No.110 2013年5月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」
 第2回:マムシ
◆事務局からのお知らせなど
 日本野鳥の会福井県の研修会、総会、探鳥会に参加しました
 2012年度野鳥撮影マナーアンケート集計結果速報
 日本野鳥の会ブックレットを発刊
 連携団体全国総会交通費補助について
 会員数
 支部名称等変更のお知らせ

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.654

●2013/3 奥多摩 ・「支部の発展のために」の感想
・ヒバリ
●2013/3 神奈川
・巨大霊園問題 
・英名にJapaneseが含まれる鳥
・富士山周辺の外来種カナダガン
・リュウキュウサンショウクイ
●2013/3 大阪
・2013大阪府ガンカモ類生息調査
・植物と鳥の歳時記
・カラスの巣の場所
・世界最高齢野鳥62歳で産卵(2/7 ディスカバリーニュース)
・バードレスキュー日誌(日本バードレスキュー協会)
●2013/3 筑豊
・タマシギの学名 

●2013/3 奥多摩
・「支部の発展のために」の感想
 大規模支部の会員減少率が高いのは、都市部であることにより、会員間の顔が見えない(情報共有、情報交換がうまくいかない)ことが大きい。19支部で会員数増加傾向にあるが、小規模か歴史の浅い支部が多い。 特記は栃木支部で、会員数1200名は減っていない。米国の自然保護団体は会員10万人を超えるのは14団体もある。最大は米国野生生物連盟の450万人、英国王立野鳥保護協会は102万人である。我国は野鳥の会の数万人が最大。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.211,P11〜12)
・ヒバリ
 1993〜2012年のヒバリの囀り記録数は、2月:12回、3月:22、4:24、5:16、6:14、7:5、9:2、10:3、11:4、12:1で1月、8月は記録は無い。天気が良いと冬でも囀ることがある。雨の中で囀った例もある(95/6/22、埼玉県大久保農耕地)。青梅市の河辺球戯場での観察は多摩川では最上流部となる。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.211,P27)
●2013/3 神奈川
・巨大霊園問題
 秦野市で巨大霊園(20ha、15,000区画)の建設予定がある。地元団体は反対署名5,700筆を市へ提出した。支部も特定環境創出行為を許可しないように、積極的な環境保全と自然環境調査の実施を要望している。11/17、タウン誌に支部も含む13団体の計画反対の意見広告を出した。既に大規模な霊園の建設を許可しないと決めた自治体もあると聞く。
(神奈川「はばたき」NO.490,P2)
・英名にJapaneseが含まれる鳥
 豪州のワライカワセミには24個の英名がある。推奨される標準英名はLaughing ookaburraである。標準英名で頭にJapaneseがつく鳥はカヤクグリ(固)、ウグイス、ウミウ、イカル、カンムリウミスズメ(固)、ミゾゴイ、サンコウチョウ、セグロセキレイ(固)、コゲラ、ウズラ、コマドリ、ツミ、オオセッカ、クロツグミ、ヒレンジャク、メジロ、アオゲラ(固)、カラスバト、ノジコである。(固)は日本固有種。ソウシチョウが標準英名以外でJapanese Hill RobinやJapanese Honeycreeperと呼ばれるのはおかしい。
(神奈川「はばたき」NO.490,P5)
・富士山周辺の外来種カナダガン
 12/8、山梨県でシンポジウム「富士山にカナダガンは似合わない」が開催された。 内容は外来種対策はなぜ必要か:生物多様性の保全に反する、遺伝子攪乱は予測不能、早期に対策しないと対応は不可能。カナダガンの由来とシジュウカラガン:カナダガンは85年の富士宮市の公園の2羽から記録が始り、その個体の逸脱場所は不明。シジュウカラガンは日本での越冬個体200羽を超すまで増えた。 富士山周辺のカナダガン:河口湖と静岡県で繁殖している。富士山周辺には67〜94羽が生息と推測。減らす方策:2012年、富士河口湖町で14羽を有害捕獲、山梨県で卵38個を除去、静岡県では学術捕獲として11個を擬卵に置き換えた。 (神奈川「はばたき」NO.490,P7)
・リュウキュウサンショウクイ
 12/21、横浜市旭区でリュウキュウサンショウクイが撮影された。同種の分布は北上しており、今のところ、関東では記録は無いが、神奈川県で観察されてもおかしく無い由。
(神奈川「はばたき」NO.490,P8)
●2013/3 大阪
・2013大阪府ガンカモ類生息調査
 1/12〜20、大阪府下の418箇所を調査した。カモ類21種、46,904羽であった。
07年に過去最大の52,978羽で、昨年の34,368羽まで落ち込んだが、今回1万羽以上増加した。主な要因はホシハジロが倍増した。キンクロハジロ、スズガモも大幅に増加した。内訳はホシハジロ19,566、ヒドリガモ7,529、キンクロハジロ4,805、スズガモ3,631、コガモ2,654、ハシビロガモ2,436、カルガモ2,048、マガモ1,838、オナガガモ943等。珍しい種としてメジロガモ1。
(大阪「むくどり通信」NO.224,P11)
・植物と鳥の歳時記
 マヒワの餌は針葉樹やハンノキ、オオバヤシャブシ等のカバノキ科が主である。
万博公園では最近、自然界に多い木の実だけではなく、ハンノキ、カツラ、サルスベリ、メタセコイア等によく来のを見ている。これらの種(タネ)には類似点があり、都市公園に来るマヒワは新しい餌木を増やしていると思われる。ヒヨドリ、ツグミ、ムクドリ等が食べる実には順番があるようである。黒色→黄白色→赤色である。 都市公園に定住するカラスは、公園に植えられた樹木が30〜40年となり、1cm程の木の実が増え、それを食べて増える方向である。
(大阪「むくどり通信」NO.224,P12〜13)
・カラスの巣の場所
 ハシブトガラスとハシボソガラスが架ける巣の場所が調べられている。玉田・藤巻(1993)では帯広市でブトは常緑針葉樹を使う傾向にあり、ボソは落葉広葉樹も使う。ブトの巣の位置はボソより高かった。中村(2000)では高槻市でブトの巣は常緑樹92%、落葉樹3%、人工物5%、ボソは常緑樹53%、落葉樹25%、人工物23%、巣の位置はブトが高い。黒沢・松田(2003)では東京都でブトは常緑針葉樹36%、常緑広葉樹7%、落葉広葉樹53%、人工物4%、ボソは常緑針葉樹47%、落葉広葉樹33%、落葉針葉樹13%、人工物7%、巣の高さはブトが高い傾向にあったが有意差無し。ブトは周囲に樹木が多い緑地を選んで営巣し、市街地緑地面積が増え、ブトの市街地進出につなっがっているかもしれない。
(大阪「むくどり通信」NO.224,P14)
・世界最高齢野鳥62歳で産卵(2/7ディスカバリーニュース)
 世界最長寿の野性鳥と考えられる62歳のコアホウドリ「ウィズダム」がミッドウェー環礁国立自然保護区で6年続けて卵を産んでいる。これまでに育てた雛は30羽以上と考えられ、平均寿命15〜20年の3倍も自然界で長生きし、産卵、育雛をするのは驚きである。
(大阪「むくどり通信」NO.224,P15)
・バードレスキュー日誌(日本バードレスキュー協会)
 全国で保護された野鳥の平均的な割合は、衝突事故39%、雛の錯誤救護28%、衰弱13%、その他20%となっている。大阪府河内長野市で日本バードレスキュー協会が救護活動を始めた2011/6から2012/10までの救護鳥は、違法飼養からの救護が77%も占め、野鳥の愛玩飼養が原則禁止になっても、その救護が多い。
(大阪「むくどり通信」NO.224,P17)
●2013/3 筑豊
・タマシギの学名
 日本鳥類目録の改正に伴い、属の移動等で学名もかなり変わった。タマシギの属名はrostratulaでラテン語のrostratusの「嘴の形をした、船嘴のついた」の意味からきているが、この実感が無かった。タマシギの胸と首との境にはっきりした白帯があり、胸から後を船に見立て、前から見れば、首は長くのびた立派な舳先に見え、「船嘴がついたような」の属名が実感できた。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.421,P22〜23)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.655

●2013/3-4 群馬
・愛鳥モデル校の指導支援
●2013/4 神奈川
・トビはクサフグの毒をどこで学習したのか
・神奈川県の外来種
●2013/3-4 諏訪
・オオワシ「グル」
・今冬のガンカモ調査と糞便調査
●2013/3 滋賀
・2013年ガンカモ類等生息調査
・日本白鳥の会研修会
●2013/3-4 島根県
・島根のレッドデータ種2012年
●2013/3-4 広島県
・ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
●2013/3-4 愛媛
・カワウ
・ヤマヒバリを記録

●2013/3-4 群馬
・愛鳥モデル校の指導支援
 普及委員会が最も時間を掛けているのが、県から委託されている「愛鳥モデル校」の巡回指導である。現在指定は25校で、毎年、5、6校を計画する。指導内容は学校周辺での野鳥観察で双眼鏡の使い方、観察マナーを説明している。児童10名当り1名の指導者を派遣、学校の要望によっては野鳥に関する講話、餌台や巣箱作りがある。低学年には基本10種、渡り鳥を説明し、中高学年には鳥の多様性、食物連鎖を話し、環境保全まで展開できるようにしている。
(群馬「野の鳥」NO.316,P2)
●2013/4 神奈川
・トビはクサフグの毒をどこで学習したのか
 釣り人が釣ったキス、コアジ、コイワシ等の小魚を投げると、上空で旋回するトビが急降下し、掴み飛び去る。クサフグの時は、食べようとしない。安全な魚か否か、上空で見て判断しているように見える。
(神奈川「はばたき」NO.491,P8)
・神奈川県の外来種
 アフリカから南アジアで生息するワカケホンセイインコが川崎市を中心に観察されており、繁殖もしている。北米等に生息するコリンウズラは相模川流域で野生化している。カナダガンは丹沢湖等に定着している。コブハクチョウは自然渡来も考えられるが、あちこちで飼育されているので、外来種と扱ってよい。 コジュケイは近年外来種に入った。ガビチョウは従来県西部に多かったが、東部に進出している。ソウシチョウは比較的標高の高い所に多いが、冬季には低地に降りてくる。ハッカチョウは横浜市南部で繁殖しているが、分布は広がらない。 キンパラの仲間は神奈川県で見られるが、定着はしていない。
(神奈川「はばたき」NO.491,P12)
●2013/3-4 諏訪
・オオワシ「グル」
 1991年、諏訪湖で保護介護され、放鳥されたオオワシ「グル」は毎年諏訪湖に飛来し、今季も12/28に飛来した。「グル」が休む尾根で立木の伐採が始っていたが、行政が地元と交渉し、3/15以降作業延期するよう配慮がされた。
(諏訪「いわすずめ」NO.149,P4)
・今冬のガンカモ調査と糞便調査
 1/14の支部の諏訪湖での調査は大雪のため中止し、1/16の全国一斉調査の県の調査に参加した。諏訪湖、上川、天竜川上流の調査で、総数2,429羽を記録したが、昨年より600羽以上減少。湖の結氷が要因と思われる。内訳はコハクチョウ186、カワアイサ731、カルガモ483、ヒドリガモ344、オナガガモ303、マガモ123、キンクロハジロ108等。カワアイサは5年前の2,333羽が731まで減っている。高病原性鳥インフルエンザに関わる野鳥糞便調査を岡谷市の横河河口で行い、10、11、1、3月、各月100検体を集め、環境省に送っているが、現在まで陰性である。カモ等に人工の餌を与えると、鳥の糞は水様性になり、検体回収が難しくなる。
(諏訪「いわすずめ」NO.149,P5)
●2013/3 滋賀
・2013年ガンカモ類等生息調査
 1/12〜14を中心に、琵琶湖湖岸全域、その内湖等滋賀県内104箇所を、他の団体の協力を受け調査した。カモ科101,070羽(昨年115,442)を記録、内訳はヒシクイ205、マガン21、コハクチョウ589、オオハクチョウ9、ヒドリガモ18,946、キンクロハジロ17,384、不明種15,534、マガモ12663、コガモ9,564、カルガモ6,580、ホシハジロ4,899、オカヨシガモ3,916.、ヨシガモ3,361、ミコアイサ2,591、オナガガモ1,777、スズガモ1,039、ハシビロガモ731、カワアイサ529等。これとは別にオオバン55,034、カンムリカイツブリ3,557、ハジロカイツブリ3,107、カワウ1,780、ユリカモメ1,345等。ホシハジロは一昨年13,923→昨年7,161→今回4,899と減少、オオバンは36,660→48,419→55,034と増加。
(滋賀「におのうみ」NO.32,P11〜20)
・日本白鳥の会研修会
 1/19、20、草津市と長浜市で同会の第37回研修会があった。韓国で白鳥を調査している人も含め、全国の会員80名以上が参加した。
(滋賀「におのうみ」NO.32,P21)
●2013/3-4 島根県
・島根のレッドデータ種2012年
島根県内での記録最大値。クイナ1、コアジサシ24、ミサゴ6、マガン49、コハクチョウ252、オシドリ1、トモエガモ35、サンカノゴイ1、シロチドリ32、セイタカシギ1、ハマシギ329、チュウヒ2、ホシムクドリ70。
(島根県「スペキュラム」NO.152,P2)
●2013/3-4 広島県
・ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
 環境省、県と連携して1月に県内212地点を調査した。総計23,544羽を記録、昨年より約2千少ないが、例年並の数である。内訳はオオハクチョウ2、オシドリ1,359、マガモ3,028、カルガモ2,172、コガモ2,007、ヒドリガモ6,588、オナガガモ1,052、ホシハジロ1,615、スズガモ2,513等。スズガモは昨年の半分以下に減少。
(広島県「森の新聞」NO.185,P5〜6)
●2013/3-4 愛媛
・カワウ(山本貴仁)
 愛媛県ではカワウのコロニーが御荘湾、肱川中流、宇和等で確認されている。 カワウの越冬数は05年:1,358、06:1,222、07:1,307、08:964、09:1,777、2010:1,216、11:1,225、12:1,451、2013:1,324。移動能力が高いカワウを駆除しても、他地域から移動して来ることで、被害の軽減につながらない場合が多い。カワウの増加そのものが悪い訳ではなく、人との軋轢が生じることで「害鳥」とされる。 まずは行動や生態の特性を踏まえた駆除が基本である。
(愛媛「コマドリ」NO.213,P2)
・ヤマヒバリを記録
 11/25、宇和島市で環境省の鳥類標識調査でヤマヒバリ幼1が捕獲された。 シベリアから極東の高山帯、寒帯で繁殖し、冬はモンゴル、中国東北部、朝鮮半島へ渡る。日本海の離島で秋に比較的多く記録されるが、愛媛県では今回2例目となる。
(愛媛「コマドリ」NO.213,P4)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.656

●2013/1 道南桧山
・アオバトは何故マーオーと啼く
・尖閣諸島調査に参加して
・鰊(カド、ニシン)と信天翁(アホウドリ)
・第16回海上野鳥センサス
●2013/3 北上
・シマエナガが北上市にいた!
・ガン・カモ科鳥類生息調査
・カンムリウミスズメ洋上調査
・狩猟鳥獣の種の削減
●2013/3 ふくしま
・2013年阿武隈川ガン・カモ・ハクチョウ生息調査
●2013/3 福井県
・第29回オジロワシ・オオワシ渡来状況調査
・鳥獣特別保護区の水上スキー問題
・ガンカモ科鳥類生息調査
●2013/2 佐賀県
・2012年支部のトピックス

●2013/1 道南桧山
・アオバトは何故マーオーと啼く
 北海道の昔話。乙部町の鮪の岬(しびのさき)の岩場に上がった大蛸が大蛇と鉢合わせ、3日3晩戦いが続いた。その時、アオバトがお前たちは魔物か王かとマーオーと声を上げて褒め讃えた。アオバトはその後も鮪の岬で啼いている。
(道南桧山「はちゃむ」NO.101,P7)
・尖閣諸島調査に参加して
 2012/9/1〜2、東京都が行った尖閣諸島の調査、生物相担当で参加した。魚釣島周辺で観察された野鳥は9種、計50羽と少なかった。内訳はカツオドリ9、アカツラカツオドリ4、オオアジサシ12、マミジロアジサシ4、クロアジサシ5、アマサギ5、コサギ6、チュウサギ1、クロサギ4。1週間前通過した台風の影響か。1900年の同島調査ではアホウドリ、クロアシアホウドリが繁殖のために数万羽飛来していた。 1978年に持ち込まれたヤギの野生化の影響は大きい。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/42/16Yokohata.pdf
北小島(南小島)周航で観察された海鳥はカツオドリ129(312)、アカツラカツオドリ46(125)、オオアジサシ214(340)、クロアジサシ99(200)、計488(977)。 当日、取材の飛行機、ヘリの騒音で鳥の出現に影響があった。1925年の豪州の鳥学会誌にクロアジサシは周囲が煩いと卵を咥えて移動したとある。
(道南桧山「はちゃむ」NO.101,P8〜9)
・鰊(カド、ニシン)と信天翁(アホウドリ)
 松前地方沿岸にニシンが来ると、ネズミザメが来遊していた。これより灯火用の油を取っていたが、現在は高級蒲鉾の原料になっている。藤澤氏著「アホウドリ」(1967)が出て、アホウドリの保護は藤澤氏の後、当時の鳥類保護連盟の柳澤紀夫氏、東邦大学の長谷川博氏、環境省を中心とした山階鳥研、米国チームに引き継がれている。嘗ては人を全く恐れなかったアホウドリは現在、人の接近を極端に嫌うようになっている。雛の時、脚環を無理やり装着する事が原因との指摘がある。
(道南桧山「はちゃむ」NO.101,P12〜13)
・第16回海上野鳥センサス
 2011/10/18、新日本海フェリー苫小牧発秋田行きの後部デッキより、20時〜翌未明3時まで苫小牧沖、津軽海峡、鰺ヶ沢沖でセンサス調査した。当日は西風が強く、津軽海峡では汐首-大間よりも白神-竜飛の日本海側のルートのトラフィックが圧倒的に多かった。これは西風に流されて太平洋側に出て遭難するのを防ぐとの仮説を裏付ける。ツグミは前年同時期の調査で出現17回が今回6回と少なかった。飛行ベクトルが交差している所があり、鳥たちは単に風に流されて渡っているのではなく、目的を持っているのを物語る。
(道南桧山「はちゃむ」NO.101,P13〜15)
●2013/3 北上
・シマエナガが北上市にいた!
 1/25、北上市内でハルニレの幹に10羽程のエナガが群れており、その中に頭が全て白い個体が1羽撮影された。シマエナガは本州では青森、栃木、千葉、新潟、長野でも観察例がある(日本鳥類目録改訂第7版)。
(北上「北上支部報」NO.19,P17)
・ガン・カモ科鳥類生息調査
 1/14、北上市内4箇所で調査した。総数1,652で内訳はオオハクチョウ319(内幼11)、コハクチョウ19(内幼8)、マガモ688、オナガガモ367、カルガモ53、カワアイサ53等。渡来初確認日はオオハクチョウ10/15、コハクチョウ10/7、ハクチョウ類の幼鳥の飛来はこれより1週間ほど遅い。9/20にマガモ、9/22にオナガガモ、キンクロハジロ、コガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、10/3にマガンが初渡来した。
(北上「北上支部報」NO.19,P26〜27)
・カンムリウミスズメ洋上調査
 三陸沿岸大船渡沖で6/12、6/27、7/26、本部職員とカンムリウミスズメを調査した。2回はカンムリウミスズメは確認できなかったが、7/26、9羽を確認。全体で5千〜1万羽と推定され、ウミスズメの仲間では絶滅が最も心配される種である。
(北上「北上支部報」NO.19,P29〜31)
・狩猟鳥獣の種の削減 
 6/30、第25回岩手の野鳥を語る会で、下記を狩猟鳥獣から除外するよう議案を提出した。該当種:ヨシガモ、ハシビロガモ、クロガモ、タシギ、ヤマシギ、バン、ヤマドリ、ニュウナイスズメ、エゾライチョウ、アナグマ、 テン、イタチ♂、ノウサギ。
(北上「北上支部報」NO.19,P32)
●2013/3 ふくしま
・2013年阿武隈川ガン・カモ・ハクチョウ生息調査
 1/13、8班に分かれ調査した。総計9,473羽で内訳はアメリカコハクチョウ1、オオハクチョウ1,120、コハクチョウ465、オナガガモ4,889、マガモ960、カルガモ840、コガモ526、キンクロハジロ195、ヒドリガモ189、ホシハジロ172、ホオジロガモ85等。
(ふくしま「きびたき」NO.206,P3〜4)
●2013/3 福井県
・第29回オジロワシ・オオワシ渡来状況調査
 2/3、三方湖周辺4箇所で海ワシを調査した。連続して飛来していたオジロワシ、オオワシは今回遂に記録無しは衝撃的である。昨年3月「三方五胡自然再生協議会」で「三方五胡自然再生全体構想」が出され、その中に「海ワシが舞う空を取り戻す」とあり、支部はその協議会員としてその実現に向けて行動が求められる。
(福井県「つぐみ」NO.165,P3〜4)
・鳥獣特別保護区の水上スキー問題
 三方五胡の1つ菅湖にモーターボートで水上スキーを乗り入れている問題、地元漁業者、遊覧船船長からも苦情が寄せられていた。規制の法的根拠として「鳥獣保護法」で地元の総意として公的規制は可能性があると聞く。その後、狭い地域でのこと、騒ぎが大きくなり、水上スキー関係のボートは撤収され、入口に「水上スキー等の遊覧乗り入れはご遠慮下さい」の表示がされ、水上スキーは引き上げた。今後問題が出た時に法的規制をする事になった。
(福井県「つぐみ」NO.165,P10)
・ガンカモ科鳥類生息調査
 1/6、12、13、福井県下17箇所で調査した。総計30,684羽で内訳はマガン131、ヒシクイ24、オオハクチョウ3、コハクチョウ92、マガモ18,050、コガモ3,854、カルガモ3,662、キンクロハジロ1,999、ヒドリガモ1,356、ホシハジロ317、オナガガモ283、スズガモ259、ヨシガモ255、トモエガモ75等。
(福井県「つぐみ」NO.165,P12)
●2013/2 佐賀県
・2012年佐賀支部のトピックス
 肥前鹿島市の新籠海岸(しんごもりかいがん)がシギ・チドリの寄与率国内12位に。 オウチュウ県内初確認(白石町)。 秋からツグミ、キクイタダキ等の冬鳥異常に多い。 オバシギ401+(春の大授溺)。
(佐賀県「野鳥さが」NO.186,P15)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.657

●2013/春の巻 弘前
・ガン・カモ・ハクチョウ類カウント調査
●2013/3 郡山
・過去、現在記録される種の比較
●2013/4 東京
・みんなで日本の鳥の状況を明らかにしよう
・4月14日は「干潟・湿地を守る日」
・ベニバト東京都初記録
●2013/4 軽井沢
・長野県の夏鳥の初認、初鳴き調査(2012年)
●2013/4 甲府
・亜種識別の勧め
●2013/3-4 鳥取県
・ブッポウソウ求愛給餌とペアの行動
●2013/4 北九州
・福岡県の希少種カラスバト(福岡県レッドデータブック2011)
・100年前の野鳥の話題
●2013/4 佐賀県
・野鳥密猟発見とカササギ
●2013/春 鹿児島
・ワキアカツグミ 

●2013/春の巻 弘前
・ガン・カモ・ハクチョウ類カウント調査
 1/13、弘前地区7箇所で調査した。総計3,774羽、内訳はオオハクチョウ成594、同幼81、カルガモ1,589、オナガガモ441、マガモ364、スズガモ173、コガモ131、ウミアイサ111、カワイイサ106等。昨年より総羽数が激減したのは、積雪と結氷の影響、海上が穏やかで海上に移動して個体がいる、餌付けが減り、南下した個体が多い等が考えられる。
(弘前「初列風切」NO.174,P7)
●2013/3 郡山
・過去、現在記録される種の比較
 郡山市の五百淵公園で記録された種で1950年頃記録され、現在記録されない種:オオヨシゴイ、メダイチドリ、ミゾゴイ、アマサギ、アカアシシギ、チュウサギ、セッカ、ノスリ、ムギマキ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、コチドリ、ゴジュウカラ、ノジコ、ウズラ、イカル、ウソ、ナベヅル、ナキイスカ、ヒメクイナ。逆に当時記録が無い種:カンムリカイツブリ、アカハジロ、カワウ、ツミ、オオタカ、マガン、ホオアカ、オナガガモ、ハシビロガモ、オオジュリンミヤマホオジロ、ホシハジロ、ミコアイサ、ハシブトガラス、スズガモ、ミミカイツブリ。
(郡山「かっこう」NO.81,P2〜3)
●2013/4 東京
・みんなで日本の鳥の状況を明らかにしよう
 鳥は最も重要なモニタリング対象だが、その関係で大学や研究機関で働いている研究者は数十人程度にすぎない.。環境省はモニタリングサイト1000で日本の自然環境を見守る事業を行っているが、ボランティアの協力が無いとできない。欧米ではcitizen science等と呼ばれ、バードウォッチャーの役割の重要性は増えている。全国の野鳥状況把握確立を目指し、04年、バードリサーチはスタートし、様々な鳥の情報を集めている。全国の野鳥状況把握に参加しませんか。
http://www.bird-research.jp/
(東京「ユリカモメ」NO.690,P3)
・4月14日は「干潟・湿地を守る日」
 97/4/14、諫早湾の干拓堤防が閉め切られた日で、日本湿地ネットワーク「JAWAN」はその日を「干潟・湿地を守る日」として、毎年、全国的に活動を行っている。当会もこの日に参加し、三番瀬、谷津干潟、葛西臨海公園、東京港野鳥公園、多摩川河口で探鳥会を行っている。葛西臨海公園では2020年のオリンピックのカヌースラローム 施設建設に向けて、9月の開催地決定が予定されている。数日間のイベントでの自然環境破壊は食い止めなければならない。
(東京「ユリカモメ」NO.690,P11)
・ベニバト東京都初記録
11/12、伊豆大島でベニバトが観察、撮影された。本州は関東地方では埼玉県、神奈川県で記録があるが、東京都初記録となる。
http://blog.goo.ne.jp/gscrikuguide6/e/c565c91d14d9fff503296de3140bc496
(東京「ユリカモメ」NO.690,P16)
●2013/4 軽井沢
・長野県の夏鳥の初認、初鳴き調査(2012年)
 県内の団体会員の協力を得て、調査した結果は平均確認日±標準偏差はジュウイチ5/15±8、カッコウ5/20±5、ツツドリ5/1±9、ホトトギス5/25±5、ツバメ4/3±6、イワツバメ3/28±8、サンショウクイ4/25±7、クロツグミ4/15±6、ヤブサメ4/22±5、オオヨシキリ5/5±7、センダイムシクイ4/22±5、キビタキ 4/26±7、オオルリ4/24±9、コムクドリ4/20±10、ウグイス4/4±12、ヒバリ3/23±16。ヒバリ、ウグイスは低地から始まり高地へ移っていく。トケン類はツツドリ、カッコウ、ホトトギスの順で渡ってくる。ジュウイチはカッコウと同じ時期であるが、より奥山に飛来するので、確認数が少ない。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.360,P4〜5)
●2013/4 甲府
・亜種識別の勧め 
 山梨県内で2亜種以上見られる種は、コガモ、ダイサギ、ビンズイ、アカハラ、ウソ、カワラヒワ、ハクセキレイ、ツグミ等。
(甲府「カワセミ」NO.122,P5)
●2013/3-4 鳥取県
・ブッポウソウ求愛給餌とペアの行動
 ブッポウソウは求愛給餌が始まると、雌は同じ場所に止まり続け、自分からの採食は殆ど見られず、産卵が済むと求愛給餌は無くなり、雌は自分で採食を始める。その巣箱では5/8、ペアの飛来があり、5/20〜6/5、盛んに求愛給餌があり、6/5に交尾が確認された。求愛給餌は1時間当たり6.3〜16.6回で、孵化し抱雛が始まると雄は巣の前に止まり続ける。この求愛給餌は雌が産卵に必要な栄養を効率よく摂取するためと考えられる。
(鳥取県「銀杏羽」NO.126,P14〜15)
●2013/4 北九州
・福岡県の希少種カラスバト(福岡県レッドデータブック2011)
 日本で最も大きいハト類で全長40cm。福岡県では玄界灘の島嶼のよく茂った常緑広葉樹に棲み、数は少ない。日本の島に広く分布し、朝鮮半島、中国に少数が生息し、日本の準固有種と言える。「ウッウー」と牛のような鳴き声からウシバトと呼ぶ地域もある。
(北九州「北九州野鳥」NO.322,P12)
・100年前の野鳥の話題
 日本では小学校で奨励金を出して稲、桑の害鳥として、アトリ、カケス、キジ、ゴイサギ、バン、ヒヨドリ、カルガモ等を駆除していた(宮崎県支部報)。欧州では「○○○は美味しい」として、富裕層は避暑先で野鳥を撃ち、食べていた。こんな違いが両者の現在の野鳥に対する関わり方の差異になっている。
(北九州「北九州野鳥」NO.322,P15)
●2013/4 佐賀県
・野鳥密猟発見とカササギ
 2/13、神埼市内で鳥モチ8本を立て、オオマシコ、ベニマシコを密猟しようとしていた2人を支部会員が捕え、警察に引き渡した。(相手次第では危険であるので、先に通報したと思われる(森))。本件は本部佐久間理事、密対連、佐賀県密猟対策担当に連絡した。毎年、カササギが電柱に巣を作るが、九電が取り去るとの訴えがあったが、九電の回答は「巣の中に卵や雛がいなければ撤去する、いれば繁殖終了まで待つ」とあった。
(佐賀県「野鳥さが」NO.187,P21)
●2013/春 鹿児島
・ワキアカツグミ
 元旦、枕崎市内でワキアカツグミが撮影された。国内数例目で九州本土では初記録となる。
(鹿児島「るりかけす」Vol.137,P12)

(自然保護室支援・野鳥の会 神奈川/森 要)

シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」

探鳥会におけるリスクマネージメント

日本野鳥の会理事長 佐藤仁志

シリーズ第2回:マムシ

 野外における危険な生物は?との問に、ほとんどの人がマムシと答える。また、少し前までは、本土に生息している毒蛇はマムシだけだと教わってきた。さらに、マムシに咬まれたときの応急手当も、最新の情報とはかなり異なった対応を教えられてきた。これらのことからも分かるように、マムシに関する知識は必ずしも十分とはいえない。探鳥会など野外活動の指導者は、マムシに関する十分な基礎知識と最新の情報を熟知しておく必要があろう。

*マムシはどんな生き物?

 マムシは、クサリヘビ科マムシ亜科マムシ属の一種で、とから海峡(屋久島)以北の日本全土に分布している。
 頭部はほぼ長三角形でやや大きく,頚部のくびれが明瞭。胴は他のヘビに比べやや太くて短く、尾が急にくびれており短いのも特徴の一つだ。体長は60cm以下、胴には大きな銭形斑紋があり、腹は黒く、黄褐色の不規則な斑紋がある。頭部の目の前下方に一対のピット器官があり、獲物や敵から出る赤外線を敏感に感受し、闇夜でもその存在を立体的に感知することができる。

■マムシの見分け方

*マムシの毒は?

 頭側部の張り出した部分に毒腺があり、導管で毒牙に連結している。毒牙は、注射針と同じ構造をしており、効率よく毒が注入できる仕組みとなっている。毒牙は、短い上顎骨の先についており、ふだんは上顎と平行に倒れている。しかし、攻撃の時になると、口を大きく開き、骨と筋肉の作用で上顎と直角に立つようになっている。
 マムシによる死亡者は、年間平均約13人程度であり、致死率は0〜5%程度といわれている。

*マムシの習性は?

 マムシの活動期は、3月下旬から11月中旬頃であり、活動最適気温は25〜35度といわれている。活動は、春や秋に於いては日中が多いが、夏の気温が高いときには夜間に活動することが多い。夏期に、谷川沿いの涼しい場所でよく見かけるのは、気温と耐熱の発散関係によるものである。
 自ら獲物を狙う以外はめったに咬みついたりしないが、敵が防衛範囲内に進入したり踏んづけたりすると、すばやく飛びかかり毒牙で咬みつく。
 成長したマムシは、ハタネズミやカヤネズミなどの小型のネズミ類を好んで餌とする。一方、幼蛇はカエルやドジョウなどを餌とすることが多い。
 マムシによる被害は、秋に比較的多い。これは、気温が低下しマムシの行動が鈍くなり、逃避行動が低下することが要因の一つとして考えられる。さらに、キノコ採取などで素手を地面に近づけるため、落ち葉の下などにひそんでいるマムシに咬みつかれることが多くなることも要因の一つである。また、春や秋の天気の良い日には、岩場の上など、とてもそんな環境の場にいるとは思えないような場所でひなたぼっこをしていることがあるので、注意が必要だ。

*もしマムシに咬まれたら

① もし咬みつかれたら、直ちに逃げること。マムシは、2度3度と連続攻撃をしてくることがある。また、可能であれば咬みつかれたのがマムシかどうかを、確かめることである。マムシの咬み痕は、普通2本の牙跡がはっきり残る。(シマヘビなどの場合、歯の跡が複数で2列に並んでいる。)
 また、牙の痕から出血が止まらないことが多い。この他、痛みと腫れが出る。毒が入ったら、鋭い痛み(ハチに刺されたような痛み)を感じ、その痛みはずっと後まで続く。咬まれた局部は、必ず腫れる。腫れは、すぐに始まる場合や数分たってから腫れる場合などあるが、いずれにしてもひどい腫れとなる。
② 次に、あわてないこと。咬まれた本人はもとより、周りの人間も含めてパニック状態に陥ることがある。死に至るようなことはほとんどないことなどを伝え、安心させることが大切。(心配のあまり、脈拍が早くなると毒の回りも早くなるらしい。マムシによる年間の被害者は約3,000人、死亡者は年間10〜13人(1〜2人程度との説もある)、それに比べスズメバチによる死亡者は年間平均43人、マムシによる致死率は、上限5〜7l下限0lであり、スズメバチより死亡者数の点ではかなり低いことを伝え、安心させるのも一案)
③ 咬まれた部位を動かさないようにし、体を休ませること。咬まれた部位ならびに全身の安静が極めて重要だ。(自分で医者に行く場合でも、走ったりしないこと。)マムシに咬まれた動物は、ただひたすらうずくまってじっとしている。それが毒を局所にとどめる最善の方法のようだ。なお、患部を少し高い位置に保っておくことも有効といわれている。
④ 傷口からできるだけ毒を吸い出す。(マムシの毒は、人間の血液の中に入って毒性を発揮するので、血を飲み下しても人体に影響はないとのことである。ただし、口の中に傷のある人などは、注意が必要。専用の毒吸い出し器を持ち歩くとよい。)なお、日本のヘビの場合、注入された毒を取り出したり、症状を軽くしたりするために、素人にできる手当は全くないとも言われている(NACS-J野外における危険な生物)。
⑤ 心臓に近い部位を幅の広いもので縛り、血行の鈍化を図る。(腕や足に咬みつかれた場合、その傷口より10cmほど心臓に近い箇所をタオルなど幅の広いもので縛る。この場合、あまり強く縛らずに指が1〜2本通る程度とする。注意することは、やたらと強く縛らないことである。血行を止めてしまうと咬傷付近の毒が薄められずに停滞するため、その部分の被害が強くなる。また、縛る場所は、30分位経ったらさらに上部に移動すること。縛るという行為は、被害者を安心させることにもなるので、その点の配慮もするとよい。) なお、日本のヘビの場合、圧迫帯による効果はほとんど立証されていないともいわれている(NACS-J野外における危険な生物)。
⑥ 被害者を、できるだけ速やかに医者のもとに運ぶ。その際、血行を早めないように背負ったり車に乗せたりする。また、精神的ショックを和らげるため、励ましたり、お茶や紅茶など利尿効果のあるものを与えることも配慮の一つ。
⑦ 医者により血清注射などの適切な処置を受ける。(血清は、受傷後1時間以内が最も有効いわれている。また、数時間後でも血清は有効に使えるともいわれている。血清注射に伴うショック症状なども危惧されるので、各種の症状に対応できる総合的な病院における処置が理想である。なお、最近セファランチンを使用した処置が行われることが多いようであるが、マムシ裁判判の事例にあるように、慎重な対応が必要だ。(注;「マムシ裁判」や「セファランチン」について詳しく知りたい方は、「野外で注意すべき危険生物」佐藤仁志著を参照されたい。野鳥の会バードプラザの書籍コーナーで、1冊500円で入手できる。)

《その他の注意事項》

■マムシ咬傷における医師の対応

 最近、身近なところでマムシに咬まれた事故が発生した。もしもの場合の参考になると思われるので、その時の医師による治療の状況などをもとに、マムシ咬傷における医師の一般的な治療法等について紹介しておこう。
 病院に行けば、まず局所の消毒などとともに、問診や採血、マムシによる咬傷かどうか聞き取り、咬み跡痕(多くの場合約1cm間隔で2カ所の咬み跡が確認できる)などによる確認作業が行われるはずだ。次に、局所的治療と全身的治療が症状に応じて行われる。
 局所的治療としては、消毒の他、切開、排毒、緊縛、減張切開などがある。
 切開は1cm程度の小切開で、そこから毒を絞り出す。咬まれてか30分以内は毒が2〜3cm以内に留まっており、30分以内に切開しないとほとんど効果がないという説がある一方、6〜48時間まで局所に存在するという説もある。また、切開しなくても、ほとんど影響がないとする医師もいる。前述の身近な例の場合、咬まれてから1時間以上経過していたが、1cmほどの切開を行い血を絞り出すようにして排毒が行われた。この時の痛みは相当激しかったようだ。
 なお、減張切開は腫れがひどい場合に行われる治療である。また、緊縛はオーストラリアなどで行われている対処方で、咬まれた場所の前後を含む広い部分を広い包帯などで巻いて圧迫し、副木を当てるなどして固定する方法だが、わが国ではほとんど行われていない。
 全身的治療としては、抗生剤、利尿剤、破傷風対策薬剤などの投与や、セファランチン療法、抗血清療法などがある。これらの治療法の選択は、主として腫れの進展速度や進展範囲によって判断されるらしい。例えば、①局所のみ、②手関節・足関節まで、③肘関節・膝関節まで、④1肢全体に及ぶ、⑤それ以上または全身症状を伴う、などの目安が設定されている。③以上の症状が見られた場合に抗血清療法が用いられ、②以下の場合にはセファランチン療法が破傷風薬の注射や抗生剤、利尿剤投与と平行して行われるようだ。
 なお、これらの治療は入院を原則としており、数日間は入院を覚悟した方がよい。身近な例の場合も5日間の入院を余儀なくされ、最初の2日間は患部を冷やしながら点滴による治療が行われたという。また、退院後も破傷風対策のため、1ヶ月後と半年後に通院した。

マムシ一口メモ

以下に、その他の参考となりそうなことを列記しておく。

(公益財団法人日本野鳥の会理事長 佐藤仁志)

事務局からのお知らせなど

普及室より

■日本野鳥の会福井県の研修会、総会、探鳥会に参加しました■

 4月20日、より楽しい探鳥会をテーマにした日本野鳥の会福井県の研修会(勝山市)の講師を安西が担当しました。35名の参加があり、過去に支部に配布したバードウォチング指導教材『野鳥かみしばい』(1996年制作)の「利用の手引き」や拙著「野鳥eco図鑑」、この4月18日発行したばかりの『探鳥会スタッフ通信』などを活用した2時間ほどの研修会の後、総会となりました。「財政的課題にどう取り組むか」「発行物の残部を活用し会員増に結び付けるにはどうしたらよいか」「風力発電の計画にどう対処するか」など熱心な話し合いの末に、前年度決算、今年度の活動計画や予算、役員改選などが承認されました。続く懇親会ではオークションや会員相互の情報交換、翌日は近くの「かつやま恐竜の森」で探鳥会です。夜明けに雪が舞ったものの、飛来したばかりの夏鳥、飛去前の冬鳥などが観察されました。
 安西には野鳥について、探鳥会の進め方について、さまざまな質問が寄せられました。探鳥会の最後は、「野鳥の大きさごとに、どんな種がいたか?」を参加者からあげて頂くというまとめ方をして、スズメほどのサイズで虫を主食にする小鳥が多いことを確認し、前日の研修会で触れた生物多様性と持続可能性を考え、野鳥を育む虫、虫を養う植物など命のつながりにも思いを馳せるようにしました。

(普及室 主席研究員 安西英明)

■2012年度 野鳥撮影マナーアンケート 集計結果速報■

2013年5月7日

 昨年12月末に依頼しました「野鳥撮影マナーアンケート」の集計結果をダイジェストでお送りいたします。 アンケートは12月末に、全国90の支部等連携団体(以下 支部)にメールまたは郵便にて調査用紙をお送りし、1月末日の締め切り後の2013年2月12日に、再度回答のお願いをお送りしました。
 アンケートにご回答いただきましたご担当者様に厚く御礼申し上げます。

  1. 『回答数は50支部』
    90支部中ご回答いただいたのは、50支部でした。(回答率 56%)
  2. 『過去5年間で「何らかの対応をした支部」と「しなかった支部」は拮抗している!』
     過去5年間(2008〜2012年度)で、支部として何らかの対応をおこなったと回答した支部は、24支部(48%)でした。
     反対に「対応したケースはなかった」と回答された支部は25件(50%)となり、「対応した支部」と「しなかった支部」の数は拮抗していることがわかりました。写真撮影のマナーに関する問題は、対応に苦慮している支部がいる一方で、現時点で大きな問題とはなっていない支部もあり、温度差の大きい問題であることがうかがえました。
     なお、2007年度に実施したフィールドマナーに関するアンケート調査との比較により、この5年間での変化を読みとろうと試みましたが、2007年度と2012年度の両方に回答していただいた支部が20件と少なかったため断念しました。

  3. 『支部の活動エリア内で撮影トラブルが発生していたのは、回答者中の66%』
    「支部での対応はなかった」とする25支部のうち、9支部が実際には地域で撮影マナーに関する問題が起こっていたと回答されていました。したがって、支部のエリア内で撮影マナーに関するトラブルが発生していた支部は、2のグラフの「トラブルがあった」とする24件に、実際には地域で問題が起こっていたと回答された9件を加えて合計で33件となり、回答者の66%であったことがわかりました。

  4. 『支部の対応件数は増加傾向にある?』
     過去5年間の支部の対応件数については、2011年度までは明らかな増加傾向が見られ、2012年度は前年度並みとなりました。(そのうち会員が関わったのは、13〜21%)
     2012年度が前年度並みとなっている理由は、アンケートを送付したのが12月末であり、回答してくださった支部の方でまだ2012年度の件数が集計できていなかったためではないかと思われます。

  5. 『もっともトラブルの対応に追われていたのは、神奈川、千葉、宮崎?』
     2008〜2012年度までの各支部の対応件数を合計し、一覧表にしてみました。これを見ると、神奈川、千葉がダントツに対応件数が多く、日々対応に追われていることがうかがえます。次に宮崎が14件と続き、群馬9件、遠江、京都7件、愛媛、北九州5件と続きます。宮崎は、ヤイロチョウという希少種に関わるトラブルが大きな問題となっていたことが影響しているようです。
     それ以降は、江別、茨城県、埼玉、岐阜、滋賀、徳島県、熊本県、鹿児島は2件、根室、東京、長野、富士山麓、静岡、広島県、香川県、佐賀県の1件と続きます。 事前の予想では大都市圏ほど、こうした問題が頻発しているのだろうと予想していたのですが、もっとも会員の多い東京が1件と少なく、意外な結果となりました。
     なお寄せられた事例集からは、件数は少なくとも希少種保護の観点や農家への迷惑防止など、無視できない問題に対して対応に苦慮している各支部の担当者の様子をうかがい知ることができました。
  6. まとめ
    ○撮影マナーの問題は、一部都市圏で大きな問題となってきていますが、全国的にみると問題意識に開きがあります。
    ○とはいえ、ここ5年間で急速に支部での対応が迫られるようになってきており、今は問題とは認識していない支部にとっても、今後問題となってくる可能性を秘めています。
    ○今回いただいた事例集を整理する中で、どのような問題が発生しているのかについても引き続き分析を進めることとします。
    ○事例集は、各支部宛に郵送と電子メールにて個別にお送りします。

(普及室 箱田敦只/堀本理華)

施設運営支援室より

■日本野鳥の会ブックレットを発刊■

豊田の湿地保全を紹介

 「里山と湿地を守るレンジャー奮闘記−豊田市自然観察の森とラムサール条約」と題するブックレットを当会から出版しました。著者は当会レンジャーで豊田市自然観察の森所長の大畑です。ウトナイ湖をラムサール条約湿地にした経験や条約湿地である加賀市片野鴨池での活動を通して、矢並湿地等を東海丘陵湧水湿地群として条約湿地にするまでを詳細に記述しています。ラムサール条約湿地を目指している地域の人たちや日本野鳥の会のレンジャーがどのような活動しているのかを知る1冊です。また、「サシバのすめる森づくり」として自然観察の森で取り組んでいる里山保全についても紹介してあります。頒布価格500円で自然観察の森で購入可能です。また、500円分(送料不要)の切手を自然観察の森(471-0014豊田市東山町4-1206-1)に送付いただければ郵送します。


(施設運営支援室)

総務室より

【連携団体全国総会交通費補助】

支部ネット通信2月号で、11月9日(土)〜10日(日)に開催される平成25年度連携団体全国総会会場「クロスウェーブ幕張」の案内をしましたが、今月号では交通費補助についてお知らせします。

【交通費補助】

交通費(実費)が1万5千円を上回る場合、上回る部分を全額補助。ただし、補助は1団体1人。  遠方からも参加しやすい補助にしました。多くの参加をお待ちしています。  (注)十分な予算を用意しますが、参加が予想を大幅に上回る場合、足切り額を見直すことがあります。

【宿泊費】

シングル8,400円(朝食付)、7,140円(朝食なし)の予定です。

(総務室 奥田秋穂)

会員室より

■会員数■

 5月1日会員数37,840人(対前月-137)会員数は先月に比べ137人減少しました。
 4月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より1人少なくなっています。 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。4月の入会者数は170人で、前年同月の入会者171人に比べ1人減少しました。また、4月の退会者は169人で、前年同月の退会者 242人に比べ73人減少しました。

 表1.4月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(5月1日時点)

備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(5月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部名称等変更のお知らせ■

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。

【名称及び呼称の変更】

●日本野鳥の会 やまがた
旧名称:日本野鳥の会 やまがた
新名称:日本野鳥の会 山形県支部
呼称:代表者→支部長

●日本野鳥の会 西表
旧名称:日本野鳥の会 西表
新名称:日本野鳥の会 西表支部
呼称:会長→支部長

●日本野鳥の会 福岡
旧名称:日本野鳥の会 福岡
新名称:日本野鳥の会 福岡支部
呼称:代表→支部長


【代表者等の交代】

●日本野鳥の会 宮古支部
旧支部長:佐々木 宏
新支部長:関川 實
旧事務局長:関川 實
新事務局長:佐々木 繁
事務局所在地の変更(※)

●日本野鳥の会 鹿児島
旧代表者:中村 敏行
新代表者:手塚 理一郎

●日本野鳥の会 長野支部
旧支部長:小桝 守男
新支部長:小林 富夫

●日本野鳥の会 香川県支部
旧事務局長:大川 庫弘
新事務局長:安永 修
事務局の所在地変更(※)

●日本野鳥の会 道南桧山
旧事務局長:一戸 静夫
新事務局長:奥田 孝一
事務局の所在地変更(※) 

※住所・電話番号・メールアドレスに関しては本紙には掲載いたしませんので、ご連絡の際は下記担当へご相談ください。
総務室総務グループ
TEL 03-5436-2620 / FAX 03-5436-2635

(総務室/奥田秋穂、鈴木美智子、松井江里奈)

■支部ネット担当より

真夏のような暑い日が続いたり、はたまた急に寒くなったりと、変化の激しい天候が続く今日このごろですが皆さまいかがお過ごしですか。暑い日には水分補給を心がけましょう。いつも支部ネット通信をご愛読いただきありがとうございます。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。



支部ネット通信 第110号
◆発行
日本野鳥の会 2013年5月24日
◆担当
総務室 総務グループ 奥田秋穂/松井江里奈/植月智子
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]