No.91 2011年10月号


バックナンバー一覧に戻る

目次 ■東日本大震災への対応
 会費免除、義援金の対応についてご報告
 双眼鏡など機材の寄贈について
 義援金へのご協力ありがとうございます
■ブロックの動き
 日本野鳥の会中四国ブロック交流会報告
■支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■事務局からのお知らせなど
 藤原岳付近のイヌワシ保全(補足とおわび)
 第11次鳥獣保護事業計画のための指針
 愛知県支部研修会で案内人研修会
 朗報!個人寄付金に税額控除!!
 「支部報とりまとめ発送」次回日程のご案内
 財団事務局の人事異動のお知らせ
 会員数


≪東日本大震災への対応 ≫

■会費免除、義援金の対応についてご報告■

 ただいま、会費免除、義援金のお申し出を順次受け付け、一年間の会費免除の手続きを行い、義援金の中から、第一次配分としてまずお一人一万円をお見舞金としてお送りしています。10月5日現在のお申し出の状況は下記のとおりです。

 今後も、該当する方がこのことをご存知ない、あるいはお忙しくて連絡し忘れているなどのことがないよう、2011年12月末めどに対象となる会員の方にもれなく申し出いただけるように、支部報や『野鳥』誌での告知をさらに継続したいと存じます。 もし支部報などでご紹介いただける場合には、下記を参考にしていただければと思います。

<告知例>

(会員室/猪沢則子)

被災された会員の方への双眼鏡など機材の寄贈について

 双眼鏡、望遠鏡のご寄贈についてご協力をいただき、ありがとうございます。順次お届けの手配をしておりますが、その後も被災された会員の方から機材のご希望は増えており、現在8名の会員の方が、双眼鏡、望遠鏡を希望されています。三脚のみ、接眼レンズのみ、でも結構です。引き続き、皆様のご協力をよろしくお願いします。

<機材寄贈にあたってのお願い>
①寄贈いただける機材をお持ちの方は、まずは以下の、<お知らせいただきたいこと>の項目をお知らせください。順次ご希望者とのマッチングを行い、後日ご連絡させていただきます。
※調整に時間がかかり、しばらくお待ちいただく場合もございます。どうぞご了承くださいませ。 ※当会の保管場所に限りがありますので、お手元に保管のうえ、お待ちくださるようお願いいたします。
②機材の状態については、故障しておらず、相手の方が、すぐに楽しんでいただけるような良好のものをお願いいたします。故障や機材の不備があるものについては、お断り申し上げます。

<お知らせいただきたいこと>
●寄贈したい機材について
①双眼鏡、望遠鏡、カメラ、三脚、ボイスレコーダーなどの種類
②メーカー名
③型番。製造年。色などできるだけ詳しく
● 寄贈したい図鑑について
①書籍のタイトル。発行元。発行年など
● あなたのご連絡先
①お名前 ②会員番号 ③ご住所 ④お電話番号 ⑤メールアドレス ⑥連絡がつきやすい携帯番号などと、連絡してもよい時間
●寄贈した先の方に、あなたのお名前やご住所などをご連絡してもよいかどうかもお教えください。
<連絡先>
※大変お手数おかけしますが、メールかFAXでお願いします。
会員室 会員グループ   メール:[email protected]  FAX:03-5436-2636

(会員室/猪沢 則子)

■義援金へのご協力ありがとうございます■

 おかげさまで9月30日までに、3,253,464円の義援金が集まりました。皆さまのご支援に心より御礼申し上げます。

<全体の内訳>
    個人       112名 1,657,115円
    支部・ブロック等 21支部 1,591,349円
    企業等        1件   5,000円

 義援金の受け付けにつきましては、いったん9月30日までとさせていただきました。そのためホームページからのオンラインの受付は削除いたしましたが、その後にいただいた場合も必ず支援につながるよう活かさせていただきます。
 前述のように、この義援金のなかから、第一次分配金として、42名分420,000円をまずお見舞金といて被災した会員の方にお送りさせていただきました。 第二次分配については、震災から半年過ぎていまだに厳しい状況にある現地の実態から、第一次分配同様、被災した会員の方への支援をまず優先に考え、くわえて被災のひどい地域の支部に対しての支援を検討しています。詳細は次号でお知らせいたします。

(会員室/吉倉浩子)

ブロックの動き

日本野鳥の会中四国ブロック交流会報告

●日時: 2011年5月28日(土)〜29日(日)
●場所: 休暇村 奥大山(鳥取県日野郡江府町)
●主管: NPO法人日本野鳥の会鳥取県支部
●出席: ひろしま(4)、山口県支部(3)、島根(3)、香川県支部(10)、岡山県支部(2)、徳島県支部(1)、高知支部(6)、愛媛県(3)鳥取県(22)、公益法人(3)の10連携団体より合計57名が出席(()内は各参加人数)。公益財団法人からは佐藤仁志理事長、金井裕主席研究員、古南幸弘自然保護室長代理が出席しました。

交流会の内容:

●交流会 5月28日 14:00〜17:30

  1. 主催者挨拶
    日本野鳥の会鳥取県支部福田紀生支部長から以下のような挨拶がありました。
    • 昨年12月香川でのブロック交流会以来、鳥インフルエンザの発生への対応に追われた支部もあり、ブロックとしては愛玩飼養目的の捕獲の中止を求める要望書を環境大臣に提出する等の動きもあった。皆様ご苦労様でした。
    • 本日は、自然保護憲章発祥の地としてこの場所を選んだ。この奥大山休暇村は1962年に設立されたが、ここを会場として1966年に開かれた国立公園大会で、自然保護憲章の制定の議案が出され、決議された。その8年後、制定に到った。発祥の地の碑もあるので、ぜひ思いを馳せていただきたい。
  2. 各団体近況報告
     各連携団体から参加者の紹介と代表による近況報告が行われ、概略次のようなお話がありました。
    (1)公益財団 佐藤理事長
    • 4月1日に公益法人への名称変更を果たし、新しい評議員会、理事会の体制が決まって動き始めた。
    • 東日本大震災にあたっては、支部・会員の皆様のための義援金を募っているのでご協力をお願いします。
    (2)岡山県支部 丸山健司支部長
    • ブッポウソウフォーラムを2006年に続き2011年3月に岡山大で開催し、約60名の参加を得て、岡山大学生の研究成果等を共有した。森林と水田の境目で採食するので、里山環境全体の保全に目を向けていく必要がある。標識を着けた個体はほとんどのものが前年の巣箱に帰って来ている。
    • 錦海塩田跡地の保全に関するフォーラム「錦海湾の未来を考える」(当会後援)を5月29日に瀬戸内市で開催する。自然再生について議論する。
    • 児島湾の自然ガイドブックを出版した。
    (3)香川県支部 山野哲嗣支部長
    • カワウの保護管理について。有害捕獲権限が県から市に移譲され、これで中四国のほとんどの県が市町村単位で駆除することになってしまった。カワウは広域に移動するので、県が一元的に管理すべき、との働きかけがうまく行っていない。県は海上の調査を行うとしているが、コロニーを見つければ叩くという方針で、保護策はなく、コロニーの分散に伴って被害も分散し、いたちごっこの様相を呈しているのは問題である。
    (4)徳島県支部 三宅武支部長
    • 生物多様基本法と生物多様性条約COP10を受けて、県内27団体による生物多様性とくしま会議を結成し、毎月会議を行って、徳島県の生物多様性戦略のNGO草案を作成した。6-7月に市民対話集会を行った後、県へ預けて討議を促す予定。
    • 吉野川河口をラムサール条約湿地にするための「吉野川ラムサールネットワーク」を関係団体と共に結成。5月に写真展を実施した。
    • 紀伊水道で海鳥の観察を行っているが、4月いっぱい3000羽ものウミスズメが見られた。瀬戸内海には入らず、代わってシロエリオオハム、オオハムなどが見られる。スナメリが30年近くぶりに見られた。
    • ナベヅルがこの冬も飛来し、10羽前後が越冬した。記録を公益財団に送った。11月は不安定でどこかに移動してしまうものもあるが、12〜3月は安定して越冬する。3月に北帰が見られる。今年は4月28日まで幼鳥4が残っていた。越冬地として安定させていきたい。
    • 鳴門市でタカの渡りの調査を継続して実施している。春季3ヶ月、秋季4ヶ月実施している。
    (5)高知 西村公志代表
    • 渡来が遅れていた夏鳥がようやく出そろった。先週ホトトギスを初認。
    • 野鳥の密猟について、市民からの通報で警察が動いてくれている。メジロ、ウグイスなど。
    • カワウの生息について県から2回目の調査の委託があり、上流のダム湖でねぐら、コロニーができているのを発見した。
    • 春から夏にかけて珍鳥の発見が相次ぎ、他県から鳥見に訪れる人が多かった。
    (6)愛媛 秋山勉事務局長
    • 支部名称は「日本野鳥の会愛媛」のままで、「愛媛県支部」には戻さないことに決まった。
    • 会員数は342人で、少し減っている。
    • 昨年12月は全国野鳥密猟対策連絡会、公益法人と共に野鳥密猟問題シンポジウムを開催した。四国の他支部のご協力も得た。
    • 西予市宇和町にコウノトリやナベヅル・マナヅルが訪れることから、市役所がプロジェクトチームをつくり、地元に保護団体が設立されて勉強会や餌生物の調査に協力している。
    • 県の生物多様性地域戦略策定に対する提言に取り組んでいる。
    • 松山市のレッドデータブック見直し(市町合併に伴うもの)の調査を依頼されて行った。
    • 県内に生息する鳥類目録について、20151年完成を目処に、調査を実施している。
    • 来年度のブロック交流会は、秋に佐多岬で行う見込み。
    (7)ひろしま 日比野政彦幹事
    • 3月まで中四国ブロック選出の財団法人の理事を務めさせていただき、退任した。新制度に移行して理事の人数が減り、支部からの選出はブロックごとではなくなったので(北日本、中日本、西日本で)、意見が届きにくくなるかもしれない。今日の機会も意見を伝える場として皆さんで活用して欲しい。
    • 会員数は約580名。県民の人口は286万人なので、1万人あたり会員2名の割合。これを例えば徳島県と比較すると、78万人に対して会員約360名、1万人あたり4.6人の割合。活動が活発なところは会員数が増えており、見習いたい。
    • 当県は鳥インフルエンザの発生はなく、風力発電の計画もないので対応はしていない。
    • 密猟については警察の摘発に協力している。メジロの愛玩飼養について県へ中止の要望を出したが、実を結びつつある。
    • カワウについてはまだ繁殖はなく、問題にはなっていない。
    • 野鳥の会のやるべき活動は多岐にわたるので、焦点を絞る必要がある。
    • 支部事務所は野鳥図書館も併設されているので、ぜひお立ち寄りください。
    (8)山口県支部 上野俊士郎支部長
    • 3月31日の会異数は464名で、少しずつ減っている。
    • 名称は5月22日の総会で、「日本野鳥の会山口県」から「日本野鳥の会山口県支部」に戻した。
    • 下関沖の洋上風力発電に対応している。
    • 鳥インフルエンザの発生の際にはときわ公園でコクチョウが死亡し、コブハクチョウなどの飼養鳥が全て殺処分された。きらら浜自然観察公園は1ヶ月近く閉園された。
    • 探鳥会は毎月開催しており、9つの地区でもそれぞれ地区探鳥会を約50回開催している。支部とメンバーが重なっているNPO法人野鳥やまぐちとして管理運営を請け負っているきらら浜自然観察公園は中心的な拠点になっている。
    (9)島根 飯塚洋一代表
    • 名称は2012年1月1日に以前の名称である「日本野鳥の会島根県支部」に戻すこととした。
    • 県のレッドデータブック改訂が行われており、これに関連してササゴイの調査を始める予定。
    • 2010年に環境省の委託で山階鳥類研究所が斐伊川下流域で衛星発信機をつけた小型のヒシクイA54が5月22日まで居残っていた。
    (10)鳥取県支部 土居克彦事務局長
    • 会員数は200人余りで、微減の状態。
    • ブッポウソウの保護のための巣箱かけを始めて10年になる。昨年からジオロケーターという超小型の記録装置を装着するという新しい研究方法を飯田治彦さんと共同で開始し、越冬地を明らかにする見込み。10羽にジオロケーターを装着しており、データを回収するために再捕獲を行う予定。
    • ゴルフ場の予定地にオオタカの生息が見つかったため、保全の対案を出し、その後7年前に県と大山町により設置された大山オオタカの森。遊歩道の整備が行われ、現在、鳥取大の学生と共に植生のモニタリング調査、オオタカと他の鳥類との関係についての調査を進めている。
    • NPO法人化したことで信用が上がり、情報がたくさん入ってくるようになった。環境教育に関するものなど。
  3. 講演会「鳥インフルエンザについて」15:10〜
    (1)講演「鳥インフルエンザについて」鳥取大学農学部の山口剛士教授
     ウイルスの専門家の立場から、ウイルスとは何か、インフルエンザウイルスの特徴、高病原性鳥インフルエンザとは、野鳥とインフルエンザウイルスの関係といった話題について、60分間の講義をいただき、突っ込んだ質疑のやりとりが行われました。
    (2)話題提供「鳥インフルエンザ 私たちはどう対応すべきか」
     続いて財団主席研究員の金井裕から、今回の発生を中心にこれまでの日本における野鳥での鳥インフルエンザの発生状況と対応を振り返り、バードウォッチャーがとりうる対応についてコメントしました。また鳥取県支部の土居事務局長から、鳥取県支部の対応について、島根県飯梨川河口における発生確認の直後、水鳥の生息状況について30人体制で全県一斉調査を行い、結果を記者発表することで、日本野鳥の会が社会的な活動をしていることをアピールすることができ、また徒らに風評が広がるのを防ぐこともできたとの報告がありました。
    (このセッションの内容は、野鳥誌11月号の特集記事に収録いたしました。)

●ブロック協議会17:35〜18:30

 各連携団体の代表による協議会が行われ、以下のような情報交換、討議が行われました。

●オークション・懇親会

 恒例のオークションが行われ、収益と会場での募金から、公益財団の行っている東日本大震災義援金にご寄付いただきました。その後会場を移しての二次会では、深夜まで、会場のあちこちで歓談や熱のこもった議論の輪ができていました。

5月29日
●探鳥会

 会場周辺で奥大山の夏鳥の探鳥が予定されていましたが、台風接近による大雨のため、残念ながら中止となりました。

 荒天にたたられたブロック交流会でしたが、室内での議論や意見交換はかえって活発に行われ、充実した有意義な時間を過ごすことができました。  なお鳥インフルエンザについては、今回の交流会がきっかけとなり、7月2日の全国連携団体総会でも山口先生と金井主席研究員、福田鳥取県支部長からの講演をいただくことになりました。この講演の内容は、野鳥誌11月号の特集で、会員の皆様にお伝えする予定です。

(自然保護室/古南 幸弘)

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある方へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.576

●2011/8 オホーツク
・一斉海岸調査2011
●2011/8-9 京都
・タカの渡り情報の発信
・なぜか秋に多いサメビタキ属
・花札でバードウォッチング
・使用済の切手
●2011/8 ひょうご
・天売島でゴミ問題を考えた
・2011年ツグミ終認日調査
・ソウシチョウの声
●2011/7-8 鳥取県
・鳥インフルエンザにどう対処すべきか
・ブッポウソウのオスとメスの給餌回数

●2011/8 オホーツク
・一斉海岸調査2011
 06年、知床のウトロ側を中心とした海岸に、重油に汚染された5,600羽の海鳥の死体が見つかって以来、毎年4月に北海道で一斉海岸調査を続けている。今年の調査地点は網走市4地点、小清水町5地点、斜里町2地点、根室市1地点、礼文町3地点の計15調査地、総延長56qになる。オホーツク管内では油付着のハシブトウミガラスの死体1、ドラム缶17個、礼文町では油付着のオオセグロカモメの死体1を確認した。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.291,P7)
●2011/8-9 京都
・タカの渡り情報の発信
 京都支部のHP内、タカの渡りページで、今年も岩間山タカ渡り速報を連日リアルタイムで全国に発信する。毎日午後9時頃更新する。
http://www.h4.dion.ne.jp/~inforest/taka-watari-sokuhou.html
(京都「そんぐぽすと」NO.171,P7)
・なぜか秋に多いサメビタキ属
 コサメビタキは京都府内でも繁殖しているが、サメビタキ、エゾビタキは府内では旅鳥である。この旅鳥は何故か秋期の記録が圧倒的に多い。累計記録数はサメビタキ春3、秋19、エゾビタキは春5、秋63となっている。この理由は秋にその年生まれの幼鳥も通過する、秋はタカ見のウォッチャーが多く、観察の目が多いためか。サメビタキは国内の亜高山帯でも繁殖し、インドシナ方面で越冬する。エゾビタキは北海道より北で繁殖し、フィリピン、スマトラ等で越冬する。
(京都「そんぐぽすと」NO.171,P15)
・花札でバードウォッチング
 花札での鳥は、松に鶴、梅に鶯、ススキに雁、桐に鳳凰、藤に時鳥、柳に燕が見える。ホトトギスはツグミみたいし、ツバメはサンコウチョウにも見える。梅に鶯ではなく、メジロではと目くじら立てるのは野暮である。柳に燕(11月 霜月)、桐に鳳凰(12月 師走)は季節が合わない。この2箇月は札の数が1枚多く3枚で、それと何か関係している?
(京都「そんぐぽすと」NO.171,P23)
・使用済の切手
 使用済の切手は、日本鳥類保護連盟に送ると、「釣り糸から野鳥を守る」活動資金に充てられる。支部では使用済切手を求めている。
http://www.jspb.org/support/kitecard.html
(京都「そんぐぽすと」NO.171,P24)
●2011/8 ひょうご
・天売島でゴミ問題を考えた
 天売島の海岸掃除をするエコツアーに行って来た。札幌学院大学学長、奥谷浩一氏のゼミの合宿である。天売島では8種の海鳥が繁殖し、内、ウミガラス、ケイマフリ、ウミツバメは絶滅危惧種で、ウトウは同島だけでも60万羽の世界最大の繁殖地である。島には韓国、ロシア、中国からもゴミが流れ着いている。
(ひょうご「コウノトリ」NO.183,P2)
・2011年ツグミ終認日調査
 神戸市内約26kmを車で1時間ほどツグミを探した。2011年の終認は5/5で、2010年は5/8、09年は5/5、08年は5/6であった。
(ひょうご「コウノトリ」NO.183,P4)
・ソウシチョウの声
 ソウシチョウの囀りはメロディーが付いた複雑なものと、「ピロピロピロ」という単調なものがある。複雑な囀りは雄で、単調なものは雌と聞くが、定かではない。地鳴きは「ビィ」とか「ビビ」と聞こえ、「ビビビビ・・・」と長く鳴く事もある。
(ひょうご「コウノトリ」NO.183,P8)
●2011/7-8 鳥取県
・鳥インフルエンザにどう対処すべきか
 5/28の中四国ブロック交流会での講演より。野鳥の会会員が出来る事は1・野外で異常な傷病鳥を監視し、見つける事、2・ウイルス拡散防止のため、糞を付けて運ばない、餌台の衛生管理を行う事、3・感染地周辺の野鳥調査に協力する事、4・野鳥が極度に集中しないように大量給餌を中止し、自然な採食地を確保する事。
(鳥取県「銀杏羽」NO.116,P11〜12)
・ブッポウソウのオスとメスの給餌回数
 ブッポウソウの雌雄の見分けは外観からは難しいが、繁殖番では個体固有の行動癖、求愛給餌や交尾行動から、巣箱入巣状況等から分かるようになる。ブッポウソウの給餌回数は孵化後17日目から減る(2006 丸山健司他)と言われる。給餌回数が最も多い頃と思われる7/9(2008年)に調査した巣箱では、総給餌回数は264回+α(岡山県で記録された最大は280回)、内、雄が179回、雌85回で、雌は抱雛のためか、雄の半分の回数である。この巣箱では7/20、131〜136gの雛4羽を確認している。巣立ち間近の7/20には、給餌回数は28回と1/10に減り、内、雄は僅か1回のみとなる。巣立ち2、3日前になると、雄が給餌しようとすると、雌が妨害行動をし、親は途中で餌を食べてしまう。雌は巣箱近くを見守り、雄は広域の見張りが主になる。
(鳥取県「銀杏羽」NO.116,P17〜18)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.577

●2011/8 釧路
・ウミネコ乱舞
●2011/8 十勝
・都市計画道路拡幅に伴う要望書提出について
●2011/9 千葉県
・サシバの渡りを見て下さい
・共に歩んだ野鳥保護40年(その3)
・都会のビルでウミネコ繁殖 (7/21 朝日新聞)
・ウミガラス繁殖3年ぶり確認 手売島 (7/22 読売新聞)
●2011/4 沼津
・釣り糸拾い
・クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果
●2011/8 富山
・野鳥保護と常識
●2011/8 石川
・犀川河川改修工事に要望書 

●2011/8 釧路
・ウミネコ乱舞
 8/15、釧路市内でウミネコの乱舞があった。よく見ると、女王蟻(体長5o程)の旅立ちがあり、舞い上がった多数の蟻を捕食していた。
(釧路「ホシハジロ」NO.379)
●2011/8 十勝
・都市計画道路拡幅に伴う要望書提出について
 帯広市で計画している道路で、幅4.5m、長さ490mに渡り、カシワ林が伐採予定になっている。パブリックコメントでは同林保全要望が多く、市は道路を少しずらし、幅員を減らす事で92%の林が保全される案を提示した。しかし、自然保護団体は林の100%保全を求め、町内会は当初案通り、真直ぐな道路を求め、両者の折り合いの目途は立っていない。行政の見切り発車に反対してきた自然団体が、今回の町内会の意向を無視した見切り発車に、自然保護のためなら容認できるとして良いのであろうか。支部は両者が共に痛みを分かち妥協できるよう道路を1mずらす中間案を提示した。支部会員に1名でも異議がある時は、この要望は撤回する。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.175,P17〜20)
●2011/9 千葉県
・サシバの渡りを見て下さい
 サシバの渡りは千葉県内では、洲崎、富津岬、印旛沼界隈が知られる。県内では90年代までは、多く営巣していた。開発による繁殖環境破壊、耕作放棄で谷地田の乾燥化で餌場消失、農薬散布による餌資源枯渇等で激減している。
(千葉県「ほおじろ」NO.365,P2)
・共に歩んだ野鳥保護40年(その3)
 ウトナイ湖のサンクチャリを作るのに1億円の募金が集まり、トキの保護も政府が動いてくれた。日本のトキは81年、最後の5羽になり、03年には日本産は絶滅した。04年より中国からトキが貸与され、07年末には95羽に増え、08年から放鳥が始まった。中国ではケージからいきなり放鳥するため、多くの個体が死んでいるが、日本では3箇月間、大形のケージで訓練させて、それを防いでいる。ヤンバルクイナについては道路の側溝から雛が抜けられるよう、階段のついた「ハイダセール側溝」が設けられた。今後の課題として夏鳥の減少、そしてネオニコチノイド系の農薬の害がある。これは脳の情報伝達機能を阻害し、フランスでは07年全面禁止で、渡り鳥や幼児の脳への影響が懸念される。(脳神経研究者 黒田洋一郎氏談)
(千葉県「ほおじろ」NO.365,P3〜6)
・都会のビルでウミネコ繁殖 (7/21 朝日新聞)
 6月、東京上野のビル屋上で、ウミネコが繁殖した事を東大の樋口広芳教授(生態学)が初めて確認した。4、5年前から春から夏にかけて、都内で姿が見られた。今回、不忍池に近い場所に約200羽が集まり、20〜30のペアが営巣し、複数の幼鳥もいた。ウミネコは減農薬の水田が増え、東方地方では内陸でも見られ、生態系への影響も含め、不明な点が多い。
(千葉県「ほおじろ」NO.365,P12)
・ウミガラス繁殖3年ぶり確認 手売島 (7/22 読売新聞)
 ウミガラスの国内唯一の繁殖地とされる手売島で、今回、6箇所で親鳥が給餌し、少なくとも6羽が繁殖した。同島では90年代にはウミガラスは殆ど見られなく、環境省は92年よりデゴイを置き、テープで声を流した結果、毎年数十羽が飛来したが、産卵、孵化してもカラスやカモメに襲われ、巣立ち確認は、02年に5羽、08年に3羽であった。
(千葉県「ほおじろ」NO.365,P12〜13)
●2011/4 沼津
・釣り糸拾い
 4/2、沼津市の静浦港で14名が参加し、釣糸を回収した。総計で重さ約2kg、釣針約450、おもり約20、よりもどし約30があった。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.219,P1)
・クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果
 1/21〜23、日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピン等の自然保護団体が一斉調査した。日本は野鳥の会各支部、日本クロツラヘラサギネット ワークが参加した。香港バードウォッチング協会がまとめた結果では、1,848羽を確認したが、前年の2,347羽をかなり下回った。93年の調査以来、最大の減少である。最大の越冬地台湾では843羽で437羽も減った。カンボジアでの越冬が初めて確認され、通常より南で越冬している可能性もあるが、今回の減少は2010年の繁殖成績が余り良くない事が関係しているかも知れない。日本では7県、44箇所で、77名の調査で207羽(福岡:82、熊本: 81、鹿児島:44等)で、前年より11羽増えた。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.219,P2〜3)
【古南注:当会ウエッブサイト記事の転載】
●2011/8 富山
・野鳥保護と常識
 餌付け:鳥獣保護法等でも鳥獣保護手段としてあげられている。一方、生態系を乱すので有害との新しい常識も出ている。狩猟:野鳥の会の歴史の前半は狩猟反対運動であった。人間社会と自然との共存を考えると、有害鳥獣対策の実行集団として狩猟は重要で、生態系維持のために必要な事もあり、狩猟は自然保護に反するとの常識は疑ってみるべき。野鳥飼育は外国産であれば不問とはどういう事だろう。密対連も主張しているように野鳥輸入を禁止すべき。野鳥の本当の敵は生息地の開発、環境悪化が現代の常識である。
(富山「愛鳥ニュース」NO.82,P4〜5)
●2011/8 石川
・犀川河川改修工事に要望書
 石川県土木部長に要望書を提出した。ヨシ等の河畔植物、河畔林を可能な限り残す。春から秋の工期は野鳥の繁殖期と重なるので留意する。コンクリート護岸を石積護岸に変更。中州の除去は急流を緩和し、動植物の生息場所を確保に留意する。人が利用するゾーンと野鳥生息域の間に緩衝ゾーンを設ける。
(石川「石川の野鳥」NO.159,P3)

(自然保護室支援・野鳥の会 神奈川/森 要)

事務局からのお知らせなど

自然保護室より

藤原岳付近のイヌワシの生息地保全について(補足とおわび)

 本通信9月号に掲載しました「三重県でのイヌワシ生息地保全」について、経緯の説明に不足がありましたので、補足説明を致します。なお、本件について、日本野鳥の会奈良支部の関わりについての説明が抜けており、奈良県支部の皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。
 三重県北部のいなべ市において、太平洋セメント株式会社が新たなセメント採掘計画を動かし始めているという情報が日本野鳥の会三重に入ったのは2010年初頭で、すでに県条例による環境影響評価(環境アセス)は始まっており、方法書の縦覧手続きが済んだ後でした。事業地は現在、同社がセメント採掘を行っている採掘地に隣接していますが、この新しい計画地から滋賀県にまたがって広い行動圏を持つイヌワシのペアが生息していることから、日本野鳥の会三重は生息地保全のための計画の見直しの交渉を同社と開始し、また当会自然保護室との相談も始めました。
 その後、同社の環境アセスの次の手続き(準備書縦覧)に向けての動きも見え始めたため、2011年1月18日、日本野鳥の会三重と当会は太平洋セメント株式会社に対し、絶滅危惧種イヌワシの保全のため、三重県いなべ市の藤原鉱山新鉱区の計画を見直すことを要請する文書を提出しました。
http://www.wbsj.org/press/110118.html
 この要請文の中で、2団体は、2つあるうちの営巣地に近い方の鉱区の事業中止と、重要な採餌地を含むと思われる山頂鉱区における十分な調査・解析と影響回避を求めました。この要請にあたっては、イヌワシ保全の観点から日本自然保護協会、日本イヌワシ研究会からのご助言をいただき、保全活動の公表がイヌワシに脅威を与えることがないように十分に配慮いたしました。また要請文について、関係する省庁である環境省(種の保存法の国内希少野生動植物種であることから)、文化庁(天然記念物であることから)、経済産業省(鉱物資源採掘についての法律である鉱業法を管轄していることから)、いなべ市、三重県に対し、本件に関する太平洋セメントへの助言と指導を求めました。同時に、日本野鳥の会三重から、このイヌワシの生息地に隣接する地域の支部である日本野鳥の会滋賀、日本野鳥の会愛知県支部、日本野鳥の会奈良支部にもご連絡いただき、追ってこの3つの支部からも同様の要請文を、同社宛に提出していただきました。
 この要請を口火として、その後、地理的に遠い奈良県支部以外の4団体と同社は、本年7月までに数回の交渉の面談を行い、イヌワシの保全についての話し合いを行いました。この要請文と交渉の成果として、本年7月に公表された環境影響評価準備書では、2つの新鉱区のうちイヌワシの繁殖に最も影響のある鉱区について、「事業を当面延期」との判断が示されました。これは画期的な成果であり、関係してくださった4支部の皆さまに改めてお礼申し上げます。
 この準備書では残る藤原新鉱区について、イヌワシの採餌地ではあるが代替の餌場を創出するとしておりますが、この代替の保全措置について、細部で検討の必要があるとして、当会からは再度、準備書に対する意見書を提出し、プレスリリースを行いました。前号でお知らせしたのは、この意見書に関するプレスリリースです。
 なおこの際に、三重、滋賀、愛知県の各支部は同時に意見書を提出したのですが、自然保護室からの連絡ミスにより、日本野鳥の会奈良支部については同時に提出していただくことができませんでした。この場を借りて奈良支部の皆さまには深くおわび申し上げます。
 イヌワシは現在、その生息数は全国で約500羽、繁殖しているのはわずか190つがいほどとされています(日本イヌワシ研究会による)。三重・滋賀県境にまたがる鈴鹿山脈は、生息が比較的連続している中部山岳地帯以北と、生息密度が低くなってしまっている西日本地域を橋渡しするような重要な位置にあり、かつては6つがいの繁殖が確認されていたのですが(山崎亨 2008)、現在は3つがいしか確認されていません。そのうち、計画地付近で営巣しているつがいは最も繁殖成績が良く、また三重県側で確認されている唯一のペアでもあります。従ってこのペアの繁殖の存続は、鈴鹿山脈のみならず、日本のイヌワシ全体に危機を与えるおそれもあります。
 このような重要性から、このイヌワシのペアが今後とも安定的に繁殖、生息していけるように、関係する4支部の皆様と従来以上に緊密に連絡を取り合い、理想的な環境保全措置が行われるよう、事業者である太平洋セメント株式会社と交渉を続けていく予定です。

(自然保護室/古南 幸弘)

第11次鳥獣保護事業計画のための指針が各都道府県に示されました

 第11次鳥獣保護事業計画のための基本指針が、中央環境審議会審議会での答申に沿って9月5日に環境省から告示され、環境省のホームページにその全文が掲載されました。
(正式名称:鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針;以下「基本指針」と略します。)
http://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan1.html
下記のページからリンクしています;
http://www.env.go.jp/nature/choju/index.html
 今回の基本指針は、次のような21の項目について、57ページにわたり環境省の方針と方向性を示しています。都道府県はこの基本指針に沿って鳥獣保護事業計画を定めます(鳥獣保護法第4条)。基本指針は8月前半に予定版として環境省から都道府県に示されているそうですので、各都道府県はこれに沿って既に策定作業を進めているものと思います。
 かなり分量がありますが、鳥獣保護事業計画に対し意見を出される際には、現行の第10次鳥獣保護事業計画と共に目を通しておかれることをお勧めします。

●基本指針の構成
Ⅰ 鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項 【国の施策の方針】
第一 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する基本的な考え方
(現状と課題、実施の方向性)
第二 鳥獣保護事業のきめ細かな実施
(制度上の区分に応じた保護管理、鳥獣の特性に応じた保護管理、調査研究の推進)
第三 特定計画制度の推進
第四 人材の育成・確保
第五 鳥獣保護区の指定及び管理
第六 狩猟の適正化
第七 傷病鳥獣の取扱い
第八 鳥獣への安易な餌付けの防止
第九 国際的取組の推進
第十 感染症への対応
第十一 関係主体の役割の明確化と連携
第十二 その他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項
(人工増殖及び放鳥獣、捕獲許可基準、輸入の適正化、愛玩飼養の取扱い)
Ⅱ 鳥獣保護事業計画の作成に関する事項 【都道府県の計画策定へのひな形】
第一 鳥獣保護事業計画の計画期間
第二 鳥獣保護区、特別保護地区及び休猟区に関する事項
(目的と意義、指定方針、指定区分及び指定基準、整備等)
第三 鳥獣の人工増殖及び放鳥獣に関する事項
第四 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項72
第五 特定猟具使用禁止区域、特定猟具使用制限区域及び猟区に関する事項
第六 特定計画の作成に関する事項
第七 鳥獣の生息の状況の調査に関する事項
(保護対策調査、鳥獣保護区等の指定・管理等調査、狩猟対策調査、有害鳥獣対策)
第八 鳥獣保護事業の実施体制に関する事項130
第九 その他
(現状と課題、地形や気候等が異なる特定の地域、狩猟の適正管理、傷病鳥獣救護、安易な餌付けの防止、感染症への対応、普及啓発、傷病鳥獣救護の基本的な対応、安易な餌付けの防止、感染症への対応、普及啓発)

●第10次からの大きな変更点について(その1)
 第10次の際の基本指針から大きく変更になった点で支部活動に関係の深いと思われる部分を、今号と次号にわたってご紹介します。

  1. 野鳥の愛玩飼養目的の捕獲は「原則として許可しない」としました。
     既に本通信や野鳥誌でお伝えしましたが、愛玩飼養目的で野生鳥獣を捕獲することについては、「密猟を助長するおそれがあることから、原則として許可しないこととする」との文言が入りました。これにより、今まで一部の都府県では依然として公的に許されていたメジロの飼育のための捕獲が、原則的に許可されないこととなりました。これは、各支部や西日本の各ブロック、それに全国野鳥密猟対策連絡会から環境省に提出していただいた要望書などの働きかけの大きな成果です。改めてお礼申し上げます。
     これにより、各都道府県は来年度から、「原則として」愛玩飼養の許可を出さないとの方針を、事業計画に書き込むことと思われます。
     ただし、「特別の事由があると都道府県知事が認めるものに限」って、許可を出せるとの文言もあり、これは都道府県の裁量に委ねられています。
     特に岐阜県以西(京都府、鳥取県を除く)の23府県では、第10次鳥獣保護事業計画においてはメジロの捕獲を認め、実際に許可も出していましたので、「特別な事由」が拡大解釈されないよう注意が必要です。
    ○基本指針の関係箇所(愛玩飼養について)
    Ⅰ 第十二 4 (21ページ)
    4 愛玩飼養の取扱い
    自らの慰楽のために飼養する目的で野生鳥獣を捕獲することについては、密猟を助長するおそれがあることから、原則として許可しないこととする。このため、これまで一部認められてきた愛玩のための飼養を目的とする捕獲等については、今後、廃止を検討する。
    ⅡⅠ第四 2 (2) ④ (29ページ)
    ④ その他特別な事由を目的とする場合
       (略)
     また、鳥獣の愛玩飼養は、鳥獣は本来自然のままに保護するべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長するおそれもあるので、飼養のための捕獲又は採取の規制の強化に努めるものとし、今後、廃止する方向で検討するものとする。
    4) 愛玩のための飼養の目的
    個人が自ら慰楽のために飼養する目的(特別の事由があると都道府県知事が認めるものに限る。)で捕獲する場合。なお、当該場合を除き、愛玩のための飼養の目的での捕獲は、原則として、許可しないものとする。
    Ⅱ 第四 6 (4)  (40ページ)
    (4) 愛玩のための飼養の目的
     原則として、愛玩のための飼養を目的とする捕獲等は認めないこととし、都道府県知事が特別の事由(屋外で野鳥を観察できない高齢者等に対し自然とふれあう機会を設けることが必要である等)があると認める場合に限る。また、この場合においても原則として次の基準によるものとする。
     なお、愛玩のための飼養を目的とする捕獲等については、今後廃止の方向で検討することとし、申請者に対して今後の検討方向の周知に努める。(以下略)
  2. 有害鳥獣捕獲の許可基準と権限委譲について
     基本指針の中で、都道府県と市町村の関係についてふれられている箇所(Ⅰの第十一)があり、この部分はほとんど努力規定ではあるものの、現状で改善すべきとして、これらを根拠に各都県に申し入れを行うことは有効と思います。ご参考までに該当箇所を下に掲げます。【 】は特に注目したい記述、《 》は今回新たに追加された部分です。
     この部分の追加の主な理由として、2007年に成立した「鳥獣被害防止特措法(鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律)」に基いて農林水産省から補助金を受けた市町村が行っている有害捕獲と都道府県の鳥獣保護事業計画が、各地でうまくリンクしていない、という背景があります。審議会の検討過程でこれを自然保護NGOから指摘され、改定が行われました。
    ○基本指針の関係箇所(有害鳥獣捕獲の基準)
    Ⅰの第十一 関係主体の役割の明確化と連携 1 関係主体ごとの役割
    p.18〜19 (2) 地方公共団体の役割
    ア 都道府県
     都道府県は、国の施策と連携しつつ、地域の実情を踏まえ、鳥獣保護事業計画や特定計画の作成により鳥獣の保護管理の基本的な枠組みを構築し、関係行政部局間の連携を強化して施策を実施するものとする。
    具体的には、地域の鳥獣保護の見地から、鳥獣保護区の指定、鳥獣の生息状況の把握、関連する技術の開発、鳥獣保護員の資質向上を含めた人材の育成及び【鳥獣保護事業を行う市町村等が主体となって取り組む地域的な鳥獣保護管理に対して必要な情報提供や支援を行う】ものとする。
    また、科学的な知見に基づいて特定計画の作成及び実施を行うに当たっては、実施状況をモニタリングし、その結果を踏まえ計画を順応的に見直すものとする。
    さらに、《鳥獣被害防止特措法に基づき市町村が作成する被害防止計画が鳥獣保護事業計画及び特定計画との整合が取れたものであるかを確認するとともに、必要に応じて特定計画の作成又は変更を行う等、市町村との連携に一層努める》ものとする。
    イ 市町村
     近年、鳥獣の捕獲許可の権限を都道府県から委譲される等、鳥獣保護管理を実施する上での市町村の役割が増大しており、また、都道府県知事が定める特定計画の実施に当たって適切な役割を果たすことが期待されている。
     このため、条例に基づき鳥獣保護事業を実施する市町村は、都道府県知事の定める鳥獣保護事業計画の下で、国及び都道府県と連携し、また、関係行政部局間の連携を強化しつつ、鳥獣保護事業を実施するものとする。具体的には、委譲された権限を踏まえ、【実施計画の作成を含め、個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策に係る総合的な取組及び必要な実施体制の整備に努める】ものとする。また、都道府県において特定計画が策定されている鳥獣の捕獲等を実施する場合には、同計画との整合を図り、都道府県との連携を図るものとする。また、《捕獲数等の情報について、都道府県に報告する等整理及び公開に努める》ものとする。
    p.19 (3) 事業者、市民、民間団体、専門家等の役割
     イ 市民、民間団体(NPO、NGO)、専門家等
    市民については、人と鳥獣との適切な関係の構築及び鳥獣の保護管理について関心を寄せ、理解を深め、鳥獣の保護管理に関わる活動に自主的、積極的に参加することが期待される。特に鳥獣保護管理の必要な地域においては、地域住民が一体となって、生ごみや未収穫作物等の適切な管理や追い払いの徹底等による鳥獣を誘引しない取組に努めるものとする。
    鳥獣の保護管理だけでなく自然とのふれあいに関する民間団体については、各団体の専門性等に応じて、【保護管理に関する調査活動への参画、評価、提言、普及啓発、市民との情報の橋渡し等の役割】を担うことが期待される。
     専門的な知識及び技術等を有している民間団体においては、必要に応じて、地方公共団体等の要請により鳥獣保護事業の適切な実施に協力することが期待される。
     専門家及び関係学術団体においては、【各主体に対して、鳥獣の保護管理に関し科学的な観点から適切な助言・指導】を行うことが期待される。
    ■基本指針の関係箇所(有害鳥獣捕獲の基準)
    Ⅱの第四「鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項」
    p.33〜38 4 鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止を目的とする場合
    (1) 有害鳥獣捕獲の基本的考え方
    有害鳥獣捕獲は、【被害が現に生じているか又はそのおそれがある場合】に、その防止及び軽減を図るために行うものとする。ただし、外来鳥獣等についてはこの限りではない。
    その捕獲は、原則として【被害防除対策によっても被害等が防止できないと認められるとき】に行うものとする。
    有害鳥獣捕獲の実施に当たっては、関係部局等との連携の下、被害防除施設の整備、未収穫物の撤去等の被害防除対策等が総合的に推進されるよう努めるものとする。
    また、農林水産業等と鳥獣の保護との両立を図るため、総合的、効果的な防除方法、狩猟を含む個体数管理等、鳥獣の適正な管理方法を検討し、所要の対策が講じられるよう努めるものとする。
    (2) 有害鳥獣捕獲についての許可基準の設定
    被害等の発生予察、有害鳥獣捕獲の実績及び被害の状況を勘案して、鳥獣の種類別に捕獲許可の基準を具体的に設定するものとする。設定に当たっての基本的考え方及び方針は上記1に加え次のとおりとする。
    ①基本的考え方
    1) 基本的な方針
    【有害鳥獣捕獲のための捕獲許可は、被害等の状況及び防除対策の実施状況を的確に把握し、その結果、被害等が生じているか又はそのおそれがあり、原則として防除対策によっても被害等が防止できないと認められるときに行うものとする。】ただし、外来鳥獣等についてはこの限りではない。
    狩猟鳥獣、ダイサギ、コサギ、アオサギ、トビ、ウソ、オナガ、ニホンザル、特定外来生物である外来鳥獣、その他の外来鳥獣等(タイワンシロガシラ、カワラバト(ドバト)、ノヤギ等)以外の鳥獣については、被害等が生じることはまれであり、従来の許可実績もごく僅少であることにかんがみ、これらの鳥獣についての有害鳥獣捕獲を目的とした捕獲許可に当たっては、被害の実態を十分に調査するとともに、捕獲以外の方法による被害防止方法を検討した上で許可する等、特に慎重に取り扱うものとする。
    なお、保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕獲許可についても、特に慎重に取り扱うものとする。
    また、外来鳥獣による農林水産業又は生態系等に係る被害の防止を図る場合においては、当該外来鳥獣を根絶又は抑制するため、積極的な有害鳥獣捕獲を図るものとする。
    2) 予察捕獲
    被害等のおそれがある場合に実施する予察による有害鳥獣捕獲(以下「予察捕獲」という。)は、①1)で示した鳥獣(地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれの高い地域個体群は除く。)を対象として、【常時捕獲を行い、生息数を低下させる必要があるほど強い害性が認められる場合のみ許可する】ものとする。ただし、外来鳥獣等についてはこの限りではない。また、①1)で示した鳥獣の中でもツキノワグマ、イノシシ、ニホンザル等の特定計画が作成されている鳥獣については、特定計画に基づく個体数調整としての捕獲に努めるものとする。

    予察捕獲を実施するに当たっては、鳥獣の種類別、四半期別及び地域別による被害発生予察表を作成するものとする。予察表の作成に当たっては、【過去5年間の鳥獣による被害等の発生状況及び鳥獣の生息状況について、地域の実情に応じ、学識経験者等科学的見地から適切な助言及び指導を行うことのできる者の意見を聴取】しつつ、調査及び検討を行うものとする。
    また、予察表においては、被害発生のおそれのある地区ごとに、農林水産物の被害や作付けの状況、鳥獣の生息状況の推移等を勘案し、被害・影響の発生地域、時期等の予察をするものとする。さらに、捕獲等又は採取等の数の上限を設定する等、許可の方針を明らかにするものとする。
    なお、予察表に係る被害等の発生状況については、毎年点検し、その結果に基づき必要に応じて予察捕獲の実施を調整する等、予察捕獲の科学的・計画的実施に努めるものとする。
    また、予察捕獲は通常、有害鳥獣捕獲を目的とする捕獲許可として取り扱うものであるが、特定計画の対象地域においては、予察捕獲による捕獲は特定鳥獣の数の調整に資するものでもあるから、原則として特定鳥獣の数の調整を目的とする捕獲許可として取り扱うものとする。
    3) 有害鳥獣捕獲の実施に当たっての留意事項
    有害鳥獣捕獲の実施に当たっては、実施者に対し錯誤捕獲や事故の発生防止に万全の対策を講じさせるものとし、また事前に関係地域住民等への周知を図らせるとともに、鳥獣捕獲許可証又は従事者証の携帯及び捕獲許可権者が貸与する腕章を装着させるものとする。
    また、必要に応じて、捕獲の実施への立会い等によりそれらが適正に実施されるよう対処するものとする。
    (以下略)

(自然保護室/古南 幸弘)


普及室より

愛知県支部研修会で案内人研修会

 9月23日〜24日、日本野鳥の会愛知県支部による案内人研修会が稲永ビジターセンター(名古屋市)で開催され、安西が講師を担当しました。探鳥会リーダーのスキルアップや新たな人材発掘が目的で、24名の参加がありました。「野鳥eco図鑑(安西英明.2008.東洋館出版社)」「野鳥かみしばい 利用の手引(日本野鳥の会.1996)」「バードウォッチ ング案内人の手引き(日本野鳥の会.1998)」「野鳥誌連載『案内人への道』(1993年4月号〜)」などを配布資料にした安西の講義の後、質疑や野外実習、最後は参加者に課題設定をしてもらい、課題ごとにグループで検討した結果を発表しあいました。また、豊田自然観察の森から青山英生レンジャーが参加し、ティーチャーズガイドブックやレンジャー養成講座についても紹介もしてもらいました。なお、課題ごとの発表内容はおおよそ以下のようになりました。

①「会員を増やすには」 ②「若い女性を増やすには」 ③「秋冬の探鳥会の企画」 ④「調査研究活動への参加を増やすには」

(普及室主席研究員/安西英明)


総務室より

■朗報!個人寄付金に税額控除!!■

 当会への寄付金(個人に限る)に、所得税の税額控除が利用できるようになります。この税額控除制度は、広く寄付金を受け入れて活動していると認められた公益法人に対し、個人が寄付をした場合に、税額控除を選択適用できるというものです。
 現在、当会はこの制度の適用を内閣府に申請中で、早ければ、10月中にも認可がおりるものと思われます。 認可後は、当会が公益財団法人として登記した平成23年4月1日以降の寄付を、税額控除の対象とすることができます。  税額控除は、これまでの所得控除に比べ、小口の寄付者に対する減税効果が高い制度です。減税効果が高まることで、これまでよりも多くの寄付をされる方や、新しい寄付者が増えることが期待できます。
 税額控除適用の公益法人へ寄付をされた方は、確定申告時に所得控除か税額控除のどちらを適用するか選択することができます。
 いくらまでの寄付金は税額控除が有利かなど詳しい情報は、内閣府の認可がおり次第HP等でご案内する予定です。

(ご参考)所得控除と税額控除
 ○所得控除
  (所得金額−所得控除額(※))×税率(※※)=所得税額
     (※)所得控除額=寄付金−2,000円
     (注)所得控除額は、総所得金額の40%が上限
   (※※)課税所得に応じた税率で5%から40%までの6段階

 ○税額控除
    所得税額−税額控除額(※)
    (※)税額控除額=(寄付金−2,000円)×40%
      (注)税額控除額は、所得税額の25%が上限
         寄付金は、総所得金額の40%が上限 

(総務室/奥田 秋穂)

■「支部報とりまとめ発送」次回日程のご案内■

 次回の支部報取りまとめ発送は、2011年11月15日(火)となりました。支部報は下記要領でお送りください。(取りまとめ発送の詳細については、支部ネット通信2011年4月号をご覧ください。)
 送付〆切:11月14日(月)必着
 送付部数:110部
  ※東京は130部、お願いいたします。
  ※神奈川、埼玉、奥多摩、千葉県は120部、お願いいたします。
  ※ご事情により必要部数に満たない場合は、こちらで発送先を調整させて頂きます。
  【支部報の受付、お問い合わせはこちらまで】
    〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル3F
    日本野鳥の会総務室 総務グループ (担当;小川、鈴木)
    TEL 03-5436-2620   メール [email protected]

(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)

■財団事務局の人事異動のお知らせ■

 10月4日開催の理事会において、次のように事務局長を交代するが決まりました。あわせて同日付の人事異動により、会員室長が交代しましたのでお知らせいたします。

氏 名 新所属 旧所属
飯塚 利一 普及室 室長 事務局長
普及室 室長
小林 豊 事務局長 会員室 室長
安藤 康弘 事務局長代理
会員室 室長
会員室 室長代理

(総務室/五十嵐 真)


会員室より

■会員数■

●10月3日会員数39,654人(対前月-56 )
 会員数は先月に比べ56人減少しました。
 9月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より60人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。9月の入会者数は118人で、前年同月の入会者101人に比べ17人増加しました。
 また、9月の退会者数は178人で、前年同月の退会者数188人に比べ10人減少しました。

 表1.9月の入会・退会者数

 

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(10月3日時点)

 
備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(10月3日時点)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

●投稿お待ちします
 各支部やブロックからの投稿記事をお待ちしております。原稿はメールでお送りいただけます。特に締め切りはありませんが、月初めにお送りいただければ、その月の号に掲載可能です。
 本通信のバックナンバーは、ホームページから閲覧できます。URLは以下のとおりです。
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/index.html

●電子メール配信
 本通信は電子メールでもお送りしています。電子メール配信のお申し込みは、下記のメールアドレスまでお気軽にどうぞ。

(事務局長/小林豊)

支部ネット通信 第91号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会  2011年10月20日
◆担当
会員室
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2632
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]