No.180 2019年3月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせ
2018年度(第26回)日本野鳥の会中部ブロック会議新潟大会報告
2018年九州・沖縄ブロック長崎大会報告
◆事務局からのお知らせなど
三宅島バードアイランドフェスティバル2019のお知らせ
平成30年度連携団体全国総会報告
連携団体(支部等)代表者・事務局変更のお知らせ
会員数

支部の動き

■支部報 保護・調査記事関連トピックス

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

NO.924

●2018/12 道北
・利尻島の鳥
●2019/1-2 札幌
・オシドリ
●2018/12 山形県
・コアジサシレポート
・クマタカの巣(最上ブロック)
・山形初確認の鳥たち
●2019/1-2 宮城県
・サシバ保護事業(豊田自然観察の森)
●2019/1-2 栃木県
・モズの銭勘定
・コアジサシの現状(リトルターン・プロジェクト)
●2019/1-2 群馬
・オオミズナギドリが群馬県上空を通る
●2018/12 石川
・いしかわレッドリスト鳥類2018
●2018/12 静岡
・南アルプスライチョウ南限地調査
●2019/1-2 島根県
・セグロタヒバリ

●2018/12 道北
・利尻島の鳥
 7月、利尻島で主に囀っていたのは、コマドリとウグイスで、道内の優先種、センダイムシクイとキビタキは皆無であった。この2種は利尻島では春の渡り時はよく見られるが、その後は観察例も囀りも極めて少なくなる。
(道北「オロロン」 Vol.42,NO2,P4)

●2019/1-2 札幌
・オシドリ
 オシドリは東アジアの一部に生息し、北海道では夏鳥として山間の渓流、湖沼付近の樹洞で繁殖する。札幌では円山公園、北海道大学構内が知られる。警戒心の強い鳥であるが、ここでは探鳥マナーが良いためかあまり人を恐れない。この美しい鳥は北米や欧州に移入され、英国では定着した外来種になっている。雛の巣立ち頃、雄は換羽し、雌は雛が成長後に換羽する。その後、番形成期が近づくと、雄は再び換羽し、エクリプスから色鮮やかになる。番形成後、樹洞探しをする。
(札幌「カッコウ」NO.410,P3〜10)

●2018/12 山形県
・コアジサシレポート
 酒田市の大浜埋立地に5/5、最多の124羽のコアジサシが飛来し、5/20〜6/21、7箇所で抱卵確認したが、繁殖は失敗した。鶴岡市の赤川河口右岸では、大浜でコアジサシが見られなくなると、増え始めたが、6/23、動物の足跡があり。雛1羽。酒田市の八重浜では抱卵12箇所、雛2、若鳥1と、シロチドリの繁殖を確認。釣人や四輪駆動車が多く、来年、風車建設工事が始まる。庄内町の最上川中州には7/10、雛2。空梅雨で中州の冠水は無かった。
(山形県「やませみ」NO.92,P9)

・クマタカの巣(最上ブロック)
 3年連続して繁殖成功したサシバの巣から30mしか離れていない杉にクマタカが繁殖した。サシバが4月初旬に渡って来た時に、既にクマタカは抱卵中でサシバは営巣できなかった。
(山形県「やませみ」NO.92,P11)

・山形初確認の鳥たち
 9/12、飛島でコムシクイを捕獲、初列風切最外(P10)が鋭角に尖っている。山形県の417番目の野鳥である。10/26、飛島でルビーキクイタダキオス第1回冬羽1羽が撮影された。東京在住の鳥見人が発見。日本初記録である。10/29まで滞在した。本種は北米に分布し、カナダやアラスカで繁殖し、米国テキサス州、メキシコで越冬する。
(山形県「やませみ」NO.92,P13)

●2019/1-2 宮城県
・サシバ保護事業(豊田自然観察の森)
 11月の連携団体全国総会で報告。水張りにより休耕田を復活。1970年代と2008年を比較し、餌資源、行動圏分析を全国アンケート調査した。保護室と連携し、フィリピンサシバ保護エコツアーを実施し、密猟防止に効果があった。2019年、栃木県市貝市でサシバ国際サミットを予定する。栃木県支部、大阪支部、神奈川支部でもサシバ保全活動あり。
(宮城県「雁」NO.29,P18)

●2019/1-2 栃木県
・モズの銭勘定
 奈良県の民話から。昔はホトトギス、モズ、シギ、ウズラ、ハトは大の仲良しであった。ウズラが、下を見ながら歩いていると、道端に落ちていた銭(金)を見つけた。山分けの相談でもめ、モズが勝手に皆の分け前を決めてしまった。遅れてやってきたホトトギスは自分に分け前が無いのを知り、「ホンチョウ(本帳)モッテコイ」と言って、モズの頭を算盤で叩いた。その時から、モズの頭は腫れあがり、赤い血が滲んでおり、モズはホトトギスを追いかけるようになった。勘定で金をごまかす奴をモズと呼んでいる。
(栃木県「おおるり」Vol.256,P2)

・コアジサシの現状(リトルターン・プロジェクト)
 コアジサシの営巣地は翌年には別の場所に移動することがしばしばある。全国調査で1万羽前後が飛来していた(環境省1995〜2011年調査)が、その後十分把握されていない。環境省は「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針(2014)」を出している。千葉県九十九里浜ではこの15年間で1/3に減っている(奴賀他 2015)。東京都の森ヶ崎水再生センター屋上には、毎年コアジサシが飛来し、2018年には1900巣(2004〜2013年は500巣以下)を越えた。南関東ではコアジサシの減少は餌のカタクチイワシの減少と相関があった。(奴賀他 2016)。
(栃木県「おおるり」Vol.256,P9)

●2019/1-2 群馬
・オオミズナギドリが群馬県上空を通る
 11/8、13、太田市でオオミズナギドリ各1羽の死体を見る。猛禽類に襲われたようである。日本海の粟島生まれのオオミズナギドリが越冬地に向かう時、GPS信号から群馬県を通過した記録がある。
(群馬「野の鳥」NO.351,P18)

●2018/12 石川
・いしかわレッドリスト鳥類2018
 2020年、いしかわレッドデータブックが改訂される。支部は県自然環境課の委託を受け、野鳥記録委員会で野鳥の状況をまとめた。ヒメクロウミツバメは絶滅種、トキは野生絶滅種と記載予定。地域個体群として七ツ島のオオミズナギドリ繁殖個体群、七ツ島のウミウ繁殖個体群、加賀海岸のミユビシギ越冬群、白山のイワヒバリ繁殖個体群(国内最西繁殖地)を選んだ。
(石川「石川の野鳥」NO.203,P2〜3)

●2018/12 静岡
・南アルプスライチョウ南限地調査
 6月〜11月、計5回、調査した。4箇所の縄張り(イザルガ岳、仁田岳、茶臼岳2)と2家族(メス成1と雛2が2群)を確認、ほぼ例年通りであった。イザルガ岳(2540m)山頂で目撃したオスは非繁殖の確認場所が5km以上北の上河内岳や茶臼岳で、この途中には亜高山森林帯があり、その間を一気に飛び越えたと思われる。この地区のライチョウオスは非繁殖期に季節移動している。
(静岡「野鳥だより」NO.461,P6)

●2019/1-2 島根県
・セグロタヒバリ
 セグロタヒバリは島根県鳥類目録に記録は無く、唯一、2015/9、大田市で撮影されている。今回10/8、大田市で撮影できた。三列風切からの初列風切突出、ピンク色がかった嘴、短い目先線の特徴があった。ウラル山脈からカムチャッカ半島までの広い範囲で繁殖し、フィリピンやインドネシアで越冬する。日本では数少ない旅鳥である。
(島根県「スペキュラム」NO.187,P4)


NO.925

●2018/12 オホーツク
・網走沖海鳥クルーズ
●2019/1 宮古
・オオミズナギドリ宮古市街地への迷行
●2018/12-1 京都
・ガン(雁)
・ガンは何を食べているか
・雁風呂
・巨椋シギ・チドリ類生息調査
・フクロウカフェ
●2018/12 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名タカブシギ
●2019/1 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名アオシギ
●201/1-2 広島県
・広島県のクマタカの繁殖率
・キビタキの砂浴びは日光浴かも
・アカハジロ広島県初記録

●2018/12 オホーツク
・網走沖海鳥クルーズ
 11/18、8:30〜13:30、船をチャーターし、海に出て海鳥を観察した。珍種は出なかったが、ミツユビカモメ208+、トウゾクカモメ9、ウミスズメ17、ウトウ570+、ウミガラス14、ハシボソミズナギドリ3、ハイイロミズナギドリ79、アカアシミズナギドリ1、フルマカモメ1、オオハム3、シロエリオオハム161+、オジロワシ2等、計27種。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.379,P8)

●2019/1 宮古
・オオミズナギドリ宮古市街地への迷行
 三陸海岸の日出島で繁殖したオオミズナギドリは11月、巣立ち時、雨、風、霧等で方向を迷い、夜間に宮古市内の照明施設に落下する例が多い。夜間、上空高く楕円を描いて飛ぶが、次第に高度が下がり、設備に衝突する。保護のため、夜間巡回を実施した。保護した場合は翼を両手で持ち、ダンボール箱に1羽ずつ、収容する。2羽では喧嘩する。嘴が鋭いので軍手使用、餌、水はやらず、海岸の高い場所で放鳥する。衰弱や怪我の場合は鳥獣保護センターへ送る。
(宮古「ミサゴの海」O.263,P3)

●2018/12-1 京都
・ガン(雁)
 万葉集に多く登場する鳥はホトトギスで、次いでガンである。森鴎外の小説「雁」は明治期の東京上野の不忍池のガンを描いている。1969年、ソ連の科学アカデミーはシベリアから北米、中国に渡るガンは大群になって戻って来るが、日本からの戻りは少ないと林野庁に連絡があった。当時日本には40万の銃狩猟者がおり、ガンを撃っていた。1970/1、林野庁の調査では日本のガンは総数5,565羽であった。1971年、野鳥の会全国調査では更に減り、3,200羽であった。中西悟堂はガンを天然記念物として保護するよう動き、結局、林野庁は狩猟鳥から外した。その後、数が増え、2015年には21万羽になった。その95%が宮城県に集中している。
(京都「そんぐぽすと」NO215,P8〜9)

・ガンは何を食べているか
 宮城県伊豆沼、内湖でのマガン調査では水田に落ちたモミ、シロツメクサ、ナガハグサ、ノミノフスマ等の地上部、大豆の種子を食べている。ヒシを食べるのは亜種オオヒシクイで、あれば食べる程度とある。亜種ヒシクイがヒシを食べている記録は少ない。
(京都「そんぐぽすと」NO215,P10〜11)

・雁風呂
 雁風呂の伝説は、江戸時代の「採薬使記」で中国の話をベースに創作されたようである。勿論、ガンが枝をくわえ飛ぶことはない。1974年、サントリーがこれを題材に、CMを放映し、地元津軽の人は困惑した。「雁が音」という宇治茶の枝が雁が残す枝に似ているとして、雁風呂を使って、PRしている。雁の作り話がまことしやかに語られている。
(京都「そんぐぽすと」NO215,P11)

・巨椋シギ・チドリ類生息調査(調査部)
 7/29〜10/14、13名で調査した。22種が記録された。多い順に、タマシギ26、タカブシギ22、アカエリヒレアシシギ14、アオアシシギ13、タシギ12、トウネン11、ムナグロ10、オオジシギ7、セイタカシギ6、コアオアシシギ6、オジロトウネン5、チュウジシギ3、ツルシギ3、クサシギ3、ヨーロッパトウネン3、ハマシギ3等。
(京都「そんぐぽすと」NO215,P16)

・フクロウカフェ
 フクロウカフェは現在、全国に50店以上、米国野鳥保護団体オーディポン協会は「日本はフクロウカフェの野鳥並の思考」と揶揄している。「フクロウは夜行性で屋内ペットに向かず、体を撫でるのは最大のストレスを与える。可愛ければペットにする精神構造は理解できない」米国猛禽類保護局のM氏の意見で、当支部が感じる「野生動物を捕獲拘束して見世物にすることに違和感がある」に通じる。他に小鳥カフェ、ペンギンカフェもある。動物園、水族館は絶滅動物の保存貢献以外はこれと大差無い。
(京都「そんぐぽすと」NO215,P24〜25)

●2018/12 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名タカブシギ
 タカブシギは漢字で鷹斑鷸、名前は上面の模様がタカに似ているからとあり、尾羽に鷹斑があるからともある。これはタカブシギ固有の事ではなく、私はタカブの由来を田の株にあると考える。タカブシギの羽衣の色を稲の切り株に見立てた。
(徳島県「野鳥徳島」NO.483,P10)

●2019/1 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名アオシギ
 アオシギの名前の由来を詳しく記載した文献は見当たらない。「山渓名前図鑑・野鳥の名前」にはタシギの項にアオシギは「日陰にいると、ごく淡く灰色を帯びた感があり、この特徴を青としてアオシギ」とある。アオシギの羽衣は褐色であり、私は「大きなシギ」に由来すると考える。類似種ではアオシギは半回りほど大きく重い。これより大シギ、オオシギ、後にアオシギに転訛と考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.484,P10)

●201/1-2 広島県
・広島県のクマタカの繁殖率
 35年間、観察してきた。クマタカの幼鳥は巣立ち後半年程は巣から離れる事は少なく、翌年1月に幼鳥を見た時は繁殖成功とし、巣の確認に務めた。広島県内で35年間で36の繁殖地で53巣、266回の営巣確認で、66回繁殖成功(成功率24.8%)で、抱卵確認後の繁殖失敗は99回であった。営巣木は針葉樹45、広葉樹8であった。2000年以降、営巣確認は漸減している。
(広島県「森の新聞」NO.220,P2〜3)

・キビタキの砂浴びは日光浴かも
 前回、キビタキがスズメと砂浴びするのは珍しいとしたが、スズメの砂浴びの横でキビタキが翼を広げ、地上で日光浴したとも考えられる。樹上でキビタキが翼を広げ日光浴する姿はよく見られているが、キビタキが砂浜にいること自体は珍しい。
(広島県「森の新聞」NO.220,P7)

・アカハジロ広島県初記録
 11/2、広島市内のダム湖でアカハジロオスが撮影された。広島県内初記録で、11/4まで滞在した。
(広島県「森の新聞」NO.220,P7)


NO.926

●2019/2 埼玉
・オオタカを恐れないカモ
・茨城県の野鳥たちのための署名
●2019/2 東京
・報告書「東京の野鳥たち2」発行
・クロマツ
・フクロウに注目
●2019/2 神奈川
・企業と自然環境保全
・鳥の名前 走る鳥
●2019/2 静岡
・足環付きチュウヒ
●2019/2-3 京都
・鳥の名
・エゾビタキ越冬
●2019/2 高知
・ブッポウソウの声
●2019/2 筑豊
・ピラカンサとは
●2019/2 長崎県
・島原でのバンディング

●2019/2 埼玉
・オオタカを恐れないカモ
 11/8、さいたま市内の林の中の20m四方程度の池岸でオオタカ幼鳥が水浴びする。その手前に10数羽のカルガモ、マガモがいるが、オオタカを見ても逃げださないのは不思議な光景である。
(埼玉「シラコバト」NO.419,P4)

・茨城県の野鳥たちのための署名
 茨城県のレンコン食害防止網で毎年、1,000〜1,500羽の野鳥が死亡している。12/16、埼玉(連携団体)は茨城県(連携団体)の書名活動「野鳥と共存するハス田を要望」に協力することになった。
(埼玉「シラコバト」NO.419,P12)

●2019/2 東京
・報告書「東京の野鳥たち2」発行
 日野自動車グリーンファンドの助成を受け、昨年10月、「月例探鳥会3か所:20年間の記録および明治神宮、高尾山、新居の長期記録」を発行した。20年間の記録では、東京湾の東京港野鳥公園、葛西臨海公園、新浜、谷津干潟、三番瀬の鳥たちの状況を比較検討している。
(東京「ユリカモメ」NO.760,P5)

・クロマツ
 クロマツとアカマツの交雑種にアイグロマツと呼ばれる種があり、カルガモとマガモの交雑種アイガモのようなものかもしれない。植物は動物と違って免疫機構が無く、接ぎ木がしやすく、クロマツは接ぎ木の台木になる。松は菌根菌と共生していたが、松林の落葉を利用しなくなると、土壌は富栄養化、乾燥化し、菌根菌は減り、松は衰弱した。海岸にクロマツは植えるのはよいが、津波を防ぐには弱い。
(東京「ユリカモメ」NO.760,P13)

・フクロウに注目
 東京の平地部のフクロウは1953年に三鷹市の深大寺で繁殖記録があるのみで、1970、1990年代の東京都鳥類繁殖分布調査に記録が無い。最近は丘陵地で記録が増え、雑木林や果樹園の樹木の洞で営巣した例がある。2010年代の調査結果を待ちたい。
(東京「ユリカモメ」NO.760,P16)

●2019/2 神奈川
・企業と自然環境保全
 CSR(企業の社会的責任)に取り組む企業が増えている。退職した後社内の技術(シーズ)を自然環境保全の現場の課題(ニーズ)に結びつける作業をしたが、タンチョウの餌場を遠隔監視できるシステム、録音の中からシマフクロウの音声を短時間で検出するシステム構築に参加できた。自分の仕事と自然環境保全との接点を見つけることは可能である。
(神奈川「はばたき」NO.561,P2)

・鳥の名前 走る鳥
 走る鳥は走鳥類(ダチョウ、エミュー等)がいるが、英名ではrunではなくflightless (飛ばない)がつく。日本名ではキバシリ、亜種キタキバシリがいる。runが付く鳥に北米南部からメキシコの半砂漠にいるRoadrunner(ミチバシリ)、豪州中部にいるLogrunner(丸太を走る鳥)、低木の茂みを走るBushrunner(カマドドリ、球形の巣を造ることから和名には竈(かまど)がつく)がいる。Rockrunnner(岩を走る鳥、イワトビムシクイ)は走るとの記載記事は無い。砂地を走りぬけるcourse(スナバシリ)はそのスピードは最速と言われる。
(神奈川「はばたき」NO.561,P4)

●2019/2 静岡
・足環付きチュウヒ
 12/18、静岡市郊外の麻機油水地でチュウヒの写真を撮る。12/20、S氏が安倍川河口でチュウヒを撮影する。両者同一個体と思われ、足環が付いていた。北海道道央で2018/7に放鳥された個体で、北海道生まれのチュウヒが関東以西で観察されるのは珍しい。
(静岡「野鳥だより」NO.462,P7)

●2019/2-3 京都
・鳥の名
 オガワコマドリは1906年、鳥類学者小川三紀が静岡で採集、保存していた標本を、1916年、黒田長禮が発見し、先輩に敬意を表し、オガワとつけた。イイジマムシクイは日本鳥学会初代会頭、飯島魁にちなんだ名前。ノグチゲラは1886年、沖縄で採取されたが、その時の通訳野口源之助からつけたとされる。ヤマザキヒタキは採集者山崎常太郎からきている。オーストンウミツバメ、オーストンヤマガラは英国の採取者アラン・オーストンからきている。ハトに使うPigeonとDoveは明確な使い分けは見つからない。
(京都「そんぐぽすと」NO.216,P11〜13)

・エゾビタキ越冬
 旅鳥として秋に観察されるエゾビタキが京都御苑で、12/28〜1/4、観察された。
(京都「そんぐぽすと」NO.216,P27)

●2019/2 高知
・ブッポウソウの声
  2012年より岡山県吉備中央町でブッポウソウを調査した。更に岡山大学研究者の協力を得た。その結果、ブッポウソウの音声のレパートリーがわかった。「ゲッ、・・・」:地鳴き、囀りは10〜15秒間隔でリズミカルに鳴く。威嚇は繰り返し気忙しく鳴く。求愛は鳴きながら「グルッツェ、グルッツェ」に変化する。交尾は少し濁ってケ、ケ、ケと鳴く。雌や雛が餌をねだる時、嘴を打ちカタカタカタとクラッタリングする。さらに強い威嚇にバシッと聞こえる鞭打音を出す。
(高知「しろぺん」NO.385.P3〜5)

●2019/2 筑豊
・ピラカンサとは
 この実は青酸系の毒があり、人が食べると激しい嘔吐、呼吸困難を起こす。時間が経つと、毒性は薄くなり、鳥が食べる。属名のPyracanthaはギリシャ語のpyro(炎)と acantha(棘)の合成語で、日本ではトキワサンザン(常盤山査子):実はほぼ球形、タチバナモドキ(橘擬):実は扁平の橙黄色、カザンデマリ(花山手毬):実は扁平の橙紅色 がよく植えられる。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.492,P31)

●2019/2 長崎県
・島原でのバンディング
 バンディング調査は環境省が山階鳥類研究所に委託し、同所の講習を受け、環境省から支給されるカスミ網で捕獲し、種、性別、年齢を識別し、足環をつけ放鳥する必要に応じ、翼長、尾長、体重等を測定する。支部では1991年に10名程が資格を取っている。26年間の調査で、わかってきたことは、普段単独でいるシロハラは朝夕、群れて水場に現れる。夜明け前鳴きだすのはカラス、シロハラの順で、カラ類は朝早く鳴かない。山の小鳥は隔年で増減する。
(長崎県「つばさ」NO.374,P13〜15)


NO.927

●2019/1号外 茨城県
・佐賀県のハス田直置き防鳥網に転換
●2019/2 千葉県
・洋上風力発電と第2湾岸道路(幹事会)
・内陸性のムナグロ、タゲリは激減しているのか
・ライチョウ繁殖「菌活」が肝心(12/13日本経済新聞)
●2019/2 石川
・2019年野鳥10大ニュース
・巣箱架けとバードリース作り
●2019/2 徳島県
・第3回吉野川河口の自然を考える会
・敵対者の地に「はやにえ」を立てたモズ
・佐渡はトキのさと
・ちょっと気になる野鳥の和名バンとオオバン
●2019/2 北九州
・「野鳥の会」・・・ですが、もっと野草に関心を!
●2019/2 筑後 ・アリスイ(研究部)

●2019/1号外 茨城県
・佐賀県のハス田直置き防鳥網に転換
 佐賀県のハス田では昨年末までに、野鳥に優しい直置きの防鳥網に変わったと佐賀県支部長宮原氏よりメールがあった。11月に役場に出向き、直置き防鳥網使用例、利用効果を説明し、理解が得られた。農業と野鳥の共存を示す例になった。茨城県では野鳥は空からハス田に降りるとして、天井網が多く、羅網死が絶えない。地上50cm程に下げている例でも地面と網の隙から野鳥が歩いて入り、羅網死する。全国の主流は直置き防鳥網になりつつある。防鳥網に関する書名は1/16現在、約5000筆で2月末までに1万を目指す。
(茨城県「ひばり」号外、P1〜2)

●2019/2 千葉県
・洋上風力発電と第2湾岸道路(幹事会)
 銚子沖にはNEDOが東京電力に作らせた実証実験風力発電があり、今年から200基、原発1基分の風力発電を作るとしている。他の業者も参入し、銚子沖から栗山川河口までの海域に最大600基の建設計画がある。洋上の生物調査は容易ではない。第2湾岸道路計画は船橋市から三番瀬上空を通り、浦安市を結ぶもので、18年間凍結が新年に石井国交大臣と千葉県森田知事の会談で表面化した。
(千葉県「ほおじろ」NO.454,P2)

・内陸性のムナグロ、タゲリは激減しているのか
 内陸の5月の一時的な水田の湿地化とムナグロの春の渡りの条件が一致する。我孫子市での調査では春季、2014年までは大きな減少はなかったが、2017年以降回復不能と思われる程減少している。これはモニタリングサイト1000での関東地区も同傾向(半減)である。全国的に見ると2015、2016年は大幅減、2017年は少し回復している。沖縄地方は2016、2017年は増加している。秋は一気に越冬地に戻るので、記録が南の地方に偏っている。タゲリもモニタリングサイト1000の結果では2010年以降減少傾向(3割減)にある。
(千葉県「ほおじろ」NO.454,P3〜6)

・ライチョウ繁殖「菌活」が肝心(12/13日本経済新聞)
 環境省は2015年以来、ライチョウ増殖を目指し、北アルプスで採取した野生の卵を協力施設に送り、孵化、飼育をしてきた。今期も孵化した12羽の雛の内、5羽が死亡している。中部大学の研究で、従来用いてきた抗菌薬は薬剤耐性菌を発生させ、腸内細菌を阻害するとして、野生種の糞に含まれる乳酸菌を食べさせることで腸内細菌の発達に寄与した。
(千葉県「ほおじろ」NO.454,P12)

●2019/2 石川
・2019年野鳥10大ニュース
 @9/24、舳倉島で本邦初のムシクイ(ヒマラヤムシクイ?)。A9/18、普正寺の森海岸で石川県初のオオグンカンドリ若。B10月中旬、舳倉島で石川県内3例目のハイイロオウチョウ。C七尾市でタンチョウ若が越冬。県内5例目。D〜Hサバクヒタキ、ベニバト、アカツクシガモ、クロツラヘラサギ、アメリカヒドリ県内に渡来。I12月中旬、河北潟で100羽程のホシムクドリの群が複数回、観察される。
(石川「石川の野鳥」NO.204,P2)

・巣箱架けとバードリース作り
 12/1、生態系トラスト石川と共催、奥卯辰山健民公園で、新規巣箱架け、昨年の巣箱清掃を行った。巣材を参加者に見て触ってもらった。野鳥が好む実を紹介し、それらを使ってバードリースを作った。
(石川「石川の野鳥」NO.204,P5)

●2019/2 徳島県
・第3回吉野川河口の自然を考える会
 12/16、徳島市で同会が開催された。WWF自然保護室海洋水産グループのM氏の話があった。海の生物多様性の世界的悪化、藻場の悪化である。水鳥の状況はフライウェイ毎に見ると、北米、欧州では留鳥、漂鳥に改善傾向が見られ、アジアでは深刻である。オセアニアでも改善されていない。日本の干潟の3倍を超える中国、韓国では2000年代に入っても干潟の減少が続く。海洋保護区は2010年愛知目標で2020年までに全海域の10%指定目標に対し、現在7%以下で、日本では領海、EEZ含んでも8%に過ぎない。
(徳島県「野鳥徳島」NO.485,P2〜4)

・敵対者の地に「はやにえ」を立てたモズ
 1/6、オスのモズの縄張り内にメスが侵入し、コンポストに湧くウジ虫を入れ食い状態で食べた後(以前学習していた)、残りを近くで「はやにえ」にした。他の縄張りに「はやにえ」が立てられる条件は、・縄張りの主に気付かれない(広範囲占有する冬縄張りでは起こり易い)・大量の獲物がある・後で「はやにえ」を自食できる等であろう。モズの婚姻は嫁入り婚でオスはメスに対し、寛容なのかもしれない。隣同士のオスメスがそのままペアになるとは決っていない。
(徳島県「野鳥徳島」NO.485,P6〜7)

・佐渡はトキのさと
 9/17、新潟市で公開シンポジウム「トキの放鳥から10年:再導入による希少種の保全」が開催された。既に18回の放鳥で308羽のトキが放鳥され、1年後の生存率は8割を超えるが、発信器の装着が生存に悪影響あるのは否定できない。トキの野外繁殖成功率は3割に留まっている。当初、中国から移入されたトキは遺伝的多様性が2/3しかなく、有害遺伝子の発現が危惧される。そのため、中国から佐渡へ2羽のトキが新たに移譲された。
(徳島県「野鳥徳島」NO.485,P10〜12)

・ちょっと気になる野鳥の和名バンとオオバン
 江戸時代になってバンの名前が現れる。バンの名前の由来は定説が無く、護田鳥すなわち、田の番人をしているような鳥と言う意味だろうとある。私は梵天にあると考える。仏教の守護神以外に物の先にある丸い物の意があり、飼い鳥で頭頂の羽毛が盛り上がった品種を梵天(ボンテン)と呼ぶ。古人はバンの少し盛り上がった額板から梵天鳥と呼び、ぼんどり→ぼん→バンに転訛したと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.485,P14)

●2019/2 北九州
・「野鳥の会」・・・ですが、もっと野草に関心を!
 昭和59年、全国で8万人近くが参加した環境庁の「緑の国勢調査」によると、明治時代に渡来した帰化種「セイタカアワダチソウ」が全国に分布していた。近年はオオキンケイギクが幅をきかせている。これら帰化植物は刈り取った後に再生する力が強く、在来種の生育場所を奪う。アジサイやコスモスは美しいが、在来の野草を眺める気持ちを取り戻したい。
(北九州「北九州野鳥」NO.392,P10)

●2019/2 筑後
・アリスイ(研究部)
 アリスイはアフリカ大陸北部、ユーラシア大陸で繁殖し、越冬はアフリカ大陸中部、東南アジアへ南下する。日本には秋口に越冬で飛来する。繁殖期にはモズの高鳴きに似た声を出す。頻繁に首を傾げ後を見るのは警戒のためか。種小名に「首を捻る者」の意がある。擬態でヘビのように頭をくねらせる。薄暗い木の洞に営巣するアリスイがヘビの擬態をすれば、イタチやタカの捕食者は逃げ去る。
(筑後「まめわり」NO.212,P10)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)



ブロックからのお知らせなど

■2018年度(第26回)日本野鳥の会中部ブロック会議新潟大会報告


【日時】:2018年11月3日(土)〜4日(日)
【場所】:水の駅「ビュー福島潟」、ホテル湖畔(新潟県新潟市)
【担当支部】:日本野鳥の会新潟県、日本野鳥の会佐渡支部
【参加者】:17支部(新潟県16名、富山3名、石川2名、福井県8名、長野支部1名、軽井沢支部1名、諏訪支部2名、甲府支部2名、富士山麓支部2名、東富士1名、沼津支部2名、静岡支部6名、遠江1名、愛知県支部1名、岐阜3名、三重2名、佐渡支部1名)、財団4名(上原常務理事、葉山自然保護室長、箱田普及室長代理、嶋村普及室員) 合計58名

【スケジュール】
1日目
13:00〜17:00
●基調講演「雪国を生きる鳥の生態と生息環境」(石部久会長/新潟県)
●講演「トキの生態と佐渡の鳥」(土屋正起支部長/佐渡支部)
●講演「イソヒヨドリの生態」(鳥居憲親氏/長岡市立科学博物館)
●研究実践「中部地方のイソヒヨドリの分布」(中部ブロック研究部イソヒヨドリプロジェクトチーム)

2日目
8:30〜10:00
●研究実践「中部地方のコアジサシの分布」(中部ブロック研究部コアジサシプロジェクトチーム)
●研究実践「三重県のコアジサシ繁殖状況」(三重)
●コアジサシ研究のためのデコイ量産化(愛知県支部)
●沼津支部管理の野鳥保護区の活動について(沼津支部)
●遠州灘海岸防潮事堤事業と野鳥生息環境(遠江)
●ミヤコドリ、ジョウビタキなどの連携調査及び活動方向について(新潟県)
●新潟県愛鳥センターの鳥獣保護事業と内容について(新潟県)

【議事】※連携団体からの報告のみ
●研究実践「中部地方のイソヒヨドリの分布」(中部ブロック研究部コアジサシプロジェクトチーム)
 中部全体で1つの鳥をテーマに研究しようと、イソヒヨドリプロジェクトチームを立ち上げたことが確認され、その中間報告がされた。各県から1970〜2018年までの1469件のデータが集められ、データの座標を地図に落としたところ、中部地方全域、内陸部でも分布が確認されたと説明がされた。河川に沿って海側から内陸へ分布を広げているように考えられるが、2009年以前にはすでに内陸に進出しているため、分布の変化は顕著ではないと説明がされた。また、繁殖期の4〜7月のデータから内陸でも繁殖していることが予想されると報告がされた。今後について、3〜5年で調査データを集約してはどうかと意見が述べられた。

●研究実践「中部地方のコアジサシの分布」(富山)
 2018年の中部地方のコアジサシ繁殖状況を調べたアンケート結果について報告がされた。繁殖確認は17か所1850羽、ヒナの確認は7か所45羽、幼鳥の確認は4か所26羽であり、繁殖の阻害要因は、人的なものとして土木工事、太陽光パネル工事、防潮堤の工事、自然のものとして波浪、集中豪雨、猫、ハヤブサ等の猛禽、カラスなどが考えられると報告がされた。また、以前は福井県や長野県に繁殖地があったが近年は確認されていないと説明がされた。
 今年だけでコアジサシの状況を把握することは難しいので、今後も続けていきたいこと、メーリングリストを通じて各支部にアンケート結果を送ることが述べられた。

●研究実践「三重県のコアジサシ繁殖状況」(三重)
 三重県での2018年のコアジサシの繁殖状況が報告された。鈴鹿川派川に50羽ほどのコアジサシが飛来、約10番の営巣が確認されたが、7/29の台風でヒナが流され、全滅してしまったことが報告された。また、伊勢湾にはコアジサシが繁殖できるような砂浜があるが、防波堤の設置により、営巣場所がなくなっていること、そのほかの場所も、営巣地の環境の変化により年ごとに繁殖状況が大きく変っていることが説明された。
 また、コアジサシのデコイを愛知県支部より購入したので、来年度は必要なところに設置し、子どもたちに色着けしてもらうことも検討していると述べられた。

●コアジサシ研究のためのデコイ量産化(愛知県支部)
 愛知県内のコアジサシは、工事の際にできる更地などに営巣することが多く、工事が進むことで営巣地がなくなってしまうため、継続して営巣できるよう、名古屋港などの港や、埋立地の工場の一角を借り、その中に営巣地をつくることを目指していること、そのためにデコイが大量に必要となり、量産化に取り組んだことの報告がされた。日野自動車グリーンファンドの助成金、谷口高司氏の絵を提供していただいて実施した募金活動、トヨタ自動車からの寄付などで、デコイの金型をつくったこと、環境に配慮した素材による量産化が可能になったこと、耐久性も高く、アクリル絵の具で色着けすることもできること等説明がされた。また、誘致のために使用する場合は、1個450円で阿久津樹脂工業より購入することができると説明がされた。

●沼津支部管理の野鳥保護区の活動について(沼津支部)
 寄付でいただいた7000坪の土地があり、野鳥保護区として管理、整備していることが報告された。沼津アルプスと呼ばれる登山道がある場所にあるので、今後は登山道から入る道を整備すれば、保護区を利用してもらえるのではないかと述べられた。

●遠州灘海岸防潮事堤事業と野鳥生息環境(遠江)
 2017年よりコアジサシが繁殖しなくなったことが報告された。29kmの防潮堤を整備する工事が始まった時期と、コアジサシが繁殖しなくなった時期がほぼ一致していることから、工事が影響していることも考えられると説明がされた。しかし、現在は工事車両が行き来しているため、野鳥の生息や分布に影響することが懸念されるが、完成すると浜松市は車両通行禁止になり、自然路ができる予定のため、コアジサシや野鳥にとっていい環境になることも考えられると説明がされた。また、現在は一部のエリアのみがコアジサシの保護地区に設定されているが繁殖をしていないため、今後は、海岸エリア全体で指定する必要があるという考えがあること、モニタリングを継続することが報告された。

●ミヤコドリ、ジョウビタキなどの連携調査及び活動方向について(新潟県)
 中部ブロック全体で行う調査について、今後の方向性と案が出され、コアジサシ、イソヒヨドリは継続、そのほか、カンムリカイツブリ、ジョウビタキ、ブッポウソウ、カイツブリ、ミヤコドリなどの案が出たと報告がされた。まずはメーリングリストで情報収集し、プロジェクトチームをつくり、方向性を決める旨の説明がされた。また、調査の担当者とメーリングリストの担当者が異なっているため、メーリングリスト担当者は情報共有の徹底するよう呼びかけられた。

●新潟県愛鳥センターの鳥獣保護事業と内容について(新潟県)
 新潟県の愛鳥センターについて、傷病鳥の救護センターと、自然保護のための普及啓発活動の施設として設立された説明がされた。年間約500羽の傷病鳥が保護され、3分の1は放鳥されていると報告がされ、センターへの来館や活用について案内がされた。

<次年度のブロック会議>
・開催日:2019年6月8日(土)9日(日)
 担当支部:日本野鳥の会岐阜

■2018年九州・沖縄ブロック長崎大会報告


【日時】2018年9月15日(土)13:00〜 16日(日)12:00
【場所】長崎県立佐世保青少年の天地(佐世保市烏帽子町)
【担当支部】日本野鳥の会長崎県支部
【参加者】10支部(福岡支部、筑後支部、筑豊支部、北九州支部、佐賀県支部、熊本県支部、大分県支部、宮崎県支部、鹿児島、長崎県支部)、来賓3名(佐世保市長 朝長則男、長崎県自然環境課長 田中壮一、生物生態写真家 栗林慧)、財団3名(柳生会長、上原常務理事、萩原常務理事付)  合計80名
※九州・沖縄ブロック今大会とは別に運営に関する運営協議会が別途開催される。その為、大会では講演会、観察会を中心に開催される。


大会の様子

【スケジュール】
1日目
13:00 開会
13:30 記念講演:生態写真撮影のおもしろさ(栗林慧氏/生物生態写真家)
15:10 記念講演:八ヶ岳の自然(柳生博会長)
16:10 活動報告など
・アカハラダカ、ハチクマの渡り調査から(今里順一郎氏/長崎県支部)
・無人録音によるコノハズク調査について(広塚忠夫事務局長/筑豊支部)
・ブッポウソウ保護のための巣箱掛け、ベニアジサシの繁殖状況について(松富士将和支部長/筑後支部)
・財団の活動と支部との連携について(上原健常務理事)
・風力発電施設について報告と意見交換(執行利博事務局長/長崎県支部)
17:00 閉会
19:00 懇親会
21:00 終了

2日目
7:00 アカハラダカ観察会 烏帽子岳園地
12:00 終了

【議事】
(1)開会
・開会宣言(執行利博事務局長/長崎県支部)
・ブロック代表挨拶(小野仁支部長/福岡支部)
・財団挨拶(柳生博会長)
 烏帽子岳周辺は、渡り鳥にとってとても重要なエリア。そのような場所に風力発電施設は作らないで欲しい等の挨拶があった。
・来賓挨拶(朝長則男市長/佐世保市)
 烏帽子岳周辺はアカハラダカを始めとする渡り鳥の重要なルートと認識しているため、風力発電については頭を悩ませていること、適切な場所を選ぶことが重要であるが陸地での建設は限界があること、洋上風力も視野に入れて考えることが必要である等の話題に触れて挨拶があった。
・来賓挨拶(田中壮一課長/長崎県自然環境課)
 この地は、アカハラダカ、ハチクマなど様々な渡り鳥の十字路として重要の地である等の挨拶があった。

(2)記念講演
・生態写真撮影のおもしろさ(栗林慧氏/生物生態写真家)
【要旨】
 多くの昆虫が単独行動を行うがアリは家族で行動し人間社会に似ている。その行動の一部始終を写真に納めたいと考えた。撮影を始めた約50年前は、クローズアップで動くものを撮影する機材や方法が確立していなかったので試行錯誤や工夫の連続であった。撮影の際、役に立ったのが子供の頃の昆虫採集の経験であった。またアリへの興味の他、撮影のモチベーションの一つとなったのが小さな昆虫アリを撮影することができれば、どんな昆虫でも撮影できるだろうという想いであった。そこで駆使したのが当時、世に出たばかりのストロボであった。生物生態写真は、ただ撮れれば良いのではなく、見る側に何かを感じてもらえる写真でなければならない。生き物の生態を理解し、その生き物らしい写真を撮ることを大切にしている。

・八ヶ岳の自然(柳生博会長)
 近況や八ヶ岳との出会いについて講演した。初めは柳生家の掟である13歳の一人旅で訪れた時で、その後、土地を購入し不健全であった林をその土地に元々あった木々を育てるなど野を良くする仕事、野良仕事を行った。その地は現在八ヶ岳倶楽部として誰でも訪れることができる。自然環境を考えるとき常々感じているのは「確かな未来は懐かしい風景の中にある」ということである。これからも野鳥と自然を仲間として一緒に守っていくことを呼びかけた。

(3)活動報告など
・アカハラダカ、ハチクマの渡りについて(今里順一郎氏/長崎県支部)
 29年間のデータを基に日別飛来数、飛来・飛去方向、など多角的に分析された結果が報告された。特に渡りに適した天候の分析、考察が詳細に報告された。

・無人録音機によるコノハズク調査について(広塚忠夫事務局長/筑豊支部)
 以前、コノハズクの生息確認ができていたポイントで最近、姿、声共に確認ができなくなったが、周辺エリアでは、確認情報も時折届くのでエリア全体の生息状況を把握する目的で調査を企画したことが報告された。調査では、財団事務局より無地録音機(ICレコーダー)5台を借用し用いたことや、調査の結果、エリアにおけるコノハズクの存在を無事、確認できたこと、また、記録の少ないオオコノハズクの声など様々な鳥類の存在を知ることができたと報告された。

・ブッポウソウ保護のための巣箱掛け、ベニアジサシの繁殖状況について(松富士将和支部長/筑後支部)
 矢部村におけるブッポウソウ保護を目的とした巣箱掛けを行っており、先に行われた中国・四国ブロック大会などにも参加し各支部からブッポウソウ保護に関するノウハウや意見交換を行いながら取り組んでいるとの報告があった。ベニアジサシについて、繁殖地の島(人工島)は台風による沈下や崩落など物理的な問題も起きていると説明がされた。繁殖状況について、今年もベニアジサシの飛来はあったものの中央付近の建造物にハヤブサが居ついていたのを嫌ってか繁殖に至らず、この地では4年連続未繁殖であること等が報告された。また、ブッポウソウやベニアジサシに関する情報提供協力の呼びかけがあった。

・日本野鳥の会ビジョン2030について(上原健常務理事)
 背景として日本野鳥の会がこれからも社会に認められ、必要とされる組織であり続けるためには、将来像や夢ともいえるビジョンを掲げることが大切であること、2030年は世界が合意したSDGs(持続可能な開発目標)の達成年でもある点などが説明された。本ビジョンの5つの目標(1.絶滅危惧種の保護と野鳥の生息地保全を着実に進めている/2.地域の自然が、地域の手で守られる社会づくりに貢献している/3.生きものや自然に配慮したエネルギーシフトを実現させている/4.自然とのふれあいを通して、自然への理解者が増えている/5.次世代を育む活動が充実している)に基づき説明がされた。

・風力発電ついてなど意見交換会(執行利博事務局長/長崎県支部)
 原子力発電の代替エネルギーとして近年、各地に風力発電施設が乱立しており、本ブロックエリアにおいても建設や建設予定が各所から聞こえてくる状況との報告がされた。建設側は風の通り道を狙って計画を出してくるがそのような土地は貴重な渡り鳥の通り道となっているため、今後も各支部が協力して渡り鳥の通り道を守っていくことが確認された。

 閉会宣言の後、19:00から懇親会が開催されオークションなど賑やかに行われ親交を深めた。
 翌9/16(日)朝の内は濃い霧が発生し天候が心配さされたが、烏帽子岳園地にてアカハラダカ観察会が無事に開催され、参加者で青空を渡るアカハラダカなどの観察を行った。


アカハラダカ観察会

(常務理事付/萩原洋平)


事務局からのお知らせなど


■保全プロジェクト推進室より

■三宅島バードアイランドフェスティバル2019のお知らせ


 今年もバードウォッチングベストシーズンにあわせ、三宅島バードアイランドフェスティバルを開催します。4月27日(土)から5月6日(月・祝)の期間中は早朝5時からアカコッコ館をオープン。島に着いて、すぐに旬の野鳥情報の収集や館内からゆったりバードウォッチングを楽しむことができます。また、週末ごとの観察会(申込み不要)や平日限定バードウォッチング(要申込み)も用意して野鳥との出会いをサポートします。
 アカコッコをはじめイイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ、タネコマドリ、オーストンヤマガラなど三宅島ならではの野鳥が皆さまのご来島をお待ちしております。

【三宅島バードアイランドフェスティバル】
●実施期間 4月13日(土)〜6月9日(日)
●開催イベント
・おきがるバードウォッチング
 4月5月の土日祝 8:30〜9:30
 館周辺のアカコッコやコマドリなど三宅島ならではの野鳥を観察します。

・大路池ガイドウォーク
 4月5月の土日祝 10:00〜11:00
 鳥のさえずり溢れる大路池をご案内します。

・ウチヤマセンニュウ観察会
 5月25日(土)・6月1日(土)・2日(日)
 5:00〜8:00
 伊豆岬に観察道具をそろえてお待ちしております。時間中、好きな時間にお越しください。

・島一周バードウォッチング
 5月5日(日)8:00〜17:00 ※要申込み
 路線バスと徒歩で島の様々な環境を巡り、島を訪れている野鳥を観察します。

・平日限定おきがるバードウォッチング ※要申込み
 少人数のグループを対象に、ご希望の時間に合わせて開催します。受付件数に限りがありますので詳しくはお問い合わせください。

・富士鷹なすび野鳥イラスト原画展
 4月13日(土)〜6月9日(日)※予定

・富士鷹なすび野鳥イラスト講座 
 6月9日(日) 

 来島方法や探鳥プランなどいつでもお気軽にお問合せください。

●お問合せ
三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
TEL:04994-6-0410
FAX:04994-6-0458
E-mail:[email protected]

(保全PJ推進室/内藤明紀)

■総務室より

■平成30年度連携団体全国総会報告


■平成30年度連携団体全国総会報告
【日時】2018年11月10日(土)13時〜11日(日)12時
【場所】クロスウェーブ幕張(千葉県千葉市)
【参加者】108名(50連携団体66名、財団関係42名)
【スケジュール】
1日目
13:00 開会宣言(上原健常務理事)
開会挨拶(柳生博会長)
13:10 出席評議員・役員・事務局長紹介(上原健常務理事)
13:15 1.財団からの報告
(1)北海道横断自動車道根室線敷設への対応(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室)
(2)オオジシギの北海道全域の生息状況調査と本州以南の繁殖状況調査(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室)
(3)探鳥会での事故報告の情報共有(江面康子/普及室)
(4)フィールドマナーについての情報共有(江面康子/普及室)
(5)環境影響評価法の動き(葉山政治/自然保護室)
(6)モニタリングサイト1000・繁殖分布調査の状況(葉山政治/自然保護室)
(7)サシバ保護事業(大畑孝二/自然保護室)
14:45 2.テーマ討論
(1)センシティビティマップ(葉山政治・浦 達也/自然保護室)
(2)調査活動の人材育成(葉山政治/自然保護室)
(3)リーダー研修会(箱田敦只/普及室)
17:10 3.ブロックからの報告
(1)東北ブロック協議会総会報告(佐藤公生/秋田県支部)
(2)関東ブロック協議会報告(浅川千佳夫/群馬)
(3)中部ブロック会議報告(桑原哲哉/新潟県)
(4)近畿ブロック会議報告(梶田学/京都支部)
(5)中国四国ブロック交流会報告(福本幸夫/広島県支部)
18:00 総会1日目終了
18:30 懇親会

2日目
6:30 早朝探鳥会(安西英明、林山雅子、松本直子)
9:00 4.連携団体からの提言・報告
(1)秋田県由利本荘市における風力発電事業(佐藤公生/秋田県支部)
(2)放鳥されたコウノトリが生きて保護されて生ずる混乱とその解決策(池野進/茨城県)
(3)葛西三枚洲にラムサール条約登録実現の報告(飯田陳也/東京)
(4)ブッポウソウの巣箱掛け(白川郁栄/石川)
(5)コアジサシのデコイを量産化しました(新實豊/愛知県支部)
(6)探鳥会による野鳥への影響と京都支部の取り組み(船瀬茂信/京都支部)
(7)2018年大阪支部探鳥会の状況(松岡三紀夫/大阪支部)
(8)ひょうご・バードウィーク・フェスティバル(鈴木博/ひょうご)
(9)島根県西部における風力発電所建設計画の現状と課題(田原博/島根県支部)
(10)野鳥の「愛玩飼養許可」更新にかかる現状把握のお願い(中村桂子/高知支部)
(11)再生可能エネルギーに対するアセス要件の強化について(松田久司/愛媛)
11:50 全体の統括・閉会の挨拶(遠藤孝一理事長)
12:00 閉会宣言/記念撮影/解散

【記録】
11月10日 1日目
◎午後1時、上原常務理事の開会宣言により、平成30年度連携団体全国総会が開始された。
◎柳生会長挨拶に続き、出席評議員及び役員、事務局長の紹介がされた。
◎北白川道久評議員(10月20日ご逝去)、中野紀男二本松支部長(11月3日ご逝去)のご冥福を祈り1分間の黙祷が捧げられた後、1日目のプログラムが進行された。

1.財団からの報告
(1)北海道横断自動車道根室線敷設への対応(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室)
 2016年2月〜4月、2017年12月〜2018年3月に釧路支部、根室支部の調査により、北海道横断自動車道根室線の計画段階評価対象区間(尾幌〜糸魚沢間)には、クマタカ、オジロワシ、オオワシ、タンチョウなどの希少種の生息地が含まれることがわかり、釧路支部から国土交通省へ要望書を提出した結果、ルートが変更になったと報告がされた。また、国土交通省北海道開発局による北海道横断自動車道(尾幌〜糸魚沢間)道路計画に関する第2回アンケート調査の紹介がされ、回答協力が呼びかけられた。根室支部の加藤様からも、予定されているルートにシマフクロウの生息地が入っているため、今後も協力をお願いしたい旨の説明がされた。

(2)オオジシギの北海道全域の生息状況調査と本州以南の繁殖状況調査(田尻浩伸/保全プロジェクト推進室)
 北海道でオオジシギの個体数減少が指摘されているが、比較できるデータがなく、今後の基礎資料とするために、道内連携団体会員121名、オオジシギ調べ隊(地域の親子、オーストラリアの研究者と子供たち)、財団職員16名、のべ967名が参加し生息状況を調査したところ、道内では約34000羽が生息すると推定され、道東が最も多いという結果を得たと報告がされた。調査の結果をもとに、今後ラムサール条約登録のための働きかけを行うことが説明された。また本州以南の繁殖状況について、75連携団体に情報提供を依頼した結果をまとめたところ、56か所の繁殖地の半数以上が消失か個体数の減少傾向にあったことが報告された。今後は開発に対する保全の取り組みや草地環境の整備が必要であると説明がされた。
 また、オオジシギを通じて郷土の自然に目を向けてもらうことを目指して作成した小冊子について、北海道民の5%に配布することを目標としているが、現在目標の80%を達成していることが報告された。なお、これらの成果は連携団体の皆様の力がなくては実現しなかったこと、保全活動には地元の連携団体との連携が重要であると説明がされた。
 宮古支部の関川様より、オオジシギの北方への移動について質問がされ、田尻保全プロジェクト推進室長から今後他国とも情報交換をしていくと回答がされた。
東京の糸嶺様より、小冊子配布について5%という数値の意味について質問がされ、田尻保全プロジェクト推進室長から目標値として無理ではないがすぐには達成できない数字を設定したと回答がされた。

(3)探鳥会での事故報告の情報共有(江面康子/普及室)
 探鳥会をよりよくしていくヒントを探るため、これまでの保険利用事例を連携団体間で共有すると説明がされた。過去5年間では、毎年2〜5件の保険利用があり、下り坂や段差での転倒による骨折・打撲・捻挫が多く、年齢や性別では、60代女性が全体の1/3を占めるなどの事故の傾向及び4件の事例について報告がされた。高齢の方や初めての参加者がいる場合は、不慣れな場所を歩くことでけがをしやすいのでリーダーが注意を促すことが必要であると説明がされた。

(4)フィールドマナーについての情報共有(江面康子/普及室)
 リーダーのマナーについて、参加者にできるだけ野鳥を見せたいという気持ちから園路沿いの策を乗り越えて解説をしたり、動植物の採取が禁止される公園で古巣を拾ったり、木の枝を折ったりする行動があったことが、リーダーへのヒアリングにより確認された旨の報告がされ、公共の場所でのルールに配慮した行動が必要であると説明がされた。また、連携団体のホームページや探鳥会パンフレットを見て集合場所に行ったところ誰もいなかったという事例について、HP情報に誤りがあったこと、HPの情報は修正してもその他の媒体での情報について対応しきれなかったことが原因であったと説明がされた。情報掲載時は複数人で確認すること、やむを得ず掲載内容を変更する場合は、財団の媒体に掲載されている内容について修正依頼の連絡、変更前の集合場所への人員配置などの配慮が必要であると説明がされた。なお、財団の媒体は、探鳥会パンフレットは6万枚配布、メールは6万人に配信、HPは毎日8万人がアクセスしている状況であると説明がされた。
 参加者から「探鳥会での事故報告の情報共有」及び「フィールドマナーについての情報共有」について、情報の共有や注意の喚起、指針などを知りたいという意見があり、江面康子普及室普及教育グループチーフから事故報告やフィールドマナーに関する報告、またそれらを未然に防ぐための対策について今後探鳥会スタッフ通信を使って情報の共有をしていくことが回答された。

(5)環境影響評価法の動き(葉山政治・浦 達也/自然保護室)
 大規模太陽光発電施設のアセス対象事業化について、2019年3月には内容が決定すること、日本風力発電協会から太陽光をアセスの対象にするなら、風力発電アセスの規模要件を引き上げるよう要請があったこと、また風力発電の問題点は建設場所であり、規模に関わらず野鳥への影響があること、海外では環境に影響がないところを選んで大規模な風力発電機を建設していること等について今後議論されると説明がされた。
 また、前倒し調査によるアセス迅速化の流れについて、県と情報交換ができる連携団体は早い段階で対応し、わからないことがあれば、財団へ相談するよう呼びかけがされた。その他、風力発電の累積的影響評価について、今後ガイドライン策定を行うかどうか検討している可能性があることや、環境省が行っている風力発電の導入に係るゾーニング・センシテビティマップについて、説明がされた。

(6)モニタリングサイト1000・繁殖分布調査の状況(葉山政治/自然保護室)
 配布資料「全国鳥類繁殖状況調査日本の鳥の今2016-2017」(http://www.bird-atlas.jp/news/bunpu16-17.pdf)をもとに、全国鳥類繁殖状況調査の実施状況について、3年間での目標は7割だったが、実際はその半数だった旨の説明がされ、調査への参加協力が呼びかけられた。モニタリングサイト1000は5年に1回の調査で現在第三期を迎えていることや、繁殖分布調査の次の調査は20年後であることの説明がされ、調査関係の人材確保については、この後のテーマ討論の話題となっている旨の説明がされた。

(7)サシバ保護事業(大畑孝二/自然保護室)
 豊田市自然観察の森の里山保全計画において「サシバのすめる森づくり」をテーマに実施されている休耕田に水を張りサシバの餌資源であるカエル類を増やす事業について説明がされ、サシバの餌資源調査、行動圏調査、生息適地モデルの作成等を行った旨の説明がされた。また、自然保護室、NACS-J、アジア猛禽類ネットワークとの連携業務について説明され、サシバ国際サミットやサシバエコツアーについて紹介がされた。事業のゴールとして、フィリピンでの密猟の完全中止、繁殖地・中継地・越冬地の関係者のネットワーク構築、サシバ保全の豊田モデルの確立と全国への広報の実現、サシバの個体数の回復、里山保全のシンボルとしてサシバが定着することを目指していると説明がされた。連携団体によるサシバの生息地保全活動の紹介として、神奈川支部(小田原の休耕田管理)、大阪支部(サシバプロジェクトin大阪/繁殖地調査)、栃木県支部(市貝町でのサシバの調査・保全活動)があげられた。選定基準「サシバの生息」を含む環境省重要里地里山(全国500か所)について説明がされ、連携団体で活動している地域に該当するところがないか調べるところからはじめてはどうかと呼びかけがされた。

2.テーマ討論
(1)センシティビティマップ(葉山政治・浦 達也/自然保護室)
 これまでに、財団と道北支部でセンシティビティマップ作成のモデルケースを作ってきたが、今後各連携団体が自分たちで作る場合に必要なことについて、海外事例なども交えて浦達也主任研究員より紹介され、事務局も手伝うことができるので相談してほしい旨の呼びかけがされた。その後、葉山政治自然保護室長の進行で意見交換がされた。
 根室支部の加藤様より、オジロワシを中心に、まずは自分たちが一番よくわかっている鳥を調査して、財団へ相談することを検討している旨の説明がされた。
 千葉県の志村様より銚子沖の調査事例の報告がされた。
 もりおかの嶋田様より、人材不足の懸念についてあげられた。

(2)調査活動の人材育成(葉山政治/自然保護室)
 葉山自然保護室長の進行でモニタリングサイト1000の調査は調査員の平均年齢が67歳であり年々高齢化が進んでいるという説明の後、各連携団体での調査事情の報告・討論等がされた。
 オホーツク支部の川崎様より、調査員を1本釣りで1人ずつ増やしている状況や人材が育ちつつあるがフィールドが広いことや気候上調査ができるシーズンに難しさがあることが説明された。
 愛知県支部の新實様より、独自で実施しているサギコロニー調査で人員が集まっている事例について、NEXCOとの協力があること、調査と聞くと敬遠されるので、大学生や小学生らが参加しやすくなる呼びかけを心がけていること、参加者に役割分担をしていること、探鳥会などでの調査を積極的にPRしていることなどの取り組みについて説明がされた。また60代を調査員として活用することの提案がされた。
 ふくしまの長渡様より、福島では調査の人手は足りており、繁殖分布調査にも参加したこと、高齢の方やインターネットが苦手な方からは、調査結果登録の代行があれば参加したいという話をいただいていることの報告がされた。
 茨城県の池野様より、1997年から5年に1回のペースで越冬地調査を行っており、積極的に調査協力を依頼してきた結果、調査員が確保でき、現在繁殖地分布調査を5キロメッシュで実施できている状況が報告された。
 静岡支部の伴野様より30名程の有志で鳥類目録を作成しており、5キロメッシュで実施していること、1、2、3版の調査員は同じ人で、調査自体は楽しく行っていること、作って販売した売上で次の出版をしているなどの調査状況が報告された。
 東京の東様より定例探鳥会での観察結果を基に本を出版したことが報告され、西村様より、連携団体での越冬調査については、結果を支部報「ゆりかもめ」に発表していることが報告された。
 筑後支部の松富士様より調査日の日程調整が難しいことや、飽きやすい人は参加しなくなる傾向にあるので調査に参加してくれる人の育成を進めてほしいと発言があった。
 大阪支部の塚田様より、去年から研究部が発足したこと、連携団体としては調査員確保がほとんどできていない現状があること、鳥類目録については20か所の定例探鳥会の記録を使用したことなどが報告された。
 宮城県支部の坂野様より毎年2月に調査員が宮城県の沿岸地に分散し、前泊して調査をする「コクガン探し」というイベントを実施し、1日は一般探鳥会も実施していること、シギ・チドリ調査とアフターランチなど楽しめる企画と組み合わせる工夫をしていることが報告された。
 福井県の酒井様より小学校の近くでコウノトリを観察する機会を作り、子供を持つ母親にも関心を持ってもらうという方法を実践していることが報告された。
 また、葉山自然保護室長からさらに調査員を増やしていくアイディアについて問いかけがあり、神奈川支部の石井様(当会評議員)より全国一斉調査の機会を財団で作ってはどうかと提案がされ、茨城県の池野様より参加した人が成功体験を得られるような仕組みを考えて実施するのはどうか、分布が拡大しているガビチョウ、リュウキュウサンショウクイなど成功体験ができるまでを調査対象としてはどうかと提案がされ、十勝支部の室瀬様より人材を育成するという考え方から調査機会を作るという考え方へ転換してはどうか、シギ・チドリ一斉調査もよい機会であり、環境省のオジロワシ調査でも記録係という参加方法があるので連携団体としての活動機会があれば参加できると提案がされた。
 葉山自然保護室長より、財団でも機会づくりを呼びかけていくことや分布が拡大している種を調査対象に選ぶなどを検討する旨が説明され、全国調査を実施したいテーマがあれば知らせてほしいと呼びかけがされた。

(3)リーダー研修会(箱田敦只/普及室)
 昨今コンプライアンスの高まりにより、探鳥会や連携団体の運営における配慮事項も増えており、またビギナー向けの探鳥会でのリーダー不足、野外活動に不慣れな参加者の増加によるリスクの高まりがあったことからリスクマネジメントをテーマとした研修会を企画し、2018年10月13日(土)の近畿ブロックリーダー研修会にて実施した旨の報告がされた。リスクを発見し対処することでけがや事故を未然に防ぐことがリスクマネジメントで、すべての活動の基礎であると説明がされ、リスクマネジメントの手順や個人情報保護に関するチェック事項について説明がされた。また、リーダーの法的責任に関して不安があるリーダーには積極的な研修の参加を望むこと、ブロック会議等で研修の場の設定を検討すると説明がされた。続いて、各連携団体のリーダー研修会の実施状況、どんな研修会が必要と感じるかというテーマで意見交換の呼びかけがされた。
 栃木県支部の手塚様より、連携団体のリーダー研修でリスクマネジメントについてやってほしいという声があること、リーダー研修をどんな内容で誰を講師にしたらいいか検討していること、他の自然保護団体と比べて野鳥の会は遅れている印象があること、危機管理マニュアルを連携団体で作っていきたいと考えている等の報告がされた。
 東京の東様より、リーダーからとったアンケート結果を組み込んでリーダー研修会を実施したこと、2回目はリスクマネジメントを盛り込んだ内容を検討していること、幹事会の集中力は1時間くらいである等の報告がされた。
 愛知県支部の新實様より、探鳥会の案内人同士で交流しようというのがリーダーズ研修会のはじまりだったこと、AEDの講習や、台風で中止となったが熱中症講習などを企画したこと、案内人予備軍を研修会に誘って、知らず知らずのうちに案内人に育てていること、連携団体で一部お金を負担して交流の機会を設けている等の報告がされた。
 埼玉の海老原様より、リーダー研修会は37回実施しており、年に2回の時もあること、過去に埼玉県支部が支部廃止となり、その後現在の埼玉県支部を作った経緯があり、リーダーの経験が少なく自信がない人が多かったため皆で勉強するために始めたものであること、リスクマネジメントの話はまだ十分にはできておらず、今後課題としたいこと等の報告がされた。
 大阪支部の松岡様より、リーダー研修会は探鳥会に参加する人をいかに楽しくして帰ってもらうかという意図で開催していること、名前が悪いのか参加者が減ってきたので、リーダー集会と名称を改め、参加した人から将来のリーダーをピックアップすることも検討していること、リスクマネジメントについて考える機会がなかったため本討論は有意義だったこと等の報告がされた。
 箱田普及室長代理より、参加者を集めることに関する課題や自前で研修会を実施できる団体とそうでない団体がある等の課題について、今後財団として検討する旨の説明がされた。

3.ブロックからの報告
(1)東北ブロック協議会総会報告(佐藤公生/秋田県支部)
 秋田県支部の佐藤様より、2018年2月24日(土)〜25日(日)に秋田県大潟村で開催された第40回東北ブロック協議会総会について、84名が参加し、各連携団体、財団事務局からの活動報告がされた。また、東北ブロック協議会総会は、ハクガンを見るためにをこの時期に設定しているが、今回も探鳥会で観察ができた旨の報告がされた。

(2)関東ブロック協議会報告(浅川千佳夫//群馬)
 群馬の浅川様より、2018年9月8日(土)〜9日(日)に榛名湖温泉ゆうすげ元湯(群馬県高崎市)で開催された第42回日本野鳥の会関東ブロック協議会について、47名が参加し、各連携団体からの近況報告と事前に集めた提案議題「SNS活用の広がりに伴う問題と利用上の留意点」、「関東ブロック協議会連絡用メーリングリストの開設」、「会員数と探鳥会参加者数の推移」、「トレイルラン実施による野鳥への影響」、「愛鳥モデル校に対する取り組み」、「河川敷の樹木伐採に対する日本野鳥の会としての統一見解」について協議した旨の報告がされた。

(3)中部ブロック会議報告(桑原哲哉/新潟県)
 新潟県の桑原様より、2018年11月3日(土)〜4日(日)に新潟市ビュー福島潟(新潟県新潟市)で開催された第26回中部ブロック会議新潟大会について、一般参加形式での講演会の実施、連携団体の連携活動「イソヒヨドリの生息分布」「コアジサシの繁殖・生息分布調査について」の中間報告がされた。その他、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(新潟県佐渡市)の見学を実施したこと等の報告がされた。また、新潟日報等の新聞にトキの生態などの切り口でブロック会議の様子を掲載してもらい県民の方に連携団体の活動を知ってもらう工夫をしていることやトキの生態に関する出版をしている旨の報告がされた。

(4)近畿ブロック会議報告(梶田学/京都支部)
 京都支部の梶田様より、2018年6月23日(土)にコープイン京都中会議室(京都府京都市)で開催された2018年度近畿ブロック会議について、「バードウォッチングフィールドマナー」を議題とし野鳥カメラマンが探鳥会に参加する際の各連携団体の対応や探鳥会のフィールドマナーについて意見交換した旨の報告がされた。また、和歌山県支部からは「鳥類目録2018年版の発行とレッドリストの改訂について」、奈良支部からは「フォトブック「平城宮跡周辺の野鳥」の作成・発行について」、大阪支部からは、「ホームページの充実にむけた取り組み・シルバーバードウォッチング・ガンカモ調査結果について」、ひょうごからは、「ひょうご・バードウィーク・フェスティバルについて」、滋賀からは、「平成29年度滋賀県ガンカモ類等生息調査飛来状況調査報告について」、京都支部からは、「バリアフリー探鳥会について」などの活動報告があった旨の説明がされた。

(5)中国四国ブロック交流会報告(福本幸夫/広島県支部)
 広島県支部の福本様より、2018年6月30日(土)〜7月1日(日)に尾道ふれあいの里(広島県尾道市)で開催された第22回中国四国ブロック交流会の「シンポジウム 中国四国各県のブッポウソウ巣箱架設状況」を行い、各連携団体の発表及び総合討論が行われ、2017年に香川県を除く中国四国8県で少なくとも1502個の巣箱が架設され、うち899個(60%)が利用されていること、全国のブッポウソウのおよそ9割は中国四国地区に生息していると推定されたことについて報告がされた。


▲会場の様子

◎1日目の提言・報告等を終えて、情報交換の場として懇親会を行った。

2日目
◎6時30分より、会場付近で安西主席研究員、林山総務室員及び松本総務室員を案内役とした早朝探鳥会が開催され、45名が参加した。


▲早朝探鳥会の様子

◎9時00分より、総会2日目が再開された。
4.連携団体からの提言・報告
(1)秋田県由利本荘市における風力発電事業(佐藤公生/秋田県支部)
 クマタカ生息地があり、タカ渡りルート、ガン・ハクチョウの移動ルートにもなっている秋田県由利本荘市笹森山周囲に、風力発電計画が立ち上がり、秋田県知事に対して、要望書を提出した旨の報告がされた。また、由利本荘市の海岸線に沿って洋上風力発電の計画があり冬季に水鳥のバードストライクが懸念されるため計画阻止の方策を模索している旨の報告がされた。

(2)放鳥されたコウノトリが生きて保護されて生ずる混乱とその解決策(池野進/茨城県)
 野田市の「コウノトリの里」を巣立ち8月14日に茨城県へ飛来し、27日に茨城県小美玉市下玉里のハス田地帯で防鳥ネットにかかったコウノトリが、その3日後に収容施設で死亡した事例について保護から羅網死に至るまでの経緯及び検証の報告とともに、放鳥されたコウノトリが飛来する地方公共団体がコウノトリの救護・飼育に対応する事態を想定し、放鳥施設側による救護・緊急飼育マニュアル作成等の必要性の提言がされた。また、野鳥と共存するハス田をめざすための署名が呼びかけられた。

(3)葛西三枚洲にラムサール条約登録実現の報告(飯田陳也/東京)
 東なぎさ立入禁止区域の清掃を18年間続けてきたこと、スズガモの夜間採餌行動分布を調査・延べ27回実施したこと、シンポジウム「東京湾の再生と葛西三枚洲〜ラムサール条約への登録をめざして〜」(法政大で開催)の参加者は200名だったことなど、これまでの登録に向けた活動の紹介がされた。また、10月2日に、ラムサール条約湿地登録の指定の要件である国設鳥獣保護区設定手続きに向けた最終段階となる中央環境審議会を環境省が実施、10月18日登録が公表され、その後10月21日から10月27日にドバイでCOP13が開催されて日本で52番目となる登録の決定に至った経過が報告された。

(4)ブッポウソウの巣箱掛け(白川郁栄/石川)
 石川県内ではブッポウソウが減少しており、2019年の4月の巣箱架設のため、中部ブロック及び中国四国ブロックの情報収集をしたが、他連携団体の状況も聞きたい旨説明がされた。また、巣箱架けのエキスパートである飯田知彦氏を講師に招き、幹事10名ほどで営巣が確認される場所を回りアドバイスを受けたこと、総会でも同氏の講演を予定していること、現在20個の巣箱を準備し、架ける木の選定と所有者との交渉に入っていることなどが説明された。架設後の活動については、検討中である旨の追加説明がされた。
 筑後支部の松富士様より、筑後支部での活動について報告があり、巣箱架設後の経過は4,5年と長い目で見ることを勧めると意見が述べられた。

(5)コアジサシのデコイを量産化しました(新實豊/愛知県支部)
 日本野鳥の会愛知県支部では、阿久津樹脂工業(埼玉県)と共同で(公財)日野自動車グリーンファンドの助成を受け、デコイの金型を作製しバイオマスプラスチックを材料にしたコアジサシのデコイの量産化を実現したので、コアジサシ誘致にぜひ活用してほしい旨の呼びかけがされた。従来のデコイは、木や紙粘土で手作りしており、製作に時間を要し、耐用性にも難があったが、本デコイはプラスチックを溶かして金型に流し込む射出成型で、短時間で必要な数だけ作れること、バイオマスプラスチックの使用により、高い耐候性があり廃棄時に焼却可能であること、塗装が容易になりスタンドで固定できること等の特徴が紹介された。

(6)探鳥会による野鳥への影響と京都支部の取り組み(船瀬茂信/京都支部)
 京都御苑について、京都支部は1983年に京都御苑管理事務所から依頼を受け、鳥類調査を1年間実施した結果、アオバズク7ペア、フクロウ1羽を含む合計52種確認し、その翌年から京都御苑で夜間探鳥会を継続していると報告がされた。しかし、2015年頃より京都支部以外に他自然観察団体の観察会が増加し、人数増加、マナー違反者の増加によるアオバズクの繁殖が心配されるようになり、2018年からは京都支部探鳥会で、巣から離れたところでアオバズクの説明会及び探鳥会直前に注意事項の説明をしたり、巣立ち後の昼間探鳥会に変更し、さらに会員限定にし、参加人数の削減を検討している旨の報告がされた。京都府の「京都の森林文化を守り育てる支援事業」の一環で、倒木やうろのある危険木は伐採され、アオバズクの営巣木付近の樹木が伐採される例もあり、京都の自然200選に京都御苑のアオバズクが選定されているも、アオバズクの営巣する森の減少が懸念される旨の報告がされた

(7)2018年大阪支部探鳥会の状況(松岡三紀夫/大阪支部)
 今年の猛暑を受け来年以降は7月を室内定例会にするなど暑さ対策を検討していること、台風の影響で中止やルート変更があったことなどの報告がされた。また、日本の平均寿命が世界2位であるが、健康寿命は10年ほど短いのが現状であり、健康寿命をのばすのには、適度に歩き、良い空気を吸って森林浴をし、美しい野鳥を見て感動するバードウォッチングが最適であるという思いから70歳代、80歳代向けのバードウォッチング「シルバー・バードウォッチング」を初めて企画したこと、及び当日の様子や参加者アンケートの結果について報告された。2019年3月31日に第二回を予定しており、対象を会員以外に拡大して呼びかけする旨の説明がされた。また、支部報「むくどり通信」メール版の配信を開始したことが報告された。

(8)ひょうご・バードウィーク・フェスティバル(鈴木博/ひょうご)
 野鳥を通して自然環境の大切さを広めること、日本野鳥の会「ひょうご」を社会にアピールし、会の存在価値を高めること、そして会員に力を発揮してもらい、会の活性化を図ることを目的とし、神戸市立森林植物園との共催でひょうご・バードウィーク・フェスティバルを2018年5月に費用0円で開催したこと及び第二回も予定していることの報告がされた。なお、植物園との打合せは6回、実行委員会は7回開き、チラシ、案内板、写真パネル作成費用、貸出パネルの運搬費などは植物園が負担し、コウノトリの郷公園からのコウノトリ子育てライブ映像の放映、ミニ野鳥探鳥会、視覚障碍者のための探鳥会、兵庫県で見られる鳥100点の写真展、かるたやクイズ、ブローチの工作など野鳥を題材とした子供向けの参加コーナー、鳥類学講座などを実施したと報告がされた。
 その他ひょうごの活動として、赤字廃線が懸念される神戸電鉄の粟生線支援探鳥会や福島県の子供たちを支援する探鳥会の実施についても報告がされた。

(9)島根県西部における風力発電所建設計画の現状と課題(田原博/島根県支部)
 現在、島根県では海岸部を中心に風力発電所が建設され、国内最大級の出雲ウィンドファーム風力発電所をはじめとして大小84機、合計出力176,684kwが現在稼働していること、島根県西部では新たな風力発電所建設計画が相次ぎ、既設の5箇所51機に加え、更に2箇所29機の建設が計画されていることが報告された。この2箇所は山沿いの地域で、クマタカをはじめとする希少猛禽類の生息区域と重なっているため、建設が計画通り進められれば、希少猛禽類をはじめ、多くの野生生物の生息に大きな影響を及ぼすことが予想され、その他の自然保護団体等と計画阻止に向けて動いていくと説明された。
 広島県支部の福本様より、同計画について広島県側からも反対しており審議が続いていること、また、景観上問題があるという観点は大きな判断材料となる旨の報告がされた。
 徳島県支部の三宅様より、徳島県でも風力発電が予定されていて、専門家が、環境に影響がないとしているが、クマタカの繁殖ペアを2,3年の間に見かけなくなったこともあり、調査継続が必要だと意見が述べられた。

(10)野鳥の「愛玩飼養許可」更新にかかる現状把握のお願い(中村桂子/高知支部)
 国内のメジロの愛玩飼養個体数をゼロにするため、日本野鳥の会が「飼養個体数」をチェックしているということを、行政担当部局に意識させ、各地の愛玩飼養許可更新が厳正に実施されるように現状把握をお願いしたい旨の説明がされた。また、密猟者が減らない現状について説明がされ、インターネットオークションに出品されていたカスミ網を密猟対策連絡会で落札して、出品者を告発した事例、カスミ網を防鳥ネットと称して販売していた事例の報告がされ、カスミ網の販売を見かけた時は禁止されていることを各連携団体からも伝えてほしいと呼びかけがされた。2000年に中国が野鳥の輸出を禁止して以来、外国産メジロの報告はほぼ皆無に等しいが、探鳥会等で外国産メジロを確認された場合(主にヒメメジロ、チョウセンメジロ、ハイバラメジロ)密猟対策連絡会へ連絡してほしい旨の呼びかけがされた。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/mittairen/

(11)再生可能エネルギーに対するアセス要件の強化について(松田久司/愛媛)
 伊方町、宇和島市、愛南町の周辺に、多くの風力発電がすでに建設されている愛媛県の状況が報告され、アセス要件の強化と他の事業者の建設した風力発電所と合わせた環境影響を確認するよう支部と県から事業者に要請している旨の報告がされた。また、2018年8月風力発電アセスメント緩和に関する新聞記事を紹介し、風力発電に環境負荷がないわけではないという認識が低いことが懸念される現状について報告された。しかし、伊方町は、行政側に危機感が出始めたのか、「伊方町再生可能エネルギー発電施設の適正な設置・管理に関するガイドライン」が制定されたことが報告された。また、各連携団体と財団で連携して、再生可能エネルギー全体に対して、自然への負荷削減のため、地域の行政へ働きかをしてほしいと呼びかけがされた。
 十勝支部の室瀬様よりアセスの結果、建設が中止になった例について質問がされ、松田様より計画が1件止まった例があると回答がされた。
 長崎県支部執行様より鳥との関係だけではなく、騒音など地域に及ぼす他の影響と合わせて働きかけることの提案がされた。

◎遠藤理事長より、今年の連携団体全国総会は、講演ではなく、事前のアンケートを取り、共通の課題について議論する場を持ったが、グループ討論や分科会のような形も検討し、今後も皆さんと課題を共有するという視点で総会を運営し、日本の野鳥を守る大きな力となっていきたいと挨拶があり閉会となった。

◎参加者全員で集合写真を撮影し解散となった。


▲集合写真

※次年度の連携団体全国総会は、2019年11月10日(土)〜11日(日)、平成30年度同様クロスウェーブ幕張(千葉県千葉市)で開催する予定である。 

(総務室/松本 直子)

■連携団体(支部等)代表者・事務局変更のお知らせ


名称変更などがあった連携団体(支部等)についてお知らせいたします。

●日本野鳥の会福岡支部
【事務局の変更】
 新)田村 耕作事務局長 自宅
 旧)専用事務所
 変更年月日:2019年3月6日より

●日本野鳥の会千葉県
【事務局長の変更】
 新)橋本 了次(事務局長と副会長兼任)
 旧)大野 眞澄
 変更年月日:2019年3月6日より

詳細は、総務室までお問い合わせください。
TEL:03-5436-2620 Email:[email protected]

(総務室/松本 直子・鈴木 美智子)

■会員室より

■会員数

 3月1日の会員数は34,499人で、先月と比べ80人減少しました。2月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より16人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。
 2月の入会者数は150人で、前年同月の入会者数132人と比べ18人増加しました。また、2月の退会者数は166人で、前年同月の退会者数162人と比べ4人増加しました。

表1.2月の入会・退会者数

入会者数退会者数
個人特別会員 5人 13人
総合会員(おおぞら会員) 28人 46人
本部型会員(青い鳥会員) 33人 24人
支部型会員(赤い鳥会員) 68人 48人
家族会員 16人 35人
合計 150人 166人
年度累計 1717人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。


■都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2.都道府県別の会員数(3月1日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1655人-5人
青森県241人-1人
岩手県365人-1人
宮城県473人4人
秋田県247人-1人
山形県218人0人
福島県615人-1人
茨城県882人-7人
栃木県650人5人
群馬県613人-4人
埼玉県2099人-5人
千葉県1583人-9人
東京都4789人-18人
神奈川県3301人-13人
新潟県365人1人
富山県204人3人
石川県267人0人
福井県214人-4人
山梨県260人-1人
長野県842人-3人
岐阜県465人0人
静岡県1312人-1人
愛知県1504人-6人
三重県427人-2人
滋賀県296人-2人
京都府817人2人
大阪府1985人1人
兵庫県1287人-1人
奈良県494人0人
和歌山県190人2人
鳥取県180人-1人
島根県172人0人
岡山県555人-2人
広島県552人-4人
山口県369人-2人
徳島県314人-1人
香川県191人1人
愛媛県354人0人
高知県125人-2人
福岡県1280人-3人
佐賀県193人1人
長崎県215人4人
熊本県393人0人
大分県223人0人
宮崎県251人0人
鹿児島県320人-1人
沖縄県108人-1人
海外11人0人
不明33人-2人
全国34499人-80人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。


表3.支部別の会員数(3月1日現在)

都道府県会員数対前月差
オホーツク支部241人2人
根室支部80人0人
釧路支部157人0人
十勝支部177人0人
旭川支部84人0人
滝川支部48人1人
道北支部27人-2人
江別支部18人0人
札幌支部295人0人
小樽支部63人-2人
苫小牧支部159人-3人
室蘭支部151人-1人
函館支部23人-1人
道南檜山57人-1人
青森県支部133人0人
弘前支部110人0人
秋田県支部236人-1人
山形県支部202人-1人
宮古支部86人0人
もりおか156人0人
北上支部100人-1人
宮城県支部444人6人
ふくしま159人0人
郡山支部160人-2人
二本松8人-1人
白河支部44人1人
会津支部55人0人
奥会津連合7人0人
いわき支部107人1人
福島県相双支部15人0人
南相馬14人0人
茨城県790人-4人
栃木634人8人
群馬528人-5人
吾妻41人-1人
埼玉1578人1人
千葉県1008人-11人
東京2736人-13人
奥多摩支部823人-5人
神奈川支部2280人-11人
新潟県274人1人
佐渡支部32人1人
富山186人1人
石川251人0人
福井県206人-5人
長野支部445人-1人
軽井沢支部162人0人
諏訪支部231人0人
木曽支部22人2人
伊那谷支部80人0人
甲府支部179人-1人
富士山麓支部56人0人
東富士60人0人
沼津支部155人-3人
南富士支部252人-1人
南伊豆37人0人
静岡支部342人1人
遠江395人0人
愛知県支部1107人1人
岐阜462人-2人
三重363人-2人
奈良支部447人0人
和歌山県支部190人2人
滋賀297人-3人
京都支部773人4人
大阪支部1874人-7人
ひょうご977人2人
鳥取県支部199人-3人
島根県支部157人0人
岡山県支部524人-2人
広島県支部480人-4人
山口県支部337人-3人
香川県支部151人0人
徳島県支部329人0人
高知支部113人-1人
愛媛329人0人
北九州297人-1人
福岡支部 555人-5人
筑豊支部240人-1人
筑後支部155人-4人
佐賀県支部228人3人
長崎県支部194人2人
熊本県支部392人1人
大分県支部215人-1人
宮崎県支部247人1人
鹿児島293人-1人
やんばる支部71人-2人
石垣島支部19人0人
西表支部44人-1人
 29458人-78人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/佐藤 ゆき乃)

支部ネット担当より

 西五反田の事務所のすぐそばには、美しい桜並木が続く川と坂道があり、この季節が来るのが楽しみでした。みなさまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。今月は、三宅島バードアイランドフェスティバルのご案内を掲載しています。この機会にぜひご参加ください。


■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。


日本野鳥の会
支部ネット通信 第180号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2019年3月26日
◆担当
総務室 総務グループ
林山雅子/松本直子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]