No.100 2012年7月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆事務局からのお知らせなど
 ワイルドバード・カレンダー2013 採用作品決定
 中部ブロック会議議事録
 理事会議事録
 評議員会議事録
 支部名称等変更のお知らせ
 「H23事業報告・決算」「H24事業計画・予算」 HP掲載のお知らせ
 会員数
 支部ネット担当より

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.614

●2012/5 札幌
・石狩市厚田地区風力発電事業計画について(副支部長 猿子正彦)
・冬鳥減少
●2012/4 ふくしま
・洋上風力発電(代表 白石康夫)
●2012/5 奥多摩
・ミツユビカモメ新記録(浅山英樹)
●2012/5 茨城県
・渡良瀬遊水地鳥獣保護区指定に係る公聴会(会長代理 一色安義)
・耕作地のカルガモの実像(池野進)
●2012/5 沼津
・ガンカモ類カウント調査(江川隆昭)
●2012/5 徳島県
・2012.1月ガンカモ調査(研究部)
・野鳥の和名 カワセミ (曽良寛武)
●2012/5 高知
・第11次高知県鳥獣保護事業計画(案)
●2012/5 福岡
・2012年ツバメ初認記録
●2012/5 筑豊
・鳥見ケータイ(情報部 有働孝士)

●2012/5 札幌
・石狩市厚田地区風力発電事業計画について(副支部長 猿子正彦)
 同地で2千KWX2基の風力発電が計画されている。05年、石狩湾新港の風車でオジロワシ1がバードストライクで死亡しており、支部はその対策が蔑のままでは同意できないとしている。野鳥への影響を考え、海岸から500mから1.5q以上内陸へ位置変更されたが、ワシ類の飛行ルートにあたり、10〜2月の調査がされていないので追加調査をする事になった。
(札幌「カッコウ」NO.343,P10)
・冬鳥減少
 16年前の冬(95〜96年)、今年同様に冬鳥が異常に少なかった事があった。
その時、宮古支部の遠藤公男さんがロシアに飛び、極東ロシアの状況を調べた。 その年はロシアの沿海州は嘗てないほど木の実が豊作で、ツグミ、レンジャク類、多くの野鳥がそこに留まっていた。これが日本に渡って来る冬鳥の数を左右すると考えられると報告している。
(札幌「カッコウ」NO.343,P15)
●2012/4 ふくしま
・洋上風力発電(代表 白石康夫)
 原発の廃絶に替わる自然エネルギーへの転換が目指されている。福島県沖で洋上風力発電所が計画され、東大と民間10社は経産省の委託で、沖合30〜40km、水深100〜200mの海域に浮体式の風力発電の実証試験を予定している。その後、風車100基以上を数十qにわたり、建設する構想である。海鳥の保護のためにも、開発前に環境影響評価を行い、開発海域を決定すべきと考える。3月の東北ブロック協議会で、支部は「洋上風力発電の開発に当っては計画域における適切な環境影響評価を行うこと」の決議文案を提案した。
(ふくしま「きびたき」NO.202,P4)
●2012/5 奥多摩
・ミツユビカモメ新記録(浅山英樹)
 1/27、多摩湖でミツユビカモメ1羽が撮影された。多摩支部内新記録となる。(奥多摩「多摩の鳥」NO.206,P11)
●2012/5 茨城県
・渡良瀬遊水地鳥獣保護区指定に係る公聴会(会長代理 一色安義)
3/26、栃木市で同地をラムサール条約登録する国内手続きとして、国指定鳥獣保護区指定の公聴会が開かれ、公述人として意見を出した。同指定に賛成は33団体、反対1、保留2、意志表示無1であった。賛成33団体の内、11団体は「治水優先」の条件付きである。参加した自然保護団体は「日本野鳥の会茨城県」「渡良瀬遊水地をラムサール条約登録地にする会」「埼玉県生態系保護協会」の3団体で、当方からは「自然保護と治水を両立させる工夫」を訴えた。
(茨城県「ひばり」NO.307,P2)
・耕作地のカルガモの実像 (池野進)
カルガモは南方系のカモで極東ロシアでは絶滅危惧種である。毎年、雛が多数孵るが、個体数の変動は少なく雛の多くは成鳥になれない。茨城県下ではカルガモは70年代から急増したが、米の生産調整が始まった時期である。その後、圃場整備のためか85年頃まで急減し、7、8千羽で推移したが、97年から強力に進められた減反、休耕田の増加で、また増加に転じ、08年に転作奨励金廃止に伴い、個体数はまた減り始めている。有害鳥獣捕獲に使う金を休耕田の草刈等の助成に回せば、個体数管理に有益ではないか。
(茨城県「ひばり」NO.307,P4〜5)
●2012/5 沼津
・ガンカモ類カウント調査 (江川隆昭)
 1/8〜11、8箇所でカウントした。総計1,113羽で、内訳はヒドリガも319、カルガモ274、コガモ159、マガモ154、キンクロハジロ101、オカヨシガモ39、オナガガモ28、ヨシガモ23等。カワウは総計253羽であった。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.232,P3)
●2012/5 徳島県
・2012.1月ガンカモ調査 (研究部)
 第43回全国一斉ガンカモ調査の集計が出た。徳島県の1月の結果はコクガン3羽を含み、総計24,355羽で、内訳はヒドリガモ8,283、マガモ6,158、ホシハジロ2,632、コガモ1,787、カルガモ1,448、オカヨシガモ1,077、オシドリ960、スズガモ859、キンクロハジロ538等。
(徳島県「野鳥徳島」NO.404,P6〜7)
・野鳥の和名 カワセミ (曽良寛武)
 カワセミがセミ(蝉)と呼ばれるのは、この鳥の雛の鳴き声が関係していると思う。野鳥の雛の声は一般に余り印象的でなく、聞ける時も多くはない。しかし、カワセミは嘗ては人目に付く崖土に巣穴を掘り、古人はその雛の声を耳にする機会が多かったと考える。カワセミの雛の声「ジュビ、ジュビ・・・」は蝉の声に極めて似ており、川の蝉からカワセミとなったと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.404,P16)
●2012/5 高知
・第11次高知県鳥獣保護事業計画(案)
高知県に寄せられた意見と、高知県の考え方(括弧内)が公表された。メジロ飼育は先達からの文化で継続すべき。高齢者のささやかな趣味である。(野鳥は自然の中で生きるのが本来の姿で、その中で観賞して頂きたい)。許可の返納、鳴き合せ会主催団体を指導し、公的機関の提供をしないこと。検挙された場合は飼育許可を取り消すこと。(法律による登録票の返納は求めない。検挙者の飼養登録は取り消すよう市町村を助言する。鳴き合せ会は法律に抵触しない限り、特に取り組みはしない。)
キジ放鳥の意味は。(狩猟者登録のための狩猟税による狩猟資源確保。)その他(鉛散弾で捕獲した鳥獣を放置しないよう指導する。鳥獣保護員の活動は地域に密着しており、その委嘱は市町村長の推薦で行う。リハビリ施設は動物病院、動物園に委託する。)
(高知「しろぺん」NO.305,P〜34)
●2012/5 福岡
・2012年ツバメ初認記録
 3/3:大宰府、3/4:福岡市、ピークは3/24〜28であった。昨年の渡来ピークは3/20頃で、今年はそれより1週間程遅い。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.391,P10)
●2012/5 筑豊
・鳥見ケータイ (情報部 有働孝士)
携帯のカメラでスコープを覗いても、証拠写真は撮れる。その方法と撮影例が下記にある。
http://goo.gl/fq9E#keisco ケイスコのすすめ。 不明の鳥の声の収録は携帯を胸の前に置き、背後からの雑音をカットし、マイクを向ける。携帯の電卓を使って最初に1++とし、その後はボタンを押すごとにカウンターとして使える。
内臓GPSを使えば位置情報の記録、内部のメモ帳を使えば文字で記録もできる。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.411,P22)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.615

●2012/6 いわき
・コアジサシの姿無し (伊東善政)
●2012/1-2 栃木
・サシバ幼鳥の虹彩 (野中純)
●2012/3-4 栃木
・調査観察会の試み (平野敏明)
・「サシバの里」シンポジウム2012 (遠藤孝一)
・第21回渡良瀬遊水地ワシタカカウント(高松健比古)
●2012/5 大阪
・ツバメ (友田武) ・ツバメを呼ぶ方法 (和田岳)
・ヤマドリは実は一夫一妻 (3/7 中日新聞)
・クロサギ繁殖地 (3/16 紀伊民報)
・ヤイロチョウの不思議 (生態系トラスト協会代 中村滝男)
・ハヤブサから逃れるマガモ(納家仁)
●2012/5 熊本県
・熊本県初記録カリガネ渡来(山田龍雄)
・ツバメの塒入り観察 (荻洋枝)

●2012/6 いわき
・コアジサシの姿無し (伊東善政)
夏井川河口のコアジサシは09年に2羽の巣立ちがあったが、その後、繁殖はなく、11年の大震災による津波でその一帯が沈下し、大きく姿を変えている。
コアジサシは昨年5/1から半月ほど数羽が姿を見せたが、今年は5/20現在、全く飛来していない。
(いわき「かもめ」NO.111,P4)
●2012/1-2 栃木
・サシバ幼鳥の虹彩 (野中純)
 巣立ち直後のサシバ幼鳥の虹彩は茶色で、翌年の春には黄色になっている。
どのタイミングで変化するのか分かっていない。10月に宮古島で見た幼鳥の虹彩は茶色であった。越冬地まで行って調べる必要がある。
(栃木「おおるり」NO.219,P3)
●2012/3-4 栃木
・調査観察会の試み (平野敏明)
 03年から「モニタリング1000」が始っているが、これでカバー出来ない環境や野鳥もいる。住宅地周辺の鳥たちの調査には一般市民の調査が力を発揮する。欧米では早くから市民参加型のモニタリング調査が確立している。我国では例えば、栃木支部と共同で実施しているベランダバードウォッチは参加者は全国で50名程度、冬鳥で80名程度と未だ少ない。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_veranda.html
http://www.bird-research.jp/1_minikuru/index.html
(栃木「おおるり」NO.220,P3〜4)
・「サシバの里」シンポジウム2012 (遠藤孝一)
 1/28、市貝町でオオタカ保護基金と同町共催で開催され、300名以上の参加があった。東大の酒井すみれ特任研究員から2000年からの同町での調査結果を報告。サシバは餌を蛙から蛾の幼虫へ、狩り場を水田や畦から林に変える、雛3羽で1箇月に15kgの餌を食べるとあった。オオタカ保護基金の野中純副代表から同町でのサシバの保全活動が報告された。豊岡市でコウノトリの野生復帰を行っているコウノトリファンクラブの柳生博会長からは、それとの関連事例の話があり、「コウノトリを育む農法での米は普通の1.7倍で売れ、経済と環境は共鳴できる」とあった。
(栃木「おおるり」NO.220,P32〜33)
・第21回渡良瀬遊水地ワシタカカウント(高松健比古)
2/5、支部と渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会が主催し、33名で調査した。最大羽数はチュウヒ9、ノスリ19、トビ24。観察総数として、ミサゴ4、ハイイロチュウヒ6、オオタカ2、ハイタカ1、ハヤブサ1、チョウゲンボウ2、コチョウゲンボウ3。チュウヒは夕方、塒に集まる個体数は約40であり、昼間は遊水地外へ出る個体が多く、日中の記録数は多くない。今回の渡良瀬遊水地のワシタカ類の生息数は従来と同じレベルと推測される。昨春と今春のヨシ焼きは中止されている。
(栃木「おおるり」NO.220,P33〜35)
●2012/5 大阪
・ツバメ (友田武)
 1月に「田んぼの生きものたち・ツバメ」(神山和夫他)が農山漁村文化協会から出版されている。この中に出てくる交野市での16年間連続巣作りした観察記録より得られた知見を示す。ツバメの♂は気温が低時に♀が巣を空けた時、保温のため入る。♀の下腹には抱卵斑があるが、♂にはない。営巣中、片親が亡くなった時、産卵当初:♂死亡時、別の♀、♂が産卵し直す。♀死亡時、♂は残り、新しい♀が産卵し直す。抱卵中:♂死亡時、新に♂が来て、そのまま抱卵続行、あるいは巣を放棄。♀が死亡時、♂は残り、新しい♀が産卵し直す。育雛中:♂死亡時、他の♂が来てそのまま育雛、あるいは他の番が来て♀を追いだし子殺しがあると言われるが未確認。♀が死亡時、巣立ち直前であれば、♂だけで巣立ちさせる。
(大阪「むくどり通信」NO.219,P9)
・ツバメを呼ぶ方法 (和田岳)
 金井(1964)によると、ツバメは信号機の上、軒下に吊るしたトウモロコシ、コードの途中等でも巣を作り、八王子市では54%の巣で巣台を利用とある。藤田、樋口(2005)はツバメの巣は緩やかに集まっているルーズコロニーを作る事を示した。
藤田、樋口(1992)はツバメが減少した地域は世帯数が減っている事を示した。 川内(1988)は東京駅周辺の調査で、巣の位置は一日中人の動きがある場所であるとした。 (大阪「むくどり通信」NO.219,P10)
・ヤマドリは実は一夫一妻 (3/7 中日新聞)
 一夫多妻とされていたヤマドリ実際は一夫一妻である事が分かった。津市の獣医師高松人氏が7年間の生態調査結果を山階鳥類学雑誌で発表した。ヤマドリの♂は縄張りを守るため人に突っかかってくる程強く、生態調査が進んでいなかった。
(大阪「むくどり通信」NO.219,P11)
・クロサギ繁殖地(3/16 紀伊民報)
 国指定名勝地、和歌山県白浜町の円月島で補修工事が予定され、同地はクロサギの営巣地で、和歌山県支部はそれに配慮するよう要望した。クロサギは同県のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
(大阪「むくどり通信」NO.219,P11)
・ヤイロチョウの不思議(生態系トラスト協会代表 中村滝男)
 3/18の室内例会より。ヤイロチョウは5月に高知県へ渡ってくるが、そのルートは解明されておらず、対馬辺りから南下するとされる。渡って来た当初は宵の口でも鳴き、四万十町には3番が繁殖している。営巣地は低山の湿った渓でミミズ、ムカデ、カエル等の餌が捕えやすい場所である。地上に巣を作るが、アナグマ等の天敵を避けるため、岩の上に営巣する事もある。台湾では竹林で繁殖し、日本でも竹取物語のかぐや姫はヤイロチョウとの話もある。8月に雛が孵ると、親子は鳴き合い、親はダンスをするが、その意味は不明。
(大阪「むくどり通信」NO.219,P16)
・ハヤブサから逃れるマガモ (納家仁)
 3/25、マガモ数羽が次々に探鳥会参加者の数m目の前に着水した。よく見ると上空にハヤブサ、マガモは難を逃れるため、わざわざ人の近くに来たようである。
(大阪「むくどり通信」NO.219,P21)
●2012/5 熊本県
・熊本県初記録カリガネ渡来 (山田龍雄)
 11/21、熊本市の江津湖でカリガネ1が撮影された。嘴の中にブラシ状の板歯(ばんし)がある。カリガネは九州では04年、長崎県諫早干拓地へ、08年、福岡県今津市に飛来しているが、極めて稀である。熊本県では初記録になる。猛禽が来ても、カモは移動するが、カリガネは殆ど飛び立たなかった。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.297,P2〜5)
・ツバメの塒入り観察 (荻洋枝)
 2010年、2011年、熊本市内でツバメの塒入りを観察した。5/18、19:19、6羽が葦原の上で旋回し、19:23就塒開始、19:35、13羽が葦原で動かなくなる。6/28にはその数約2千羽、7/9:2.5千、7/23:5千、8/21には6千まで増加したが8/28には300羽に急減し、その間に一気に渡去する。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.297,P13〜14)                    

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.616

●2012/5-6 宮城県
・ハイイロヒレアシシギ1,000羽(加藤敬一)
・宮城県自然環境保全審議委員会(佐藤幸子)
●2012/5-6 栃木
・ベランダバードウォッチ2011年冬の調査報告(平野敏明)
・2011年ホンダテストコースの状況(遠藤孝一)
・谷津田保全地周辺で「サシバの森」づくり開始(遠藤孝一)
●2012/5-6 群馬
・2012年ガンカモ調査 (総合調査委員会)
・ウグイス初鳴き、ツバメ初認情報
●2012/5 神奈川
・トコロジストを目指すために・・・人と交流を大切に (幹事 鈴木茂也)
・日本初?12月にセンダイムシクイ(藤沢探鳥クラブ 秋山孝)
●2012/5-6 愛媛
・2012年カモ類調査(調査研究担当 山本貴仁)
●2012/5-6 島根県
・飯梨川河口周辺のカモ(本吉洋子)
・オシドリ生息状況 (吉田良平)
・ブッポウソウ オスは同じ巣箱に戻ってくる(なんだ&よみす)

●2012/5-6 宮城県
・ハイイロヒレアシシギ1,000羽 (加藤敬一)
 4/4、台風並みの低気圧の中、蒲生海岸潟湖の中、河口に400羽位のハイイロヒレアシシギが入っていた。その後、群は約1千羽になった。沖合を移動するため、岸辺からの観察例は少なく、今回、強い南東風で岸に寄せられた。
(宮城県「雁」NO.253,P10)
・宮城県自然環境保全審議委員会(佐藤幸子)
 2/9、宮城県庁で開催された。3/31までの第10次鳥獣保護事業計画は、東日本大震災の影響で1年間延長された。県内の鳥獣保護区は県の18.4%(海域を除く)に達し、ラムサール条約湿地の伊豆沼・内沼、蕪栗沼周辺の県北部には、全国の8割のガン類が越冬する。ツキノワグマは県内に633頭生息、年間50頭を目安に捕獲しているが、昨年は80頭を有害駆除した。サルは県内に約2千頭、ニホンジカは約5千頭生息とされる。
(宮城県「雁」NO.253,P15)
●2012/5-6 栃木
・ベランダバードウォッチ2011年冬の調査報告(平野敏明)
 今冬、全国で36名が参加し、各家で22箇所、その周辺27箇所が調査された。 各家では53種、その周辺の調査では95種の野鳥が記録された。身近な場所でも多くの種が生息する。今冬の記録率はツグミ、ジョウビタキ、シロハラ、シメ、カワラヒワとも例年より低かった。メジロ、スズメ、シジュウカラは平年並であった。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_veranda.html
(栃木「おおるり」NO.221,P12〜17)
・2011年ホンダテストコースの状況(遠藤孝一)
 栃木県さくら市でのホンダ(自動車)テストコースの開発事業でオオタカ、サシバについて、敷地内外で代償的保全措置がされてきた。事業は現在も凍結されているが、森林は伐採され広大な草地になっている。11年、代替営巣林の人工巣でオオタカが営巣し、2羽が巣立った。サシバは近くで繁殖は確認されていない。
(栃木「おおるり」NO.221,P34)
・谷津田保全地周辺で「サシバの森」づくり開始(遠藤孝一)
 オオタカ保護基金が管理する市貝町の谷津田で、町、同基金、地権者が協定し、県民税を活用し「サシバの森」づくりが始まった。11年度は約2haを森林組合の協力を得て、斜面地の萌芽林の藪の刈り払い、伐採跡地の放置木、枝の整理が行われた。3年程度で集水域一帯の数haを整備する。
(栃木「おおるり」NO.221,P34)
●2012/5-6 群馬
・2012年ガンカモ調査(総合調査委員会)
 2月、県内37箇所を調査した。外来種のコブハクチョウを含み、19種、15,020羽が記録された。場所別で最も多いのは多々良沼の6,200(11種)で、ハクチョウへの給餌に依存するオナガガモが多いためと考えられる。優占種はオナガガモ6,157、マガモ2,817、コガモ1,901、カルガモ1,707、ヒドリガモ855等。オナガガモは09年の2,132羽から急増したが、その他は大きな変化は無い。ガン、ハクチョウ類はオオハクチョウ100、コハクチョウ359、コブハクチョウ7、マガン27、別の日にヒシクイ6であった。カワウは1982年、城沼に初飛来し、現在は利根川最上流部の奥利根湖でも生息し、今回は総計257で昨年から半減した。
(群馬「野の鳥」NO.311,P10〜12)
・ウグイス初鳴き、ツバメ初認情報
 ウグイス:2/28、渡良瀬遊水地。3/1、高崎市。3/3、下仁田町。3/11、前橋市、渡良瀬遊水地。ツバメ:3/21、安中市。3/25、伊勢崎市。3/27、太田市。イワツバメ:3/21、安中市。3/26、富岡市。
(群馬「野の鳥」NO.311,P13〜14)
●2012/5 神奈川
・トコロジストを目指すために・・・人と交流を大切に(幹事 鈴木茂也)
 トコロジストとは地域の専門家である。故浜口氏はアマチュアの自然愛好家が自分のフィールドを持って活動し、その地の専門家になる事を薦めていた。
地域で環境保全、再生を目指す時、その地域に精通した人がいると大きな力になる。更に人文の分野にも関心を持ち、知識を持つ事がその理想で元幹事の田端裕さんが考えた言葉である。自分の得た知識を他人に伝え、最終的にその地の保全、再生に利用する事である。そのため、人との付き合い、知識の共有、会員外への情報、意見の発信が必要である。その地に関わる人と挨拶し、顔見知りになる事から始まる。
(神奈川「はばたき」NO.480,P2)
・日本初?12月にセンダイムシクイ(藤沢探鳥クラブ 秋山孝)
 12/26、藤沢市でメジロの中にいるセンダイムシクイを撮影した。本部でも全国的に越冬しているセンダイムスクイは聞いた事が無い由。
(神奈川「はばたき」NO.480,P8)
●2012/5-6 愛媛
・2012年カモ類調査(調査研究担当 山本貴仁)
 1/7〜9、県内277箇所を調査した。総計17種、25,845羽で内訳はマガモ8,566、ヒドリガも4,472、コガモ4,318、オシドリ3,557、カルガモ1,735、オナガガモ 1,490、ホシハジロ402、ハシビロガモ351、キンクロハジロ293、トモエガモ248等。
(愛媛「コマドリ」NO.208,P4,別紙P〜14)
●2012/5-6 島根県
・飯梨川河口周辺のカモ(本吉洋子)
 2011/4〜2012/3、毎月のカウントで渡来数をみる。マガモは1月に最大数289、7月は記録無。8月は1。カルガモは通年見られるが、5月は最少の17、6月は最大の150。コガモは6〜8月に数羽残り、1月に最大の307。ホシハジロは渡来する10月に最大の120となり、その後は半数以下。キンクロハジロも同様に10月に201、11月に277と増えるが、その後は半数以下になる。
(島根県「スペキュラム」NO.147,P2)
・オシドリ生息状況(吉田良平)
92〜95年、県下約600箇所を調査し、240箇所でオシドリが確認された。海岸部と山地奥部を除く島根県全域の主に農業用溜池で観察された。一年中観察されるが、10月頃に1500羽前後のピークがあり、渡り途中と思われ、越冬個体はその約1/4になる。夏季は150羽前後で、内50番程度が繁殖に関わっている。里山の樹洞が少なく、巣箱架設も考えられる。
(島根県「スペキュラム」NO.147,P10〜12)
・ブッポウソウ オスは同じ巣箱に戻ってくる(なんだ&よみす)
 2010年、南部町で山階鳥研がジオロケータを付けてブッポウソウを放鳥し、翌年回収された。9/8〜9、南シナ海を24時間以上西へ移動し、大陸へ入り、台湾、フィリピンを経由してボルネオ島付近へ達した。広島県で放鳥された個体はボルネオ島北部で越冬が確認された。その中で3羽の♂が同じ巣箱に戻って来た。♂は巣穴を頻繁に覗き、巣箱を占有し、♀を誘引する。♀の体重約150g、産卵数4個とするとその総計は40〜60g、長旅後の産卵のためにも、♂は早く来て繁殖場所を確保する。
(島根県「スペキュラム」NO.147,P16〜17)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.617

●2012/6 こおりやま
・放射能汚染調査
●2012/6 石川
・ハチクマ研究最前線(信州ワシタカ類渡り調査研究グループ 久野公啓)
●2012/6 滋賀
・水鳥一斉調査 2012
・爆竹事件(松尾嘉彦)
●2012/6 ひょうご
・ホオジロ類の地鳴き(梶本恭子)
・2012年カワウのカウント(研究グループ 奥野俊博)
●2012/6 香川県
・シラコバト初記録(佐藤隆司 木谷重信)
・23年度ガンカモ類県下一斉調査(研究部)
●2012/6 高知
・オウチュウ 県内初記録(西村公志)
●2012/6 北九州
・ミヤマガラス、コクマルガラス(西田智)
・ 片野鴨池のガン・カモ類
●2012/夏 鹿児島
・コウライアイサ多数渡来(南賢一)

●2012/6 こおりやま
・放射能汚染調査
 東大農学部生命科学研究科 石田建准教授は福島県浜通り、内陸部で3年間、原発事故地のウグイスを調査する。録音機でウグイスの囀り調査、羽の汚染濃度を分析する。NPO法人バードリサーチの神山和夫さんはツバメの巣の汚染について調査を進めている。
(こおりやま「かっこう」NO.78,P9)
●2012/6 石川
・ハチクマ研究最前線(信州ワシタカ類渡り調査研究グループ 久野公啓)
 4/22の記念講演より。同グループは91年に結成され、渡り調査と並行し、99年頃からハチクマの調査に取り組んでいる。11年までに170個体を捕獲し、興味深い知見が得られている。03年から衛星追跡をして、樋口広芳氏と共同研究している。ハチクマの好物は地中に巣を作るクロスズメバチ類である事は古くから知られている。ハチクマの蜂掘シーン撮影に挑戦し、08/9、NHKの「ダーウィンが来た」でオンエアされ、大きな反響を頂いた。多くの場合、蜂はハチクマを殆ど攻撃しないが、激しく攻撃する場合もあり、ハチクマは蜂に刺されるのか否かははっきり分からず、謎は残る。
(石川「石川の野鳥」NO.164,P2〜3)
●2012/6 滋賀
・水鳥一斉調査 2012
 琵琶湖内3ポイント(赤野井湾、湖北水鳥公園、高島)で2011/11、2012/1、2012/3、3季カウントした。カモ類総計は秋17,245→冬16,292→春8,518。種不明カモ類秋3,085→冬9,139→春673とあり、種ごとの変化は正確に出せない。これとは別にカワウは秋143→冬208→春632。オオバンは秋15,620→冬8,579→春7,275と変化。
(滋賀「におのうみ」NO.29,P11〜12)
・爆竹事件(松尾嘉彦)
 3/1、早朝、滋賀県高島市松ノ木内湖で、東映京都撮影所のスタッフが爆竹で水鳥を脅かして撮影する事件があった。6:45、爆竹の破裂音、カモ類が一斉に飛び立ち、コハクチョウも他へ移動した。鳥が飛び立つところを撮影したもので、当方から厳重に抗議した。後日、東映京都撮影所から高島市、新旭水鳥観察センター、地元へ謝罪があった。松ノ木内湖ではコハクチョウは180羽程数えたが、その後そこに戻らず、長浜市に移動したと思われる。
(滋賀「におのうみ」NO.29,P13)
●2012/6 ひょうご
・ホオジロ類の地鳴き(梶本恭子)
「チチッ、チチッ」と複数回鳴くのはホオジロだけで、小さくて高く「ツー」と鳴くこともある。アオジ、クロジは1回だけ「ツッ」と鳴くが、クロジははっきりした倍音となっており、耳の良い人はこの倍音を聞いて聞き分けているようである。ノジコの地鳴きの声紋はアオジと全く同じである。ミヤマホオジロ、カシラダカの地鳴きは約8KHzで、声紋はよく似ており、種の道程には姿を探す方が良さそう。ホオアカの地鳴きは他のホオジロ類より低く、約7KHzである。
(ひょうご「コウノトリ」Vol.188,P6〜7)
・2012年カワウのカウント(研究グループ 奥野俊博)  1月の県下カモ科生息調査時、カワウもカウントした。総計3,399羽で、調査地169箇所の内、83箇所で確認され、内、100羽以上確認は9箇所で、浜甲子園が最大で1,005羽を記録、日没頃に集団塒に集まるが、日中は採餌場所に広く分散している。
(ひょうご「コウノトリ」Vol.188,P10)
●2012/6 香川県
・シラコバト初記録(佐藤隆司 木谷重信)
 4/17、丸亀市でシラコバトが撮影された。香川県初記録で、四国でも初記録と思われ、レース鳩の群れなどに引っ張られ、迷い込んだのではないかとみられる。
(香川県「かいつぶり」NO.341,P9)
・23年度ガンカモ類県下一斉調査(研究部)
 1/7〜15、県下185箇所を調査し、20種、17,744羽を記録した。去年より約3千羽減った。今回、初めてコハクチョウ2を確認した。カモ類の内訳はヒドリガモ3,996、ホシハジロ3,244、マガモ2,739、コガモ2,551、キンクロハジロ1,267、ハシビロガモ1,062、オナガガモ1,054、カルガモ640、オシドリ535、ミコアイサ231、ウミアイサ172等。地況別で見ると、海域2813haで929羽、河口769haで2,175羽、河川237haで1,793羽、人造湖1167haで12,290羽、ダム湖242haで557羽であった。
(香川県「かいつぶり」NO.341,P1〜2)
●2012/6 高知
・オウチュウ 県内初記録(西村公志)
 5/11、土佐市でオウチュウが観察、撮影された。高知県初記録と思われる。同日同一個体が高知市で、数日前にも愛媛県南予でも見られ、渡り途中のようである。
(高知「しろぺん」NO.306,P4)
●2012/6 北九州
・ミヤマガラス、コクマルガラス(西田智)
 出水でツルの給餌が本格的に行われていなかった60〜70年代はミヤマガラスは多くなく、その後、ツルの給餌場の小麦を狙って数百羽の群が集まるようになり、ハシブトガラスとは違い、食性は植物質が主である。群は舞い上がったかと思うと、木葉のようにヒラヒラと急降下する。コクマルガラスは出水では数羽が見られるのみである。鳴き声はミヤマガラスはカラス特有の「ガァー」で、コクマルガラスは「キュ」である。
(北九州「北九州野鳥」NO.312,P12)
・ 片野鴨池のガン・カモ類
 石川県の同地のガン・カモ類で、少々気になる事がある。近年越冬する個体数が減っており、その原因の1つに水田の乾燥化がある。冬水田圃がやっているが、その効果は限定的なのか。80年代より減少が始まり、現在は当時の1/10程度の越冬数になっている。他に鴨池周辺に保護区、銃猟禁止区域の増加に伴い、野鳥の分散化がある。もう1つの問題は、あわら市で稼働中の風力発電で、当初は10〜3月、日の出10分前から1時間、日の入30分前から70分間、風車を停止としていたが、現在は監視員を置き、マガン、ヒシクイが飛んで来た時のみ、風車を一時止めるとしている。
(北九州「北九州野鳥」NO.312,P13〜14)
●2012/夏 鹿児島
・コウライアイサ多数渡来(南賢一)
 12/30〜4/16、川内川にコウライアイサ8羽(♂♀共に4)が滞在した。一度の羽数では国内新記録?プロのカメラマンも現地入りしていた。「カモメハンドブック」の叶内拓哉氏、「日本の野鳥590」の真木広造氏。
(鹿児島「るりかけす」Vol.134,P12〜13)

(自然保護室支援・野鳥の会 神奈川/森 要)

事務局からのお知らせなど

普及室より

ワイルドバード・カレンダー2013採用作品決定

 「多様な風景 多様な野鳥」をテーマに、710点(応募者199名)の写真作品の中から12点を選ばせていただきました。たくさんのご応募をいただき、まことにありがとうございました。撮影者のお名前の掲載は会誌「野鳥」8月号で、採用作品は9・10月合併号及び当会ホームページでの掲載を予定しております。
 なお、「ワイルドバード・カレンダー2013」は9月の発売予定です。

●採用作品と撮影者(敬称略)
 1月/石橋孝継/ノスリ
 2月/中桐暢良/ベニヒワ
 3月/加藤紀美子/ミヤマホオジロ
 4月/川上幸男/ツツドリ
 5月/宮沢安二郎/フクロウ
 6月/瀬井俊和/コヨシキリ
 7月/大塚和徳/ノビタキ
 8月/薮 重幸/セッカ
 9月/宮 彰男/トウネン
10月/小林健三/コゲラ
11月/野村 明/マガモ
12月/谷 八紘/ハマシギ

●本件についてのお問い合わせは、普及室 販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2626、[email protected]

(普及室/江面康子)

第20回中部ブロック会議議事録

期日:平成24年6月2日〜3日
場所:富士河口湖町「富士桜荘」
担当連携団体:日本野鳥の会富士山麓支部
参加した連携団体:日本野鳥の会石川、日本野鳥の会遠江、日本野鳥の会静岡支部、日本野鳥の会諏訪、日本野鳥の会長野支部、日本野鳥の会南伊豆、日本野鳥の会富山、日本野鳥の会福井県支部、日本野鳥の会三重、日本野鳥の会愛知県支部、日本野鳥の会岐阜、日本野鳥の会東富士、日本野鳥の会甲府支部、日本野鳥の会沼津支部、日本野鳥の会富士山麓支部 財団事務局からの出席者:柳生博会長、葉山自然保護室長、五十嵐真総務室チーフ、林山雅子普及室員

≪会議 6月2日13:00〜15:00、3日8:15〜9:00≫
規定により、議長に担当連携団体富士山麓支部の宮下義夫支部長、副議長に次期担当連携団体三重の平井正志代表が選出された。
【開催宣言】(宮下義夫議長)
 原風景の減少、ガビチョウやソウシチョウの増加など日本の自然が変わってきたことへの思いとともに、風力と野鳥の問題、メジロの違法飼養問題など、自然保護団体が抱える問題解決への足掛かりとなるような活発な意見交換の場としたい考えを述べ、開催宣言とした。

【参加連携団体からのあいさつ】
(石川):有意義な会議としたい旨のあいさつがあった。(遠江):40周年記念講演会の実施、書籍発行などの報告があった。
(静岡支部):450名いた会員が毎月減少、県6支部合同探鳥会実施、2年後50周年であることなどの報告があった。
(諏訪):クマタカの感電死対策の活動などの報告があった。
(長野支部):昨年50周年記念講演会を実施、書籍発行などの報告があった。
(南伊豆):会員45名、毎月1回探鳥会実施の報告があった。
(富山):昨年のブロック会議実施の報告があった。
(福井県):「福井県探鳥地100」昨年発行、中部ネットワーク作りの状況、数年ぶりにタカのわたり調査実施などの報告があった。
(三重):次年度、ブロック会議担当であることの報告があった。
(愛知県支部):現支部長が今期で任期満了となることと、弥富インター付近の5000〜9000羽のサギのコロニーの報告あった。
(岐阜):会員減少、8月に鳥類目録完成などの報告があった。
(東富士):70周年記念碑管理、会員減少、キッズ隊の実績により家族会員増加などの報告があった。
(甲府支部):鳥類目録作成、ツバメチドリ記録などの報告があった。
(沼津支部):森を守るための行政対応の報告と、自然保護推進のためのNPO間の仲間作り体制などの報告があった。

【協議・提案事項】
(1)財団事務局からの報告
林山普及室員から2012年度バードウィーク全国一斉探鳥会は30支部55か所で開催、非会員参加者数は6月15日以降に集計予定であること、2011年度バードウォッチングウィークに東京、神奈川支部、財団事務局で実施した協働探鳥会は合計参加者数163名(うち非会員139名)、仮入会を経て5名が会員となったことなどの報告があった。「ヒナを拾わないで!!」キャンペーンの一環として制作された紙芝居・絵本の紹介と活用の依頼をした。
 葉山自然保護室長からリニア中央新幹線の計画段階環境配慮書と方法書の抜粋資料が提出され、このコースに関わる山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県の連携団体に今後のJRの説明会などの動きに注意して欲しいとの依頼があった。今後のスケジュールは、都道府県単位で2年かけて影響調査が実施され、最終の環境影響評価書が国土交通省へ提出されるとの説明があった。
(2)風力発電などの再生可能エネルギーの問題点
 平井三重代表から、三重県の風力発電の現状と、青山高原ウィンドファーム拡大の報告があり、風力発電および自然ネルギーの評価についての問題提起がされた。
 小柳長野支部長から、菅平の風力発電計画が土石流対策の高コストが影響で中止になったことの報告があった。
 組頭福井県副代表から風力発電設置の利益と不利益の検討が必須であると意見があった。
 葉山自然保護室長から風車の稼働率、風車間の干渉による効果の減少、ドイツの小規模風車の可能性などの説明があった。原発に頼らないエネルギー需給と二酸化炭素排出削減は必須である中で、基本は風力発電は作ってはいけないところに作らないということが重要であるとの説明があった。
 議長からこの件に関して、連携団体間の情報共有を今後も進めることの確認がされた。
(3)メジロの違法飼養について
 新實愛知県支部長から第11次鳥獣保護事業計画が策定され、愛玩飼養の目的での捕獲が全面的に禁止されたことに伴い、これまで飼われていたメジロがすり替えによって違法飼養される可能性があるため、各県に対しその働きかけをしてほしいという提案がされた。
 菅東富士支部代表から御殿場市での飼養登録者は1名なのに、多くの飼養があるようで行政の管理が実態とかけ離れていることが報告された。
 甲府支部から愛玩飼養が違法状態であることの周知不足であると意見があった。  葉山自然保護室長から、違法使用摘発の担当は警察の生活安全課であること、警察との連携が必須であることの説明があった。
 議長からこの件に関しては一般への周知の努力が必要であることが確認された。
(4)各県の傷病鳥保護の取り組みと日本野鳥の会の関わりについて
 岐阜から以前は日本野鳥の会と獣医師会が県の委託を受けて行ってきた傷病鳥保護事業が岐阜大学に移管され、その後岐阜大学がこの事業の受け入れをやめ「種の保存法」にある傷病鳥だけの受け入れとしたため、他の鳥の受け入れがなくなった現状があり、他県の傷病鳥の実態の情報収集の要望があった。
 小柳長野支部長から鳥獣保護センターはないので、動物園やボランティアがおこなっていると報告があった。
 本多沼津代表から人間の生活の利便性追求の影響の傷病鳥もいるので鳥獣保護センターを積極的に作ることが必要なのではないかと意見があった。
 議長から鳥獣保護センター設置は義務付けられていないことの確認があった。
 中川富士山麓副支部長から「ヒナを拾わないで!!」キャンペーン周知不足の実態があり、愛鳥週間を愛鳥月間にするなどの動きを考えてもいいのではないかと意見がでた。
 高橋富山事務局次長から富山の鳥獣保護センターの実態が報告された。
(5)カナダガンについて
 樋口富士山麓事務局長からカナダガンの移動や繁殖状況をつかみ早期対策につなげるための調査実施の報告があり、標識をつけたカナダガンの目撃情報提供の依頼があった。
(6)日本野鳥の会中部ブロック会議の役割について意見交換がされた。

【そのほか】
・講演会:演題「森と暮らす・森に学ぶ」(柳生博日本野鳥の会会長)
・富士山麓の野鳥の紹介(中川富士山麓支部副支部長)
・著書「野鳥の渡り」の紹介(中村司氏)
・須走5合目の紹介(菅東代表)

(普及室/林山雅子)


総務室より

■理事会議事録■

「平成24年度第1回(定例)理事会」の議事録が確定しましたので掲載いたします。

  1. 開催日時 平成24年 5月 27日(日) 午後1時00分〜午後2時21分
  2. 開催場所 晴海グランドホテル 719会議室 東京都中央区晴海3-8-1
  3. 出席者
     理事現在数 7名
      出席理事 7名(代表理事を含む。)
        理事  佐藤 仁志、吉田 新、安西 英明、飯塚 利一、遠藤 孝一、佐久間 仁 松田 道生
     監事現在数  2名
      出席監事  1名 監事 見田 元
       オブザーバー 1名
      評議員 柳生 博
        事 務 局 小林豊(事務局長兼保全プロジェクト推進室長)
           安藤康弘(事務局長代理兼会員室長)
           葉山政治(自然保護室長)
           富岡辰也(普及室長)
           岩下路子(総務室長)
           奥田秋穂(総務室総務グループチーフ)
           五十嵐真(総務室経理人事グループチーフ)
           小川富由美(総務室員)
  4. 議長   代表理事 佐藤 仁志
  5. 議決事項
      第1号議案 平成23年度事業報告及び決算案承認の件
      第2号議案 顧問委嘱の件
      第3号議案 原子力発電に関する当会の見解案承認の件
  6. 議事の経過の要領及びその結果
     理事会開催にあたり、冒頭に佐藤仁志理事長から挨拶があった。小林豊事務局長が開会を宣言し、本理事会は定款第42条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨の報告があった。
     なお、議事録署名人については、定款第44条に基づき、出席した代表理事及び監事となっており、佐藤理事長、吉田新副理事長及び見田元監事が署名人となることを確認した後に、次の議案の審議に入った。
    (1) 第1号議案 平成23年度事業報告及び決算案承認の件
     小林事務局長及び各室長より平成23年度事業報告(案)の概要について説明があり、岩下路子総務室長より平成23年度決算(案)について、収支(資金ベース)で2,380万円の黒字、正味財産(損益ベース)で159万円の黒字となること、黒字の主な要因は、長靴を中心とする物品販売事業が好調であったこと及び固定費(人件費)が減少したことによる旨資料に基づき説明があった。
     松田道生理事より、事業報告(案)の自然保護事業の中で、クロツラヘラサギ保護に関する報告の記載が無いが活動しなかったのかとの質問があり、葉山政治自然保護室長より実施したとの回答があった。引続き松田理事より物品販売売上増に貢献したのは長靴であるかとの質問があり、飯塚利一理事兼施設運営支援室長より、長靴の卸売り販売が貢献しているとの回答があった。さらに、松田理事よりツイッター、フェイスブックを使用することで洋上調査などをリアルタイムで情報発信できる、もっと活用してみてはとの意見があった。また、佐久間仁理事及び見田監事より、決算黒字化に貢献した物品販売関係職員を表彰することなどを考えてはどうかとの意見が出された。佐藤理事長より、確かに貢献しており表彰等することに異議はないが、予算額を達成していないといった側面もあり、そのあたりも考慮しなければならないとの意見があった。
     審議の結果、事業報告(案)にクロツラヘラサギ保護に関する取組みを追加記述することで全員が異議なくこれを承認した。
    (2) 第2号議案 顧問委嘱の件
     吉田副理事長より、WINGの今後の運営等に関して適切な助言をもらうため、土屋正忠元理事を顧問に委嘱したい旨、資料に基づき提案があった。
     審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
    (3) 第3号議案 原子力発電に関する当会の見解案承認の件
     議長より、原子力発電を段階的に廃止し、世界的な脱原発社会の実現を求めるとする当会の見解案の説明があり、審議の結果、議長が評議員会での承認を得ることを停止条件としてこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
  7. 報告事項
    (1) 理事の職務執行状況の件
     定款第28条第4項の規定に基づき、平成24年度第1回目の職務執行状況として、佐藤理事長より事務局組織の改編と人事、平成23年度決算の改善、運営会議の開催、各室ヒアリングの実施、政策提言等の実施、ツバメキャンペーンの実施、高円宮妃殿下の探鳥対応、WINGにおける環境管理等の報告があった。続いて、吉田副理事長より、当会創立80周年までの3年間、「創立80周年と成長回復」をテーマに事業の再構築を行っているとの報告があった。

 上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、佐藤理事長、吉田副理事長及び出席監事の名において記名、捺印する。

平成24年 6月13日
公益財団法人 日本野鳥の会
議長 代表理事   佐藤 仁志
代表理事   吉田 新
監   事   見田 元

■評議員会議事録■

「平成24年度第1回(定時)評議員会」の議事録が確定しましたので掲載いたします。

  1. 開催日時 平成24年6月15日(金) 午後4時00分〜午後5時15分
  2. 開催場所 ニューオータニイン東京 4F 会議室「かえで」
  3. 出席者 評議員総数 8名(敬称略、五十音順)
      出席評議員 8名
         上田恵介、北白川 道久 高松 健比古、竹丸 勝朗、 原 剛平 軍二、福澤 武、柳生 博
      理事総数 7名
        出席理事 6名
         代表理事 佐藤 仁志(理事長) 吉田 新(副理 事長)
         理事   安西 英明、飯塚 利一、遠藤 孝一、佐久間 仁
      監事総数 2名
        出席監事 2名
         監事 曽我 千文、見田 元
         事務局 小林 豊(事務局長兼保全プロジェクト推進室長)
               岩下 路子(総務室室長)
               奥田 秋穂(総務室総務グループチーフ)
               小川 富由美(総務室員)
  4. 議長 柳生 博
  5. 議事の経過の要領及びその結果
     小林豊事務局長が開会を宣言、奥田秋穂総務グループチーフより資料確認が行われた。その後、柳生博評議員長から挨拶があり、続いて、小林事務局長より、本評議員会は全員出席で定款第22条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨の報告があった。
     なお、議事録署名人は、定款第24条の規定により出席した評議員長及び会議において選任された高松健比古評議員の2名が決定した。
  6. (1) 平成23年度事業報告及び決算の件
     佐藤仁志理事長より、平成23年度事業報告及び決算について、23年度は東日本大震災対応を行いつつ、事業計画に基づき事業を執行したこと、決算は寄付金や物品販売等が好調であったことから、予算で想定していた額を大幅に上回り、資金ベースで2,380万円、損益ベースで159万円の黒字となったこと、また会員数の減少傾向に歯止めがかからず対策が急務であることなど、資料に基づき報告があった。  高松健比古評議員より、当初予算とは異なり大幅な黒字となった要因についての質問があり、佐藤理事長より、収入面では受託型サンクチュアリ収入の増加、寄付金収入の増加、物品販売の増加、税務署による税務調査時の指導に基づく税務処理の変更に伴う雑収入の増加などであり、支出面では退職者による支払給与の減少、臨時雇用費の減少、広告宣伝費の減少、商品仕入れ価格値下げなどが要因であり、結果として収支が大幅に改善したとの回答があった。
    (2) 平成24年度事業計画及び予算の件
     佐藤理事長より、平成24年度事業計画について、2年後の創立80周年に向けて安定した財政基盤を築くことが基本課題であること、新規事業としてはアカコッコの保護活動を開始したことなどが資料に基づき説明があった。また、予算については受託型サンクチュアリの一つである福島小鳥の森の受託を中止したことなどから、資金ベースで1,328万円の赤字予算としたこと、可能な限り年度内で改善努力を行うことなどが資料に基づき報告があった。
     高松評議員より、平成24年度事業計画にツバメキャンペーンの記載がないが記載すべきとの質問があり、佐藤理事長から、指摘のとおりであるが、本件は事業計画策定後に諸情勢を勘案し急遽取組んだ案件であり、事業計画に盛り込めなかったとの回答があった。引続き高松評議員より、同キャンペーンの今後の展開についての質問があり、佐藤理事長より、本キャンペーンは、これまでの希少種から一般種を取上げることで裾野の拡大を目指したものであること、今後ともこの動きを大切にしていきたいこと、キャンペーンは3年間継続実施すること、今後はバードライフアジア等と連携しツバメの越冬地情報を得るなどの努力をしたいことなどの回答があった。さらに高松評議員より、次回の評議員会で同キャンペーンの成果及び今後の見通しについて報告をするようにとの要望があり、佐藤理事長から、承知した旨の回答があった。また、上田恵介評議員から、5月に会員数が微増となったようだが、入会者の年齢、動機などの分析を行い、今後のキャンペーン作りに役立てるようにとの意見があった。
    (3) 理事会の結果の件
     佐藤理事長より、平成23年度第4回及び第5回理事会並びに平成24年度第1回理事会の開催結果について資料に基づき報告があった。
    (4) 原子力発電問題に関する当会の見解(全文下記参照)の件
     佐藤理事長より、本件は平成24年度第1回理事会で評議員会での了解を得ることを停止条件として議決されたものである旨報告があった。議長が各評議員の意見を求めたところ、現実的で妥当な見解であることから、全員が原案のとおり了承した。
    (5) 理事の職務執行状況の件
     佐藤理事長より、平成23年度後期及び平成24年度前期2か月間の職務執行状況について資料に基づき報告があった。

 議長は以上をもって全部の報告を終了した旨を述べ、17時15分閉会を宣言し解散した。

 以上の議事を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人がこれに記名押印する。

平成24年 6月22日
公益財団法人日本野鳥の会定時評議員会
議長 柳生 博
議事録署名人 高松 健比古


(参考)原子力発電問題に関する当会の見解(全文)
原子力発電問題に関する当会の見解

 日本野鳥の会は、原子力発電を国内外で推進する国の政策等に憂慮し、原子力発電を段階的に廃止し、世界的な脱原発社会の実現を求めるものとする。
 その理由は以下の通りである。

  1. この度の東京電力福島第一原子力発電所が引き起こした放射性物質の漏出事故が、長い将来に亘り自然界に甚大な影響を与える恐れが高いこと。
  2. 原子力発電(以下「原発」という。)から発生する放射性廃棄物の恒久的な処理対策が未確立であると共に、万一、今回のような事故が発生した場合の対策や安全性、自然環境への影響が懸念されること。
  3. 国が進める原発設備や技術の輸出が、ひいては我が国と同じ状況を世界へ拡散する恐れがあること。

 脱原発のためのエネルギー対応と当会の役割は、以下の通りである。

  1. 従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」型のライフスタイルを見直し、省エネ型のライフスタイルを提案、指向していくものとする。
  2. 原発に替わって、風力、太陽光、地熱などの自然再生エネルギーを併用するエネルギーシフトの実現を通じ、速やかに原発への依存度を低減するよう、求めていくものとする。
    その際、野鳥や自然環境への十分な配慮を求めるものとし、その内容を提案、検証していくものとする。
  3. 生態系の上位に位置する野鳥に注目し、調査や監視を継続していくものとする。
以上

■支部名称等変更のお知らせ■(敬称略)■

【代表者の交代(※)】
●日本野鳥の会京都支部(2012年6月10日より)
  【新】 石川 順一
  【旧】 澤島 哲郎
●日本野鳥の会やんばる支部より、代表者が退任し、後任が決まるまでの間、代表者不在との連絡を受けました。

【名称変更】
●日本野鳥の会沼津 (2012年4月28日より)
・新名称:『日本野鳥の会沼津支部』(従来の名称へ戻す)
・代表→支部長
●日本野鳥の会ねむろ (2012年5月10日より)
・新名称:『日本野鳥の会根室支部』(従来の名称へ戻す)
・会長→支部長

※ご住所・お電話番号に関しては、本紙には掲載いたしませんので、ご連絡の際は下記担当へご相談ください。)

総務室総務グループ TEL:03-5436-2620/FAX:03-5436-2635

■「H23事業報告・決算」「H24事業計画・予算」ホームページ掲載のお知らせ■

平成23年度の事業報告と決算、平成24年度の事業計画と予算を当会ホームページに掲載しましたので、お知らせいたします。なお、冊子版につきましては7月末頃に各支部へ発送させていただく予定です。

(総務室 奥田 秋穂、小川 富由美)

会員室より

■会員数■

 7月1日会員数38,752人(対前月+15)会員数は先月に比べ15人増加しました。
 6月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より8人多くなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。6月の入会者数は182人で、前年同月の入会者120人に比べ62人増加しました。 また、6月の退会者数は174人で、前年同月の退会者165人に比べ9人増加しました。

 表1.6月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(7月1日時点)

備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(7月1日時点)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

梅雨明け間近、蒸し暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか。
おかげさまで、今月、支部ネット通信が記念すべき100号をむかえました。
2004年4月の第1号から、8年4か月、偏に皆様の御支援、御協力の賜物と編集担当一同感謝しております。
次は200号を目指し頑張りたいと思います。
今後とも御愛読の程よろしくお願いいたします。

(総務室)

支部ネット通信 第100号
◆発行
日本野鳥の会 2012年5月20日
◆担当
総務室 総務グループ 奥田秋穂/関祥子/松井江里奈
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