No.165 2017年12月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆事務局からのお知らせなど
11月号『フィールドガイド日本の野鳥』
 増補改訂新版の取り組み
モニタリングサイト1000(森林・草原)
 鳥類調査研修会を開催しました

「野外鳥類学講座」のご案内
会計担当の皆様へ
会員数

支部の動き

■支部報 保護・調査記事関連トピックス

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.868

●2017/12 オホーツク
・オホーツク公園で巣箱掃除
●2017/12 神奈川
・タカの渡り観察
●2017/12 軽井沢
・モズ(鳥追人)
●2017/12-1 京都
・ 環境保護の新しい考え方
・2017年タカの渡り一斉調査(調査部)
・サギコロニー調査(調査部)
・国旗内にいる鳥
・サギ類
●2017/12 筑豊
・2017年度連携団体全国総会
・帰化植物について(植物部、編集部)


●2017/12 オホーツク
・オホーツク公園で巣箱掃除
 9/23、網走市のオホーツク公園で架けた25個の巣箱を掃除した。紛失1、カラ類が利用6、ヒメネズミが利用と思われる12、スズメバチが利用1であった。竹製巣箱、ヒョウタン利用の巣箱を新規に架けた。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.367,P6)

●2017/12 神奈川
・タカの渡り観察
 鎌倉市稲村ヶ崎で、9/9〜10/18の内、観察記録があった18日間で集計した。サシバ1,008、ハチクマ43、ノスリ14(内1は逆の西へ)、チゴハヤブサ10を記録した。海上を通過する個体は少なく、殆どは内陸部を高空で通過した。ここ数年、渡り時期が10日近く早まっている感じ。ふれあい自然探鳥会のタカ観察グループは2006年より、神奈川県中央部(秦野)でタカの渡りを観察している。今年は9/1〜10/18、サシバ795、ハチクマ30、ノスリ67、ツミ42、チゴハヤブサ15、オオタカ7、ハイタカ4、ミサゴ4、ハヤブサ1、ハイタカ類2を記録した。ピークは9/29のサシバ441であった。ここでは丹沢の東側に沿って来るものと稲村ヶ崎経由のものが来たようだ。
(神奈川「はばたき」NO.547,P4〜5)

●2017/12 軽井沢
・モズ(鳥追人)
 モズは、夏場は比較的標高の高い所に移動しており、「高原モズ」とも呼ばれ、白味が強い。肉食のためモズタカ、スズメタカとも称される。「モズの高啼き75日」とあり、モズの高鳴きから75日目に霜が降り出すと農作業の目安にしている。ハヤニエは本能的行為が有力である。百枚舌で鳴き真似をする種はオオヨシキリ、コヨシキリ、ウグイス、ホオジロ、ツバメ、コチドリ、シジュウカラ、ヒバリ、メジロ、カワラヒワ等が記録されている。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.416,P4〜5)

●2017/12-1 京都
・ 環境保護の新しい考え方
 10/5、大津市で日弁連主催の第60回人権擁護シンポジウムがあった。その中で、「市民が守る身近な自然」では、新しい考え方が披露された。ミティゲーション(Mitigation)は、自然を改変して開発する際、回避、最少化または代償措置があり、ドイツでは法律にある。日本では事業者任せである。オーフス条約は1989年、デンマークのオーフス市で締結された条約で、現在、欧州、中央アジアを中心に45箇国で批准されている。これでは市民の3つの権利を保障している。1つは市民の情報へのアクセス権で、日本の情報公開法では、事業者の正当な利益を害する場合は非公開となる。第2は、政策や認可での意思決定に市民が参加できる。第3は上記権利が侵害された時、市民が提訴する権利を保障し、その訴訟費用は自治体が援助するとある。日本では門前払いが多い。欧州では環境問題は人権問題の認識である。
(京都「そんぐぽすと」NO.209,P15)

・2017年タカの渡り一斉調査(調査部)
 9/23、京都府周辺13箇所で調査した。北部2箇所でサシバ3、ハチクマ105、ノスリ25、ツミ17。琵琶湖東部4箇所でサシバ144、ハチクマ208、ノスリ15、ツミ20、ハイタカ2。湖西部4箇所でサシバ76、ハチクマ304、ノスリ20、ツミ17等。
(京都「そんぐぽすと」NO.209,P16)

・サギコロニー調査(調査部)
 宇治橋下流の周囲200m程の莵道雅郎子(うじのわきいらつこ、宇治の地名の由来地)陵墓にサギのコロニーがある。 ここには6種のサギがおり、6月の調査では2005年→2017年の変化はアオサギ53→79、ダイサギ162→69、チュウサギ41→13、コサギ170→10、アマサギ28→6、ゴイサギ44→26、総計498→203。嘗て、宇治市では10箇所以上のサギのコロニーがあったが、現在は壊滅状態である。採餌場所が遠くなっており、小型のサギ程帰巣時刻が遅い。
(京都「そんぐぽすと」NO.209,P17)

・国旗内にいる鳥
 ウガンダの国旗:国鳥ホオジロカンムリヅル、ザンビア:魚食性ワシのサンショウウミワシ、カザフスタン:ソウゲンワシ(ジンギスハーンの使った旗にもある)、キルギス:コグンカンドリ、パプアニューギニア:アカカザリフウチョウ、中南米の国旗には鳥が描かれている例が多い。メキシコ:ワシ、エクアドル:コンドル、グァテマラ:国鳥ケツァール、ドミニカ:ミカドボウシインコ。
(京都「そんぐぽすと」NO.209,P20)

・サギ類
 シラサギ類は繁殖期に後頭部、胸、腰に蓑羽(みのば)と呼ばれる飾り羽が現れる。欧米では装飾品としてコサギは乱獲され、英国や米国では野鳥保護活動の先駆となった。欧米の業者は日本に羽を求め、大正時代、同重量の金と取引された。サギ類は脂分を分泌する尾脂腺が未発達のため、胸や腰に終生換羽しない先端が崩れてケラチン質の微細な粉になる粉綿羽がある。これを足の中趾の内側にある櫛状の爪ですき取り、体羽にこすりつけ、防水している。
(京都「そんぐぽすと」NO.209,P21)

●2017/12 筑豊
・2017年度連携団体全国総会
 11/11,12、千葉市で開催され、本部役員も含み、約110名が参加した。支部が行う宿泊行事やバスツアーは非営利団体が行う営利性の無いものであるので、旅行業法の適用外である。お試し会員制度は24支部で実施しているが、本部の「会員規定」の適用外で、各支部独自で運営可能。北海道の小清水支部は解散し全国89支部となる。遠藤理事長より日本野鳥の会ビジョン2030が提起され、各支部で要検討。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.478,P22)

・帰化植物について(植物部、編集部)
 日本の農耕文化は多くの帰化植物をもたらした。スイバ、ナズナ、ヤエムグラ、オオバコ等は有史初期に入り、史前帰化植物、旧帰化植物と呼ばれる。江戸時代末期以降のものは新帰化植物と呼び、特に明治末期に園芸目的で持ち込まれたセイタカアワダチソウは、一時日本を席巻した。日本のシダ類を含む約4000種の植物の内1200種は帰化植物とされ、その比率は、1930年代数%が2000年10%前後となり、都市部では20%を越す地域もある。帰化種が多いのはキク科、豆科、イネ科で帰化植物の3大科と呼ばれる。ラン科には帰化植物は殆ど無い。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.478,P26〜27)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.869

●2017/10 札幌
・オオジシギ保護調査プロジェクト(本部保全プロジェクト推進室)
●2017/10 千葉県
・アカエリヒレアシシギ(8/30 朝日新聞)
・東京湾の汚染物質削減へ(8/18 読売新聞)
・コウノトリ全都道府県で確認(8/13 日本経済新聞)
●2017/10 新潟県
・チゴモズの生態
・サシバ
・夜の田んぼのジシギ類
●2017/10 埼玉
・ムラサキサギ(野鳥記録委員会)
●2017/8 岐阜
・アオバト(東濃ブロック)
●2017/9 三重
・木曽岬干拓地さらなる開発の危機
●2017/10 長崎県
・烏帽子岳周辺風力発電反対
●2017/10 宮崎県
・県内初のカリガネ
・今季のアオバズク調査

●2017/10 札幌
・オオジシギ保護調査プロジェクト(本部保全プロジェクト推進室)
 オオジシギは日本とロシアの一部のみで繁殖し、その大半は北海道に集中している。2016年、同プロジェクトを立ち上げ、勇払原野で足に標識をつけ、5羽を衛星追跡した。2016/7/7、放鳥し、渡り前、暫し道内に滞在し、国内に中継地が無いようで、一気に南へ飛んだ。7日間ノンストップで9/16、ニューギニアに達した個体がいる。勇払原野での個体数は2001年、107羽が2017年には道内5支部も参加し、調査結果は77羽と減っていた。
(札幌「カッコウ」NO.397,P4〜7)

●2017/10 千葉県
・アカエリヒレアシシギ(8/30 朝日新聞)
 8/30、Koboパーク宮城球場で、多数の野鳥が選手の高さで旋回し、整備員が追いたてて、花火を上げても逃げず、照明を消して、試合が中断したことがあった。アカエリヒレアシシギの群であった。1979年にも大阪球場でも同じようなことがあった。
(千葉県「ほおじろ」NO.438,P12〜13)

・東京湾の汚染物質削減へ(8/18 読売新聞)
 千葉県は東京湾の水質改善のため、流入する汚染物質の削減目標を策定した。下水道を整備し、赤潮の原因となる窒素やリンを減らす。計画の対象地域は東京湾域の21市町で、下水道計画が無い地区では「高度処理型合併浄化槽」を推進する。産業排水には工場ごとに基準を設定し、農家には肥料の適正な使用、家畜排せつ物の適正な処置を指導する。国の総量削減基本方針に基づき、東京湾沿いの1都3県が策定する。
(千葉県「ほおじろ」NO.438,P13)

・コウノトリ全都道府県で確認(8/13 日本経済新聞)
 8/12、秋田県にコウノトリが飛来した。2005年、コウノトリの郷公園(兵庫県豊岡市)でコウノトリを放鳥して以来、全都道府県で確認されたことになる。
(千葉県「ほおじろ」NO.438,P13)

●2017/10 新潟県
・チゴモズの生態
 1993/5以来、新潟市の公園で繁殖するチゴモズを観察している。2017年は2番から7羽が巣立った。抱卵14日、巣内育雛約20日で、巣立ち後、7日後には縄張り(約1.2ha)を解消し、2番は近接した場所で巣外育雛を行った。営巣地は樹林空間と疎らな植物の林床があり、林に隣接した草地や裸地がある場所であった。
(新潟県「野鳥」NO.84,P2〜3)

・サシバ
 サシバの主な生息地は里山で、両側を山に囲まれた幅40〜100m程の水田が点在する谷や丘陵地である。狩は止まり木に5〜15分程止まり、20〜30m程を移動しながら行う。止まり木から20m以内の獲物を捕る場合が多いが、200m先のカエルを捕る能力がある。営巣木から半径500m程で行動し、行動圏は餌環境や隣接する番の関係で30〜300haと差異がある。
(新潟県「野鳥」NO.84,P4〜5)

・夜の田んぼのジシギ類
 新潟市西浦区の夜の田んぼで観察した。オオジシギが8月上旬から増えだし、チュウジシギは9月中旬、稲刈り後に見られる。ヤマシギは10月上旬から3月末まで記録される。タシギは遅く渡ってきて、12月上旬から3月上旬まで滞在する。
(新潟県「野鳥」NO.84,P6〜7)

●2017/10 埼玉
・ムラサキサギ(野鳥記録委員会)
 6/11、さいたま市の水田で撮影された。写真を伴う埼玉県での記録は1990/4の戸田市、2013/5の朝霞市に続く3例目である。本種は亜種が先山諸島に周年生息するが、本土への渡来は稀である。「日露渡り鳥条約」、「日中渡り鳥協定」の指定種である。
(さいたま「しらこばと」NO.403,P5)

●2017/8 岐阜
・アオバト(東濃ブロック)
 アオバトは里山より少し山に入った照葉樹林を住み家にしている。海水を飲むことで知られている。ミネラルの補給と主食の果実(木の実)に含まれる有害成分を体外に排出するためと言われる。この数年恵那峡で100羽以上のアオバトの群が見られ、海水に似たナトリウムが多い温泉を目指して来ている。これをハヤブサが狙い、ハト類は猛禽類から避けるため、羽根が抜けやすい。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.598,P2)

●2017/9 三重
・木曽岬干拓地さらなる開発の危機
 443haの開拓地で、東海地方では唯一のチュウヒの安定した繁殖地である。木曽川河口干潟は排水しても農地転用が無理で、放置されていた。2001年から三重県は北部を盛土野外探検広場等にして、南部にはメガソーラーが設置された。その南部の原野でチュウヒは繁殖を続けている。2017/7、三重県は「木曽岬干拓地整備事業」として、その部分を開発するとしてアセスメントを実施するとあった。更なる開発はチュウヒの繁殖を不可能にするため、開発見直しとチュウヒ繁殖地保護を策定すべきである。チュウヒは国内に繁殖番数80〜90、総個体数300〜450と推定される(2014 環境省 チュウヒ保護の進め方)。
(三重「しろちどり」NO.93,P6)

●2017/10 長崎県
・烏帽子岳周辺風力発電反対
 烏帽子岳周辺は秋にアカハラダカ、ハチクマの渡りが交差し、10月にはツルがシベリアから南下する場所である。同地では直径90mの風車、複数設置が計画されている。支部は佐世保市に市有地を業者に貸さぬよう、風力発電設置許可を出さぬよう要望書を出している。支部は会員に反対署名をお願いした。
(長崎県「つばさ」NO.358,P15〜17)

●2017/10 宮崎県
・県内初のカリガネ
 3/11〜4/1、都城市にカリガネが撮影された。川面を泳ぎ、泳ぎながら餌を採った。宮崎県初記録で九州では珍しい。
(宮崎「野鳥だより みやざき」NO.255,P3)

・今季のアオバズク調査
 今季、宮崎県内で91件のアオバズクの情報があった。内、8件で繁殖があり、18羽が巣立った。繁殖地は学校6箇所、神社2箇所で、2年続けて雛を確認した場所は3箇所のみであった。親のみ確認は9件、鳴き声のみ確認は28件であった。
(宮崎「野鳥だより みやざき」NO.255,P12)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


事務局からのお知らせなど

■普及室より

■11月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み

<雌雄の大きさの違いは?>

 前回触れました、増補改訂新版の2刷での修正箇所の検討は、年内に終えなくてはなりません。この連載(2016年5月号)で、「日本鳥類目録改訂第7版の正誤表にどこまで沿うべきか?」を話題にしましたが、2017年12月7日発行という新しい図鑑を見ても、ミソサザイやノビタキの英名がEurasian Wren、African Stonechatと書かれていました。日本鳥学会のホームページで公開されていた目録7版の正誤表では、それぞれWinter Wren、Stonechatとされています。新版2刷の段階では、正誤表に沿わせたいと考えています。
 皆様からご指摘いただき、連載でも紹介もしてきたミナミクイナの分布図や、P307のヒメウタイムシクイ属の間違いはもちろん直しますが、全長でも、検討している箇所があります。増補改訂版以後、ヒシクイやダイサギの亜種の大きさの違い、新版ではカワラヒワの亜種の違いに配慮するように修正を施してきました。が、現在、オオソリハシシギの全長は解説文中で雌雄差に触れられていながら、L41pと記されています。そこで、小さな雄の全長に鑑み、「L37p〜41p」に直したいと考えています。

<幼鳥は小さい?>

 図版の大きさでも、考えている箇所があります。雌が雄より一回り小さなエリマキシギは、図版もそのように描かれています。その一方で、ツルクイナは解説文で雌が雄より小さいと書かれているのに、図版の大きさは、雌雄同じように見えます。
 カワガラスでは、幼鳥の図版が成鳥より小さく掲載されていますが、巣立ち後に目にする幼鳥は、親鳥とほぼ同じサイズに見えるほうが多いでしょう。間違いと言えるレベルではありませんが、図鑑の努めとして、識別の役に立つには、幼鳥が常に小さいような誤解をされないように、成鳥と同じくらいにしたいと考えています。
 ついでながら、『フィールドガイド日本の野鳥』をお手元にお持ちの方は、コジュケイ(新版ではP194〜195)を見ていただけませんか? 雌の図版もあり、雌にはけづめがないことがわかるようになっていますが、小さく載せているので(♂と同大)と、丁寧な注釈がなされています。ただ、コジュケイの解説文中には、雌雄の違いについては書かれていませんでした。そこで、けづめについては増補改訂版の段階で、キジ科の解説文中で追記しました。

<直さない?直せない?>

 ご指摘いただきながら、修正に至らないものもあります。例えば、カルガモの解説文で、マガモとの違いとして、「翼鏡は青色で、前後に白い線があってもマガモより細い」という箇所は、高野が書いた解説では「翼鏡は青色」で終わっていました。「翼鏡前後に白い線があるのがマガモで、ないのがカルガモではないか?」という指摘をいただきましたが、白い線が見えるカルガモは少なくないので、増補改訂版で私が修正を加えました。
 高野によるカルガモの図版には、白い線は描かれていません。また、私が50年ほどカルガモを見続けている経験からは、かつては白い線が見えるカルガモは少なかったように思います。今のところ、個体差としか言えませんが、アヒルやマガモとの交雑が増えて、カルガモにマガモ的な特徴が増えてきたようにも思え、また、都市部ほど白い線が見えるカルガモが多い印象もありますが、きちんと調べられてはいないようです。
 眼の色についてもよくご指摘いただきますが、今回は修正には至らないと思います。例えばクロツラヘラサギの眼の色は、飼育されている動物園に通って間近で観察を続けましたが、年齢や季節の違いはよくわかりませんでした。個体差が多いこともありますが、同じ個体でも、距離や角度によって赤く見えたり、黒く見えたりするのです。

© 谷口高司

▲図版:カオグロガビチョウ 増補改訂版以後、谷口高司さんに追加してもらった図版の例。『新・水辺の鳥』でも、『新・山野の鳥』に入れられなかった外来種の図版として、改訂版以後、掲載しています。

(普及室・主席研究員/安西 英明)


■自然保護室より

■モニタリングサイト1000(森林・草原)鳥類調査研修会を開催しました

 当会では、環境省のモニタリングサイト1000(正式名称:重要生態系監視地域モニタリング推進事業)森林・草原の一般サイト調査の事務局をしています。本事業の一環として毎年全国数箇所で研修会を行っており、今年は11月〜12月にかけて長野県・佐賀県・東京都の三箇所で支部の皆様(諏訪支部、佐賀県支部)の協力を得ながら、バードリサーチと共催しました。
 この事業では、全国の森林や草原に約420か所の調査地点を設け100年間観測することによって、生態系の変化を早期に把握し、生物多様性保全のための施策に活かすことを目指しています。
 この調査は大規模かつ長期的な調査であり、支部の皆様をはじめ、調査員の方々の継続的なご協力が欠かせません。しかし、近年では各地で調査員不足や高齢化が進んでおり、次世代の調査員の確保も必要です。そのため、新たな調査員確保や調査方法の徹底をはかる研修会は欠かせないものとなっています。
 今回の参加者には、普段から独自に調査をされている方、これから初めようと思っている方、鳥に興味を持っている方など様々でした。2日間に及ぶプログラムを通して、本事業について理解を深めていただくと共に、調査に関する疑問なども解消する場となったようです。2日目に行った実際の調査方法体験は、難しく感じた方もあるかと思いますが、この研修会をきっかけに1人でも多くの方が本調査に加わっていただけるとうれしく思います。
 御協力くださった支部の皆様方には、この場をお借りして御礼申し上げます。
 今後も研修会は続けていきたいと考えています。研修会を開催できないかとご相談することもあるかと思いますので、その際は御協力いただけますと幸いです。




▲研修会の様子

(自然保護室/野口 真麿子)


■「野外鳥類学講座」のご案内

「野外鳥類学講座」参加者募集!

 自然の中で暮らしている鳥類の生態や行動をじっくりと調べ、生息環境や他の生物との関係、個体数に影響する要因などを明らかにすることは、鳥の保護活動を進めるうえで役立つデータになります。
 鳥類の観察を一歩進めて、調査を行い、集めたデータを分析してまとめていくことで、鳥との関わりが深まり、鳥の生活のいろいろなことが見えてきます。鳥のことを、より身近に知るきっかけになる講座です。ご参加をお待ちしています。

【日 時】2018年2月9日(金)13時〜2月12日(月)16時

【開催場所】(公財)日本野鳥の会 西五反田事務所及び都内公園
https://www.wbsj.org/about-us/summary/office/

【定 員】15名(先着順)。

【対象】鳥類の調査研究をこれから行なってみたいと考えている人、実際に行っている人。

【参加費】10,000円(昼食代、保険料を含む)。
※会場までの交通費、宿泊費は上記に含まれません。会場から都内の公園までの交通費を別途ご負担願います。

【概 要】
 講師の方から、鳥類の個体数や環境選択、行動等を把握するための基本的な調査方法、データの分析、論文にするまでの流れを講義で学び、その後、野外でテーマを見つけて調査を行い、結果を発表し合います。
≪1日目≫:講義(1)「野外鳥類学とは」/講義(2)「鳥と生息環境」/講義(3)「鳥の行動の観察」/(交流会)
≪2日目≫:講義(4)「保全への応用」/フィールド下見
≪3日目≫:講義(5)「野外調査のまとめ方、論文の書き方について」/野外調査
≪4日目≫:まとめ/発表

【講 師】
上田恵介(立教大学名誉教授、Strix編集長)
濱尾章二(国立科学博物館動物研究部グループ長)
金井裕(日本野鳥の会参与)
ほか当会スタッフ

【応募要領】
≪申込締切≫:2018年1月31日(水)まで
≪お申込み≫:参加を希望される方は以下の項目をご記入いただきEメール([email protected])、またはFAX(03-5436-2635)でお申し込みください。
[件名]野外鳥類学講座申込
[内容](1)氏名(ふりがな)、(2)生年月日(保険加入のため)、(3)性別、(4)連絡先(住所、電話、E-mail)
※お申込み受付後、詳細や持ち物等の資料をお送り致します。

【主催・お問い合わせ先】
≪主催≫:(公財)日本野鳥の会
≪担当≫:日本野鳥の会 山本裕
TEL:03-5436-2633 E-mail:[email protected]
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(自然保護室/山本 裕)


会員室より

■会計担当の皆様へ

 平素より支部会員の皆さまのデータ管理業務ではお世話になっております。遅くなりましたが、会費事務の手引き<連携団体用>〔2017年12月版〕を12月11日発送の、送金一覧表などと同送いたしました。会員事務手続きなどについてまとめた資料で、今回内容を大幅にリニューアルいたしました。お手元にて、ご活用をお願いいたします。

(会員室/清野 祐貴)


■会員数

 12月1日会員数35,013人で、先月に比べ122人減少しました。11月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より59人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。11月の入会者数は133人で、前年同月の入会者117人に比べ16人増加しました。11月の退会者は192人で、前年同月の退会者183人に比べ9人増加しました。

表1. 11月の入会・退会者数

入会者数退会者数
個人特別会員 5人 11人
総合会員(おおぞら会員) 28人 44人
本部型会員(青い鳥会員) 26人 36人
支部型会員(赤い鳥会員) 45人 54人
家族会員 29人 47人
合計 133人 192人
年度累計 1216人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(12月1日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1713人-11人
青森県248人-2人
岩手県359人1人
宮城県478人-4人
秋田県245人-2人
山形県207人-1人
福島県619人0人
茨城県904人-2人
栃木県623人1人
群馬県625人-7人
埼玉県2193人-8人
千葉県1636人-8人
東京都4892人-26人
神奈川県3350人-12人
新潟県368人-4人
富山県209人2人
石川県284人-2人
福井県219人0人
山梨県276人0人
長野県854人-5人
岐阜県468人-1人
静岡県1330人0人
愛知県1531人-2人
三重県417人-1人
滋賀県299人-1人
京都府799人-4人
大阪府1987人3人
兵庫県1284人-2人
奈良県488人-3人
和歌山県194人0人
鳥取県187人-1人
島根県165人-1人
岡山県556人-7人
広島県546人-3人
山口県375人4人
徳島県314人2人
香川県195人-3人
愛媛県365人0人
高知県130人0人
福岡県1323人-4人
佐賀県196人2人
長崎県201人-2人
熊本県414人1人
大分県212人-1人
宮崎県246人-3人
鹿児島県335人-2人
沖縄県109人-3人
海外11人0人
不明34人0人
全国35013人-122人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(12月1日現在)

都道府県会員数対前月差
オホーツク支部234人-2人
根室支部82人0人
釧路支部157人-1人
十勝支部184人-3人
旭川支部82人0人
滝川支部48人0人
道北支部32人-2人
江別支部19人0人
札幌支部313人2人
小樽支部71人-4人
苫小牧支部166人-3人
室蘭支部163人0人
函館支部26人0人
道南檜山70人0人
青森県支部137人-1人
弘前支部115人-2人
秋田県支部234人-2人
山形県支部190人-2人
宮古支部88人0人
もりおか156人1人
北上支部104人0人
宮城県支部438人-1人
ふくしま160人0人
郡山165人-1人
二本松14人0人
白河支部40人0人
会津支部51人0人
奥会津連合10人0人
いわき支部111人0人
福島県相双支部16人0人
南相馬15人0人
茨城県809人-1人
栃木602人0人
群馬551人-7人
吾妻41人0人
埼玉1668人-2人
千葉県1058人-5人
東京2853人-23人
奥多摩支部832人-8人
神奈川支部2359人1人
新潟県282人-5人
佐渡支部30人0人
富山187人1人
石川266人-1人
福井県211人-1人
長野支部460人-2人
軽井沢支部169人-1人
諏訪233人0人
木曽支部21人-1人
伊那谷支部79人0人
甲府支部190人-1人
富士山麓支部56人0人
東富士62人-3人
沼津支部162人0人
南富士支部249人0人
南伊豆40人-1人
静岡支部354人2人
遠江404人3人
愛知県支部1121人1人
岐阜475人-1人
三重352人-2人
奈良支部446人-3人
和歌山県支部195人0人
滋賀296人0人
京都支部768人-6人
大阪支部1879人6人
ひょうご976人-2人
鳥取県支部209人-1人
島根県支部153人-1人
岡山県支部524人-7人
広島県支部473人-3人
山口県支部354人4人
香川県支部157人-2人
徳島県支部326人2人
高知支部119人0人
愛媛340人0人
北九州311人-3人
福岡支部 589人-4人
筑豊支部231人-1人
筑後支部166人1人
佐賀県支部220人4人
長崎県支部192人1人
熊本県支部408人4人
大分県支部212人-1人
宮崎県支部243人-2人
鹿児島306人-1人
やんばる支部78人0人
石垣島支部20人-3人
西表支部43人1人
 30101人-95人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)


★支部ネット担当より

 寒気厳しき折柄、いかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
 今月号では、「野外鳥類学講座」のご案内を掲載しております。ご一読いただき、ぜひご検討ください。
 忙しい年末ですが、体に気をつけてお過しください。ご家族健康で新年を迎えられますようお祈り申し上げます。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第165号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2017年12月27日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]