No.134 2015年5月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆事務局からのお知らせなど
 新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に
 向けて増補改訂新版の取り組み
 支部名称等変更のお知らせ
 支部における個人情報保護の実例のご紹介
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.747

●2015/3 十勝
・2014-15年海ワシ類調査
・帯広市近郊のナキイスカ観察
・シジュウカラガン
●2015/3 神奈川
・シマが付く鳥
●2015/3 長野
・秋のタカ渡り観察
●2015/3-4 諏訪
・オオワシ20回帰
・ヒレンジャクの群
・諏訪湖のカモ類調査
●2015/3 三重
・鳥の名前の由来は?
●2015/3 滋賀
・2015年滋賀県ガンカモ類等生息調査(保護研究部)
・カモの骨の形の違い
●2015/春 鹿児島
・日本野鳥の会サシバ80年

●2015/3 十勝
・2014-15年海ワシ類調査
 環境省のオジロワシ・オオワシ保護増殖事業の一環として11〜3月、計5回、十勝管内の10区域で調査した。調査期間中、80〜100羽のワシ類が記録され、冬の前半は十勝川を遡上、死亡したシロザケを主に捕食し、食べ尽くすと、冬の後半はエゾシカの残滓を主な餌資源にしている。冬の前半は川ワシ、後半は山ワシと呼べる生活である。嘗ては十勝地方の海ワシは主に海岸沿いに飛来し、数も今より少なかった。その後、十勝川新水路の通水、エゾシカの駆除開始、知床半島でのスケトウダラの不漁で海ワシの分散等の影響があると思われる。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.188,P11〜13)

・帯広市近郊のナキイスカ観察
 ナキイスカは基本的に定住性で年により、流浪や分布外に出る。日本では全国で稀な冬鳥として記録がある。十勝地方では4件の記録がある。客観的に確認できる写真が無かったが、2011/4、帯広市内でイスカの群の中で1羽が撮影された。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.188,P17〜19)

・シジュウカラガン
 シジュウカラガンの幼鳥は白い首環が無いものが多い。群で飛ぶ時は、カモ類のように密集して飛ぶ。日本には亜種シジュウカラガン、亜種ヒメシジュウカラガン、亜種アラスカシジュウカラガンが渡来する。1990年代は数羽が伊豆沼に飛来と激減し、中部千島で毛皮を取るためのキツネの捕食の影響と考えられる。今はロシア科学アカデミーと共働で順調に回復してきている。詳しくは仙台市八木山動物園HPに「シジュウカラガン羽数回復事業」がある。体重差は4倍もあり、現在大型で内陸性で南で繁殖するものをカナダガン、小型でツンドラ地帯で繁殖するのをシジュウカラガンとしている。山梨県や神奈川県には亜種オオカナダガンと思われる種が野生化している。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.188,P20〜21)

●2015/3 神奈川
・シマが付く鳥
 カタカナのシマは島、縞、・・・か分からない。漢字表記の図鑑で見ると、シマアオジ(島青?)、シマアカモズ(島赤百舌)、シマアジ(縞味)、シマエナガ(島柄長)、シマキジ(島雉)、シマクイナ(縞水鶏)、シマゴマ(島駒)、シマセンニュウ(島仙入)、シマフクロウ(島梟)とある。大半は島で北海道や国後島を指すのであろう。地質学や考古学で北海道島として残っている。ナキイスカは元の漢字は嶋交喙(シマイスカ)で、鳴交喙と誤記され、ナキイスカになっている。よく鳴くからナキイスカではない。
(神奈川「はばたき」NO.514,P12)

●2015/3 長野
・秋のタカ渡り観察
 8/31〜11/21、長野市浅川大池湖畔で観察した。観察数はサシバ4,328、ノスリ801、ハチクマ625、ツミ93、チゴハヤブサ9、オオタカ9、ハヤブサ7、ミサゴ6等。サシバのピークは9/20の1,651、ノスリは10/24の265、ハチクマは9/20の119。
(長野「野鳥ながの」NO.534,P4)

●2015/3-4 諏訪
・オオワシ20回帰
 諏訪湖に飛来するオオワシ(愛称グル)が今シーズンで20回となった。2/22、これを節目に諏訪湖博物館でオオワシを語る集いがあった。グルの特異性は諏訪湖の文化面まで影響している。
(諏訪「いわすずめ」NO.161,P4)

・ヒレンジャクの群
 12〜4月、諏訪地方に今シーズンもレンジャクの群が見られた。飛来数は年により極端に増減し、見られない年もある。最近は2012〜13年、11箇所で多数確認し、今期も16箇所で1,000羽以上となった。キレンジャクは北日本に多く、ヒレンジャクは西日本で多く見られる傾向であり、長野県では両種とも見られ、以前はキレンジャクが多く見られたが、近年はヒレンジャクが多い。
(諏訪「いわすずめ」NO.161,P7)

・諏訪湖のカモ類調査
 1/12、カモ類の追い払い爆音がある諏訪湖で調査した。湖面は氷結していなかった。総計2,651羽、内訳はカワアイサ1,771が大半で、ホシハジロ180、ヒドリガモ173、オナガガモ129、カルガモ106、マガモ94、キンクロハジロ82等。
(諏訪「いわすずめ」NO.161,P8〜9)

●2015/3 三重
・鳥の名前の由来は?
 ホオジロンの語源はホホイチジロシイ(著しい)との説があり、ホオジロが囀る姿を見ると、頬を膨らませて著しく囀るとある。シロは白ではない?アトリは集まる鳥、アットリからアトリへ。ウグイスは「うく」は奥、「ひす」は出ずるで春に谷の奥から出てくるとの説。ムクドリは椋の実を好むからがあるが、群れて騒がしく群来鳥からの説もある。モズのモは諸々の声のモ、ズ(ス)は鳥を表す接尾語。イカルは奈良県の斑鳩の地名から。参考:図説日本鳥名由来辞典(柏書房)、鳥の名前(東京書籍)。
(三重「しろちどり」NO.83,P1〜2)

●2015/3 滋賀
・2015年滋賀県ガンカモ類等生息調査(保護研究部)
 1/10〜12、琵琶湖周辺181箇所を支部、滋賀県野鳥の会、湖北野鳥の会等の協力で調査した。カモ科は総計99,929羽で過去11年間で3番目に少ない。内訳はヒドリガモ15,847、キンクロハジロ15,710、マガモ15,403、コガモ10,467、ホシハジロ8,184、オカヨシガモ5,130、ヨシガモ3,482、オナガガモ1,707、ミコアイサ1,602、スズガモ1,125、ハシビロガモ789、カワアイサ482、コハクチョウ461、ヒシクイ258、トモエガモ249、ホオジロガモ225、オシドリ163、ウミアイサ51、マガン11、オオハクチョウ8等。オオバンは60,271で個体数が断トツ。カンムリカイツブリ2,839、ハジロカイツブリ2,763、カワウ2,120であった。
(滋賀「におのうみ」NO.40,P14〜24)

・カモの骨の形の違い
 海に棲むカモには眼窩の上に塩腺という余分な塩分を排出する器官が納まる窪みがある。マガモでも海水で育つとこの窪みが発達する。水に潜らないカモの骨には気孔があり、飛ぶために空気を入れ体を軽くしている。潜水するものはこれが無く、浮力を減らし効率よく潜水する。カモの雄の骨は少し大きいが、雌雄の識別は難しい。雄の鳴管には骨があり、識別できる。
(滋賀「におのうみ」NO.40,P25〜26)

●2015/春 鹿児島
・日本野鳥の会サシバ80年
 日本野鳥の会創立80周年、81年前、1934年10月に鹿児島県鹿屋打馬上空をサシバ数万羽と記録がある。1980年頃まではサシバの渡りは佐多岬でしか見られないとされ、全国初の「サシバの渡りを観る」とのサシバのシンポジウムが佐多岬で開催された。樋口広芳東大教授、「日本のワシ・タカ」著者の森岡照明氏、「フィールドガイド」著者の高野伸二氏も見えた。これを契機にNHKラジオで全国のサシバ観察地が中継放送しされた。1995年、農林省森林総合研究所の池永裕史氏が宮古島のアカハラダカの渡りを見て、薩摩半島でもタカが渡っているとなった。
(鹿児島「るりかけす」Vol.148,P12〜13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.748

●2015/3-4 宮城県
・女川町足島の海鳥、ネズミ類生息調査
●2015/3 茨城県
・茨城県初記録 サカツラガン、アカハジロ
・消えた神栖市の息栖御鴨場(環境計画部)
・ハス田の防鳥ネット野鳥羅網問題(事務局)
●2015/3-4 群馬
・高崎市のヒヨドリ
●2015/4 東京
・京都府鴨川のユリカモメ越冬数変動の謎(日本鳥学会)
・マナーを守って野鳥写真を楽しもう(編集委員会)
・東京におけるツミ繁殖の小史
●2015/3-4 鳥取県
・2014年ボッポウソウ保護管理調査
●2015/3-4 島根県
・チョウセンウグイス
●2015/3-4 広島県
・2015年ガン・カモ・ハクチョウ類調査
・カワウ生息状況モニタリング
●2015/3-4 愛媛
・2015年ガンカモ調査

●2015/3-4 宮城県
・女川町足島の海鳥、ネズミ類生息調査
 足島は天然記念物「陸前江ノ島のウミネコ及びウトウ繁殖地」である。本俸でのウトウ繁殖地南限である。オオミズナギドリ、コシジロウミツバメ、クロコシジロウミツバメ、ヒメクロウミツバメ等も生息する。近年、ドブネズミが進入し、ウトウの標識放鳥は2012年:473羽、2013年:174、2014年:112と減っている。宮城県は「沿岸被災地における希少動植物種保護保全対策」を実施し、支部は県の委託で2015年、足島のドブネズミの駆除を行う。それに先立ち11/22〜24、現地調査した。4頭のドブネズミを捕獲、島内全域でネズミの糞が確認された。ウミツバメ類は声、死体は確認できず。ドブネズミ捕獲は箱罠より籠罠、はじき罠が適する。
(宮城県「雁」NO.270,P15〜17)

●2015/3 茨城県
・茨城県初記録 サカツラガン、アカハジロ
 11/11、高萩市関根川河口付近でサカツラガン1が撮影された。12/6、牛久沼でアカハジロ♂1、♀2が撮影された。何れも茨城県内初記録である。
(茨城県「ひばり」NO.324,P3)

・消えた神栖市の息栖御鴨場(環境計画部)
 神栖市にあった息栖御鴨場はS18年に開場した国内唯一の民間の鴨場であった。その資金は後の首相鳩山一郎、野鳥の会創始者中西悟堂等33名から募った。敷地1万坪、外周は竹藪や松の土手と二重の濠があり、犬猫の進入を防ぎ、中央に1600坪の池、そこから14本の引き掘りを設け、カモを誘引していた。その奥で網でカモを捕獲しており、池のカモから見えない。8箇月間で2〜3千羽のカモを捕獲していた。1974年埋立てられた。
(茨城県「ひばり」NO.324,P4〜5)

・ハス田の防鳥ネット野鳥羅網問題(事務局)
 霞ヶ浦沿岸のハス田で羅網被害を受けるのはコガモ、ヒドリガモ、オオバン等の水面近くの浮遊物を採食する鳥が圧倒的に多く、底面から30cm以上下にあるレンコンの根を食べる種ではない。コブハクチョウは明らかにレンコンの根を食べる。コブハクチョウはハス田で営巣しており、県はその駆除に擬卵を使う制度を作ったが、その申請が無いことは生産者は野鳥のレンコン被害に困っていない事を自ら示していると理解される。
(茨城県「ひばり」NO.324,P22)

●2015/3-4 群馬
・高崎市のヒヨドリ
 2003/9〜2004/3、ヒヨドリ個体数調査を行った結果、12月がピークで綺麗なグラフになった。その後の調査では9月頃から数が増え始め12〜1月にピークになり、8月に向けて減っていく。農作物へのヒヨドリ被害はこの個体数変化に関係しているようである。ヒヨドリと農作物の関係は「野鳥」誌2002/1号、BIRDER2006/4号に記載がある。
(群馬「野の鳥」NO.328,P3〜4)

●2015/4 東京
・京都府鴨川のユリカモメ越冬数変動の謎(日本鳥学会)
 1974/1、鴨川にユリカモメ約200羽が初めて渡来した。その後京都の冬の風物詩となった。この40年間に鴨川のユリカモメの越冬数は大きく変動した。1996〜97年冬季から1986〜87年冬季は増加期(MAX.7,000以上)で、全国でも同様であった。この間、カムチャッカでのユリカモメの営巣数も急増した。それ以降は減少(MIN.1,000前後)している。
(東京「ユリカモメ」NO.714,P3)

・マナーを守って野鳥写真を楽しもう(編集委員会)
 野鳥の会本部とキャノンとのタイアップで10頁の葉書大冊子「マナーを守って野鳥撮影をもっと楽しもう」が完成し、無料で配布される。希望者は本部か東京支部の事務所に照会方。
http://cweb.canon.jp/pdf-catalog/eos/pdf/bird-manner.pdf
(東京「ユリカモメ」NO.714,P11)

・東京におけるツミ繁殖の小史
 嘗ては全国で数例しか知られていなかったツミの繁殖が、各地で見られるようになったのは1980年代である。都内では1985年に清瀬市で4/9、交尾、6/21、巣に4羽の幼鳥と雌雄発見が最初と思われる。86/7には東久留米市の神社で営巣している。その後は営巣記録は増加している。
(東京「ユリカモメ」NO.714,P16)

●2015/3-4 鳥取県
・2014年ボッポウソウ保護管理調査
 日南町でブッポウソウの繁殖活動を観察した。36巣箱の内、繁殖利用は32巣で、繁殖成功は29巣、確認された雛は101羽で2007年以降で最大であった。2007年からの結果を示すと2007:設置巣箱36、内繁殖利用18、確認雛58、2008:36、25、96、2009:36,26、94、2010:36、28、95、2011:36、27、92、2012:36、26、-、2013:36、27、67、2014:36、32、101。
(鳥取県「銀杏羽」NO.138,P11〜14)

●2015/3-4 島根県
・チョウセンウグイス
 大陸系ウグイスはウスリーから韓国で繁殖し、中国南東部、台湾、比島北部で越冬する。亜種チョウセンウグイスと亜種カラウグイス(タイワンウグイス)に大別されるが野外識別は困難である。囀りは日本産ウグイスより張りが無く、谷渡りは発声しない由。両者は別種として独立する可能性もある。
(島根県「スペキュラム」NO.164,P5)

●2015/3-4 広島県
・2015年ガン・カモ・ハクチョウ類調査
 1/5〜18、環境省水鳥調査として県内約300箇所を調査した。22種、28,321羽で内訳はガン、ハクチョウ類は記録無く、ヒドリガモ5,794、マガモ4,132、ホシハジロ3,774、スズガモ3,622、カルガモ2,667、コガモ2,145、オシドリ1,342、オカヨシガモ1,316、オナガガモ1,167、キンクハジロ718、ハシビロガモ687、ヨシガモ321等。オカヨシガモは従来の倍近くに増えた。カンムリカイツブリは芦田川河口に814羽と多い。オオバンは2012年:0が2013:59、2014:103、2015:461と増加中。
(広島県「森の新聞」NO.197,P8〜9)

・カワウ生息状況モニタリング
 7月:陸上から調査できた24箇所でカワウ総数約1,400羽。12月:塒と思われる30箇所で総数約2,200羽、広島県が漁船を使い、海上から調査した分を加えるともっと多くなる。1月:ガン。カモ調査時カウントしたカワウは約2,600羽になる。
(広島県「森の新聞」NO.197,P10)

●2015/3-4 愛媛
・2015年ガンカモ調査
 1/10〜12、総計29,236羽、内訳はオオハクチョウ1、マガモ10,062、コガモ5,424、ヒドリガモ3,906、オナガガモ3,203、カルガモ2,726、オシドリ1,646、ホシハジロ989、ハシビロガモ435、キンクロハジロ351等。マガモは昨年より3,000羽以上増え、総数も1992年以来過去2番目である。メジロガモ1は県内初記録となる。
(愛媛「コマドリ」NO.225,P16)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.749

●2015/3 道北
・ノハラツグミ道北初?
●2015/3 滝川
・オロロンラインの風力発電
●2015/4 埼玉
・2020年オリンピック、カヌースラローム競技会場変更
・鳥獣保護員推薦
・支部報発行
●2015/3 富士山麓
・山中湖、河口湖カモ類減少続く
●2015/4 伊那谷
・伊那谷のサギの仲間
・2014年の初認
●2015/4 静岡
・早成性
●2015/3 和歌山県
・カラフトワシ県下初記録
・ガンカモ調査
●2015/4 北九州
・H27年ガン・カモ調査(研究部)
・今年も産卵、野田のコウノトリ
(3/6 産経ニュース)

●2015/3 道北
・ノハラツグミ道北初?
 2/19、中頓別町のベーチャン川で羽を休めるノハラツグミ1を確認した(写真有)。専門家は道北初記録とする。1週間ほど滞在した。
(道北「オロロン」Vol.38,NO.3,P6)

●2015/3 滝川
・オロロンラインの風力発電
 10月の北海道ブロック協議会総会報告より。稚内から留萌に至る日本海側のオロロンラインは風力発電事業者から狙い撃ちされている感がある。天塩から増毛にはソフトバンク関連会社が風車200〜300基を計画中である。本部と道ブロックの連名で環境省、通産省へ意見を提出、メーリングリストでの意見、情報共有が話し合われた。支部はここで17箇所、鳥類センサスを実施しており、サケの遡上環境改善、漁港で捨てられた魚、エゾシカの死体等でワシ類の渡来が多い。
(滝川「あまもず」NO.48,P11)

●2015/4 埼玉
・2020年オリンピック、カヌースラローム競技会場変更
 2/28のNHK等の報道によると、2/27のIOC理事会でカヌースラローム競技会場が当初計画の葛西臨海公園から隣接地に移す変更案が承認された。東京支部を中心に各支部の署名協力が実を結んだ。
(埼玉「しらこばと」NO.372,P12)

・鳥獣保護員推薦
 埼玉県の鳥獣保護事業実施業務の一端を担う鳥獣保護員として、今年度も昨年度に引き続き、支部幹事3名が推薦された。
(埼玉「しらこばと」NO.372,P12)

・支部報発行
 全国90支部の活動状況を見ると、支部報(会報)を毎月1回、年12回発行しているのは18支部のみで、全国支部の1/5にも満たない。年1回発行、不定期発行、休刊中もちらほらある。埼玉支部は会員の協力を得て年12回発行できている。
(埼玉「しらこばと」NO.372,P12)

●2015/3 富士山麓
・山中湖、河口湖カモ類減少続く
 1/16、カモ類調査した結果、総計は山中湖で404羽、河口湖で378羽で共にこの15年間で最少であった。山中湖ではこの15年間で約700から緩やかに減少しており、河口湖では数年おきに数が増減しているが、15年間で約900から緩やかに減少している。
(富士山麓「野鳥の声」NO.140,P9〜10)

●2015/4 伊那谷
・伊那谷のサギの仲間
 サギの集団営巣地は賑やかで、サギの名もこの騒がしい事をサヤギと言った事によるらしい。伊那谷ではコサギは1960年代以前は殆ど見られず、1972年頃より通年見られるようになった。その後増えたコサギは有害鳥駆除で減少した。チュウサギは天竜川で1987年頃より見られ出し、ダイサギは1990年頃より観察され、1995年から通年見られる。アオサギは天竜川で1992年より通年見られている。
(伊那谷「かわせみ」NO.43,P3〜5)

・2014年の初認
 2014年の伊那谷での初認はウグイス4/2、ツバメ4/6、オオルリ4/20、キビタキ4/20、カッコウ5/1、ツツドリ5/10であった。
(伊那谷「かわせみ」NO.43,P8)

●2015/4 静岡
・早成性
 孵化時点で目が開き、体が羽毛で覆われ、直ちに動き回る能力を備えて孵化する状態を早成性と言う。この状態で直ぐ巣を離れるものを離巣性と言い、巣に残り、親の給餌を受ける者は特に半早成性と言う。孵化時、眼が閉じ、殆ど羽毛が無く、親による抱雛、給餌を必要とするものは晩成性と言う。体が羽毛で覆われ、巣内で給餌を受けるものは半晩成性と言う事もある。晩成性は離巣性と留巣性がある。カモメ科は早成性で、サギ類、タカ目、フクロウ目等は半晩成性となる。
出展:「鳥類学辞典」昭和堂出版。
(静岡「野鳥だより」NO.424,P8)

●2015/3 和歌山県
・カラフトワシ県下初記録
 10/14、紀の川市でカラフトワシが撮影された。右翼に欠損があり、同個体と思われるものが9/29、愛知県で、11月下旬〜1月下旬、岡山県で観察されている。2月に再度岡山県で確認され、岡山県付近で越冬したようである。カラフトの名があるが、樺太には分布せず、主にユーラシア大陸中緯度で繁殖、インド、中国南部で越冬する。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.121,P9)

・ガンカモ調査
 1/11、県下23箇所で調査した。総計10,571羽で内訳はマガモ3,422、ヒドリガモ2,883、カルガモ1,200、コガモ997、オシドリ869、オカヨシガモ326、ホシハジロ306、キンクロハジロ170、ヨシガモ118、カワアイサ115等。これとは別にカワウ700。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.121,P12)

●2015/4 北九州
・H27年ガン・カモ調査(研究部)
 1/10〜16、北九州地区の15箇所を調査した。総計8,521羽で前年より4,800羽減った(曽根干潟が6,663→2,016と激減)。内訳はコブハクチョウ2、オオハクチョウ1、ホシハジロ1,432、マガモ1,380、オナガガモ1,242、スズガモ1,161、ヒドリガモ993、カルガモ817、コガモ373、ツクシガモ347、キンクロハジロ302等。
(北九州「北九州野鳥」No/346,P11〜12)

・今年も産卵、野田のコウノトリ
(3/6 産経ニュース)
 2/26、千葉県野田市は、野生復帰のため同市江川地区の「こうのとりの里」で飼育しているコウノトリのペアが3年連続して産卵したと発表した。市は文化庁に巣立ち雛の放鳥許可申請の準備を進めている。昨年、一昨年に誕生した幼鳥が各2羽おり、今年孵化が順調にいかない時に備え、兵庫県豊岡市の「コウノトリの郷公園」に移送し、野生化への訓練をしている。
(北九州「北九州野鳥」No/346,P22)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.750

●2015/4 札幌
・宗谷の発電風車
●2015/春の巻 弘前
・青森県内一斉ガン・カモ・ハクチョウ類調査
 (青森県支部 阿部誠一)
●2015/3 新潟県
・コムクドリの生活史を調べる(研究部)
・ハヤブサの繁殖状況
・初冬のミサゴの生態
・野生を生きるトキの行動生態と生息環境
●2015/4 石川
・ヨタカの生態と現状
●2015/4-5 京都
・2014年度ガンカモ調査
●2015/4 宮崎県
・宮崎県初のカラフトワシ
・クロツラヘラサギ渡来
・フラッグ付きハマシギ
・生態系乱す撒き餌

●2015/4 札幌
・宗谷の発電風車
 北海道には73の風力発電所に290基の発電風車がある。この15年間でオジロワシだけでも37羽が風車で衝突死している。全国ではワシ類300羽が衝突死している。道内では更に800〜1,000基の計画があり、各地で風の状況を調査しているが、野鳥の生息状況も同時に調べなさいよ。
(札幌「カッコウ」NO.372,P7〜8)

●2015/春の巻 弘前
・青森県内一斉ガン・カモ・ハクチョウ類調査(青森県支部)
 1/11、45名で調査した。総計21,719羽で、2004〜2011年は4〜5万羽であったのが最近は半減している。内訳はヒシクイ7、コクガン782、コブハクチョウ17、コハクチョウ43、オオハクチョウ3,494、スズガモ5,630、カルガモ3,545、マガモ2,177、オナガガモ1,114、クロガモ956、コガモ703、ホシハジロ663、ホオジロガモ548、キンクロハジロ518、シノリガモ388、ウミアイサ356、カワアイサ340、ヒドリガモ310等。
(弘前「初列風切」NO.184,P4)

●2015/3 新潟県
・コムクドリの生活史を調べる(研究部)
 1978年から新潟市で30〜100個の巣箱を架け、産卵時期、産卵数を調査した。結果を英国鳥学会誌IBIS(Koike&Higuchi 2002)、国際環境研究所会報「地球環境」(小池・樋口 2006)に発表した。コムクドリの産卵開始日は年々早まる傾向にあり、年平均0.57日、27年間で15.3日も早くなっている。1978年:5/25、2002年:5/4であった。この間、新潟市の早春の気温は27年間で1.5℃上昇し、越冬地では変化が無かった。那覇市でも気温が上がっており、渡り途中も含め、繁殖地の温暖化が原因と思われる。一腹卵数も増加し、年平均0.04個、27年で1.03個増加している。
(新潟県「野鳥会報」NO.79,P2〜3)

・ハヤブサの繁殖状況
 海岸部の営巣地4箇所、山間部1箇所、人工構造物1箇所で1986〜2013年の28年間で60羽のハヤブサの巣立ちがあった。海岸部Aでは28年間連連続して営巣したが、その内16回繁殖失敗している。山間部では1990年以来連続して営巣したが、内13回繁殖失敗であった。人工物では1993、1995年の2回営巣し成功した。
(新潟県「野鳥会報」NO.79,P4〜5)

・初冬のミサゴの生態
 10/27〜11/29、信濃川の支流魚野川でミサゴの捕食活動を観察した。観察した捕食活動50回で35回成功、成功率7割であった。捕食活動時間は6:30〜9:30と10:30〜14:30に集中し、天候、視界に関わらず捕食活動があった。魚(15〜25cm)を平均10分程で食べ終え(大きな魚は20分)、その後直ぐ4〜8回連続して捕食する。1日12〜16匹の魚を食べる。一度に2匹の魚を捕えるのを3度見ている。
(新潟県「野鳥会報」NO.79,P6〜7)

・野生を生きるトキの行動生態と生息環境
 11/23の新潟市での愛鳥講演会より。1981/1、佐渡に残っていた野生のトキ5羽を一斉捕獲し、環境省は1998年、トキは野生絶滅とした。2003年、日本産の♀キンが36歳で死んだ。2008/9、野生復帰に向けて10羽を放鳥、2012年、野生でトキが自然繁殖した。トキは田んぼ環境で生態的地位を確立した鳥で、1日に必要は食物は300g、ドジョウに換算すると凡そ200匹となる。
(新潟県「野鳥会報」NO.79,P10)

●2015/4 石川
・ヨタカの生態と現状
 ヨタカは夏鳥で低木林、伐開地、幼齢林等の山林内の開けた環境に縄張りを作る。♂は樹上、地上、電線にも静止して囀る。飛びながらも囀る。日没後1時間、日出前1時間が囀りは活発である。林内を飛びまわる時、「ホワッ、ホワッ」や「ゴォゴォゴォ」と声を出す。ヨタカは夜の光をバックに虫を捕食するようである。
(石川「石川の野鳥」NO.181,P3)

●2015/4-5 京都
・2014年度ガンカモ調査
 1/10〜12を中心に京都府内188箇所で調査した。総計18,667羽で前年と大差無かった。内訳はコクガン2、コブハクチョウ1(篭脱け?)、マガモ5,149、コガモ4,270、カルガモ3,302、ヒドリガモ1,347、ホシハジロ1,164、キンクロハジロ876、オシドリ653、スズガモ575、オカヨシガモ318、ヨシガモ317、オナガガモ305、ハシビロガモ180等。水域別に見ると、淀川水系5,105、日本海側河川2,864、海域4,421、湖沼、溜池6,277。
(京都「そんぐぽすと」NO.193,P9〜13)

●2015/4 宮崎県
・宮崎県初のカラフトワシ
 11/24、宮崎市の一ツ瀬川河口にカラフトワシ幼が飛来した。2/20現在越冬中。オオバンやカモ類を捕っていた。県内初記録で大勢のカメラマンが殺到し、トラブルも発生した。12/2、支部は「マナーを守って撮影、観察を」と呼び掛けるA3サイズのラミネート加工した簡易看板を3箇所に設置した。今年は岡山県瀬戸内市の塩田跡でも越冬している。鹿児島県川内市には続けて飛来した事がある。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.245,P3〜4)

・クロツラヘラサギ渡来
 世界でクロツラヘラサギ約2,700羽おり、今冬、宮崎市、串間市にも渡来した。一ツ瀬川(宮崎市)では最大18羽、天神川(串間市)では10羽であった。天神川にはK90の標識のある2010/6、韓国仁川空港近くで標識された個体が4年ぶりに見られた。一ツ川河口では釣り糸が足に絡む個体がいたが、その後確認できず。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.245,P7〜8)

・フラッグ付きハマシギ
 12/14、一ツ瀬川河口で20羽のハマシギの中に黄色と黒のフラッグを付けた個体がいた。山階鳥類研究所によると、この夏カムチャッカで標識放鳥されたものである。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.245,P8)

・生態系乱す撒き餌
 11月から、御池野鳥の森に2年連続してイワミセキレイが飛来し、多くの撮影者が訪れ、撒き餌(ミルワーム)して撮影している者もいた。支部は撒き餌禁止を求める看板設置を環境省現場事務所と地元町に申し入れした。その結果、「撒き餌しての撮影禁止」が掲示され、マスコミ各社にも投げ込みをし、新聞でマナーを守るよう複数社で取り上げられた。これに対し、「撒き餌禁止なら珍鳥は来ない」「看板の内容は野鳥の会の見解か」「越冬するツルには餌を与えているではないか」等の撮影のためには何でもやるやる人の理屈があった。ここではヤイロチョウも同じように追っかけ回す人がいる。バーダー2014/11号に、伊吹山のイヌワシ営巣地での卑劣なカメラマンの行動が掲載されている。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.245,P19〜20)

★記事を配信始めて15年、年間50回としてあと5年間で1000号が目標です。お陰さまで現在750号、その3/4まで来ました。

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に向けて 増補改訂新版の取り組み■

支部ネット通信第120号から連載中の『フィールドガイド日本の野鳥』についてです。

 当会発行の『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』は、2013年発行の改訂版から国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)推薦の「生物多様性の本箱」に選定されています。『フィールドガイド日本の野鳥』も2007年発行の増補改訂版から、「種とは何か?」を説明する際に生物多様性について解説するなどしていますが、この度の増補改訂新版では「はじめに」の段階で生物多様性に触れておきたいと考えました。「はじめに」は会長名になっているので、最終的には柳生博会長に相談して承認を得ましたが、元の文言は当会自然保護室長の葉山政治のアドバイスを得ました。
 増補改訂版の「はじめに」には当会の創設者、中西悟堂の精神や野外識別の意義に続いて、持続可能な未来のために自然に配慮した社会や暮らしを考えたいというくだりがあったので、そこに続けて「生物多様性が劣化するなどして、持続不可能とならないようにしなくてはなりません」という文章を追加しました。
 高野図鑑とも呼ばれる『フィールドガイド日本の野鳥』ですが、高野没後の1989年発行の増補版は、当時、当会の野鳥記録委員会などが中心になって全国の会員の情報や知見を吟味、集約して完成させたものです。その集大成を元に、さらに多くのご協力を得て増補改訂版に至り、新たにさまざまなご協力をいただきこの度の増補改訂新版(以後、新版と記す)となりました。今回は、野鳥誌やこの連載で書いたことがない当会スタッフの協力を紹介させて下さい。

<オオジシギの尾羽は何枚?>

 全国の支部報を拝見していると、近年、よく似たオオジシギ・チュウジシギ、ハリオシギの識別根拠として、外側尾羽の形状や模様を確認する例が増えてきました。新版でも外側尾羽の違いを書き足すことにしましたが、元々は高野によるオオジシギの解説では、尾羽の枚数は16枚または18枚と書かれていました。増補改訂版以後、「14〜19枚で、16枚と18枚が多い」とより詳細になっているのは、当会自然保護室の浦達也の研究によります。今日、風力発電のバードストライク問題で支部に出向くことも多い浦ですが、北海道大学大学院地球環境科学研究科の修士課程では、オオジシギの繁殖に関わる行動を調べていたそうです。
 浦曰く・・・文献などを調べていると、ヨーロッパジシギは尾羽の裏側を雌にみせて踊るグランドディスプレイを行い、その尾羽の裏側の白色部分の面積が大きいほど、交尾できる確率が高いというデータがあった。オオジシギもあれほど派手なディスプレイフライトをするのだから、何か雄にしかない形態的特徴があって、その特徴が大きいほど、雌にモテるのではないかと考えた。そこで、許可を得て捕獲し形態計測をし、血液からDNAを採取しての雌雄判定を行い、その結果から性的二型を割り出そうとしたところ、尾羽の枚数には個体差も雌雄差も確認できた・・・
 参考文献や協力者で浦のことを記したいのですが、『フィールドガイド日本の野鳥』はあまりに多くのご協力をいただいており、ご協力のすべてを紹介しきれないことを「まえがき」の中で謝辞とともにお詫びした増補改訂版以後、身内の協力については触れていません。新版では、分布図の見直し作業で新たに記録をまとめてくれた佐藤仁志理事長(隠岐諸島)・山本裕自然保護室チーフ(伊豆諸島)だけは名前を出しましたが、その他の協力の例を書いておきます。

<エゾマツかアカエゾマツか?>

 ミユビゲラというキツツキは分布図を見ていただけるとわかりますが、旧大陸から新大陸まで非常に広い分布域があるのに、日本では北海道の一部に僅かしかいません。高野は「大雪山系のエゾマツなどの林でわずかに記録がある」と書いていましたが、新版では、エゾマツをアカエゾマツに書き直しました。これは自然保護室の荒哲平の知見によります。モニタリングサイト1000の担当者として支部の皆様ともやり取りさせていただいている荒ですが、岩手大学の学生時代に北方森林鳥類調査室が主導したミユビゲラの調査に協力していたそうです。
 荒曰く・・・ミユビゲラの声を聞いたことがなかったので、ひたすら可能性のある森を踏査し、定点を張り待ち続けた。海外の文献では、伐採跡地や山火事跡地に多く出現するとあったことを参考に、そういった環境がある森で調査を繰り返したが、1シーズン必死に調査しても、遭遇できるのはほんの1〜2日程度。海外の文献には樹皮を特徴的な輪状に剥いで樹液をなめたり、甲虫の幼虫をとると書かれているのに、国内ではそういった採食形態は見られず、採食痕から探すことも困難を極めたが、2008〜2013年にかけて調査を続けた結果、どうやらアカエゾマツの枯死木に依存するように行動圏が移動していることがわかってきた・・・
 「図鑑は見るものではなく、読むものだ」と言っていた高野の解説は親切で、的確で、一言一句にまで気を使って書かれています。それを修正するには最新の知見を吟味のうえ、最低限の修正を検討するわけですが、アカの2文字を加えるだけでも、5年に及ぶ調査に基づいており、エゾマツとアカエゾマツが別種として生育環境も異なるなどの確認もしています。
 他にも自然保護室では、前述の山本裕に増補改訂の際にカンムリウミスズメの冬羽や分布の解説でアドバイスを求めました。新版に関わるこの連載で触れただけでもバードライフ・インターナショナルのレッドリスト(3月号)、イイジマムシクイの声の表記(2014年12月号)なども山本に相談して、その助言を元に書いています。新版で書き足したルリオハチクイの観察記録も、山本がストリクスで発表予定の論文を元にしました。

<デュエットは必ず雄から始まるか?>

 タンチョウやシマフクロウで全長の雌雄差を検討するために、北海道のレンジャーにデータを集めてもらったことはすでに紹介しました(2014年10月号)が、他にもタンチョウの声の表記などでは原田修チーフレンジャー(鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ)に相談しました。
 高野は「雄と雌が並んで雄がコー、雌がカッカッと鳴きあう」と書いていますが、タンチョウ研究の第一人者、正富宏之さんの著作には、コーカッカというフレーズを分析してみると雌が先に鳴く場合とか、2羽の声がうまく噛み合わない場合などさまざまあるように書かれています。私は解説をよりよくしたいという一心で、あらゆる文献や情報をチェックしているので、ついそのようなさまざまも書くべきと思ってしまうのですが、レンジャーから「さまざまを書きすぎると読者を混乱させることもあるのではないか?」と言われ、文字数やほかとのバランスも踏まえて、高野原稿のままとしました。
 中村聡チーフレンジャー(ウトナイ湖サンクチュアリ)にも多々相談しましたが、例えばミコアイサの繁殖状況を調べてもらいました。高野は「少数は北海道の湖沼で繁殖する」と書いており、私自身も現地を見に行ったこともありますが、増補改訂作業に入った2006年は繁殖が確認できず、「近年は不明」とせざるを得ませんでした。今回は中村レンジャーによって近年も北部で繁殖情報があることがわかったため、新版では高野原稿をやや詳しく「少数は北海道北部で・・・」と書き直すことができました。
 また、保全プロジェクト推進室長の田尻浩伸は加賀市鴨池観察館のレンジャー時代にトモエガモを研究し、ストリクスのみならず日本鳥学会でも発表しているので、トモエガモの解説や分布図を見直すにあたり、数々の助言をしてもらいました・・・などなど、当会内部でもさまざまに協力を得ていますが、紙面の都合でここまでとし、前回の最後に間違いがあったので訂正させていただきます。
 新版の英名はすべて目録7版に沿わせた例として、ハシブトガラスの英名をLarg-billed Crowと書きましたが、Large-billed Crowでした。お詫びとともに訂正させていただき、ご指摘いただいた読者に感謝申し上げる次第です。
(普及室/主席研究員 安西英明)

総務室より

■支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ■

 代表者変更のあった支部についてお知らせいたします。

【代表者等の交代】
●日本野鳥の会会津支部
新支部長:満田 信也
旧支部長:林 克之

●日本野鳥の会石川
新代表:青山 輝久
旧代表:矢田 新平

●日本野鳥の会 函館支部
新代表:前田 育夫
旧代表:小林 明

(総務室/鈴木美智子)

会員室より

■支部における個人情報保護の実例のご紹介■

 いわき支部は創立50周年を迎えるにあたり、記念誌を発行すること、その記念誌に行事や懇親会の集合写真などの掲載や、会員名簿の掲載、歴代の役員名簿の掲載などを企画されました。
 しかし、昨今、個人情報保護の観点より、写真や名簿の扱いには注意を要することから財団にもご相談があり、結果として次のような手順で、丁寧に作業を進められました。

1・会員名簿の掲載について・・・個人情報保護を考慮し、掲載は断念。

2・写真の掲載について・・・すべての掲載予定写真について、写っている個人・団体に対し、
下記の対応を行った。
○会員以外の方・・下記書類を、訪問・郵送でお届けし、承諾書をいただいた。
1)掲載の承諾をお願いする依頼文(下記の内容を盛り込んだもの)
・利用の制限:記念誌のみにしか使用しないこと。
・写真に個人の名前は入れず、特定できないようにすること。
・顔が小さい後ろ向きなど、本人特定が困難と思われるものの使用の判断はお任せいただきたいこと。
2)承諾書
掲載したい写真をコピーで添付し、それに「承諾」「不承諾」「顔にぼかしをいれれば承諾」の3択欄を設けたもの。印と連絡先をもらう書式とした。

○会員の方、元会員の方・・電話での口頭承諾でも可とし、いつ誰が連絡をし、その結果がどうであったかを記録するフォームを作成し、記録を残すようにした。

3・役員名簿について・・・氏名のみの一覧とし、承諾をひとりひとりからもらうことはせず、掲載にあたって次の文面を付記することとした。「支部発展にご尽力頂いた歴代役員の方々に感謝の意を込め、お名前を掲載させていただきました」

<財団事務局より>
 個人情報保護法の規制対象は、5千名以上の名簿を保有する事業者です。そのためほとんどの支部はこの法規制の直接の対象とはなりません。しかし、もし個人情報の漏洩など事故を起こしてしまえば、報道された場合には社会的な信用を失うことになってしまい、これは当会のような団体には死活問題となります。社会的には支部であろうが財団事務局であろうがまとめて「日本野鳥の会」とみなされますので、一支部だけの問題ではないと考え、日頃から各支部には財団と同様の配慮をお願いしています。

@個人の会員の名簿・・・・たとえ過去に支部報に掲載することを同意されたものを記念誌に転載するだけであっても、当初の同意の際に記念誌に転載することも含めて同意を得ているのでない限り、記念誌への掲載については改めて個々に承諾をとることが望ましいと思われます。
A写真の掲載について・・氏名が特定できなくても、顔が判別できる写真は、個人情報です。事前に利用目的を示して、了解をとっていないのであれば、掲載にあたってご本人の同意が必要です。連絡が取れず同意が確認できない場合には、ぼかしを入れるなどの配慮が必要になります(今後は、写真撮影時に利用について、ご本人の了解をいただいておくことが好ましい)。
B歴代役員の氏名一覧表の掲載について・・・財団の場合は役員の氏名は登記され、公開が義務づけられていますが、支部の場合はそのような法的規制はありません。しかし、財団に準じ支部も透明で公正な運営をしている証として、支部報やHPに役員情報は公開されている支部が大半です。財団としても、財団や支部の発展に尽力いただいた方々については、折にふれご紹介し、謝意を表すなどに努めたいと考えております。

 会員の方同士が良き交流をはかれるように、と記念誌、支部報やHPなどで掲載を計画されても、「個人情報保護」という観点から、掲載を見送らなければならなかったり、特別の配慮が必要になってしまうことに、私もなかなか慣れないでおります。ですが、会員の個人情報が、悪意をもった第三者の手によって悪用されることにつながる可能性は排除しなければなりませんし、個人情報の掲載についての考え方も個人によって異なりますので、それぞれのご意向も尊重しなければなりません。
 個人情報関連で、お困りのこと、悩まれていることなどありましたら、どんな小さなことでもご相談ください。財団では専門のカウンセリング業者とアドバイスをいただく契約も結んでいますので、即答できないことは確認してお返事いたします。
 今回、支部ネット通信への情報公開について、快くご了解いただいた、いわき支部事務局の吉田正明様、50年史編纂担当の峠順治様に御礼申し上げます。

(会員室/猪沢則子)

■会員数■

 5月1日会員数36,247人(対前月-17)会員数は先月に比べ17人減少しました。
 4月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より25人多くなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。4月の入会者数は198人で、前年同月の入会者に161人比べ37人増加しました。また、4月の退会者は173人で、前年同月の退会者214人に比べ41人減少しました。

表1. 4月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(5月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(5月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 風にそよぐ木々の緑がまぶしい季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号では、個人情報の取り扱いに関して、いわき支部様の事例と共に掲載しております。活動の一助としてご活用いただければ幸いです。
 不安定な天候が続いておりますが、お体をくれぐれもご自愛ください。

支部ネット通信 第134号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2015年5月26日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/柴田英美
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]