No.138 2015年9月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
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 9月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み
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 評議員会傍聴申込要領について
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支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.762

●2015/7 道南桧山
・ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ
●2015/7千葉県
・今年、ホトトギスを聞きましたか(幹事会)
・ムナグロの渡り
・ウグイス競争ないと囀り手抜き(5/11 朝日新聞)
●2015/7 神奈川
・植物の名前がついた鳥
●2015/7 奈良
・奈良「ヤン探」
・2015春のタカ渡り
・奈良公園・平城宮跡のカワセミ
●2015/7 高知
・カワウ生息実態調査
●2015/7 筑豊
・オモテの一句、ウラの一句
・福岡鳥の会から日本野鳥の会九州支部へ
・ホトトギス余話

●2015/7 道南桧山

・ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ
 6月に根室〜国後島(フルカマップ)間を航海した。6/10頃よりこの海域にハシボソ、ハイイロミズナギドリの飛来が始まる。両種が遠く離れた南半球から何故大挙して訪れるのか、不思議である。ハシボソは豪州南東部とタスマニア島で繁殖し、太平洋中央部以西を北上し、北極海にも達する個体がいる。推定生息数3,500万羽。ハイイロはニュージーランド周辺で繁殖したものは日本近海に飛来し、南米南端の繁殖群は北米西岸、大西洋を北上する。両種とも9月下旬〜4月中旬、掘った巣穴で1羽の雛を育てる。親は雛が巣立つ10日ほど前に北半球へ旅発つ。色々な説があり、南半球では餌が少ない?南極大陸のため南半球は夏が短い?大陸漂移に関連している?
(道南桧山「はちゃむ」NO.111,P11〜14)

●2015/7千葉県
・今年、ホトトギスを聞きましたか(幹事会)
 万葉集に「明け方にホトトギスが自分の名前を名乗って鳴く」旨の歌がある。「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」は江戸中期の俳人、山口素堂の作である。35年前、千葉県内にも繁殖していていたが、近年少ない。県内では安房地方以外では激しく減っている。
(千葉県「ほおじろ」NO.411,P2)

・ムナグロの渡り
 我孫子市北西部の水田で6年ほど調査した。ムナグロは水田の湛水が始まる少し前に飛来し、徐々に増え、田植えが終わる5月下旬、全て渡去する。2014年の初認は4/12、終認は5/18であった。2014年までは減少傾向は無く、2015年は3割も減った。秋はこの水田でムナグロは見られず、1月に河川敷や草地で少数が見られる。モニタリング1000では2013年のムナグロの越冬は14箇所で1,054羽となっている。ジオロケーターでの調査では営巣地のアラスカから太平洋を南下し、豪州付近に達し越冬後、太平洋西部を北上し日本を経由して繁殖地へ1.6〜2.4万kmを時計回りに一周している。
(千葉県「ほおじろ」NO.411,P3〜6)

・ウグイス競争ないと囀り手抜き(5/11 朝日新聞)
 国立科学博物館の浜尾章二氏の米科学誌への発表によると、ハワイのウグイスの囀りは日本のものより低く短い声で、音程変化に乏しく単純化している。80年前、日本よりハワイに持ち込まれた子孫で、通年同じ場所に留まり、縄張り争いが少ないためとされる。
(千葉県「ほおじろ」NO.411,P12)

●2015/7 神奈川
・植物の名前がついた鳥
 花の名前とずばり同じはホトトギス、これは鳥の声に由来している。世界ではニュージーランドのキーウィ、1959年、米国に果実を輸出する時、鳥のキーウィの名前がつき鳥が先である。キクイタダキ(英名Goldcrest)は文字通り鳥の頭頂の黄色から、観葉植物のGoldcrestは葉先が金色からきている。ハギマシコは下面の赤紫斑紋が萩の花に似ているからで、生息場所のヨシ、アシ、カヤが付いた鳥もいるが、ヨシガモは葦ではない。その他植物との結びつきを示すものはヤドリギツグミ、クサシギ、イナダヨシキリ、コノハズク、キヅタアメリカムシクイ、ヤブヨシキリ、モリムシクイ、カエデチョウ、ソウゲンワシ等。
(神奈川「はばたき」NO.518,P4)

●2015/7 奈良
・奈良「ヤン探」
 昨年11月、編集部で「ヤングバンダー座談会」での提案が支部企画会議で協議され、今回5/31、「支部ヤングバーダー探鳥会」がスタートした。お楽しみプレゼント、じゃんけん大会、終了後の昼食会が企画され、好評であった。このようなヤング探鳥会は野鳥の会では全国で5番目のチャレンジである。
(奈良「いかる」No.150,P1〜2)

・2015春のタカ渡り
 3/27〜4/16の間10日間、五條市金剛山(標高270m)でサシバ総計1,292、ハチクマ0、ノスリ24。ピークは4/9のサシバ742。
(奈良「いかる」No.150,P18)

・奈良公園・平城宮跡のカワセミ
 80年代後半から90年代前半、奈良公園でのカワセミ記録は急上昇した。その間の大和川の水質改善とほぼ一致する。90年代前半にはBOD10mg/L以下になり、環境基準の5mg/L以下に近づいた。BODが5mg/L以下でフナが、3mg/L以下でアユ、2mg/L以下でイワナが棲めると言う。平城宮跡では80年代でもカワセミ記録率50%と高く、都市部から離れていた。
(奈良「いかる」No.150,P19)
●2015/7 高知
・カワウ生息実態調査
 県内ではおよそ5年毎にカワウ生息実態調査を行っている。調査はアユとカワウの生活サイクル及び広域協議会の一斉モニタリングに合わせている。4月中旬〜6月:アユ遡上期、カワウ繁殖期後半、7月:アユ最盛期、カワウ巣立ち期、全国一斉調査時期、11〜12月:アユ下降期、カワウ分布拡大、移動期、全国一斉調査期、12月:カワウ越冬群飛来期、1〜3月:繁殖期前半、全国一斉調査期。
(高知「しろぺん」NO.342,P3〜4)

●2015/7 筑豊
・オモテの一句、ウラの一句
 今年の「俳句」3月号(角川学芸出版)に第一線で活躍する俳人50人がオモテの句(名刺代わりの句)、ウラの句(愛着がある句)を一挙に公開している。計百句の中に野鳥を詠んだものは僅か1句「鳥渡る」のみであった。全国で活躍する俳人でどれほど野鳥を見ているのか心配になった。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.449,P8)

・福岡鳥の会から日本野鳥の会九州支部へ
 日本野鳥の会発足(1934年 S9年)より13年も前の1921年、福岡鳥の会が設立され、全国初の鳥類に関する団体であった。会を支えたのは川口孫治郎:鳥類研究家、民俗学者、阿部幸六:狩猟担当県職員、下村兼史:国内初の野鳥写真家。代表は置かず、広く鳥に関する研究を行う会であった。1934年、阿部幸六はブッポウソウが「グリグリギャギャ」と鳴き、文字通りに鳴かないと発表している。ブッポウソウの正体が分かったNHKの愛知県三河鳳来寺山からの声の中継1年前である。同会は1961年、日本野鳥の会九州支部になり、更に1967年、発展的に解消し、九州各支部に分かれていった。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.449,P20〜25)

・ホトトギス余話(編集部)
 ホトトギスは漢字表記で杜鵑、時鳥、不如帰、杜宇、蜀魂、子規、田鵑があり、早苗鳥、卯月鳥、魂迎鳥、あやめ鳥、橘鳥、時つ鳥、いもせ鳥等異名も多い。ホトトギスが詠まれているのは万葉集で153例、古今和歌集では42例、新古今和歌
集では46例ある。その年、初めて夜に鳴くのを忍音(しのびね)と珍重された。郭公の字が当てられていた事もあるが、カッコウと似ていたためである。正岡子規は結核で死を覚悟し、「鳴いて血を吐く」と言われたホトトギス「子規」を自分の俳号とした。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.449,P59)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.763

●2015/7-8 宮城県
・2015年春シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
・2014年度コクガン生息調査(調査・保護グループ)
●2015/7 茨城県
・涸沼砂並草原の課題(環境計画部)
・カワウ調査再開(事務局)
●2015/8 東京
・鳥声録音-野鳥と共に歩んだ蒲谷鶴彦
・自然教育園野鳥調査会3年目
・イカル
・ヤマガラ 40年間で5倍増えた明治神宮のアイドル
●2015/8 愛知県
・オオフウチョウ剥製顛末記(調査研究部)
・サギ営巣地ドローンで撮影
●2015/7-8 鳥取県
・「環境調査」という仕事(建設コンサルタント会社)
・ブッポウソウ薄暮時のタッチアンドゴー

●2015/7-8 宮城県
・2015年春シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
 4/26を中心に県内の湖沼、干潟8箇所で最大羽数を記録した。コチドリ20(4/29、石巻工業港海岸)、シロチドリ17(4/26、鳥の海)、メダイチドリ36(4/29、石巻)、ムナグロ70(5/15、伊豆沼・内沼)、トウネン9(5/15、広浦・井戸浦)、ハマシギ201(4/26、鳥の海)、ミユビシギ46(4/26、鳥の海)、ツルシギ26(4/26、蕪栗沼)、キアシシギ28(5/13、伊豆沼・内沼)、オオソリハシシギ27(4/26、鳥の海)、チュウシャクシギ121(4/26、鳥の海)、タシギ38(44/29、蕪栗沼)、ケリ16(5/10、伊豆沼・内沼)等。
(宮城県「雁」NO.272,P17〜18)

・2014年度コクガン生息調査(調査・保護グループ)
 宮城県はコクガンの集団越冬地太平洋側南限である。気仙沼湾から北上川河口までの南三陸沿岸と仙台市蒲生海岸には海藻類を食用とし、200〜300羽が飛来していた。東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、養殖場の復活に伴いコクガンは多様な場所を使っている。2015/2の調査では南三陸沿岸22地点で484羽、牡鹿半島で30羽、蒲生海岸で23羽、合計537羽のコクガンが確認され、大震災以前も含め最高数であった。しかし、2015/4から防潮堤や河口堤防の建設が本格化する。
(宮城県「雁」NO.272,P18〜19)

●2015/7 茨城県
・涸沼砂並草原の課題(環境計画部)
 涸沼の地名は有名であるが、行政区分が入り組んでおり、ヨシ原が広がる場所を示す一般地名が無い。地名に地形を表すものが多くあり、涸沼川が逆流してできた逆三角州に由来する砂並を取り、ヨシ原がある場所を涸沼砂並草原と呼んでは如何であるか。砂並草原では環境省の制止を無視し、5月ソーラー発電業者が測量のため草刈りをし、県の特別保護区であった土地を国設鳥獣保護区になる前に地権者は業者に高く売りつけた疑惑がある。
(茨城県「ひばり」NO.326,P6〜7)

・カワウ調査再開(事務局)
 2010年以降途絶えていた県のカワウ調査が担当課を替えて再開された。冬季の調査で18箇所でカワウの塒入りを確認し、総計5,095羽、営巣535巣であった。県全体で2010年とほぼ同じで、関東地方全体で2万羽で一定している。ガンカモ調査時は7,469羽で昼間の数は夕方より増え、周囲から入り込んでいる。春季の調査では雛を含め総計5,250羽、営巣658巣で冬季の個体がそのまま残っていると思われる。
(茨城県「ひばり」NO.326,P26)

●2015/8 東京
・鳥声録音-野鳥と共に歩んだ蒲谷鶴彦
 S11年の「野鳥」誌に「野鳥の聲を冩す話」が掲載され、「米国で大型自動車を改造し、映画の撮影・録音機材を積み込み野鳥の声を録音した」との記事は蒲谷鶴彦の心に深く刻まれた。戦後、米国でテープレコーダーが開発されたが、日本では手に入らぬため、鶴彦は録音機の自作に着手し、野鳥の会の有志から募金を頂き、約30kgの録音機を完成させた。兄弟ですぐ録音に向かったのは奥多摩の御岳山。その後軽井沢で録音を続け、その成果を認められ、S28年、文化放送の「朝の小鳥」でラジオ放送、現在松田道生氏が引き継ぐ長寿番組である。
(東京「ユリカモメ」NO.718,P3)

・自然教育園野鳥調査会3年目
 港区の自然教育園での野鳥調査、過去の記録も検証して注目される4種を報告する。カワセミ:1988年に初めて営巣し、2009年まで断続的に繁殖し、巣立った雛は55羽に達する。コゲラ:1986/6に初記録、1990年代には繁殖が確認されている。エナガ:この3年で繁殖が初めて確認され、今年は11羽の巣立ちがあった。アオゲラ:アカゲラは越冬個体が断続的に記録されているが、アオゲラはこの40年間記録が無く、昨年8月初めて2羽以上の生息が確認できた。
(東京「ユリカモメ」NO.718,P8)

・イカル
 奈良県に斑鳩(いかるが)町があるが、いかるがはイカルの古名で、この文字は中国ではジュズカケバトを意味する。この地域が斑鳩となった説にイカルが群れていたと伊香留我伊香志男命(イカルガシカオノミコト)なる地主神に由来するとの2説ある。日本書記には斑鳩に「いかるが」と万葉仮名で読み方を注記している。斑鳩の文字が何故「いかるが」に結びつくのか不明である。
(東京「ユリカモメ」NO.718,P13)

・ヤマガラ 40年間で5倍増えた明治神宮のアイドル
 明治神宮を代表する鳥はヤマガラで、この杜が造成される前からこの地で少数の生息は知られていた。日本付近にしかいないヤマガラは外国の鳥見人には人気がある。この地での調査でヤマガラのテリトリー数4(1971年)、5(1972年)、2012年には22テリトリーとなり、この40年間でヤマガラは5倍に増えた。
(東京「ユリカモメ」NO.718,P16)

●2015/8 愛知県
・オオフウチョウ剥製顛末記(調査研究部)
 オオフウチョウ剥製の寄贈があった。上野国立博物館では生物のコレクションの寄贈を受け付けており、今回は同博物館筑波研究所へ研究用として寄贈した。今回の標本は1958年以前のフィリピン産とあり、それより南方の生息地からの輸入品と思われる。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.342,P9)

・サギ営巣地ドローンで撮影
 6/1、稲沢サギ山を上空50mからドローンで撮影した。支部3名、名城大学、コンサル、稲沢市役所、稲沢警察が同席した。ドローン使用についての疑問は出なかった。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.342,P11)

●2015/7-8 鳥取県
・「環境調査」という仕事(建設コンサルタント会社)
 作業量が多い仕事は川や湖の水質調査で、一般鳥類調査は「河川水辺の国勢調査」での調査方法を参考にし、ラインセンサス法またはスポットセンサス法で行う。猛禽類は環境省の「猛禽類保護の進め方」を参考にしている。猛禽類調査では写真撮影で個体識別をし、番を特定し、行動圏調査で営巣域を詰めていく。集めたデータは「業務上の守秘義務」のため表に出ず、保護活動の一元化が難しい。支部から発注者におもねることなく、自分が正しいと思う事を誠実に行って欲しいとあった。
(鳥取県「銀杏羽」NO.140,P11〜13)

・ブッポウソウ薄暮時のタッチアンドゴー
 ブッポウソウは19時頃より真っ暗になる40分間程で巣箱へ30〜70回タッチアンドゴーを繰り返す。これが全て雛への給餌とは思えず、不可解な行動である。松田賢ほか(2007)の調査ではブッポウソウの雛への給餌は9〜13時と17〜20時に多く、日没後の数十分の給餌はその日の3割を占める。巣立ちが近づくと、給餌回数は減るが、夕方のタッチアンドゴーが減少しないのは不可解である。見せかけの給餌活動の可能性がある(次回へ続く)。(鳥取県「銀杏羽」NO.140,P14〜15)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.764

●2015/8 根室
・春国岱原生野鳥公園(チーフレンジャー善浪めぐみ・支部役員)
・山本純郎氏シマフクロウレディ賞受賞
●2015/7 富山
・トビ(猛禽類)
●2015/8 兵庫
・コジュケイ
●2015/7-8 広島県
・カラアカハラ
・春のシギ・チドリ渡り調査
・カワウ繁殖調査
●2015/7-8 愛媛
・コアジサシの保全(保全・調査研究担当)
●2015/3 山口県
・ガン・カモ・ハクチョウ類の一斉調査(調査研究部)
・春期シギ・チドリ類の一斉調査(調査研究部)
・秋期シギ・チドリ類の一斉調査(調査研究部)
・モズのはやにえリスト(調査研究部)
・ソウシチョウの生息分布の拡大(調査研究部)

●2015/8 根室
・春国岱原生野鳥公園(チーフレンジャー善浪めぐみ・支部役員)
 春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターは今年で開設20周年になる。また、風連湖・春国岱はラムサール条約登録10周年になる。この地は1978年、釧路湿原、伊豆沼と共に我国登録1号候補地であったが、2005年に実現できた。
(根室「フレチカップ」NO.100,P2 暫し休刊していたが復刊)

・山本純郎氏シマフクロウレディ賞受賞
 シマフクロウの保護増殖をしている山本純郎氏がInternarional festival ofowls(米国ミノセタ州 フクロウの祭典)で、フクロウの保護繁殖等で大きな成果があったとしてシマフクロウ ドンと共に、7/23、春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターで表彰を受けた。ドンは人工孵化で生れたが、野生で放棄された卵を温め、2羽の雛を育て上げ、内1羽は北海道で自然繁殖に成功している。
http://www.news-kushiro.jp/news/20150724/201507243.html
(根室「フレチカップ」NO.100,P4)

●2015/7 富山
・トビ(猛禽類)
 神武天皇が東征の際、左手の弓の先に黄金色のトビ(金鵄)が止まり、光り輝き敵軍の眼を眩ませたと神話にある。現在はいまいちの猛禽類であるが、嘗ては金鵄(きんし)勲章なるトビを象った勲章が軍人に授与されていた。猛禽類は眉斑の部分が盛り上がり、彫が深い印象がある。これは眼窩と嘴の間にある涙骨が出っ張っている事による。定説は無いが藪、木枝や獲物の反撃から眼球を守るためとか、安定した下方視界を得るため突起が光を遮断するとか言われる。涙骨突起が発達している他の種にダチョウ、ヒクイドリ、アホウドリ、アマツバメ、タンチョウ等がおり、下を見下ろして餌を探す行動が共通している。
(富山「愛鳥ニュース」NO.99,P2)

●2015/8 兵庫
・コジュケイ
 中国南部原産のコジュケイは1919年、東京、神奈川で放鳥されたが、台湾原産(タイワンコジュケイ)はテッケイと呼ばれ、1933年、埼玉、兵庫で放鳥された。テッケイは顔から前頸にかけて青灰色で喉のみが赤褐色である。現在、テッケイは六甲山系のみに残っている。コジュケイは6〜8月、拍子木を叩くようなシャンシャン・・・と長く鳴くが、これは喉頭の振動によるもので、カエルの口腔式呼吸に似ている。
(兵庫「コウノトリ」Vol.207、P7)

●2015/7-8 広島県
・カラアカハラ
 5/2、福山市南部の低山で大型ツグミ類の囀りを聞く。5/15、カラアカハラ雄若鳥を撮影した。この種は日本海側に多く、中国地方の各県に記録があるが、広島県では初記録と思われる。終認は5/17。
(広島県「森の新聞」NO.199,P3)

・春のシギ・チドリ渡り調査
 4/29を中心に、広島県内10箇所で調査した。21種、902羽を記録、内訳はハマシギ415、チュウシャクシギ233、ケリ107、キアシシギ48、イソシギ33、コチドリ22等。
(広島県「森の新聞」NO.199,P4)

・カワウ繁殖調査
 7月、12月、3月、広島県でカワウを調査した。その内、陸上からの調査を支部が委託した。結果は7月、24箇所調査:総個体数1,579(陸上からの調査1,426)、巣数223(223)、12月、29箇所調査:総個体数3,495(2,168)、巣数170(150)、3月、34箇所調査:総個体数3,587(2,793)、巣数288(254)。
(広島県「森の新聞」NO.199,P5〜6)

●2015/7-8 愛媛
・コアジサシの保全(保全・調査研究担当)
 コアジサシは愛媛県内では重信川河口や加茂川河口など海岸や河口で観察される事が多い。定期的に起こる洪水で、草が生えていない河原や中洲が維持されてきたが、現在ではダム等で洪水が調整され、それが減り、埋め立てられた造成地の裸地が利用される。この環境も一時的で安定したコアジサシの営巣地にならない。繁殖地にカラスの進出、人や犬の接近、大勢のカメラマンの押し寄せ等の問題がある。
(愛媛「コマドリ」NO.227,P2)
●2015/3 山口県
・ガン・カモ・ハクチョウ類の一斉調査(調査研究部)
 2014/1/11〜18、山口県内47地点で調査した。結果は21種、計20,378羽で過去13年間の平均20.6種、24,027羽より個体数は少ない。内訳はヒシクイ1、マガモ6,829、ヒドリガモ3,590、カルガモ2,246、オシドリ1,306、オナガガモ1,306、ホシハジロ1,245、コガモ773、キンクロハジロ601、トモエガモ569、ヨシガモ462、オカヨシガモ451、ウミアイサ129、ハシビロガモ105等。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P31〜34)

・春期シギ・チドリ類の一斉調査(調査研究部)
 2014/4/29、山口県内20地点を調査した。結果は23種、計2,575羽で過去15年間の平均25.4種、2,622羽より少ない。内訳はチュウシャクシギ1,370、ハマシギ878、ダイゼン64、キアシシギ47、ソリハシシギ42、イソシギ30、メダイチドリ28等。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P35〜36)

・秋期シギ・チドリ類の一斉調査(調査研究部)
 2014/9/15、山口県内20地点を調査した。結果は23種、計557羽で過去15年間の平均23.5種、513羽とほぼ同じ。内訳はソリハシシギ173、シロチドリ90、タシギ55、アオアシシギ47、イソシギ37、トウネン36、キアシシギ26、タカブシギ17等。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P37〜38)

・モズのはやにえリスト(調査研究部)
 1995年から始まった野鳥観察カードの情報からリストを作った。オオカラモズ1件を除き、47件のモズのはやにえ記録があった。内訳は昆虫類20、両生類14、爬虫類7、魚類2、スズメ1、ナメクジ1等。はやにえが立てられていた場所は何れも樹木で梅が2割で、以下スモモ、複数はサンショウ、竹、グミ、柿、マンサクであった。はやにえの立て方は突き刺すのと挟んだり引っ掛けるのがあった。位置は唐沢(1980)の東京水元公園の調査結果地上1〜2.3mと合う。はやにえの消失までの期間は捉えて即、引っ掛けて食べる例、貯食後食べる例、失念して食べ残される例がある。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P39〜47)

・ソウシチョウの生息分布の拡大(調査研究部)
 ソウシチョウは日本では1980年代、飼い鳥が野生化し、茨城、兵庫、九州等で多数生息、繁殖するようになった(2004 五百沢、山形ほか)。山口県内では2004年秋に初めて記録があり、山口県西部から中部へと観察される。2009年には山口県東部でも記録され、最近は繁殖期の囀りが確認され、九州由来の個体群が分散したものと思われる。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P48〜51)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.765

●2015/8-9 札幌
・野鳥三面記事
●2015/9 埼玉
・地名の鳥 埼玉県(上)
●2015/8 甲府
・H26年度カモ科鳥類調査
・ハイイロヒレアシシギ
●2015/7-8 島根県
・2015年春のシギ・チドリの渡り
●2015/3 山口県
・鳥媒花と花蜜食の鳥、花と鳥の共生関係(調査研究部)
・盗蜜を行う鳥類(調査研究部)
・ユリカモメの夏季の観察記録(調査研究部)
・山口県における野鳥の群の観察(調査研究部)
●2015/8 筑豊
・スズメバチ(編集部)
・歌が大好きクロウタドリ
・野鳥の子育て雌雄の役割(編集部)

●2015/8-9 札幌
・野鳥三面記事
 英国発:ウィンブルテニスコート、ジョコビッチ選手の足元に小鳥が着地、戸惑うジョコビッチ、見るとシジュウカラの巣立ち雛、欧州のシジュウカラは胸と腹が黄色。カナダ発:行き止まりの道でカモの親子がウロウロ、タクシーの運転手が車に乗せて川まで送った。料金は約2,000円、お代は結構。
(札幌「カッコウ1」NO.376,P15)

●2015/9 埼玉
・地名の鳥 埼玉県(上)
 鳩山町の由来は鎌倉幕府を倒した新田軍が旗を立て旗山からとの説と地理的に端にある山から鳩山になった地形由来の説がある。目白の地名は全国に散見されるが、鳥のメジロではなく目白不動に由来が多い。お不動さんには目の色に五色(目黒、目白、目赤、目青、目黄)あり、目白、目黒の地名が多い。
(埼玉「しらこばと」NO.377,P4)

●2015/8 甲府
・H26年度カモ科鳥類調査
 9月〜3月、毎月1回、富士五湖と2つの水系で調査した。7回の総計は15種、5,379羽であった。内訳は富士五湖で3,914、笛吹川水系で986、富士川水系で479。種別ではマガモ1,080、ホシハジロ863、ヒドリガモ807、キンクロハジロ731、カワアイサ721、コガモ672、カルガモ314、ミコアイサ93・・・、コハクチョウ13等。この10年で最も少ない。H14年の1万4千の1/3になっている。
(甲府「カワセミ」NO.131,P3)

・ハイイロヒレアシシギ
 5/11、南アルプス市で夏羽のハイイロヒレアシシギ♀を見る。内陸部への飛来は稀で山梨県での確実な記録は無く、夏羽は初めてである。
(甲府「カワセミ」NO.131,P8)

●2015/7-8 島根県
・2015年春のシギ・チドリの渡り
 飯梨川周辺で春に調査した。種、個体数が多いのは5月上旬で5/6:14種、137羽、チュウシャクシギ42、ハマシギ39、ムナグロ15、トウネン14等。5/8:10種、157羽、ハマシギ54、チュウシャクシギ47、トウネン21、キアシシギ10、イソシギ10等。4/27、米子水鳥公園で越冬したと思われるマガン1が河口に飛来したが、ハヤブサに襲われたようで落鳥した。
(島根県「スペキュラム」NO.166,P2)

●2015/3 山口県
・鳥媒花と花蜜食の鳥、花と鳥の共生関係(調査研究部)
 豪州では花の蜜を常食とするミツスイ科の鳥がいて、赤い花で鳥を誘う(多田2014)。日本ではオオバヤドリギが典型的な鳥媒花である。世界には花蜜食専門の鳥が約760種いる。多くは熱帯地方である。
 山口県野鳥観察データベースに花蜜食をした鳥が154件あった。内訳はメジロ86件、ヒヨドリ59、ウグイス3、シロハラ2、スズメ2、キビタキ、キクイタダキ、アトリ各1。花ではツバキ科85件、サクラ属34件、ウメ属14、ビワ属12件等。鳥が蜜を吸い易いように花は横を向くものが多い(多田2014)。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P53〜61)

・盗蜜を行う鳥類(調査研究部)
 花粉媒介を伴わない一方的に花蜜を盗蜜する鳥の行動が知られている。南米のハナサシミツドリ類は盗蜜だけで生きている。山口県野鳥観察データベースでは28件の記録があり、内訳はヒヨドリが14、スズメ2、キジバト、オオバン、バン、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ムクドリ、シロハラ、ツグミ、ニュウナイスズメ、アトリ、ウソ各1。花の裏側から直接蜜源を破る方法と花そのものを荒っぽく食べる方法がある。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P64〜69)

・ユリカモメの夏季の観察記録(調査研究部)
 山口県野鳥観察データベースに8月のユリカモメの県内での確認は1995年〜2014年、6件あった。一足早く渡ってきたものと思われる。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P70)

・山口県における野鳥の群の観察(調査研究部)
 山口県野鳥観察データベースで、300羽以上の観察記録を抽出した。1980年〜2014年で38種、412件の記録があった。件数の多い順にヒヨドリ73件、カワウ56、アトリ46、スズメ38、ムクドリ32、ミヤマガラス29、ウミネコ19、カンムリカイツブリ8等。個体数が多いのは1997/8/25の山口市でのツバメの塒入り2〜3万羽、1998/10/19の山口市でのショウドウツバメ塒入り1万羽、2010/11/18の防府市でのアトリ1万、1995/9/4の山口市でのスズメの塒入り1万、2011/3/11の山陽小野田市でのスズガモ1万等がある。
(山口県「山口野鳥」NO.46,P71〜74)

●2015/8 筑豊
・スズメバチ(編集部)
 本部の「探鳥会スタッフ通信」2013/10より。蜂による死亡例は年平均43人で、マムシや熊より多い。蜂被害の内、スズメバチが約8割を占める。9〜10月がスズメバチの活動のピークである。日本にいるスズメバチは16種が知られているが、通常は大型の7種を言う。刺すのは♀のみで、最も被害が多いのはキイロスズメバチである。頭や目、黒いものを攻撃する習性あり。ヒラヒラするもの、純毛、毛皮は要注意。香水、整髪料の芳香性のものは使用しない。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.450,P18〜19)

・歌が大好きクロウタドリ
 黒くて歌が上手い、そのまま和名にした鳥である。野鳥の会のフィールドガイドにはL28、主に迷鳥として南西諸島や日本海側の地域に渡来とある。北京自然博物館の図鑑ではL20〜28、体重78〜210g、欧州、アフリカ北部、アジア中部、インド、中国等と世界に広く分布している。この鳴き声は複雑で変化に富み、延々と続く。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.450,P30〜33)

・野鳥の子育て雌雄の役割(編集部)
 鳥の婚姻形態は一夫一妻が92%、一夫多妻は2%、一妻多夫は1%以下で、子育は哺乳類では9割が雌だけで行い、野鳥は9割以上が雌雄で育てる。雌だけが育雛する鳥:ライチョウ、ヤマドリ、キジ、カモ科、サンカノゴイ、ヤマシギ、タシギ、エリマキシギ、猛禽類、オオヨシキリ、セッカ、ミソサザイ等。雄だけが育雛する鳥:ツルシギ、アカエリヒレアシシギ、レンカク、タマシギ、ミフウズラ等。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.450,P37)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■9月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■

 この連載の読者から、「新版は野鳥誌で取り上げるべき」と後押しもいただき、11月号に4頁のスペースが確保され、準備中です。一方で、協力いただいた研究者などから細部についてご指摘をいただいている箇所もあるので、今後、修正すべきかなどの検討も始めています。野鳥誌で紹介できるものではありませんので、裏話として事例を紹介しておきます。

<ミズカキチドリは蹼で見分けられるか?>
 近年、一部で話題にされるようになったミズカキチドリは、ハジロコチドリとの識別が難しい上に同種とみなす学者もいます。増補改訂版では、ハジロコチドリの類似種の解説の中で「ミズカキチドリと思われる観察例もある」と触れるにとどめました。が、論文も出され、目録7版では掲載種となったので、新版では記録として扱うことにしました。ただ、スペースがないので識別点は「足指にある小さなみずかきが比較的大きい」としか書けませんでした。
 これを読んだ橋本宣弘さんから「これでは不十分ではないか?」と指摘をいただいています。橋本さんは『山階鳥類学雑誌』で「日本におけるミズカキチドリの初記録」を書かれた方で、曰く・・・ハジロコチドリも外趾と中趾の間にはみずかきがあるので、ミズカキチドリの識別には内趾と中趾の間のみずかきをポイントとして書いたほうがよい・・・。今後、限られたスペースでこのご指摘に沿うためには、どうしたらよいでしょう?「鳥の各部と名称」で足指(趾)とした4本を、内趾(第2趾とも呼ばれ、前向きの3本の内側)、中趾(第3趾)、外趾(第4趾)などと区分して示すことも検討しています。
 ちなみに増補改訂までは「水かき」と表記していましたが、新版では「みずかき」に修正しています。主に用語解説で相談させていただいた亀谷辰朗さんの「学術用語としては『蹼』としたほうがよいが、これでは読みにくいとするなら、水掻きではおかしいので、すべてひらがなにするのが適切ではないか」という見解によりました。

<コシアカツバメか?オオコシアカツバメか?>
 新版の取り組みで、主に山野の鳥の修正点をチェックしてもらった渡部良樹さんほかから、「コシアカツバメの分布図では台湾で1年中見られるようになっているが、それでよいのか?」との指摘がありました。確かに、目録7版ではコシアカツバメの分布に台湾の記述はないのですが、台湾の分布で参考文献とした『台湾の野鳥300図鑑』(張刹那(主編).2009.社団法人中華民国野鳥学会)では、コシアカツバメが留鳥とされているのです。
 コシアカツバメには複数の亜種があり、オオコシアカツバメを別種とする見解も多くなっているものの、混同されている可能性もあります。渡部さんが調べた範囲では、『Handbook of the Birds of the World』でも両者は別種扱いで、コシアカツバメは台湾には生息していないことになっているそうですが、今後の研究や文献の動向を気にかけておくようにしたいと思います。
 ちなみに『台湾の野鳥300図鑑』を元に新版の分布図で台湾を直した例では、ハリオアマツバメ(留鳥から夏鳥に)、サンコウチョウ(台湾本土は削除)などがあります。
 なお、コシアカツバメの解説文中、巣の参照頁がP347になっていましたが、実際は次のP348でした。お詫び申し上げるとともに、参照頁のずれとはいえ確実な間違いですから、少なくとも2刷りの段階では修正したいと考えています。

<初列雨覆か?初列大雨覆か?>
 渡部さんからは、「鳥の各部と名称」で初列雨覆の名称を揃えたほうがよいのではないか?とのご指摘もいただいています。新版をお持ちの方はP15を参照下さい。高野による線画でカモの翼上面を使った部位の名称を示した部分に、「初列大雨覆」とあります。増補改訂までは、小鳥などでは初列雨覆を大中小に区分しないことも多いので、高野が示したまま「初列雨覆」としていました。
 ところが、高野が描いたカモの翼をよく見ると小翼羽との間に、初列中雨覆までが描かれています。図鑑では、厳密にすればするほど難しくなって、誤解や混乱の元になることもあるので、著者判断が問われるわけですが、田仲謙介さんと相談した結果、「初列大雨覆」と直し、P350「羽・幼羽と年齢・鳥の体」に補足説明を書くことにしました。
 新版での追記や修正については渡部・田仲・安西の3人で吟味、検討していたはずでしたが、今にして思うとこの修正に関しては、渡部さんとは詰めていなかったのかも知れません。同じ頁にある小鳥の静止図では「初列雨覆」としてあるので、今後、カモの翼上面で示した「初列大雨覆」は「初列(大)雨覆」としたほうがよいと考え直しているところです。

<ヤブサメの尾羽は12枚か?>
 指摘された例ではないのですが、本格的バードウォッチングマガジンとされる雑誌の9月号を見ていて、愕然としてしまいました。「野鳥図譜」という連載がヤブサメで、そこに尾羽12枚と書いてあったからです。
 新版P252のヤブサメの解説で・・・本種とウグイスは尾羽が10枚しかない(12枚の種が多い)・・・と書き足しました。海外の文献も調べてくれる渡部さん、標識調査にも従事している田仲さんに、直ちに真偽の確認をお願いしました。田仲さんによると「個体差として、稀に10枚でないものもいる」、渡部さんによると「文献に目を通した範囲ではやはり10枚だが、雑誌9月号で描かれた図版は11枚にも見えるので、典型的でない個体が描かれた可能性もあるのではないか?」とのことでした。
 新版は田仲さんや渡部さんをはじめ複数のチェックをいただきながら編纂されたわけですが、これも野鳥誌には書けそうにないことを思い出したので、ここに書き止めておきます。
 アイスランドカモメは増補改訂では目録6版で検討中という扱いであったので、「北海道、千葉県などで冬期に観察例がある」としました。目録7版では掲載種となり、九州の記録も記述されたので、新版では「北海道、千葉県、九州で記録された」と書き直そうとしていました。
 ところが、「九州の記録は誤認の可能性がある」との渡部さんの指摘から、カモメ類の修正案を相談していた小田谷嘉弥さんに確認を求めたところ、「交雑種の誤認であり、アイスランドカモメではない」との見解でした。田仲さんとも相談した結果、ここは目録7版に沿わすことができないとして、「関東以北で冬期に記録がある」にとどめることになったわけです。


© 谷口高司

▲画像の紹介は、新版での追記種として谷口高司さんに描いてもらったウスハイイロチュウヒです。本種は増補版の元になった野鳥記録委員会でも検討されており、1989年の野鳥誌にも類似種との識別点(初列風切各羽の長さや比率)が記されているので、それに配慮した飛翔図を加えました(大きく扱ったのは幼鳥の静止画です)。

(普及室/主席研究員 安西英明)

■連携団体(支部等)向卸販売をご利用ください■

 通販カタログ「バードショップ」2015秋冬号が発行となりました。会員のみなさまには、会誌「野鳥」9・10月号に同封してお届けしております。 販売事業ご担当者のみなさまには9月下旬に、連携団体(支部等)向卸販売のご案内と合わせてお届けします。販売を通じて、バードウォッチングや自然保護の輪が広まるとともに、販売収益は連携団体(支部等)や財団の収入増につながり、様々な活動に活用することができます。ぜひとも拡販にご協力をお願いします。

●おすすめ商品
〜オリジナルカレンダーに新商品が登場!〜

(1)新発売!『ワイルドバード・カレンダー』に小型版
 「もっと小さいサイズがあれば…」というご要望をうけ、毎年おなじみの「ワイルドバード・カレンダー」の小型版を作りました。写真や暦の内容はそのままに、サイズだけを小さくしました。もちろん従来のサイズもございますので、使用される場所に合わせてお好きな方をお求めください。

(2)新発売!かわいらしい野鳥を集めた『しあわせことりカレンダー』
野鳥たちが時折見せるかわいい表情の写真を集めたカレンダーです。小型の壁掛けカレンダーで、場所を選ばずお使いいただけます。贈り物にもおすすめです。

(3)鳴き声が聞ける!『バーズ・イン・シーズンズ卓上カレンダー』

写真がポストカードになる仕様が人気の卓上カレンダー。今回は、You Tubeで野鳥の鳴き声が聞けるようになりました。また、安定感を向上させるため、スタンドの形を改良しました。


2016 カレンダー

 ほかにも、カールツァイス社の新型双眼鏡をはじめ、野鳥や自然に関する商品を多数掲載しております。みなさまのご利用、お問い合わせをお待ちしております。

●支部卸販売のご注文、お問い合わせ
普及室 販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2623
FAX:03-5436-2636
Email:r-hanbai @wbsj.org

(普及室/江面康子)

総務室より

■評議員会傍聴申込要領について■

平成27年度第3回定時評議員会の傍聴申込要領をお知らせします。

  1. 開催日時:平成27年12月8日(火)
    16:00〜17:30
  2. 開催場所:西五反田事務所会議室
  3. 当日の議案:
    平成27年度補正予算の件(報告)
    平成28年度事業計画及び予算編成方針の件(報告)
    平成27年度第2回及び第3回理事会の結果の件(報告)
  4. 申込要領:会場の都合上、傍聴は連携団体(支部等)1人を限度とします。
    参加希望者は、連携団体(支部等)の代表を通じ、メール又はFAXで下記あてにお申込み下さい。
    申込先:総務室総務グループ(奥田)
    Email:[email protected]
    FAX:03-5436-2635
  5. 申込期限:平成27年10月23日(金)必着

(総務室/奥田秋穂)

■支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ■

代表者等の変更のあった支部についてお知らせいたします。

【代表者の交代】

●日本野鳥の会 広島県支部
新支部長:倉岡 敏彦
旧支部長:福本 幸夫
(総務室/鈴木美智子)

会員室より

■会員数■

 9月1日現在の会員数は36,163人で、先月に比べ45人減少しました。8月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より70人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。8月の入会者数は105人で、前年同月の入会者134人に比べ29人減少しました。また、8月の退会者は175人で、前年同月の退会者184人に比べ9人減少しました。

表1. 8月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(9月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(9月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 残暑もようやく和らぎましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 毎年恒例の『ワイルドバード・カレンダー』が出来あがりました。今年度はワイルドバード・カレンダーの小型版や、野鳥のかわいらしい表情を集めたカレンダーが登場。詳しくは「連携団体向卸販売をご利用ください」の記事をご覧ください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第138号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2015年9月24日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/柴田英美
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]