No.166 2018年1月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆事務局からのお知らせなど
1月号『フィールドガイド日本の野鳥』
 増補改訂新版の取り組み

「アカコッコの森づくりin三宅島」参加者募集中
国際シンポジウム「野鳥と風力発電の
 センシティビティマップ‐その作成と活用方法」
 開催のお知らせ

支部・代表者・事務局変更のお知らせ
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.870

●2017/10 東京
・葛西三枚洲のラムサール条約登録活動その後
・オオタカ営巣記事
・ムクドリの集団ねぐら問題(研究部)
●2017/10 神奈川
・鳥のクチバシ(編集部)
・神奈川猛禽類レポートU
●2017/10 岐阜
・岐阜県の鳥獣保護行政へ要望書
●2017/10 兵庫
・保護グループ発足
・福島の子どもたちへの支援探鳥会
・2017年ツバメの集団塒調査(研究グループ)
・カワセミ科のくちばし
●2017/10 北九州
・風力発電計画に意見書提出
●2017/10 筑後
・ブッポウソウ観察

●2017/10 東京
・葛西三枚洲のラムサール条約登録活動その後
 6/17、同地のクリーン作戦に東京都港湾局、江戸川区の関係部局からの参加があった。6/18、「三枚洲を船から見る会」に内湾漁協会長が自らの船を出した。7/11、ラムサール条約事務局の担当者が現地視察をした。来年ドバイでの会議のテーマは「都市と湿地」であるので、葛西三枚洲のラムサール条約登録申請をして欲しいとあった。
(東京「ユリカモメ」NO.744,P3)

・オオタカ営巣記事
 東京都内のオオタカ営巣をサンデー毎日(7/23号)で大きなカラー写真入りで掲載したことに、8/10、支部は意見書を出した。埼玉(連携団体)も同様な書面を送付しており、本部に毎日新聞東京本社愛読者センターより回答があった。「当社の取材、掲載方針により掲載したが、指摘の件は報道の面と自然環境保全の面を考えあわせ、社内で論議した上で今後、対応する」(要約)。
(東京「ユリカモメ」NO.744,P9)

・ムクドリの集団ねぐら問題(研究部)
 ムクドリの集団ねぐらと人の軋轢で、決定的な解決法は見つかっていない。ムクドリは外敵から身を守るためと考えても、街中には外敵は少ないのでは。人通りの多い場所を選ぶのは「ツバメの繁殖戦略」と同じで、人間の近くは安全と判断しているのでは。ムクドリの集団塒対策は追い出し作戦と塒壊滅作戦があるが、結局、塒は他の場所に動き、迷惑が拡散する結果になっている。共存の方法として、街路樹の枝を剪定し、人の通路と分ける案がある。
(東京「ユリカモメ」NO.744,P11〜12)

●2017/10 神奈川
・鳥のクチバシ
 幼鳥の嘴は完全に硬くなっておらず、双眼鏡である程度確認でき、幼鳥を見分けられる。ヒヨドリ等の花の蜜を採る鳥には嘴の回りにヒゲがある。蜜や花粉をこぼさないような構造になっている。鳥には歯が無く、代りに舌が硬い。口の中の色は成幼で違う例(オオヨシキリ、コヨシキリ)、雌雄で違う例(オオルリ)がある。
(神奈川「はばたき」NO.545,P7)

・神奈川猛禽類レポートU
 神奈川野生生物研究会が17年ぶりに同レポートUを発行した。神奈川県下のクマタカを主に報告している。amazonで購入できる(A4、164頁、3,000円+税)。
(神奈川「はばたき」NO.545,P15)

●2017/10 岐阜
・岐阜県の鳥獣保護行政へ要望書
 県鳥ライチョウは国の保護策が推進されているが、県が調査委託した業者にはライチョウ調査経験者がいない。富山県、長野県では調査員の育成、支援者の増加対策をしている。高山市の城山公園の野鳥は県の天然記念物指定であるが、何の保護対策もされていない。美濃市の洲原神社のブッポウソウは天然記念物であったが、既にいない。海外の珍しい動物を展示する前に、野生動物の保護施設が必要である。高山市のホテル駐車場では県はササゴイ営巣中の高木の伐採許可をしている。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.600,P8〜9)

●2017/10 兵庫
・保護グループ発足
 幹事会で従来の保護研究グループを保護グループと研究グループに分けることを決定した。兵庫県内には野鳥保護収容施設が無いため、支部としてもその対応が必要になっている。
(兵庫「コウノトリ」Vol.220,P4)

・福島の子どもたちへの支援探鳥会
 2011年から毎年12月に、原発被災の子どもたち支援のための探鳥会を行ってきた。寄せられたカンパで福島県内の5つの小学校に双眼鏡、野鳥図鑑、鳥の声のCD等の自然観察教材が贈呈された。福島県日本野鳥の会連携団体連合会から感謝状が届いた。贈呈式の様子は地元紙福島民報で報道された。
(兵庫「コウノトリ」Vol.220,P14)

・2017年ツバメの集団塒調査(研究グループ)
 7/22〜8/12、県内8箇所で調査した結果が寄せられた。神戸市西区龍ヶ池(溜池のヨシ原)では18,000羽、三木市美嚢川河川敷(ヨシ原)では30,000羽、加古川市加古川河川敷(ヨシ原)では20,000±羽、豊岡市円山川河川敷(ヨシ原)では8,000羽を記録した。
(兵庫「コウノトリ」Vol.220,P16〜18)

・カワセミ科のくちばし
 カワセミ科のくちばしは、餌の魚の比率が高いほど細くなり、食性の幅が広いほど(アカショウビン等)下嘴のカーブが大きく、嘴の根元が広くなっている。カワセミは水面に鋭角的に飛び込む。海鳥でも魚を主に捕りものは、嘴は細く長く尖っていて魚を急襲する。
(兵庫「コウノトリ」Vol.220,P20〜21)

●2017/10 北九州
・風力発電計画に意見書提出
 響灘埋立地では大きな風車を建設する計画が進んでいる(回転直径154m、鉄塔高さ154m、4999KWX1基、5000KW以下のため、北九州市のアセス対象外で自主アセス対象)。(株)自然電力へ支部は意見書を出した。早期運転を狙い1KW少なく申請し、アセスを軽視している。3箇月の試運転で(鳥が慣れ)バードストライクが減るとは言えない。「モニタリングにおいて、鳥類に重大な影響を与える衝突が発生した場合・・・」とあるが、どの程度の影響なのかの説明が不足。事前調査は不十分であるため、最新データを活用し、再調査が必要である。
(北九州「北九州野鳥」NO.376,P5)

●2017/10 筑後
・ブッポウソウ観察
 八女市の市民との協働によるまちづくり提案事業でブッポウソウの保護活動を行った。矢部村では巣立ち2羽(鉄橋)があった。同地では1977年頃よりブッポウソウの飛来記録がある。
(筑後「まめわり」NO.197,P7〜9)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.871

●2017/11 苫小牧
・勇払原野のオオジシギ減少(本部自然保護室)
●2017/11 埼玉
・2017年秋シギ・チドリ類調査(調査部)
●2017/11 東京
・伊豆諸島のヤマガラ(東邦大・NPO法人バードリサーチ)
・オオタカの希少種指定解除とその問題点(保護部)
・東京都の稀な鳥たち(野鳥記録委員)
●2017/11 甲府
・カモ科鳥類調査
・コノハズク、サシバ
・カルガモ
●2017/11 伊那谷
・ライチョウ
●2017/11 大阪
・キジバトの♂♀の差
・スズメの繁殖期
・淀川でシロガシラ繁殖
●2017/11 筑後
・三池島のベニアジサシ

●2017/11 苫小牧
・勇払原野のオオジシギ減少(本部自然保護室)
 2017/5、全道支部が参加し、同地のオオジシギの繁殖個体数を数えた。77羽を記録し、2001年の107羽より減少した。減少要因を見ると、オオジシギが好まない樹林、畑地の増加が影響している。
(苫小牧「あおさぎ」NO.215,P4〜5)

●2017/11 埼玉
・2017年秋シギ・チドリ類調査
 9/18、さいたま市の大久保農耕地を調査した。3種、24羽(ムナグロ5、オオジシギ2、タシギ15、他に不明タシギ属2)。
(埼玉「しらこばと」NO.404,P4)

●2017/11 東京
・伊豆諸島のヤマガラ(東邦大・NPO法人バードリサーチ)
 最北の大島には本土と同じ亜種ヤマガラ、その南にはナミエヤマガラ、更に南の島にはオーストンヤマガラが分布する。後者2種は絶滅危惧種で体が大きく胸が赤い特徴がある。DNA調査で、本土から中間の島に渡ったヤマガラが亜種ナミエになり、1万年位前、本土から2回目に最南端に渡ったヤマガラは亜種オーストンに進化した。
(東京「ユリカモメ」NO.745,P3)

・オオタカの希少種指定解除とその問題点(保護部)
 9/21、環境省はオオタカを種の保存法での国内希少野生動植物(希少種)から解除すると発表した。従来は種の保存法でオオタカ繁殖維持できるような保護対策が取られ、結果としてその地域の生物多様性が守られてきた。環境省は開発抑制を目的とする希少種指定継続は、種の保存法運用の信頼性を確保するためにも適切では無いと回答している。今後は保護管理事務を都道府県に移管し、条例レベルで保護はされると想定されているが、体制、人材が不足している。東京都には「自然の保護と回復に関する条例」があるが、従来は国の法律に依存しており、都独自で種指定をしたことはない。
(東京「ユリカモメ」NO.745,P11)

・東京都の稀な鳥たち(野鳥記録委員)
 キガシラセキレイ:2017/4、雄成が神津島に1週間滞在。セグロサバクヒタキ:2017/4、東京都初記録。オニカッコウ:2016/9、三宅島で鳴き声確認、東京都初記録。オオグンカンドリ:2016/8、大島で3羽同時に確認、同時複数は日本では珍しい。ニシオジロビタキ:2016/11〜2017/1、府中市武蔵野公園で見る。雄成は都初記録?シジュウカラガン:2016/3〜4、多摩川下流で同種幼鳥を見る、嘗て、東京湾には多数渡来していたが、東京都では久々の記録。
(東京「ユリカモメ」NO.745,P16〜17)

●2017/11 甲府
・カモ科鳥類調査
 2016/9〜2017/3、7回、富士五湖で調査した。総計は2,795羽で内訳はカワアイサ711、ホシハジロ573、マガモ570、ヒドリガモ470、キンクロハジロ261等。河口湖、山中湖で五湖の9割を占めるが、五湖ではカモ類は相変わらず減少傾向あり、H24年の約半数に、H14年の約1/3になっている。
(甲府「カワセミ」NO.140,P4)

・コノハズク、サシバ
 県レッドデータブックに記載されている2種について、記録されたメッシュ数を見る。コノハズクは2000年代の10が2010年以降1と激減。サシバはほぼ横ばいと推測される。
(甲府「カワセミ」NO.140,P5)

・カルガモ
 鴨(かも)の語源は浮かぶからで「うかぶ→うかむ→かむ→かも」との説、雁がもとで「がん→かむ→かも」との説があるが、不明。奈良時代から軽(かる)は鴨や雁を指していたが、カルガモは通年見られるので軽はカルガモに残った説は説得力がある。
(甲府「カワセミ」NO.140,P8)

●2017/11 伊那谷
・ライチョウ
 北アルプスではライチョウをタケドリ(岳鳥)と言ったのは山岳の鳥の意味である(1922 小池)。4〜5月、雄たちは縄張り争いで騒がしくなり、餌となる高山植物コケモモ、ガンコウランを確保する。植物食のため盲腸は長い。縄張りは300m前後でその周囲にアブレ雄(前年生まれの若鳥)がいる。南アルプスのイザルガ岳はライチョウ繁殖地最南端である。ライチョウは山で雷が鳴ると雷獣を捕えて食べるとされ、「雷鳥」の漢字が1700年代中頃から定着している。近年、八ヶ岳、白山でライチョウは見られず、中央アルプスでもロープウェイ開通と共に見られなくなった。富山県では立山・黒部アルペンルート開通で250羽が150羽に減っている。更に地球温暖化の影響もある。
(伊那谷「かわせみ」NO.48,ZP2〜4)

●2017/11 大阪
・キジバトの♂♀の差
 キジバト♀では三列風切の赤褐色の縁取りが幅広く内外両側にあるが、♂は外側のみか、先端部のみしかにない。
(大阪「むくどり通信」NO.250,P8)

・スズメの繁殖期
 中村(1995)には「スズメの番形成は3〜4月に盛んであるが、前年の9月頃より始める個体もおり、♂は巣穴を防衛し、近くに♀を呼ぶ」とある。欧州ではイエスズメで秋に巣を作る例がある。三上(2015)には秋から冬、巣穴を塒として使い、そのまま巣として確保し、営巣に有利である可能性を言及している。
(大阪「むくどり通信」NO.250,P17)

・淀川でシロガシラ繁殖
 9/12、高槻市の淀川でシロガシラ繁殖番(巣立ち雛は3羽)を見る。大阪府鳥類目録では2000年と2014年に観察記録があるが、繁殖例は初めてである。日本では現在、沖縄本島、南西諸島に留鳥としているが、沖縄で繁殖確認は1976年で、その後日本本土へ分布が拡大している。
(大阪「むくどり通信」NO.250,P23)

●2017/11 筑後
・三池島のベニアジサシ
 9/15〜18、筑波大学での日本鳥学会2017年度大会でポスター発表した。大牟田市の沖合にある三池島はベニアジサシ集団繁殖地の北限である。2014年、530羽飛来、雛確認。2015年、18羽飛来、繁殖せず。2016年、355羽飛来、営巣放棄で繁殖せず。2017年、243羽飛来、営巣放棄で繁殖せず。ベニアジサシの寿命は長く(20年の記録有)、本来、数年ごとに繁殖地を変える習性があり、単年ごとの非繁殖は個体群に与える影響は大きくないと考える。今回は3年連続の繁殖失敗であり、カラス、ハヤブサ、釣り人の不法上陸の影響が出ている。
(筑後「まめわり」NO.198,P8〜9)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.872

●2017/11 札幌
・2017年カッコウ調査
●2017/11 茨城県
・カシラダカ
・2017年シギ・チドリ類調査(環境計画部)
・羅網死以外に2500羽を銃殺へ
●2017/11 千葉県
・三番瀬ラムサール条約登録へ2万人署名提出(9/14 毎日新聞)
・アカアシカツオドリ(9/13 日本経済新聞)
・イヌワシ絶滅予測(9/26 読売新聞)
・超温暖化5600〜5200万年前(9/13 日本経済新聞)
●2017/11 奥多摩
・2017年秋タカ渡り観察会(研究部)
・アレチウリ(保護部)
●2017/11 愛知県
・瀬戸市に巨大ソーラー発電施設計画
●2017/11 北九州
・ドードーの雛成長は速かった(AFP通信)
・響灘大規模洋上風力発電計画に意見書提出

●2017/11 札幌
・2017年カッコウ調査
 6/16〜18、札幌市周辺で48箇所を調査した。総計51羽(昨年43羽)を記録した。札幌市東区11、同白石区8、同北区7、石狩市11、江別市8等で、札幌市豊平区、清田区、南区、中央区、西区では、今年も確認できなかった。この10年で過去最大数は2012年の77羽であった。
(札幌「カッコウ」NO.398,P8〜10)

●2017/11 茨城県
・カシラダカ
 カシラダカはいつの間にか、小さな群れしか見られなくなった。昨年12月、国際自然保護連合(IUCN)は日本のモニタリング調査結果より、過去30年間で75〜87%減ったとして絶滅危惧U類(VU)に指定した。ロシアの学者曰く、中国人が食べている。
(茨城県「ひばり」NO.340,P2)

・2017年シギ・チドリ類調査(環境計画部)
 4/29、8/20、各前後7日間で、春季、秋季の調査をした。春季は60の調査地(調査者67名)で総計、17種、1,790羽(昨年26種、1,952)を記録した。主な種はムナグロ992、チュウシャクシギ397、メダイチドリ66、タカブシギ63等。秋季は43の調査地(調査者49名)で総計、25種、456羽(昨年25種、507)を記録した。主な種はミユビシギ106、コチドリ63、ムナグロ63、シロチドリ45、イソシギ34、メダイチドリ28、タカブシギ28等。
(茨城県「ひばり」NO.340,P3〜5)

・羅網死以外に2,500羽を銃殺へ
 ハス田に防鳥ネットを張るようになって14年、カモによるハス田への甚大な食害は無いと伝えてきた。9月、茨城県はレンコン被害軽減のため、カルガモを主に10〜3月、2,500羽を有害鳥獣捕獲駆除すると連絡してきた。この数は、カモのハス田での羅網数に匹敵する。ハス田には鉛弾が多数落ちることになる。
(茨城県「ひばり」NO.340,P22〜23)

●2017/11 千葉県
・三番瀬ラムサール条約登録へ2万人署名提出(9/14 毎日新聞)
 9/11、「三番瀬を守る署名ネットワーク」は同条約登録に向け、2万人の署名を千葉県へ提出した。来年10月、ドバイで開催される締約国会議で登録を目指す。地元漁協は「漁場の再生が先」としており、登録の1つの条件「地元の合意」が形成されていない現状にある。署名活動は2004年に始まり、今回の分を含め17万人以上となった。
(千葉県「ほおじろ」NO.439,P12)

・アカアシカツオドリ(9/13 日本経済新聞)
 9/12、東京都は小笠原諸島の南硫黄島でアカアシカツオドリの集団繁殖を、国内初めて確認したと発表した。
(千葉県「ほおじろ」NO.439,P12〜13)

・イヌワシ絶滅予測(9/26 読売新聞)
 京都大学野生動物センターは動物園で飼われ、人工繁殖を続けているイヌワシは子孫が0になる恐れがあると予測した。2014年現在、全国で27羽のイヌワシが飼育されているが、大半が血縁関係にあり、将来、交配が難しくなる。10年に1度、野生の番を人工繁殖に加えると、人工繁殖は続けられるとの結果。国内の野生のイヌワシは推定約500羽、繁殖率も20%まで低下している。同センターの村山美恵教授は「イヌワシは野生と人工飼育、相互交流で守れる」としている。
(千葉県「ほおじろ」NO.439,P13)

・超温暖化5600〜5200万年前(9/13 日本経済新聞)
 9/12、英科学誌サイエンスティフィック・レポートに、約5600〜5200万年前に超温暖化があったと、東京大学の研究チームが発表した。インド洋深海の堆積物調査で、数千年に9℃近くの気温上昇痕跡があったとされる。大気中のC02が有機物に変わった時、硫酸バリウムの成分が海に沈み、海中のプランクトンが光合成でCO2を封じ込め、大気のC02濃度が低下し、超温暖化は終息したとみられる。
(千葉県「ほおじろ」NO.439,P13)

●2017/11 奥多摩
・2017年秋タカ渡り観察会(研究部)
 9/13〜10/9、青梅市の梅の公園と羽村市の羽村郷土博物館で観察した。梅の公園ではサシバ1,550、ハチクマ30を記録した。羽村ではサシバ707、ハチクマ11であった。ピークは9/29のサシバ457(梅の公園)、同276(羽村)であった。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.239,P2〜3)

・アレチウリ(保護部)
 アレチウリはマント状に他の植物を覆い、太陽光を奪ってしまう。国から「緊急対策外来種」に指定されている。白い針の毛がついた星型の種は、厚手の作業手袋を使わなければ、痛くて除去作業は行えない。地下には太く白く長い根があり、伐根が大変で、目の敵にしているオオブタクサやカナムグラが可愛らしく見える。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.239,P19)

●2017/11 愛知県
・瀬戸市に巨大ソーラー発電施設計画
 瀬戸市と土岐市が接する山林(敷地60ha、開発面積30ha)に約3万KWのソーラー発電施設計画がある。地元自治会は反対している。現地を知って頂くため、11/12、現地で支部、赤津自然観察会、海上の森野鳥の会で観察会を行う。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.369,P6)

●2017/11 北九州
・ドードーの雛成長は速かった(AFP通信)
 8/25、ケープタウン大学などの国際研究チームはドードーの孵化した雛の成長は非常に早かったと発表した。ドードーはハト科のモーリシャス島固有種で17世紀、人の入植で百年も経ずに絶滅した。残っていた22羽の骨の微細構造を調べた結果で、サイクロンが襲来する過酷な夏に備えるためではないかと言う。
(北九州「北九州野鳥」NO.377.P8)

・響灘大規模洋上風力発電計画に意見書提出
 本部自然保護室の指導を受け、9/28、支部(支部長代行 前田伸一)と野鳥の会本部(理事長 遠藤孝一)の連名で、事業者「ひびきウインドエナジー社」に意見書を提出した。
(北九州「北九州野鳥」NO.377.P13〜14)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.873

●2017/10 道南桧山
・鳥と日本人(北海道大学名誉教授)
●2017/11-12 宮城県
・2017秋シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
・イナバヒタキ
●2017/11-12 諏訪
・アカエリヒレアシシギの胃
・イワヒバリ雌の求愛行動
●2017/11-12 鳥取県
・ジョウビタキが繁殖
・ビデオカメラで見るブッポウソウの子育て
●2017/11 岡山県
・カワウ被害対策
●2017/11-12 愛媛
・ツグミ類(調査研究担当)
●2017/10 高知
・ブッポウソウ巣箱で初営巣
●2017/11 長崎県
・2017年9月タカの渡り調査
・風力発電反対活動

●2017/10 道南桧山
・鳥と日本人(北海道大学名誉教授)
 「西本豊弘編集 人と動物の日本史」(2008)の中に、新美倫子著「鳥と日本人」の報告がある。縄文時代から江戸時代までの遺跡から出土した鳥類の骨をまとめている。感想は日本の大規模な海鳥の集団繁殖地の殆どは人が食べつくしていた。今は離島にしか集団営巣地が残っていない。出土はカモ類29%、キジ類16%、カモメ類10%、ウ類10%、ガン類7%、ウミスズメ類6%、アホウドリ類5%、カラス類2%、ミズナギドリ類2%等であった。アホウドリ類は数が多いのはニシンを追って来て、人を恐れないため捕獲されたよりは日本にアホウドリの繁殖地があったとすれば納得できる。
(道南桧山「はちゃむ」NO.120,P8〜10)

●2017/11-12 宮城県
・2017秋シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
 9/9、10、蒲生海岸にて。トウネン300、メダイチドリ20、ミユビシギ19、ソリハシシギ10、シロチドリ8、キアシシギ6等、16種。
(宮城県「雁」NO.286,P11〜12)

・イナバヒタキ
 9/12、登米市で伊豆沼周辺で柳にとまるイナバヒタキを撮影した。宮城県初記録となる。
(宮城県「雁」NO.286,P14)

●2017/11-12 諏訪
・アカエリヒレアシシギの胃
 9/6、岡谷市でアカエリヒレアシシギ16羽が落鳥、内13羽が死亡した。北極圏で繁殖し、南半球まで移動し、日本には羽休みと補給で立ち寄る。死亡した11羽の胃の中には極小の29個、総計0.6gしか餌が無かった。体内に残存する餌が無い中、体に蓄えた脂肪等で過酷な渡りをしている。今回、消化器官から消化のための小石68個(2.5o未満)が出てきた。この中に赤、緑、青等の宝石と思われる原石があったのは驚異である。通常キジは100個程度の小石を内蔵する。
(諏訪「いわすずめ」NO.177,P3〜4)

・イワヒバリ雌の求愛行動
 イワヒバリは高山帯の夏鳥として八ヶ岳では5〜10月に見られる。古くは「いはすずめ」と言われ、当会の会報名にもなっている。「繁殖期に雌のほうから求愛し、雄は特に何もしない」(1995 中村)とされる。今回、5、6月に八ヶ岳で雌の求愛行動を観察した。雌は地上で両翼を震わせて半開し、雄の前で尾羽を持ち上げると、雄は反射的に交尾した。多数巣の雌に給餌する共同多夫多妻繁殖形態をとる。
(諏訪「いわすずめ」NO.177,P6〜7)

●2017/11-12 鳥取県
・ジョウビタキが繁殖
 大山町では2013年よりジョウビタキの繁殖が目撃されている。9月の鳥学会、ポスター発表最優秀賞(学生の部)から。今年4/17〜7月末の内、30日間調査し、14巣を見つけた。巣の形状に3タイプあり、窪みにあわせた巣(入れ子型、梁の穴等)、箱のように囲まれた中の巣(箱型、換気扇フード、窓の隙間等)、開放場所の巣(軒下等)。30m以内で♂2羽が見られる事があり、縄張りは50m程度と思われる。2回繁殖した番がいるが、前と繁殖ステージが重なるためか、新しい巣は近くの別の場所にある。今回10番が高密度で営巣していた。昨年標識した6羽の内、2羽が戻ってきていた。
(鳥取県「銀杏羽」NO.154,P8〜10)

・ビデオカメラで見るブッポウソウの子育て
 日南町で2016年、巣箱を覗いた5/15から雛巣立ちの8/11まで巣箱内を撮影した。6/15まではブッポウソウとシジュウカラが巣箱を覗いた。シジュウカラは6/8〜11、巣箱に産座を作り産卵した。6/13にはブッポウソウが産卵しており、6/14、シジュウカラは、大きくなっている卵を嘴でつつき巣を出た。ブッポウソウは6/13、6/15、6/17、計3卵を産卵し、その間、シジュウカラの卵は捕食された。1卵目は孵化せず、2卵目は7/7孵化したが、5日後餓死した。3卵目は7/8、孵化し、給餌が不足気味で成長が遅れ35日後(8/11)に巣立ちした。雌親も給餌を余り受けられず、巣穴に登れない状況が見られ、8/3以降失踪した異常事態であった。
(鳥取県「銀杏羽」NO.154,P11〜13)

●2017/11 岡山県
・カワウ被害対策
 農林水産省と環境省が策定した「カワウ被害対策強化の考え方」により、「カワウの塒等を管理し、2023年度までに個体数半減を目指す」とあり、2014年に中国四国カワウ対策協議会」が、2015年には「岡山県カワウ対策協議会」が発足し、支部では岡山県内のカワウ生息状況を調査している。2017年夏の調査結果は、県内総計2,743羽で海岸域762、旭川760、高梁川650、吉井川571で均等に分布している。
(野鳥おかやま」NO.223,P2)

●2017/11-12 愛媛
・ツグミ類(調査研究担当)
 愛媛県でツグミの仲間で一年を通じて記録があるのはトラツグミで、クロツグミは夏鳥とされるが、2〜11月に観察記録がある。マミジロは標高の高い山地で見られ、4〜5月、平地で少数が見られる。秋と春、通過するが、通過場所が異なる。アカハラは愛媛県では11月と5月に通過している。ツグミは集団で渡って来るが、シロハラは群れでは来ない。
(愛媛「コマドリ」NO.241,P2)

●2017/10 高知
・ブッポウソウ巣箱で初営巣
 嘗て、四万十市〜四万十町の鉄道橋の穴でブッポウソウが繁殖していたが、ここ数年、姿が見えない。支部は2015年から合計30個の巣箱を電柱に設置した。今年5月、ブッポウソウの飛来が確認され、巣箱への出入りがあり、7/23、24に巣立ちしたと見られる。
(高知「しろぺん」NO.369,P1〜2)

●2017/11 長崎県
・2017年9月タカの渡り調査
 佐世保市烏帽子岳では1箇月間でアカハラダカ15,834羽をカウントした。過去29年間の平均は23,000羽である。その間、対馬の内山峠では91,176羽である。最終地台湾の寧丁では208,419羽であった。ハチクマは佐世保市冷水岳で1,325羽で烏帽子岳の北側を多く通った。
(長崎県「つばさ」NO.359,P7〜13)

・風力発電反対活動
 反対活動機運を連携し、醸成するため、佐世保市の建設予定地に隣接した場所での「森林環境と自然教育林業等学習体験」(NPO法人ホースパーク)で支部は当地の渡り鳥について説明することになった。
(長崎県「つばさ」NO.359,P18)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.874

●2017/冬の巻 弘前
・2017チゴハヤブサ調査
●2017/11-12 栃木
・メガソーラー規制条例制定
・オオタカ希少種解除
・渡良瀬遊水地のアオジ(バードリサーチ)
●2017/11-12 群馬
・シノリガモ
●2017/12 千葉県
・ほおじろサポーターズ
●2017/12 神奈川
・2017年秋鎌倉市稲村ヶ崎でのタカの渡り
・秦野市権現山のタカの渡り(ふれあい自然探鳥会)
●2017/11-12 島根県
・シギ・チドリ類調査
●2017/12 高知
・2017年秋ブッポウソウ巣箱点検
●2017/12 長崎県
・クロハゲワシ
●2017/12 熊本県
・シマゴマ
・ツバメの塒

●2017/冬の巻 弘前
・2017チゴハヤブサ調査
 弘前市周辺で今年、チゴハヤブサの雛を確認した巣は3箇所あった。2001〜2004年の調査では営巣地は10箇所以上あったが、今年は6箇所で営巣地は減っている感じである。
(弘前「初列風切」NO.197,P4)

●2017/11-12 栃木
・メガソーラー規制条例制定
 栃木県内ではメガソーラーを規制する条例やガイドライン作りが進んでいる。既に足利市、栃木市には条例があり、日光市、鹿沼市など8市3町で条例やガイドライン作りが検討されている。鹿沼市での条例では保全区を指定し、その中での設置は全て市の有識者による審議会で審議される。それ以外の地区では1000m2以上は届出制としている。資源エネルギー庁はガイドラインを補完する指導指針を今年度内に策定する。
(栃木「おおるり」Vol.249,P7)

・オオタカ希少種解除
 日本野鳥の会やオオタカ保護基金では、その解除は妥当であるが、「猛禽類保護の進め方」(ガイドライン)に基づき一定の生息環境の保全がなされてきたのは、オオタカが希少種に指定されていたからで、この仕組みが無いままで解除は時期尚早として、解除に反対してきた。今後もこのガイドラインが順守され、里山保全の新たな制度を整備するよう働きかけをしていきたい。
(栃木「おおるり」Vol.249,P7)

・渡良瀬遊水地のアオジ(バードリサーチ)
 渡良瀬遊水地には夏でもアオジは生息している。2006年頃は1kmに1、2羽であったが、2013年頃は6羽と増えている。巣や巣立ち雛は見られていないが、夏に幼鳥が確認されている。高地の戦場ヶ原ではアオジは繁殖している。低地の霞ヶ浦では夏にも記録はあるが、営巣記録は無い。青森県仏沼ではアオジは営巣している。渡良瀬遊水地のアオジは山岳の個体ではなく、冬場に東北地方から南下した個体が繁殖を始めた可能性が高まっている。
(栃木「おおるり」Vol.249,P9)

●2017/11-12 群馬
・シノリガモ
 シノリガモ(晨鴨)の晨は星の意味があり、雄の顔に白い点や線が星座のようにも見える。英名では道化師顔の鴨で、日本では荒波の岩礁で冬を越す海ガモとされるが、内陸のブナ林で営巣する。群馬県でもシノリガモの繁殖記録がある。1999/7、奥利根湖上流、2017/8/M、野鳥の会のHPに高崎市の染谷川でエクリプスになっていない雄成の写真が載った。繁殖地(奥利根湖上流)から越冬地への移動途中と仮説を立てる。
(群馬「野の鳥」NO.344,P6〜8)

●2017/12 千葉県
・ほおじろサポーターズ
 支部は普及、保護、調査・研究の3本柱を均等に考え、日常の活動を展開している。保護活動や調査・研究活動は緊急を要することが多い。日程も流動的で誌上で予告が難しいため、会員間の軽いネットワーク「ほおじろサポーターズ」を2004年より発足させ、メール等で連絡をとっている。現在70名以上が登録されている。
(千葉県「ほおじろ」NO.440,P16)

●2017/12 神奈川
・2017年秋鎌倉市稲村ヶ崎でのタカの渡り
 今年は海上でなく内陸側を渡るサシバが多かった。渡り時期も10日程早かった。9/9〜10/18の内18日間で、サシバ1,008、ハチクマ43、ノスリ14、チゴハヤブサ10で、ピークは9/29のサシバ516であった。
(神奈川「はばたき」NO.547,P4〜5)

・秦野市権現山のタカの渡り(ふれあい自然探鳥会)
 調査は12年目である。9/1〜10/18の内38日間で、サシバ795、ハチクマ30、ノスリ67、ツミ42、チゴハヤブサ15、オオタカ7、ハイタカ類6、ミサゴ4、ハヤブサ1で、ピークは9/29のサシバ441であった。
(神奈川「はばたき」NO.547,P5)

●2017/11-12 島根県
・シギ・チドリ類調査
 1990/9/15、2017/9/15の飯梨川河口でのシギ・チドリ調査結果、1990/9は9種53羽に対し、2017/9は4種9羽であった。1990年には同地で環境省の絶滅危惧TA類のヘラシギ1が記録されている。9月全日では1990年は20種140羽に対し、2017年は7種57羽になっている。
(島根県「スペキュラム」NO.180,P9)

●2017/12 高知
・2017年秋ブッポウソウ巣箱点検
 四万十川地区で架けた巣箱の中を点検した。ブッポウソウ営巣痕跡は1箇所のみで、他はカラ類11箇所、スズメ5箇所、カラ類とスズメ二重繁殖6箇所、ムササビ塒1箇所、未使用6箇所であった。ブッポウソウは糞やペリットを巣内にそのまま残す。巣材も自身で巣箱に運び込まないので、巣内の堆積物で巣立の見当がつく。巣内に残る雛の排泄物の乾燥重量100g当り雛1羽と推定できる(鳥類保護連盟広島県支部)。
(高知「しろぺん」NO.371,P1〜2)

●2017/12 長崎県
・クロハゲワシ
 11/1、諫早市中央干拓地でクロハゲワシ幼1を撮影する。多数のミヤマガラスにモビングされる。翼長はミヤマガラスの4倍と巨大である。日本には迷鳥として記録がある。
(長崎県「つばさ」NO.360,P6〜10)

●2017/12 熊本県
・シマゴマ
 10/5、熊本県御船町でシマゴマを複数名で確認した。熊本県初記録になる。1984/9、2008/5にも記録があるが、単独での確認のため、正式記録として扱っていない。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.358,P5)

・ツバメの塒
 8/26、熊本空港東側のトウモロコシ畑にツバメ1万+が塒入りする。氷川河口中州では7/11〜10/17、増減を繰り返したが、9月下旬までに1万羽を複数回確認した。10/30には塒解消した。他地区の増減が符号するのは、ツバメは複数の塒を利用しながら少しずつ南下しているのかも知れない。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.358,P10)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■1月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■


<絶滅危惧種、日本と世界でどう違う?>

 昨年11月号で触れた世界基準の絶滅危惧の最新の評価結果が12月に公開されました。その情報を自然保護室から入手したので、『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の2刷に反映させます。
 「絶滅危惧種は環境省の指定、自治体の指定などさまざまあるし、変更もあり、混乱もある。図鑑で取り上げなくてもよいのではないか?」という意見をいただいたこともあります。しかし、日本野鳥の会は自然保護団体であり、バードライフ・インターナショナルのパートナーという立場に鑑みて、国の指定と国際的な指定について、紹介に努めたいと考えています。
 現在、『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の「日本鳥類リストとレッドリスト」で印が付けられている国際的な指定は、2014年の段階でバードライフ・インターナショナルが絶滅危惧レベルに評価したものです。なお、絶滅危惧レベルとは、VU(危急)以上のEN(絶滅危惧)、CR(絶滅寸前)とし、環境省の指定の場合も、VU(絶滅危惧U類)以上としています。
 11月号にも書きましたが、日本では絶滅危惧とされていない種でも、サカツラガン、コオリガモ、クロウミツバメなどが指定されていて、アジアの一部しか分布域がないとか、世界的には減少傾向が危惧されているものなどが読み取れます。シマクイナ、ホウロクシギ、オバシギなども同様で、日本ではあまり気にされていませんが、減少傾向にあることがわかります。

<IUCN版レッドリスト2017-3>

 昨年12月に新たになったIUCNによるレッドリストも、バードライフ・インターナショナルの分類に基づいています。日本鳥学会の日本鳥類目録改訂第7版とは違う見解もありますが、目録7版に沿って和名を記した増補改訂新版の「日本鳥類リストとレッドリスト」に対応させて、2刷で新たに絶滅危惧の印をつけることにしたのは以下になります。

ヒメヒシクイ、アカノドカルガモ、ホシハジロ、アカハジロ、ミミカイツブリ、ハジロミズナギドリ、オオシロハラミズナギドリ、ハワイシロハラミズナギドリ、ミナミオナガミズナギドリ、シロハラアカアシミズナギドリ、ハワイセグロミズナギドリ、オガサワラヒメミズナギドリ、コシジロウミツバメ、ソデグロヅル、ノガン、ハリモモチュウシャクシギ、シロハラチュウシャクシギ、ミツユビカモメ、アカアシミツユビカモメ、ゴビズキンカモメ、コシジロアジサシ、カラフトワシ、シロフクロウ、オーストンオオアカゲラ、ワキスジハヤブサ、オーストンヤマガラ、セスジコヨシキリ、カシラダカ

<印が付けられない絶滅危惧種>

 シマアオジはVU(危急)からEN(絶滅危惧)に、評価の程度が変わりましたが、『フィールドガイド日本の野鳥』の中では、絶滅危惧レベルは一まとめにしているので、そこまで示すことはできません。
 また、日本鳥学会の日本鳥類目録改訂第7版と分類が違うために、今回もPterodroma cervicalisPuffinus bannermaniは、絶滅危惧レベルとされていましたが、印をつけることができませんでした。
 前者は、前回のバードライフ・インターナショナルの指定と同じくVUとされています。増補改訂新版ではP70で、種の和名をクビワオオシロハラミズナギドリとして紹介していますが、目録7版では分類の検討が必要という理由で掲載されずに、「検討中の種・亜種」とされています。
 後者も前回同様にENとされていますが、目録7版に掲載されていません。目録7版ではPuffinus lherminieriをセグロミズナギドリとしていて、日本で記録されているのはセグロミズナギドリPuffinus lherminieriの亜種Puffinus lherminieri bannermaniとしているという、分類上の見解の違いがあるのです。

© 谷口高司
▲図版 アヒル
 増補改訂版以後、谷口高司さんに追加してもらった図版の例。アヒルと呼ばれる鳥は、種としてはマガモであることを理解していただくために、白いものからマガモに似たものまで描いてもらっています。

(普及室・主席研究員/安西 英明)


■保全プロジェクト推進室より

■「アカコッコの森づくりin三宅島」参加者募集中



▲アカコッコ
 伊豆諸島の三宅島に生息する絶滅危惧種のアカコッコ。生息環境の悪化により数が減ってしまったアカコッコが好む環境を増やして、この鳥を守る活動に取り組んでいます。
 今年は3月10日(土)に、アカコッコ館周辺の森を生息に適した環境に整える“下草管理”などの作業を行います。皆様のご参加をお待ちしています!

【開催日】:2018年3月10日(土)10:00〜15:20
【会場及びお申込先】:
≪三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館≫
◎住所:〒100-1211東京都三宅島三宅村坪田4188
◎電話:04994-6-0410、FAX:04994-6-0458
◎E-mail:[email protected]
【参加費】:無料
※別途、入館料(200円)が必要です。
【定 員】:定員9名/先着、最小催行人数3名、中学生以上:島外の中学生は保護者同伴


▲作業の様子

【お申込方法】:
 下記の必要事項を明記の上、郵送、FAX、E-mailのいずれかで、2月28日(水)(消印有効)までにアカコッコ館へご連絡ください。
(1)氏名・(2)住所・(3)電話番号(あれば携帯電話)・(4)メールアドレス・(5)性別・(6)生年月日※保険加入のため・(7)3月11日(日)の野外セミナーへの参加希望の有無

*詳細はインターネット版をご覧ください。
http://park10.wakwak.com/~miyakejima/event.html

(保全プロジェクト推進室/手嶋 洋子)


■自然保護室より

■国際シンポジウム「野鳥と風力発電のセンシティビティマップ‐その作成と活用方法」開催のお知らせ


 風力発電と野鳥のセンシティビティマップ(脆弱性地図)について、下記のシンポジウムを開催いたしますので、皆様ふるってご参加ください。

【タイトル】:「野鳥と風力発電のセンシティビティマップ‐その作成と活用方法」
【日 時】:2018年2月17日(土)10:00〜17:00
【会 場】:東京都市大学 横浜キャンパス 3号館・31A教室
(〒224-0015神奈川県横浜市都筑区牛久保西3丁目3-1)
※入場無料・事前申し込み不要・日英同時通訳あり(通訳機のお渡しは先着100名様まで)

【目 的】:
 風力発電施設の建設計画に関わるステークホルダー(環境コンサルタント・事業者等)、研究者、学生、自然保護団体等を対象として、風力発電施設建設に起因する鳥類への影響を回避するために最も有効な手段であるとされ、欧州を中心に盛んになっている風力発電事業に関連した鳥類センシティビティマップ(風車建設の影響を受けやすい鳥類の生息地マップ)の作成や活用の事例について国内外の事例を学ぶ。そして、今後どのようにしたら日本国内でもセンシティビティマップの作成が盛んに行われるようになるかを考える。

【内 容】(予定):
◎野鳥と風力発電の調和―センシティビティマップの重要性
・・・・・・・・Tristram Allinson/BirdLife International
◎アイルランドにおける野鳥のセンシティビティマップと風力発電開発
・・・・・・・・・・Oonagh Duggan/BirdWatch Ireland
◎ブルガリアにおける野鳥のセンシティビティマップと風力発電開発
・・・・・・・・Irina Kostadinova/Bulgarian Society for the Protection of Birds
◎環境省における全国向け野鳥と風力発電のセンシティビティマップ
・・・・・・・・・・有山 義昭/環境省自然環境局
◎衝突履歴を利用した全国スケールのセンシティビティマップ作成の試み
・・・・・・・・・北村 亘/東京都市大学環境学部
◎鳴門市でのゾーニングにおけるセンシティビティの評価検討について
・・・・・・市川 大悟/世界自然保護基金ジャパン
◎北海道北部における繁殖海鳥の洋上風力発電のセンシティビティマップ作成事例
・・・・・風間 健太郎/北海道大学・院・水産科学
◎北海道宗谷地域における野鳥と風力発電のセンシティビティマップ
・・・・・・・・・浦 達也/(公財)日本野鳥の会
◎国内外のゾーニングの取り組みと今後の課題
・・・・・分山 達也/(公財)自然エネルギー財団
◎ディスカッション−どうしたら日本でセンシティビティマップが普及、活用されるのか

【主催・共催・助成・お問合せ先】
≪主催≫:(公財)日本野鳥の会
≪共催≫:東京都市大学環境学部・バードライフインターナショナル東京
≪助成≫:地球環境基金
≪お問合せ先≫:日本野鳥の会自然保護室 浦 達也
E-mail:[email protected]

(自然保護室/浦 達也)

総務室より

■支部・代表者・事務局変更のお知らせ

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。(敬称略)

●日本野鳥の会大阪支部
【事務局の電話番号及びFAX番号の変更】
◎電話番号
新):06-6766-0500
旧):06-6766-0055
◎FAX番号
新):03-6766-0501
旧):03-6766-0056
変更年月日:平成30年1月9日

(総務室/鈴木 美智子)

会員室より

■会員数■

 1月5日の会員数は34,940人で、先月に比べ73人減少しました。12月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より142人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。12月の入会者数は132人で、前年同月の入会者144人に比べ12人減少しました。また、12月の退会者は274人で、前年同月の退会者275人に比べ1人減少しました。

表1. 12月の入会・退会者数

入会者数 退会者数
個人特別会員 9人 17人
総合会員(おおぞら会員) 22人 87人
本部型会員(青い鳥会員) 37人 53人
支部型会員(赤い鳥会員) 43人 64人
家族会員 33人 54人
合計 144人 275人
年度累計 1223人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(1月5日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1711人-2人
青森県249人1人
岩手県363人4人
宮城県478人0人
秋田県245人0人
山形県207人0人
福島県614人-5人
茨城県897人-7人
栃木県624人1人
群馬県625人0人
埼玉県2175人-18人
千葉県1632人-4人
東京都4882人-10人
神奈川県3338人-12人
新潟県368人0人
富山県212人3人
石川県281人-3人
福井県219人0人
山梨県277人1人
長野県855人1人
岐阜県463人-5人
静岡県1328人-2人
愛知県1527人-4人
三重県418人1人
滋賀県299人0人
京都府798人-1人
大阪府1985人-2人
兵庫県1289人5人
奈良県488人0人
和歌山県191人-3人
鳥取県185人-2人
島根県167人2人
岡山県558人2人
広島県544人-2人
山口県375人0人
徳島県313人-1人
香川県193人-2人
愛媛県364人-1人
高知県130人0人
福岡県1318人-5人
佐賀県194人-2人
長崎県202人1人
熊本県416人2人
大分県214人2人
宮崎県246人0人
鹿児島県331人-4人
沖縄県109人0人
海外11人0人
不明32人-2人
全国34940人-73人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(1月5日現在)

都道府県会員数対前月差
オホーツク支部238人4人
根室支部80人-2人
釧路支部157人0人
十勝支部185人1人
旭川支部81人-1人
滝川支部48人0人
道北支部31人-1人
江別支部19人0人
札幌支部314人1人
小樽支部70人-1人
苫小牧支部162人-4人
室蘭支部158人-5人
函館支部24人-2人
道南檜山69人-1人
青森県支部137人0人
弘前支部113人-2人
秋田県支部233人-1人
山形県支部190人0人
宮古支部89人1人
もりおか155人-1人
北上支部107人3人
宮城県支部440人2人
ふくしま159人-1人
郡山163人-2人
二本松14人0人
白河支部40人0人
会津支部51人0人
奥会津連合10人0人
いわき支部110人-1人
福島県相双支部16人0人
南相馬14人-1人
茨城県805人-4人
栃木600人-2人
群馬550人-1人
吾妻41人0人
埼玉1657人-11人
千葉県1054人-4人
東京2840人-13人
奥多摩支部832人0人
神奈川支部2346人-13人
新潟県282人0人
佐渡支部30人0人
富山189人2人
石川263人-3人
福井県211人0人
長野支部457人-3人
軽井沢支部165人-4人
諏訪235人2人
木曽支部21人0人
伊那谷支部78人-1人
甲府支部190人0人
富士山麓支部56人0人
東富士63人1人
沼津支部162人0人
南富士支部246人-3人
南伊豆40人0人
静岡支部354人0人
遠江401人-3人
愛知県支部1116人-5人
岐阜471人-4人
三重357人5人
奈良支部449人3人
和歌山県支部192人-3人
滋賀295人-1人
京都支部762人-6人
大阪支部1880人1人
ひょうご977人1人
鳥取県支部208人-1人
島根県支部154人1人
岡山県支部524人0人
広島県支部471人-2人
山口県支部354人0人
香川県支部155人-2人
徳島県支部325人-1人
高知支部119人0人
愛媛339人-1人
北九州307人-4人
福岡支部 586人-3人
筑豊支部231人0人
筑後支部166人0人
佐賀県支部218人-2人
長崎県支部193人1人
熊本県支部410人2人
大分県支部214人2人
宮崎県支部243人0人
鹿児島302人-4人
やんばる支部77人-1人
石垣島支部20人0人
西表支部43人0人
 30003人-98人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


★支部ネット担当より

 厳しい寒さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号には、「アカコッコの森づくりin三宅島」や国際シンポジウム「野鳥と風力発電のセンシティビティマップ‐その作成と活用方法」の開催をご紹介しております。ぜひ、ご一読いただきご参加のご検討をお願いいたします。
 今年も支部と財団の連携強化につながるよう、情報発信に努めて参りたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第166号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2018年1月30日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
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