No.148 2016年07月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせなど
2016年度日本野鳥の会北海道ブロック協議会
 総会報告

◆事務局からのお知らせなど
7月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の
 取り組み

札幌で市民フォーラム「再生可能エネルギー導入の
 環境利用を考える」を開催します

風力発電に対する鳥類のセンシティビティマップ作り
 に関する検討会を開催します

平成28年度第1回理事会議事録
平成28年度第2回理事会議事録
平成28年度第1回評議員会議事録
上田恵介副会長山階芳麿賞受賞
平成28年度連携団体全国総会
支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ
平成28年熊本地震への対応状況
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.802

●2016/5 茨城県
・オオタカが指定解除されると
・奥久慈でオオワシ
・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(環境計画部)
●2016/5 東京
・江戸川河川敷の自然再生(自然通信社)
・中央防波堤埋立地のシギ・チドリ
・東京都初記録・稀な記録の鳥たち(野鳥記録委員)
●2016/5-6 遠江
・2016年ガンカモ類カウント調査(調査研究部)
●2016/5 大阪
・2016年ガンカモ類生息調査
・拡がるチョウゲンボウ
・上田恵介さん退職
●2016/5 筑豊
・福岡県環境部と県内四支部との意見交換会
・フクロウ
・カラスバトが離島に多い謎(編集部)

●2016/5 茨城県
・オオタカが指定解除されると
 茨城県にはオオタカが全国有数の密度で生息している。オオタカは種の保存法で数々の無謀な開発から環境、特に里山を守り、検討会で紳士的で真剣な保全対策が講じられてきた。オオタカが種の保存法の指定種から解除されるのは既定方針らしい。この心配を先取りする事態が昨秋、発生している。メガソーラー建設が強行され、規制緩和で経済活性化だと言うが、オオタカを対象外にするのであれば、その代償措置を発動しないと、二昔前に後戻りするのは必至である。
(茨城県「ひばり」NO.331,P2)

・奥久慈でオオワシ
 2/1、奥久慈の明山でオオワシを見る。2日後、同一と思われる個体がその南50km付近でも確認される。県内で見られたオオワシは北から西へと時計周りに移動している?オオワシは千島列島から北海道へ渡り、越冬後、宗谷岬から繁殖地に戻るコースも時計回りの移動である。
(茨城県「ひばり」NO.331,P3〜4)

・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(環境計画部)
 1/10、県内69箇所を一斉調査した。マガン1、ハクチョウ類は総計1,012羽(オオハクチョウ629、コハクチョウ315、コブハクチョウ68)。カモ類は22種、114,832羽で内訳はマガモ60,437、ヒドリガモ16,885、カルガモ11,145、オナガガモ8,420、コガモ6,994、ホシハジロ2,264、スズガモ2,252、ヨシガモ2,045、オカヨシガモ1,883、キンクロハジロ1,236、オシドリ428等。
(茨城県「ひばり」NO.331,P5〜7)

●2016/5 東京
・江戸川河川敷の自然再生(自然通信社)
 野田市で水田型ビオトープを提案し、市長の英断でコウノトリをシンボルとしたエコロジカル・ネットワークが関東広域に広がり始めている。
http://www.h4.dion.ne.jp/~tsuushin/
(東京「ユリカモメ」NO.727,P3)

・中央防波堤埋立地のシギ・チドリ
 東京湾の同地でのシギ・チドリは2014年は29種、482羽であったが、2015年は32種、1,028羽と数が倍増している。埋立地では地下水のくみ上げが行われ、塩分濃度が下がり、水生生物が増加している可能性がある。
(東京「ユリカモメ」NO.727,P8)

・東京都初記録・稀な記録の鳥たち(野鳥記録委員)
 2014/12頃、小石川後楽園や上野不忍池でアカハジロとホシハジロ?の交雑種が見つかる。2015/1、板橋区でカラムクドリ、東京都では5度目の記録となる。2015/4、葛西海浜公園でコシャクシギ、1933/10以来の記録となる。2015/4、東京湾中央防波堤埋立地でオオチドリ、2002/7以来の2度目の記録となる。2015/10、八王子市でハイイロオウチュウ、東京都初記録、関東では1999/11に横浜市磯子区で記録があるのみ。2015/11、多摩霊園でミヤマガラス6羽、東京本土では1887年以来128年ぶりの記録となる。
(東京「ユリカモメ」NO.727,P16〜17)

●2016/5-6 遠江
・2016年ガンカモ類カウント調査(調査研究部)
 1/5〜15、45箇所で調査した。カモ類16,547羽で、内訳はマガモ3,342、スズガモ3,116、ヒドリガモ2,806、カルガモ1,680、ホシハジロ1,325、コガモ1,179、オナガガモ1,037、キンクロハジロ841、オシドリ338、オカヨシガモ290、ヨシガモ266等。
(遠江「遠江の鳥」Vol.283,P16)

●2016/5 大阪
・2016年ガンカモ類生息調査
 1/9〜17、大阪府内447箇所で調査した。カモ類20種、44,473羽を記録、内訳はホシハジロ17,389、ヒドリガモ6,788、キンクロハジロ3,062、スズガモ2,928、コガモ2,893、ハシビロガモ2,889、カルガモ2,267、マガモ2,252、オシドリ932、オナガガモ925、オカヨシガモ602等。
(大阪「むくどり通信」NO.243,P10)

・拡がるチョウゲンボウ
 1970年代、チョウゲンボウは絶滅危惧種であった。当時、繁殖可能性有は長野県から宮城県までの6県(日本野鳥の会1980)のみであった。1980年代に入ると、橋梁や建物の人工建造物での営巣が増え、事態は一変する。当初、南関東で観察され、その後全国に拡がり、2000年代には西日本に達した。池田他(1991)ではチョウゲンボウの営巣地は崖地、人工建造物でもほぼ垂直に10m以上の見晴らしの良い場所で、横向きに狭い入口があり、周囲に開けた環境がある場所好む。人工物にそのような場所を見つけただけであろうが、このような人工物は以前から日本各地にあったが、1980年代より拡大したのは謎である。
(大阪「むくどり通信」NO.243,P11)

・上田恵介さん退職
 3月、立教大学理学部教授上田恵介さんの退職記念講演会と慰労パーティが大阪であった。同氏の鳥学人生は大阪から始まっており、今後は日本野鳥の会副会長として活躍される。
(大阪「むくどり通信」NO.243,P13)

●2016/5 筑豊
・福岡県環境部と県内四支部との意見交換会
 1/7、福岡県庁で開催された。鳥インフルエンザ、メジロ捕獲、飼養、カワウ問題、カラス対策、鳥獣保護区、ブナ林再生、希少種の盗採等が議題になった。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.459,P22〜25)

・フクロウ
 フクロウは奈良時代より「ふくらふ」と呼ばれ、「父喰らう」として嫌われた事もある。今では不苦労、富来老となり、幸福のシンボルになっている。フクロウカフェは増えており、フクロウ類の人気は高い。緑地にタイマー録音を仕掛けて鳴き声を集めているが、フクロウは神出鬼没で生息地特定は困難である。500m四方の森に1羽のフクロウがいると推測している。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.459,P35〜37)

・カラスバトが離島に多い謎 (編集部)
 カラスバトは常緑広葉樹に生息し、北は飛島から南は台湾までの179の島で観察される。この内、日本では22地域で記録されるが、殆どが離島で、本土の目と鼻の先の島嶼におり、本土側にはやって来ない。分布が島に偏る理由は地上で行動するため、地上性の捕食者が少ない離島を好む、本土では餌が競合する種が多い、以前は本土の沿岸部にいたものが、近くの島に取り残された等が考えられる。
参考:BIRDER 2014年7月号
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.459,P51)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.803

●2016/5-6 群馬
・2015年度ガンカモ調査(総合調査委員会)
●2016/6 埼玉
・2016年冬カモ科カウント調査(研究部)
●2016/5 千葉県
・ジオロケーター利用によるキアシシギの渡りルート解明
・北米の海鳥、茨城で国内初確認(3/2日本経済新聞)
・ライチョウの腸内(3/2朝日新聞)
・豊岡市周辺以外でコウノトリ産卵(3/23日本経済新聞)
●2016/5 神奈川
・神奈川県東部のオオタカの繁殖状況(慶応大学環境情報学部)
・鳥名を愛称に持つ乗り物
・支部間交流の試み
●2016/5-6 諏訪
・雨水が野鳥の命を奪う
・エンジン音で飛来したジョウビタキ
●2016/5-6 島根県
・飯梨川河口周辺のカモの月別最大数
●2016/5-6 愛媛
・2016年カモ類調査(調査研究担当)

●2016/5-6 群馬
・2015年度ガンカモ調査(総合調査委員会)
 2月、県内38箇所で調査した。ハクチョウ類は計70羽、カモ類は17種、9,856羽で、内訳はコガモ2,402、オナガガモ2,163、マガモ1,663、ヒドリガモ1,589、カルガモ1,259等。
(群馬「野の鳥」NO.335,P3)

●2016/6 埼玉
・2016年冬カモ科カウント調査(研究部)
 1/9〜17、県内62箇所で調査した。ハクチョウ科2種、カモ科16種、総計10,579羽を記録、内訳はコハクチョウ29、オオハクチョウ2、マガモ2,443、カルガモ2,179、コガモ1,970、ヒドリガモ1,688、キンクロハジロ670、オナガガモ628、ホシハジロ253、オカヨシガモ115等。
(埼玉「しらこばと」NO.386,P2〜3)

●2016/5 千葉県
・ジオロケーター利用によるキアシシギの渡りルート解明
 1994年、習志野市と豪州ブリスベン市は共にラムサール湿地で連携した。これを受け、2010年、本会に同解明の共同事業の呼び掛けがあり、調査今回終了した。41羽に取り付け、3羽で回収できた。2011/4/3、ブリスベン市で放鳥後、豪州東海岸を1箇月かけて北上し、ニューギニアからフィリピンに入り、12日間過ごす。その後南西諸島を通り、九州に12日間滞在、日本を縦断しカムチャッカ地方で53日間、南下は日本では九州で20日間滞在、ミクロネシア、ニューギニア経由でブリスベンに戻る。もう1羽はニューギニアからミクロネシア経由で日本に入り17日間滞在後、カムチャカ地方で60日間、その後太平洋を一直線に南下してブリスベンに戻る。
(千葉県「ほおじろ」NO.421,P3〜6)

・北米の海鳥、茨城で国内初確認(3/2日本経済新聞)
 山階鳥類研究所によると、2014/7/18、茨城県神栖市の海岸で2羽のアメリカコアジサシが確認された。内1羽の足環から2012/7に米国で放鳥された個体で、東アジア全体でも初記録である。
(千葉県「ほおじろ」NO.421,P12)

・ライチョウの腸内(3/2朝日新聞)
 上野動物園と富山市ファミリーパークはライチョウの人工飼育を目指しているが、自然環境とは異なり、餌の植物の毒を分解する雛の腸内細菌が少なく、野生復帰は難しいとされる。新年度から自然腸内細菌の再現を目指し、野生の雛が親の糞を食べる行動を分析し、腸内細菌を受け継ぐ時期、必須腸内細菌、解毒効果を調べる。
(千葉県「ほおじろ」NO.421,P12〜13)

・豊岡市周辺以外でコウノトリ産卵(3/23日本経済新聞)
 3/22、徳島県は鳴門市で兵庫県豊岡市から飛来したコウノトリが産卵したとみられると明らかにした。徳島県によると、1971年、国内野生種が絶滅して以来、豊岡市周辺以外の野生での産卵は初めてである。
(千葉県「ほおじろ」NO.421,P13)

●2016/5 神奈川
・神奈川県東部のオオタカの繁殖状況(慶応大学環境情報学部)
 営巣木は殆どが大きな杉(樹高20m、直径45cm程度)である。2013年〜2015年、県東部(相模川の東側)を調査した結果、それ以前の分も含め61箇所の営巣地を確認し、内、2015年に繁殖が確認されたのは33箇所で、その数はそれ以前と大差無く、神奈川県東部では新たに繁殖ができる場所が無い事を示している。
(神奈川「はばたき」NO.528,P2)

・鳥名を愛称に持つ乗り物
 JR東ではとき、はやぶさ、はくたか、つばさ、嘗ては旧国鉄ではつかり、ゆうづる、はくつる、ひばり、やまばと、おおとり、つばめ、はと、かも、白鳥等があった。JR西ではしらさぎ、サンダーバード(これは雷鳥の英名ではなく、米国先住民の神話上の巨大な鷲)。国産車にはスズキのスウィフト(アマツバメの総称)、トヨタのハリアー(チュウヒ属の総称)、ターセル(雄の鷹)、日産のブルーバードがある。人工衛星にははくちょう、はやぶさ、こうのとりがある。Pacific Egret(太平洋のシラサギ)、Pacific Heron(サギ類)、Pacific Grebe(カイツブリ類)はいずれも核燃料輸送船名である。オスプレイ(ミサゴ)同様、勝手に鳥名を使っている。
(神奈川「はばたき」NO.528,P4)

・支部間交流の試み
 奥多摩支部と協働で多摩川源流から東京湾河口まで、冬の3箇月間で5回の探鳥会を実施した(呼称 たまりゅう)。この考え方で支部の枠にとらわれない観察会を企画していきたい。
(神奈川「はばたき」NO.528,P5)

●2016/5-6 諏訪
・雨水が野鳥の命を奪う
 1月下旬、長野県下を襲った雨水は樹木に付着後、過冷却で硬い氷になり、樹木を倒し、それに巻き込まれて、複数の小鳥(アトリ14羽、コガラ1、トラツグミ1)が死亡しているのを発見した。風が出た時、短時間で倒木が発生し、集中的に降り注いだ氷片の直撃に巻き込まれたと考えられる。死んだ鳥には明瞭な打撲痕が認められる。
(諏訪「いわすずめ」NO.168,P2〜3)

・エンジン音で飛来したジョウビタキ
 3/27、畑で耕運機を動き始めると、ジョウビタキ♀がやってきて掘り出された虫を漁る。今まではハシボソガラス、ムクドリ、ハクセキレイ、モズであったが、ジョウビタキも学習したようである。八ヶ岳山麓でジョウビタキの子育てを確認したのは1998年で、冬鳥とされていたジョウビタキは国内定着化が静かに加速している。
(諏訪「いわすずめ」NO.168,P10)

●2016/5-6 島根県
・飯梨川河口周辺のカモの月別最大数
 2015/4〜2016/3の12箇月の最大個体数変化結果である。カルガモ:4:148、5:67、6:91、7:88、8:52、9:100、10:185、11:328、12:116、1:170、2:108、3:197。マガモ:11、4、6、3、3、8、79、284、209、186、289、115。コガモ:42、17、0、0、0、54、105、100、116、115、83、80。キンクロハジロ:134、73、12、16、20、82、227、281、116、72、55、89。スズガモ:1,042、83、4、2、0、6、1,172、1,294、473、161、423、1,211。ハマシギ:4月:6、5月:100、6月:0、7月:0、8月:0、9月:1、10月:48、11月:61、12月:50、1月:60、2月:36、3月:30。
(島根県「スペキュラム」NO.171,P6)

●2016/5-6 愛媛
・2016年カモ類調査(調査研究担当)
 1/9〜11、カモ類総計30,557羽、内訳はマガモ9,696、コガモ5,824、ヒドリガモ4,602、カルガモ3,157、オシドリ2,796、オナガガモ1,888、ホシハジロ1,427、ハシビロガモ632、オカヨシガモ382、キンクロハジロ331、ヨシガモ189等
(愛媛「コマドリ」NO.232、付録)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.804

●2016/6 千葉県
・ジオロケーター利用によるキアシシギの渡りルート解明(2)
・小笠原の鳥、島別に進化(4/8日本経済新聞)
・石炭灰は大阪湾を救う?(4/27朝日新聞)
●2016/6 東京
・葛西臨海・海浜公園(幹事)
・冬期の東京23区にオオタカ19羽(研究部)
・ウトウ
●2016/6 愛知県
・海上の森ソーラーパネル問題
・オオタカの国内希少野生動植物種指定解除について
●2016/6 滋賀
・水鳥一斉調査2016(保護研究部)
●2016/6 筑豊
・クマタカ
・コノハズク
・日本固有種の野鳥(編集部)

●2016/6 千葉県
・ジオロケーター利用によるキアシシギの渡りルート解明(2)
 回収された3羽のデータでは、カムチャッカの繁殖地に6/4〜7に到着した。豪州からの北上、カムチャッカからの南下は共に約40日で目的地に到着した。ミクロネシア諸島を通過しており、パラオの団体が関心を示している。カムチャッカの繁殖地へ渡るルートへの日本の干潟重要性が再認識された。ジオロケーター:光の照度から日の出、日の入時刻を推定し、一日の日照時間より緯度を推定、正午の時刻より経度を推定する。電池寿命2年、1.1g、18X9X6oでキアシシギ体重140gの0.8%の重さ、価格1.8万円。
(千葉県「ほおじろ」NO.422,P3〜6)

・小笠原の鳥、島別に進化(4/8日本経済新聞)
 小笠原諸島では飛来したヒヨドリやメジロは島、列島ごとに留まり、別々に進化したことが森林総合研究所(茨城県)のDNA解析で裏付けられた。同研究所によると、オガサワラヒヨドリは八重山諸島の起源で、ハシブトヒヨドリは本州、伊豆諸島由来で両者は定着後、他のヒヨドリと交流はなく、独立した集団になった。イオウトウメジロは約60kmしか離れていない硫黄島、南硫黄島との間でも他のメジロと交流が無い。ヒヨドリ、メジロは全国的に分布し、移動性が高いが、島では移動性が低下する。
(千葉県「ほおじろ」NO.422,P12)

・石炭灰は大阪湾を救う?(4/27朝日新聞)
 火力発電所から出た廃棄物、石炭灰を加工して海中で使い、有害な硫化水素等を吸着させる水質浄化の実験が大阪湾で始まった。石炭灰は工事用の再生材にするのが主流であるが、2020年の東京五輪の後は、余るので、その利用の先行試行がされている。大阪湾では沿岸部埋立時、大量の土砂を海底から掘り出し、跡の巨大な穴が21個もある。穴にはヘドロや低酸素海水が溜まり、青潮が発生し、魚介類が死滅している。この埋め戻しに石炭灰は一役買える。
(千葉県「ほおじろ」NO.422,P13)

●2016/6 東京
・葛西臨海・海浜公園(幹事)
 葛西臨海公園はオリンピック・カヌー競技場建設予定地から外れた。その要望が実現した要因に1・立上りが早かった。2・地元、建設技術士会との交流、支持。3・野鳥の会本部、東京支部から全国の会員への広がり。4・署名活動。5・公園の歴史を取り上げた。6・野鳥以外の生き物にも目を向けた。7・IOCへアピール。8・マスコミの取り上げ。9・知事が変わった等がある。未だ解決すべき課題が残っている。皆様の一層のお力添えをお願いしたい。
(東京「ユリカモメ」NO,728,P3)

・冬期の東京23区にオオタカ19羽(研究部)
 1/10、49名で東京23区内のオオタカの生息数を調べた。2時間で13箇所で19羽が見られた。ノスリは7箇所で10羽であった。23区内でオオタカの観察例が増えだしたのは1980年代後半で、当時は一冬に数回程度の観察であった。19羽をどう考えればよいのか。3/5の環境省との意見公開会では法律を盾にオオタカを国内希少野生動植物の指定解除を強行する姿勢が見える。.
(東京「ユリカモメ」NO,728,P8)

・ウトウ
 ウトウは不思議な名前の感じである。名前の由来はその地の方言説、洞からの説、アイヌ語の突起説等がある。漢字では善知鳥と書くが、葦に住む千鳥で悪し千鳥、転じて良し千鳥(善知鳥)になったとある(明治28年 青森古社寺誌)。
(東京「ユリカモメ」NO,728,P13)

●2016/6 愛知県
・海上の森ソーラーパネル問題
 違法開発の森の現状復旧、産廃埋立地の撤去等を計35団体で要望書を県へ提出する予定。 瀬戸市もクリーンエネルギー業者認可制度では許可を受けた後の違法行為で認可取り消しはできないとしているのを問題視し、経済省に要望書を提出する。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.352,P10)

・オオタカの国内希少野生動植物種指定解除について
 環境省とNGOとの意見交換会が仙台、大阪、東京であった。実数調査ではなく、生息地モデルを作り、その推定値でオオタカは数が増えたとしている。解除後は捕獲等は鳥獣保護管理法で対処とあるが、例えばオオタカがレース鳩を襲うとして有害鳥獣として駆除できるとか、アセスに掛からない小規模開発では環境保全に大きな影響が出る。環境省は「オオタカは里山を象徴する生態系上位者である事は変わらず、「猛禽類保護の進め方」の考え方も各自治体へ周知を図る」と言うだけである。国内希少種をさらに400種程増やすと宣伝するが、限定環境に生息する種ばかりで、オオタカのような広範囲の保全につながるものではない。意見交換会では続けて審議し時間を稼ぐ、規制鳥獣保護法を追加する等の意見があった。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.352,P10〜11)

●2016/6 滋賀
・水鳥一斉調査2016(保護研究部)
 琵琶湖3地区で11月、1月、3月に水鳥分布を調査した。秋→冬→春を示すと、赤野井湾(琵琶湖南部)ではホシハジロ1,857→1,436→28、ヒドリガモ1,325→1,169→123、オカヨシガモ1,192→283→213.、カルガモ114→373→72。オオバン2,191→12,752→14,799。湖北水鳥公園(琵琶湖北部東岸)ではホシハジロ2,676→323→120、マガモ2,405→1,813→267、キンクロハジロ1,759→497→211、ヒドリガモ699→145→139、カルガモ132→277→52、オオバン6,475→3,253→341。高島新旭(琵琶湖北部西岸)ではホシハジロ504→135→54、キンクロハジロ156→609→378、オオバン2,394→1,756→651。オオバンは琵琶湖全体の1/5〜1/4が赤野井湾に集結している。
(滋賀「におのうみ」NO.45,P13〜14)

●2016/6 筑豊
・クマタカ
 英彦山系では多くのクマタカを見る。クマタカはインド、インドネシア、中国南部、台湾等に生息し、3亜種に分かれ、日本にいる種はその中で最大で最も高緯度地区に生息する。テリトリー内の決まったコースをほぼ同じ時間帯に飛翔して見回るので観察しやすい。参考:Birder 2015/11 文一総合出版
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.460,P28〜29)

・コノハズク
 コノハズクは明るい時間帯に鳴く事がある。2012/5、英彦山で正午頃鳴いた記録がある。同年4月下旬にも、午後4時頃、福岡県西北部の低地でも聞いた。コノハズクは繁殖地へ移動中の早い時期に思わず、昼間でも鳴くようである。韓国の歴史ドラマに、夜のシーンのバックに、コノハズクがよく鳴いている。韓国へ行くと確かに日本より多くコノハズクの声を聴く。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.460,P34〜36)

・日本固有種の野鳥(編集部)
 12種がいる。キジ(雉)、4亜種いる。ヤマドリ(山鳥)、5亜種いる。アオゲラ(緑啄木鳥)、3亜種いる。ヤンバルクイナ(山原水鶏)。アマミヤマシギ(奄美山鴫)。ノグチゲラ(野口啄木鳥)。ルリカケス(瑠璃懸巣)。メグロ(目黒)。アカコッコ(島赤腹)。アカヒゲ(赤髭)、3亜種いる。カヤクグリ(茅潜)、セグロセキレイ(背黒鶺鴒)。参考:Birder 2014/8 文一総合出版)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.805

●2016/6 山形県
・イヌワシ(最上ブロック)
●2016/3 富士山麓
・山中湖、河口湖カモ類減少続く
●2016/5 沼津
・何を保護の焦点にするか
●2016/6 石川
・オオタカ希少種解除問題(日本オオタカネットワーク北陸鳥類調査研究所)
●2016/3 山口県
・2015年ガン・カモ・ハクチョウ類県内一斉調査(調査研究部)
・2015年春期シギ・チドリ類県内一斉調査(調査研究部)
・2015年秋期シギ・チドリ類県内一斉調査(調査研究部)
・鳥を食べた鳥(調査研究部)
・バードストライク防止用ポール
・肉食を行ったスズメ
・下関市でインドハッカ
・メンガタハクセキレイ山口県初記録

●2016/6 山形県
・イヌワシ(最上ブロック)
 2006年、山形、秋田県境の丁岳山地の山形県側で久々にイヌワシが繁殖した。イヌワシ成鳥♂1羽の飛翔確認のみが長く続き、2009年に繁殖成功し、2012年、2014年も繁殖成功し、いずれも親子3羽の飛翔が見られた。3.2km離れた定点で5/15、「全国一斉探鳥会イヌワシ・クマタカに出会う会」でも観察できた。
(山形県「やませみ」NO.87,P12)

●2016/3 富士山麓
・山中湖、河口湖カモ類減少続く
 1/15の調査ではカモ類、河口湖318羽(マガモ43%、ヒドリガモ33%)、山中湖235羽(カワアイサ56%、マガモ26%)で、過去十年間以上、共に個体数減少が続いている。河口湖では数年毎に(カワアイサ飛来有無により)ピークが出るが、それも減少傾向である。
(富士山麓「野鳥の声」NO.142,P8〜9)

●2016/5 沼津
・何を保護の焦点にするか
 全国の野鳥の会支部は野鳥趣味人の音頭で設立されているのが多いが、当支部は野鳥に精通していないが、全国の山を歩き、荒廃していく自然環境保護の必要性を痛感して、立ち上げている。その点で野鳥の調査、研究だけでは自然環境保護に結びつかないので、これからは広く環境と野鳥と比較する研究が必要である。多発する自然災害に強い環境作りにも我々の意見を反映させる組織が必要である。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.272,P3)

●2016/6 石川
・オオタカ希少種解除問題(日本オオタカネットワーク北陸鳥類調査研究所)
 オオタカは林縁長が長い地域を好む、いわゆる里山が主な生息地である。従来は希少種オオタカが確認されれば、「猛禽類保護の進め方」により、里山保全を訴えてきたが、希少種解除されると、この法的手段を失う事になる。本来は自然環境そのものを評価する法整備が望まれるが、今は無い。指定解除問題で、第一弾のパブリックコメントで多数の反対意見が出され、異例の足止めになっている。「指定解除したら、どうやって里山環境を保全するのか」の根本的な問題を第二弾で多くの国民より指摘されれば、「個体数が増えたから指定解除」という安易な進め方はできなくなるはずである。これはオオタカの問題にあらずと認識し、なぜ解除できないのかの視点より現法整備の矛盾に論議が進む可能性がある。
(石川「石川の野鳥」NO.188,P2〜3)

●2016/3 山口県
・2015年ガン・カモ・ハクチョウ類県内一斉調査 (調査研究部)
 2015/1/12、山口県内47箇所で調査した。24種、25,127羽で、内訳はマガン2、ヒシクイ8、オオハクチョウ2、コブハクチョウ2、マガモ9694、ヒドリガモ4429、カルガモ2,864、オシドリ2,053、オナガガモ1946、ホシハジロ850、ヨシガモ649、コガモ594、キンクロハジロ469、トモエガモ287等。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P29〜33)

・2015年春期シギ・チドリ類県内一斉調査(調査研究部)
 4/24〜30、山口県内20箇所を調査した。17種、1,754羽を記録したが、過去15年間で最少であった。今まで見られていたムナグロ、トウネン、ウズラシギ、ソリハシシギ、コアオアシシギは見られなかった。内訳はチュウシャクシギ749、ハマシギ749、ダイゼン75、アオアシシギ36、キアシシギ27、シロチドリ24、イソシギ23、メダイチドリ20等。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P34〜35)

・2015年秋期シギ・チドリ類県内一斉調査(調査研究部)
 9/12〜26、山口県内20箇所を調査した。20種、414羽を記録したが、過去15年間の平均23種、513羽より少なかった。毎年見ているオバシギ、ダイシャクシギは見られなかった。内訳はシロチドリ114、ソリハシシギ74、アオアシシギ58、キアシシギ42、ハマシギ24等。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P36〜37)

・鳥を食べた鳥(調査研究部)
 1995年から開始している野鳥観察カードからのデータより。鳥食の記録(104件)がある種はハヤブサ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、トビ、オオタカ、ハイタカ、モズ、ツミ、ミサゴ、チョウゲンボウ、アオサギ、ノスリ、コチョウゲンボウ、オオコノハズクの順であった。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P38〜49)

・バードストライク防止用ポール
 北海道旅行中、高速道路の橋の欄干に5m程の高さの緑と白が交互に塗られたポールが等間隔であった。カワウやサギが河川を上下する時、橋を通行する車両に衝突するのを防ぐためである。日本海東北自動車道の阿賀の架け橋でも同じような対策で効果を上げている。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P52)

・肉食を行ったスズメ
 東京上野動物園でスマトラトラに与えた馬肉に、スズメ3羽が飛来し内1羽が生肉を食べた。以前、大阪天王寺動物園でオオタカに与えた赤身の牛肉をスズメが食べるのを見ている。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P53〜54)

・下関市でインドハッカ
 インドハッカは国内では愛玩用個体が逸出し、林縁から農耕地や住宅地で見つかる。野生下でも繁殖し千葉、神奈川、沖縄で繁殖記録がある(日本鳥学会2012)。2016/1、下関市六連島に渡島した時、インドハッカ成鳥1を見る。山口県では初記録である。国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会で世界の侵略的な外来種ワースト100に挙げられており、八重山諸島、石垣島では台湾に移入した個体の第二次分布拡大が懸念される。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P62)

・メンガタハクセキレイ山口県初記録
 ハクセキレイの1亜種メンガタハクセキレイは2002/3、石垣島で日本初記録されたが、その後、鹿児島県、熊本県、東京都等で観察記録がある(日本鳥学会2012)。2015/4、萩市見島で確認され、山口県初記録となった。
(山口県「山口野鳥」NO.47,P63)

 (自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


ブロックからのお知らせなど

■2016年度日本野鳥の会北海道ブロック協議会総会報告■

【日 時】:平成28年6月18日13:00〜19日12:00頃
【場 所】:グランドホテル大雪(上川郡東川町)
【総会担当支部】:日本野鳥の会旭川支部
【会議概要】:
 日本野鳥の会旭川支部柳田和美支部長より開会挨拶があり、来賓として公益財団法人日本野鳥の会佐藤仁志理事長より挨拶があった。
 その後、前年度の活動・会計報告が2015年度総会担当支部の滝川支部からあり、収入は繰越金37,781円、会費26,000円であり、支出は事務費4,744円、講師謝金20,000円で、次年度繰越金は39,037円である等の報告があった。


▲北海道ブロック議論風景

●日本野鳥の会からの報告・伝達事項
 保全プロジェクト推進室田尻室長より、ウトナイ湖サンクチュアリと北海道の野鳥保護のために遺贈があったこと、そのご遺贈を今年度より勇払原野を中心としたオオジシギ調査保護プロジェクトと、ウトナイ湖ネイチャーセンターの改修工事等に充てることなどの報告を行った。オオジシギプロジェクトでは、道内各支部でフラッグの確認の協力の依頼や、勉強会への参加の呼びかけ等も併せ行った。
 普及室江面より、小冊子の配布を利用した「会員を増やすための探鳥会」の関東・近畿での事例報告、2016年度の参加支部の呼びかけを行った。また、2016年度の探鳥会リーダーズフォーラムへの参加の呼びかけも行った。
 保全プロジェクト推進室原田より、むかわ町に定着したタンチョウの最近の動向の報告を行った。
 保全プロジェクト推進室松本より、シマフクロウ保護事業における巣箱の設置開始報告と、売り上げの一部が事業への寄付金となる「千人の森Tシャツ」の紹介を行った。また、高規格道路建設計画への対応として、釧路支部・根室支部と共同で実施した、厚岸町での猛禽類調査の報告も併せ行った。
保全プロジェクト推進室善浪より、これまでの鳥類調査の結果をまとめたパンフレット「風蓮湖・春国岱の鳥たち」の紹介を行った。
 保全プロジェクト推進室中村より、ウトナイ湖ネイチャーセンターの新パンフレットの紹介を行った。また、ウトナイ湖ネイチャーセンター改修工事の詳細と、工事のため一時施設が利用できない期間があること等の報告を行った。さらに、ウトナイ湖35周年事業の予定報告も行った。
 佐藤理事長より、連携団体総会の日程確認と、総会活性化のために1名分の交通費全額補助を行う予定であるので、ぜひ参加してほしい旨の呼びかけを行った。また、支部のホームページ作成支援について検討中であり、マニュアル作成などを考えているとの情報提供を行った。

●支部の事例発表、提案事項等
 各支部の活動報告については、配布資料参照のこと。
なお、予定されていた十勝支部からの報告は、室瀬支部長が出席できなかったため割愛となった。

●意見交換等
・各支部で蓄積されている鳥の出現記録をどう管理・活用しているかとの質問があった。また、各支部がリンクしたデータベース化があれば、研究資料や探鳥会の場所の設定などにも役立つから財団事務局で統一規格を作ってまとめてほしい旨の要望があった(釧路永澤)。
・これに対し、環境省の生き物ログの利用(旭川柳田)、十勝支部でのGoogleスプレッドシートの活用(オホーツク花田)、神奈川支部でのHP上の鳥類目録シートの利用(普及室富岡)などの事例があがった。
・また、支部で蓄積しているデータが研究資料としても有効であることの事例紹介があった(根室高田)。過去にも外部の方が支部報の情報をまとめた事例があったこと、ただし、誰でもアクセスできるような仕組みは希少種保護の観点やカメラマンなどの誘因の問題もあるので、慎重に考える必要があるとの意見があった(旭川柳田)。
・財団からは各支部のニーズや体力の違い等から、単純に統一するのは難しいこと。現在支部のデータの取りまとめを行っているところであり、詳細については自然保護室に聞いてほしいとの回答があった(佐藤理事長)。
・販売について、ウトナイ湖NCでも販売を復活してほしいとの要望があった(小樽梅木)。
・支部卸は、在庫管理や買取の負担から、支部によっては難しいとの意見があった。また、量販店で購入した方が安価であり送料もかからないので、そこをクリアできないかとの提案があった(旭川竹田)。
・これに対し、価格は最大限考慮しているが、送料はどうしてもかかるもので、値引きは事業への負担を意味するのでご理解いただきたいとの説明があった。(普及室江面)
・日本野鳥の会から購入することは、支援の一部なので価格だけでは判断できないとの意見があった(小樽梅木)
・オホーツク支部ではネットや量販店の方が安いと説明した上でカタログ価格で販売し、年間30万の売上があるとの報告があった(オホーツク川崎)。また、販売価格については支部の裁量ではないかという議論があった。
・これに対しては、財団事務局が支部に対して、支部の販売価格を決めることはできないとの回答があった。(普及室富岡)
・野幌のクマゲラについて調査とフォーラムを実施したとの報告があった。また、シマアオジの状況について、道内の繁殖環境は大きな変化がないにもかかわらず生息数は危機的状況であること、越冬地での減少が問題であるので財団事務局から政府へ働きかけがができないかとの質問があった(江別松山)。
・これに対して、状況は把握している。実際に動く時には、支部の方にもご協力いただきたいとの回答があった(佐藤理事長)。
・円山公園のクマゲラについて、カメラマンの問題に関し札幌支部に相談があり、対応したとの報告があった(札幌山田)。
・全国の支部が対応したほかの事例も集めてお互いの参考にしてはどうかという提案があった(札幌猿子)。旭川でも、クマゲラ繁殖期への対応事例があるという報告があった(旭川柳田)。
・カメラマンの問題や対応事例に対しては、支部間で情報や事例の共有を考えたい。これらについては、連携団体総会を利用してほしいとの回答があった(佐藤理事長)。
・探鳥会スタッフ通信では、マナーアンケートの結果を2012年4月号で報告した。次回は対応例を集めているとの報告があった(普及室富岡)。


▲翌朝の大雪山での探鳥会の様子

(保全プロジェクト推進室/竹前 朝子)


事務局からのお知らせなど

■普及室より

■7月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■


<アシか、ヨシか?>
 『新・山野の鳥』(改訂版)の増刷に際して、ヒメアマツバメの翼開長などのようにヤマドリ雌の全長も新版で記載した新たな数値に揃えたい・・・と前回、書きました。今回は、逆に、『フィールドガイド日本の野鳥』を新版で『新・山野の鳥』などに揃えた事例を紹介させて下さい。
 『フィールドガイド日本の野鳥』では増補改訂版(2007年発行)まで、アシ、アシ原と書かれていた部分を、新版(2015年発行)ではすべて、ヨシ、ヨシ原としました。『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』ではヨシ、ヨシ原で統一していることに揃えたわけです。ヨシをアシと呼んでも、日本語として間違いとは言えないかも知れませんが、植物の標準和名としてはヨシが用いられているからです。
 高野伸二の歴史的な遺作として『フィールドガイド日本の野鳥』を残すというミッションと、当会の財産として今後も活用するために時代に応じた修正を加えるというミッションのせめぎ合いの中で、悩むことが多々あります。高野が書いた部分は、確実な間違いと言えない限りは、できるだけ残すことを基本にしているのですが、「さえずり」の定義のように悩みつつも、微妙に変えてきたものもあります。
 増補改訂版以降、参考文献としている『鳥類学辞典』(2004.昭和堂)では、「さえずりと地鳴きの区別は慣例的なもので厳格な定義はむずかしい」と前置きした上で、鳴き方から区分する考え方と、機能で区分する考え方などが解説されています。鳴き方で区分するには「一般に地鳴きは単純で、さえずりは複雑」とされますが、ヤブサメのシシシシシやマキノセンニュウのチリチリチリなどは複雑と言えるでしょうか? ウグイスの谷渡りやモズの高鳴きなど、単純か?複雑か?が微妙なものあり、人の捉えかたによっても違うように思われます。
 機能で区分する場合、なわばり宣言的な機能を持つ声をさえずりとするなら、モズの高鳴きをさえずりと呼んでもおかしくありません。ただし、それは一般的な雄による繁殖なわばりの主張ではなく、雌雄の別なく越冬のためのなわばりを主張していると考えられており、繁殖期ではなく、秋に聞かれます。また、多くはないものの、秋や冬に繁殖期と同じような鳴き方で鳴く例、繁殖期に雌が雄のように複雑に鳴く例も知られています。鳥たちの声は多様で、機能はさまざまに考えられるだけでなく、調べられていないことが少なくありません。

<さえずるのは小鳥だけか?>
 高野は、『フィールドガイド日本の野鳥』初版でさえずりの用語解説を「繁殖期に主に小鳥類の雄が発する特徴のあるよい声で、なわばり宣言と雌の誘致の機能があるといわれる。鳥によっては大きな単調な叫び声が同様の機能を持つが、その場合はさえずりとは普通いわない」と書いていました。種ごとの解説文でも、非スズメ目では「さえずる」という言葉を使っていません。
 新版では悩みつつも、高野が書いた文はできる限りは残す方針から、非スズメ目では「さえずる」ではなく「鳴く」をそのままにしてあります。新版をお持ちの方は、P326のオウチュウカッコウの声の解説文を見て下さい。そこでも高野の文章に揃えて、「さえずる」ではなく「鳴く」にしています。
 ただし、日本語としては分類、機能、雌雄や季節も問わずに「さえずる」はよく使われます。近年は、非スズメ目でも繁殖期特有の鳴き方をさえずりと呼んでいる図鑑もあるし、モニタリングなどの調査でも、カッコウ目の雄の繁殖期特有の鳴き方は、繁殖可能性を示唆するために、さえずりとしているそうです。
 私は『新・山野の鳥』の解説を担当した際、さえずりを「繁殖期に主に雄が出す声」として『フィールドガイド日本の野鳥』と大きくずれないように配慮しつつも、鳴き方による区分は考えないようにしました。また、非スズメ目であってもカッコウ目、キジ目、ハト目などの雄の繁殖期特有の声はさえずりとしました。
 さらに、今日では『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』は鳴き声タッチペンを使って声を再生できるようになり、ペンでタッチする部分にS(さえずり)とC(地鳴き)が記されています。SにもCにも区分しにくい声もすべていずれかにしてあったので、事後に見せられて愕然としたのですが、著者である私の責任でもあります。そこで私がチェックしてからは、表紙裏に「音源提供者が繁殖期の声としたものをSとした」と注意書きを入れてもらいました。

<小鳥とは小さい鳥か?>
 「繁殖期に主に雄が出す」ではなく「繁殖期に主に小鳥の雄が発する」となっている『フィールドガイド日本の野鳥』では、「小鳥とは?」が記されているべきです。高野はもともと種の解説の前に科、その前に目を解説しており、スズメ目の解説の中で、・・・足は発達していてよく木にとまる。また、鳴管が発達していて、よい声でさえずるものが多い・・・と書いていました。私はそこに・・・多くは小型で、一般にまとめて「小鳥」と呼ばれるが、カラス科には大型の種もいる・・・とか、・・・「鳴禽類」とも呼ばれていた・・・などを追記しました。
 なお、小鳥の定義については、かつて野鳥誌の連載として書いたものが、現在もホームページ、
http://www.birdfan.net/bw/hint/anzai/037.htmlで見られますが、『新・山野の鳥』では、P5の「はじめに」で、小さくなったワケについて触れてあります。
 話がわかりにくくて申し訳ないのですが、私は「小鳥=スズメ目」「さえずり=繁殖期の声」と定義すべきと主張しているのではありません。厳密に定義することが難しい中で、図鑑としてはどう扱えばよいか?を考え、悩み続けている次第です。
 さえずりを繁殖期の声とするなら、交尾の際の声のほか、ディスプレイで発せられる声(カルガモ雄のヒーッなど)、雌雄デュエットの場合(コジュケイの雌がチョットコイの間に挟む声など)もさえずりに含めてよいのでしょうか? コジュケイではピョーと聞こえる一声や、コッ、コッ、コッと続ける声も、私は繁殖期以外に聞いたことがありません。これらをさえずりと呼ぶには違和感もありますが、季節や雌雄が限られているなら、地鳴きと呼んでよいものか?と考えてしまいます。
 さえずりがないスズメ目の例外として、よくカラス科とヒヨドリがあげられます。が、ヒヨドリにはピーヨロイロピなど、複雑な鳴き方も知られています。1羽でいる時に発せられることが多いようですが、その機能、雌雄や季節による傾向などはよくわかっていません。また、ここ数年、ヒヨドリの「ピピ、ジューイ」という声を各地で耳にするようになり、「わからない声」として問い合わせも増えています。繁殖期前後に、アンテナなどの比較的目立つところにとまって、単独で、決まった節回しで繰り返し鳴くなどの点はさえずりのイメージに合うのですが、頻度が高い場所や個体は限られているように思えます。



© 谷口高司

※画像:
 新版で谷口高司さんに追加していただいた図版から、今回はチャバラアカゲラ(上:雄、下:雌)です。
 特徴的な色を再現してもらうべく多々資料を集めましたが、谷口さんは韓国図鑑ですでに描いていたので、取り越し苦労となりました。


(普及室/安西 英明)


■自然保護室より

■札幌で市民フォーラム「再生可能エネルギー導入の環境利用を考える」を開催します■

 原子力発電や火力発電への依存を減らすため、再生可能エネルギーへの期待が高まり、全国各地で数多くの風力発電施設や太陽光発電施設の建設計画が急速に進んでいます。しかし、大規模なウインドファームやメガソーラー施設は、広い面積を必要とするため、その地域に生息する野生生物の生存を脅かす可能性があります。本フォーラムでは、再生可能エネルギーの導入を進めるにあたって、どこにどれだけの環境改変が生じうるのか、全体としてどのような影響が及ぶのかといった、土地利用を念頭においた議論の必要性を考えます。

【タイトル】:市民フォーラム「再生可能エネルギー導入の環境利用を考える」
【日 時】:平成28年8月20日(土) 13:00-17:00
【会 場】:北海道大学大学院地球環境科学研究院 D棟201号
【主 催】:公益財団法人日本野鳥の会
【共 催】:北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク
【協 力】:北海道大学大学院地球環境科学研究院 藤井賢彦研究室
【講演者】:
金子正美(酪農学園大/エネルギーチェンジ100)、丸山康司(名古屋大)、赤坂卓美(帯広畜産大)、浦達也(日本野鳥の会)ほか
【コーディネーター】:長谷川理(エコ・ネットワーク)
【申し込み方法】:
※参加費無料・定員200名(先着順)・要事前申し込み。@氏名、A住所、B所属、C連絡先(電話、Eメール等)をお伝えの上、以下のEメールアドレスまたは電話までお申し込みください。
・Eメールアドレス: [email protected]
・電話番号:090-7052-5496(担当 長谷川)

(自然保護室/浦 達也)


■風力発電に対する鳥類のセンシティビティマップ作りに関する検討会を開催します■

 当会は、今年の3月に開催した第1回・風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会において、今後、風力発電の導入が大規模に進む北海道北部で、風力発電の導入推進側と野鳥保護側とで協議を重ねながら、双方が活用できるような風力発電と野鳥の脆弱性マップを作成することにしました。
 その第2回目の検討会を8月21日(日)の10時から12時30分まで、北海道大学大学院地球環境科学院のD101号室(講義室1)で開催しますが、10名まで一般傍聴者を募集いたします。当日は、マップ作りに必要な現地調査のあり方や実際のマップ作りの方法論等について議論する予定です。
 傍聴希望者はEメールで、タイトルを「マップ作り検討会傍聴希望」として、@氏名、A住所、B連絡先(Eメール)、C所属、D当会員の有無を必ず記載し、8月10日(水)までに、[email protected]へお申し込みください。なお、応募者多数の場合は抽選とし、当選者は通知をもって代えさせていただきます。

(自然保護室/浦 達也)


総務室より

■平成28年度第1回理事会(定例)議事録■

1、開催日時 平成28年5月26日(木) 午後4時05分〜午後5時55分

2、開催場所 当財団会議室 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル3階

3、出席者
出席理事8名(理事現在数 9名)
安西 英明
上原 健
遠藤 孝一
佐久間 仁
佐藤 仁志
松田 道生
見田 元
吉田 新

出席監事
川村 研治
曽我 千文

傍聴
上田 恵介(評議員)
上原 治也(評議員)
徳田 俊一(顧問)
平島 淳 (参与)
篠木 秀紀(職員労働組合副委員長)
江面 康子(職員労働組合書記)
沖山 展子(職員労働組合会計)

事務局
葉山 政治(自然保護室長兼保全プロジェクト推進室長代理)
富岡 辰先(普及室長)
大畑 孝二(施設運営支援室長)
景山 誠  (会員室長代理)
奥田 秋穂(総務室長)
五十嵐 真(総務室長代理)
林山 雅子(総務室員)

4、議長 代表理事 佐藤 仁志

5、議決事項
第1号議案 平成27年度事業報告及び決算の件
第2号議案 「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」改定の評議員会付議の件
第3号議案 「就業規程」改定の件
第4号議案 資金運用執行責任者交代の件
第5号議案 公益目的保有財産処分の件

6、議事の経過の要領及びその結果
 理事会開催にあたり、冒頭、佐藤仁志理事長から挨拶があった。遠藤孝一常務理事が開会を宣言し、本理事会は定款第42条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨の報告がされた。
 また、上田恵介評議員、上原治也評議員、徳田俊一顧問、平島淳参与及び職員労働組合から3名の傍聴者が出席している旨の報告がされた。
 なお、議事録署名人については、定款第44条に基づき、出席した代表理事及び監事となっており、佐藤理事長、吉田新副理事長、川村研治監事及び曽我千文監事が署名人となることを確認した後、次の議案の審議に入った。

(1)第1号議案 平成27年度事業報告及び決算の件
 各室より、平成27年度事業報告について、資料に基づき説明があり、五十嵐真総務室長代理より、平成27年度決算について、寄付や遺贈により、一般正味財産は、約55,229千円の増加、指定正味財産は、約439,137千円の増加であること、公益会計の正味財産が増額となり、収支相償基準は未達であったこと、寄付により特定収入割合が増加し、結果として消費税納付税額は、約36,887千円にのぼったことが資料に基づき説明がされた。
 引き続き、曽我監事より、業務監査の結果、業務執行状況及び決算書類等に問題がない旨、資料に基づき監査報告がされた。
 見田元理事より、平成27年度監査報告に伴う意見の概要説明を求められ、川村監事より、将来を見据えての意見としたうえで、資料に基づき説明がされた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

(2)第2号議案 「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」改定の評議員会付議の件
 佐藤理事長より、「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」第2条について、年末年始や大型連休のある月などは、実情にそぐわないため改定する件を評議員会に付議することについて、資料に基づき説明がされた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

(3)第3号議案 「就業規程」改定の件
 五十嵐総務室長代理より、平成28年1月労働安全衛生法が改正され、ストレスチェックの実施が義務付けられたことにより、「就業規程」を改定する旨、資料に基づき説明がされた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

(4)第4号議案 資金運用執行責任者交代の件
 五十嵐総務室長代理より、「資金運用規程」第12条に基づき、資金運用執行責任者を、佐久間仁理事から上原健常務理事兼事務局長に交代する旨、資料に基づき説明がされた。
 見田理事より交代時期について質問があり、五十嵐総務室長代理より、本日からと回答がされた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

(5)第5号議案 公益目的保有財産処分の件
 吉田副理事長より、地方公共団体から土地の貸借を受けている施設に関して、土地の返還に際して地方公共団体と協議し、あらかじめ取決めておくことについて説明がされた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

7、報告事項
(1)理事の職務執行状況の件
 定款第28条第4項に基づき、佐藤理事長、吉田副理事長、上原常務理事及び遠藤常務理事より、平成27年12月から平成28年3月までの理事の職務執行状況について、それぞれが担当する案件について、資料に基づき報告がされた。
 曽我監事より、職務執行状況に関する詳細な資料を確認することは可能かとの質問があり、佐藤理事長からいつでも可能であるとの回答がされた。

(2)処遇見直しの件
 佐藤理事長より、長年の懸案であった職員等の処遇改善について、平成27年度財政基盤の改善が見られたこともあり、組合執行部と交渉等を重ねている旨、資料に基づき説明がされた。

(3)ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター再整備についての件
 佐藤理事長より、故越崎清司様のご遺贈により設立された越崎基金特定預金のおおまかな使途について、資料に基づき説明がされた。
 なお、使途のうち、ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター再整備について、同プロジェクトリーダーの大畑孝二施設運営支援室長より、耐震補強、鳥と緑の日野センターの図書保管のための補強工事等を実施する旨、資料に基づき説明がされた。
 松田理事より、再整備は改修のみかとの質問があり、大畑施設運営支援室長より、増築等はせず改修のみ行うとの回答がされた。
 松田理事より、ウトナイ湖サンクチュアリの適正な運営・管理関係の経費には人件費も含まれるのかとの質問があり、佐藤理事長より、人件費を含み、15年分を想定した費用を算出しているとの回答がされた。
 見田理事より、越崎基金特定預金の使途の優先順位について質問があり、佐藤理事長より、優先順位は特になく、毎年度必要な予算措置を行っていくとの回答がされた。

 議長は以上をもって全部の報告を終了した旨を述べ、午後5時55分閉会を宣言した。
 なお、理事会閉会後、永年勤続者及び平成27年度理事長賞表彰式が行われた。

 上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、佐藤理事長、吉田副理事長及び出席監事の名において記名、捺印する。


平成28年6月6日

公益財団法人日本野鳥の会


議長 代表理事  佐藤 仁志

代表理事  吉田   新

監  事  川村 研治

監  事  曽我 千文


▲永年勤続の古南幸弘氏


▲永年勤続の中村聡氏


(総務室/林山 雅子)


■平成28年度第2回理事会(臨時)議事録■

1、開催日時 平成28年6月15日(水)午後2時05分〜午後2時38分

2、開催場所 当財団会議室 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル3階

3、出席者
出席理事8名(理事現在数 9名)
安西 英明
上原 健
遠藤 孝一
佐久間 仁
佐藤 仁志
松田 道生
見田 元
吉田 新

出席監事
川村 研治

事務局
奥田 秋穂(総務室長)
五十嵐 真(総務室長代理)
林山 雅子(総務室員)

4、議長 代表理事 佐藤 仁志

5、議決事項
第1号議案 平成27年度決算修正の件
第2号議案 議決の省略案件の件


▲会議の様子

6、議事の経過の要領及びその結果
 理事会開催にあたり、冒頭、佐藤仁志理事長から挨拶があった。遠藤孝一常務理事が開会を宣言し、本理事会は定款第42条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨の報告がされた。
 なお、議事録署名人については、定款第44条に基づき、出席した代表理事及び監事となっており、佐藤理事長、吉田新副理事長及び川村研治監事が署名人となることを確認した後、次の議案の審議に入った。

(1)第1号議案 平成27年度決算修正の件
 五十嵐真総務室長代理より、平成27年度決算については、平成28年5月26日開催の平成28年度第1回定例理事会で承認をいただいたが、その後、出版事業収益額に誤りがあることが判明したため、本日臨時の理事会を開催し再度、承認を求めることになった旨の説明がされた後、出版事業収益額の集計に間違いがあったこと、修正の結果、公益事業会計の当期正味財産増減額は約18百万円の減額、収益等事業会計は約78百万円の増額となることが資料に基づき説明がされた。
 佐藤理事長より、決算については理事会承認から2週間の間を置き評議員会に諮らなければならないとされているが、やむを得ない事態として、本日、臨時理事会を開催したことに対し理解を求めた。
 これに対し、松田道生理事より、誤りが判明してから本日までの迅速な対応は妥当、また川村研治監事から、今回の措置は妥当であるとのコメントがあった。
 審議を経て、議長が賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

(2)第2号議案 議決の省略案件の件
 佐藤理事長より、就業規程第37条に基づき制定された賞罰等評価委員会設置細則に規定されている賞罰等評価委員会委員に係る議決の省略について、事前了解をいただきたい趣旨の説明があった。具体的内容としては、賞罰等評価委員会委員は、重要な賞罰決定に当たって公正・公平性を確保するため、弁護士1名とその他学識経験者(部外の有識者)2名を委員として指名することが定められており、この委員の選任に当たっては、細則に規定した委員ではあるが、理事会の承認を得た上で理事長が委嘱することとなっている。3名の委員については既に理事会の承認を得て確定しているが、昨年10月に上原前監事の後任として川村監事が就任されたことに伴い、当会役員である川村監事がこの3名に含まれる事態となった。当該委員は、その選定趣旨から部外の有識者を別途選任すべきと考えている。ついては、今後川村監事から辞任届を提出いただき、すみやかに新たな適任者を選任することとなるが、その時期が理事会開催予定時期とかけ離れた場合には、定款第43条の規定に基づき議決の省略案件として取り扱いたい旨の説明があった。
 審議を経て、議長が賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

 上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、佐藤理事長、吉田副理事長及び出席監事の名において記名、捺印する。

平成28年6月16日

公益財団法人日本野鳥の会

議長 代表理事  佐藤 仁志

代表理事  吉田 新

監  事  川村 研治

(総務室/林山 雅子)

■平成28年度第1回評議員会(定時)議事録■

1、開催日時 平成28年6月15日(水)午後4時08分〜午後5時50分

2、開催場所 当財団会議室 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル3階

3、出席者
出席評議員8名(評議員総数 8名) 敬称略、五十音順
石井 隆
石部 久
上田 恵介
上原 治也
北白川 道久
原 剛
丸谷 聡子
柳生 博

出席理事
安西 英明
上原 健
遠藤 孝一
佐久間 仁
佐藤 仁志
松田 道生
見田 元
吉田 新

出席監事
川村 研治
曽我 千文

事務局
奥田 秋穂(総務室長)
五十嵐 真(総務室長代理)
林山 雅子(総務室員)

4、議長 柳生博

5、議題
議決事項
第1号議案「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」改定の件


▲会議の様子

6、議事の経過の要領及びその結果
 遠藤孝一常務理事が開会を宣言、その後、柳生博評議員長から挨拶があった。引き続き、遠藤常務理事より、本評議員会は定款第22条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨、報告があった。
 議事録署名人については、定款第24条の規定により、出席した評議員長及びその会議において選任された1人となっており、評議員長の他、原剛評議員が選任され、本人も承諾し、直ちに議案の審議に入った。

7、議決事項の審議
(1)第1号議案「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」改定の件
 佐藤仁志理事長より、「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」第2条の規定について、年末年始や大型連休のある月などは、実情にそぐわないため改定する旨、資料に基づき説明が行われた。
 審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。

8、報告事項
(1)平成27年度事業報告及び決算の件
 佐藤理事長より、平成27年度事業報告について、事業計画に掲げた案件を概ね達成できた旨、資料に基づき説明がされた。引き続き、平成27年度決算について、五十嵐真総務室長代理より、平成27年度決算について、寄付や遺贈により、一般正味財産は、約55,229千円の増加、指定正味財産は、約439,137千円の増加であること、寄付により公益会計の収益額が増えて収支相償基準は未達であったことが資料に基づき説明がされた。
 丸谷聡子評議員より、主力商品である長靴の利益率悪化の原因について質問があり、佐藤理事長より、値上げ直後であったことなどから、仕入価格の上昇分を販売価格に上乗せしなかったことや、年度初めの春期における販売機会逸失を防ぐために在庫を増やしたことなどによるものだと回答があった。
 石井隆評議員より、身近な野鳥の調査・保護事業について、ツバメに続く種の検討が必要ではないかと意見が出され、佐藤理事長より、現在ツバメ事業が継続中であること、次の種についても、検討を深めているところである旨の回答があった。
 さらに、石井評議員より、野鳥保護区拡大の方針について質問があり、佐藤理事長より、タンチョウからシマフクロウに軸足を移していること、管理経費についても寄付金の一部を充当できるようにしていることなどの回答があった。

(2)平成28年度事業計画及び予算の件
 佐藤理事長より、平成28年度事業計画について、平成27年度と同様の事業を予定している旨、資料に基づき報告があった。また、予算は12月に策定しており、その後いただいた大口寄付を原資とした、ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター再整備事業等は、補正予算で追加する予定であることなどの説明があった。引き続き、平成28年度予算について、一般正味財産の部の経常増減額は37,552千円増、全体では正味財産期末残高が2,418,704千円となることなどが資料に基づき説明された。
 丸谷評議員より、自然エネルギー対策の取り組みについて、湿地や水辺等に設置される太陽光発電パネルに係るガイドライン作成などの取り組みも必要ではないかとの意見が出され、佐藤理事長より、野鳥に影響を及ぼす恐れのある太陽光発電パネルが急増していることは把握しており、現在、外国の事例等を取りまとめている最中であると回答があった。
 石井評議員より、中長期計画が必要であるとの意見が出され、佐藤理事長より、作成する方向で努力をしているところである旨の回答があった。
 さらに、石井評議員より、人事についての説明を求める意見があったが、上原治也評議員から、人事は理事会に任せるべき案件であるとの意見が出された。
 また、佐藤理事長から人事の話等は理事懇談会で議論をしており、理事会の議事録には記載されないとの説明があった。

(3)平成27年度第4回、第5回理事会及び平成28度第1回理事会の結果の件
 佐藤理事長より、平成27年度第4回、第5回及び平成28年度第1回理事会の結果について、資料に基づき報告があった。
 川村研治監事より、理事及び評議員選出手続きについて確認があり、候補者は評議員長が原案を作成し提案を行っていること、推薦したい人がいる場合には事前に評議員長に相談すること等が確認された。

 議長は以上をもって全部の報告を終了した旨を述べ、午後5時50分閉会を宣言し解散した。

 以上の議事を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人がこれに記名押印する。

平成28年6月24日

公益財団法人 日本野鳥の会定時評議員会

議長     柳生 博

議事録署名人 原  剛

(総務室/林山 雅子)

■上田恵介副会長山階芳麿賞受賞■

 既にご承知とは思いますが、当会評議員・副会長の上田恵介立教大学名誉教授が、第19回山階芳麿賞を受賞されました。


▲2015年連携団体全国総会の上田評議員

 山階芳麿賞は、山階鳥類研究所が、財団創立50周年にあたる1992年に、鳥学の発展及び鳥類保護に寄与された山階芳麿博士の功績を記念して創設した賞で、わが国の鳥学研究と鳥類の保護活動に寄与された個人や団体を顕彰するものです。
 今回の受賞理由は、カッコウの仲間が別種の鳥の巣に卵を産み、子育てをさせる托卵習性に関する世界的な発見をはじめ、鳥類の配偶行動についての種々の行動生態学的研究成果に対してです。
 なお、昨年度の連携団体全国総会で「鳥類学の最前線〜カッコウ類と宿主の進化的攻防戦」と題する上田先生の特別講演が行なわれました。
 ご参考までに、支部ネット通信2016年1月号に掲載された記事を転載しますのでご一読ください。

 カッコウの托卵習性は紀元前300年ごろから知られており、ヨーロッパでは、2000以上の論文が発表されるなど研究が進んでいる。托卵は一見すると親にとって楽な繁殖方法に思われるので、多くの野鳥が行うと考えられるが、托卵をするのは鳥類のほんの1%程度に過ぎない。北米の托卵鳥の代表コウウチョウ、仮親のヒナを鋭いくちばしで殺してしまうミツオシエ、カモの仲間では唯一托卵をするズグロガモなどがよく知られている。
 托卵の大きな問題は、仮親は他の種の卵を育てるだけでは、自分のDNAを残せない、種の存続が危ぶまれるということである。しかし、一方的ではなく、寄生する側と宿主となる側の攻防がある。例えば、モズの場合、巣の近くにいるカッコウを攻撃したり、カッコウの卵を排除するようになったりする。カッコウは卵が排除されないように色に変化をつけたりする。
 また、カッコウは、宿主転換することがある。カッコウの卵には線状紋があるものが多い。ホオジロにもこの線状紋がある。これはホオジロに托卵していたことの名残りと考えられる。攻防の末、ホオジロが勝利したのであろう。進化は偶然の繰り返しの結果である。
 ホトトギスはほとんどがウグイスに托卵する。この戦いは万葉集にも記載されており、1300年前からこの関係は続いている。これは、ウグイスの繁殖開始時期が早く、ホトトギスが渡ってくる前に1回目の繁殖が成功しており、2回目、3回目の繁殖で托卵されても種の存続が危ぶまれる事はないからであろう。
 ジュウイチは、オオルリ、コルリなどオスが青くて地面に近いところに巣を作る種に托卵することが多い。
 ホトトギスやジュウイチなど寄生した種のヒナは宿主の親鳥より大きく、一羽分の餌では十分に育つことができない。ヒナはこの問題にどのような対策をしているのか。カッコウの場合、大きい声と声を発する間隔を短くして、ヒナの数が多いように偽装している。ジュウイチの場合は翼角をくちばしだと錯覚させ、ヒナの数を多く見せている。カッコウ類と宿主の興味深い研究はまだまだ続いている。

(総務室/奥田 秋穂)

■平成28年度連携団体全国総会■

 平成28年度連携団体全国総会についてお知らせします。
 今年度は、1団体1名に限り交通費及び宿泊費の全額補助を試行しますので、奮ってご参加ください。
 参加申込、テーマ募集などの詳細はおってご案内しますが、先ずはご予定くださるようお願いいたします。

【開催日】平成28年11月12日(土)13時〜11月13日(日)12時
【開催場所】クロスウェーブ幕張
  住所:〒261-0023 千葉市美浜区中瀬1-3
  電話:043-298-1161
【最寄駅】JR京葉線海浜幕張駅徒歩3分
【交通手段】羽田からリムジンバスで40分
        東京からJRで35分
【補助】宿泊費の補助は、開催場所に併設の宿泊所を利用した場合に限ります。
  1団体2人目からは補助がありませんのでご注意ください。
  ※懇親会費用は、各自お支払いいただきます。
【その他】会場の都合により、オークションは実施いたしません。


▲クロスウェーブ幕張全景写真


▲2015年度総会・会長挨拶


▲2015年度総会・休憩時間を利用した物販風景


▲2015総会・集合写真


▲宿泊施設

(総務室/林山 雅子)

■支部・代表者・事務局変更のお知らせ■

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。
【代表の変更】
●日本野鳥の会吾妻
新代表:植木 正勝
前代表:松本 倖市郎
変更年月日:2016年7月1日より

(総務室/鈴木 美智子)

会員室より

■平成28年熊本地震への対応状況■

 この地震で大きな被害がありました、熊本県、大分県の現在の状況と7月11日までの財団事務局の対応をご報告いたします。

●熊本県支部、大分県支部の状況と対応について、引き続き状況確認のため連絡をしております。

○熊本県支部
 熊本地方の地震活動は落ち着く方向であることから、支部と協議の上、4月下旬、5月下旬に一旦発送を停止した「会員ご継続のお願い」「会費自動引き落としのお知らせ」の発送を再開することにいたしました。また、ご自宅の全半壊など大きな被害にあわれた会員の方については、本部会費・熊本県支部会費を一年間免除することになりました。熊本県では被害の範囲が広いため、県内在住の会員の皆さま全員へ会費免除のご案内と、被災状況と会費免除を自己申告いただく返信はがきをお送りすることにいたしました。これらは7月下旬頃までに発送いたします。発送が遅れましたことをお詫び申し上げます。

○大分県支部
 6月号でご報告いたしましたが、4月下旬に一旦発送を停止しておりました「会員ご継続のお願い」「会費自動引き落としのお知らせ」は6月中旬に発送いたしました。また、被害が大きかった由布市、別府市、竹田市に在住の会員22名の方へ、会費免除のご案内と被災状況把握と会費免除を自己申告いただく返信はがきを個別にお送りしております。

●今後
 地震後の豪雨の被害が心配されましたが、現在大きな被害の報告はございません。今後の状況につきましても支部に確認しながら、ご報告させていただきます。会費免除の申請があった会員の方が、熊本県支部、大分県支部以外の支部に所属されていた場合は、該当支部へ個別に会費免除のお願いをさせていただく場合もございます。その節は支部別にご相談させていただきますので、ご配慮していただければと存じます。

(会員室/沖山 展子)


会員室より

■会員数■

 7月1日会員数35,862で、先月に比べ9人増加しました。6月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より7人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。6月の入会者数は140人で、前年同月の入会者193人に比べ53人減少しました。また、6月の退会者は147人で、前年同月の退会者176人に比べ29人減少しました。

表1. 6月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(7月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(7月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

 厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 5、6月に開催されました理事会・評議員会の議事録を掲載しました。当会の運営に関わる内容が掲載されています。どうぞご確認ください。また、11月に開催予定の連携団体全国総会のお知らせを掲載しました。会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしております。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第148号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2016年7月25日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]