No.92 2011年11月号


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目次 ■東日本大震災への対応
 会費免除、義援金の対応について
 会費免除・義援金の対象 ご確認をお願いします
■プレスリリース
 野鳥保護区が釧路湿原国立公園に登録
■ブロックの動き
 関東ブロック協議会報告
■支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■評議員会・理事会議事録
 平成23年度第3回(定例)理事会
 平成23年度第3回(臨時)評議員会
■事務局からのお知らせなど
 野鳥と洋上風力発電 影響と評価資料集
 税額控除対象法人の認可がおりました
 支部名称等変更のお知らせ
 共有名簿の訂正
 会員数


≪東日本大震災への対応 ≫

■会費免除、義援金の対応について■

 皆さまからお寄せいただいた義援金には、10月12日までに43名からご希望のお申し出がありました。43名の方へは第一次配分として10月中旬までに、お一人1万円のお見舞金をお送りし一年間会費免除の手続きをいたしました。第二次配分について検討いたしました結果、いまだ困難な状況におかれている被災された個人の皆さまへより手厚く支援をさせていただくこととし、さらにお一人5万円をお送りすることにしました。11月上旬に43名の方へ5万円を、また第二次配分が決まりました後にお申し出がありました2名の方へは6万円のお見舞い金をお送りしました。10月31日現在のお申し出状況は下記の通りです。

 この他に対象となることをご存知ないか、あるいはお忙しくて連絡できずにいる会員の方がもれなく2011年12月末までにお申し出していただけるよう、『野鳥』誌等で呼びかけてまいります。

(会員室/沖山 展子)

会費免除・義援金の対象となる方ご確認くださるよう告知をお願いします

 東日本大震災で下記の被災された方は、会費の免除と義援金の対象となります。2011年3月11日現在会員で。下記の①②の被災された方は、当会会員室までお知らせください。会員免除と義援金の対象とさせていただきます。
(申し出受け付け:2011年12月末)
①居住する家屋が全壊などの被災を受け住むことが出来なくなった会員の方。
②居住する家屋が2011年5月31日までに法令に基づく「避難指示」もしくは「警戒区域」「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」に指定された会員の方

(会員室/沖山 展子)

プレスリリース

■野鳥保護区が釧路湿原国立公園に登録■

 発表した内容は、下記のとおりです。一部内容は省略しています。このプレスリリースの全文は、当会ホームページからご覧いただけます。
http://www.wbsj.org/press/111031.html

野鳥保護区が釧路湿原国立公園に登録
早瀬・古山・渡邊野鳥保護区温根内の3か所 合わせて56.5haが釧路湿原国立公園に登録

2011年10月31日

  公益財団法人 日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数:約5万人)は、北海道阿寒郡鶴居村温根内に買取りと協定により設置した「早瀬野鳥保護区温根内」「古山野鳥保護区温根内」「渡邊野鳥保護区温根内」の3つの野鳥保護区が、2011年9月30日に官報号外で公示された釧路湿原国立公園拡張により、国立公園に指定されたことを報告する。
 これまで当地域は、釧路湿原国立公園に隣接していながらも法的な指定がなされておらず、当会では、1990年から2006年までの間に、買取りや所有者と協定を結び野鳥保護区を設置することで湿原の保全を進めてきた。また、野鳥保護区の設置と並行して、1990年当時から法的保護指定も求めてきた。今回、こうした働きかけが実り、タンチョウの重要な繁殖地であることや、豊富な湧水がある理由から国立公園拡張の範囲に選ばれた。
 かつて当地域は、周辺の森林の開発等により湿原に土砂が流れ込むことで、ヨシ原にハンノキが繁茂し、タンチョウが繁殖できない環境になっていたが、1990年に当会が野鳥保護区を設置し、ハンノキの伐採やヨシ原を復元する事業を進めてきた結果、2002年から再びタンチョウが繁殖するようになった。現在、当野鳥保護区では、3つがいのタンチョウが生息しており、1つがいについては今年度にヒナを育てているのを確認している。
 今後、引き続き当地域がラムサール条約へも登録されるように国に働きかけ、各地に設置した野鳥保護区についても、鳥獣保護区などの見直しに合わせ、国に法的保護指定を働きかけていく。

ブロックの動き

関東ブロック協議会報告

●日時: 2011年10月1日(土)〜2日(日)
*会議は1日のみ
●会場: IPC生産性国際交流センター(神奈川県葉山町湘南国際村)
●出席者: 茨城県(1)、栃木(1)、吾妻(2)、埼玉(4)、 奥多摩支部(2)、東京(2)、群馬(2)、 千葉県(3)、神奈川支部(9) 公益財団法人からは佐藤仁志理事長、葉山自然保護室長、林山普及室員、岡本普及室普及教育グループチーフが出席しました。

会議の内容(10月1日13:45〜17:00)

  1. 挨拶
    • 幹事支部長挨拶(神奈川支部 支部長 鈴木茂也)
    • 理事長挨拶(財団事務局 理事長 佐藤仁志)
       東日本大震災では、義捐金集め等、支部の皆さんに協力いただいている。今のところ、行方不明や亡くなられた会員の方は3名。引き続き協力をお願いしたい。
       4月1日で公益財団法人としてスタートをきった。支部名称については迷惑をかけたが、最終的には内閣府の方針転換があり、支部名称を名乗ることが認められた。支部名称を戻す支部も出ており、今後は「連携団体(支部等)」と呼ぶようにしたい。公益法人に移行することで、本部と支部の関係は変わらない。ただ、理事・評議員がブロックから選ばれるかたちは取らない。新制度でも理事・評議員の言葉は残るが役割は変わる。評議員は理事会のチェック機能とされていたが、逆転し、組織の運営を決めるのが評議員、評議員が理事を決め、理事に執行させるようになる。
       評議員の任期は4年、次の評議員は評議員が決める。理事の任期は2年、理事の選出は評議員が行う。会長は評議員長となる。(理事は兼務しない)
  2. 出席団体紹介と近況報告
     各連携団体から参加者の紹介と近況報告が行われ、概略次のようなお話がありました。
    〇茨城県
    • 鹿島沖で風力発電100基を設置する計画がある。そのほか、市町村に鳥獣駆除の許可権限が委譲され、県内で話題になっている。
    〇栃木
    • 震災で栃木県内も被害が出ており、野崎のチョウゲンポウ営巣地3つが崩落した。現在は近づける状態ではない。岩船町、那須町のハヤブサ営巣巣穴も崩落した。
    • 渡良瀬遊水地のラムサール条約登録に向けて、環境省では内々定の段階。11月下旬に公聴会が行われ、4月に決まる予定。環境省主催で地元説明会が開かれている。渡良瀬遊水地は治水のためにあったものであり、治水を優先すべきとの反対意見があり、栃木市から環境省に要望し、国主催の説明会開催に至った。現在5回終了。
      第一回の時点で、反対意見が多かったが、2回目以降は落ち着いた。地元の有力者が感情論で反対していることは問題。栃木市長が登録に前向きな姿勢を公言し、新聞にも載ったことで、事前に情報のなかった関係者感で感情的な反対意見があった。
    〇吾妻
    • 5月23日の岩櫃山での探鳥会は、いわきの被災地から避難されている方も含めて行った。
    • ビキニ水爆時より、ツバメの調査を開始し、継続している。
    • 地域の温泉(四万温泉)や学校へのバードウォッチング指導等も行っている。
    〇埼玉
    • シラコバト調査を行い、ストリクスに報告を掲載した。
    • 東日本大震災関連では、義捐金を集め財団事務局に届けた。また、3〜4月の全18回の探鳥会を中止した。
      財団事務局の呼びかけを受け、「がんばろうふくしまin西郷」に4名が参加した。
    • 定例探鳥会300回を記念した缶バッジを制作した。
    • 探鳥会記録データベース化に向けて、情報を財団事務局に提供した。
    • 28回目となるリーダー研修会を行ったが、今年は新リーダー1名であった。
    • 今年も支部総会を行い、財団事務局の佐藤理事長からリスクマネジメントについて講演をいただいた。
    〇奥多摩支部
    • タカの渡りを継続して行っており、昨年は2268羽と最多数が観察された。そのほか、子ども主体の探鳥会も羽村で開催している。
    〇東京
    • 10年以上会員の減少が続いている。会員に対して、活動を積極的にアピールしなければならない。野鳥の保護研究活動に力を入れ、伊豆諸島のアカコッコを対象に、八丈島で調査を行い三宅島と比較し、その保護に役立てていきたい。4月にスタートしたばかりだが、来年以降も継続していく。東京湾では、この冬よりカンムリカイツブリ、スズガモの調査を始める予定。
    • 会員の参加を促進するため、会員の意見交換の場としてフォーラムの企画を検討中。探鳥会は活動の柱ではあるが、どうしても受け身のイベントになりがち。参加者に積極的にかかわってもらうような、調査探鳥会スズメのラインセンサス)や、クリーン活動を始めた。
    • 活動の足元を固めるため、事務局を合理化し、有給スタッフを1名減らした。事務局オープンの日時、時間も変えた。
    • 野鳥の保護研究基金をつくり、会員から寄付を募り、会報ユリカモメ9月号に掲載したところ、合計60万円が集まっている。
    〇群馬
    • 探鳥会を計119回実施したが、震災の影響を受け中止したものもあるため、若干回数・参加者が減った。
    • 会報表紙のコウノトリは、8月に渡良瀬遊水地付近に来たもの。
    • 東京電力の受託事業を1つ受けている。
    • ホームページは年間アクセス数約2万件。探鳥会の予定や観察データも掲載している。
    • 来年50周年を迎え、群馬県鳥類目録を発行する予定。発行に向けて、群馬県内で見たことのある鳥の情報がほしい。
    〇千葉県
    • 2011年1月に30周年を迎え、記念講演・パーティを行い、100名の参加があった。
    • オーストラリアのクイーンズランド 渉禽類協会とともに、キアシシギの渡りルートを調べる活動を始めた。
    • 我孫子で開催されるジャパンバードフェスティバルに毎年出展している。
    • 東京湾奥部に青潮が頻発している。県内で鳥インフルエンザが出たが、2件にとどまった。また、震災直後で、大きく話題になることはなかった。
    〇神奈川支部
    • お試し会員制度「ひなどり会員」を5月からスタートした。探鳥会は定例のほか、花をテーマにしたものや、俳句探鳥会など、個性的なものも含んでいる。
    • 昨年11月にバイノス研究発表会を開催し39名の参加があった。
    • 前支部長の浜口さんを偲ぶシンポジウムを行い、430名の参加があった。
    • 12月に会員フォーラムを行った。
  3. 前回議事録の確認および連絡先の確認
     各支部の連絡先について、下記2点の変更が確認されました。
    ①東京:事務局オープン日時が月水金11:00〜16:00に変更となった。
    ②群馬:来年1月より、月〜金となる予定。
  4. 報告事項
     連携団体(支部)、財団事務局より、下記5件の報告がありました。
    ①鳥インフルエンザについて(財団事務局 自然保護室室長 葉山)
     9月6日に環境省より、「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」の改訂版が出され、抜粋版を作成した。大きな変更点としてはリスク種を1〜3、その他に分け、対応が掲載されている。全国約100か所で糞便調査が継続して行われている。家畜衛生部局と連携して簡易検査が行われる必要性が明記された。出水の事例を受け、集団渡来地での発生時の対応が出た。この冬も、国内で発生するリスクが大きい。情報も充実しているので、ぜひ全文をダウンロードして目を通しておいてほしい。
    ②探鳥会関係の報告(財団事務局 普及室 林山)
     2009年は65支部、2010年は66支部から報告をいただいた結果をとりまとめた。2009年度は計64,374人、2010年度は計62,910人の参加があった。2010年度の減少は、3月11日の震災後、探鳥会を自粛した支部が多かったため。非会員参加率21%、スタッフ1人が対応した参加者数10名前後という傾向は変わっていない。2010年度の報告で、会員・非会員を分けて集計していただいたことにより、非会員参加率を正確に出せるようになった。  探鳥会結果の報告は、保険加入も兼ねているため、提出されていない支部には、ぜひ提出をお願いしたい。なお、現行の探鳥会保険は、宿泊型の探鳥会には対応していないため、宿泊型を企画される支部には、別途保険加入を検討いただきたい。保険会社からの提案をいくつか添付した。申し込み、詳細は、支部から直接保険会社にお願いしたい。
    ③洋上発電計画の現状と問題点(千葉県 志村英雄会長)
     銚子沖、響灘の2か所で実証実験が行われた。銚子市外川沖に調査タワー、風力発電一基を建てる。高さ120メートル(最高点)、間隔300メートル、実験後は解体される。
     日本野鳥の会千葉県に、調査協力の依頼があり、NPO法人野鳥千葉がオブザーバーとして会場調査に同行することとなった。調査データによっては、日本野鳥の会千葉県が意見することもあるという条件を付けた。
    ④農薬「ネオニコチノイド」の環境毒性について(千葉県 志村英雄会長)
     農薬「ネオニコチノイド」と、除草剤の水田への散布の野生生物や人体への危険性が懸念される。アメリカでは、有機リン系の農薬に子どもが触れることで、情報伝達系に障害が出るという事例がある。ネオニコチノイド系農薬は、2000年頃から使われるようになったが、少ない回数の散布ですむかわりに、毒性が強い。見ている限りでは、田んぼの鳥が減っている。昆虫、クモのラインセンサスを行ったところ、明らかに散布後の数が減った。身のまわりで普通に見られている鳥を注視することも、当会の役割と考える。
    ⑤放射能の影響と探鳥会運営について(千葉県 志村英雄会長)
     子どもを野外に連れ出すのに、線量計も用意しないのかと問われることがある。線量計を購入し、探鳥会を実施する際に持参することとした。
  5. 検討事項
     連携団体(支部)間で、下記3件の検討課題について意見交換を行いました。
    ①関東ブロック運営要領と細則改正についての最終確認運営要綱と細則の、最終確認を行った。
    ②会員減少対策について
    東京(川内博副代表):東京では、10年前は6千名を超えていた会員が、半減している。まずは赤字体質の改善に向けて、固定費を削るため、事務所のオープン日時を変更し、人件費を削減した。 全体的な、会員数の減少要因は、会員の高齢化による退会と、入会者の減少(財団事務局会員室の分析より)。 会員数1,000人規模の支部は軒並み減少している。効果的な対策はないか。
    神奈川支部(鈴木茂也支部長):お試し会員「ひなどり会員」を設け、現在74名がひなどり会員になり、うち18名が入会した。 探鳥会等でよびかけ、その場で1,000円をもらい、受け付けている。6か月間支部報をおくり、最後に入会をお誘いする。 今後も続けていくつもりだが、大きく増えた、という効果は見えていない。会員へのアンケートを行ったところ、多くが60代であった。あと20年もすれば、さらなる減少につながる可能性がある。その分を少しでも補わなければならない。5,300円払うのは抵抗があっても、1,000円で仮の会員になって様子を見てもらうのは有効と考えた。
    栃木(河地辰彦代表):栃木は増えたように見えているが、支部のみ会員から切り換えてもらったもので、実質は増えていない。 「ビギナー探鳥会」を実施しているが、期待しているほどの効果はない。大口の受託事業が減り、財政は厳しい。 活動費を補填するために、基金を取り崩している状態。
    千葉県(志村英雄会長):世の中が変わってきていると感じる。珍しい鳥が出たときに、集まる人の多くは、会員ではない。鳥を見たい人は、野鳥の会に入って教えてもらうのではなく、ネットや個人の情報をたよりに楽しんでいる。たまに探鳥会に若い人が来てくれるが、リピートにはつながっていない。新しい人を会員にするのは、とても難しい。 高齢で退会する人には、会のミッションを伝え、やめないでもらうことも重要。もうすぐ定年という層は、取り込みやすいが、若者や女性に居心地のいい場にはなっていないのではないか。
    事務局(理事長 佐藤):「支部のみ会員」は、基本的には無いと考える。会員を増やす一つの方法は、名簿を取得すること。 フリーマガジン・トリーノからの入会は、それなりにある。日本野鳥の会という組織が、名前は知っているが、何をしているかわからないという印象を持たれている。特効薬はないが、支部同士、よいところは見習いながら、全体でかさ上げしていきたい。
    神奈川支部(田丸義夫幹事):探鳥会の際に、トイレがあるか聞かれることがある。女性や高齢者にはトイレの場所も重要で、わかりやすい案内が必要。平日探鳥会を行ったこともあるが、若い人は少なかった。年配をターゲットにしてもよいと思う。
    埼玉(橋口長和普及部長):総合会員が減り、支部型・本部型が増えている。金額の高い総合会員から、支部、本部型にシフトしているのではないか。野鳥誌はもらえないが会費が安い、という会員設定も検討してはどうか。若者には、自然の中で汗を流し、達成感が得られるような活動が受ける。こうしたプログラムの実施も、考えてはどうか。
    ③鳥獣駆除の許可権限が県から市町村に委譲されて以降の許可実態と制度見直し点の整理
    茨城県(久野敏巳幹事):有害鳥獣駆除の許可権限が県から市町村に委譲されてから、実態把握が難しくなった。手続きが簡素になり、無用な許可が多発される可能性も大きい。
    事務局(自然保護室長 葉山):第11次の計画のための基本資料中にも、捕獲許可の基準と権限委譲について書かれている。 市町村から必ず県に実績の情報をあげ、公開されるようになるとよい。
    神奈川支部(石井隆副支部長):神奈川では、大きな問題は出ていないが、市町村の担当者が専門外のこともあり、市町村の環境行政と連携するチャンスとも捉えている。サポーター的な役割を担えるようになるとよい。
    栃木(河地辰彦代表):これまでの実績から、有害鳥獣駆除の対象となる種は大体わかる。新しいものが出てきたら、注意が必要。許可証に書かれている内容と駆除内容が違っていたこともあった。
  6. 来年度の会議について
     来年の関東ブロック会議は、茨城県が担当することとなりました。
     翌2日は、湘南国際村の見学と探鳥会が行われました。

(普及室/岡本裕子)

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある方へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.578

●2011/9 オホーツク
・カンムリウミスズメ
●2011/9 苫小牧
・海鳥の油汚染救護技術講座
●2011/9 埼玉
・ツミ観察日記
・2011年冬カモ科調査
●2011/8 沼津
・レンズで踏み込む無慈悲さ
●2011/9 滋賀
・イワツバメ
・生物多様性の考え方
・イノシシ
●2011/9 熊本県
・シギ・チドリたちに安心・安全な休息場所を
●2011/秋 鹿児島
・コアジサシのコロニー観察 

●2011/9 オホーツク
・カンムリウミスズメ
 8/26、網走港からネイチャークルーズ船に乗り、沖合5、6qでカンムリウミスズメ4〜6羽を撮影する。オホーツク海では初めての記録である。伊豆諸島や九州等の島々で繁殖する鳥で、繁殖期以外の分布はよく分かっていない。
http://wbsj-okhotsk.org/blog/
(オホーツク「ばあどこおる」NO.292,P6)
●2011/9 苫小牧
・海鳥の油汚染救護技術講座
 7/9、ウトナイ湖に於いて、主催:苫小牧市、後援:野生動物救護研究会、協力:当支部、で開催した。油汚染の救護事例、その方法をスライドでレクチャーの後、実際の野鳥の死体で、種の識別、保定や補液の仕方を説明した。その後、実際の鳥で洗浄、すすぎ、乾燥、収容段ボールの作成を19名が実習した。
(苫小牧「あおさぎ」NO.178,P3)
●2011/9 埼玉
・ツミ観察日記
 3/23、ケヤキ並木からツミの鳴声を聞く。4/11、ケヤキの梢で交尾。4/21、♀が枯れ枝を折り取り、ケヤキの又にある針金ハンガーで補強されたカラスの古巣に入る。5/6、♂が獲物をぶら下げて飛来、♀がそれを受け取り、羽根をむしり始める。餌の受け渡し場所は決まっており、ツミの白い糞も見られる。6/3、♀が葉の付いた小枝をむしり取り巣に入る。6/9、白い雛らしきものを見る、♀は20mほど先に止まっている。6/15、雛が巣から糞をする。雛は尾羽に茶色の部分があり、他は全て白い。♀がオナガと争う。6/19、雛が羽ばたきをした後、巣から飛び出し、枝伝いに移動する。2羽以上が巣立った。7/2、複数のツミの鳴き交わしを聞く。
(埼玉「しらこばと」NO.329、P2〜3)
・2011年冬カモ科調査
 1/8〜10、県内37箇所を延べ53名で調査した。総計11,563羽で、内訳はコハクチョウ92、カルガモ2,370、マガモ2,222、コガモ2,005、ヒドリガモ1,142、オナガガモ680、キンクロハジロ416、ホシハジロ207、不明カモ類2,092(内、渡良瀬遊水池2,088)等。総数は例年より約20%減、コハクチョウは給餌中止で半減、オシドリ40(内、荒川玉淀ダム39)、トモエガモ34(内、狭山湖31)は持ち直した。
(埼玉「しらこばと」NO.329、P4)
●2011/8 沼津
・レンズで踏み込む無慈悲さ
 サンコウチョウの営巣、育雛をカメラに納めるヤカラが増え、山中湖の水場や戸隠のアカショウビンにレンズが群がり、ブラインドからひっそり野鳥を見せてもらう精神は失われた。銭さえ出せば技術を請け負ってくれる高性能カメラを持った年金ジジイに受難が受け継がれている。写楽のためなら、慈悲もマナーも無いヤカラにはキチガイに刃物である。私たちはこんな写真は評価しない、展示しない、対策に着手したい。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.223,P3)
●2011/9 滋賀
・イワツバメ
 イワツバメの腰の白い部分は上尾筒までで、この部分は羽軸が黒いため、細い筋が入っているように見える。足は白い羽毛が指まで覆っている。これは巣場所の岩棚から足を守るためなのか、理由は不明。他の国内のツバメには足に羽毛は無い。イワツバメが早朝に山の上を飛ぶのを見るが、夜、何処で寝るのか不明、アマツバメのように飛びながら寝ているのか?越冬地もよく分からない。
(滋賀「におのうみ」NO.26,P13)
・生物多様性の考え方
 メダカは北海道を除く全国に分布し、地域により遺伝的に分化している。「遺伝子の多様性」は日本語の拡がりと、各地で分化した方言になぞらえると理解しやすい。「種の多様性」は、調和的関係の取れない種を振い落す長い歴史的試練を経て、共存できる顔ぶれが選ばれてきた結果と考えられる。それは、将来にわたり存続や健全な生態系サービスを保証してくれる「自然の遺産」である。我々は歴史的な遺産、長命の生き物を尊重する気持ちを無意識的に抱くが、生物多様性は人間の文化の歴史より長い時間掛けて獲得された事を理解すれば、地域の生物多様性を尊重する気運は高まるであろう。
(滋賀「におのうみ」NO.26,P14〜15)
・イノシシ
 イノシシは映画「もののけ姫」では森を荒らす人間を憎む存在であるが、人間が獲物とするため、人を恐れている。春から初夏(時には秋)に2〜8頭を出産する。雄は子育てに参加せず、雌の子育ては粗放的で、危険な事態が起こった時は、一応、仔の安全を憂慮し外敵に警戒声を上げるが、最後は我が身の安全を取る傾向がある。出産後半年で仔は2、3頭まで減っているのが殆どで、他の哺乳類と食べ物の競合を避け、それが、競争相手や縄張りを持たない生活を可能にしている。夜には目が利かない昼行性動物であるが、外敵を恐れて夜行性として動く。
(滋賀「におのうみ」NO.26,P20)
●2011/9 熊本県
・シギ・チドリたちに安心・安全な休息場所を
 荒尾市の荒尾海岸は、佐賀県の東与賀海岸、新籠干潟、球磨川河口と共に、有明海の水鳥の中継地になっている。支部は「野鳥休息場所と人の利用の緩やかな分離を促す啓発用の看板」の設置を荒尾市に要望し、散策をする人向けに注意喚起看板が設置された。7/5、荒尾市長宛に荒尾周辺海岸を、ラムサール条約登録、東アジア・オーストラリア地域フライウエイ・パートナーシップ参加の推進をお願い、そのため、同海岸の国指定鳥獣保護区指定への取り組みを要望した。
http://torikuma.com/katudou.html
(熊本県「野鳥くまもと」NO.289,P12〜14)
●2011/秋 鹿児島
・コアジサシのコロニー観察
 桜島を望むマリンポート鹿児島で、6〜7月、コアジサシの営巣状況を観察した。6/6、約40羽が砂地にうずくまる。6/8、63羽、内32羽は抱卵に入っているようで、求愛給餌も見られる。6/13、200羽弱、一斉に全て海上に帯状に飛び立つ。ハヤブサ、ハシボソガラスが止まっている。6/25、雛7羽を初めて確認する。6/28、親90羽、雛23羽。7/12、幼鳥32羽、海上まで飛び出す。7/15、陸上にはコアジサシの姿無し、海上遠くに2羽を見る。最終的に雛は35羽(2羽X15組、1羽X5組)。
(鹿児島「るりかけす」Vol.131,P12〜13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.579

●2011/9 神奈川
・ガビチョウの分布域と鳴きまねの記録
●2011/9 大阪
・クマタカ
・鳥を守るための法制度等について
・窓ガラスに衝突する鳥
・アオバズク営巣地でのマナー違反
・ミサゴの繁殖
●2011/9 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名 カルガモ
●2011/9 岡山県
・ブッポウソウ米のオーナー募集
●2011/8 山口県
・風力発電施設建設事業に対する要望書を提出
・春期第76回シギ・チドリ類県内一斉調査結果
●2011/9 福岡
・タカの渡り連続調査
・メジロの密猟の記事を読んで

●2011/9 神奈川
・ガビチョウの分布域と鳴きまねの記録
 ガビチョウは神奈川県では95年に初めて藤野町で記録され、県北西部から分布が拡がり、今では県全域で記録される。鎌倉市での例では、当初50ha程の緑地に1〜2番が、数年で4〜5番と密度を高めている。ガビチョウの鳴きまねの記録がある種は、イカル、ウグイス、イソヒヨドリ、オオヨシキリ、カイツブリ、カワラヒワ、キビタキ、クロツグミ、コジュケイ、コマドリ、サンコウチョウ、センダイムシクイ、ジュウイチ、ツバメ、トビ、ヒヨドリ、ホトトギス、メジロ、ムクドリ、ルリビタキ、オナガの21種とツクツクボウシ。
(神奈川「はばたき」NO.472,P8〜9)
●2011/9 大阪
・クマタカ
 大阪府のクマタカの安定した営巣地は9箇所で、18羽は生息する。県境を挟んで奈良県側に3番、和歌山県側にも2番がいる。幼鳥や放浪個体を10羽として、この付近には38羽程度生息する。主な生息地の大阪南部の林相は80年代頃より赤松の自然林から杉、檜の人工林に変わり、この時は危機であったが、乗り越え、2010年は巣立ち7羽と、観察史上最高を記録した。近年は隔年繁殖のためか、今年は繁殖確認できず。大阪希少鳥類研究グループとモニタリングを続けていく。
(大阪「むくどり通信」NO.215,P2)
・鳥を守るための法制度等について
 1・鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適切化に関する法律):これに基づき、鳥獣保護区の指定(この中に国指定特別鳥獣保護区がある、都道府県指定)、特定猟具使用(銃猟)禁止区域の指定、狩猟鳥30種を指定、鳥獣保護員の配置、有害鳥獣の駆除、愛玩飼養のための捕獲、飼育の禁止、傷病鳥獣保護等がこの中にある。2・種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律):38種の鳥類が指定されている。保護増殖計画のある種もいる。他に国際希少野生動植物では鳥類134種がある。レッドリストにある種の多くがこの指定から外れている。3・文化財保護法:特別天然記念物で8種の野鳥、天然記念物で20種。生息地地域指定もある。4・生物多様性基本法。5・生物多様性保全活動推進法(地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の推進等に関する法律)。6・その他:ワシントン条約、ラムサール条約、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パーナシップ(渡り性水鳥保全連携協力事業)。
(大阪「むくどり通信」NO.215,P7〜9)
・窓ガラスに衝突する鳥
 窓ガラスに衝突する鳥は秋の渡りに多く、多くが幼鳥の傾向がある。キジバトは例外として、留鳥の衝突は少ない。大阪の或るビルで2010年に回収された衝突死の野鳥は33羽にのぼり、日本全体では莫大な数と思われる。参考:柳川、澁谷(2000)鳥類の衝突死 Strix 18:79-87.。和田(1995)窓ガラスにぶつかった鳥 Nature Study 41:129-130。
(大阪「むくどり通信」NO.215,P10)
・アオバズク営巣地でのマナー違反
 7/24、アオバズクが営巣する神社から、カメラマンのマナーにクレームがあった。ゴミ投棄、駐車違反、営巣木を叩く、物を投げる等。支部長が神社を訪問し、カメラマン=全てが支部会員ではないが、マナーを遵守するチラシを用意し、支部のHPでも撮影マナー喚起した。
(大阪「むくどり通信」NO.215,P13)
・ミサゴの繁殖
 7月下旬、貝塚市の鉄塔でミサゴが巣立った。6/21、巣上の2羽の雛に雌親が寄り添う。雛は親の半分程度で白くなく、褐色味が強くバフ色の羽縁が目立ち、目は朱色で、過眼線がくっきりした特徴等は他のタカの雛とは異なる。
(大阪「むくどり通信」NO.215,P21)
●2011/9 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名 カルガモ
 カルガモの名は江戸時代初期より使われ、方言名ではナツガモ、クロガモ、タグロ等呼ばれる。軽い鴨(軽鴨)と書くが、マガモ属の中では最大級であり、この命名は不思議である。私見では「雁鴨」に由来と思う。カルガモの体色は雁によく似ており、嘴はヒシクイに似る。雌雄同色も雁と同じで、雁に似た鴨よりカリガモ、そしてカルガモになったと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.396,P8)
●2011/9 岡山県
・ブッポウソウ米のオーナー募集
 吉備中央町美原地区で岡山県指定の特別栽培米「ブッポウソウ米」(コシヒカリ)を発売中。同地のブッポウソウ保護、ホタルの里整備等の資金を目的とする。5kg:2,800円、10kg:5,200円。
http://ganbatayousei.at.webry.info/201103/article_2.html
(岡山県「野鳥おかやま」NO.186,P9)
●2011/8 山口県
・風力発電施設建設事業に対する要望書を提出
 6/23、当支部と本部は下関市安岡沖に洋上風力発電設備を建設計画中の(株)アイ・エス・シー山口に対し、充分な事前環境調査を要請する要望書を出した。県と市に対し、業者に適切な指導をとるよう要望書を出した。内容は鳥類分布生息調査を最低2年以上実施し、環境影響予測評価を行い、回避できないマイナスの影響があると考えられる場合は事業の見直しを行う。調査内容は野鳥の会と協議する。調査結果は速やかに当会に報告する。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.216,P2〜3)
・春期第76回シギ・チドリ類県内一斉調査結果
 4/29、県下20箇所で一斉調査した。総計で24種、1,512羽を記録した。内訳はチュウシャクシギ1,077、ハマシギ152、キアシシギ47、アオアシシギ43、ダイゼン30、ムナグロ30、タカブシギ25、イソシギ21、ソリハシシギ14、コチドリ10等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.216,P12)
●2011/9 福岡
・タカの渡り連続調査
 福岡市の片江展望台で、ハチクマの渡り調査を毎年、行っている。2010年は総計6,128羽、9/28の1日で2,312羽、12〜13時の1時間で1,000羽が渡った。過去6年間の平均値では9/12から見られ、徐々に数が増え、9/28に900羽の最大となり、以下激減する。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.383,P10)
・メジロの密猟の記事を読んで
 密猟者は必ず刃物を持っている。直接声を掛けるのはとても危険である。横目で確認しながら通り過ぎ、密猟者に気づかれないように警察に連絡するのがよい。可能なら、遠くからでも現場写真を撮り、警察の到着を待つ。交番(地域課)は3交代制で、担当者の名前を聞き、後日結果を確認すると完璧である。車の番号が判れば、密猟者特定につながり、その密猟者から他の違法飼養の現認につながる。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.383,P15)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.580

●2011/8 滝川
・われら「野鳥の会」仲間のボランティア精神
・まなづるとダアリア
・バードテーブルに来た鳥たち
●2011/8-9 宮古
・ミサゴ撮影記
●2011/9 奥多摩
・図鑑読み比べ
・ノビタキ
●2011/9 静岡
・洋上風力発電
・南アルプス 茶臼岳、上河内岳「ライチョウ調査」
●2011/9 福井県
・ハチクマ春の渡りを観察
・理科の授業的な野鳥観察の方法
●2011/8 佐賀県
・佐賀県支部に復帰へ
・カササギ保護 (6/4 佐賀新聞)

●2011/8 滝川
・われら「野鳥の会」仲間のボランティア精神
 滝川市は市民参加の公園掃除の協力を求めており、例年、探鳥会で訪れている2箇所の公園の清掃ボランティアに支部は参加する事を決めた。4/20、市から受け取った大形ゴミ袋20枚がゴミでいっぱいになった。
(滝川「あかもず」NO.41,P3)
・まなづるとダアリア
 マナヅルは30年位前、長沼町の水田の畦道で営巣した記録があり、北海道では浦幌町、浜中町でも記録があった。今では鹿児島県の出水市に渡来し、東北地方で散発的に見られる。東北地方に住んでいた宮沢賢治は初めは「連れて行かれたダアリア」の作品名でダリアを赤くする力がある鳥を鴇(トキ)としていたが、トキは春を告げる鳥で、生命力の闇を描く秋の物語として、秋に渡来する真鶴に変え、「まなづるとダアリア」の作品になった。
(滝川「あかもず」NO.41,P4〜5)
・バードテーブルに来た鳥たち
 昨冬(12月〜4月)、自宅の餌台に来た鳥、7名からの回答より。ほぼ毎日来た種は
アカゲラ(3名)、ヒヨドリ(5)、キレンジャク(1)、ツグミ(1)、ハシブトガラ(3)、シジュウカラ(6)、シメ(3)、スズメ(7)、ハシボソガラス(2)。その他来た種は、ハイタカ、ヒレンジャク、ヤマガラ、ゴジュウカラ、メジロ、ヒガラ、アトリ、カワラヒワ、コムクドリ、ムクドリ、カケス、ハシブトガラス。
(滝川「あかもず」NO.41,P14)
●2011/8-9 宮古
・ミサゴ撮影記
 2010年、ミサゴの巣を観察した。観察日数153日、撮影写真33,000カット、内897枚をDVDで発売。http://spatelier.web.fc2.com/ 3/15、雌親が飛来、4日後、雄親到着。巣材運び後、3/31、求愛給餌、交尾、ウミネコとの攻防。4/20、産卵、2日おきに3卵。5月、運ぶ餌は主にウグイとサヨリ。5/27、30、31、3羽の雛が孵化。6月、餌はイワナ、ヤマメ、ウグイ、ボラ。7月、餌はトビウオ、ショッコ、ウミタナゴ、サンマ、カレイ、カラフトマス。7/22、28、31、3羽の巣立ち。9/4、一番若、3番若の終認、9/5、雄親の終認、9/6、2番若の終認。
(宮古「ミサゴの海」NO.217,P4〜5)
●2011/9 奥多摩
・図鑑読み比べ
 日本の鳥図鑑は日本産鳥類目録6版を基準にしているが、保守的で他国の分類と大きく違っている所がある。図鑑の保守的なレベルでは野鳥の会フィールドガイド>鳥630>野鳥590の感じである。野鳥590(06年7版)ではエゾムシクイの学名が他と異なっている。日本のエゾムシクイは囀りや生態が違うとして独立させたようである。3つの図鑑間でその他異なっているのは、ハチクマ、タヒバリの学名、オオトラツグミはフィールドガイドでは独立種としての記載が無い。マミジロ、クロツグミ、コルリ、ノゴマの属名にも違いがある。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.202,P18〜20)
・ノビタキ
 当方の観察では奥多摩地区でのノビタキは9/7〜10/29に記録があり、9/25〜10/15に通過するのが多い。春の記録は05/4/17、10/4/17の2件と少ない。秋は2週間程滞在するが、春は短い。草原で繁殖するノビタキは同じ環境を好むカッコウから託卵される。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.202,P23)
●2011/9 静岡
・洋上風力発電
 7/2、3に開かれた連携団体全国総会(於川崎市、90支部中40支部出席)での報告から。洋上風力発電が銚子沖(東電)、響灘(電源開発)で計画あり。銚子沖を5トンの舟で調査した。1月、シロエリオオハム2千、ウミスズメ2千、カンムリカイツブリ1千が集まる。8月、オオミズナギドリは午前中は海上1m未満を、午後は 30mを飛翔し、風車の影響出る可能性があり(日本野鳥の会千葉)。
(静岡「野鳥だより」NO.387,P8)
・南アルプス 茶臼岳、上河内岳「ライチョウ調査」
 8/27〜29、静岡ライチョウ研究会は南アルプス南部で調査した。茶臼岳(標高2604m)、上河内岳(標高2803m)ではライチョウは視認できなかったが、体羽を確認した。
(静岡「野鳥だより」NO.387,P13)
●2011/9 福井県
・ハチクマ春の渡りを観察
 5/15、敦賀市の天筒山で観察した。ハチクマ21、ハイタカ7、サシバ5、ノスリ2が北方向へ渡った。ハチクマは午前中(8〜12時)1羽、午後(12〜17時)7羽であった。
(福井県「つぐみ」NO.160,P8)
・理科の授業的な野鳥観察の方法
 学校教育で探鳥会をする時、時間が45〜50分と細分化されているので、その2回分連続で終了する事が鉄則である。小学校低学年は集中時間が短い、中学生は感性をどんどん前に出す、高校生は黙っている生徒が多い。安全管理の確認徹底は重要である。参加者の感性、感動を重視する話を聞く事で後に残る。自らの身近な環境調査で関心が高まる。鳥類保護連盟が出している野鳥の種ごとの環境評価点は役に立つ。
(福井県「つぐみ」NO.160,P9)
●2011/8 佐賀県
・佐賀県支部に復帰へ
 「日本野鳥の会佐賀」の名称は一見、「公益財団法人 日本野鳥の会」とは別の組織を設けたと取られる一面があり、支部に復する事で、行政、マスコミ、県民から財団との関係が理解し易くなる。佐賀のままの名称は他組織と類似しがちで判りずらい。そのため、6/26の総会で元の支部名に復帰する決定がされた。 (支部を付けることで財団との一体感、連携業務を進める象徴にもなるのでは 森)
(佐賀県「野鳥さが」NO.176,P2〜3)
・カササギ保護 (6/4 佐賀新聞)
 国の天然記念物であるカササギの生息調査に佐賀県教育委が乗り出した。2000年以降、佐賀平野では営巣が激減し、一方で大分県、熊本県で巣が発見されている。97年の調査では県内のカササギ生息数13,000〜17,000羽と推定、営巣場所は8割が電柱、2割が樹木であった。九州電力によると県内で確認した巣の数は2000年、約6,200個が09年には約4,000個に減っている。圃場整備で餌の減少、カラス進出の影響が考えられる。カササギは佐賀県の鳥で「カチガラス」の愛称で親しまれる。
(佐賀県「野鳥さが」NO.176,P14)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.581

●2011/9 こおりやま
・切手にある鳥の話
・シマヘビに負けたサシバ
●2011/9 東京
・「野鳥の保護研究基金」募金活動
・東京湾の水鳥の保護研究
●2011/9-10 愛媛
・ウチヤマセンニュウの繁殖地発見
●2011/9 佐賀県
・メジロの密猟
●2011/9 宮崎県
・コアジサシの雛巣立つ
・御池ヤイロチョウ子育て不適地へ ・H23年度、3河川でカモの渡来調査
・金御岳のサシバの渡り
・ミサゴは右利きか左利きか
・荒尾海岸のラムサール登録を目指す (8/3 西日本新聞)

●2011/9 こおりやま
・切手にある鳥の話
 阪神・淡路大震災の10年目の05年、国際防災世界会議を記念して「難儀鳥」の切手が発行されている。地震を起こすとされるナマズを抑え込んでいる江戸時代の鯰絵「難儀鳥」からの図案である。神話「天の岩戸」に出てくる鶏は古名で「くたかけ」と呼ばれ、原種はキジ科の赤色野鶏が有力である。ギネスブックには先史時代の最大肉食鳥ブロントルイス、シンガポールの人が入れる8000羽の鳥舎、6oの最少の卵を産む西インド諸島のコビトハチドリ、舌の長さが体長の2/3に達するヨーロッパアリスイ等が載っている。
(こおりやま「かっこう」NO.74,75合併、P2〜3)
シマヘビに負けたサシバ
 H8年の5/29、八溝山の源流域でサシバの死体を見る。よく見ると80cm位のシマヘビが翼に巻き付き、鎌首を向けている。サシバの鼻先に血が出ており、シマヘビから逆襲されたようで、ミサゴでも大魚に水中に引き込まれて、死ぬ事がある。
(こおりやま「かっこう」NO.74,75合併、P5)
●2011/9 東京
・「野鳥の保護研究基金」募金活動
 小笠原諸島がユネスコ世界自然遺産に登録され、伊豆諸島にも固有の野鳥種がおり、東京湾には僅かに干潟が残されており、湾内には毎冬、スズガモ10万羽以上、葛西海浜公園、三番瀬にはカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリが夫々数千羽が入る。当会は伊豆諸島、東京湾に焦点を当て、保護研究活動を始め、二人の会員からの寄付金(計100万円)を基に、「野鳥の保護研究基金」を創設し、会員からの募金を募る事にした。
(東京「ユリカモメ」NO.671,P3,8,20)
・東京湾の水鳥の保護研究
 東京港、葛西周辺、多摩川河口を含む東京湾の野鳥保護研究のシンボルとしてカンムリカイツブリを選んだ。それは東京付近では80年代以前は狭山湖、多摩湖に250羽も入り話題になったが、90年代以降、東京湾で5000羽が越冬するようになり、ハジロカイツブリも多数飛来するようになった。この2種が何故、大群で東京湾に現れるようになったのか、説明ができていない。万単位のスズガモも含め、自然海岸が1割も残っていない東京湾に水鳥が乱舞する環境を目指して、これらの野鳥の生態を調べる活動をする。
(東京「ユリカモメ」NO.671,P16)
●2011/9-10 愛媛
・ウチヤマセンニュウの繁殖地発見
 今回、愛媛県内で初めて松山市でウチヤマセンニュウの繁殖地が見つかった。瀬戸内海では初?国内では伊豆諸島、紀伊半島、九州地方沿岸の島々で繁殖する夏鳥で、四国では徳島県南部の島で繁殖が確認されていた。7/6、松山沖の小安居島で繁殖活動している26羽以上の多数の個体が確認された。他のセンニュウ類と異なり、目につく場所によく出て来た。後日の調査で、愛南町の小地島での繁殖可能性もある。
(愛媛「コマドリ」NO.204,P2〜3)
●2011/9 佐賀県
・メジロの密猟
 福岡県境の雷山付近で大掛かりなメジロ等の密猟が行われている旨、密対連に連絡があった。野鳥の会のメンバーもなかなか足を運ばない盲点地区で、違法捕獲啓蒙看板設置等を取り組む中、大きなエリアを見逃した事はショックである。
(佐賀県「野鳥さが」NO.177,P2)
●2011/9 宮崎県
・コアジサシの雛巣立つ
 今年は串間市の福島港では、野良猫、台風対策がうまくいき、コアジサシ15番で20羽が巣立った。竹を半分に切ったシェルター12個はよく利用された。宮崎市で昨年300羽以上が巣立った一ツ瀬川河口では、400箇所で営巣し、雛も順調に育っていたが、台風6号による増水と大波でコロニーは全滅した。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P3〜5)
・御池ヤイロチョウ子育て不適地へ
 御池野鳥の森では、5月下旬〜6月初、ヤイロチョウの声が確認できたが、結局、今年はここには居着かなかった。人の立入規制が出来ていない、火山の降灰、鹿の食害、対策の遅れ等が大きな要因である。県内では公開されていない4箇所で観察され、高知県のトラスト地では3番のみとなっている。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P6〜7)
・H23年度、3河川でカモの渡来調査
 7/25、高病原性鳥インフルエンザの感染経路に関する、県と支部の意見交換会があった。この結果、支部は五ヶ瀬川、一ツ瀬川、大淀川でカモの渡来調査を計画する。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P10)
・金御岳のサシバの渡り
 金御岳の2002〜2010年のサシバの出現数平均は、10/9がピークで、1980羽、ぞの前後で減る。10/6〜12頃がサシバの渡りが十分楽しめられそうである。02年に総計21,204羽を記録し、その後減っていたが、08年:18,018、09年:19,874、10年:19,266と、いずれ2万羽に届くか。同地は全国的に有名になり、東京、大阪、福岡からの観察者が増えている。支部はサシバカウント応援者を求める。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P11〜14)
・ミサゴは右利きか左利きか
 4件の回答では、魚を運ぶミサゴの足、右が前、左が後が3件、両足同じが1件であった。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P22)
・荒尾海岸のラムサール登録を目指す (8/3 西日本新聞)
 荒尾市は有明海の荒尾海岸を、ラムサール条約登録地にする事を目指す事を決めた。08年の調査では9kmの海岸線、干潮時1,656haの干潟に、シギ、チドリが6千羽以上確認され、全国で2番目に数が多かった。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.227,P23)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.582

●2011/9 茨城県
・オオバンの繁殖状況
・バンの繁殖状況
・ツルクイナとの遭遇
・津波の置き土産 コアジサシのコロニー
・神栖沖に洋上風力発電
●2011/9-10 群馬
・関東と関西の野鳥
●2011/10 軽井沢
・北アルプスのライチョウ
●2011/10 ひょうご
・ツバメの集団塒調査結果
・オオルリの囀り
●2011/9-10 鳥取県
・巣箱作り
・ブッポウソウ 産卵に関して
・鳥の鼻

●2011/9 茨城県
・オオバンの繁殖状況
 霞ヶ浦沿岸の蓮田はオオバンにとって、水深も手ごろで変動も少なく、蓮の葉が天敵から守り、最適な繁殖環境である。田村町では排水機場周辺15.7haに15巣が集中する。巣作りは槍状に伸びた蓮の若芽を水面から切り取り、別の株の根元に敷き詰め、その上に基盤を作り、最後に稲科の枯草で産座を完成させる。農家は9卵の産卵を見ると言う。最終卵後抱卵に入り、15〜60分程度で雌雄交代する。抱卵期間は24日前後、孵化すると親の羽毛の間に赤い頭を覗かせ、給餌を受ける。雄親は雌親より白い額盤に厚みがあり、幅も広い。
(茨城県「ひばり」NO.303,P3〜5)
・バンの繁殖状況
 バンは蓮田では浮葉の上を歩いて移動し、オオバンは畦で休む時以外は泳いで移動する。バンは川が流れている場所では川から1qも離れても営巣する。オオバンの巣は堤防から200m以内にあり、水鳥性が強い。バンの抱卵は70〜80分ごとに雌雄交代で行う。20日前後で孵化し、その後1週間も経つと、巣は空になる。オオバンが水中でも採食するが、バンは水面のみである。
(茨城県「ひばり」NO.303,P6〜7)
・ツルクイナとの遭遇
 5/29、龍ヶ崎市で休耕田の背丈のある草むらで、ツルクイナを撮影した。茨城県内では92/10に記録があるが、映像で確認は初めてである。繁殖地は朝鮮半島からロシアの沿海州で、国内では主に奄美諸島である。渡り途中の迷鳥のようで、この数年関東で記録がある由。珍鳥に対し、同じ個体の写真を多くの人が撮影する必要、意味は無い。後でしっかりレポートを公表して残す事で、鳥の本来の姿が分かり、地元にも配慮ができる。
(茨城県「ひばり」NO.303,P19)
・津波の置き土産 コアジサシのコロニー
 大震災で利用できなくなった大洗港で、堆積した砂を浚渫して積み上げた砂地に、コアジサシの100巣を越えるコロニーができた。茨城県、大洗町と対策を協議し、繁殖状況を監視しながら、砂を搬出し、1巣も損なわず、繁殖できた。
(茨城県「ひばり」NO.303,P22)
・神栖沖に洋上風力発電
 環境省の2011年度風力発電施設等に係る改正アセス法手続先行実施モデル事業として、突如、ウィンド・パワー・エナジー社(本社水戸市)が神栖沖500m〜4qに100基(単機5千〜1万KW)の風車を据え、50万〜100万KWを得ようとの計画が出ている。同社は既に同海岸で風力発電の実績を積み上げている。
http://komatsuzaki.co.jp/windpower/megasite.php
(茨城県「ひばり」NO.303,P22)
●2011/9-10 群馬
・関東と関西の野鳥
 京都で普通種で群馬で少ないのはケリ、コシアカツバメ、ユリカモメ、この逆はオナガ、ツミ、アカハラとなる。関西の森は常緑広葉樹が基本で、冬でも暗く、シロハラ、クロジ、アオバトが多い。群馬では落葉広葉樹が基本で、アトリ科の鳥をよく見る。関西ではオオルリの渡りが目立つのは4/10過ぎで、キビタキはその1週間後であり、群馬ではキビタキはオオルリに追いつき、4/20頃、両種が揃って飛来する。
(群馬「野の鳥」NO.307,P2)
●2011/10 軽井沢
・北アルプスのライチョウ
 南アルプスの白根三山付近のライチョウは激減しているが、北アルプスではそれ程でない。5、6個の卵を生むが、雛は少なく、8/8、大天井岳で2羽の雛をつれた親を見る。8/11のNHKイブニング信州「撮るしん」で紹介されている。
http://www.nhk.or.jp/shinshu-blog/2011/08/
11/7/8、常念岳から大天井岳への稜線で雌のペアが見られ、ライチョウ会議の中村浩志信州大学教授によると繁殖に失敗した雌同士で、珍しいペアである。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.342,P3)
●2011/10 ひょうご
・ツバメの集団塒調査結果
 06年より兵庫県のツバメの集団塒の調査をしており、今年も7月下旬〜8/15、14箇所で調査、内8箇所で塒が形成されていた。結果は美嚢川河川敷:58,000、千種川河口:40,000、加古川下流河川敷:35,000、円山川河川敷:20,000、神戸市龍ヶ池:12,000、神戸市等の市街地では街路樹や電線に小規模の塒が数年続いているが、07年に数百羽であったものが年々、減少し、今年は数十羽になっている。
(ひょうご「コウノトリ」NO.184,P14〜15)
・オオルリの囀り
 雌も囀る野鳥種も結構おり、オオルリも雌雄とも囀る鳥であり、タマシギは雌が囀りに相当する声を出す。オオルリの雌の囀りのレパートリーは貧弱で、地鳴きが混じる事もある。雌の囀りは威嚇の意味があるらしく(野鳥大鑑)、必要最小限しか鳴かない。
(ひょうご「コウノトリ」NO.184,P22〜23)
●2011/9-10 鳥取県
・巣箱作り
 支部は県内3地区で、親子の「夏休み巣箱つくり教室」を開催した。県西部では1963年より県主催の巣箱コンクールがあり、常連の学校が熱心で、250個も出品される。今秋には野鳥だけでなく、野生動物(コウモリ、ムササビ、リス等)の野生動物の住みかコンクールも県下で行われる。
(鳥取県「銀杏羽」NO.117,P8〜11)
・ブッポウソウ 産卵に関して
 支部が日南町で行っているブッポウソウ保護管理調査事業での結果では、一腹卵数平均値は08年:3.88、09年:3.62、2010:3.81、2011:3.78であった。雛の体重差の違いから見て、同時孵化は3羽が多いと思われ、抱卵開始は3卵目から始まっていると考えられる。夜間の抱雛は巣立ち4日前位まで続き、それは雌の役割で、昼間も雌が多いが、雌雄交代している。繁殖個体以外の個体が、巣から顔を出した親に餌を渡す「手伝い行動」と思われるのが初期の1週間程見られ、間もなく親の追い出しにあう。
(鳥取県「銀杏羽」NO.117,P12〜14)
・鳥の鼻
 鳥の嗅覚は哺乳類に比べ、鈍感と言われる。生ゴミに集まるカラスは視覚で餌探しをするが、コンドルの臭覚器官は他の鳥の8倍以上と言われ、死肉の臭いを10数q先から嗅ぎつける。ミズナギドリ類は島に戻るのに、島の匂いを頼りにし、配偶者の匂いで自分の巣穴を識別すると言われる。イタチ、ウズラの臭いをつけた紙をシジュウカラの仲間アオガラの巣に入れた実験では、イタチの紙では巣に入るのを躊躇したり、親が巣に滞在する時間が短くなった。
(鳥取県「銀杏羽」NO.117,P15)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.583

●2011/10 道南桧山
・鰊(ニシン)が北海道沿岸に群来(くき)ていた頃
・津軽海峡センサス
・キレンジャク ヒレンジャク
●2011/10 東京
・これからの「日本野鳥の会東京」を考える
・コアジサシの繁殖状況と保護の取り組み
・油曝ユリカモメ
●2011/10 北九州
・標識調査結果
・風力発電所計画について鞄d源開発と懇談
・スズメとオウム近い仲間 (8/28 asahi.com)
●2011/10 福岡
・福岡県環境部と福岡県内4野鳥の会との意見交換会

●2011/10 道南桧山
・鰊(ニシン)が北海道沿岸に群来(くき)ていた頃
 北海道の鰊漁場は江戸時代後期には利尻、礼文島まで及び、鰊が産卵のために沿岸に来るのを捕獲し、鰊粕生産のため、沿岸で大釜で煮ていた。その燃料として海岸の森林を伐採し、S30年代初期には森は消滅し、鰊は来なくなった。S45年発行の留萌市史に、S10年頃の古老からの聞き取りがある。明治の中頃、鰊の群が来ると、クジラ(ミンククジラ?)が多数来て海は騒がしく、アホウドリも多数集まった。その後アホウドリは来なくなり、1887/11、鳥島で大規模なアホウドリ捕獲が始まった事と辻褄が合う。名古屋近郊の織物産業は自動車産業へ変換した一方で、鰊産業は内地の商業資本に支配され、不漁で村は廃墟になった。
(道南桧山「はちゃむ」NO.96,P6〜7)
・津軽海峡センサス
 苫小牧〜秋田を通るフェリー上から観察した。7月、津軽海峡で海面近くを群で飛ぶトンボを見る。ウスバキトンボ又はアキアカネのようである。
(道南桧山「はちゃむ」NO.96,P8)
・キレンジャク ヒレンジャク
 キレンジャクの英名はBohemian Waxwingで、Bohemianは自由奔放であるの意であり、ユーラシア大陸に広く生息する。ヒレンジャクの英名はJapanese Waxwingで繁殖期にアムール川流域に集中し、越冬期に日本から、朝鮮半島、黄海沿岸に渡来する。レンジャク類は餌台に群で来て、餌台設置忘れた時でも群で飛来し、餌のあった場所を記憶しているようである。
(道南桧山「はちゃむ」NO.96,P11)
●2011/10 東京
・これからの「日本野鳥の会東京」を考える
 会員減少により財政が厳しい詳しい内容は、余り会員へ伝わっていない。会の運営基幹は幹事会で、幹事に運営権限がある。その幹事は規約上、誰に選出されているのか。規約では会の幹事、役員は現任幹事が選出し、代表(支部長)が委嘱するとされている。間接的にせよ一般会員の声を反映する機会は無い。常識的に見ておかしい仕組みは、S46年頃、初めて規約を作る時、当時密猟問題で他組織との軋轢が懸念され、一般会員からの会への意見を意図的に避けた事、既に永年に渡り既設の幹事会があった事がベースで作られ、結局、現規約になったと記憶する。これを正常なものにすべきである。例えば、会員総会を設け、幹事の選任、会計報告の承認、会員の意見を聞き、会の運営に反映等。規約の見直しが会の経営健全化への1つの手段である。
(東京「ユリカモメ」NO.672,P3)
・コアジサシの繁殖状況と保護の取り組み
   この夏、葛西海浜公園・西なぎさでコアジサシが22年ぶりに繁殖に成功した。5月上旬:初認。5/29:抱卵確認、飛来数300羽。6月:カラーコーンやロープで営巣地を保護。6/21:孵化。7/18:巣の数が最多の17。8月上旬:保護区内に雛が目立つ。8/15:幼鳥12羽。8月下旬:孵化しなかった卵20個が残る。
(東京「ユリカモメ」NO.672,P8)
・油曝ユリカモメ
 4/7、不忍池で羽毛に油が付着した黒いユリカモメ1を見る。防水機能が失われ、水が直接体に触れ、体温が奪われる。鳥は油を取り除こうとして羽繕いをするため、口から体内の油が入り、中毒死も考えられる。時期的に東日本大震災で油曝したと思われる。
(東京「ユリカモメ」NO.672,P13)
●2011/10 北九州
・標識調査結果
 2010/11/5、青森県三沢市仏沼で放鳥したオオジュリン成、♂が11/20、北九州市で回収された。15日間で1,287km移動した。山階鳥研の標識鳥回収記録より。
(北九州「北九州野鳥」NO.304,P5)
・風力発電所計画について鞄d源開発と懇談
 北九州市若松区で風力発電計画計画があり、6/16、環境影響評価について鞄d源開発より会に説明があった。8/27、会の運営会議で鞄d源開発より調査内容について説明後、質疑応答があった。「野鳥への影響回避」について全面的に取り組むよう要請し、各種調査を行い、再度打ち合わせを予定する。
(北九州「北九州野鳥」NO.304,P9)
・スズメとオウム近い仲間 (8/28 asahi.com)
 米独の共同研究で、スズメ等の小鳥に、分類上最も近い種はオウムであった。染色体のゲノムを解析し、レトロポゾンと言われる特徴的な配列の共有を分析した。その結果、スズメ目と共通祖先を持つのはコンゴウインコ等のオウムの仲間で、囀りはこれまでの説より3千万年早い、中生代に共通祖先で獲得されていたと見られる。ハヤブサ類もワシやタカよりもスズメやオウムに近い事も分かった。
(北九州「北九州野鳥」NO.304,P10)
●2011/10 福岡
・福岡県環境部と福岡県内4野鳥の会との意見交換会
 同意見交換会を経て、9/11、県内4団体で県へ意見、提案、要望を県へ出した。第11次鳥獣保護事業事業に関し、保護区内を年2回ほど調査を実施する事。オオヨシキリ、サギ類のコロニー、スズメの調査を実施する事。県内で密猟防止セミナーの開催。密猟、鳴き合わせ会への取り締まり強化。関係出先機関、市町村への指導強化、徹底を求める。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.384,P8〜9)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.584

●2010/10 札幌
・野外の危険な動物
・カッコウ一斉調査
●2011/10 埼玉
・カオグロガビチョウの繁殖
●2011/10 千葉県
・共に歩んだ野鳥保護40年 その4
・野田市でコウノトリ定着へ (8/.26 千葉日報)
・人慣れスズメ急増中 (7/26 朝日新聞)
●2011/10 南富士
・写真展、良い写真とは
・秋季シギ・チドリ調査
・ライチョウの移動
●2011/10 熊本県
・観察カードから分かったクロツラヘラサギ

●2010/10 札幌
・野外の危険な動物
 スズメバチが開けた場所で1匹だけがゆっくり飛ぶのは、餌探しをしており、じっとしていれば、いずれ飛び去る。複数の蜂の場合は十分、注意が必要である。ヒグマを防ぐには、音を出して歩く、早朝、夕方等の薄暗い時は行動しない、なるべく大人数で移動する等でバードウォッチャーの行動とは逆になる。北海道唯一の毒蛇はニホンマムシで、体側に五円玉のような模様がある。
(札幌「カッコウ」NO.337,P4〜6)
・カッコウ一斉調査
 6/17〜19、札幌市内及びその近郊、50箇所でカッコウの鳴き声を調査した。確認総数は67羽、昨年並で、内訳は札幌市東区で17羽、白石区で12羽、北区で11羽、石狩市で7羽、江別市で7羽、札幌市手稲区で6羽等であった。
(札幌「カッコウ」NO.337,P9)
●2011/10 埼玉
・カオグロガビチョウの繁殖
 7月、本庄市内のモクセイの庭木でカオグロガビチョウの繁殖が確認された。本種は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(略称外来生物法)」の特定外生物である。09年までに、群馬、栃木、茨城で記録されており、埼玉県では唯一今年6/6、北本市で生息が確認された後、今回県内初のカオグロガビチョウの繁殖記録となる。
(埼玉「しらこばと」NO.330,P4)
●2011/10 千葉県
・共に歩んだ野鳥保護40年 その4
脳神経学の黒田洋一郎氏は「昆虫等の減少はネオニコチノイドが原因」と言う。夏鳥の減少にも関わっていると思われる。では冬鳥は何故減らないのか。ネオニコチノイドの農薬が大量に使われている日本生まれの野鳥は神経に悪影響が出て、正常に渡りが出来ず、農薬が使われないシベリア生まれの野鳥は正常な渡りをすると説明できる。問題はこの農薬の名前すら余り知られておらず、フランスでは使用禁止で、我国では規制が緩い事である。無人ヘリコプターでの農薬散布が続いており、水に溶けるので、水鳥にも影響が出ている。最近は観察現場からのNGOの発言が減っている感じがする。
(千葉県「ほおじろ」NO.366,P3〜6)
・野田市でコウノトリ定着へ (8/.26 千葉日報)
 8月、「野田市におけるコウノトリ生息域外保護実施計画(案)」ができ、野田市は同市江川地区で、来年度1ペア以上のコウノトリの飼育を始め、10年の目標で繁殖、放鳥をし、同地区に定着させる計画である。南関東に広がるエコロジカルネットワークの構築を目指す。
(千葉県「ほおじろ」NO.366,P12〜13)
・人慣れスズメ急増中 (7/26 朝日新聞)
 人の手から餌を食べ、人に近づいて餌を催促するスズメの群が全国で見つかっている。東京大学の樋口広芳教授(生態学)の調査では北海道から九州まで8都道府県でその報告がある。東京でもお台場や上野公園で確認されている。スズメは欧州のイエスズメと異なり、人から逃げるのが普通であるが、幼鳥は警戒心が弱い、お年寄りの餌やりが背景にあるのかも知れない。
(千葉県「ほおじろ」NO.366,P13)
●2011/10 南富士
・写真展、良い写真とは
 野鳥の写真に対し、鳥屋、カメラマン、一般の方で評価が異なる。鳥屋は大きく鳥が写っている写真を好む傾向があり、写真を通してバードウォッチングをしている。カメラマンはピント、露出、構図に厳しい。全体を見ての印象の重要性を忘れがちである。鳥、カメラの知識が無い一般の人は見た感じを素直に表現する事ができる。良い野鳥写真は「鳥の環境と生態が写し込まれている」ものである。
(南富士「さえずり」NO.347,P6)
・秋季シギ・チドリ調査
 9/11、富士川河口で調査した。総計49羽で内訳はシロチドリ15、キアシシギ9、コチドリ8、イソシギ8、イカルチドリ4、クサシギ2、チュウシャクシギ2、ホウロクシギ1で、ホウロクシギは春に記録があるが、今回は初めて秋に見られた。
(南富士「さえずり」NO.347,P7)
・ライチョウの移動
 静岡ライチョウ研究会会報によると、2010/5、南アルプスのイザルガ岳で標識された雄のライチョウが、同年10月、5q離れた茶臼岳で確認された。若い雌が移動するのは知られているが、雄の移動が確認できたのは画期的で、それも移動距離5qは国内最長級である。
(南富士「さえずり」NO.347,P8)
●2011/10 熊本県
・観察カードから分かったクロツラヘラサギ
 クロツラヘラサギが定期的に熊本に渡来するようになったのは、この15年程で、徐々に数が増えている。支部の初記録は73/4/22の八代港干拓地で、現在は冬鳥として60羽を越えている。越夏個体も02年頃から見られ、03年、熊本港で最大15羽の越夏があった。足環着きの標識鳥は04年から見つかり、現在まで149件に達する。韓国での標識鳥が最も多く、赤地に白文字でKで始る数値が印字されている。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.290,P10〜13)

(自然保護室支援・野鳥の会 神奈川/森 要)

評議員会・理事会議事録

■平成23年度第3回(定例)理事会■

  1. 開催日時:平成23年 10月4日(火) 午後3時07分〜午後4時52分
  2. 開催場所:当財団会議室
  3. 出席者
    理事総数  6名
    出席理事 6名(代表理事を含む。)
    理事 佐藤 仁志、吉田 新、安西 英明、飯塚 利一、遠藤 孝一、松田 道生
    監事総数  2名
    出席監事  2名
     監事 見田 元、曽我 千文
    オブザーバー 1名
     評議員 柳生 博
    事 務 局
     岩下路子(総務室長)、葉山政治(自然保護室長)、富岡辰先(サンクチュアリ室長)、
     箱田敦只(人材育成PJ担当)、古南幸弘(自然保護室長代理)、五十嵐真(総務室総務グループチーフ)、
     小川富由美(総務室員)
  4. 議長  代表理事 佐藤 仁志
  5. 議決事項
    第 1号議案 評議員会招集の件
    第 2号議案 使用人兼務役員に対する役員報酬支給の件
    第 3号議案 平成24年度事業計画及び予算編成方針の件
    第 4号議案 事務局長任免の件
    第 5号議案 「ブロック規程」変更の件
    第 6号議案 「個人情報保護規程」変更の件
    第 7号議案 「情報公開規程」変更の件
    第 8号議案 「旅費規程」変更の件
  6. 議事の経過の要領及びその結果
     佐藤仁志理事長およびオブザーバーの柳生博評議員長から挨拶があった。飯塚利一理事兼事務局長が開会を宣言し、本理事会は定款第42条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立した旨の報告があった。  なお、議事録署名人については、定款第44条に基づき,出席した代表理事及び監事となっており、佐藤理事長、吉田副理事長、見田元監事および曽我千文監事が署名人となることを確認した後に、次の議案の審議に入った。
    (1) 第1号議案 評議員会招集の件
     五十嵐真総務室総務グループチーフより、定款第20条の規定に基づき臨時評議員会を招集すること、議決事項1件、報告事項3件として下記要領にて招集する旨の説明がなされ、審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    1. 日時:2011年10月26日(水) 13:00〜15:00
    2. 会場:(公財)日本野鳥の会西五反田事務所 会議室
    3. 目的事項:
      (1)議決事項
      1. 理事選任の件
      (2)報告事項
      1. 平成24年度事業計画及び予算編成方針の件
      2. 平成23年度第3回理事会結果の件
      3. (公財)日本野鳥の会の事業概要の件
    (2) 第2号議案 使用人兼務役員に対する役員報酬支給の件
     佐藤理事長より、6月の評議員会懇談会において支給すべく検討するよう指示があったこと、指示に基づき検討を重ね、この10月より月額1万円を支給したいこと、この金額では評議員会で承認を得た今年度の常勤役員に対する報酬総額を超えないこと、「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」に沿った措置であること等の説明がなされた。審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (3) 第3号議案 平成24年度事業計画及び予算編成方針の件
     吉田新副理事長より、平成24年度は財政健全化および会員・サポーターの増加の2点を最優先課題として取り組んでいきたいこと、そのために各事業の見直しを行うこと、収入増加を図り、創立80周年には財政を健全化させたい旨の説明がなされた。見田元監事より、財政健全化のためにはコスト削減を最優先としさらに事業の見直しが重要との指摘があった。続いて曽我千文監事より、施設管理受託事業の今後の計画について質問があり、佐藤理事長より施設管理受託事業による収入が全体の二十数パーセントと大きなウエイトを占めており、当面現状のまま維持するとの回答があった。審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (4) 第4号議案 事務局長任免の件
     佐藤理事長より、事務局長職について、現在の飯塚事務局長本人の意向や在職年数の長さ等を踏まえ、小林豊現会員室長へと交代する旨の提案が出され、審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した
    。 (5) 第5号議案 「ブロック規程」変更の件
     五十嵐総務グループチーフより、公益財団法人としての定款に準拠し、理事や評議員選出機能をなくすといった変更内容について資料に基づき説明がなされ、審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (6) 第6号議案 「個人情報保護規程」変更の件
     五十嵐総務グループチーフより、定款に準拠し実態に即した変更を一部行うこと等資料に基づき説明がなされ、審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (7) 第7号議案 「情報公開規程」変更の件
     五十嵐総務グループチーフより、定款に準拠した変更を一部行うこと等資料に基づき説明がなされた。松田道生理事より、現実に情報公開請求があるかとの質問があり、佐藤理事長より、本規程に基づく公開請求は過去にはない旨の回答があった。審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (8) 第8号議案 「旅費規程」変更の件
     五十嵐総務グループチーフより、定款に準拠し実態に即した変更を一部行うこと等資料に基づき説明がなされ、審議を経て、佐藤理事長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
  7. 報告事項
    (1) 平成23年度上期における理事長及び副理事長の職務執行状況の件
     定款第28条第4項の規定に基づき、平成23年度上期の職務執行状況として、佐藤理事長より、連携団体全国総会を開催し支部との新たな連携関係構築を開始したこと、定款に基づく規程類の変更を進めたこと、鳥と緑の日野センターおよびサンクチュアリの今後のあり方について検討を加えたこと等の報告があった。続いて、吉田副理事長より、主に新しい役員を対象に当会事業の説明会を開催したこと、バードライフ・インターナショナルやバードライフ・アジアとの良好な関係を構築したこと等の報告があった。
    (2) 連携団体全国総会アンケート結果の件
     五十嵐総務グループチーフより、連携団体全国総会の結果概要と支部向けに行ったアンケートについて、交流の場として高評価だったが意見交換や課題解決の場として捉える立場からは物足りないとの意見が多かった等の報告がなされた。松田理事より、全国総会で話し合ったことの受け皿はどこかという質問があり、佐藤理事長より、現状で全国総会は議決機関ではないこと、全国総会に出席した評議員および理事がそれぞれ当日の議論を踏まえ評議員会や理事会へ活かす仕組みとなっている旨の回答があった。見田監事より、意見交換を活発にするために小グループに分けて討論してはどうかといった提案が出された。
    (3) 新規シマフクロウ生息地の買い取り交渉の件
     富岡辰先サンクチュアリ室長より、シマフクロウの生息地分散と繁殖地保全事業の一環として、釧路地方東部地域において土地買い取り交渉を進めること、購入および管理には野鳥保護区基金ないしは持田プロジェクト特定預金を充てること、購入に至る際は定款43条に則り理事会承認を得る予定であるとの報告があった。
    (4) その他
    • 富岡サンクチュアリ室長より、釧路湿原国立公園が拡張され、9月30日に当会の野鳥保護区の一部が国立公園に入ったとの報告があった。
    • 飯塚理事兼事務局長より、今年度実行予算の内容について資料に基づき報告があった。

 上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、佐藤理事長、吉田副理事長及び出席監事の名において記名、捺印する。

平成23年 10月18日
公益財団法人 日本野鳥の会
議長 代表理事   佐藤 仁志
代表理事   吉田 新
監   事   見田 元
監   事   曽我 千文


■平成23年度第3回(臨時)評議員会■

  1. 平成23年 10月26日(水) 午後1時01分〜午後4時53分
  2. 開催場所:当財団会議室
  3. 出席者
    評議員総数 8名 (敬称略、五十音順)
    出席評議員 7名    北白川 道久、高松 健比古、竹丸 勝朗、 原 剛、平 軍二、福澤 武、柳生 博
    理事総数  6名
    出席理事 4名
       代表理事 佐藤 仁志(理事長)
               吉田 新(副理事長)
       理事 安西 英明、飯塚 利一
    監事総数  2名
    出席監事  2名
       監事 曽我 千文、見田 元
      事務局
       小林 豊(事務局長)、飯塚利一(普及室長)、岩下 路子(総務室室長)、富岡 辰先(サンクチュアリ室長)、
       箱田 敦只(人材育成プロジェクト担当室長)、葉山 政治(自然保護室長)、
       古南 幸弘(自然保護室長代理)、猪沢 則子(会員室長代理)、
       五十嵐 真(総務室総務グループチーフ)、小川 富由美(総務室員)
  4. 議長   柳生 博
  5. 議決事項
    1.理事選任の件
  6. 議事の経過の要領及びその結果
     佐藤仁志理事長が開会を宣言し、五十嵐真総務グループチーフより資料確認が行われた。その後、柳生博議長より挨拶があり、『野鳥誌』の新春対談や東京港野鳥公園における生番組出演等最近の活動について報告があった。続いて、小林豊事務局長より、本評議員会は定款第22条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立した旨の報告があった。
     なお、議事録署名人については、定款第24条の規定により、出席した評議員長及びその会議において選任された1人となっており、事務局一任とする提案がなされたため、小林事務局長は竹丸勝朗評議員を指名、全員が異議なく承認し、本人も承諾した。直ちに議決事項の審議に入った。
    (1) 議決事項1 理事選任の件
     柳生評議員長より、新しい理事として、旧制度下の評議員や佐賀県支部事務局長等を歴任していた佐久間仁氏を推薦する旨の提案があった。審議を経て、議長がその賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれに賛成し、本日付けで選任することを可決した。
  7. 報告事項
    (1) 平成24年度事業計画及び予算編成方針の件
     吉田新副理事長より、平成26年度が当会の80周年となる。80周年に向けた今後3年間の成長回復のための中期プランとして、財政健全化および会員・サポーターの増加の2点を最優先課題として取り組んでいくこと、平成24年度は成長のための準備として、事業の見直しに重点を置く旨資料に基づき説明があった。
     北白川道久評議員より当会の会員数がピークだった時期について質問があり、吉田副理事長より2000年前後の約5万5千人であったとの回答があった。続いて福澤武評議員より長期的展望から子どもを対象とした事業をおこなうことが重要との意見があり、佐藤理事長等から、将来を担う子どもたちに対する働きかけの重要性は認識しており、これまでも取り組んできていること、場合によっては親と子どもといっしょに行うことが効果的であること、絵本や紙芝居等の子ども向け企画を進行中であることなどの説明があった。引き続き、平軍二評議員より、大阪支部における年齢各層に向けた取り組みについて紹介があった。
     高松健比古評議員より、創立70周年時に計画された中長期計画と今回の中期プランとの関連性、および今回の計画遂行の担当者についての質問、支部と共同した新入会員獲得事業を行う際には状況の異なる支部ごとの対応が必要であるとの意見があった。佐藤理事長より、長期計画策定は課題として保持し続けていること、今回は当面の課題を解決すべく中期プランを打ち出したこと、担当は吉田副理事長であるとの回答があった。
     引き続き、竹丸勝朗評議員より、各支部にジュニア向けのグループを作ってはどうかとの提案、原剛評議員より、各種助成金では震災復興枠が設けられており、それを活用する提案、生物多様性への理解度の促進など社会動態の中で、当会は今後何を訴えていけば資金や人が集まるのかといった工夫が必要との意見があった。最後に議長の求めに応じて、曽我千文監事より、若い女性に鳥の魅力を訴える「鳥ガールプロジェクト」を発足させ女性職員とアイデアを出し合っていること、今後各種の意見聴取を行っていきたい等の報告があった。
    (2) 平成23年度第3回理事会の結果の件
     佐藤理事長より平成23年度第3回理事会について、評議員会からの意見をもとに使用人兼務役員に対して役員報酬を支給することとしたこと、事務局長を交代したこと、定款に準拠し実態に即した規程の変更をおこなった旨資料に基づき報告があった。
    (3) (公財)日本野鳥の会の事業概要の件
     佐藤理事長より当会の概要に関する説明、事業担当室長より各室の事業内容について説明があった。
     原評議員より、社会貢献型カードと提携する案、農業によって破壊されたシマフクロウ生息地を再生する取り組みの紹介等があった。高松評議員より、夏鳥減少に関して取り組むべきとの提案、カンムリウミスズメ事業に関し漁業関係者との関係について質問があった。質問に対しては、富岡辰先サンクチュアリ室長より、調査協力や情報交換ができる良好な関係が構築されつつあるとの回答があった。

     議長は以上をもって全部の報告を終了した旨を述べ、4時53分閉会を宣言し解散した。

 以上の議事を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人がこれに記名押印する。

平成23年 10月30日
公益財団法人 日本野鳥の会臨時評議員会
議      長   柳生 博
議事録署名人   竹丸 勝朗

事務局からのお知らせなど

自然保護室より

野鳥と洋上風力発電 影響と評価資料集

 この度、洋上風力発電施設が野鳥に与える影響について、新しく野鳥保護資料集の頒布を開始いたしましたのでご紹介いたします。

●野鳥保護資料集 第28集「野鳥と洋上風力発電−影響とその評価」

※お申し込みは以下から可能です。ご不明な点は、[email protected]までお願いいたします。
http://www.wbsj.org/nature/public/shiryou/index.html

(自然保護室/浦 達也)

総務室より

■税額控除対象法人の認可がおりました■

【証明書交付】
 平成23年10月7日、内閣総理大臣から「税額控除に係る証明書」が交付され、平成23年4月1日以降の当会への個人寄付金に税額控除が使えるようになりました。
 これにより、当会への個人寄付金は、これまでの所得控除と税額控除のどちらか有利な方を選択することができるようになりました。

【どちらが有利】
 税額控除はこれまでの所得控除にくらべ、小口の寄付者に対する減税効果が高いと言われています。本当か、どのくらい有利か具体例で検証してみます。


【事例】給与所得者の夫、専業主婦の妻、19歳学生の子供の3人暮らし、収入は夫の給与所得800万円、社会保険料をはじめとした控除総額が244万円、課税所得356万円の家庭が、当会に10万円の寄付をした。税額控除、所得控除を適用した場合の所得税は?

まず、寄付をしなかった場合の所得税は、課税所得356万円に対し284,500円となります。 これに対し、10万円の寄付をし、確定申告で所得控除を選択した場合は、(寄付金−2,000円)が課税所得から控除できるので、346万2千円が新たな課税所得となり所得税は264,900円となります。 また、税額控除を選択した場合は、(寄付金−2,000円)の40%、39,200円が税金から引くことができるので245,300円が所得税となります。

 この例では、税額控除の方が所得控除にくらべ19,600円の減税効果があることが分かります。寄付金が20万円になるとこの差が3万円強に広がりますが、寄付金が100万円では所得控除の方が5万円強有利になります。これは、税額控除の上限が所得税額の25%に制限されているからです。 税額は、その人の所得及び控除によって異なります。詳しい金額は最寄りの税務署でご確認ください。

【確定申告】
 税額控除、所得控除を受けるためには確定申告が必要となります。確定申告には当会からお送りした「領収証」が必要ですが、税額控除を受けるためには「領収証」に加え「税額控除に係る証明書」が必要となります。
 平成23年10月21日以降にお送りした「領収証」には、「税額控除に係る証明書」を同封しておりますが、「税額控除に係る証明書」が必要な方はその旨会員室までお申し付けください。
 確定申告では、所得控除と税額控除の有利な方を選択できますが、どちらか一方しか利用できませんのでご注意ください。

(総務室/奥田 秋穂)

■支部名称等変更のお知らせ(敬称略)■

【名称変更】
●日本野鳥の会十勝支部
(2011年10月5日より)
・新名称:『NPO法人日本野鳥の会十勝支部』

(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)

■共有名簿の訂正■

 先般お送りしました「共有名簿」に下記の通り訂正のご連絡を頂きました。訂正に関しましては、本紙には掲載いたしませんので、お問い合わせの際は総務室総務グループ TEL 03-5436-2620 / FAX 03-5436-2635へご連絡ください。
●日本野鳥の会富山事務局のファックス番号

(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)


会員室より

■会員数■

●11月1日会員数39,517人(対前月-137)
 会員数は先月に比べ137人減少しました。
 10月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より138人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。10月の入会者数は93人で、前年同月の入会者155人に比べ62人減少しました。
 また、10月の退会者数は231人で、前年同月の退会者数220人に比べ11人増加しました。

 表1.10月の入会・退会者数

 

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(11月1日時点)

 
備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(11月1日時点)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

●投稿お待ちします
 各支部やブロックからの投稿記事をお待ちしております。原稿はメールでお送りいただけます。特に締め切りはありませんが、月初めにお送りいただければ、その月の号に掲載可能です。
 本通信のバックナンバーは、ホームページから閲覧できます。URLは以下のとおりです。
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/index.html

●電子メール配信
 本通信は電子メールでもお送りしています。電子メール配信のお申し込みは、下記のメールアドレスまでお気軽にどうぞ。

(事務局長/小林豊)

支部ネット通信 第92号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会  2011年11月18日
◆担当
会員室
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2632
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]