No.76 2010年7月号


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目次 ■ブロックの動き
 中部ブロック会議 出席報告
 九州沖縄ブロック運営協議会 報告訂正
■支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■理事会・評議員会議事録
 平成22年度第1回理事会(定例)議事録
 平成22年度第1回評議員会(定例)議事録
■事務局からのお知らせなど
 カンムリウミスズメ
 カレンダーの名入れ印刷 ご注文受付中
 カレンダー2011 採用作品決定
 名称等変更のお知らせ
 支部名称変更に関するお願い
 事業報告、事業計画などをホームページへ掲載
 会費口座の変更は事前にご一報を
 会員数

ブロックの動き

■中部ブロック会議 出席報告■

【日時】2010年6月12日13:30〜13日12:00
【場所】長野県白馬村
【主管】長野支部
【出席】愛知県支部、伊那支部、石川、軽井沢、岐阜県支部、甲府支部、諏訪、遠江、新潟県支部、沼津支部、富士山麓支部、福井県支部、三重県支部、南富士支部、長野の17支部から45名の参加があった。
財団からの出席は、安西英明(理事)、葉山政治(自然保護室室長)、林山雅子(普及室)の3名
【欠席】白馬村長 様
【来賓】木曽支部、佐渡支部、東富士支部、南伊豆支部
【協議事項・議事内容】

    1.挨拶と紹介
    • 長野 小柳守男 支部長
    • 白馬村長 太田紘熙
    • 財団 安西英明 理事
    • ブロック選出理事 高木清和
    • ブロック選出評議員 伴野正志、石部久
    2.協議
    ● 「バードウォッチングと生物多様性」と題して、安西理事より講演が行われて
    ● 支部連携の野鳥情報ネットワークの構築について(葉山政治 自然保護室)
    自然保護室 葉山室長より野鳥情報の共有のためのメーリングリストと探鳥会情報の活用のための野鳥情報ネットワーク構築の提案と説明を行った。
    <意見・提案>
    • 協力するので取り組みを進めてほしい。また情報共有ということでは、支部ネットにある支部報トッピックを野鳥にも掲載して欲しい(新潟県支部)
    ● 探鳥会について(林山雅子 普及室)
    バードウィークに行った一斉探鳥会の実施状況の報告と「ミニミニ野鳥図鑑」の配布状況について報告
    • 37支部で47回の探鳥会が行われ、非会員の参加も36.2%があった。
    • 支部探鳥会を通して13000部、一般よりの申し込み3000部等があり、21000部を一般配布、残部が9000部であった。
    ●平成22年度第1回理事会の報告(高木清和 ブロック選出理事)
    理事会報告として、決算についての報告と、公益法人以降までの執行体制について報告がなされた
    ●公益財団法人以降後における中部ロックの存続について(高木清和 ブロック選出理事)
    公益財団法人移行後の中部ブロックの存続について、公益財団法人の定款案でも従来どおりブロックの設置について、明記されておりブロックの存続の確認がなされ、全会一致で承認された。
    ●公益財団法人移行後における本部と支部の関係について、日本鳥類保護連盟について、標識調査について(沼津支部 本田巧)
    標記三件について質問があった。
    安西理事より、連携団体という名称になるが本質的には変化がないとの説明がなされた。
    鳥類保護連盟の釣り糸の被害調査業務の内容、標識調査については、それぞれ、鳥類保護連盟、山階鳥類研究所に問い合わせてもらうことが適当となった。
    ● カワアイサの漁業被害について(諏訪支部 林正敏)
    • 諏訪湖でここ数年、急増し漁業関係者との軋轢を生んでいる。
    • 支部調査では、2000年に268羽だったものが、2008年には1572羽となった。
    • 漁協等では追い払いが行われているが、効果は出ていない。
    • 各支部の状況を聞きたい。
    <意見>
    近隣の支部では、カワアイサの増加の報告はなかった。
    ● 中部ブロック会議規約について(長野支部 小柳守男)
    財団の公益財団法人への移行を受けて、中部ブロック会議規約の改定の提案がなされ、全会一致で了承された。本部等の用語について、財団で持ち帰り問題がないか確認することとなった。
    ● その他(軽井沢支部 渡辺憲一)
    トリーノについて、支部会員に人気がない。支部に送られてもあまってしまうとの意見があり、また赤字についての懸念が述べられた。
    • 安西理事より、トリーノのターゲットが非会員であり、そのためのツールとしては一定の効果があるとの説明がなされた。
      支部内では不人気だが、ワイルドアート展の際には、人気だった。支部宛は不要。効果的な配布先を検討して欲しい。(愛知 新實豊)
    ● 次年度開催県について
    富山県支部より、場所はまだ未定だが、次年度富山で開催するとの挨拶が行われた。
    3.講演会
    【講演】
      講師 マイク・ノートン (長野支部・信州大学大学院教授)
      演題 イギリスのBirding
      概要
    • RSPBの活動とイギリスの探鳥文化の紹介
    • イギリスでの野鳥減少の要因
    • 農地や宅地の多様性確保による取り組みの紹介
    • 地球温暖化の事例
    • 野鳥の会1会員として、森林資源と生態系保全および気候変動に対してできることの提案
    4.懇親会
     夕食後、懇親会が行われ、各支部および財団での情報交換を行った。
    5.探鳥会
     13日、5時30分より、会場周辺での早朝探鳥会、その後姫川源流・親海湿原で野鳥観察を行った後、大町市立山岳博物館の見学を行った。
     なお、探鳥会は同日行われた学生バードソンへの協力の募金をいただいた。

(自然保護室長/葉山政治)

■九州沖縄ブロック運営協議会 報告訂正■

 先月号に掲載しました九州沖縄ブロック運営協議会の出席報告記事で、出席支部名に宮崎県支部が抜けておりました。宮崎県支部からは前田支部長が出席されており、あわせて11支部15名の参加でした。
 お詫びして訂正いたします。

(会員室長/小林豊)

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。


○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.516

●2010/5 苫小牧
・鵡川河口付近シギ・チドリ調査
●2010/4-5 宮古
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
●2010/4 千葉県
・千葉県内カモメ事情
・広がる動物ネット中継 (2/12 讀賣新聞)
●2010/4 神奈川
・緑の基本計画
●2010/5 愛知県
・アカアシシギの越冬事例
●2010/4-5 京都
・2009年度ガンカモ調査報告
・自然観察でメシが食えるか?
●2010/5 徳島
・ガンカモ、ハクチョウ類生息調査報告
・モニタリングサイト1000シンポジウム
・つるぎトレイルランニングレースについて
●2010/5 筑後
・2010年ガン・カモ調査報告

●2010/5 苫小牧
・鵡川河口付近シギ・チドリ調査
 09/3〜10/2、月別の最大数を把握した。31種が確認され、トウネン600羽(5月)、ハマシギ200(5)、ホウロクシギ87(5)、ムナグロ25(5)、コチドリ24(4)、タカブシギ20(8)、キアシシギ14(5)、ダイゼン12(9)、シロチドリ10(4)、ソリハシシギ9(5)等。
(苫小牧「あおさぎ」NO.170,P7)

●2010/4-5 宮古
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
  2/21、三陸沿岸、北上川流域の21個所を調査した。三陸で、オオワシ9羽(内成6)、前年より4羽減、オジロワシ2(成2)、前年より2羽減。北上川流域で、オジロワシ8(成6)、前年と同じ。普代海岸、山田湾、船越湾では最近見られない。
(宮古「ミサゴんの海」NO.209,P2〜3、P6)

●2010/4 千葉県
・千葉県内カモメ事情
 銚子で多種、多数のカモメ類が見られるのは、沖合で黒潮と親潮がぶつかり、 利根川から淡水が流れ込むためである。銚子港のカモメ基本8種は、シロ、ワシ、セグロ、オオセグロ、ウミネコ、カモメ、ユリ、ミツユビで、その他標準和名が無いカモメ類も飛来する。千葉県の岩礁環境ではオオセグロが多く、東京湾内はセグロの比率が高い。秋からカモメ類を見始めると、幼鳥が第一回冬羽に変わる様子が見られる。
(千葉県「ほおじろ」NO.348,P3〜6)

・広がる動物ネット中継 (2/12 讀賣新聞)
 1月、野鳥の会と明治乳業は共同管理する根室市の野鳥保護区のライブ映像をネットで公開し始めた。また、環境省は国立公園に約40個所設置したカメラで、風景や野生生物の画像を「インターネット自然研究所」http://www.sizenken.biodic.go.jp/で1時間に1回公開している。動物園、水族館でも動物の様子をネットで中継する例は多い。
(千葉県「ほおじろ」NO.348,P12)

●2010/4 神奈川
・緑の基本計画
 自然保護は後追いの形を余儀なくされてきた。近年、法的整備がされたものに緑の基本計画があり、都市緑地法に基づき、市町村が策定する緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画の通称である。策定の際、公聴会等で住民の意見を反映し、計画は公表される。必要に応じ、概ね5年を目安に見直しされる。国交省によると、H17/3現在、計画策定済みの市町村は629、策定中は143で、身近な緑地はどのような位置け、将来計画になっているのか、確認してみては。
(神奈川「はばたき」NO.455,P2〜3)

●2010/5 愛知県
・アカアシシギの越冬事例
 アカアシシギ2羽が藤前干潟鳥獣保護区内にある庄内川河川敷で、11月から今年3月まで越冬した。九州以南で越冬するものはいる。正常な若鳥2羽で、昆虫類の幼虫や甲殻類等を食べるとされるが、干潟でゴカイを捕食した。アオアシシギ、エリマキシギ、トウネン、オグロシギ、ヒクイナ等の越冬情報もある。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.279,P5)

●2010/4-5 京都
・2009年度ガンカモ調査報告
 1/9〜11を中心に、府からの委嘱で府内192個所を調査した。結果はオオハクチョウ5、コハクチョウ14、コブハクチョウ2、カモ類18,242で前年より約1割減少した。内訳は、マガモ5,068、コガモ4,010、ヒドリガモ2,741、カルガモ2,212、スズガモ643、オシドリ599、ホシハジロ543、オナガガモ532、オカヨシガモ514、ヨシガモ470、キンクロハジロ437、ハシビロガモ275等。ヨシガモは年々増加している。琵琶湖に1,600羽も飛来するミコアイサは京都では毎年数羽しか記録されない。シノリガモは日本海側に28羽。カワウは1,534羽で前年より約1割増。
(京都「そんぐぽすと」NO.163,P9〜13)

・自然観察でメシが食えるか?
 大阪自然史フェスティバル2009で、「自然を仕事相手にしてみよう」のシンポジウムがあり、野鳥専門旅行代理店、ビデオ制作会社、環境アセス会社、NPO代表、国立公園レンジャー、環境教育コーディネーター、イラストレーター、博物館学芸員が出席した。環境アセス、環境教育では、自治体以外に企業からの仕事が増えている。公園レンジャーは欧米に比べるとスタッフが少なく、仕事が大変と言う。8名中、生活できる収入を得ているのは3名、5年後も今の仕事を続けていると思うのは4名、社員を雇う気がある人は5名と未だビジネスとしては簡単ではない。
(京都「そんぐぽすと」NO.163,P14)

●2010/5 徳島
・ガンカモ、ハクチョウ類生息調査報告
 1月、徳島県内を調査した。結果はコハクチョウ1、カモ類17種、23,527羽であった。内訳はヒドリガモ8,867、マガモ4,862、コガモ2,571、ホシハジロ1,932、カルガモ1,229、キンクロハジロ1,007、オカヨシガモ936、オシドリ691、スズガモ516、オナガガモ342、ハシビロガモ261等。マガモは年々減少し、06年の半分。
(徳島「野鳥徳島」NO.380,P8)

・モニタリングサイト1000シンポジウム
 1/30、約200名が参加し、東京で開催された。モニタリングサイト1000はH15年度より環境省が日本の代表的な生態系を「長期的、定量的にモニタリング」し、自然環境保全施策に役立てるものである。野鳥関連では、陸水域調査は市民参加型で、干潟調査と共にラムサール保全活動の資料になっている。シギチ調査では夜間の調査、餌の調査等の報告もされた。質疑応答では「他の生態系との繋がりの解明」「成果の公表」「組織作りと後継者」「調査マニュアルを途中で変更しないこと(センサス法の変更?)」が出た。
(徳島「野鳥徳島」NO.380,P9)

・つるぎトレイルランニングレースについて
 新聞で、5/16に徳島県那賀町の剣山でトレイルラン大会が初めて開かれる事を知る。人一人がやっと通る山道を大勢(コースにより、250名+200名)で走り抜けるのは問題である。4/16、本会は徳島県自然保護協会、パンダクラブ徳島と連名で、同大会実行委員会と同実行委員である徳島県知事へ要望書を出した。
国定公園の特定植物群落、国設鳥獣保護区特別保護地区に対し、コースはそのままで、環境に配慮した運営をする、追い抜き時は声をかけ登山道からはみ出さない事の周知、前日に自然保護をPRするとしか返答はない。
(徳島「野鳥徳島」NO.380,P10〜12)

●2010/5 筑後
・2010年ガン・カモ調査報告
 1/12〜19、23個所を調査した。総数9,115羽、内訳はヒドリガモ3,214、オナガガモ2,031、マガモ1,681、カルガモ953、コガモ621、キンクロハジロ175、オカヨシガモ112、オシドリ96等。カワウ343。
(筑後「まめわり」NO.109,P10)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.517

●2010/5 札幌
・ギンムクドリ参上
●2010/5-6 宮城
・サギカラーリングを探せ
●2010/5 埼玉県
・ズグロチャキンチョウ
●2010/5 東京
・80年前の日本初の野鳥写真集
●2010/5 大阪
・傷病鳥救護の現場から
・密猟鳥・押収から放鳥まで
・大阪府ガン・カモ類生息調査の報告
・迷鳥に迷想
●2010/5 岡山県
・錦海塩田跡地の自然環境について
・ブッポウソウ保護活動の近況
●2010/5 熊本県
・ノドアカツグミ
・野鳥の飼養と密猟

●2010/5 札幌
・ギンムクドリ参上
 ここ数年、ムクドリは札幌市の大通の樹木に冬塒し、今冬はJR琴似駅近くに塒がある。そこに同居していたギンムクドリ1が、近くの餌台に来て、塒がなくなると同時に姿を消した。
(札幌「カッコウ」NO.322,P15)

●2010/5-6 宮城
・サギカラーリングを探せ
 07〜09年、県内のサギのコロニーで、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギの雛に金属リングとカラーリングを装着し放鳥した。見た人は山階鳥研か宮城支部へ連絡下さい。確認例として、ダイサギ:07/10 沖縄県、09/10 台湾、08/12宮古島(死体)、チュウサギ:07/9 青森県おいらせ町(死体)、アオサギ:10/1埼玉県上尾市(保護後死亡)。
(宮城「雁」NO.241,P17)

●2010/5 埼玉県
・ズグロチャキンチョウ
 3/14〜17、蓮田市で観察、撮影された。開けた草地に、スズメ、カシラダカが採餌すると、遅れて降りて来る。日本鳥類目録には飛島、八丈島、渡嘉敷島、与那国島への迷行記録があるが、飼鳥として多数輸入されており、籠脱けの可能性もある。そのため、支部の確認記録種リストに入れず、確認保留種リスト(仮称)を検討する。
(埼玉県「しらこばと」NO.313,P9)

●2010/5 東京
・80年前の日本初の野鳥写真集
 1930年、三省堂から「鳥類生態写真集第1集」(鳥類学者内田清之助、野鳥写真家下村兼史共著)が発行された。翌年に第2集が出ている。下村氏は当時の野鳥世界のスーパースターで、没後、数多くの野鳥写真が山階鳥研に寄贈された。データベース化された塚本洋三氏が代表のバード・フォト・アーカイブスで下村氏の写真が見られる。
http://www.yamashina.or.jp/hp/hyohon_tosho/shimomura_kenji/06_riyouhouhou.html
(東京「ヨリカモメ」NO.655,P10)

●2010/5 大阪
・傷病鳥救護の現場から
 99年、大阪府傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア制度が発足し、無償活動が続けられてきたが、大阪府は第10次鳥獣保護事業計画で「府と民間団体が協議して、保護飼養の拠点施設として、鳥獣保護センターの早期整備に努める」と記載された。08/9、支部の保護部のメンバーを中心に、プロジェクトチームが発足し、今年1月、NPO法人日本バードレスキュー協会設立に至った。従来の救護センター機能以外に、環境教育、自然保護思想の普及、実践活動、社会への情報発信を行っていく。
(大阪「むくどり通信」NO.207,P3〜5)

・密猟鳥・押収から放鳥まで
 外国産の野鳥の場合、ワシントン条約等で禁止されていない限り、国内で飼養が認められているが、国内で密猟された野鳥とのすり替えが頻発している。同種であっても、識別が可能で、違法飼養が摘発されている。識別して鑑定書を作るが、鑑定人は特に資格が必要とされない。但し、裁判に及ぶ事例では、鑑定人に責任が発生するが、このような受皿体制整備で密猟対策が進む。
(大阪「むくどり通信」NO.207,P7)

・大阪府ガン・カモ類生息調査の報告
 1/9〜17、府内421個所を調査した。コクガン1羽、カモ類19種、43,431羽を記録した。内訳はホシハジロ16,487、ヒドリガモ8,855、キンクロハジロ4,120、コガモ2,635、ハシビロガモ2,476、マガモ2,377、スズガモ1,738、カルガモ1,641、オナガガモ1,379、オカヨシガモ653、オシドリ477、ヨシガモ289等。ツクシガモは02年以降、毎年百羽以上が飛来し、今年の108羽は福岡の695、佐賀の225に次ぐ。カワウは2,806で、前年より1,075も少なく、過去6年で最少。
(大阪「むくどり通信」NO.207,P10)

・迷鳥に迷想
 06〜07年冬、大阪府で2種の迷鳥が記録された。本来の分布域からすんなりと大阪に飛来したとは考えにくい。メジロガモは飼い鳥として人気が高く、籠脱け(escapes)として、飼育中逃げ出し以外に、捕獲輸送中の逃げ出し、放棄、それも日本国内以外もある。キガシラシトドは北海道から日本海沿岸に記録が多く、一旦海から上陸すると、そこで定着する事が多いので、大阪まで飛来するのも考えずらい。欧州では迷鳥が見つかると、羽毛、習性等が詳しく記録され、撮影、出来る限り捕獲し、種の識別作業がされ、後日公表される。この作業はバードウォッチャーの関心を深める。
(大阪「むくどり通信」NO.207,P13〜14)

●2010/5 岡山県
・錦海塩田跡地の自然環境について
 2/2、支部は瀬戸内市市長に同地の自然環境保護について要望書を提出した。岡山県最大の野鳥生息地であるが、水路に面した200haを鳥獣保護区に指定すべく住民意見聴取で賛同を得ているが、所有者の同意がなく、全域が乱場になっている。この200haの浚渫土埋立は、手をつけず自然保護区として残すべき。人の手も入れて生物多様性を保全する。堤防ができる前の海に戻す事も考える。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.178,P2〜4)

・ブッポウソウ保護活動の近況
 吉備中央町(旧加茂川町)のブッポウソウ保護活動は15年目を迎える。昨年、141個の巣箱を架け、108個で繁殖があり、1巣箱当り平均3.9羽の雛、全体で420〜430羽が巣立った。繁殖ペアは毎年、直線的に増加したが、02年頃から100番程度で推移し、巣箱も30〜40個は利用されない。昨年より岡山大学が 生態調査研究に携わっている。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.178,P6)

●2010/5 熊本県
・ノドアカツグミ
 2/16〜3/28、人吉市にノドアカツグミが滞在、ナンテンの実をよく食べた。舳倉島、山口県の海岸等に飛来例はあるが、熊本県では初記録となる。ノドグロツグミの亜種とする説、ノドアカツグミとして独立した種とする説があるが、「日本鳥類目録第6版」(日本鳥学会 2000年)には種、亜種共に記載が無い。
(熊本県「野鳥くまもと」No.275,P4〜5,7)

・野鳥の飼養と密猟
 11/28、29、第17回野鳥密猟問題シンポジウムが熊本市で開催された。野鳥の会会員にも熱心な野鳥飼養愛好家がいる事が示唆され、密猟対策側でも目的の整理と手法の安定化が必要である。商業ベースのブローカー、密猟で生計の一部にしている者、鳴き合せ大会のため大量に飼養する者等は容赦なく取り締まるが、明瞭に故意の犯罪者と線引きができないケースでは、感情で可哀想ではと摘発すると、反発も多く、単なる個々の個体保護に留まってしまう。組織や方法を体系化し、論理的に穏やかに移行するのを願う。
(熊本県「野鳥くまもと」No.275,P10〜13)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.518

●2010/5 福島
・チゴハヤブサ
・阿武隈川ガン・カモ・ハクチョウ生息調査結果
●2010/3-4 栃木県
・南関東エコロジカルネット形成検討委員会
●2010/5-6 群馬県
・ガンカモ調査のまとめ
●2010/5 千葉県
・銚子沖に洋上風力発電の実験施設
●2010/6 南富士
・カモの仲間は電線にとまるか
●2010/6 石川
・鴨池 農水省のため池百選に選出された
●2010/5-6 愛媛県
・ツル類の越冬誘致に関する技術・情報交換会
・佐多岬ハイタカの渡り
●2010/4 長崎県
・今、バードリサーチが面白い
●2010/5 宮崎県
・御池のヤイロチョウシカ対策と観察規制を
・コアジサシ野良猫対策
・県南のノスリ数が増えた
・マガモ、オシドリ珍夫婦(3/31 下野新聞)
・奄美のルリカケス店の軒下で子育て(4/10 南日本新聞)

●2010/5 福島
・チゴハヤブサ
 チゴハヤブサ繁殖地は嘗ては北海道のみとされていたが、弘前ではS45年頃から繁殖が確認されだし、同支部のシンボルバードとなった。その後繁殖地は南下し、今では福島市、長野県須坂市でも繁殖記録がある。いずれも果樹栽培が盛んな地域で、餌としてムクドリ等の野鳥が豊富な所へ進出したと推察する。
(福島「きびたき」NO.194,P3〜4)

・阿武隈川ガン・カモ・ハクチョウ生息調査結果
 1/11、8班に分かれて調査した。結果はオオハクチョウ558、コハクチョウ290、カモ類は計7,853羽で、内訳はオナガガモ4,973、カルガモ998、コガモ626、マガモ592、ヒドリガモ274、ホシハジロ173、キンクロハジロ137等。
(福島「きびたき」NO.194,P8)

●2010/3-4 栃木県
・南関東エコロジカルネット形成検討委員会
 昨年、国交省は同委員会でコウノトリとトキの野生復帰を関東で検討するとした。検討エリアとして利根運河周辺、北総(印旛沼、手賀沼)、房総中部、荒川流域、渡良瀬が挙がっている。それに基づき、2/8、渡良瀬ワーキングが小山市で開催され、野鳥の会は高松が出席した。
(栃木県「おおるり」NO.208,P21)

●2010/5-6 群馬県
・ガンカモ調査のまとめ
 2/19〜22、36個所でカウントした。結果はオオハクチョウ61、コハクチョウ176、カモ類は16種、12,127羽で、前年より約2千羽増。内訳はオナガガモ4,034、コガモ2,092、マガモ2,078、カルガモ1,900、ヒドリガモ1,101等。オナガガモは前年より倍増。カワウは361。
(群馬県「野の鳥」NO.299,P10〜11)

●2010/5 千葉県
・銚子沖に洋上風力発電の実験施設
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京電力は銚子市屏風ヶ浦の沖合3kmで風力発電の実証事業を共同で行うと発表した。今年度から4年間で、日本の気象条件に適したシステムの開発を目指す。直径約90メートルの風車を備える出力2000キロワット以上の発電システムを1基設置する。支部は銚子沖が世界的な海洋鳥の生息域のため、この計画は歓迎できない、実験終了後撤去を要望した。(5月以降の状況を補足した 森)
(千葉県「ほおじろ」NO.349,P2)

●2010/6 南富士
・カモの仲間は電線にとまるか
 アーチ型の鉄橋の下向きの穴にオシドリが営巣し、橋に平行した電線にオシドリがとまるのを見る。他のカモでは如何に。オシドリの雛は孵化後直ぐ、地上に落下するように降り立つが、ここでは15m下が硬い舗装道路で更にその下30mに川面があり、雛は無事出られるのだろうか。
(南富士「さえずり」NO.331,P7)

●2010/6 石川
・鴨池 農水省のため池百選に選出された
 3月、農業、歴史、文化、伝統、風景、生物多様性、地域との係わり等から特徴あるため池が、片野町の鴨池を含む全国100個所が選ばれた。鴨池は水鳥の楽園以外に農業用のため池の役割を持つ。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/tameike/index.html
(石川「石川の野鳥」NO.152,P6)

●2010/5-6 愛媛県
・ツル類の越冬誘致に関する技術・情報交換会
 環境省のツル類分散化検討調査事業として、3/3、同省と野鳥の会主催で四万十市で開催された。分散化の候補地として活動している四万十市、周南市、伊万里市から現状、取り組みについて報告された。マナヅルは先に渡来した個体が後から来る個体を追い出す行動が見られ、群での滞在が難しい。
(愛媛県「コマドリ」NO.196,P2)

・佐多岬ハイタカの渡り
 3/22、佐多岬を通過したハイタカは110羽を記録、10時半から13時に集中した
。 (愛媛県「コマドリ」NO.196,P8)

●2010/4 長崎県
・今、バードリサーチが面白い
 NPO法人「バードリサーチ」は全国のアマチュア調査員、プロの鳥類研究所のネットワークを構築し、鳥の生息状況や生態の情報を集め、それを野鳥の保護に役立てている。主な活動は野鳥の基礎的な情報の収集、改正、データベース化、新しい調査方法の開発、普及啓発等がある。誰でも参加できる調査として、ツバメ観察全国ネットワーク、季節前線ウォッチ、ベランダバードウォッチ・・・。新しい調査では船舶レーダーの使用、鳴声の自動認識・・・。
http://www.bird-research.jp/
(長崎県「つばさ」NO.272,P2〜3)

●2010/5 宮崎県
・御池のヤイロチョウシカ対策と観察規制を
御池野鳥の森はヤイロチョウ営巣地として、公開されている全国唯一の場所で、シカの食害でミミズが減り、一部のカメラマンの追いかけで、その生息が危うくなっている。支部はこれらの事を環境省や県へ報告、対策を求め、環境省の委託監視員がヤイロチョウ渡来時期にパトロールしているが、改善は見られない。支部は入門制限でマナーを守るよう指導し、入村許可書を持たせる規制を環境省に求めていく。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.219,P3〜5)

・コアジサシ野良猫対策
 串間市福島港ではコアジサシの雛が次々に野良猫に襲われ、巣立ちができていない。150羽が飛来し、32羽が孵化したが巣立ちは1羽のみ、巣の放棄42個所に上った。県へ野良猫対策を要望し、県は繁殖地の周囲に張るネットを予算化し、地元団体がネットを張ることになった。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.219,P5〜6)

・県南のノスリ数が増えた
 ノスリの名前の由来は「野面を低空飛翔し獲物を探す」事にある(「野鳥の名前」(山と渓谷社))。宮崎県ではノスリは十数年前から冬鳥として増えている。沖縄県でも少数が冬に渡って来る(沖縄の野鳥:沖縄野鳥研究会編)。10年程前は奄美大島では珍鳥とされていた。今年3月都城市を40羽近いノスリの群が北上したのは、北方系のノスリが冬に南へ渡るのが増えている事を示す。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.219,P11〜12)

・マガモ、オシドリ珍夫婦 (3/31 下野新聞)
 農水省の「ため池百選」に選ばれた栃木県小山市の羽川の大沼に、オシドリ♂とマガモ♀のカップルが誕生した。オシドリは毎年飛来するが、今年はこの♂のみで、オシドリ♂はマガモ♀に寄り添い、他のマガモ♂が近づくと追い払う。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.219,P21)

・奄美のルリカケス店の軒下で子育て (4/10 南日本新聞)
 奄美大島龍郷町で、店舗の軒下でルリカケスが3羽の雛を育てている。08年から営巣があり、今年も3月初旬から巣作りが始まった。外敵から身を守るため、人家に営巣する例も多い。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.219,P23)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.519

●2010/5 いわき
・ハクチョウ類は7%減少
●2010/5-6 栃木県
・栃木県RDB改訂作業
・生物多様性とちぎ戦略策定状況
●2010/5 茨城
・蓮田防鳥ネット被害調査報告
・コゲラの骨格標本づくり
●2010/5 神奈川
・外来種カナダガンの捕獲
・ツバメに注意
・ガンカモ調査結果の概要
・「鳥類モニタリングデータの集め方を考える」シンポジウム
●2010/5 筑豊
・福岡県傷病野生鳥獣保護実施要領について
・2010年ガン・カモ調査
●2010/6 熊本県
・県産鳥類目録を作ります

●2010/5 いわき
・ハクチョウ類は7%減少
 環境省のH21年度全国ガン・カモ調査結果を見る。全国のハクチョウ類は67,072羽で前年より7%減った。内訳はオオハクチョウ30,748、コハクチョウ36,809で、H17年以降、コハクチョウ優位である。カモ類は約173万羽である。
http://www.biodic.go.jp/gankamo/seikabutu/data/h21gankamo_4.pdf
(いわき「かもめ」NO.102,P3)

●2010/5-6 栃木県
・栃木県RDB改訂作業
 改訂作業1年目の鳥類の状況は、新たにレッドリストに加える種(案)として、コサギ:北日本では生息状況が悪化、シロチドリ:人為的な撹乱で減少、ヤマセミ、マミジロの4種、逆に生息状況改善はキバシリ1種。今年度の調査結果を踏まえ、最終判断される。
(栃木県「おおるり」NO.209,P14)

・生物多様性とちぎ戦略策定状況
 3/23の第4回検討委員会の第一次素案を承認、今後二次素案協議、県民のパブリックコメントを経て、本年秋に策定される。目標は多様な生物とそれらのつながりを育む社会、将来にわたり、生物多様性からの恵みを分かち合う社会、多様な主体の協働による自然との共生を守り育てる社会を目指す。現状と課題は動植物の生息域の分断化、手入れ不足や耕作放棄の増加、一部の鳥獣による生態系や農水産業への被害、地球温暖化、組織作り等。
基本理念、(栃木県「おおるり」NO.209,P14〜15)

●2010/5 茨城
・蓮田防鳥ネット被害調査報告
 1月後半〜2月中旬、蓮田での防鳥ネットの野鳥羅網事故を調査した。総計1,205羽で過去2年と大差なかった。監視の目が多い場所、区画整理が進み、きちっと網を張った場所では羅網事故は減った。ネットに掛かった野鳥をカラスやオオタカが食べ、2次的にそれがネットに掛かっている。羅網の内訳は、不明種カモ336、オオバン313、コガモ187、ヒドリガモ107、ゴイサギ34等。
(茨城「ひばり」NO.295,P3)

・コゲラの骨格標本づくり
 指導を受けながら、コゲラの遺体から骨格標本を作った。8/18、遺体をネズミ捕りの金網に入れ、草むらで虫に食べさせ、67日後、骸骨に羽毛が残る状態になった。それを中性洗剤に10分程漬け、ピンセットで慎重に羽毛等取り除く。骨をバラバラにし、脊椎に針金を通し、関節は接着剤でつなぎ、骨格を組立てた。参考書:解剖男 遠藤秀紀(講談社現代新書)、鳥の骨探 松岡廣繁(エヌ・ティー・エス)。
(茨城「ひばり」NO.295,P4〜5)

●2010/5 神奈川
・外来種カナダガンの捕獲
 北米原産のカナダガンは輸入されたものが逃げ出し、富士五湖周辺に50〜60羽が生息し、その分散が丹沢湖に定着したと考えられる。同地では93/5頃から見られ、95年以降、繁殖し、現在11羽がl確認されている。カナダガンは飼育下も含めガンカモ類8種との交雑が報告された。シジュウカラガンとの交雑を防ぐよう、学術捕獲認可で今回7羽を捕獲し、動物園の飼育下におき、2羽にカラーリング装着放鳥した。足輪付を見た時は神奈川県立生命の星・地球博物館(FAX0465-23-8846)へ。富士五湖地域でも対策が進む事を期待する。
(神奈川「はばたき」NO.456,P2〜3,16)

・ツバメに注意
 支部の鳥類目録5集までにあるツバメの観察カードは3,310枚で数で14位の種であるが、繁殖に関わるカードは460枚と少ない。ツバメが捕食した虫はトンボ5枚、ハエ2枚、チョウ、ユスリカ、バッタ、羽アリ各1枚と僅かしか記録がない。塒も河原のヨシ原の大規模以外の街路樹等での小規模のものは記録も少ない。ツバメに注目し、もっと多くの記録を取りたい。
(神奈川「はばたき」NO.456,P4)

・ガンカモ調査結果の概要
 1/17の前後1週間で県内81箇所を調査した。カモ類17種、17,765羽を記録した。前年と同じ調査場所ベースで約1割減少した。内訳はコガモ4,328(♂/♀比0.8)、ヒドリガモ3,176(同1.2)、カルガモ2,517、スズガモ2,209(0.8)、キンクロハジロ1,346(1.9)、マガモ944(1.1)、オナガガモ726(1.3)、ホシハジロ690(1.9)、オシドリ220(2.3)等。カワウは1,197羽で、前年より50%以上増えた。
(神奈川「はばたき」NO.456,P6〜7)

・「鳥類モニタリングデータの集め方を考える」シンポジウム
 1/19、日本鳥学会主催で開催された。モニタリングは生物多様性を測る健康診断で、適切な治療で多様性が維持できる(藤田剛氏)。モニタリングサイト1000の成果が報告され、ラインセンサスからスポットセンサスへの変更が説明がされた(植田睦之氏)。海鳥は多くはコロニーで繁殖するため、繁殖に関するパラメーターが得やすい(新妻靖章氏)。ガンカモ調査等の参加型調査では調査地点の変化を補正ソフトTRIMで補正し、全体像を明らかにし、潜水採食型のカモが増え、水面採食型が減っているのが報告された(神山和夫、笠原里恵)。
(神奈川「はばたき」NO.456,P12)

●2010/5 筑豊
・福岡県傷病野生鳥獣保護実施要領について
 福岡県環境部は同要領書(案)で下記は保護の対象外とするとした。雛、出生直後の幼獣、農水産業で毎年多数有害駆除されている種、特定外来生物、感染症の疑いのある鳥獣、狩猟、有害駆除で負傷した鳥獣、自然界の要因での負傷した鳥獣。問題点をし指摘した結果、県の回答は環境省の基本指針に基づいたガイドラインで、各傷病野生鳥獣医療所の弾力的な運用を妨げるものではないと追記された。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.387,P18〜20)

・2010年ガン・カモ調査
 1/8〜11、5箇所で調査した。総計1,190羽で内訳はマガモ605、ヒドリガモ141、カルガモ126、キンクロハジロ98、オシドリ92、ホシハジロ60、コガモ50等。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.387,P21)

●2010/6 熊本県
・県産鳥類目録を作ります
 野鳥統計の整備を目的に、目録準備委員会を発足させ、情報提出用カードの作成、過去の支部法の電子化で、熊本県産鳥類目録を5年に1回程の発行を目指す。09年末までの熊本県で記録されたものは367種である。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.276,P11〜12)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.520

●2010/6 オホーツク
・ニシイワツバメ、ミドリツバメ
●2010/6 やまがた
・乱川河口におけるオオタカ問題
・鳥海山における野鳥の大量死
●2010/6 埼玉県
・支部探鳥会記録より
●2010/6 福井県
・コウノトリの長期滞在に備えて
●2010/6 伊那
・キジ
・越冬するコハクチョウ
●2010/6 愛知県
・「殿様、ECOを考える-自然へのまなざし」展
●2010/6 三重
・松阪市白猪山風力発電建設計画へ要望書
●2010/6 徳島
・第十堰運動回想記その1
●2010/6 筑豊
・ホトトギスを詠む
・見島探鳥記

●2010/6 オホーツク
・ニシイワツバメ、ミドリツバメ
 ニシイワツバメ(またはシベリアイワツバメ)は、日本ではイワツバメの1亜種とされているが、世界的には別種が一般的である。ユーラシア大陸全域に分布し、ロシア極東部に繁殖分布するのが本種とされる。ミドリツバメは北米大陸に分布し、62/10、襟裳岬灯台にて衝突死の記録があるが、日本鳥学会は「論文発表されていない」等の理由で、日本の記録と認めていない。筆者は95/5、霧多布岬で観察したが、撮影出来ず、発表が叶っていない。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.277,P8)

●2010/6 やまがた
・乱川河口におけるオオタカ問題
 08/5、オオタカが餌を持って河川林に入るのを目撃し、繁殖を確認した。09年は営巣木を替え、繁殖した。10/2、国交省は事前調査でオオタカ確認、専門家のアドバイスを受け工事していたにも拘らず、施行業者は営巣木を含む河川林を伐採した。当会は管理徹底を申し入れた。しかし、オオタカは僅かに残された林に移動し、営巣している(5月)。
(やまがた「やませみ」NO.75,P10)

・鳥海山における野鳥の大量死
 5/2、鳥海湖を2時間ほど周回した時、雪面に多数の野鳥の死骸を見る。キビタキ、コマドリ、アトリ、センダイムシクイ、ウソ等で50羽以上になる。4/29〜30、県内は荒れた天候で、吹雪に遭って渡ってきた野鳥が災難に遭ったらしい。5/1、中央アルプス千畳敷カールでも悪天候でキビタキが死亡(伊那支部報 2010/6)。
(やまがた「やませみ」NO.75,P11)

●2010/6 埼玉県
・支部探鳥会記録より
 95年以降現在まで探鳥会が継続している県内26探鳥地のデータを集めた。年度別出現種数は増減傾向見られないが、生息数の増減は数の記録が無く不明。総出現回数は留鳥:78.7%、冬鳥:17%、夏鳥:4%、旅鳥:0.3%(15年間で15種で107回)。
オバンは84〜95年に6回のみの記録が、98〜09年は145回と出現が大幅増加。カワウは87〜87年に1回のみが、97年以降は出現率90%に。ウソは06年秋〜07年冬に集中して出現。シラコバトは26探鳥地では07年の1回を最後に、記録が途絶えている。県内探鳥会では松伏町、幸手市等で僅かに記録され、風前の灯である。
(埼玉県「しらこばと」NO.314,P2〜3)

●2010/6 福井県
・コウノトリの長期滞在に備えて
 豊岡市のコウノトリ郷で放鳥された個体が4月から越前市に飛来し、長期滞在し、問題も生じている。カメラマン等の物見遊山的な人が増え、コウノトリへの脅威になっている。コウノトリを呼び戻そうとして、行政と地域民が取り組むべきものである。餌の確保が大変で、冬みずたんぼ、圃場整備で用水路と水田の繋がりが重要になる。行動範囲が広い鳥であるので、広域での取り組みも必要となる。当会は生態的なデータ収集をし、餌場のあり方提言、地域活動への支援等で役割を果たす。
(福井県「つぐみ」NO.156,P2)

●2010/6 伊那
・キジ
 現在野外で生息しているキジは、放鳥した東アジア原産のコウライキジとの交雑で、純粋な日本産ではない。この放鳥は大正時代から始まり、戦後は狩猟鳥として北海道以外、全国で放鳥された。日本鳥学会の推薦で1947年、国鳥になった。日本特産の鳥である以外に、母性愛の象徴である「焼け野のキジ」の故事、桃太郎の昔話に出てくる事で決まった。
(伊那「かわせみ」NO.30,P2)

・越冬するコハクチョウ
 コハクチョウは江戸時代には東京の不忍池にも来ていた。近年、雪が降っても人が餌を与え、氷を割って水面を確保するため、南へ渡って行かないものがいる。今年、駒ヶ根市の天竜川でハクチョウが越冬した。ここでは、安心して休む場所があり、川沿いの水田で餌を取っている。こうした場所がハクチョウ本来の越冬場所である。
(伊那「かわせみ」NO.30,P6)

●2010/6 愛知県
・「殿様、ECOを考える-自然へのまなざし」展
 今年、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれる。それを記念して、徳川美術館で同展示会を7/25まで開催している。先人たちの記録や絵画を展示している。「張州雑志」では、200年程前、熱田に来ていたアホウドリの幼鳥の絵がある。熱田の海辺でアホウドリが見られたのは驚きである。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.280,P8)

●2010/6 三重 ・松阪市白猪山風力発電建設計画へ要望書
 支部は1月、関係行政、事業計画者へ要望書、意見書を提出した。クマタカの生息、繁殖への脅威になり、サシバ等の渡りルートに当るため、同建設の中止を求める。三重県環境影響評価条例に基づくアセスメント実施を求める。県はアセス対象外事業であるが、事業者が自主アセスするので、県の意見を伝えると共に、地域の論議を注視していくとの回答があった。
(三重「しろちどり」NO.64,P5〜8)

●2010/6 徳島
・第十堰運動回想記その1
 1/23、第十堰改築計画に対する住民運動の締めくくりである「10年目の123・あなたの吉野川、第十〜流域〜民主主義」が徳島市で開催された。17年前、現堰を撤去し、下流1.2kmに可動堰の計画があるのを知らされる。当時は長良川河口堰反対運動が全国的に取り上げられており、支部はまず釣り仲間に声を掛けた。93/8、支部は建設大臣に質問状を出し、建設省への市民団体の第一声になった。「反対する会」ではなく「疑問を呈する会」の立場で、93/9、第一回吉野川シンポジウムを開催、94/8、建設省との話し合いでは平行線で、各分野からの運動の輪が広がりだした。建設省、徳島県は可動堰計画を益々強行に推し進め、市民団体は最後の手段として住民投票に向かう事になった。
(徳島「野鳥徳島」NO.381,P4〜5)

●2010/6 筑豊
・ホトトギスを詠む
 万葉集で詠まれた鳥は、ホトトギス156首、ツル113、ガン67、ウグイス52・・・でヒバリは2首、ツバメ、モズは僅か1首。古来、詩歌の情趣の源泉は野鳥の囀りや渡り鳥の懸命な姿が引き金になっているのではないか。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.388,P4)

・見島探鳥記
 4/20〜24、山口県の見島へ渡った。数が多いのはメジロ100、アトリ100、カシラダカ70、ノビタキ60、ツグミ50、ミヤマホオジロ30、ミヤマガラス26、シロハラ20等。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.388,P22)

 

(自然保護室ボランティア・神奈川支部/森 要)

理事会・評議会議事録

■平成22年度第1回理事会(定例)議事録■

【日時】平成22年5月29日(土) 10:00〜11:54
【会場】(財)日本野鳥の会 西五反田事務所会議室 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル3F 
【現在理事数】17名(うち出席理事13名)
【出席理事】
柳生 博、佐藤 仁志、鈴木 君子、吉田 新、滑志田 隆、安西 英明、飯塚 利一、花田 行博、小室 智幸、河地 辰彦、
高木 清和、日比野 政彦、野 茂樹/以上13名
(以下委任状出席4名) 西村 眞一、川瀬 浩、磯崎 博司、土屋 正忠
【出席監事】
高松 健比古、門司 和夫 /以上2名
【来賓】
堀内 洋(環境省自然環境局野生生物課課長補佐) /以上1名
【事務局】
岩下路子(総務室室長)、小林豊(会員室室長)、葉山政治(自然保護室室長)、富岡辰先(サンクチュアリ室室長)、古南幸弘(自然保護室室長代理)、奥田秋穂(総務室経理人事グループチーフ)、五十嵐真(総務室総務グループチーフ)、小川富由美(総務室総務グループ)、横田智(総務室経理人事グループ)/以上9名 (出席者合計29名)

10:00開会
会長挨拶
 柳生博会長より、公益法人制度改革に関する取り組みの報告および新制度移行後の「全国連携団体総会(仮称)」に期待する旨の挨拶があった。
来賓挨拶
 環境省自然環境局野生生物課の堀内洋課長補佐より、トキやシマフクロウに関する保護増殖事業の近況報告や「生物多様性条約第10回締約国会議」に関する報告と挨拶があった。
会務報告
 鈴木君子専務理事より、小口寄付が堅調であることやバードウォッチング長靴の売れ行きが好調であること等、最近の事業に関する状況や平成21年度決算の概要等、一連の会務報告があった。

 飯塚利一事務局長より、理事現在数17名中、出席16名、委任状出席1名の17名となり、寄付行為第27条に基づき本理事会は成立している旨の報告があった。
 また、寄付行為第30条に基づく議事録署名人には、高木清和理事と川瀬浩理事が選任された。

第1号議案 会長、副会長、専務理事、常務理事の選出の件
 会長選出の審議では、花田行博理事より、会長は柳生博理事に引き続きお願いしたいとの提案があり、異議なく承認された。
 会長選出に続き、副会長1名、専務理事1名、常務理事3名以内の選出について、花田理事より、柳生会長が仕事を進めやすい方にお願いしたいとの意見があり、柳生会長の指名により、副会長には佐藤仁志理事、専務理事には鈴木君子理事、常務理事には吉田新理事と滑志田隆理事の2名を推薦するとの提案が示され、賛否を問い、異議なく承認された。

第2号議案 平成21年度事業報告及び決算案承認の件
 飯塚事務局長より平成21年度事業報告(案)の概要について、岩下路子総務室長より平成21年度決算(案)について内容説明があり、当期収支差額はマイナス180万円、正味財産期末残高はマイナス約4,500万円であったこと、正味財産の減少は主に減価償却費と特定預金を取り崩して事業費に充てているためであること、本来の目的に沿う形で特定資産を活用し、会員や支援者、寄付の拡充につなげていくことも必要との報告がなされた。
 続いて高松健比古監事より、5月14日に門司和夫監事と共に監査を実施し会計処理等適正であった旨の監査報告があった。さらに門司監事より、財政再建に向け、基金の取り崩しに関して中長期ビジョンに基づいた戦略的な目的を持ったものに限定すべきであること、事業単位毎の採算を明確にし、不採算事業の縮小および撤退が望まれること、業務執行状況に関してPDCAサイクルの定着とその着実な実行をおこなうこと、将来に向け、この度実施した非公式な事務局職員へのアンケート結果を集計した「2020年ビジョン」を手がかりとし、実行計画を策定してほしいこと等が「監査補足意見書」に基づき報告された。
 日比野政彦理事より、「監査補足意見書」の内容に賛成であり、当会事業に関して何らかの新機軸を打ち出していくことに理事会の存在意義がある旨の意見が出された。高野茂樹理事より活発な事業展開が会員増につながるとの意見、また、小室理事より「監査補足意見書」にある「2020年ビジョン」に関する質問があった。これに関して安西英明理事より、門司監事の依頼に基づき職員へアンケートを取り、その結果を集計した段階のものでありまとまった形のものではない旨の返答があった。河地理事より、不採算事業の縮小、撤退との提言に関して、公益法人である当会に対して、企業論理をそのまま適用してよいものかとの質問があった。これに関して、門司監事より公益法人の経営がいかにあるべきかという点について理事を中心に検討を深めるべきとの返答があった。また、飯塚事務局長兼理事より、公益的活動を継続するために収入増が必要であること、前伊藤直人監事の時代にも収入増に関する検討は何度も行われた旨の発言があった。高木清和理事より、当会職員は野鳥に関してプロフェッショナルでなければならない旨の意見、日比野理事より、当会は補助金には頼らないとの気概はなくさず一緒に頑張っていきたい旨の意見が出された。
 以上の審議の結果、第2号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第3号議案 新制度における「定款」の一部変更の件
 五十嵐真総務室総務グループチーフより、新制度移行後の最初の任期の評議員であった浜口哲一氏が5月3日に逝去されたため、「定款」に記載のあった評議員氏名一覧よりお名前を削除したいとの説明があった。
審議の結果、第3号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第4号議案 新制度における「定款」の一部変更の件
 岩下総務室長より、基本財産強化のため、新制度移行後を含め適切な時期に「持田基金特定預金」を基本財産に繰り入れたい、持田氏の了解は得られているとの説明があった。
 小室理事より基金財産繰入後の運用方法に関する質問があり、岩下総務室長より、運用益は基本財産運用収入となり会全体の運営に使われること、基金の運用については、今後も元本割れがないような安全な形で運用していくこと等の返答があった。また佐藤副会長より、特定預金は常務会で改正可能な細則で管理運用しているが、基本財産繰入後はその取り崩しについては、理事会や評議員会の承認が必要となる旨の返答があった。河地理事より、新制度移行後、遊休財産とみなされる可能性がある特定預金について質問があり、岩下総務室長より「財政安定基金」が該当する可能性が高いとの返答があった。
以上の審議の結果、第4号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第5号議案 新制度における「定款」の一部変更の件
 富岡辰先サンクチュアリ室長より、「三菱UFJ信託銀行野鳥保護区酪陽」に隣接しその石碑等を設置している国有地について、当会による永続的な管理を可能とするため購入したい旨の説明があった。
審議の結果、第5号議案について賛否を問い、異議なく承認された。
以上により、11時54分、全ての議事審議が終了した。
 上記の議事を明らかにするため議事録を作成し、議長及び出席理事の名において記名、捺印する。
平成22年6月9日
財団法人日本野鳥の会
平成22年度第1回理事会
 議 長      柳生 博
 議事録署名人  小室 智幸
 議事録署名人  河地 辰彦

■平成22年度第1回評議員会(定例)(第45回)議事録■

【日時】平成22年5月29日(土) 13:58〜16:10
【会場】大崎第一地域センター区民集会所 第1、第2集会室
東京都品川区西五反田3-6-3
【評議員現在数】27名(うち出席評議員数:22名)
【出席評議員】敬称略
■ブロック推薦評議員
【北海道ブロック】  山田 三夫、 盛田 徹
【東北ブロック】   児山 章二
【関東ブロック】   池野 進、  橋口 長和
【東京支部】     川端 一彦
【中部ブロック】   石部 久、 伴野 正志
【近畿ブロック】   鈴木 博、 納家 仁
【中国・四国ブロック】山橋 良治、丸山 健司
【九州・沖縄ブロック】前田 幹雄、広塚 忠夫
■学識経験者評議員
伊藤 勝、遠藤 孝一、曽我 千文、中村 桂子、 蓮尾 純子、樋口 隆昌、松田 道生、横山 隆一/以上22名
【欠席評議員(委任状提出あり)】
■学識経験者評議員
 芦ア 治、安藤 正冶、上田 恵介、川村 研治、国松 俊英 /以上5名
【出席執行役員】
 柳生 博、佐藤 仁志、鈴木 君子、吉田 新、滑志田 隆 /以上5名
【出席監事】敬称略
 高松 健比古、門司 和夫/以上2名
【傍聴】敬称略
 日比野 政彦(理事)/以上1名
【事務局】
飯塚利一(事務局長)、安西英明(主席研究員)、小林豊(会員室長)、葉山政治(自然保護室長)、富岡辰先(サンクチュアリ室長)、古南幸弘(自然保護室長代理)岩下路子(総務室長)、五十嵐真(総務室総務グループチーフ)、奥田秋穂(総務室人事経理グループチーフ)、小川富由美(総務室総務グループ)、横田智(総務室経理人事グループ)、渡辺順子(総務室経理人事グループ) /以上12名
(出席者合計42名 )

14:00 開会
 飯塚利一事務局長より、評議員現在数27名のうち、委任状を含め27名の出席を得て、寄付行為第32条第6項および第27条に基づき、本評議員会成立の旨報告があった。

会長挨拶
 柳生博会長より、公益法人制度改革に関する取り組みの報告および新制度移行後の「全国連携団体総会(仮称)」に期待する旨の挨拶があった。

議長団紹介
 飯塚事務局長より、第1号議案において新議長団が選出されるまでの間、前任期(第11期)の議長団に引き続き議長役をお願いしたい旨の説明があり、議長である松田道生評議員と、副議長である川端一彦評議員が紹介された。

議事日程承認
 前任期の評議員会幹事会代表幹事の遠藤孝一評議員より、5月15日幹事会を開催し本評議員会の議事等について審議したこと、本日の議事にかかる概ねの時間配分案が示され、異議なく了承された。

会務報告
 鈴木君子専務理事より、小口寄付が堅調であることやバードウォッチング長靴の売れ行きが好調であること等、最近の事業に関する状況や平成21年度決算の概要等、一連の会務報告があった。

議事録署名人選出
 寄付行為第32条第6項および第30条に基づき、盛田徹評議員と伊藤勝評議員を議事録署名人として選出した。

●議案審議
第1号議案 評議員会幹事会構成員選出の件
 遠藤代表幹事より、現在は新制度移行までの過渡的な時期であるため、前任期(第11期)の議長団及び幹事会構成員が継続して務める旨の提案がなされ、審議の結果、代表幹事案のとおり下記の5名とすることで承認された。

議 長 松田 道生 (学識経験者評議員)
副議長 川端 一彦 (ブロック推薦評議員)
代表幹事 遠藤 孝一 (学識経験者評議員)
副代表幹事  池野 進 (ブロック推薦評議員)
幹事 曽我 千文 (学識経験者評議員)

第2号議案 平成21年度事業報告及び決算案の同意の件
 飯塚事務局長および各室長より平成21年度事業報告(案)の概要について、岩下路子総務室長より平成21年度決算(案)について内容説明があり、当期収支差額はマイナス180万円、正味財産期末残高はマイナス約4,500万円であったこと、正味財産の減少は主に減価償却費と、特定預金を取り崩して事業費に充てているためであること、特定資産を活用し会員や支援者、寄付の拡充につなげていくことも必要との報告がなされた。
 続いて高松健比古監事より、5月14日に門司和夫監事と共に監査を実施し会計処理等適正であった旨の監査報告があった。さらに門司監事より、財政再建に向け、基金の取り崩しに関して中長期ビジョンに基づいた戦略的な目的を持ったものに限定すべきであること、事業単位毎の採算を明確にし、不採算事業の縮小および撤退が望まれること、業務執行状況に関してPDCAサイクルの定着とその着実な実行をおこなうこと、将来に向け、この度実施した非公式な事務局職員へのアンケート集計結果を手がかりとし、実行計画を策定してほしいこと等が「監査補足意見書」に基づき報告された。
 横山隆一評議員より、「監査補足意見書」に記載のある「2020ビジョン」の公式化の時期、予算主義が現状守られているのか否か、採算事業を明確化した上でそれが不採算であれば縮小・撤退することが望ましいとの監事意見に対し質問があり、安西英明理事より、当該ビジョンは門司監事の依頼に基づき職員へアンケートを取りその結果を集計した段階のものであり、まとまった形のものではないこと、佐藤副会長より、職員アンケートの結果は最大限活用すること、予算主義はきちんと守られていること、岩下総務室長より、基金特定預金に関しては細則に基づき予算に沿った取り崩しをおこなっている旨の返答があった。また、門司監事より、採算が取れない事業についても何らかの目標値などを定めて実行すべきであること、高松監事より、現状不採算でも当会としてどうしてもやらなければならいない事業というものが不明確であり、その明確化や見極めは執行役員や理事会でやるべきである旨の発言があった。
 山田和夫評議員より、不採算事業の見極めや撤退を決定する手続きに関する質問があり、佐藤副会長より、事業の重要度や大きさにもよるが、主要な事業は理事会で見極めることとなる旨の返答があった。池野進評議員より、「Toriino」発行事業はその赤字に見合う額の寄付を呼び込めているのか、呼び込めていないならば不採算事業として止めた方がよいとの質問、意見があった。これに関して小林豊会員室長より、「Toriino」の評価は賛否があること、赤字額に見合うだけの寄付は呼び込めていないこと、鈴木専務理事より、一般の方への普及ツールとして「Toriino」は非常に有効であること、「全国カタログ・ポスター展」において銀賞を受賞するなどその内容やデザイン性についても高い評価を得ているとの返答があった。
 遠藤評議員より、タンチョウ及びシマフクロウの保全事業に関する計画や最終的な目標の有無、計画に基づく現在の評価について質問があり、富岡辰先サンクチュアリ室長より、タンチョウは、ツル保護特別委員会の基本計画に基づき保全事業を20年進めたこと、個体数が1,000羽まで回復し、今後10年間は絶滅危惧種としてのランクが1つ下がる個体数1,700羽、繁殖個体数1,000羽を目指すこと、シマフクロウに関しては、生息地保全を進めてきたが個体数はなかなか増えないため、新たな保全計画を現在計画中である旨の返答があった。
 橋口評議員より、『野鳥』、『Toriino』、『Strix』のコンセプトをそれぞれ明確にすること、『Toriino』は広報普及ツールとして有望であり、編集長や編集委員会を設置し責任の明確化を望むとの意見があった。また松田道生評議員より、『Toriino』が誇る高い質を『野鳥』にも求めたいとの意見が出された。石部久評議員より、『野鳥』に関して発行回数を減らしても、会員の質向上に資するような内容のものを求めるとの意見があった。葉山自然保護室長より、『Strix』は上田恵介評議員を編集長として2011年バードウィークを目標に復刊する予定である旨の返答があった。最後に、曽我評議員より、評議員会議事録を広く職員で共有し業務へ活かしていただきたい旨の意見が出された。
以上の審議の結果、第2号議案について賛否を問い異議なく同意された。

第3号議案 新制度における「定款」一部変更の件
 五十嵐真総務室総務グループチーフより、新制度移行後の最初の任期の評議員であった浜口哲一氏が5月3日に逝去されたため、「定款」に記載のあった評議員氏名一覧よりお名前を削除したいとの説明があった。
審議の結果、第3号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第4号議案 新制度における「会員規程」案及び
「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」案承認の件

 五十嵐総務グループチーフより、本議案は公益認定申請のために必要とされる資料となること、公益財団法人としての登記を停止条件とした承認を得たいこと、また現行規程からの改正点について説明があった。
 審議の結果、第4号議案について原案通り承認し、細部の修正は事務局へ一任することが承認された。

■質問・意見交換等
 池野評議員および前田評議員より、財団本部の2020年ビジョンを出してほしいという意見、盛田評議員および池野評議員よりウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンターの運営の件は昨年検討中ということになったが、採算性だけでは決定できない事項のため、運営のために新たな寄付を募るなどして存続の可能性を検討してほしいという意見、橋口評議員より、新制度への移行後の評議員会の傍聴希望をより早い段階で募っていただきたいこと、評議員会後に評議員との意見交換会の場を設けてほしいという要望が出された。また横山評議員より、財政健全化に向けて会の適正な事業規模や事業の取捨選択等に関する経営上の判断が必要な時期であるとの意見があり、高松監事より会の発展のために新制度移行後に開催される全国の連携団体との総会に期待するとの意見が出された。
 以上により、16時10分、平成22年度第1回評議員会(定例)(第45回)は終了した。
 上記の審議を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人の名において記名、捺印する。
平成22年6月18日
財団法人日本野鳥の会
 評議員会議長 評議員 松田 道生
 議事録署名人 評議員 盛田 徹
 議事録署名人 評議員 伊藤 勝

事務局からのお知らせなど

サンクチュアリ室より

■カンムリウミスズメPJ 伊豆半島で確認できず、三陸沖で確認■

非繁殖期に入った6月は、静岡県伊豆半島と東北地方太平洋岸、北海道東部の3つの海域で洋上調査を実施しました。  東京都伊豆諸島では6月以降の非繁殖期の観察記録がないのですが、伊豆半島では09年8月の洋上調査で1羽観察しており、09年6月の目撃情報も寄せられています。そのため、伊豆半島下田港よりチャーター漁船を出し、約5時間の洋上調査を行いましたが、カンムリウミスズメは確認できませんでした。この調査では、伊豆下田フィッシングの喜久丸のご協力をいただきました。

 東北地方の太平洋岸では、茨城県大洗港と北海道苫小牧港を結ぶ航路で09年9月と08年7月に目撃情報があります。そのためシマフクロウ保護事業で職員が北海道へ出張する機会を利用し、同航路での調査を行いました。その結果、岩手県大船渡の沖合で、4羽のカンムリウミスズメを確認できました。全て成鳥の繁殖羽のようでした。

 また北海道東部では、知床半島羅臼沖で09年8月に目撃情報があります。そのため出張中の職員や北海道配置の職員で、根室半島と知床半島の観光船を利用し調査を行いましたが、確認できませんでした。

 各調査の詳細は以下のとおりです。

A.洋上の個体数調査
(1)伊豆半島

【場所】 伊豆半島・神子元島周辺海域
【方法】 チャーター船でカンムリウミスズメが集まっていそうな海面を航行しながら、目視した個体をカウント(ダブルカウントを避けるように航行コースをとる)
【調査員】 当会職員3名
【日程と結果】 6月24日 8:46〜13:39
観察できず

(2)大洗−苫小牧の定期航路

【場所】 茨城県大洗港−北海道苫小牧港の定期航路に沿う海域
【方法】 フェリーのデッキより洋上のカンムリウミスズメを目視で探す
【調査員】 当会職員1名
【日程と結果】 6月16日 5:57〜18:00 成鳥4羽(岩手県大船渡沖)

(3)根室半島

【場所】 落石港からユルリ島、モユルリ島周辺の海域
【方法】 落石ネイチャークルーズの観光船「昇宝丸」のデッキより、洋上のカンムリウミスズメを目視で探す
【調査員】 当会職員3名
【日程と結果】 6月18日 13:15〜15:40 観察できず

(4)知床半島羅臼

【場所】 羅臼港から知床半島と国後島の中間付近の海域
【方法】 知床ネイチャークルーズの観光船「エバーグリーン」のデッキより、洋上のカンムリウミスズメを目視で探す
【調査員】 当会職員1名
【日程と結果】 6月19日 13:12〜15:32 観察できず

(5)知床半島ウトロ

【場所】 ウトロ港から知床半島の北西岸沿いに知床岬までの海域
【方法】 知床観光船「おーろら2」のデッキより、洋上のカンムリウミスズメを目視で探す
【調査員】 当会職員1名
【日程と結果】 6月20日 10:00〜12:50 観察できず

(サンクチュアリ室/江崎逸郎)

普及室より

カレンダーの名入れ印刷 ご注文受付中

 毎年、皆様からご好評をいただいております「ワイルドバード・カレンダー」。このカレンダーに、皆様の支部(連携団体)名等を刷り込むことができます。探鳥会での販売物として、おつきあいのある関係先様、団体へのご挨拶の品として、ぜひ、ご活用ください。
 7月下旬には各支部(連携団体)販売事業ご担当者様宛に、ご案内書(申込書付)をご送付申し上げます。ご注文は100部以上から25部単位で承っております。
 名入れカレンダーの仕様は「紙綴じ製本」で、各月毎にミシン目で切り離してご利用いただきます。一般販売用カレンダー(ペーパーリング製本)とは製本方法が異なりますので、予めご承知おきください。

●本件についてのお問い合わせは、普及室 販売出版グループまでお願いします。
担当:瀬古 TEL:03-5436-2623 FAX:03-5436-2636 [email protected]

(普及室/瀬古智貫)

カレンダー2011 採用作品決定

 「野鳥も人も地球のなかま」をテーマに、1,219点(応募者241名)の写真作品の中から12点を選ばせていただきました。たくさんのご応募をいただき、まことにありがとうございました。撮影者のお名前の掲載は会誌「野鳥」8月号で、採用作品は9・10月合併号での掲載を予定しております。
 また、「ワイルドバード・カレンダー2011」は9月からの発売を予定しています。ご期待ください。

●採用作品と撮影者(敬称略)
1月 キレンジャク・ヒレンジャク/小田憲佳
2月 タゲリ/中西甚五郎
3月 ヒバリ/上杉和稔
4月 キジ/薮 重幸
5月 ブッポウソウ/小宮山義光
6月 ツメナガセキレイ/石橋孝継
7月 アオバト/高橋充夫
8月 コジュリン/P井俊和
9月 ホシガラス/畔上正一
10月 メジロ/上戸鉄雄
11月 ミユビシギ/秋間佐恵子
12月 オオワシ/内山 暁

●本件についてのお問い合わせは、普及室 販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2623 [email protected]

(普及室/江面康子)

総務室より

名称等変更のお知らせ

 名称などの各種変更や代表者様の交代について、下記の通りご連絡をいただきましたのでお知らせいたします。

●山口県支部(2010年5月29日より)
・支部長の交代
 【新】 上野 俊士郎
 【旧】 梶畑 哲二
・新名称:『日本野鳥の会山口県』
・支部長→会長
※上野様のご連絡先につきましてはお手数ですが、下記担当へお問い合わせください。
総務室総務グループ(担当:田中)
TEL 03-5436-2620  FAX 03-5436-2635 [email protected]

●盛岡支部 (2010年4月1日より)
・新名称:『日本野鳥の会もりおか』
・支部長→代表

●大阪支部 (2010年5月29日より)
・新名称:『日本野鳥の会大阪』
・支部長→代表

●群馬県支部 (2010年5月24日より)
・新名称:『日本野鳥の会群馬』
・支部長→代表

●筑後支部 (2010年6月より)
・新名称:『日本野鳥の会筑後』
・支部長→会長

●京都支部 (2010年6月13日より)
・新名称:『日本野鳥の会京都』
・支部長→代表

●兵庫県支部 (2010年6月13日より)
・新名称:『日本野鳥の会ひょうご』
・支部長→代表

●滋賀支部 (2010年6月20日より)
・新名称:『日本野鳥の会滋賀』
・支部長→代表

●石川支部 (2010年6月より)
・新名称:『日本野鳥の会石川』
・支部長→代表

●大分県支部 (2010年4月25日より)
・新名称:『日本野鳥の会大分』
・支部長→会長

●和歌山県支部 (2010年7月1日より)
・新名称:『日本野鳥の会和歌山』
・支部長→代表

●鹿児島県支部 (2010年4月18日より)
・新名称:『日本野鳥の会鹿児島』
・支部長→代表

(総務室/五十嵐 真、田中 綾)

支部名称変更に関するお願い

 公益法人制度改革への対応に関して、支部名称等の変更をお願いしておりますが、総会あるいは役員会等で変更のご決定をなさった場合は、お手数ですが報告をよろしくお願いいたします。ご報告に際しては、新しい規約を添えて文書にて下記宛までお願いいたします。既にお送りいただいている支部様につきましては、お願いの重複ご容赦ください。

〒141-0031  品川区西五反田3−9−23 丸和ビル3F 総務室総務グループ

(総務室/五十嵐 真、田中 綾)

「H21事業報告・決算」、「H22事業計画・予算」ホームページ掲載のお知らせ

 平成21年度の事業報告と決算、平成22年度の事業計画と予算を当会ホームページに掲載しましたので、お知らせいたします。なお、冊子版につきましては7月末頃に各支部へ発送させていただく予定です。

(総務室/五十嵐 真、田中 綾)

会員室より

■会費口座の変更は事前にご一報を■

 いつも会費関係業務ではお世話になっております。
 公益法人制度の変更に伴い、支部名称のご変更など、手続きを進められていることと思います。会費送金先口座の名称や口座変更の必要がある場合、毎月15日から25日の間の変更手続きは避けていただくようお願いいたします。この期間に、こちらで会費などの送金手続を行ないますので、口座を変更されますと、お支払いが出来なくなります。変更の際は前もってお知らせいただければ幸いです。追って【振替口座変更届】をお送りしますので、記入の上、返送をお願いいたします。

お問合せ先:会員室会員グループまで
TEL:03-5436-2631、FAX03-5436-2636、[email protected]

(会員室/沖山展子)

■会員数■

●7月1日会員数41,222人(対前月-79人 )

 会員数は先月に比べ79人減少しました。
 6月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より-84人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。6月の入会者数は142人で、前年同月の入会者164人に比べ22人減少しました。
 また、6月の退会者数は226人で、前年同月の退会者数231人に比べ5人減少しました。

 表1.6月の入会・退会者数

 

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(7月1日時点)

 
備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(7月1日時点)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)


  本通信は電子メールでもお送りしています。お申し込みは支部単位で下記のメールアドレスまでどうぞ。各支部2アドレスまでご登録いただけます。
 また第1号からのバックナンバーはインターネットでご覧いただけます。URLは次のとおりです
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/index_2010.html

(会員室長/小林豊)

支部ネット通信 第76号
◆発行
財団法人日本野鳥の会  2010年7月22日
◆担当
会員室
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2632
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]