No.167 2018年2月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせ
2017年度日本野鳥の会中部ブロック会議報告
◆事務局からのお知らせなど
2月号『フィールドガイド日本の野鳥』
 増補改訂新版の取り組み

平成29年度連携団体全国総会報告
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.875

●2018/1 道南桧山
・樺太アイヌの説話:海猫娘をさらふ(北海道大学名誉教授)
●2017/12 郡山
・日本野鳥の会は自然保護団体?その歴史
●2017/12 東京
・ナイター球場に舞い降りた鳥
●2018/1 東京
・アカガシラカラスバト復活の兆し(小笠原自然文化研究所)
●2018/1 神奈川
・丹沢のキーアニマル:ニホンジカ(編集部)
●2018/1 軽井沢
・カッコウ科
●2018/2 軽井沢
・篭脱け鳥
●2017/12 兵庫
・何故キビタキの若鳥は成鳥よりよく囀るのか
●2017/12 山口県
・2017年秋シギ・チドリ類県内一斉調査
●2017/12 北九州
・カンムリカイツブリ幼鳥(研究部)
・北九州響灘洋上ウィンドファーム(事務局)
●2017/12 福岡
・足環の付いた鳥

●2018/1 道南桧山
・樺太アイヌの説話:海猫娘をさらふ(北海道大学名誉教授)
 アイヌの海鳥に関する説話は少ないが、知里真志保著作集第一巻(平凡社)に「海猫むすめをさらう」という説話が載っている。三姉妹の様子がウミネコの繁殖生態を参考にして書かれている。ウミネコは3個の卵を生み、これが三姉妹と符合する。番形成で♂は気に入った♀の前に食べたものを大量に吐き出す。説話では海猫が三女に鰊のぶりこを吐いて渡したとある。1999〜2002年、利尻島の観察ではそれは殆どツノナシオキアミという動物プランクトンで、北海道のニシンは明治30年(1897年)には100万トンの漁獲があったが、1955年には消滅していた。
(道南桧山「はちゃむ」NO.121,P7〜10)

●2017/12 郡山
・日本野鳥の会は自然保護団体?その歴史
 S50年代は環境問題を後回しにしたツケが表面化していた。日本野鳥の会はウトナイ湖に注力していたが、各地の自然保護運動に積極的に参加することは無かった。会の執行部は日本自然保護協会と連携することを提案したが、当時の中西悟堂氏はそれを認めなかった。野鳥の会各支部も自然保護活動を殆どやらなかった。当時の「野鳥」誌は同氏の取り仕切りで、文芸誌の内容であった。本部は東京支部の感じで、「一県一支部」の方針を決めたが、その反発で同一県内に、よく似た類似名団体ができた。その後、一県一支部に拘らないとして、福島県でも現場に合わせて1993年、8支部が発足した。その間、地方の自然保護活動運動の声を中央行政機関に届けたのは日本自然保護協会であった。この確執で新鋭の鳥類研究者は野鳥の会を去った。
(郡山「かっこう」NO.100,P2〜3)

●2017/12 東京
・ナイター球場に舞い降りた鳥
 井上靖氏が1958年5月までに週刊読売に連載した小説「海峡」の中に、後楽園球場にナイターを見に行った時、3羽の小鳥が飛び回り、試合が中断し、知り合いからアカエリヒレアシシギと知ったとの記述がある。小説の中の知り合いのモデルは鳥声録音のパイオニア蒲谷鶴彦氏で、井上氏はこの小説を書くため、蒲谷氏と各地で鳥を見ていた。その後、1958/9、後楽園球場に初めてアカエリヒレアシシギが舞い降りた。井上氏の予言は恐るべき眼力である。
(東京「ユリカモメ」NO.746,P10)

●2018/1 東京
・アカガシラカラスバト復活の兆し(小笠原自然文化研究所)
 小笠原諸島固有亜種のアカガシラカラスバトは生息数40〜60羽と推定された時期があり、野生化したイエネコ(ノネコ)により絶滅が危惧されていた。小笠原諸島は2011年、世界自然遺産に登録されたが、環境省が示す13種の絶滅鳥の内、6種が同諸島の鳥である。小笠原村では1998年にネコ適正飼養条例を制定したが、山域ではネコが減らず、アカガシラカラスバト個体数は回復しなかった。2008年、保全計画づくり国際ワークショップが開催され、集落域では飼いネコの不妊化率100%、捨て猫が根絶され、山域から600頭以上を都内に搬出した結果、2012年以降、アカガシラカラスバトは増加傾向にあり、現在400羽程に回復した。
(東京「ユリカモメ」NO.747,P3)

●2018/1 神奈川
・丹沢のキーアニマル:ニホンジカ(編集部)
 11/19、横浜市で丹沢ブナ党シンポジウムがあった。麻布大学いのち博物館高槻成紀学芸員より日本のシカ問題現況報告があり、1980年頃より農業被害が出だし、2000年以降は急激な頭数増加で、植生への悪影響、土壌崩壊が進展している。神奈川県は、丹沢山地は高標高を「自然植生回復エリア」、中標高を「生息環境エリア」、山麓部を「被害防除対策エリア」とし、シカを毎年2000頭捕獲し、10年で半減目標にしている。パネルディスカッションでは中標高域に大型動物が生存できるようにすること、間伐で低層林、下層植生を育てることとあった。
(神奈川「はばたき」NO.548,P7)

●2018/1 軽井沢
・カッコウ科
 ホトトギスの仲間は(杜鵑)の漢字を音読みでトケン類と表していた。嘗てはホトトギス科で、現在はカッコウ科になっている。カッコウは繁殖期に計25個程の小さめの卵を産み、産卵にエネルギーを注ぐ。托卵時間は10秒程度と極めて短い。飛翔姿はタカ類に似ており、小鳥を巣から追い出すための威嚇効果がある。同じ種内の種内托卵はムクドリ、ダチョウが知られている。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.417,P4〜5)

●2018/2 軽井沢
・篭脱け鳥
 ワカケホンセイインコは元々、インド、スリランカに分布するが、面白いワカケダンスをし、ペットとして輸入された。現在、東京都内20箇所以上で800羽を超え、関東一円に広がっている。カササギ、シラコバト、シロガシラは従来、外来種扱いであったが、鳥類目録第7版では正式に日本の種名として登録された。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.418,P4〜5)

●2017/12 兵庫
・何故キビタキの若鳥は成鳥よりよく囀るのか
 キビタキの若鳥は成鳥が囀らなくなっても囀り続ける。縄張りが安定化すると成鳥は必要以上に囀らなくなるが、若鳥は自分の囀りを完成するために繰り返し練習している。鳴禽類の多くは、複雑な囀りを学習で獲得している。キビタキの幼鳥は身近な雄の囀りを聴いて覚え込み、次の年、若鳥は自分の記憶と照らして囀りを完成させる。幼鳥期の学習を鋳型説と呼び、父親の囀りを受け継ぐことが多い。一度完成した成鳥の囀りはその後、変化しない。
(兵庫「コウノトリ」Vol.221,P10)

●2017/12 山口県
・2017年秋シギ・チドリ類県内一斉調査(担当幹事)
 9/10、山口県内20箇所で調査した。総計492羽で、内訳はシロチドリ94、トウネン73、アオアシシギ69、ダイゼン66、ソリハシシギ39、イソシギ34、タシギ21、チュウシャクシギ20、オバシギ17等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.254,P15)

●2017/12 北九州
・カンムリカイツブリ幼鳥(研究部)
 カンムリカイツブリは北九州では冬鳥で、近年、夏場に遠賀町のクリークで幼鳥が撮影された。近くで繁殖したと思われ、繁殖地が当初の青森県から南下しているようであるが、九州では繁殖事例は無い。
(北九州「北九州野鳥」NO.378,P9)

・北九州響灘洋上ウィンドファーム(事務局)
 響灘で44〜50基の風力発電が計画されている。10/16、計画段階環境配慮書審議会を傍聴した。支部からも意見を提出していたが、時間も短く、審議は低調であった。同配慮書に対する北九州市長の意見がHPに掲載されている。鳥類への言及は無い。隣の下関市安岡地区の洋上風力発電計画では賛否の活動が活発である。
(北九州「北九州野鳥」NO.378,P10)

●2017/12 福岡
・足環の付いた鳥
 8/26今津で確認された足環付きのオバシギは、8/4カムチャッカ半島で放鳥された幼鳥であった。9/16糸島市で確認されたハマシギは、8月にカムチャッカ半島で放鳥された幼鳥であった。9/22糸島市で確認されたクロツラヘラサギは、2012/6ロシア沿海州の南部のクロツラヘラサギ集団営巣地で放鳥された個体であった。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.458,P9)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.876

●2017/8-9 宮古
・セグロカッコウ
・風力発電に意見書提出
●2017/10-11 宮古
・遠藤公男氏が日本哺乳学会から功労賞
●2017/9-10 盛岡
・間伐運動会
・難聴児童自然体験ツアー
●2017/12 山形県
・飛島海鳥調査
・酒田市十里風力発電事業計画
・山形県初確認の鳥たち
●2017/11 長野
・ホシガラスの巣の記録(都留文科大学非常勤講師)
●2017/12 長野
・カッコウ類初鳴き
●2017/11-12 広島県
・2017秋シギ・チドリ渡り調査(調査担当)
●2017/9 筑後
・ヘラシギ、カラフトアオアシシギ(研究部)

●2017/8-9 宮古
・セグロカッコウ
 6/20、盛岡市の網取りダム近くでセグロカッコウの声を聞く。声は「カッカッカッコウ」とあるが、「ホッホッホッホウ」と聞こえる。ワンコ(犬)のような声と言う人もいる。県内2例目である。本種は国内唯一、鳴き声から日本の種と認定された。大陸ではオウチュウに托卵する由。
(宮古「ミサゴの森」NO.255,P3)

・風力発電に意見書提出
 8/30、支部は仮称「岩泉有芸風力発電事業」の環境影響評価書に意見を出した。2000KW、24基である。計画地周辺にはイヌワシの複数の営巣地がある。隣接の釜石市ではイヌワシで3年間に2回のバードストライクがあった。3枚羽根風車はこれを防ぐ構造になっていない。大規模環境改変、尾根上からの災害の要因になる。ふる里山野の景観にふさわしくない。
(宮古「ミサゴの森」NO.255,P6〜7)

●2017/10-11 宮古
・遠藤公男氏が日本哺乳学会から功労賞
 宮古市在住の動物文学作家、遠藤公男氏が新種のコウモリ4種発見、調査研究、文筆活動で哺乳学に寄与したとして表彰された。同氏は岩手県内初のイヌワシの巣を発見、野鳥の会宮古支部を結成し、カスミ網猟の禁止に道を開き、野鳥の密猟防止に尽くされた。現在は宮古支部の顧問である。
(宮古「ミサゴの森」NO.256,P2〜3)

●2017/9-10 盛岡
・間伐運動会
 10/9、14、北上山地でイヌワシのための、下草刈り、作業道作り、餌となる小動物の隠家作り、伐採材搬出を行った。毎年、作業環境が変わる現場を見るのは、山仕事の実感がある。この地のオーナーである公財本部保全プロジェクト推進室田尻浩伸氏は、この地の作業は他地区の目指すべき1つの理想型とする。上空をクマタカが飛び、クマタカがいることはイヌワシはいない?
(盛岡「山翡翠」NO.378,P2〜3)

・難聴児童自然体験ツアー
 10/7、岩手県環境学習交流センターの仲介で、聴覚障がい児童向けに探鳥会を実施した。補聴援助システムを使い、現場でマイクを使い案内した。障がい者の探鳥会企画に関心がある本部普及室の箱田敦只氏も来られた。地元マスコミでも取り上げられた。
(盛岡「山翡翠」NO.378,P3)

●2017/12 山形県
・飛島海鳥調査
 2015年より山形県の委託で御積島で繁殖している可能性が高いカンムリウミスズメ、ウミスズメ、ウトウについて調査した。カンムリウミスズメの世界最北営巣地と期待されたが、いずれの種も繁殖確認できなかった。
(山形県「やませみ」NO.90,P5)

・酒田市十里風力発電事業計画
 山形県は10月に、酒田市は11月に山形県知事に環境影響評価書を提出した。鳥類ではコアジサシの繁殖期5〜8月は工事中止、バードストライク等の重大な影響があった場合は追加的保全措置をする、事後調査は1年間、半径120m周囲で計6回実施としている。事後調査はメンテナンス時期にその要員が行うことで何ができるのか。県、市は県立自然公園条例に基づく工作物設置許可の申請をし、3月に県知事が結論を出す。
(山形県「やませみ」NO.90,P5)

・山形県初確認の鳥たち
 5/18、飛島でムナグロノゴマ♂が観察撮影された。日本初記録。以前はノゴマの3亜種の1つとされたが、この個体のように顎線が白い中国南部の亜種は近年、独立種になっている。8/26、鶴岡市でイナバヒタキ1が観察撮影された。全国でも数年に1度程度の迷鳥で8月の記録も極めて稀である。10/16、飛島でハイイロオウチュウ1が観察撮影された。今秋は九州、沖縄、舳倉島で観察される当り年であった。
(山形県「やませみ」NO.90,P9)

●2017/11 長野
・ホシガラスの巣の記録(都留文科大学非常勤講師)
 富士山にはハイマツは生育していない。2009年の調査で、富士山ではホシガラスはゴヨウマツの種子を貯食していた。直線距離で10km、標高差1280mから運んだ例がある(2011年)。日本では繁殖中のホシガラスの巣確認は少なく、2011年、富士山で4例目の巣を発見した。巣作りは2月末〜3月に行われ、積雪が多い、亜高山帯で見つけるのは困難である。この時は5月であった。雌雄で抱卵確認し、7月に2羽の雛が巣立った。通常、雛の孵化は4月で、雪がある中で雛への給餌は晩夏から秋に貯食したゴヨウマツやハイマツの種子であった。これで捕食者が少ない時期に子育てが可能になる。
(長野「野鳥ながの」NO.560,P4)

●2017/12 長野
・カッコウ類初鳴き
 2017/4〜6、37件のデータが寄せられた。初鳴きはツツドリ4/19、カッコウ5/9、ホトトギス5/8、ジュウイチ5/11であった。4月中旬にツツドリ、5月初旬にホトトギス、カッコウ、5月中旬にジュウイチである。
(長野「野鳥ながの」NO.561,P4)

●2017/11-12 広島県
・2017秋シギ・チドリ渡り調査(調査担当)
 9月上旬、広島県内11箇所で調査した。18種、452羽であった。内訳はシロチドリ115、タシギ90、ケリ64、ソリハシシギ50、イソシギ37、キアシシギ29、トウネン15、アオアシシギ14、コトドリ12等。
(広島県「森の新聞」NO.213,P2)

●2017/9 筑後
・ヘラシギ、カラフトアオアシシギ(研究部)
 ヘラシギは2015年の推定では140〜480羽で繁殖番数は35〜100番とされる。英国、ロシアで人工繁殖の試行が始まった。カラフトアオアシシギは推定個体数500〜1,000羽とされ、繁殖地の樺太南部は開発され、北部に少数の繁殖地が残っているのみ。
(筑後「まめわり」NO.196,P8)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.877

●2017/12 道北
・チュウカナダガン
・サロベツに現れたナベヅル
・シマアオジ札幌シンポジウム
●2017/11-12 盛岡
・イヌワシ生息地に風力発電
●2017/10 石川
・里山の守護神が消える(北陸鳥類調査研究所)
・輪島市の産業廃棄物処分施設を考える
●2017/10 南富士
・ウルトラトレイル・マウントフジ2018(保護部)
●2017/11 南富士
・猟期が変わります(保護部)
・マダニから身を守る方法
●2017/10 奈良
・千鳥の文様
●2017/10 徳島県
・徳島県でオオジュウイチ
・ちょっと気になる野鳥の和名ミミズク

●2017/12 道北
・チュウカナダガン
 9/16、豊富町の牧草地にオオヒシクイの群れにチュウカナダガン1羽を確認。チュウカナダガンは手元の図鑑に載っていない。以前からサロベツに飛来している種で、学会誌に発表しても、日本の鳥類として認められていない。シジュウカラガンに似るが、体の大きさ、首、嘴の長さで区別できる。
(道北「オロロン」Vol41,NO.2,P3)

・サロベツに現れたナベヅル
 9月中旬〜11月中旬、豊富町にナベヅル1羽が飛来した。ナベヅルは九州で越冬する冬鳥と思っていた。タンチョウと共にいたが、11月の降雪で去った。
(道北「オロロン」Vol41,NO.2,P4)

・シマアオジ札幌シンポジウム
 環境省の依頼で11/26、札幌市でシンポジウムを開催した。北海道野鳥愛護会、野鳥の会札幌支部の協力を得た。北海道地方環境事務所の挨拶、北海道環境科学センターから北海道のアオジの状況、今後の保全策の話があった。バードライフインターナショナルから世界のアオジ状況と保全策の話があった。
http://sarobetsu.or.jp/blog/2017/12/02/シマアオジ札幌シンポジウム報告/
(道北「オロロン」Vol41,NO.2,P8〜9)

●2017/11-12 盛岡
・イヌワシ生息地に風力発電
 一関市と住田町にまたがる北上山地に風力発電の建設計画がある。イヌワシの生息が確認されている場所である。事業者はその可能性を示唆しているので、イヌワシの行動を把握した上で風車の設置を決め、リスクを極力低減する措置を採るとしている。審議会の会長の東北鳥類研究所由井正敏所長はイヌワシの生息地にあえて風車を建てることはないとしている。日本イヌワシ研究会は事業計画の中止か大幅な計画変更を求めている。野鳥の会は対応に遅れがあり、会員個人が意見書を出している。岩手県内3支部で協力していく。
(盛岡「山シ翡翠」NO.379,P2〜3)

●2017/10 石川
・里山の守護神が消える(北陸鳥類調査研究所)
 4年越しの論議の末、オオタカを種の保存法の希少種指定から解除することが決定した。里山と言う場を守る法的な仕組みが希少種オオタカの生息環境を守るとして可能であったが、環境省は都道府県にそれぞれの方策を検討せよとの通達で、都道府県で保護策を解決せよと言わんばかり。里山を守る法的根拠を失った今、野鳥の会としても真剣に考える必要がある。
(石川「石川の野鳥」NO.196,P6)

・輪島市の産業廃棄物処分施設を考える
 輪島市は大釜地区の同施設の受け入れを進めている。環境影響評価準備書(H25/3)には絶滅危惧種動物34種(内鳥類は12種)、同植物38種が記載されている。5/26、支部は日本鳥類保護連盟石川支部、森の都愛鳥会と連名で石川県知事へ絶滅危惧種の保護の要望書を出した。8/22、野鳥の会本部は世界自然保護基金ジャパン(WWFJ)、日本自然保護協会と共同意見書を石川県知事へ提出した。ミゾゴイ営巣地で代替地は無い。環境影響評価法は環境アセスの手続きを定めた法律で、手続きに問題無ければ石川県は受け入れる可能性がある。
(石川「石川の野鳥」NO.196,P6)

●2017/10 南富士
・ウルトラトレイル・マウントフジ2018(保護部)
 9/13、同実行委員会より関係団体に説明があった。開催時期は野鳥の繁殖時期を外す(2000名以上が長時間走り抜けるのは問題)。秋季であれば自衛隊演習場を通らず開催できるのでは。秋季は標高が高く気温低下で選手に影響が出る、秋季は各地で開催されているので、春に開催したい。環境影響調査は実施する。
(南富士「さえずり」NO.419,P4)

●2017/11 南富士
・猟期が変わります(保護部)
 北海道以外では猟期は11/15〜2/15であるが、静岡県ではイノシシ、ニホンジカの被害が大きいとして、イノシシ、ニホンジカに限り、猟期を11/1〜3/15に変更されている。(他県でも猟期が長くなっている例あり)
(南富士「さえずり」NO.420,P4)

・マダニから身を守る方法
 肌を露出しない。ズボンの裾は靴下の中へ。長靴がよい。不用意に草地に腰を降ろさない。獣道周辺はマダニが多い。ディート、イリカジン等のマダニ忌避剤を使う。入浴時、ほくろのようなものに注意、それはマダニかも。
(南富士「さえずり」NO.420,P8)

●2017/10 奈良
・千鳥の文様
 万葉の時代より群れをなして飛ぶとして千鳥として詠われている。江戸時代になると単純化された三角形に近いデフォルメされた文様が出て、現在では綾織の縞模様として群れ飛ぶ千鳥に見立てた千鳥格子がある。
(奈良「いかる」NO.159,P26〜27)

●2017/10 徳島県
・徳島県でオオジュウイチ
 オオジュウイチは托卵性の鳥で、東南アジアに広く分布し、渡り性があり、台湾では夏鳥として普通に見られる。日本には極めて稀な迷鳥で1989/10、石垣島、その後、粟島、福江島で記録がある。今回、2015/5、徳島県阿南市東方15kmの伊島でオオジュウイチの囀りを録音した。記録は島嶼が多く、太平洋側では初記録となる。よく似た囀りにハイタカジュウイチがいるが、それは定住性である。
(徳島県「野鳥徳島」NO.469,P2〜5)

・ちょっと気になる野鳥の和名ミミズク
 日本産のフクロウ科は11種、その内7種は名前に「ズク」が付く。木菟と表記され、羽角(耳羽、耳角)を持つフクロウ(ミミズク)の意味とされる。アオバズクは羽角が無く、シマフクロウには羽角があってもフクロウと呼ばれる。ズクは西日本に多いフクロウの方言「フルツク」にあると考える。フルツクは後に、ズクと濁ったと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.469,P12)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.878

●2018/1 千葉県
・貝落しするカモメ類
・ペンギン クラゲ食べない説覆す(11/13日本経済新聞)
・真っ黒シジュウカラ国内初確認(11/2朝日新聞)
●2018/1 三重
・チュウヒサミット2017
・2017年タカ渡り
・アオジはいつ来るのか
・四日市駅前のムクドリ対策
●2017/12 滋賀
・小林コレクション
・水鳥一斉調査2017年秋(保護研究部)
・湖北のオオワシ
●2017/11 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名ウミアイサ
●2017/12 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名シギ

●2018/1 千葉県
・貝落しするカモメ類
 高野伸二さんから「北海道のオオセグロカモメは貝を上空から落とし割って食べる」と伺っていた。その後、三番瀬でニシセグロカモメでも同じ行動を見た。ウミネコでも1回見た。貝を放す時、ただ放す個体と下向きに加速度をつける個体がおり、高さは5〜50mであった。
(千葉県「ほおじろ」NO.441,P11)

・ペンギン クラゲ食べない説覆す(11/13日本経済新聞)
 南極のペンギンはクラゲを頻繁に捕食していることが、国立極地研究所(京都府)の調査で明らかになった。水分が多く、栄養価の低いクラゲを食べる生き物は稀であるとの説が覆った。同研究グループは、ペンギンはクラゲの内臓部分の栄養価の高い部位を狙っていると見ている。
(千葉県「ほおじろ」NO.441,P12)

・真っ黒シジュウカラ国内初確認(11/2朝日新聞)
 つくば市で全身が黒いシジュウカラ♀が国内で初めて確認された。国立科学博物館(つくば市)の遺伝子調査でシジュウカラと確かめられた。世界でも稀でオランダに例がある。色素の遺伝子異常で白くなる例はあるが、黒は例が少なく、何故黒くなるのか不明である。
(千葉県「ほおじろ」NO.441,P13)

●2018/1 三重
・チュウヒサミット2017
 木曽岬干拓地のチュウヒを守るため、三重、愛知県支部(ともに連携団体)、名古屋鳥類調査会は2006年よりチュウヒサミットを開催している。2017年は11/18、名古屋市立大学で開催され、115名が参加した。基調講演は「日本のチュウヒの生態」(岡山県支部 多田英行)、「北海道のチュウヒの生態」(道央鳥類研究グループ 矢崎啓究)、「今後のチュウヒ保護の進め方」(日本野鳥の会本部 浦達也)。別に各地からの報告、ポスター発表があった。チュウヒサミット2017宣言では「全国でチュウヒは僅か110〜140番程度で、開発にさらされている。この9月、種の保存法で指定種になったのを受けて、環境省、各自治体、地権者はその保護義務を負うべき。
(三重「しろちどり」NO.94,P2〜4)

・2017年タカ渡り
 10/1、伊勢市岡本でサシバ570、松阪市飯南町でサシバ約200、奈良県御丈村でサシバ233。三重県北部、岐阜県側ではサシバよりハチクマが多かった。
(三重「しろちどり」NO.94,P4)

・アオジはいつ来るのか
 亀山市の河川敷で、カスミ網でバンディング調査をしたことがある。1998〜2003年の調査で、アオジの到着時期を見た。アオジは三重県では繁殖しておらず、県内で越冬する個体は北海道以北で繁殖するものが多いと思われる。アオジが連日網に掛かる最初の日を見ると、10/25〜11/2にあった。
(三重「しろちどり」NO.94,P5)

・四日市駅前のムクドリ対策
 駅前のクスノキ80本を数千羽のムクドリが塒にしている。市はムクドリ対策として鷹匠による放鷹(ハリスホーク)を8/2より、3箇月間、30回程行った。ムクドリの声は少なくなった。放鷹が終わった11月には別の場所に200羽程の塒ができていた。この放鷹は東海地方ではマスコミ報道された。周辺の丘陵地に追いやる効果はあったかもしれないが、その地の開発で更に増えて戻ってくる危険性がある。
(三重「しろちどり」NO.94,P6〜7)

●2017/12 滋賀
・小林コレクション
 小林コレクションは故小林桂助氏が世界各地から集めた1万5千点の鳥類の標本で、兵庫県三田市の兵庫県立人と自然の博物館に収蔵されている。日本の鳥類標本は約11万点で、山階鳥類研究所が最大で小林コレクションはそれに次ぐ。
(滋賀「におのうみ」NO.51,P2〜4)

・水鳥一斉調査2017年秋(保護研究部)
 11/7、琵琶湖湖北湖岸で、カモ類総計11,340羽、内訳はサカツラガン1、ヒシクイ67、コハクチョウ102、ホシハジロ2,676、マガモ2,405、キンクロハジロ1,759、ヒドリガモ699等。オオバンは11/6に13,333羽であった。
(滋賀「におのうみ」NO.51,P14)

・湖北のオオワシ
 滋賀県では30年以上前からオオワシが観察されている。その頃は福井県の三方五湖から飛来していると思われていたが、1992/1、湖北の山本山に定着するオオワシ(初代)が確認された。初代は2003/1まで見られ、1998年からは2羽見られた、内1羽の初代は2003/1、当地で衰弱死した。残る1羽が2代目で、今冬で20年目となる。1998年には既に成鳥で、成鳥になるには6年掛かるとされ、現在26歳以上の高齢である。
(滋賀「におのうみ」NO.51,P16)

●2017/11 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名ウミアイサ
 アイサは「図説日本鳥類名由来辞典」に「あきさ」の古名として奈良時代より知られており、アイサになったとある。「新編大言海」には秋早鴨の音便略とあり、早秋に渡来する鴨に由来するとしている。アイサ類は他の鴨より遅く渡来しており、この説明は賛同しかねる。語源は荒磯にあると考える。古語で「アリソ」と発音し、岩礁に来る鴨として、荒磯鴨(アリソガモ)からアイサに転訛と考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.470,P9)

●2017/12 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名シギ
 「しぎ」は奈良時代より知られている。大槻文彦(2010)言海には、しきりに羽ばたく音がシギの名の由来としている。シギ類の羽ばたき音が「繁き」と表現される程特徴的とは思えない。シギの名前の由来は「しぐらふ」にあると考える。「しぐらふ」は古語で集まる、密集するを意味する。しぐらふ鳥から短く「しぐ」、そして「シギ」に転訛したと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.471,P9)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)

ブロックからのお知らせなど

■2017年度日本野鳥の会中部ブロック会議報告

■日程:2017年10月28日(土)〜29日(日)
■場所:西田幾多郎記念哲学館(石川県かほく市)
■担当:日本野鳥の会石川
■概要:
 日本野鳥の会石川県中村代表、石川県生活環境部次長兼自然環境課手井課長、(公財)日本野鳥の会上原常務理事より開会挨拶があった。

◇講演
 日本オオタカネットワーク今森副代表より、「里山を守るために私たちができること〜オオタカ希少種解除問題から見えてくること〜」と題した講演が行われた。オオタカの希少種の指定が解除されると、里山環境を守る法的な根拠がなくなり、乱開発を助長しかねないことや、考えられうる解決策などが紹介された。

◇協議事項@:環境保全を考える(国、自治体との連携・協働)
・普正寺の森の河川工事(日本野鳥の会石川・白川副代表)
 普正寺の森の整備計画に対する支部の対応を説明した。普正寺の森に接する河川の整備事業が明らかになった後、対策委員会を立ち上げ、大学教授や財団と共に対応を行った経緯を報告した。現在では石川県と意見交換をしながら生物環境を考慮し、整備計画を進めることになったことを共有した。

・磐田大池の公園整備事業(遠江・増田代表)
 磐田大池の整備事業の経緯を説明した。磐田大池を整備し公園化する際に、支部が磐田市から相談を受け、野鳥公園として整備するためのアドバイスを行い、現在はそれに沿って工事が進められていると報告した。

・64年続く塩嶺小鳥バス(諏訪支部・林支部長)
 塩嶺小鳥バスが開催に至った経緯や、フィールドである小鳥の森の植生や野鳥、小鳥バスの実施内容を説明した。小鳥バスに関連した中西悟堂氏の歌碑が建立されていることや、小鳥バスのための合唱曲があることが紹介され、小鳥バスが地域に根差した文化となっていることが説明された。

・国や自治体との協働・連携として(財団・葉山自然保護室室長)
 財団と自治体との協働事例として、受託事業以外の業務を紹介した。直営サンクチュアリの運営の際には自治体と協定書の取り交わしなどを行うことや、ツル類越冬地分散事業では伊万里市や西予市、地元関係者の協力の上で、ツルの越冬地づくりの取り組みを行っていることなどを挙げた。

◇協議事項A:環境保全を考える(太陽光発電、風力発電)
・メガソーラーに関するアンケート結果(財団・自然保護室 浦)
 風力発電設備や、太陽光発電設備が鳥類に与える影響を説明した。支部を対象に、大規模太陽光発電設備(メガソーラー)による野鳥への影響に関するアンケート調査の結果を報告した。89支部のうち41支部から回答があり、20支部が、太陽光発電が野鳥に対して悪影響を与えた事例があると回答した。まとめとして、当会が提言する大規模太陽光発電施設のあり方を説明した。

・四日市メガソーラー(三重・安藤副代表)
 四日市市の南西部で現在計画中である四日市メガソーラー、足見川メガソーラーについて計画地の周辺環境や規模の大きさ、現在のアセスメントの状況について報告した。四日市市に対する請願書の提出や記者会見、署名活動など2つのメガソーラーに対する支部の取り組みを共有した。

・木曽岬干拓(三重・近藤副代表)
 木曽岬干拓地の歴史や現在の利用状況や、今まで開発されていなかった南部にも開発計画が持ち上がっていることを報告した。木曽岬干拓地には2002から2017年度にかけてチュウヒが繁殖しているが減少傾向にあり、これ以上開発が進むと絶滅が心配されると述べた。

・能登の風力発電(石川・中村代表)
 能登半島に計画されている風力発電所の概要について紹介された。また、環境アセスメントの手続きにおいて縦覧があり意見を提出できる機会は3度あり、特に準備書の手続きにおける説明会のタイミングで働きかけることが重要ではないかと述べた。開発計画の公示は、自治体によって方法が異なり、常時チェックを行うことが難しい、という課題があることを共有した。

◇協議事項B:継続事項
・中部ブロックで連携してできる活動をさぐる(石川・白川副代表)
 中部ブロックで連携してできる活動を会議の前に募った結果、富山からコアジサシの繁殖状況、長野支部から渡り鳥の環境保護活動、福井県からイソヒヨドリの生息分布、三重からコアジサシの繁殖・生息調査、ミヤコドリの生息調査が挙げられたことが報告された。今後は、提案した支部が中心となり、すべての提案された活動を進め、成果は外部に公表できるようにまとめることとなった。

◇報告など
・山梨県内のカモ類の減少(甲府・杉原副会長、長田事務局長)
 支部で行ったカモ類の調査結果より、山梨県内全域で確認されたカモの羽数の減少傾向が顕著であることを共有した。さらに、県内各地の調査地の環境や調査結果を共有した。とくに三郡橋では2002年から2004年において羽数の減少が顕著であることを説明した。会場から、岐阜では減少傾向がみられ、石川、富山では変化していないことが共有された。

・沼津市・香貫山の巣箱掛け(沼津・鈴木幹事)
 香貫山の歴史や、サクラを植えるために伐採が行われた経緯を説明した。沼津市の指針に、香貫山の保全と利活用を、市と支部が協働して取り組むことが示されたことが成果として報告した。現在は沼津市の指針に沿って、市民とともに野鳥の調査や野鳥保護のための巣箱かけをしていることを紹介した。

・2017年度探鳥会リーダーズフォーラムについて、会員を増やすための探鳥会について(財団・普及室 井上)
 2018年1月に開催される探鳥会リーダーズフォーラムの紹介と探鳥会に参加した非会員を対象としたDM配信サービスについて説明した。DM配信サービスとは、探鳥会に参加した非会員に対して、その後も探鳥会のご案内を配信し、探鳥会への参加や入会を働きかけるサービスである。関心のある支部は問い合わせてほしいと述べた。

 終了後は、懇親会で親睦を深めた。懇親会では、岐阜の大塚代表から「拡大するジョウビタキの繁殖」、石川の記録研究部中本氏から「普正寺の野鳥」についての発表があった。
 翌日は普正寺の森で探鳥会を行った。


▲普正寺の森での探鳥会の様子。石川の方から整備計画が進んでいる区画について説明があった。

(普及室/井上 奈津美)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■2月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み


 新版発行の2015年に先立ち、2014年から連載を続けてきました。『フィールドガイド日本の野鳥』の当会の財産としての歴史とともに、修正の背景をお伝えしてきたつもりですが、次回をもって連載を終わらせていただきます。
 支部、連携団体の運営などに関わる、限られた方しか眼にされないはずなので、わかりにくい話もそのままに、図鑑を書く側の裏話を明かし、苦労話をぼやいてもきました。何度か、支部報などに抜粋されて、冷汗もかきましたが、長い間お付き合いいただきまして、有難うございました。

 最後を前に、二つ、報告させていただきます。一つは日本野鳥の会遠江の創立45周年記念出版についてです。日本野鳥の会遠江からは以前より、野鳥の写真図鑑を制作したいとの相談をいただいていました。が、私はこの連載で書いてきたことを例に、「写真図鑑は多々発行されているものの、実際に識別に役立つものが少ない」、「図鑑として企画するのは簡単でない」などとアドバイスさせていただいてきました。それでも、会員の優れた写真を活かす方針は変えられないことから、この春、静岡新聞社から『静岡県西部の野鳥』として刊行されることになりました。写真だけでなく、執筆もイラストも60人を越える会員の無償提供によるものだそうです。掲載順は『フィードガイド日本の野鳥』に沿わせ、解説は最小限にして写真で比べるような展開となり、柳生博会長に「発刊に寄せて」も書いてもらいました。


▲『静岡県西部の野鳥』(著作/編集:日本野鳥の会遠江)

 いま一つの報告は、昨年一年の間、書くべきか?書かざるべきか?悩んでいましたが・・・、高野ツヤ子さんが一昨年末、亡くなりました。『フィールドガイド日本の野鳥』の著者、高野伸二の夫人であられたツヤ子さんは、1983年に伸二が没した後、さまざまなお付き合いを避けるようにしてこられた一方、留学生のお世話をしながら、鳥やクモについて教えたり、年末に当会からカレンダーなどをまとめて購入して知人に配ったりもしておられました。しばらくは伸二の著作に手を入れることに反対されてきましたが、私が修正を担当することで了解をいただき、2007年には増補改訂版が発行されました。
 高野伸二は絵が専門ではないので、自らの絵を恥じたまま亡くなりましたが、野鳥を愛し、しっかり観察し、どう描けば読者に親切かを考え抜いて描いた図版の素晴らしさは、これまでの連載でも書いてきたように思います。鳥を正面から見たところや後ろ向きの図版などが適所に示されていることも、『フィードガイド日本の野鳥』が評価された点のひとつですが、生前、ツヤ子さんに聞いた話では、ツヤ子さんのアイデアもあったようです。
 ツバメ類(新版ではP219)、カラ類(新版ではP263)、ホオジロ類(新版ではP269)などで正面向きを並べた図版があります。そのいずれか?あるいはすべてか?私もよく覚えていないのですが、「私が『ここに並ばせてみたら』って言ったら、高野がすぐにぱっぱっぱって描いてみせたので、驚かされたわ。鳥たちがどこからどう見えるのか?がみんな頭に入っていたのかしら。」と言っておられました。1年以上経ってしまいましたが、改めてご冥福をお祈り致します。

© 谷口高司
▲図版 ガチョウ:増補改訂版以後、谷口高司さんに追加してもらった図版の紹介。『新・水辺の鳥』でも使わせていただいているガチョウ(上がサカツラガン原種の例、下がハイイロガン原種の例)です。

(普及室・主席研究員/安西 英明)


総務室より

■平成29年度連携団体全国総会報告

■日時:2017年11月11日(土)13時〜12日(日)12時
■会場:クロスウェーブ幕張(千葉県千葉市)
■参加者:107名(49連携団体61名、財団関係46名)
■スケジュール:
【11月11日(土)】
13:00 開会宣言(上原健常務理事)、会長挨拶(柳生博会長)
13:10 出席評議員・役員紹介(上原健常務理事)
13:15 1.講演
(1)「営巣環境から考える都市のカラスと森林のカラス」(松原始/東京大学総合研究博物館特任准教授)
(2)「最古参会員からの提言」(鈴木孝夫/元日本野鳥の会顧問、慶応義塾大学名誉教授)
(3)「連携団体における個人情報保護の注意点」(千葉茂/株式会社コンプライアンス・マネジメント代表取締役)
15:55 2.理事長からのメッセージ及び連絡
(1)「日本野鳥の会ビジョン2030について」
(2)「日本野鳥の会小清水解散について」
16:15 3.財団への質問・回答
(1)松富士将和/筑後支部
1)「送金一覧表及び会員名簿の取扱いの見直しについて」
2)「探鳥会保険」
(2)広塚忠夫/筑豊支部・新實豊/愛知県支部
1)「旅行業法について」
(3)広塚忠夫/筑豊支部
1)「お試し会員について」
16:55 4.財団からの報告
(1)「メガソーラーについて」(浦達也/自然保護室)
(2)「支部報掲載の野鳥情報の解析について」(葉山政治/自然保護室)
(3)「オオジシギ保護調査プロジェクト」(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室)
17:35 5.連携団体からの提言・報告
(1)「葛西三枚洲のラムサール条約湿地の登録を目指す活動報告及び登録後の活用方法について」(落合はるな/東京)
(2)「自然エネルギー関連情報」(丸谷聡子/ひょうご)
17:30 総会1日目終了
18:00 懇親会

【11月12日(日)】
6:30 早朝探鳥会(安西英明、林山雅子)
8:50 4.財団からの報告(つづき)
(4)「非会員の探鳥会参加者向けDM発送サービスについて」(井上奈津美/普及室)
(5)「連携団体向卸販売について」(嶋村早樹/普及室)
9:10 5.連携団体からの提言・報告(つづき)
(3)「三池島のベニアジサシ―北限の繁殖コロニーの現状/保護と対策」(松富士将和/筑後支部)
(4)「全国愛玩飼養登録調査の現状報告」(中村桂子/高知支部)
(5)「創立80周年記念行事(10/29)について」(松岡三紀夫/大阪支部)
(6)「小鷲頭山野鳥保護区について」(小花博/沼津支部)
(7)「ここまで分かった防鳥ネット羅網死の実態」(池野進/茨城県)
(8)「NPO解散後」/「風力発電と太陽光発電について」(室瀬秋宏/十勝支部)
(9)「十勝スタイルの探鳥会」(室瀬秋宏・尾崎博/十勝支部)
(10)「チュウヒ保護を主な目的とした保護区事業について」(川崎康弘/オホーツク支部)
11:25 6.ブロックからの報告
(1)「中国四国ブロック交流会」(西村公志/高知支部)
(2)「中部ブロック会議」(中村正男/石川)
(3)「北海道ブロック協議会総会」資料配布のみ
11:55 閉会の挨拶(遠藤孝一理事長)
12:00 閉会宣言/記念撮影/解散

■記録
【11月11日 1日目】
◎午後1時、上原常務理事の開会宣言により、平成29年度連携団体全国総会が開始された。
◎柳生会長挨拶、遠藤新理事長の紹介、出席評議員及び役員紹介に続き記念講演が開始された。


▲遠藤新理事長を紹介する柳生会長

1.講演
(1)「営巣環境から考える都市のカラスと森林のカラス」(松原始/東京大学総合研究博物館特任准教授)


▲講師 松原始氏

【要旨】
 ハシブトガラスは森林性の鳥とされているが、森林での調査結果が少なく、調査は、森林で姿を確認するのが難しいため、専らプレイバック法(対象種の鳴き声を調査者が流しこれに反応して鳴き返してきた声(プレイバック)で生息を確認する方法)で行われている。
 埼玉県の森林の調査で、ハシブトガラスは1キロ以上の間隔で生息、標高に関係なくスギやヒノキの植林地に生息、落葉広葉樹林帯にはいないという結果が出た。また、他の地域でも、スギやヒノキが多いほど生息数が多いという調査結果が出た。以前実施した屋久島の調査結果も踏まえると、ハシブトガラスは針葉樹、広葉樹の別なく常緑の森林帯を好み、落葉する木を好まないという結果となった。落葉樹への営巣記録が少ないことは先行研究されている、都市部でイチョウやケヤキに営巣することはあるが、営巣場所が隠れるほど葉が茂ってから営巣を開始しており、営巣場所が隠れるかどうかが基準になるのではないかと考えられる。
 森林におけるハシブトガラスの巣について調査し、スギヒノキ林で10巣を確認することができた。全てスギに営巣していた。スギは葉の密集度が高く巣が見えにくいためであると考えられる。ほとんどの巣は、林道に近い樹高20〜25メートルで直径32センチくらいの木の上部に作られていた。今後は常緑樹のない地域を調査する予定である。
 エサが少ないと考えられるスギヒノキ林で、ハシブトガラスは餌をどう確保しているのか。下生えには、キビタキ等が多く生息しており、またクモの巣も多く、虫も多く生息している。エサとなるものは多いようである。森林のハシブトガラスの行動圏は広く、遠方でエサを調達している可能性も考えられる。
 都市部のハシブトガラスの生活は、営巣場所の条件は悪いがエサ場が近く、エサを調達する条件は有利である。つまり、都市部に移動してきた理由は、エサになる人間の出すゴミに起因すると考えられる。
【質疑応答】
 宮古支部の関川様より、エサの種類と営巣場所の関係に関する調査状況及び最近のカラスの凶暴化について質問がされ、松原氏より、エサの種類と営巣場所の関係について調査検討を進めている、また、以前からカラスは凶暴であり、最近目につきやすくなっただけだと説明がされた。
 筑後支部の松富士様より、カラスのねぐら対策について質問がされ、松原氏より、カラスの音声を使った誘導方法が研究されており実現する可能性はあるが、誘導先がなければ全地域に広がってしまう恐れもあり対策にはならないと説明がされた。
 宮崎県支部の中村様より、無人島のカンムリウミスズメ調査で、首のないカンムリウミスズメを発見することや、カラスの営巣木の下でカンムリウミスズメの死体を発見することがある。小さな島でハシブトガラスとハシボソガラスが同時に営巣することはあるのかと質問がされ、松原氏より同時に営巣することは考えられる。また、カラスは獲物を捕まえると首筋を攻撃する習性があり、首がないのはカラスによる可能性があると説明がされた。なお、カラスの繁殖を抑える方法として偽卵の使用が有効であると説明がされたが、中村様より営巣木が高すぎて対応できないとの意見があった。

(2)「最古参会員からの提言」(鈴木孝夫/元日本野鳥の会顧問、慶応義塾大学名誉教授)


▲講師 鈴木孝夫氏

【要旨】
 小さい時から体が弱く、手乗り文鳥を飼って、部屋の中で過ごしていた。多い時は100羽ほど飼っていた。当時、鳥は飼うか食べるかの時代であった。小学低学年の時、中西悟堂著「野鳥と共に」を読み自然の中で暮らす生活に憧れ、中西先生を訪ねた。しかし、鳥の研究等を生業とするのは難しい、鳥は趣味にするようにと言われ、最年少の会員となった。会員が数十人しかいない時代であった。
 昭和10年、自分は目黒川の河岸段丘の西郷侯爵邸の隣に引っ越した。西郷邸を含めた周辺は自然豊かな場所で、草、虫、鳥と多種多様な生き物にあふれていた。自宅の庭でカスミ網を張ると、西郷邸から渋谷の山階侯爵邸の森へ向かう野鳥がかかっていた。記録を見ると、オオコノハズク、ノゴマなども通過していた。自宅に居ながらにして76種を確認することができた。
 鳥の研究が進んでいない時代で、オシドリのヒナの巣立ちや托卵などについて論争した。鳥類研究をしたければ海外に行かなければならない時代であった。自分は、アマチュアとして研究をした。
 戦中戦後、紙が制限され廃刊となった会誌『野鳥』だったが、中西先生や協力者によって、戦後復刊となった。私は、焼け残った自宅を発送作業等の場として提供し、事務作業の手伝いをした。その後、山階邸の一部が事務所となってからも、自分は会費の入金手続等の作業を手伝った。作業を手伝う仲間も徐々に増えていった。
 昭和9年、日本野鳥の会は、芸術作品に登場する鳥の表記や表現に間違いが多く、芸術家に自然科学の知識を身につけてもらおうと、中西先生によって創設された。第1回須走探鳥会参加者は歌人や彫刻家等がほとんどであった。その後、徐々に鳥への関心が強い会員も増え、科学的な研究をする部門も発足された。野鳥の声研究の第一人者である蒲谷鶴彦氏はその代表だった。
 日本野鳥の会は、会員も増え、野鳥や自然保護に関わる問題も複雑になり、財団法人化された。その後、日本野鳥の会の顧問となるなど鳥好きの自分は、長く日本野鳥の会と関わってきた。
 昔、自宅のあった上目黒では70種以上の野鳥が見られたが、今では全く見られなくなった種も多くある、また、野鳥の宝庫であった軽井沢でも野鳥の姿はほとんど見られなくなった。人間が俗に言う進歩は他の生きものを巻き込み人間を含めた世界の寿命を短くしている。私たち人間は、過度の経済発展を支えている大量生産、大量消費、大量廃棄という現代社会のあり方を変え、もっと少ない物質とエネルギー消費で幸福に生きる道を選ばなければならない。私は、可能な限り、買わずに拾う、捨てずに直す生活を続けている。私は鳥が好きだから、無駄にしない生活をしようと皆さんに提言したい。

(3)「連携団体における個人情報保護の注意点」(千葉茂/株式会社コンプライアンス・マネジメント代表取締役)


▲講師 千葉茂氏

【要旨】
 個人情報は、『個人情報保護法第2条』で定義され、保有者は本人であり、入手した事業者(営利目的を問わない)は預かっていると認識して管理すべきである。また、個人のプライバシーを守るとともに適切な管理が社会的要請であり、平成15年5月成立の『個人情報保護法』(平成29年5月30日改正)で、個人情報の適切な取扱いと個人の権利利益の保護が義務付けられ、違反した場合は刑事罰(最高で懲役1年以下、罰金50万円以下)の対象となった。
 最近3か年の事故報告件数は増加している。平成28年度の事故原因は、漏えいが69.6%、盗難・紛失が22.2%である。事故防止のためには、個人情報取扱責任者の設置と取扱者の限定、入手フローの作成、保管ルールの策定と共有、移送・通信時の授受記録の実施、不要個人情報廃棄時の物理的破壊の遂行等を徹底させることが重要である。また、事故原因のほとんどが人為的ミスによるものであり、個人情報を扱う上で一番重要なことは、時間や業務に余裕を持つことである。
【質疑応答】
 栃木の手塚様より、パソコンによるデータの管理についての質問に、セキュリティソフトの導入やアクセス制限の構築が必要である、また、クラウドサーバーについても同様の対応が必要であると回答がされた。また、平成15年に成立した個人情報保護法では、5千件以上を保有する事業者が対象とされていたが現在はどうかとの質問に、平成29年5月の改正で個人情報を1件でも保有すれば対象となり、営利非営利問わず半永久的に個人情報を扱うものすべてが対象となったので、日本野鳥の会の連携団体も対象であると回答がされた。広島県支部の福本様より、個人情報とは生存者に限ると考えてよいのかとの質問に、そのとおりと回答がされた。遠藤理事長より、今回の改正で、『要配慮個人情報』が追加されているが、これに指定された要素は罰則等に違いが生じるのかとの質問に、犯罪歴や傷病歴などはより慎重に扱うべき情報であり、罰則等に違いはないが、より一層丁寧な管理が求められていると回答がされた。

2.理事長からのメッセージ及び連絡
(1)「日本野鳥の会ビジョン2030について」
 日本野鳥の会は、中西悟堂のもと、「野の鳥は野に」を合言葉に昭和9年創立され、サンクチュアリの普及、カスミ網撲滅運動等連携団体と共に活動し成果を上げてきた。これからも社会に認められ、必要とされる組織であるために、将来像や将来の夢というべきビジョンを掲げることが大切であると考え、『持続可能な開発目標(SDGs)』の達成年、また、当会が100周年を迎える2034年を控えた2030年に向けて『ビジョン2030』を策定していると報告がされた。
 このビジョンは、2030年に当会の主力となる財団職員が検討を重ねており、今後は、連携団体や評議員からの意見を聞き、今年度中に策定し来年広く公表する予定である。また、11月半ばに、連携団体からの意見等を募るので、協力してほしい旨の話がされた。

(2)「日本野鳥の会小清水解散について」
 かねてより活動が滞っていた日本野鳥の会小清水について、会員の減少・高齢化から組織を維持することが難しく解散することになったと説明がされた。


▲総会風景

3.財団への質問・回答
(1)松富士将和/筑後支部
1)「送金一覧表及び会員名簿の取扱いの見直しについて」
 財団本部から送られてくる送金一覧表や入退会者報告書等の書類サイズの統一化、また、会員名簿の送付ルールの確認に対し、猪沢会員室長代理より、書類サイズの統一化は現時点での対応は難しいが、次期システム導入時には連携団体の意見を聞いてサイズを統一するようにしたい、また、会員名簿は、退会及び会費未納者があった時及び送付希望があった時に送付していると回答がされた。

2)「探鳥会保険」
 船を利用した探鳥会等への探鳥会保険適応について質問があり、箱田普及室長代理より、現行の探鳥会保険では、船を利用した探鳥会は保険対象外である旨の回答がされた。また、特殊な事例については、連携団体が受益者負担の保険で対応してほしい旨話された。
【質疑応答】
 筑後支部の松富士様より、請求に基づく会員名簿の発行方法について参加者の意見を求め、十勝支部の室瀬様より、希望しなくても年1回名簿が送付されれば便利だが財団の事務手続きが煩雑になるならば必須ではない、栃木の手塚様より、必要でない名簿を受け取ることで個人情報の管理責任が発生する、必要な時のみ送付してほしいとの意見が出された。上原常務理事より、連携団体によって運営方法が異なるので今まで通りの対応とする旨説明がされ、猪沢会員室長代理より、会計担当者に送付している「送付物等の連携団体向マニュアル」を希望があれば事務局にも送付すると説明がされた。

(2)広塚忠夫/筑豊支部・新實豊/愛知県支部
1)「旅行業法について」
 筑豊支部から、参加対象を会員及びお試し会員に限定した一泊行事は旅行業法に抵触するかとの質問に対し、五十嵐総務室長代理より、営利性、事業性がなく対象が不特定多数でなければ旅行業法には抵触しない旨の回答がされた。
 愛知県支部から、旅行代金を連携団体で集めて旅行会社へ支払うことは旅行業法に抵触するかとの質問に対し、旅行業法に抵触するので参加者に直接代金を支払ってもらうなど、運送や宿泊サービスの提供等に関与すべきではない旨の回答がされた。なお、清算時に余剰金を寄付してもらうことは、寄付受入れの手続きをすれば特に問題はない旨の回答がされた。また、旅行業法については今年7月に観光庁から出された旅行業法の適用を緩和する新たな通知を資料として添付したので参考にしてほしい旨の話がされた。
【質疑応答】
 愛知県支部新實様より、資料「自治体が関与するツアー実施に係る旅行業法上の取扱いについて(通知)」の「収支を償うことができないこと」「日常的に反復継続して行われるものではないこと」について質問がされ、五十嵐総務室長代理より、参考資料の「コスト総額を割り勘している場合には収支を償えている。事業性については、反復継続していない、不特定多数に募集しない等から判断する」、「日常的に反復継続しているか等の事業性の判断は、ツアーの実施状況を踏まえ、収支、募集の範囲、自治体の関与等に合わせて総合的に判断する」を参照してほしい旨の説明がされた。
 青森県支部関下様より、旅行業法の判断は行政担当者によるところが大きいので、この場でこれは大丈夫だと判断することはできない。場所の手配、参加費の徴収等は旅行会社等に委託すべきであると意見が出された。
 十勝支部室瀬様より、旅行業法は事前集金による旅行者保護のためで、事前集金をしない、主催者が利益を得ない、参加者が会員のみであることは厳守すべきであると説明がされ、基本的には旅行代理店に依頼すべきだとの意見が出された。
 筑豊支部広塚様より、会員でない方がツアー参加を希望された場合は即時入会していただき対応することについて、福岡県の担当者から「決定権は自治体にはないが方向性は抵触しないだろう」と回答があったと情報が提供された。
 五十嵐総務室長代理より、新しい情報等が出た場合は支部ネット通信等で連絡する旨の話がされた。

(3)広塚忠夫/筑豊支部
1)「お試し会員について」
 お試し会員について、富岡普及室長よりお試し会員は、当財団の「会員規程」に規定はない。会員の体験をしていただき入会に導くためのもので、現在27連携団体が活用していると説明がされた。また、2015、2016年度に開催した「会員を増やすための探鳥会」の参加者数1.736名のうち約240名がお試し会員になり、約50名が入会した実績があるが、お試し会員の方が会員特典を利用できると勘違いされることもあるので留意すべきであると説明がされた。

4.財団からの報告
(1)「メガソーラーについて」(浦達也/自然保護室主任研究員)
 メガソーラー(太陽光発電所)導入は世界的に増加しており、日本の発電量は世界3位(2015年時点)となっている。連携団体へのアンケートで、開発による繁殖阻害、森林伐採による生息地の消失等、メガソーラー建設による野鳥への影響は開発規模が大きいほど影響が大きくなるという現状が把握できた。また、メガソーラー建設の急増は、メガソーラー開発が環境影響評価法(アセス法)の対象外であることが影響しており、日本野鳥の会では、設置場所の限定、ゾーニングに基づく場所の選定と立地規制、環境影響評価法等の法整備等について提言しているところであると説明がされた。

(2)「支部報掲載の野鳥情報の解析について」(葉山政治/自然保護室長)
 全国の連携団体が設立以来継続実施している探鳥会の鳥類の記録について、研究者と連携して解析を行い、社会に還元し国内の生物多様性保全や鳥類の保全に活用、また、デジタル化した記録は他の研究にも活用できるよう公開したいので、各連携団体には、データ利用について協力してほしい旨の説明がされた。

(3)「オオジシギ保護調査プロジェクト」(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室長)
 オオジシギ保護調査プロジェクトについて、本年度、北海道勇払原野で生息状況を調査し2000年の調査結果と比較した結果、「人工地」、「樹林地」が増えた場所では減少、「草地・農地」等が増えた場所では増加し、全体で約30%の減少を確認した。次年度以降は、全道調査を実施し生息個体数を把握したいとして、北海道の連携団体へ協力を呼びかけた。また、本州以南では、各連携団体への繁殖期生息状況調査アンケートで、「消失・減少・懸念」が42%、主な原因は開発・湿原の乾燥化・牧場の森林化等の環境変化によるという結果が出た、今後は都道府県RDBなどの資料データと比較すると説明がされた。

5.連携団体からの提言・報告
(1)「葛西三枚洲のラムサール条約湿地の登録を目指す活動報告及び登録後の活用方法について」(落合はるな/東京)
 東京に残された数少ない干潟環境である都立葛西海浜公園の海域に広がる「三枚洲」について、恒久的保全を目指し、地元江戸川区と協力し東京都への要望書提出等のロビー活動、漁協等関係者への説明会、関係者・市民向けシンポジウムの開催等、ラムサール条約登録に向けた推進活動を進めていると説明がされた。

(2)「自然エネルギー関連情報」(丸谷聡子/ひょうご)
 日本の再生可能エネルギー導入の現状について、国は地域エネルギーと生活インフラの整備・運営を担う地域密着型事業体シュタットベルケを導入し根付かせようと補助金制度等を実施しているが、日本版シュタットベルケは、本場ドイツのそれとは異なり、自然破壊を伴う場合がほとんどである。連携団体がイニシアチブをとり自然を壊す再生エネルギーの導入への対策と、各自治体に対して再生可能エネルギー導入にあたり自然破壊をしないことの確約を取り付けてほしい旨の説明がされた。

◎1日目の提言・報告等を終えて、情報交換の場として懇親会を行った。


▲懇親会の様子

【11月12日 2日目】
◎6時30分より、会場付近で安西主席研究員及び林山総務室員を案内役とした早朝探鳥会が開催され、約50名が参加し早朝探鳥会を楽しんだ。


▲早朝探鳥会の様子

◎8時50分より、総会2日目が再開された。

4.財団からの報告(つづき)
(4)「非会員の探鳥会参加者向けDM発送サービスについて」(井上奈津美/普及室員)
 非会員の探鳥会参加者から受付時に徴求した個人情報をもとに『探鳥会のご案内』や初心者向け探鳥会等の案内を送付し、探鳥会への継続的な参加や入会促進につなげる取り組みについて説明がされ、この取り組みへの参加検討の依頼がされた。また、箱田普及室長代理より、愛知県で開催される『探鳥会リーダーズフォーラム』の概要説明がされ、参加検討してほしい旨の話がされた。

(5)「連携団体向卸販売について」(嶋村早樹/普及室員)
 連携団体向卸販売について、探鳥会のサービス向上や連携団体の収入アップにつながるので、未活用の連携団体はぜひ活用してほしい旨の説明がされた。

5.連携団体からの提言・報告(つづき)
(3)「三池島のベニアジサシ―北限の繁殖コロニーの現状/保護と対策」(松富士将和/筑後支部)
 1997年から筑後支部と熊本県支部で飛来個体数及び産座数をカウントしている三池島のベニアジサシ調査について、人工島である三池島の劣化(島を囲む鉄製矢板の破損やコンクリート護岸の亀裂など)による上陸の危険性増大、釣り人によるごみの不法投棄によるカラス・ハヤブサ等天敵の増加、調査者の高齢化などの問題点から、今後はドローンや無人カメラによる調査、カラス対策としてヒナ用シェルターの設置などを検討している旨の説明がされた。

(4)「全国愛玩飼養登録調査の現状報告」(中村桂子/高知支部)
 全国野鳥密猟対策連絡会の取り組みが生物多様性の10年日本委員会の認定を受けた、また、警察庁の依頼で実施した密猟対策講座を機に『密猟事例&かんたんにわかる鳥獣保護法』(改訂U)が全国警察の警察署で活用されている。また、愛玩飼養更新手続き厳正化のため、連携団体から各行政に全国愛玩飼養の現状について確認してほしい旨の話がされた。愛知県支部新實様より、地元連携団体から行う問合せによる具体的効果について報告がされ、問合せ方法等不明なことは聞いてほしい旨の話がされた。

(5)「創立80周年記念行事(10/29)について」(松岡三紀夫/大阪支部)
 1937年、京都支部に次いで2番目に設立された阪神支部から分離した大阪支部が80周年を迎えた。80年の主な出来事は、野鳥識別の草分け的存在の榎本佳樹氏の指導、南港埋立てに対する署名運動、日本野鳥の会の第1回バードソン総合優勝、堺第7-3区でのチュウヒの繁殖、大阪での野鳥密猟問題シンポジウムの開催、信太山のコウノトリの飛来、Twitter鳥ガール開始、死ぬまでバードウォッチングの提案等であると説明がされた。

(6)「小鷲頭山野鳥保護区について」(小花博/沼津支部)
 「小鷲頭山野鳥保護区」は、日本野鳥の会最古の保護区であるばかりでなく、初代沼津支部長矢崎様の寄付によるものであり、沼津支部にとって重要な保護区である。地元の環境保全基金等を活用し、保護活動を進めている現状についての説明がされた。

(7)「ここまで分かった防鳥ネット羅網死の実態」(池野進/茨城県)
 防鳥ネット羅網死の実態について、月別収穫期別羅網死数調査、収穫前後の蓮田畦部の糞採取調査(分析:国立環境研究所)、無人カメラによる蓮田の野鳥の種類と飛来時間の調査(茨城大学農学部)等により、蓮田へのカモの大量飛来は収穫作業後、田んぼが水を張った状態になってからであり、防鳥ネットによる羅網死もその時期に急増することが判明した。また、防鳥ネットによる羅網死は、野鳥の生態を理解していない、又は、理解しようとしないことによる。この実態を広めるために、野鳥誌等での紹介を進めている旨の説明がされた。

(8)「NPO解散後」/「風力発電と太陽光発電について」室瀬秋宏/十勝支部)
 2011年、タンチョウ、マガン、ヒシクイなどによる農業被害増加で深刻化する野鳥観察者と農家との対立の解消を図るため、十勝支部ではエコツアーを始め、スムーズなエコツアー運営のため助成金取得を目的としてNPO化したが、今年2月に解散した。小額でも収入があれば7万円の納税義務が発生するなどが原因であるが、行政などの仕事の確約がない限りNPO化することはお勧めできないと説明がされた。
 また、風力発電と太陽光発電について、個人的には、風力及び太陽光も含めてこれ以上の発電所施設建設の必要はないと考えており、当会の活動としても具体的な取り組み目標を持ってほしい、また、節電を推進してほしい旨の話がされた。

(9)「十勝スタイルの探鳥会」(室瀬秋宏・尾崎博/十勝支部)
 十勝支部の探鳥会は、主催者も参加者もストレスなく楽しい時間を過ごせる場となるよう、会の紹介はするが積極的な会員勧誘はしない、また地元の食材を楽しんでもらうなどの工夫をしている。
 また、十勝支部で一番人気の「おさんぽ会」について、学習するイメージを払拭したネーミング、一般の方が参加しやすい実施時間の設定、参加者との会話を楽しむ、終了後の柿茶や紅茶サービス等、主催者も参加者も楽しめるようにしている旨の説明がされた。積極的な勧誘はしていないが、会員は増加している旨の説明がされた。

(10)「チュウヒ保護を主な目的とした保護区事業について」(川崎康弘/オホーツク支部)
 チュウヒの繁殖個体数は、イヌワシやオジロワシより少なく約90番であり、環境省のレッドデータブックの絶滅危惧IB類(EN)や国内希少野生動植物種及び緊急指定種に指定されている。また、サロベツ原野から浜頓別以北の道北地域(北緯45°以北)は繁殖番数最多だが土地改良事業等により営巣地の消失が進んでいるので、財団保護区事業のひとつとしてほしい旨の話がされた。
 愛知県支部新實様より、チュウヒ情報として、チュウヒサミット2017の紹介がされた。
 田尻保全プロジェクト推進室長より、チュウヒは自然保護室の進める絶滅危惧種の保全対象となっており、保護手法のひとつとして進めることも可能だが、成果の考え方、保護の進め方、資金調達方法等の検討が必要である旨説明がされた。また、葉山自然保護室長より、保護区としたい笹原での草原性野鳥の出現及び地目について質問がされ、川崎様より、笹原での草原性野鳥の出現は多くないが、笹原周辺の湿地等でオオジシギ等が確認されている、また、笹原は農地である可能性があり今後調査する予定であると説明がされた。

6.ブロックからの報告
(1)「中国四国ブロック交流会」(西村公志/高知支部)
 2016年5月28〜29日、に高知県津野町で開催された第19回中国四国ブロック交流会について、各連携団体、財団事務局、興和光学鰍ネどから約70名の参加があり、連携団体による風力発電及び太陽光発電に関する情報交換と財団浦主任研究員による総括、連携団体及び財団事務局による支部代表者会議等を実施した旨の説明がされた。また、高知郷土料理の皿鉢料理等の提供や興和光学提供の双眼鏡を景品としたじゃんけん大会等が行われた懇親会等について報告がされた。

(2)「中部ブロック会議」(中村正男/石川)
 2017年10月28〜29日、西田幾多郎記念哲学館(石川県かほく市)で開催された第25回中部ブロック会議について、石川県自然環境課・河川課及び財団事務局の上原常務理事はじめ4名を来賓として迎え、1日目は「環境保全を考える」をテーマとし、講演「里山を守るために私たちができること」、石川、遠江、諏訪、財団事務局から「国、自治体との連携・協働の事例」、財団事務局、三重、石川から「太陽光発電、風力発電の事例」についての協議がされた他、中部ブロックの連携方針についての検討、甲府、沼津からの報告、財団からの連絡等が行われた。2日目は、普正寺の森で探鳥会を行い58種が確認されたと報告がされた。

(3)「北海道ブロック協議会総会」
 詳細は、配布資料「日本野鳥の会北海道ブロック協議会総会議事録」により、報告は省略。

◎遠藤理事長より、今年の連携団体全国総会は、旅行業法や個人情報保護法等、運営に関わる法律、また、希少種の保護、愛玩飼養の問題等多くの話題が提供されるなど、連携団体の連携を深める場となったと確信している。これからも連携団体とともに日本の自然保護を牽引していきたいと、閉会の挨拶があった。

◎参加者全員で集合写真を撮影し解散となった。


▲集合写真

※平成30年度連携団体全国総会は、平成30年11月10日(土)〜11日(日)、平成29年度同様クロスウェーブ幕張(千葉県千葉市)で開催する予定である。

(総務室/林山 雅子)

会員室より

■会員数■

 2月1日の会員数は34,940人で、先月と同じです。1月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より6人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。1月の入会者数は162人で、前年同月の入会者214人に比べ52人減少しました。また、1月の退会者は168人で、前年同月の退会者202人に比べ34人減少しました。

表1. 1月の入会・退会者数

入会者数退会者数
個人特別会員 5人 11人
総合会員(おおぞら会員) 36人 54人
本部型会員(青い鳥会員) 37人 35人
支部型会員(赤い鳥会員) 58人 34人
家族会員 26人 34人
合計 162人 168人
年度累計 1510人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(2月1日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1701人-10人
青森県249人0人
岩手県363人0人
宮城県476人-2人
秋田県245人0人
山形県206人-1人
福島県615人1人
茨城県897人0人
栃木県628人4人
群馬県627人2人
埼玉県2157人-18人
千葉県1631人-1人
東京都4873人-9人
神奈川県3336人-2人
新潟県369人1人
富山県208人-4人
石川県283人2人
福井県221人2人
山梨県277人0人
長野県859人4人
岐阜県463人0人
静岡県1330人2人
愛知県1534人7人
三重県416人-2人
滋賀県297人-2人
京都府807人9人
大阪府2003人18人
兵庫県1297人8人
奈良県486人-2人
和歌山県189人-2人
鳥取県183人-2人
島根県168人1人
岡山県557人-1人
広島県547人3人
山口県376人1人
徳島県314人1人
香川県193人0人
愛媛県361人-3人
高知県129人-1人
福岡県1315人-3人
佐賀県195人1人
長崎県201人-1人
熊本県416人0人
大分県212人-2人
宮崎県247人1人
鹿児島県332人1人
沖縄県111人2人
海外11人0人
不明29人-3人
全国34940人0人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(2月1日現在)

都道府県会員数対前月差
オホーツク支部241人3人
根室支部81人1人
釧路支部157人0人
十勝支部182人-3人
旭川支部81人0人
滝川支部48人0人
道北支部30人-1人
江別支部18人-1人
札幌支部311人-3人
小樽支部69人-1人
苫小牧支部161人-1人
室蘭支部158人0人
函館支部24人0人
道南檜山69人0人
青森県支部138人1人
弘前支部113人0人
秋田県支部233人0人
山形県支部189人-1人
宮古支部89人0人
もりおか156人1人
北上支部106人-1人
宮城県支部438人-2人
ふくしま158人-1人
郡山163人0人
二本松14人0人
白河支部40人0人
会津支部51人0人
奥会津連合10人0人
いわき支部110人0人
福島県相双支部16人0人
南相馬14人0人
茨城県805人0人
栃木604人4人
群馬552人2人
吾妻41人0人
埼玉1646人-11人
千葉県1053人-1人
東京2839人-1人
奥多摩支部836人4人
神奈川支部2342人-4人
新潟県282人0人
佐渡支部30人0人
富山189人0人
石川265人2人
福井県215人4人
長野支部457人0人
軽井沢支部165人0人
諏訪236人1人
木曽支部21人0人
伊那谷支部81人3人
甲府支部189人-1人
富士山麓支部56人0人
東富士62人-1人
沼津支部162人0人
南富士支部249人3人
南伊豆40人0人
静岡支部353人-1人
遠江400人-1人
愛知県支部1118人2人
岐阜467人-4人
三重357人0人
奈良支部449人0人
和歌山県支部190人-2人
滋賀293人-2人
京都支部767人5人
大阪支部1905人25人
ひょうご980人3人
鳥取県支部206人-2人
島根県支部155人1人
岡山県支部524人0人
広島県支部475人4人
山口県支部353人-1人
香川県支部155人0人
徳島県支部327人2人
高知支部118人-1人
愛媛336人-3人
北九州306人-1人
福岡支部 588人2人
筑豊支部231人0人
筑後支部166人0人
佐賀県支部218人0人
長崎県支部191人-2人
熊本県支部411人1人
大分県支部211人-3人
宮崎県支部243人0人
鹿児島303人1人
やんばる支部77人0人
石垣島支部19人-1人
西表支部44人1人
 30021人18人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


★支部ネット担当より

 立春を過ぎましたが、まだ寒さ厳しき日が続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号には、11月に開催された『平成29年度連携団体全国総会報告』が掲載されております。個人情報保護法、希少種の保護、愛玩飼養の問題等多くの話題が提供されております。ぜひご一読ください。
 まだまだ寒さが厳しいですが、くれぐれもご自愛ください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第167号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2018年2月23日
◆担当
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