No.149 2016年08月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせなど
第19回日本野鳥の会中四国ブロック交流会報告
平成28年度日本野鳥の会近畿ブロック会議報告
◆事務局からのお知らせなど
8月号『フィールドガイド日本の野鳥』
 増補改訂新版の取り組み

支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.806

●2016/6 札幌
・奥深いカラスのお話(NPO札幌カラス研究会)
・抱卵するマルハナバチ(さっぽろ自然調査館)
●2016/6 郡山
・原発事故のウグイスを調べる(東京大学)
●2016/6 三重
・キツツキの話
・ツルシギ
●2016/6 兵庫
・リュウキュウサンショウクイ
・ホトトギス
●2016/6 香川県
・ソウシチョウ
・27年度ガンカモ一斉調査
●2016/6 徳島県
・2016年干潟・湿地を守る日
・2016年春に見られた黄色の希少セキレイ
●2016/6 山口県
・2016年春期シギ・チドリ類の県内一斉調査(幹事)

●2016/6 札幌
・奥深いカラスのお話(NPO札幌カラス研究会)
 カラスはソーラーパネルに石を落とし、壊す事件を起こしている。地上に落下したカラスの雛を守るために、カモの雛同様の対応には文句が出る。カラスに頭を蹴られないように腕を真っすぐ上げておくと効果がある。札幌ではカラスはゴミ回収車に入り込む程、人慣れしているが、決して手で触れない距離を保つ。動物園で餌を採るのは札幌ではブトが主でボソはブトに遠慮している。名古屋ではこれは逆になる。美味しい食べ物は雛や雌に運ばず、自分で食べてしまう雄がいる。
(札幌「カッコウ」NO.384,P4〜9)

・抱卵するマルハナバチ(さっぽろ自然調査館)
 マルハナバチは北方系の昆虫で、敏捷性がある、高い体温を持ち、飛翔時は35〜40℃になる、巣を作る等は野鳥と共通点がある。更に女王バチは卵や幼虫がいる初期巣を抱きかかえるように暖める。
(札幌「カッコウ」NO.384,P11)

●2016/6 郡山
・原発事故のウグイスを調べる(東京大学)
 2015/6、7、高線量地点で換羽期に入る前に、頭部の羽毛が抜け、皮下が黒変した4羽のウグイスが捕獲された。いずれも♂で内1羽は2013年から5回捕獲され、2015/7に皮膚の破れを伴う羽毛脱落が発症し、その間の発症は確認されていなかった。
(郡山「かっこう」NO.94,P2〜3)

●2016/6 三重
・キツツキの話
 木が無い南極やサハラ砂漠には当然、豪州、ニュージーランドにもキツツキはいない。ウォーレス線の東側には哺乳類では人と犬以外はいない。キツツキは飛べるのにこの線を越えないのは不思議である。アカゲラは渡りをし、北海道の白神岬を秋に通る。北米には樹液に依存するキツツキがいる。嘗て対馬にキタタキという巨大なキツツキがいたが、今は絶滅し、東南アジアに残る。キツツキの趾は前の3本の内、外側の1本が後まで回り、対趾足と言う。後趾の他の1本はかなり短い。ミユビゲラはこの後趾を欠き、前趾だけで不都合無い。コゲラは熱帯のキツツキの仲間で、温帯北部の他のキツツキとは別の系統である。石川啄木の啄木はキツツキの事である。
(三重「しろちどり」NO.88,P3〜4)

・ツルシギ
 ツルシギは春のシギ・チドリの渡りの中で最も早く観察される。三重県では秋は幼鳥ばかりで、越冬はしていない。夏羽では見事なまで黒くなる。ツルシギは泳ぎ、他の種が採餌できない水位でも餌を採る。三重県では夏羽に換羽するまで滞在するのは曽原大池のみで、渡来数は2009年:27羽、2010年:15羽、2013年以降は9羽まで減っている。
(三重「しろちどり」NO.88,P5〜9)

●2016/6 兵庫
・リュウキュウサンショウクイ
 翼下面の白色帯はサンショウクイは幅が広く、リュウキュウサンショウクイでは細い。声はピリピリに対し、リュウキュウではビリビリ、声紋では後上がりに対し、リュウキュウでは抑揚が無い。両種は交雑しないようで、独立種との説もある。
(兵庫「コウノトリ」Vol.212,P2〜3)

・ホトトギス
 秋田には「とっと(ツツドリ)に籾まき、かっこ(カッコウ)に粟まき、ほととぎすに田を植えよ」と言い伝えがあり、この順序で渡って来る。筒状に巻かれて落ちているオトシブミの揺籃を「ホトトギスの落とし文」と奥ゆかしい名前が付いている。3人の天下人の性格を表す有名な川柳があるが、織田信長の末裔の織田信成選手は信長への返句として「鳴かぬなら それでいいじゃん ホトトギス」とある。岡山県の鳥はホトトギスであったが、托卵のイメージから1994年、キジに変更している。
(兵庫「コウノトリ」Vol.212,P5)

●2016/6 香川県
・ソウシチョウ
 ソウシチョウは日本生態学会が定めた「日本の侵略的な外来種ワースト100」にリストアップされ、環境省の「特定外来生物」に指定されている。2000年頃より四国でも野生化が確認され、香川県では初めての確認は2007/4、綾川町である。これが閉園したレオマワールドから逃げたのが広まったとの説の元になっている。他県からの自然分散もあり、正常な繁殖が維持されているのであろう。
(香川県「かいつぶり」NO.389,P1〜2)

・27年度ガンカモ一斉調査(研究部)
 1/4〜15、香川県下188箇所で調査した。総計18種、18,561羽で、内訳はヒドリガモ4,535、ホシハジロ3,270、マガモ2,888、コガモ1,949、ハシビロガモ1,771、カルガモ1,120、オナガガモ995、キンクロハジロ660、ミコアイサ396、スズガモ301、オカヨシガモ258、ヨシガモ225等。3年の増減周期性が見られた。地況別では人造湖計1,191haで11,514羽、河口789haで2,887羽、河川237haで2,757羽、海域2,813haで1,161羽、ダム湖251haで147羽であった。
(香川県「かいつぶり」NO.389,P3〜4)

●2016/6 徳島県
・2016年干潟・湿地を守る日
 1997/4/14、諫早湾の3,542haの干潟が閉め切られ、日本湿地ネットワーク(JAWAN)は1999年から同日を「干潟・湿地を守る日」として行事を行ってきている。4/17に採択された宣言文は下記。
http://www.jawan.jp/wdj/2016/notice/sengen.html
(徳島県「野鳥徳島」NO.453,P4〜5)

・2016年春に見られた黄色の希少セキレイ
 今春、台風並みに発達した西風で、徳島県に3種の希少セキレイが運ばれてきた。4/22〜24、阿南市でキガシラセキレイ♂夏羽(県内2例目)、5/6〜7、徳島市で亜種キタツメナガセキレイ♂夏羽(県内初)、5/1〜2、阿南市で亜種シベリアツメナガセキレイ♂夏羽(県内初)。ツメナガセキレイには5亜種あり、亜種ツメナガセキレイ(北海道)、その北のカムチャッカ半島で繁殖する亜種マミジロツメナガセキレイ、中国東北部の亜種キタツメナガセキレイ、その北側に亜種カオジロツメナガセキレイ、更に北の極地に亜種シベリアツメナガセキレイが分布している。亜種ツメナガセキレイ、亜種マミジロツメナガセキレイ以外は我国への渡来は稀である。
(徳島県「野鳥徳島」NO.453,P6〜7)

●2016/6 山口県
・2016年春期シギ・チドリ類の県内一斉調査(幹事)
 4/29、山口県内20箇所で調査した。総計1,441羽で内訳はチュウシャクシギ972、ハマシギ182、アオアシシギ53、タカブシギ53、ソリハシシギ40、キアシシギ31、ダイゼン30、イソシギ20等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.245,P13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.807

●2016/7 苫小牧
・見直そうオオジシギ(本部保全プロジェクト推進室)
●2016/7 埼玉
・タカの渡り、埼玉県内のルートは?
・2016年春シギ・チドリ類調査(研究部)
●2016/7 東京
・迫るオオタカ希少種解除への疑問と提言(鳩山野鳥の会)
・ミシシッピーアカミミガメとニホンイシガメ
・2016カモ水鳥越冬期調査
●2016/7 南富士
・猛禽類調査
●2016/7-8 広島県
・違法飼養のメジロ
・春のシギ・チドリ渡り調査
・広島城のササゴイ受難
●2016/7 筑後
・ブッポウソウの保護
●2016/7 宮崎県
・カンムリウミスズメ ジオロケータで移動経路を探る(枇榔島調査研究会)
・サシバ春の渡り調査

●2016/7 苫小牧
・見直そうオオジシギ(本部保全プロジェクト推進室)
 (公財)日本野鳥の会は今夏からオオジシギの保護のため、勇払原野で「オオジシギ保護調査プロジェクト」をスタートさせた。
http://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/oojishigi-project/
(苫小牧「あおさぎ」NO.207,P11)

●2016/7 埼玉
・タカの渡り、埼玉県内のルートは?
 埼玉県ではサシバは筑波山方面から南西に入るコースと印旛沼方面から西へ入るコースがあるとされる。飛去方向は板戸方面から天覧山を通り、奥多摩、大月辺りから富士山西側へ抜ける。南の丹沢を抜け、富士山南側へのコースもあると推定される。県中央部では秋のタカの渡りコースは落雷多発地や突風、竜巻発生地域と符合していると思われる。サシバの渡り開始は餌補給する甲府〜長野付近の最低気温20℃が目安となる。天覧山では渡りのピークは9/22〜29と10/1〜5の2回ある。
(埼玉「しらこばと」NO.387,P2〜3)

・2016年春シギ・チドリ類調査(研究部)
 4/29、さいたま市の大久保農地で調査した。3種、20羽(タシギ9、コチドリ6、チュウシャクシギ4、不明1)で、群れで飛来していたムナグロ(2009年337羽、2012年45羽、2013年211羽)は3年前からは確認されず。個別に別に3羽のムナグロが確認できた。
(埼玉「しらこばと」NO.387,P5)

●2016/7 東京
・迫るオオタカ希少種解除への疑問と提言(鳩山野鳥の会)
 オオタカの希少種動植物からの指定解除が最終段階に入っている。しかし、その検討は科学的根拠を欠くため、一旦白紙に戻し、実地調査に基づき、科学的定量的に再検討すべきである。尾崎ほか(2008)の関東周辺での生息環境モデルから推測し、関東周辺には5,818羽が生息可能とし、それを指定解除の根拠にしていた。推計値をそのまま使うと過大評価になると指摘され、2016年現在の状況も不明のままである。2014年、環境省が行ったアンケート調査では「繁殖数は2000年代をピークに頭打ちか、減少傾向にある」と専門家の一致した見解である。3月の東京での意見交換会で、環境省は尾崎(2008)ではなくアンケート結果に拠ったと変更し、指定解除の根拠となる数値データは無いと明言した。比較できる最新の数量データに基づいた科学的検討が必要である。
(東京「ユリカモメ」NO.729,P3)

・ミシシッピーアカミミガメとニホンイシガメ
 ミシシッピーアカミミガメは近年、ハスを食べる農業被害で問題になっている。在来種のニホンイシガメも激減している。ミシシッピーアカミミガメを特定外来種にする動きもあるが、そうなると分かると、飼われているものが大量に捨てられる恐れがあり、躊躇されている。嘗ては川には泳ぎの上手いニホンイシガメが多く、池には泳ぎが上手くないクサガメと棲み分けていたが、クサガメも江戸時代に朝鮮半島から移入された可能性が高い。ニホンイシガメとの雑種化の問題もある。
(東京「ユリカモメ」NO.729,P11)

・2016カモ水鳥越冬期調査
 1月、主に北多摩地区の中小河川で調査した(幹事)結果を示す。この水辺には1980年代を中心にオナガガモが定着し、ユリカモメが東京湾から遡上していた。今では小型種のコガモ、ヒドリガモが目立つ。6水系でカモ類2,328羽、内訳はコガモ675、カルガモ670、ヒドリガモ460、オナガガモ403、キンクロハジロ55、マガモ39等。その他水鳥はオオバン128、ユリカモメ60、コサギ29、カワウ15、カワセミ8等。
(東京「ユリカモメ」NO.729,P16)

●2016/7 南富士
・猛禽類調査
 大規模な自然改変を伴う事業が計画されると、自然環境や生き物への影響を最小限に抑えるための調査が法律で義務付けされている。野鳥の場合は生態系の頂点に立つ猛禽類を調べる。必要な機材は双眼鏡、望遠鏡、カメラ(300o以上望遠)、無線機、ICレコーダー、必要な能力は識別力、捕捉して最後まで追跡、地図、地形を読む力、無線で近隣著者へ即連絡、撮影記録、ICレコーダーでやりとり記録、これらを同時にこなす事である。
(南富士「さえずり」NO.404,P5〜6)

●2016/7-8 広島県
・違法飼養のメジロ
 4月、東広島市で民家の火災があった。警察官立ち合いでメジロ篭30個、メジロ12羽が発見され、あわや焼死であった。自宅からは密猟道具が見つかり、メジロは翼の損傷が著しく、動物園でリハビリ、その後放鳥された。野鳥の愛玩飼養が禁止されて6年、違法飼養は後を絶たない。
(広島県「森の新聞」NO.205,`5)

・春のシギ・チドリ渡り調査
 4/29前後、県内10箇所で調査した。23種、975羽を記録した。内訳はハマシギ359、チュウシャクシギ202、ダイゼン95、ソリハシシギ71、キアシシギ70、イソシギ42、コチドリ33、タカブシギ18、シロチドリ16、クサシギ15等。
(広島県「森の新聞」NO.205,P9)

・広島城のササゴイ受難
 今年、広島城内で営巣したササゴイの巣3つの内、2つは空。内1つでネコが巣内で昼寝していた。
(広島県「森の新聞」NO.205,P10)

●2016/7 筑後
・ブッポウソウの保護
 ブッポウソウは環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧TB類であるが、広島県、岡山県、長野県天龍村では巣箱による保護で個体数増加傾向にある。山梨県身延町、宮崎県高原町では繁殖地が天然記念物に指定されている。福岡県矢部村では一昨年2羽、今年4羽が確認された。カメラマンが長時間、橋の下に居座り、注意しても聞かないので、県へ注意看板設置を交渉する。
(筑後「まめわり」NO.182,P10)

●2016/7 宮崎県
・カンムリウミスズメ ジオロケータで移動経路を探る(枇榔島調査研究会)
 枇榔島で繁殖を終えたカンムリウミスズメがどこへ行くのか調査した。2012/4、5羽にジオロケータ(2g)を装着し、2014/4、1羽が回収された。山階鳥類研究所の協力で、その移動経路が判明した。島を出て東へ伊豆諸島から北上し、福島県沖で暫く滞在、その後北海道南、津軽海峡を通り、日本海へ、樺太西岸を北上、沿海州沿い南下、ナホトカ沖で滞在、朝鮮半島東岸から西岸沿い北上し、反転して戻ってきた。次の年は瀬戸内海を通って東へ移動しており、経路が異なる。確認された事は反時計周りに日本海を抜け、日本海では対馬海流ではなく、リマン海流を利用し、毎年枇榔島に戻って来る。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.250,P2〜4)

・サシバ春の渡り調査
 金御岳で3/20〜4/11、初めて春のサシバ渡り調査をした。16日間で1,579羽がカウントされた。特に3/30は1,104羽が集中した。前日の3/29、トカラ列島でサシバ2,100羽通過と聞く。2013/3/28にも金御岳で1日1,000羽通過の情報がある。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.250,P6)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.808

●2016/6 十勝
・2016年春季のシギ・チドリ類確認状況
●2016/7 茨城県
・ オオハクチョウの死(環境計画部)
・アメリカコアジサシ日本初記録(山階鳥研NEWS 264 2016/3/1)
●2016/7 千葉県
・7月の水田で起こっていること(幹事会)
・アホウドリ雛巣立つ(5/24日本経済新聞)
・ベニアジサシ模型設置(5/27琉球新報)
・行徳野鳥観察舎に県行革審答申(5/24毎日新聞)
●2015/9 岐阜
・絶滅したドードー
●2015/10 岐阜
・ブッポウソウ(事務局)
●2016/7 北九州
・コアジサシが産卵
●2016/7 筑豊
・録音でつき合う野鳥の世界
・ワシタカ・ハヤブサ類識別講座

●2016/6 十勝
・2016年春季のシギ・チドリ類確認状況
 5月、池田町川合湿地でカウントした。計12日の調査で内陸部にも関わらず13種のシギ・チドリ類を確認した。最大数はタカブシギ10、コチドリ10、イソシギ6、トウネン5、オオジシギ3、キアシシギ3、ヒバリシギ2、メダイチドリ、タシギ、オグロシギ、オオソリハシシギ、クサシギ各1。ここは太平洋側からオホーツク海側へ抜けるルート上にあると考えられる。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.192,P22〜23)

●2016/7 茨城県
・ オオハクチョウの死(環境計画部)
 小美玉市の池花池でオオハクチョウが相次いで死亡している。他の水鳥には出ておらず、特定の家族群に見られるのは、他場所での影響では。死因検査で肝臓から基準値を超える鉛が検出された。獣医の話では「摂食した鉛は、通常3日以内に2/3が溶解し、腸で吸収され赤血球に沈着し全身に運ばれる。7〜12日で重篤な症状が出る」とある。オオハクチョウが多数渡ってきてから3日目で初の死亡例があり、この近くではなく、渡って来る途中の北日本での鉛が原因ではないかと考える。
(茨城県「ひばり」NO.332,P4)

・アメリカコアジサシ日本初記録(山階鳥研NEWS 264 2016/3/1)
 2014/7/18、茨城県神栖市で標識調査中に2羽のアメリカコアジサシが捕獲された。1羽に足環があり、米国ノースダコダ州で放鳥されたものであった。今回のアメリカコアジサシは東アジアでも初記録となる。北米、西インド諸島の砂浜海岸や内陸部の河川で繁殖し、欧州、北アフリカ、アジアに分布するコアジサシと同種とされていたが、近年、別種として扱われる。腰と尾はコアジサシは純白であるが、アメリカコアジサシは灰色がかる。鳴声も両者で異なる。
(茨城県「ひばり」NO.332,P22)

●2016/7 千葉県
・7月の水田で起こっていること(幹事会)
 千葉市内の水田に「ラジコンヘリによる農薬散布地区です。車両等の乗入はご遠慮ください」の掲示が出ている。ネオニコチノイド系の農薬が散布され、これは毒性が極めて強く、動物の脳内情報伝達を阻害し、EC圏内では使用禁止になっている。水溶性で水田の小動物、魚類が被害を受け、その上位にある野鳥にも影響があるのは容易に想像できる。除草剤の毒性の方も研究はあまり進んでおらず、小動物消滅で同じ問題がある。
(千葉県「ほおじろ」NO.423,P2)

・アホウドリ雛巣立つ(5/24日本経済新聞)
 5/23、山階鳥類研究所は新繁殖地を目指している小笠原諸島聟(むこ)島で、初のアホウドリの雛が巣立ったと発表した。5/14、雛は崖下の海上を泳ぐのが確認された。同島から20km離れた嫁島でも5/9、雛1羽がいるのを確認している。
(千葉県「ほおじろ」NO.423,P12〜13)

・ベニアジサシ模型設置(5/27琉球新報)
 5/16、環境省やんばる野生生物保護センターはベニアジサシのデコイ34体を名護市屋我地島の「国指定鳥獣保護区」に設置した。ベニアジサシのデコイを使った調査は初となる。6〜8月に繁殖ピークを迎えるため、人が岩礁に近づかないよう呼び掛けをしている。
(千葉県「ほおじろ」NO.423,P13)

・行徳野鳥観察舎に県行革審答申(5/24毎日新聞)
 5/20、千葉県行政改革審議会は耐震不足で廃止が検討されている行徳野鳥観察舎について「県の施設として存続は適当とは言い難い。跡地について市川市と十分協議すべき」との答申案をまとめた。6月上旬知事へ答申され、パブリックコメントを経て7月末に最終方針が決定する。答申案では「利用者が近隣住民であるため、県の耐震改修や建て替えの財政負担は適当ではない。観察舎が今まで果たしてきた役割、利用実績を考慮し、県は市川市と協議を求める」としている。
(千葉県「ほおじろ」NO.423,P13)

●2015/9 岐阜
・絶滅したドードー
 ドードーは「不思議な国のアリス」に登場し、コーカスレース(堂々巡り)をするずんぐりした巨大鳥のモデルになっている。DoDoはハト目の鳥で、ポルトガル語でノロマの意である。マダガスカル島東方のマスカリン諸島に生息していた。1598年、オランダの艦隊がモーリシャス島に寄港後、ヨーロッパに紹介された。3亜種がいたとされる。この分類研究に徳島藩主がオックスフォード大学で骨格標本を見て、「ドードーとその一族」の論文を書いている。飛べないドードーは食用にされ、1681年を最後に絶滅した。英国の博物館に唯一の剥製があったが、1755年焼却されてしまった。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.575,P10)

●2015/10 岐阜
・ブッポウソウ(事務局)
 岐阜県内では1980年頃より橋梁の穴を利用するブッポウソウが目に付き始めたが、2002年にはカラスの食害、オシドリとの巣穴競合で繁殖しなくなった。この橋の構造は長野県にもあり、同時期長野県でも消滅と聞く。2005年冬、本部保護部が中心になり、巣箱架けを行ったが、巣箱にブッポウソウは現れず、揖斐の谷から姿を消したままである。いなくなってからの巣箱架けでは回復は困難である。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.576,P2)

●2016/7 北九州
・コアジサシが産卵
 北九州市の響灘ビオトープで今回、初めてコアジサシの産卵が確認された。支部は同地で1haをコアジサシ繁殖地として、管理事務所と共に、3月末〜4月、貝殻で砂礫地を作り、デコイを置いた。5月上旬15羽が訪れ、内2番で産卵があった。環境省はコアジサシの全国調査を1995〜2011年に行ったが、毎年営巣地を変える習性のため、コアジサシの現状は良く分かっていない。国内への飛来数は5千〜1万のデータがある。
(北九州「北九州野鳥」NO.361,P11)

●2016/7 筑豊
・録音でつき合う野鳥の世界
 観察で五感の内、視覚と聴覚の情報を多く摂取している。視覚情報量83%、聴覚11%に達する。今では野鳥観察は双眼鏡、望遠鏡ではなく、望遠カメラのモニターからとなっている。小型デジタル録音機は聴覚識別力を一気に高める。録音はライブ録音とタイマー設定での放置録音がある。後者では新たな知見が得られる。
http://yacho.org/cbird/pages/4_kazakiri/tanaka.htm
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.461,P19〜20)

・ワシタカ・ハヤブサ類識別講座
 翼指はハイタカ6本、ツミ5本、アカハラダカ4本である。アカハラダカを除くハイタカ属は繁った枝の中にとまる傾向が強く、目立つ所にはとまらない。
http://yacho.org/cbird/pages/4_kazakiri/hatano/course2_01.htm
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.461,P21〜24)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.809

●2016/6 根室
・根室市友知海岸を調査(春国岱原生野鳥公園担当)
・風蓮湖・春国岱のラムサール条約湿地登録について(顧問)
●2016/7 いわき
・ツマグロヒョウモンがいわきまで北上
●2015/12-1 栃木
・オオタカ希少種解除について
・サシバの里新トラスト地を確保
●2016/4-5 栃木
・オオセッカ同種誘引(NPOおおせっからんど)
●2015/11 岐阜
・ジョウビタキの繁殖(飛騨ブロック)
・絶滅した鳥カンムリツクシガモ
●2015/12 岐阜
・全国野鳥密猟対策連絡会報告から
●2016/1 岐阜
・絶滅した鳥ミヤコショウビン
●2016/7 高知
・四万十川でブッポウソウを探してみよう!
●2016/7 長崎県
・2015年9月アカハラダカ渡り調査

●2016/6 根室
・根室市友知海岸を調査(春国岱原生野鳥公園担当)
 2006/2、斜里町のオホーツク沿岸に油汚染された海鳥5,600羽の死骸が打ちあがった。それを機にオホーツク支部の呼びかけで油汚染モニタリングとして道内各地で海岸調査が始まった。根室管内は今年から根室支部が釧路支部から調査を引き継いでいる。
http://www.wbsj-okhotsk.org/beachcensus/cbs.htm
(根室「フレチカップ」NO.101,P2)

・風蓮湖・春国岱のラムサール条約湿地登録について(顧問)
 風蓮湖・春国岱がラムサール条約湿地に登録されて11年になる。1980年同地は日本の同指定第1号の候補であった。当時、北海道は率先して同意したが、根室市、別海町は地域開発、漁業振興、海岸道路に支障があるとして反対し第1号は夢になった。その後の本部の故高田勝さんの調査活動、共存説得活動の功績は大きく、2005/11になって国内16番目の登録地が実現した。
(根室「フレチカップ」NO.101,P4)

●2016/7 いわき
・ツマグロヒョウモンがいわきまで北上
 ツマグロヒョウモンは南方系の蝶で、南西諸島にいる毒を持つカバマダラに擬態している。2000年代には東京近郊まで北上し、数年前から福島県いわき市でも爆発的に増えている。温暖化や、蜜源植物のセイタカアワダチソウの増加がツマグロヒョウモンの分布拡大に拍車をかけている。擬態先のカバマダラは北上していないので、カバマダラを見ずその毒性を知らない地区ではツマグロヒョウモンは野鳥に捕食されると想定される。
(いわき「かもめ」NO.131,P5)

●2015/12-1 栃木
・オオタカ希少種解除について
 9/22、読売新聞一面に「種の保存法で希少種に指定されているオオタカ、環境省は来春にも指定解除」の記事が載った。10/4、日本野鳥の会と日本オオタカネットワーク主催で立教大学で「オオタカ-希少種解除の問題-」のシンポジウムが開催された。里山を象徴する種として指定解除すべきではないとの意見が多数を占めた。その後3都市での意見交換会を予定。引き続き、両組織としては関係団体と連携し、環境省に解除後の実効性ある制度作りを求めていく。
(栃木「おおるり」Vol.239,P7)

・サシバの里新トラスト地を確保
 オオタカ保護基金は栃木県市貝町にサシバを対象にしたトラスト地(2.7ha)を新たに確保した。谷津田に面したサシバが営巣する斜面林で、隣接する谷津田は別のトラスト地になっており、借り受けて稲作を行う。トラスト入口には古民家があり活動の拠点になる。
(栃木「おおるり」Vol.239,P7)

●2016/4-5 栃木
・オオセッカ同種誘引(NPOおおせっからんど)
 オオセッカは東アジアだけに生息し、日本では本州東部の5地区のみで繁殖する希少種である。特に青森県西部の岩木川、同東部の仏沼、茨城、千葉県を挟む利根川の3地区に集中する。生息場所選択の要因の1つに同種誘引があり、本来オオセッカのように単独で営巣地縄張りを持つ種では同種が集まるのは不利と思われてきた。しかし、オオセッカは同種が多い場所は繁殖に良い場所と解釈?している。オオセッカの声を流すと、北上中のオオセッカが定着し、営巣も確認され、オオセッカは同種誘引の性質を持つとの証明になる。
(栃木「おおるり」Vol.241,P11)

●2015/11 岐阜
・ジョウビタキの繁殖(飛騨ブロック)
 昨年に続き、今年もジョウビタキが繁殖した。巣の場所は住宅地の民家の敷地内のため、詳しい話を後に家人から聞いた。雛の声は「ジィッ、ジィッ」と虫が鳴くようである。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.577,P9)

・絶滅した鳥カンムリツクシガモ
 山階鳥類研究所に世界で3体しかないカンムリツクシガモの剥製標本♂、♀各1体ある(他1はコペンハーゲン博物館)。1917年、鳥類学者黒田長禮博士が朝鮮で購入したものである。江戸時代の「鳥づくし歌留多」に「チョウセンオシ」として紹介され、函館付近で捕らえたこの鳥の写生画が残っており、日本や朝鮮半島に冬鳥として渡来していたのであろう。その後、観察例があるとされるが、いずれも不確実なものである。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.577,P10)

●2015/12 岐阜
・全国野鳥密猟対策連絡会報告から
 2015/4、柏崎市でイヌワシの剥製をネットオークションに出品した男が書類送検された。NHK朝のドラマ「あさがきた」の中で九州の炭鉱で撮影されたガス検知のためのメジロが問題になった。色合いから日本産ではないらしい。H25年度、ヤマメジロ(アフリカタンザニア産)502羽が輸入されたが、これは種が異なるため鳥獣保護管理法の特定輸入鳥獣ではない。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.578,P7)

●2016/1 岐阜
・絶滅した鳥ミヤコショウビン
 1919年、東京大学動物学部に1体の標本を黒田長禮博士が発見する。植物学者の田代安定博士が1887年、宮古島で採取と回答あり、黒田博士はミヤコショウビンと名付けた。後にも先にもその種は確認されず、幻の鳥として現在は全滅種とされる。この種に疑問を呈する声もある。ミクロネシアに分布するズアカショウビンのグァム島産亜種アカハラショウビンによく似ている。田代博士は1890年、グァム島を訪れており、黒田博士が確認するまでかなりの年月があり、記憶が曖昧になった可能性もある。現在、幻の標本は山階鳥類研究所にある。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.579,P10)

●2016/7 高知
・四万十川でブッポウソウを探してみよう!
 支部は四万十川中流域の沿川でNTT電柱に30個のブッポウソウの巣箱を設置している。5月連休頃に日本への渡来ピークとなり、5月末頃までに番形成、営巣縄張を確定し、その後4〜5卵を1日おきに産卵し、6月上旬から抱卵に入る。21日前後で孵化し、26日前後で巣立つ。抱卵は雌雄で1〜2時間交代、夜間は雌が行う。
(高知「しろぺん」NO.354,P2〜5)

●2016/7 長崎県
・2015年9月アカハラダカ渡り調査
 2015/9、1箇月間で佐世保市の 烏帽子岳を計8,050羽のアカハラダカの通過があった。ピークは9/11の3,016、9/20の1,447であった。過去27年間では8,050羽は3番目に少ない。2014年は15,630、2012年は21,216、2008年は43,239,1999年は55,100、1996年は67,516を記録している。
(長崎県「つばさ」NO.343,P13)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


ブロックからのお知らせなど

■第19回日本野鳥の会中四国ブロック交流会報告

●日程:2016年5月28日(土)〜29日(日)
●場所:天狗荘(高知県津野町)
●担当:日本野鳥の会高知支部
●参加者:日本野鳥の会山口県支部、日本野鳥の会広島県支部、日本野鳥の会岡山県支部、NPO法人日本野鳥の会鳥取県支部、日本野鳥の会島根県支部、日本野鳥の会香川県支部、日本野鳥の会徳島県支部、日本野鳥の会愛媛、日本野鳥の会高知支部、興和光学株式会社、財団事務局から73名が出席した。財団事務局からは上田(副会長)、箱田(普及室室長代理)、浦(主任研究員)、堀本(普及室員)が出席した。

●議事:5月28日(土)14:00〜18:00
<開会>
【開催支部挨拶】
 西村高知支部支部長より、遠方からの参加に対するお礼や天候の心配はあるものの2日間楽しんで欲しいとの挨拶があった。
【財団事務局挨拶】
 上田副会長より、今年野鳥の会は82年目を迎え、2000年以降続いていた会員数の減少にストップがかかってきたことや寄付が集まり始めたことが述べられた。高齢化の問題がある一方で、各地でYoung探鳥会や鳥ガール探鳥会など若い人を巻き込む試みがなされ、財団としてもリーダー研修会や会員を増やすための探鳥会などを企画しており、引き続き支部と財団で連携して野鳥を楽しむ方たちを増やしていきたいと述べられた。
【興和光学(株)からのお知らせ】
 興和光学の及川氏より、4月から中国四国エリアの担当になったこと、双眼鏡を持参しているので試して欲しいことなどが述べられた。


▲会議の様子

【風力発電及び太陽光発電に関する情報交換会】
≪各支部からの近況及び現状報告≫
 各支部10分程度で、以下の報告がされた。
鳥取県支部:現在風力発電は41機(約6万キロワット)あり、平成23年以降は建設されていないが、洋上風力などの計画が持ち上がっては消えるという状況が続いている。太陽光発電については、約7万キロワットで、遊んでいる土地で建設ラッシュとなっており、大山の県立オオタカの森の隣接地など野鳥の生息域にかぶることもある。なおメガソーラーの建設の際には、県を通じて野鳥の会に事業者から相談が来るようになっているが、より対応を強化するために、昨年度から猛禽類のデータバンクを県と作成している。
島根県支部:太陽光パネルの建設について浅ましく感じている。
岡山県支部:錦海塩田跡地(500ヘクタール)と阿部池にメガソーラーの計画があり、対応している。また閉鎖した上郷カントリークラブのコース上に太陽光パネルを敷き詰める計画がある。新岡山太陽光発電所(森林伐採後に建設)など、自然破壊をしてまで太陽光設備をつくる傾向がどこでも見られ、どう対応していくかが課題となっている。
広島県支部:広島県は中四国ブロックの他の県と比べて、地形や自然環境の面から風力発電に適しておらず、また日は照るものの太陽光発電もそこまでは多くない。中国電力が大規模な太陽光設備を持っており、その他にも各種事業者が建設を進めていると思われるが、支部が事前に計画を把握して反対するという状況にはなっていない。
徳島県支部:風力発電は佐那河内・神山と鳴門市に計画があり、クマタカの営巣場所やタカの渡りのルートに重なっているなどの問題があり、支部から指摘をしている。なお太陽光発電については、既に遊休地にメガソーラーが建設されてしまった状況である。
山口県支部:風力発電は、既に長北地区、上関地区に建てられている。新たに下関に建設計画があるが、4千キロワットの発電施設を15基洋上に建設する計画については、住民の反対運動から一時中断した。しかしその後また動き出しており、支部として折衝を続けている。
香川県支部:風力発電は、適地がないため大型のものは1基もないが、太陽光発電は、25万平方メートルのため池「新池」に2.7メガワットの水上式メガソーラーを置く計画がある。カモの生息場所であるため危惧している。
愛媛:太陽光発電については、愛媛県は急峻なため適地がなく、小規模なものがほとんどである。風力発電は、既に伊方町に建設されている。西予と宇和島市〜愛南町に新たな計画があり、ツル類のねぐらに重なる部分もあるため、建設前にツル類がどういうルートを使うのか調査することにしている。
高知支部:風力発電については系統連系の問題により大規模なものは今以上増えないとみている。一方太陽光発電については、高知県は全国3番目の日照時間であることを強みとして進められており、2035年度までに、大中規模のものを2014年度の5倍、小規模のものを2倍にする目標がある。高知県は平野が少ないため、大規模な太陽光設備をつくることはできないが、小規模の太陽光設備が空き地や農地などにゲリラ的につくられている。大規模な導入がない分、危機感が少ないことも問題と言える。
≪財団自然保護室浦氏による国内外の現状紹介(50分程度)≫
 浦主任研究員より、風力発電と太陽光発電の野鳥への影響と今後の対策や考え方についての講演があった。

<支部代表者会議>
【財団事務局からの報告】
 堀本普及室員より、会員を増やすための探鳥会について、2016年度は全国の支部に参加を呼び掛けているので参加して欲しいと述べられた。あわせて新しい小冊子「おさんぽ鳥図鑑」が完成したこと、小冊子に申し込まれた非会員には支部の探鳥会案内を郵送しており、実際に探鳥会への参加が確認されていることが述べられた。各地域からの小冊子の申込みを増やすために、おさんぽ鳥図鑑を紹介するプレスリリース資料を知り合いの記者の方に配布して欲しいこと、おさんぽ鳥図鑑プレゼント葉書の設置場所を紹介して欲しいことが述べられた。また2016年度は探鳥会リーダーズフォーラムを、西日本は10月29、30日に六甲山YMCA、東日本は1月28、29日に八王子セミナーハウスで企画しており、多くの方に参加していただきたいと述べられた。

【各支部から会員を増やすための取り組みについて報告】
 各支部5分程度で、以下の報告がされた。
広島県支部:1年少し前から支部報を抜粋した探鳥会のリストを、市の公民館や区民文化センターなどに置かせてもらい、一般の方を探鳥会に呼び込んでいる。
鳥取県支部:探鳥会への非会員の参加が増えており、内訳はHP経由の方が多い。通常の探鳥会に参加した非会員の方に対して、初心者向けの解説をし、最後にお試し入会の案内をするなどしている。また水鳥公園の子どもラムサールクラブへの協力などにより、ジュニア会員に入る子どもや探鳥会に参加する子どもが増えている。
愛媛:これまで会員数の減少が続いていたが、今は横ばいから微増傾向になっている。探鳥会では、非会員や初心者の方にはスタッフがついてサポートし、入会を勧めるようにしている。
香川県支部:会員数は、現状維持から微増くらいで推移している。探鳥会では、毎月担当を決めて初心者のグループをつくり対応している。また初参加の方には支部報を送り、次につなげている。今年のバードウィークにいつもと違う日に定例探鳥会を行ったところ新しい参加者が集まった。新たな集客が期待できるため、平日探鳥会を開催する試みについても考えている。
山口県支部:3年前から探鳥会を紹介するパンフレットをつくり、探鳥会などに参加した一般の方に配布している。きらら浜自然観察公園での探鳥会に子どもたちが多く参加するため、そこで他の場所の探鳥会を紹介してもらっている。
岡山県支部:探鳥会には非会員の参加が多く、タイミングをみて必ず入会案内を渡すようにしている。Young探鳥会を大学生が中心となりに開催しており、支部もサポートとして入っているが、新しい方たちが多く参加している。
島根県支部:バードウィークの探鳥会には非会員の方が多く参加しており、インターネットを通じた財団事務局の広報の成果も大きかったのではないかと思っている。若い方はインターネットを見て参加する方も多いので、HPの立ち上げについて検討している。役員の若返りを考えており、若い会員を増やしたいと思っている。
徳島県支部:探鳥会の広報として、新聞掲載に加えて、年間スケジュールをまとめたパンフレットをつくり、一般の方に渡している。それによって新しい方が参加するようになっている。探鳥会では初心者にスタッフがつくようにして対応している。またトヨタアクアソーシャルフェスのような他団体とタイアップしたイベントも行っている。
高知支部:初心者向けの探鳥会に該当するものとして高知城探鳥会がある。積極的な勧誘はしていないが、非会員に支部報を渡すことを20年くらい続けている。40人の参加があった場合その内30人は非会員で、リピーターが多いという状況である。

 報告後の意見交換では、各支部で探鳥会への非会員の参加が増えている中、次は受け入れる側の態勢づくりが大事になってくる。初心者対応の実践マニュアルの整備や、どう入会をお誘いするかについて、考えていく必要があるという声が上がった。

●来年度のブロック交流会について
 次回は島根県支部が担当することが確認された。
※会議終了後、懇親会があり各支部および財団で懇談と情報交換を行った。

●5月28日(日)4:00〜8:30
 4時から天狗荘近くの大規模林道で探鳥会が企画されていたが、雨天により中止となった。希望者で鳥の声を楽しんだ。

(普及室/堀本 理華)


■平成28年度日本野鳥の会近畿ブロック会議報告■

●日程:2016年6月25日(土)
●場所:ホテルグランビア和歌山(和歌山県和歌山市)
●担当:日本野鳥の会和歌山県支部
●参加者:日本野鳥の会滋賀、日本野鳥の会京都支部、日本野鳥の会大阪支部、日本野鳥の会ひょうご、日本野鳥の会奈良支部、日本野鳥の会和歌山県支部、(公財)日本野鳥の会から計26名が出席した。(公財)日本野鳥の会からは、上原(常務理事兼事務局長)、箱田(普及室室長代理)、堀本(普及室員)、浅野(普及室員)が出席した。

●議事:6月25日(土)14:00〜17:00
<開会・挨拶>
【開催支部挨拶】
 中川和歌山県支部支部長より、遠方からの参加に対するお礼や各団体からの報告を今後の活動に反映していきたい旨、挨拶があった。
【財団事務局挨拶】
 上原常務理事兼事務局長より、昨年度の財団の状況について、長靴の販売が好調であったことと遺贈をいただく機会があったこと、及び現在会員数は3万6千人弱であるが、会員外で寄付等をしてくださる方が1万7千人近くおり、時代の変遷に応じて活動を考えていく必要を感じていること、並びに90の支部があり日本全国に鳥を愛する仲間がいることは、野鳥の会の最大の強みであり、財団として支部の活動を最大限応援したいと考えていることや、今日のようなブロック会議や先の連携団体全国総会(11月12、13日)の場を活かして、アイディアを出しあい、活動をますます活発にしていただきたい旨、挨拶があった。


▲会議の様子

<出席団体からの報告>
 各団体から以下の報告がされた。
【財団事務局(堀本普及室員)】
・2016年度会員を増やすための探鳥会について
 今年度は全国の支部に対して「会員を増やすための探鳥会」への参加を呼びかけている。近畿ブロックでは新たに滋賀から参加表明をいただき、秋の開催に向けてよろしくお願いしたい。
・小冊子から探鳥会へ
 小冊子の申込み者に財団から支部の探鳥会情報をお届けしており、実際に支部の探鳥会には、財団の広報を見た一般の方が参加している。各地域からの小冊子の申込みを増やすために、小冊子「おさんぽ鳥図鑑」(2016年4月発行)のプレゼント企画を紹介した「プレスリリース資料」を知り合いの記者に渡していただくことや、小冊子プレゼント葉書の設置が可能な施設やイベントの紹介をお願いしたい。
・2016年度「探鳥会リーダーズフォーラム」予告
 今年度は西日本版を10月29、30日に六甲山YMCAで初開催する。近畿ブロックから多くの方に参加していただきたく、支部内での告知をお願いしたい。
 *司会の沼野和歌山県支部事務局長の呼びかけにより、各支部から会員を増やすための工夫として、以下の取り組みが共有された。
(寺田京都支部事務局長):平日の午前中にも探鳥会を開催することで、リタイア世代の参加者を増やし、会員やサブリーダーの担い手を増やすことにつなげている。
(阪上大阪支部HP運用グループ長):会員の高齢化を逆手にとり、死ぬまでバードウォッチングとしてこれから余力のある世代を取り込もうと考えている。
(坂根京都支部副支部長):お試し入会制度や支部創立80周年記念会員割引キャンペーンなど、会員を増やす取り組みを行っているが、それに加えて、入会後の魅力を高めることも必要だと考え、会員専用サイトやバスツアー、支部報のカラー化などに取り組んでいる。

【滋賀(山岸代表)】
・「滋賀県の鳥2015」作成
 2005年の支部創立以降、2005年、2010年、2015年と5年ごとに滋賀県の鳥類リストを作成しており、内容も次第に充実している。
 *会場から、会員外の方が観察した事例をどのように集約しているのか質問があり、滋賀県内では珍しい鳥などが見つかった場合には湖北野鳥センターに連絡がいくことになっており、日本野鳥の会滋賀を含む3団体がそのデータを使えることになっていると回答された。

【京都支部(梶田保護部部長)】
・京都府南山城村メガソーラー問題について
 ファーストソーラーという業者が、京都府と三重県の県境付近に計約100ha(京都府側約76ha)のメガソーラーの建設を計画している。建設予定地は、天然二次林や水田、休耕田が湿地に戻ったような環境で、メガソーラーは、森林を伐採して建設されることになっている。今年4月から毎月鳥類調査を始め、ミゾゴイも含む里地里山に生息する野鳥が確認されている。土地は民有地で、京都府は75ha以上の計画はアセスの対象にするという条例を作ったものの、本件は、条例前に既に計画されていたため、府から事業者に調査を求めることは出来ない状況である。これまでは支部として特に反対表明などはしていなかったが、これからどのように態度を決めて業者や自治体と渡り合っていくか考える段階にきている。
 *橋本大阪支部副支部長より、大阪では堺第7-3区というチュウヒの繁殖地にメガソーラーの話が持ち上がった際、悩んだ結果反対運動は行わなかったことがあるが、その後チュウヒは繁殖しなくなったという現実があり、京都支部でも相当なエネルギーが必要なことではあろうが、頑張ってほしいとの思いが述べられた。

【大阪支部(阪上HP運用グループ長、橋本副支部長)】
・会員拡大の取り組み紹介〜「歴史散策と野鳥」シリーズ/探鳥会アンケート/「死ぬまでバードウォッチング」〜
 会員数は、ほぼ横ばいが続いている。平成27年度の探鳥会開催数は253回、参加者数は6,753名で昨年より参加者数が増えている。日常的な会員拡大の活動として、愛鳥週間ポスター原画展の開催や南港エコフェスタへのブース出展、大阪自然史博物館での講演会や初心者向けのバードウォッチングの開催、むくどり通信の店頭販売、教育機関・行政機関への講師派遣などを行っている。特別企画探鳥会として、NHK大河ドラマ「真田丸」に因んで歴史散歩と探鳥会を組み合わせた探鳥会も開催したところ、初めての方も多く参加し、NHK大阪放送局の取材もあった。また、会員の高齢化を逆手にとり「死ぬまでバードウォッチング」としてむくどり通信2015年9月号で特集したところ、反響が大きかった。
 *会場から、探鳥会をマスコミで広報し大人数が集まった場合の対応や探鳥会の予約受付方法、卸先でのむくどり通信の売れ行きなどについて質問があり、大人数の参加者に対しては、予め参加者数を予測してリーダーを集めておき、また適宜班分けをして対応していること、予約はHPに定型フォームをつくって受け付けていること、むくどり通信は卸先合計で30部程売れていることが回答された。
・オオタカの指定解除に関する現状報告
 大阪支部では、01年、02年に大阪府下のオオタカの調査をし、その結果をもとに里山の生態系保全に活かしてきた。今年2月に大阪で指定解除に関する意見交換会があった際、解除するには里山を守るための法的な担保が必要だとパネリストの多くが解除に反対していたが、最近の動きについて教えてほしい。
→上原常務理事兼事務局長より、意見交換会で慎重論が圧倒的であったことを受け、環境省では解除を進めたいとする一方その時期は明記しておらず、現在も解除の手続きは進んでいない状況であると回答された。
・総会の開催についての工夫
 総会に一般会員の方にも多く参加してもらうために各支部でどのような工夫をしているか教えてほしい。
→時間の都合により懇親会で共有することとなった。

【ひょうご(堺事務局長)】
・探鳥会における一般参加者の参加費の値上げを実施したことについて
 これまで会員100円、一般200円の参加費で探鳥会を行っていたが、探鳥会の質を上げるために探鳥会の参加者を減らしたいと考え、今年から一般の参加費を300円とした。しかし現在始めて3か月程経ったところだが、探鳥会の参加者は減っていない。参加者が多い場合は、探鳥会に参加しているベテランの方にサブリーダーになってもらい、その分交通費補助を出し、質を高めていくことを新たに考えている。

【奈良支部(元吉支部長)】
・奈良ヤングバーダー探鳥会について
 昨年の支部報の特集で、ヤングバーターの座談会を開催した。中高生に話を聞く中で、Young探鳥会を開催して欲しいとの意見があり、早速昨年5月に初開催した。評判も良く、その後も平城宮跡や奈良公園などで続けている。支部報やFacebookで広報しており、若い方たちは特にTwitterを通じて、岡山や関東からの参加もある。支部の会員の増加にはつながっていないが、全体として底上げが出来ていると考えている。
 *会場から、参加人数やリーダー数、ヤングの定義について質問があり、参加者は多い時は60名(平均40名)、リーダーはメイン2名、サポート2名、ヤングの年齢制限は設けていないと回答された。

【和歌山県支部(中川支部長)】
・平池緑地公園の保護活動について
 紀北で一番大きいため池である「平池」は、昔から水辺の鳥の観察に適した場所であるが、15年程前から整備が始まり、また最近では町おこしのために冬の花火大会やイルミネーションの点灯が行われている。せめて花火大会だけでも止められないかと思っているが、各支部ではどのように対応しているか教えてほしい。
→石川京都支部支部長より、過去に宮津市の天橋立で町おこしとして11月〜12月に花火大会の計画があったが、コハクチョウが利用する時期であったため、地元の方と支部で時期をずらすよう依頼し、今は10月末に実施されていることが共有された。中元奈良支部副支部長より、3年前平城宮跡で、ツバメのねぐらがピークになる8月に天平祭という光の祭典が開催され、光と音楽でツバメがねぐらに入らなかったということがあり、次の年に実行委員会に調査データを添えてメールで意見を出し、その後は光の祭典のない静かな天平祭となり、ツバメも眠れる状況になったことが共有された。

<その他、情報共有>
 石川京都支部支部長より、今年京都支部は創立80周年を迎え、会費制の記念祝賀会を開催する。近畿ブロックの各支部長宛に招待を出しているので、ぜひ参加して欲しいと述べられた。(各支部1名分の会費は招待として京都支部が負担する)
 寺田京都支部事務局長より、探鳥会リーダーズフォーラムに過去2回参加し、若いリーダーや次のリーダーを育てたいというベテランリーダーと交流できて楽しかった。10月は待望の西日本での開催であり、近畿ブロックから多くのリーダーや幹事に参加してほしいこと、また特に若いリーダーには支部から交通費等の補助があると参加しやすいのではないかと述べられた。

※会議終了後、懇親会があり懇談と情報交換を行った。

(普及室/堀本 理華)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■8月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■


<アメリカコアジサシの分類は?識別は?>
 コアジサシの亜種ともされてきたアメリカコアジサシは、近年、形態と鳴き声の違いから別種説も支持されつつあるそうです。日本では、標識調査で確認されたという新聞記事を紹介した支部報もありましたが、当会ホームページ、BIRD FANのフォトギャラリーに、アメリカコアジサシとして写真の投稿がありました。
 ホームページの担当者から、私に次のような相談がありました。
@アメリカコアジサシは日本鳥類目録改訂第7版には掲載されていないので、扱ってよいものか?(新版発行後、当会ホームページでも目録7版に準ずるよう努めているため)
Aフィールドマナーに鑑みて、情報を制限する必要はあるか?(珍しい鳥の写真や撮影場所が公開されると、そこに人が押しかけて問題になることがあるため)
 私は、我孫子市鳥の博物館の小田谷嘉弥さんに相談しました。小田谷さんは新版でカモメ類の分類や識別などをご教示いただいているし、昨年、日本鳥学会の大会で「日本からのアメリカコアジサシSternula antillarumの初記録」を発表したメンバーでもあるからです。
 小田谷さんによると、「・・・投稿された写真の個体は波崎愛鳥会の方が発見され、自分も同定に関わり、声と形態的特徴からアメリカコアジサシと考えられる。7月上旬ごろから、多くの方によって観察されているが、観察場所が狭いので出来るだけ情報を広めない方が良いのではないか・・・」とのことでした。その後、山階鳥類研究所の茂田良光さん(前述の日本鳥学会大会での発表後、記者発表も担当された)からも「コアジサシのコロニーがあるので、そこが踏み荒らされるような危惧もある」と聞かされたこともあり、上記Aの観点から、フォトギャラリーでの掲載は、当面は見送るようお願いした次第です。
 なお、投稿された方がアメリカコアジサシとした根拠に「外側初列風切の3枚が黒い」という点をあげていましたが、小田谷さんによると「・・・亜種コアジサシでも3枚が黒いものが少数いるため、確実な識別点とはならない。声、上尾筒と尾羽の色、初列風切と羽軸の色は亜種コアジサシの夏羽との識別点としては有効と考えられる・・・」とのことでした。

<メボソムシクイ?オオムシ?コムシ?>

 目録7版でメボソムシクイが3種に分けられたことには、ベテランバードウォッチャーでも戸惑った方が少なくありません。新版では、高野がメボソムシクイを解説したスペースの範囲で、オオムシクイ、コムシクイを含む計3種の声や分布の違いを解説しましたが、分布図では広域のコムシクイを示せず、文字で「コムシクイの繁殖分布はスカンジナビア半島からアラスカに及ぶ」と記しました。
 これらの元になったのは齋藤武馬さんらの研究です。鳥学会誌ではVol.61,No.1,April,2012に「メボソムシクイPhylloscopus borealis(Blasius)の分類の再検討:3つの独立種を含むメボソムシクイ上種について」として、掲載されました。7月29日の鳥ゼミ(*)で、齋藤さんから、直接その研究について聞く機会がありました。ちなみに、齋藤さんは山階鳥類研究所に勤務されていますが、かつて東京支部(現、日本野鳥の会東京)の高尾山探鳥会に通っていた時期もあったそうです。
 先に「3種に分けられた」と簡単に書いてしまいましたが、齋藤さんの話を聞くと、これまでのメボソムシクイの分類の変遷と混乱を整理し、考えうる課題とその解決の方法に沿って、外部形態の細部の測定値だけでなく、DNAや音声も多々サンプルを集めて検討するという、気が遠くなるような作業を積み重ねてこられた結果であることが、改めてわかりました。
 各地の支部報では、声で種を同定するための声紋分析の試みを紹介した記事も拝見しましたが、野外でメボソムシクイか?オオムシクイか?コムシクイか?がわからない場合の処理の仕方を齋藤さんに聞いたところ、鳥類標識協会誌に掲載された齋藤さんと茂田さん、上田恵介さんによる論文を紹介してくれました。「メボソムシクイ上種3種の外部形質を用いた識別方法」というテーマのまとめのところで、3種のうちどれかに種名が決められない場合の種名の記載方法について、「「広義のメボソムシクイ」という意味で、「メボソムシクイ上種」(学名表記だとPhylloscopusborealis s.l.となる.このs.l.はラテン語の分類学用語sensu latoの略で“広義”のという意味)を提案したい」と書かれています。なお、この論文は下記のサイトからもダウンロード可能とのことでした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbba/26/2/26_00060/_article/-char/ja/

(*)鳥ゼミ:鳥類学の研究者や研究に関心がある人による、自主的な勉強会(今年度から当会西五反田事務所で開催。情報はメーリングリストで共有。ml参加希望の方は、次のアドレスに空メールをお送りください。
[email protected]、その後、[email protected]より参加確認のメールが届きますので、本文中のアドレスをクリックください。)

<種を決められないことが多いのに・・・>
 近年、『フィールドガイド日本の野鳥』より多くの種・亜種を扱う図鑑もありますが、その図鑑で示された情報だけで、種や亜種が識別できるように書かれている点が気になります。それらを参考にしてしまったネット情報などが、より大きな誤解を広げているようにも思われます。例えば、アップでピントが合った写真が撮れれば、種や亜種を決めてもらえるものと勘違いしている方から、ワンカットだけ送ってくる識別依頼がよくあります。マスコミからの依頼では、地域、季節、環境などの基礎的な情報もないまま、「この鳥は何ですか?」が多く、「わかりません」と答えようものなら、怒られてしまう始末です。また、ベテランバードウォッチャーでも、分類や種・亜種を固定的に捉えている方がいるようです。
 新版は、野外識別の意義、方法、心得など、基本的に大切と思われることを省かないようにしました。『まえがき』(P7)では、「野外での鳥との出会いはさまざまです。いつでもすべての鳥の名が判るとは限りません」と、高野が初版で書いていたことを引用した上で、「・・・十分な観察ができなかった場合やよく似た種がいる場合は、種を決められないことが多い・・・」と記したほか、「分類は固定的なものではなく、今も研究が続いている・・・」とも記しました。
 『この本の使い方』では種と亜種(P12)で、遺伝的多様性や個体差、異種間交雑や分類上の諸説にも触れ、『野鳥の見分け方』の<よくわからない場合>(P22〜23)では、「・・・印象や限られた情報で種を決めるのは誤りの元となりやすい。よい条件(例えば近距離、好天、順光など)、あるいはさまざまな姿勢や角度から確認できた特徴とともに、こんな個体がいたという記録を残すことが第一歩だ・・・」と記し、『珍しい種や識別が難しい種の記録』(P307)では「・・・観察や報告では、第三者が確認できるように識別根拠(その種と判断した根拠)が重要で、誤認や類似種の可能性を否定できるように、細部まで検討したほうがよい・・・」とも記しています。


© 谷口高司

▲画像:新版で谷口高司さんに追加していただいた図版から、今回はオオジュウイチ(右は幼鳥)で、新版発行後も、オオジュウイチと思われる声が録音されるなどしています。キジカッコウも目録7版で新たに掲載されましたが、千葉県で一度記録されただけなので、カッコウ科の解説(P202)に含めるにとどめました。

(普及室/安西 英明)


総務室より

■支部・代表者・事務局変更のお知らせ■

今月は支部名称等の変更はありません。

(総務室/鈴木 美智子)


会員室より

■会員数■

 8月1日会員数35,752で、先月に比べ110人減少しました。7月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より118人少なくなっています。 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。7月の入会者数は117人で、前年同月の入会者142人に比べ25人減少しました。また、7月の退会者は235人で、前年同月の退会者241人に比べ6人減少しました。

表1. 7月の入会・退会者数

入会者数 退会者数
個人特別会員 10人 4人
総合会員(おおぞら会員) 25人 78人
本部型会員(青い鳥会員) 24人 49人
支部型会員(赤い鳥会員) 38人 60人
家族会員 20人 44人
合計 117人 235人
年度累計 668人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(8月1日現在)

都道府県 会員数 対前月差
北海道 1746人 -1人
青森県 262人 1人
岩手県 360人 0人
宮城県 484人 0人
秋田県 242人 -1人
山形県 205人 0人
福島県 640人 1人
茨城県 956人 0人
栃木県 589人 3人
群馬県 640人 -5人
埼玉県 2235人 -8人
千葉県 1713人 -11人
東京都 5037人 -24人
神奈川県 3452人 -16人
新潟県 368人 0人
富山県 226人 1人
石川県 290人 0人
福井県 232人 0人
山梨県 296人 -2人
長野県 869人 -6人
岐阜県 501人 2人
静岡県 1368人 -2人
愛知県 1513人 0人
三重県 432人 -2人
滋賀県 305人 -1人
京都府 771人 -5人
大阪府 1979人 -5人
兵庫県 1311人 -10人
奈良県 475人 -2人
和歌山県 202人 -2人
鳥取県 178人 -1人
島根県 160人 0人
岡山県 583人 1人
広島県 563人 1人
山口県 384人 0人
徳島県 312人 1人
香川県 216人 2人
愛媛県 366人 -2人
高知県 135人 0人
福岡県 1339人 -7人
佐賀県 188人 -2人
長崎県 219人 0人
熊本県 431人 -3人
大分県 208人 1人
宮崎県 250人 -2人
鹿児島県 356人 0人
沖縄県 120人 0人
海外 12人 1人
不明 33人 -5人
全国 35,752人 -110人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(8月1日現在)

支部 会員数 対前月差
小清水 13人 0人
オホーツク支部 242人 0人
根室支部 78人 1人
釧路支部 155人 0人
十勝支部 206人 -1人
旭川支部 90人 -3人
滝川支部 46人 -2人
道北支部 31人 -1人
江別支部 21人 -1人
札幌支部 314人 -1人
小樽支部 84人 -2人
苫小牧支部 169人 -2人
室蘭支部 157人 -2人
函館支部 26人 -1人
道南檜山 73人 -1人
青森県支部 149人 -1人
弘前支部 119人 -1人
秋田県支部 230人 -3人
山形県支部 192人 -1人
宮古支部 93人 -2人
もりおか 150人 0人
北上支部 105人 -2人
宮城県支部 440人 -3人
ふくしま 159人 0人
郡山 176人 -2人
二本松 19人 -1人
白河支部 44人 -1人
会津支部 51人 0人
奥会津連合 12人 0人
いわき支部 112人 -1人
福島県相双支部 17人 0人
南相馬 15人 0人
茨城県 862人 1人
栃木 568人 6人
群馬 573人 -5人
吾妻 40人 -3人
埼玉 1740人 -10人
千葉県 1143人 -6人
東京 2955人 -18人
奥多摩支部 856人 -8人
神奈川支部 2459人 -14人
新潟県 280人 0人
佐渡支部 29人 -1人
富山 198人 0人
石川 269人 -5人
福井県 225人 -2人
長野支部 464人 0人
軽井沢支部 174人 -3人
諏訪 232人 -1人
木曽支部 26人 0人
伊那谷支部 81人 -3人
甲府支部 203人 -2人
富士山麓支部 60人 -1人
東富士 72人 2人
沼津支部 170人 -2人
南富士支部 240人 -1人
南伊豆 41人 -1人
静岡支部 375人 -3人
遠江 420人 -1人
愛知県支部 1101人 -1人
岐阜 511人 0人
三重 368人 -4人
奈良支部 442人 -1人
和歌山県支部 202人 -3人
滋賀 303人 -4人
京都支部 753人 -5人
大阪支部 1863人 -9人
ひょうご 1017人 -6人
鳥取県支部 194人 -2人
島根県支部 160人 0人
岡山県支部 558人 2人
広島県支部 489人 0人
山口県支部 367人 -2人
香川県支部 172人 0人
徳島県支部 325人 0人
高知支部 124人 -1人
愛媛 341人 -4人
北九州 314人 -2人
福岡支部 609人 -4人
筑豊支部 242人 -5人
筑後支部 170人 0人
佐賀県支部 205人 -5人
長崎県支部 213人 -1人
熊本県支部 424人 -4人
大分県支部 209人 -2人
宮崎県支部 240人 -2人
鹿児島 321人 -1人
やんばる支部 87人 -2人
石垣島支部 26人 -1人
西表支部 44人 0人
30,937人 -184人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

 厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号では、中四国ブロック交流会報告、近畿ブロック会議報告を掲載しました。中四国ブロック、近畿ブロックの各連携団体の活動内容を知ることができます。どうぞご確認ください。

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支部ネット通信 第149号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2016年8月25日
◆担当
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