの飛行率は5%未満とする文献もあり、狩は殆どが枝に留る待ち伏せ型であり、失敗すると同じ場所に戻る。昼を挟む2、3時間に上空に上がる傾向がある。当会では定点観察を5時間以上、数日連続して行う。札幌では南西部の森林で最大13羽の個体識別をしているが、年毎の変動が大きい。3巣が見つかり、何れも大径木のある天然林が広がる急傾斜地の広葉樹にある。雛への給餌は翌年の4月頃まで見られ、繁殖は1年置きで、失敗時は翌年には繁殖する。
(札幌「カッコウ」NO.293,P7〜8)

●2007/9-10 群馬県
・群馬県内のセキレイ3種の分布
 県委託のH9〜13年のメッシュ調査を整理してみると、キセキレイは繁殖期は山間部奥まで分布しているが、非繁殖期は標高の低い場所へ移動している。ハクセキレイは平野部で多く、85年頃より冬季に、93年頃より年中見られるようになっている。セグロセキレイは県内に広く分布しているが、一年を通して定住型で、数が減っている。
(群馬県「野の鳥」NO.283,P3〜4)
・夏鳥初認日
 00〜07年の藤岡市庚申山での夏鳥初認日を調べた。ジュウイチは5/13(03年のみ)、カッコウ♂毎年5/15前後、ツツドリ♂5/5〜20、ホトトギス♂5/14〜28、サンショウクイ4/25〜27、コマドリ♂4/26、コルリ♂4/26〜5/14、クロツグミ♂4/12〜5/11、アカハラ♂3/30〜5/9、ムシクイ類はセンダイムシクイ、エゾムシクイ、メボソムシクイと標高の低い生息場所順に飛来し、最後に6/初にコメボソムシクイが通過する。キビタキ、オオルリは4/20〜25に渡来し、キビタキは近年は60〜90日間も、オオルリも繁殖は無理だが47日間滞在した。サンコウチョウは十数年前まで毎年来たが、最近は希で6/1〜4に初認された。
(群馬県「野の鳥」NO.283,P20〜21)

●2007/7 奈良
・日本有数のオシドリの越冬地 二津野ダム
 オシドリはレッドリストで情報不足種(DD)に格上げされた。奈良県では宇陀郡で雛が見られている。環境省の今年の全国調査では、オシドリ飛来多い県は奈良、山口、愛媛、長崎、高知等で、総数24,484羽の内、3,370羽が県南の二津野ダムにいる。越冬個体数が最も多い場所で、シイ、カシの天然林が2千haに広がる。同地ではオシドリは増加傾向で、その保全が重要になってきている。
(奈良「いかる」NO.118,P1〜2)
・野鳥の食性
 オシドリはアラカシの団栗を食べるに適して嘴が筒状で、ハシビロガモは餌を掬い取るに適して嘴が異常に広い。会員のアンケートでは野鳥が好む実は柿(32種)、赤松(29種)、椋(24種)で、オシドリ、カケスはシイ・カシ・コナラを、オジロビタキ、ムギマキはカラスザンショを、ヒレンジャクはヤドリギを特に好む。
(奈良「いかる」NO.118,P3)

●2007/10 徳島県
・コモンシギ来訪
 8/26、県内でコモンシギが撮影された。県内では05/8以来の2例目となる。9/17、別の個体と思われるコモンシギが飛来し、共に幼鳥である。図鑑には迷鳥として水田や干拓地に希に渡来とある。短期間に2回も珍鳥が来た。
(徳島県「野鳥徳島」NO.349,P2〜3)
・珍鳥出現 鳴門海峡
 9/23、鳴門山でタカの渡り調査中に、シロハラトウゾクカモメ(幼)が渡った。翌日にはグンカンドリが通過し、撮影された。
(徳島県「野鳥徳島」NO.349,P6)
・マリンピア沖洲第2期事業(人工海浜)に関する回答
 8/15、先の質問書に対する回答が県からあった。ルイスハンミョウは「確認個体数の変動が大きい」との理由で、人工海浜に棲息させる目標個体数を設定しないのは妥当性に欠ける。県は環境調査見当委員会の中で事後調査計画検討部会での論議を踏まえ、設計条件、造成方法を検討し工事を実施した。今後のモニタリングで人為的捕獲移動をし、定着確認をする。移動後5年間「事後調査」をして専門家の意見を聞きながら万全を期すとしている。明確な目標を持たない中で費用対効果を評価する事はできない。
(徳島県「野鳥徳島」NO.349,P7〜9)

●2007/9-10 島根県
・ハヤブサの繁殖
 出雲市平田で昨年、一昨年使用した巣から2m離れた岩棚で今年も3月末抱卵に入るが、4月末中断し、元の巣で新たに抱卵を開始。親鳥が同一か不明。1箇月遅れで6/12孵化。7/21、3羽の雛の内、1羽は未だ白く小さい。7/25、小さな雛はいなくなる。
(島根県「スペキュラム」NO.119,P4)

●2007/9 熊本県
・クロツラヘラサギの越冬状況
 7月、鹿児島県で開催予定の日本クロツラヘラサギネットワーク報告会は台風のため中止になった。06年冬〜07年春のクロツラヘラサギの越冬状況を記す。菊池川河口周辺では2羽が越冬の模様で、2/28終認。上江津湖では毎期、1〜3羽の越冬があったが、今回は確認できず。同地で12/14、嘴に釣り糸が絡む個体が見つかり、捕獲がかなわず、3/29、熊本港での19羽の群の中にいるのが確認され、直後に北帰行したと思われる。(続)
(熊本県「野鳥くまもと」NO.246,P9〜10)


○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.391

●2007/10 千葉県
・2007年カモ類調査報告
・希少海鳥ヒガシシナアジサシ(8/31 朝日新聞)
・クマゼミ都内で増殖中(8/25 読売新聞)
・里山荒れたらヤマビル急増(8/18 毎日新聞)
●2007/10 南富士
・シギ、チドリ調査報告
・検定ブーム!
・ハチクマの生態
●2007/10 奈良
・増えた鳥、減った鳥
・適応放散
・カイツブリの給餌後の噛み付き行動について
●2007/10 北九州
・ツルを調べる
・響灘のオオタカ

●2007/10 千葉県
・2007年カモ類調査報告
 1月、県内92地点を調査した結果、23種、94,253羽が記録された。内訳はオオハクチョウ5、コハクチョウ5、スズガモ55,993、マガモ8,649、コガモ7,993、オナガガモ6,147、ヒドリガモ6,039、カルガモ4,355、ホシハジロ1,325、キンクロハジロ1,173、ヨシガモ1,049、ハシビロガモ636、オカヨシガモ337、クロガモ305等。三番瀬船橋側ではスズガモは昨年より2万8千以上少なく、淡水ガモ5種(マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ)の総計は昨年が最大で今回は減った。特筆は作田川河口でアカハジロ1が記録された。
(千葉県「ほおじろ」NO.318,P3〜6)
・希少海鳥ヒガシシナアジサシ(8/31 朝日新聞)
 100羽程しかいないヒガシシナアジサシの姿を、台湾の馬祖列島で日本鳥学会会員が撮影した。中国、東南アジアにおり、オオアジサシに似る鳥だが、20世紀後半に絶滅したと思われたが、同列島で2000年に再発見され、他は知られておらず、世界で100〜200羽とされる。
(千葉県「ほおじろ」NO.318,P12)
・クマゼミ都内で増殖中(8/25 読売新聞)
 この夏、読売ウィークリー、日本自然協会、NTTレゾナントが共同で実施した「自然しらべ2007夏休み セミの抜殻を探せ!」で、約6千の抜殻が集まり、専門家は東京でクマゼミが増えているのを注目している。95年調査時は植栽と一緒に幼虫や卵の持込が要因とされていたが、最近の増加はヒートアイランド現象や温暖化で越冬が可能になった影響が大きい。
(千葉県「ほおじろ」NO.318,P12)
・里山荒れたらヤマビル急増(8/18 毎日新聞)
 ヤマビル研究会(習志野市)によると、ヤマビルの被害は2000年頃より急増し、北海道、四国を除く、沖縄までの29府県に広がっている。過疎化や林業衰退、シカの増加等での森林、里山の荒廃が原因である。神奈川県では自治体が駆除に乗り出す事態である。同県秦野市では里山の落葉掻きでヤマビルは1/3に減った。薬剤散布だけでは不十分で、増えすぎたシカの管理、荒れた森林、里山の保全を行わなければならない。
(千葉県「ほおじろ」NO.318,P13)

●2007/10 南富士
・シギ、チドリ調査報告
 9/16、午前、富士川河口で調査した。結果はイカルチドリ7、コチドリ6、イソシギ6、アオアシシギ4、シロチドリ3、キアシシギ3、ソリハシシギ1、セイタカシギ1、計31。
(南富士「さえずり」NO.299,P4)
・検定ブーム!
 (財)自然環境センターでの検定問題から。1・水かきの無い鳥は?(アホウドリ、ウミネコ、クイナ、ハクチョウ)。2・地上でホッピングするのは?(キジバト、サギ類、スズメ、チドリ類)。3・北米のみ分布する鳥は?(コウノトリ、七面鳥、ダチョウ、ハチドリ)。4・肉食性は?(ウニ、サザエ、ナマコ、ヒトデ)。5・北海道に自然分布しないものは?(アカネズミ、イノシシ、タヌキ、ヒメネズミ)。(回答1:クイナ、2:スズメ、3:七面鳥、4:ヒトデ、5:イノシシで仙台市が北限)。
(南富士「さえずり」NO.299,P6)
・ハチクマの生態
 ハチクマは蜂(幼虫、蛹、成虫)以外に勿論、小鳥、蛇、蛙等も食べる。行動圏は広く巣から数十kmもあり、他の番の行動圏と重複する。頭部の細長く突出した羽毛は鱗状に密生し、蜂に刺されないためとの説がある。大きな目は小さな蜂の動きを捉えるためであろう。繁殖時期は遅く、巣立ちは8月中旬で、幼鳥は10月上旬には南へ渡る。渡りは九州の五島列島から揚子江河口付近に達し、700kmを時速50kmとすると14時間で横断する。南西諸島にはハチクマの主な餌、クロスズメバチがいないため、南西諸島を通らないとの説がある。
(南富士「さえずり」NO.299,P7〜8)

●2007/10 奈良
・増えた鳥、減った鳥
 県内の20年前と今年の5月末の県縦断122km一斉探鳥会の記録を比較した。増えた鳥でカワウ、イソヒヨドリ、ホトトギス、ソウシチョウ、ハクセキレイ等は20年前は記録が無かった。アオサギ2→38、カルガモ7→58、メジロ19→156、カワラヒワ16→123、イワツバメ60→433と増加。減った鳥はバン、ヤマセミは今回記録無く、クマタカ、カワセミ、コシアカツバメ、ヤブサメ、サシバ、ホオジロ、ゴイサギ、セグロセキレイ等である。ホトトギス、バンの記録の有無は(温暖化での)繁殖時期早まっているための記録洩れの可能性がある。
(奈良「いかる」NO.119,P1)
・適応放散
 同類の生物が様々な環境条件に適して進化し、多様に分化する事を適応放散と言う。奈良県では僅か20年でイソヒヨドリが内陸部へ生息域を広げている。色々な生物が互いに利用、影響しあい共進化で、現在鳥類約9600種、昆虫約100万種、陸上植物約27.5万種、爬虫類8千種、哺乳類4千種になっている。
(奈良「いかる」NO.119,P21)
・カイツブリの給餌後の噛み付き行動について
 6/11、天理市でカイツブリの親が雛に頻繁に給餌し、小さな甲殻類では普通に餌を渡したが、大きい魚の時、親は餌を渡した直後、雛に襲う形で首筋に噛み付く行動をし、雛は親に背を向けて逃げようとした。餌が他から取られないようにする親からの訓練か?図鑑には自分で餌が採れるようになると、親鳥は給餌後、雛を追い回すつつき行動が見られるとある。
(奈良「いかる」NO.119,P30)

●2007/10 北九州
・ツルを調べる
 タンチョウが出水に飛来したのは、古くは1939年で次が1967年、その次が37年ぶりに2004年である。タンチョウはロシア、モンゴル、中国東北部で繁殖し、朝鮮半島の非武装地帯に数百羽が越冬し、一部がマナヅルの群に迷込んで出水に渡来する。迷込みは幼鳥が多く、マナヅルの家族の中に居候する例が多い。04年に渡来したタンチョウの幼鳥はマナヅルの親から口移しで餌を貰った。マナヅルの番が自分の雛を失ったためではなく、ロシアの繁殖地のマナヅルの巣でタンチョウの卵を抱かせた結果と思われる。クロヅルの幼鳥も迷込むが、マナヅルの群には入らない。
(北九州「北九州野鳥」NO.256,P8)
・響灘のオオタカ
 8/13、響灘でカルガモを仕留めたオオタカの幼鳥が撮影された。オオタカは昨年12月、環境省レッドデータブックの見直しで絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧にランクが下がった。従来考えられていた程少なくないとの理由のようであるが、営巣が珍しくない関東地方を中心とする本州を基準にしての判断かもしれないが、九州ではその営巣は極めて希でその希少性は変わらない。
(北九州「北九州野鳥」NO.256,P10)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.392

●2007/9 道南桧山
・ツバメの塒入り探鳥会
・海鳥研究から見えること
・汐首岬でのオオワシの渡り
・傷病鳥の手当てや保護について
●2007/10 埼玉県
・荒沢沼カワウコロニーの今
・野鳥記録委員会の最新情報
・秋に危険な生物2種
●2007/9 奥多摩
・ミゾゴイとの再会
●2007/10 福井県
・サンショウクイの繁殖記録
●2007/10 高知
・イソヒヨドリ?
●2007/10 福岡
・2006年冬鳥初認日

●2007/9 道南桧山
・ツバメの塒入り探鳥会
 8/19、七飯町でツバメの集団塒入りを観察した。18:20、10羽程が出現、18:30、100〜200羽が低空で移動、18:50、二群に分かれ飛翔、18:55、コーン畑に塒入り、19:00、塒入り完了。ツバメは不安があると、急に塒を替える事があり、手でツバメを掴むと、羽の脂は石鹸で2、3回洗ってぐらいでは取れない。
(道南桧山「はちゃむ」NO.75,P2)
・海鳥研究から見えること
 1972年、東ベーリング海で採集されたウミガラスの胃中よりトガリイチモンジイワシの鱗が多数出てきた。当時、同イワシの生息水深は300〜1000mとされ、後年、同イワシは夕刻、表層へ浮上する事が確認された。表層へ上がり、活発に索餌し、日の出近くに深層へ下降するのを日周鉛直移動と言い、ウミガラスの胃中調査結果から知られるようになった。海鳥が変化の乏しい海で十分に餌を捕る場所は、このような一時的に撹乱された所である可能性がある。海鳥は鳥の種の約3%、約300種しかおらず、100種は今世紀中に絶滅すると言う人もいる。海洋は鳥類にとって餌が捕り難い環境と言える。
(道南桧山「はちゃむ」NO.75,P4〜5)
・汐首岬でのオオワシの渡り
 今春、18.5kmの海峡を疲れてフラフラして渡ってきたオオワシを見た。この行先に巨大な風車が予定されると思うと・・・。オオワシを個人が殺せば法律で罰せられるが、事前に野鳥が衝突すると予測される場所に風車建設をする業者は罰せられないばかりか、補助金を貰って事業継続するとは、自然保護行政はどうなっているのか。
(道南桧山「はちゃむ」NO.75,P5)
・傷病鳥の手当てや保護について
 保護鳥の嘴の形や大きさでどのような餌を食べるのかを推測する。自分で餌が食べられない時は、種子食の鳥にはすり餌を練って与える。昆虫食の鳥にはペットショップにあるミルワームが扱い易い。ピンセットを使う時は、食道を傷つけないよう先の丸い物がよい。一度使った器具は殺菌消毒をすること。
(道南桧山「はちゃむ」NO.75,P9)

●2007/10 埼玉県
・荒沢沼カワウコロニーの今
 荒川の支流、江川にある荒沢沼では、ゴイサギの繁殖地で90年よりカワウのコロニーができ、現在まで続いている。営巣木の枯死で、周辺に移動し、現在は簡単に見通せる。カワウは同地を非繁殖期も塒として使用するため、樹木の枯死、糞による水質悪化で魚資源の枯渇、そのための餌場の遠距離化となっている。埼玉県平野部のコロニーの寿命は15〜20年と思われ、同地での営巣も以前の半分以下になっている。
(埼玉県「しらこばと」NO.282,P2〜3)
・野鳥記録委員会の最新情報
 8/8、川越市に飛来したセイタカシギが亜種オーストラリアセイタカシギかを検討したが、同定できなかった。同亜種は国内では86/10、茨城県で、87/5、沖縄県で、94/5、北海道で記録されている。亜種セイタカシギより大きく、脚が短く、後頭部から後頚部にかけて黒色部があり、その部分の羽毛が立ち、嘴がやや上に反る。3月に深谷市で亜種シベリアツメナガセキレイを観察したとされるが、日本鳥類目録改訂第6版2000には本亜種の記載は無く、亜種マミジロツメナガセキレイの変異種とする説もある。前に亜種キマユツメナガセキレイと呼ばれていたものは亜種ツメナガセキレイに統一されており、ツメナガセキレイは県内では数例記録がある。
(埼玉県「しらこばと」NO.282,P4)
・秋に危険な生物2種
 ダニを介して発症するツツガムシ病は戦後、媒介するツツガムシの種が替り、国内では北海道以外で秋から初冬に、5〜12日の潜伏後、高熱と全身発疹で、毎年、数名が死亡する。予防は露出部を減らす、衣類、タオルを直接地上に置かない、直接草に寝転んだり、籔に長時間入らない、帰宅後の入浴である。菌を持つツツガムシは3%以下で、6時間以上吸着しないと菌は人に移行しない。スズメバチは日本には16種が生息し、秋口に最大数になる。刺す以外に毒液を空中散布し、目に入ると角膜の潰瘍から失明する事もある。刺された時は流水ですすぎ、吸引器を使い、口で吸出すのは厳禁である。タンニンを含む番茶も有効である。
(埼玉県「しらこばと」NO.282,P5)

●2007/9 奥多摩
・ミゾゴイとの再会
 今年も昨年と同じと思われるミゾゴイの番が、昨年より11日早く4/5、渡来した。造巣開始は5/5、造巣期間は8日間、産卵は5/13〜16に4卵(昨年は3卵)、抱卵期間は5/13〜6/9の28日間、孵化は6/10〜12で、6/13、2羽の雛が死亡し巣外へ放棄され、育雛期間は6/10〜7/16の37日間、営巣樹の真下が資材置場で出入りが多く、隣接して新築工事があったが、7/17、18、2羽が巣立った。巣は昨年の古巣から3m離れた同じ欅の9.5m高さに作り、4/8にはその位置で1羽が長く留っていた。雛の声はゲゲゲゲ・・・とブッポウソウに似る。給餌は昼間のみである。雛が左右の翼を交互に半開きして餌をねだる。雛は巣立ち後5日目には自分でミミズを捕える。幼鳥は薄暗い林で餌を探し、地上でじっとしている事が多い。親、雛ともカラスに対しては極度に擬態をする。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.178,P4〜7)

●2007/10 福井県
・サンショウクイの繁殖記録
 福井市の林道で、サンショウクイの繁殖を影響が無いように観察した。4/29、斜面のホオノキに巣材を運ぶのを見る。巣はお椀型で外側に苔が貼られている。
巣作りは雌雄で行い、抱卵する雌に雄が給餌する。育雛期初期は雄が餌を運び、雌が雛に給餌する。その後は雌雄で給餌する。雛の糞は親が飲込む事もある。5/4、抱卵開始、5/23、孵化し、6/4、5羽が巣立つ。この結果は「続・野鳥の生活」(築地書館)のサンショウクイの繁殖記事とほぼ一致した。
(福井県「つぐみ」NO.148,P9)

●2007/10 高知
・イソヒヨドリ?
 9/2、伊尾木川河口で、ツバメの様な白黒があり、ヒヨドリの様な格好の謎の鳥を見た。鳴声からイソヒヨドリの♀で、白色の羽毛が抜けかかっている幼鳥のようで、巣の中では産毛で真っ白だったのでは。
(高知「しろぺん」NO.251,P2)

●2007/10 福岡
・2006年冬鳥初認日
 油山自然観察の森での2006年の冬鳥初任認日はジョウビタキ:10/18、シロハラ:10/19、アトリ、マヒワ、クロツグミ:10/22、ビンズイ10/25、アオジ、シメ:10/27、ツミ、ハイタカ、ノスリ:10/28等。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.336,P11)

(自然保護室ボランティア・神奈川支部/森 要)

事務局からのお知らせなど

■「柳生会長と北海道の自然を楽しむ旅」のお知らせ■

 かねてから以前の「全国大会」の復活を要望する声が会員のみなさんから寄せられていましたが、現在その「全国大会」のような、多数の参加者が集う当会ならではのツアーを計画しています。その第一弾として、地元オホーツク支部のご協力をいただき来年3月の北海道北東部を訪ねる2泊3日のツアーを企画いたしました。参加者のみなさんに、柳生会長とともに北海道の野鳥や自然を楽しんでいただくデラックスな旅となっています。募集の詳細は野鳥誌11月号および12月号をご覧ください。なお、第2弾として来秋の伊良湖岬も計画中です。
 実施時期:2008年3月27日〜29日
 担当:丹羽(にわ)電話03-5436-2620 

(常務理事/吉田新)

自然保護室より

■トキ野生復帰日中国際シンポジウム開催■

●開催趣旨

 2007年11月25日、新潟県朱鷺メッセにてトキ野生復帰日中国際シンポジウムを開催します。本シンポジウムでは中国やヨーロッパで進められているトキの野生復帰事業プロジェクトについて紹介するほか、国内から兵庫県豊岡市でのコウノトリ、新潟県佐渡島でのトキ、それぞれの野生復帰の取り組みの報告を行い、トキの野生復帰について様々な角度から理解を深めます。またパネルディスカッションを通じて、佐渡島でトキの保護や野生復帰に関わっている方々と共にトキ野生復帰のためにこれから何が必要になるのか、何をすべきか、トキと共生する社会について考えます。

●開催概要

【日時】
 2007年11月25日(日曜日)
【場所】
 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 4Fマリンホール(受付)
  (JR新潟駅からバス10分)
【時間】
 13:30-17:30(開場13:00)
【主催】
 トキ野生復帰日中国際シンポジウム実行委員会:
  環境省、新潟県、佐渡市、環境文化創造研究所、(財)自然環境研究センター、(財)東京動物園協会、
   トキの野生復帰連絡協議会、新潟大学、NPO法人 日本湿地保全連合、日本生態学会、日本鳥学会、
   (財)日本鳥類保護連盟、(社)日本動物園水族館協会、(財)日本野鳥の会、NPO法人 バードライフ・アジア、
   (財)山階鳥類研究所、ラムサールセンター
【後援・協力】
 外務省、農林水産省、国土交通省、文化庁、日本自然環境専門学校、NPO法人日本中国朱鷺保護協会、
  日本野鳥の会新潟県支部、同佐渡支部、バンロックステーションワイナリー
【助成】
 国際交流基金
【申し込み方法】
 住所・氏名・年齢・電話番号・メールアドレスを記載の上、Eメールで下記宛先までお申し込み下さい。
<Eメール> [email protected]
 または本シンポジウムWEBサイトからもお申し込みが可能です。
<オンライン申し込み> http://crestedibis.org
 「受付完了メール」が入場券になりますので、当日はお持ち下さい。
 なお、申し込みが定員(250名)になり次第、募集を締め切らせて頂きますので予めご了承下さい。
 (定員に達して、ご参加頂けない場合にはメールにてその旨ご連絡致します。)
【内容】
(1)開会挨拶
  山岸 哲氏(シンポジウム実行委員長)
  環境省、新潟県、佐渡市
(2)基調講演/事例報告
 a)「中国のトキ 保護と野生復帰」
   中国国家林業局
 b)「大空に舞ったコウノトリ」
   池田 啓氏 兵庫県コウノトリの郷公園研究部長
 c)「ヨーロッパのホオアカトキ保護から学ぶ」
   クリス・ボーデン氏 英国鳥類保護協会(RSPB)
 d)「日本のトキ 保護と野生復帰」
   環境省自然環境局
(3)パネルディスカッション
 《テーマ》市民と共に考えるトキと人のこれから
  ・コーディネーター
   中村 玲子氏 (ラムサールセンター)
  ・パネリスト
   池田 啓氏(兵庫県コウノトリの郷公園)
   高野 毅氏 (トキの野生復帰連絡協議会)
   成島 悦雄氏 (東京動物園協会) 
   本間 航介氏 (新潟大学)
   このほか、中国国家林業局よりパネリストを予定しています。
(4)展示コーナー (4Fマリンホール・ロビー)
  12:00-18:00
【事務局】
 トキ野生復帰日中国際シンポジウム事務局
  電話:03-5213-0461
  FAX:03-5213-0462
  メール:[email protected]
  住所:東京都千代田区三崎町2-14-6 TM水道橋ビル4F NPO法人バードライフ・アジア事務所 内
  ホームページ:http://crestedibis.org
  担当:小松洋一

(自然保護室長/古南幸弘)

総務室より

■「支部報とりまとめ発送」次回日程の変更■

 次回の支部報取りまとめ発送日は11月27日(火)へ変更となりました(前回13日とご案内しました)。支部報は下記の要領でお送りくださるようお願いします。(支部報取りまとめ発送についての詳細は、支部ネット通信2007年6月号をご覧下さい。)

送付期日:2007(平成19)年11月26日(月)必着
送付部数:110部
 ※東京支部におかれましては130部お願いします
 ※神奈川支部、埼玉県支部、奥多摩支部、千葉県支部におかれましては120部お願いします
 ※ご事情により必要部数に満たない場合は、総務室にて発送先を調整させていただきま す
送付先:〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    (財)日本野鳥の会総務室 支部報担当宛
本件に関するお問合せ先:03-5436-2620 総務室 吉家(きっか)

(総務室/吉家奈保美)

会員室より

■「白いファンタジア」上映にご協力ください!■

●はじめに

 「野鳥」誌10、11月号や「Toriino」第3号でもお伝えしておりますが、一時は絶滅が危惧されたタンチョウの生息数が1,000羽にまで回復してきたことを機に、タンチョウを主人公にしたアニメーション映画を制作しました。タイトルは、『ワイルド・バード・シンフォニー第1番「白いファンタジア」』。北海道を舞台にタンチョウと少女とのふれあいを通じ、共に生きることの大切さを伝える内容です。上映時間は30分。原作・監督は、『たれぱんだ』や『葉っぱのフレディ』の監督の宇井孝司さん。作品に登場する野鳥や動物のデザインは、絵本作家の村上康成さん。音楽は、『モスラ』シリーズやNHK大河ドラマ『利家とまつ』を手がけられた渡辺俊幸さん。当会の柳生博会長も声優として出演しています。

●目的

 当作品は、子どもに夢と感動を与える子ども支援事業として、DVD化し、全国560箇所の児童養護施設、280箇所の母子生活支援施設、約3,000箇所の児童館などに寄贈します。既に寄贈させていただいた児童養護施設からは、250通を超える感謝のお手紙を頂戴しています。その中からいくつかご紹介させていただきます。

  • かわいらしいアニメと美しい音楽で、子ども達はとても喜んでいました。心癒されるDVDを有難うございました。
  • 幼児が画面に釘付けで見入る姿が見られました。DVDが手に入りにくい施設にとって最高の時間でした。

●試写会は大盛況

 児童福祉施設への寄贈に先立ち、東京と札幌で一般の方へのお披露目となる試写会をおこないました。どちらも大勢の人が集まりご好評いただきました。札幌試写会では、札幌支部の皆さんに多くのご協力いただきましたが、以下のような感想を頂戴しています。

  • 札幌支部から15名が会場案内・物販などの協力をし、私は入会寄付コーナーを緊張の中にも和やかにお手伝いさせて頂きました。上映会も観客の皆様と鑑賞でき、感動を共に致しました。身近な自然に目を向けつつ、仲間達と保護の輪を広げていけたらと思います。

●子ども向け行事などでご活用ください

 寄贈した児童養護施設や試写会での反響から、子ども向けの行事などに大変役立つと思います。双眼鏡や望遠鏡を使うことが難しい幼稚園児や小学校低学年向けのプログラムとして有効ですし、アニメになじんでいる十代や二十代、また、小さな子を持つ三十代の若い親世代向けにも適しているかと思います。
DVD化されていますので、テレビやパソコンで簡単に上映できますし、プロジェクターと外部スピーカーをお使いいただければ、高品質の映像と音響でお楽しみいただけます。
 著作権の関係から有料での上映はお断りしておりますが、無料のイベントなどであれば支部の自由にお使いいただけます。近日中に各支部へDVDを1枚ずつお送りいたしますので、ぜひご活用ください。ご不明な点がありましたら、下記へお問い合わせください。

●DVD実費頒布、寄付募集開始

 10月からは一般の方向けにDVDの頒布を開始しました。制作実費となる1本2,000円で、お電話や当会ホームページ上などでお受けしています。また合わせて当事業への寄付も募集しています。皆さまからの頒布及び寄付収入をもとに、引き続き、第2作目を制作して子ども支援事業を継続・展開していければと考えています。

 当作品を紹介するチラシを制作しております。実費頒布や当事業への寄付を募集している旨の記載もありますので、探鳥会やイベントで配布をお願いします。チラシのご請求は下記までご遠慮なくどうぞ。

●詳細のお問い合わせ先

(財)日本野鳥の会 会員室 メディアグループ
  〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目9番23号 丸和ビル
  電話:03-5436-2632 FAX:03-5436-2635
  E-mail:[email protected]
  担当:五十嵐

(会員室/五十嵐真)

■支部会費等受取り口座の切り替えをお願いします■

 大変お手数をおかけしますが、郵政民営化の関係で、各支部の支部会費等受取り口座についてこれまでに使用していた郵便振替口座から下記の条件を満たすものに変更していただきたくお願いいたします。

  • ゆうちょ銀行(郵便局)で開設した総合口座(旧日本郵政公社時の通称「ぱ・る・る」)または通常貯金口座。(口座番号はどちらも「1」で始まります)
  • 名義に「日本野鳥の会○○支部」を含むもの(支部が団体として口座を所有していること。個人名のみのものは認められません)

 平成19年10月1日に日本郵政公社が民営化し、郵便振替等の事業は「株式会社ゆうちょ銀行」に引き継がれました。これに伴い、これまで当会が支部口座への送金に利用しておりました「通常振替」(手数料1件15円)が廃止となり、振替口座間の送金手段としては、従来より手数料が10倍近く高い「電信振替」(手数料1件140円)を利用せざるを得なくなりました。この場合、別表のように現状より年間約13万円程度の負担増となります。財政難の折、経費の増大は極力回避いたしたく、より安価な送金方法を検討いたしました結果、来年のできるだけ早い時期より、手数料1件30円で送金ができる「自動受取り」に送金方法を切り替えさせていただきたいというのが今回の変更お願いの理由です。

支部会費等受取り口座の切り替え記事の表
  1件あたり
手数料
全支部へ毎月
送金の年間費用
9月までの方法(郵政民営化前)
郵便振替口座→郵便振替口座
 通常振替
15円 16,020円
現在の方法(郵政民営化後)
郵便振替口座→郵便振替口座
電信振替(窓口)
140円 149,520円
今回お願いする方法
郵便振替口座→総合口座
自動受取り
30円 32,040円

 この「自動受取り」の場合、受取り口座が「郵便振替口座」ではなく、ゆうちょ銀行の「総合口座」(日本郵政公社時の通称「ぱ・る・る」)または「通常貯金口座」に限られてしまいますので、前述の条件での切り替えをお願いしております。
 変更後の口座については、2008年1月末日までに財団事務局にお知らせください。詳細につきましては、10月25日頃送付の送金一覧表に同封いたしましたのでご確認ください。なお、変更後の口座への送金開始は2008年2月以降となります(時期が決定いたしましたら別途お知らせいたします)。それまでは従来どおり郵便振替口座に送金をいたしますので、郵便振替口座はしばらく解約せずにお持ちください。
 何かとお手数をおかけし恐縮でございますが、何卒ご協力をよろしくお願い申し上げます。

本件についてのお問い合わせ:会員室 伊野(03-5436-2631)

(会員室/伊野純子)

■07年度上半期のサポーターは3千6百人■

 会員ではなくても、商品の購入や寄付などをいただける方を「サポーター」と定義し、この方々の数を05年度より集計しています(05年度は5,825人、06年度は6,785人)。
 このサポーター数は、期間中の商品購入者、寄付者、募金箱・パンフレット等の設置協力者、バードプラザへの来店者、フリーマガジン「トリーノ」定期購読者の中で、それぞれ個人が識別できる方かつ会員ではない方の実数を合算し、商品購入と寄付など重複してご支援いただいている方の分を引いて算出しています。この集計対象となっている方以外にも、たとえば募金箱に募金をしてくださる方なども会へご支援をくださっていることになりますが、実数が把握できないものは集計からは省かせていただいています。
 物品購入や寄付はひとりの方が期間中に何度もされる場合がありますし、またサポーターが期中から会員になられる場合もありますので、集計は複雑になります。そのため集計期間を区切り原則として年度単位とし、公式の数字は年度末のものを1年間使用することとしています。今回は上半期の状況について集計したものをご報告いたします。

 07年度上半期にご支援をいただいた非会員サポーター数は3,643人でした。
 昨年度はトリーノ発行前のためこの定期購読者数は集計に入っていなかったので、これを除いた数値で比較すると、昨年度3,401人、今年度3,585人となり、前年同期比で+184人となりました。
 内訳などの詳細は以下の表をご覧ください。

07年度上半期のサポーター数記事の表
サポーター種別 06年度
上半期
07年度
上半期
前年
同期比
A.通販購入実績者 1,859人 2,025人 166人
B.寄付実績者 931人 868人 -63人
C.募金箱設置箇所数 470人 490人 20人
D.入会パンフ設置箇所数
(Cとの重複分を除いたもの)
50人 56人 6人
E.バードプラザ来店実績者
(個人が特定できるもの)
282人 209人 -73人
F.トリーノ定期購読者 - 67人 -
合計(A〜Fの重複分含む) 3,592人 3,715人 123人
重複を除外した実数 3,401人 3,643人 242人
実数からトリーノ分を除外 3,401人 3,585人 184人

 項目ごとに見てみますと、まず非会員商品購入者は前年同期比でプラス166人と伸びています。これは、インターネットショップで非会員の方の購入が増えていることが主な要因です。昨年もご報告しましたが、特にオリジナル商品の「バードウォッチング長靴」は野外ロックコンサートの参加者に好評で、インターネット上を口コミで話題になり爆発的に売れるという現象が続いており、これが増加分のかなりの割合を占めています。
 非会員寄付実績者は前年同期比でマイナス63人となっています。そもそも寄付呼びかけは今まで会員に偏っていた傾向があるので、今後の展開としては非会員へ大量に配布する「トリーノ」誌上にて入会呼びかけをする際、並行して一般の方に親しみやすいバードメイトを中心に寄付の呼びかけを行っていく考えです。
 募金箱設置箇所数は前年同期比でプラス20人(件)、入会パンフ設置箇所はプラス6人(件)と微増していますが、バードプラザへの非会員来店者数(全ての方については把握できないので、ポイントカードを利用している方およびイベントへの申込をいただいた方のみ集計対象とします)はマイナス73人と減少しています。これはプラザ運営にかかる費用対効果を勘案して、営業日や営業時間を短縮したことが主な原因と考えられます。
 この他、トリーノの定期購読者数は今年度からの集計となっていますので比較対象外としています。
 サポーターの方は、一般の方に比べると会員になってくださる可能性が高い、いわば会員予備軍の層といえ、サポーター数を増やしていくことは会員拡大にも資すると思われます。インターネットなど各種媒体で広告・告知を行ってサポーターを増やし、それらの方にDMやキャンペーンなどで入会を呼びかける仕組みは現在形が出来つつあるので、これをより強化していくことが重要と考えています。

(会員室/齋藤英一郎)

■会員数 前月比で82人減■

●11月1日会員数 44,684人(対前月-82)

 会員数は先月に比べ82人減少、期首(4月1日)に比べると339人減少しました。
 10月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より90人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。この復活者数と入会者数との合計が退会者数よりも少なかったために、前月に比べ82人の会員数減少となりました。
 10月の入会者数は前年同月の入会者数に比べ-31人でした。

表1.10月の入会・退会者数
入会者数 退会者数
個人特別会員 1人 4人
総合会員(おおぞら会員) 33人 72人
本部型会員(青い鳥会員) 22人 33人
支部型会員(赤い鳥会員) 42人 66人
家族会員 21人 34人
合計 119人 209人
年度累計 1,195人 ※  

 ※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とはずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数

 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数 (11月1日現在)
都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差
北海道 2,060人 -2人 神奈川県 4,587人 -13人 大阪府 2,326人 -6人 福岡県 1,550人 -2人
青森県 334人 1人 新潟県 476人 -2人 兵庫県 1,708人 -6人 佐賀県 210人 -2人
岩手県 456人 -1人 富山県 263人 -1人 奈良県 638人 -6人 長崎県 266人 -4人
宮城県 597人 -4人 石川県 315人 -2人 和歌山県 219人 1人 熊本県 463人 2人
秋田県 256人 0人 福井県 286人 2人 鳥取県 221人 -1人 大分県 278人 0人
山形県 218人 0人 山梨県 367人 -2人 島根県 158人 2人 宮崎県 296人 -1人
福島県 859人 -2人 長野県 1,029人 -2人 岡山県 649人 -3人 鹿児島県 432人 1人
茨城県 1,180人 6人 岐阜県 664人 -8人 広島県 710人 0人 沖縄県 155人 -2人
栃木県 575人 4人 静岡県 1,654人 1人 山口県 516人 -4人 その他 118人 3人
群馬県 945人 -5人 愛知県 1,818人 -1人 徳島県 384人 -2人 全国 44,684人 -82人
埼玉県 2,725人 2人 三重県 530人 1人 香川県 266人 0人  
千葉県 2,304人 -1人 滋賀県 358人 -1人 愛媛県 381人 -1人
東京都 6,766人 -20人 京都府 943人 -1人 高知県 175人 0人
備考:その他は海外在住の会員を示します。
表3 支部別の会員数 (11月1日現在 )
支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差
小清水 8人 0人 福島 207人 0人 長野 550人 1人 島根県 169人 1人
オホーツク 227人 2人 郡山 225人 0人 軽井沢 258人 0人 岡山県 634人 -1人
根室 86人 -2人 二本松 55人 -2人 諏訪 263人 0人 広島県 673人 1人
釧路 192人 -2人 白河 75人 0人 木曽 48人 -1人 山口県 527人 -2人
十勝 149人 0人 会津 78人 0人 伊那 96人 0人 香川県 239人 1人
旭川 98人 2人 南会津 19人 0人 甲府 253人 -2人 徳島県 413人 -1人
滝川 59人 0人 いわき 144人 0人 富士山麓 93人 -1人 高知 179人 0人
道北 36人 0人 福島県相双 13人 0人 東富士 59人 -1人 愛媛県 365人 -1人
江別 23人 -1人 南相馬 20人 0人 沼津 230人 0人 北九州 418人 0人
札幌 408人 -3人 茨城 1,123人 1人 南富士 272人 0人 福岡 770人 -2人
小樽 142人 -1人 栃木県  552人 5人 南伊豆 58人 1人 筑豊 223人 0人
苫小牧 225人 2人 群馬県 834人 -2人 静岡 528人 0人 筑後 184人 -2人
室蘭 171人 -1人 吾妻 98人 0人 遠江 470人 0人 佐賀県 249人 -4人
函館 81人 0人 埼玉県 2,248人 1人 愛知県 1,427人 2人 長崎県 274人 -4人
道南檜山 69人 0人 千葉県 1,724人 -6人 岐阜県 683人 -6人 熊本県 461人 2人
青森県 205人 1人 東京 4,794人 -24人 三重県 461人 3人 大分県 280人 0人
弘前 147人 1人 奥多摩 1,056人 6人 奈良 601人 -5人 宮崎県 292人 -1人
秋田県 252人 0人 神奈川 3,601人 -15人 和歌山県 225人 1人 鹿児島県 380人 0人
山形県 216人 0人 新潟県 389人 -2人 滋賀 314人

0人

八重山 72人 -3人
宮古 118人 0人 佐渡 24人 0人 京都 980人 -8人 やんばる 123人 -2人
盛岡 219人 1人 富山県 237人 -1人 大阪 2,213人 -10人 合計 40,643人 -82人
北上 128人 0人 石川 311人 -1人 兵庫県 1,454人 1人  
宮城県 575人 1人 福井県 280人 2人 鳥取県 241人 -1人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/伊野純子)

■支部ネット担当より

 12月8〜9日に東京で開催いたします第1回全国ブロック連絡会議ですが、これまでのところ北海道から九州・沖縄までの全ブロックより、28支部37名のお申し込みをいただきました。ありがとうございました。
 参加申し込みは、引き続き受け付けております。他のブロックの皆さんと交流できる数少ない機会と思いますので、ぜひご出席ください。開催要項は本通信7月号9月号に掲載しております。
 なお、協定ホテルは混雑のためお取りできにくくなっております。予めご了承ください。
 お申し込み、お問い合わせは、下記へお願いします。

 本通信は電子メールでもお送りしています。転送も簡単で、支部内の情報共有が効率化できます。お申し込みは支部単位で右記のメールアドレスまでどうぞ。一支部あたり2アドレスまでご登録いただけます。
 また本通信のバックナンバーは、インターネットから閲覧できますのでご利用ください。URLは次のとおりです。
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/index.html

(会員室長/小林豊)

支部ネット通信 第44号
◆発行
 財団法人日本野鳥の会 2007年11月19日
◆担当
 会員室
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