JP121 氷ノ山(ひょうのせん)

兵庫県:養父市、宍栗市、新温泉町、香美町 鳥取県:鳥取市、若桜町、智頭町、八頭町、岩美町 岡山県:西栗倉村

兵庫県:養父市、宍栗市、新温泉町、香美町
鳥取県:鳥取市、若桜町、智頭町、八頭町、岩美町
岡山県:西栗倉村

位置 N 35°21′ E 134°31′
面積 10,000ha

環境構成【森林】

松重和太
写真:松重和太

山岳、隆起準平原、火山地形、落葉広葉樹林(原生林)。
氷ノ山は、中国山地の東端にあって兵庫県北部の但馬地域の西部に位置し、兵庫県と鳥取県にまたがる山岳地帯の国定公園にあり、兵庫県における最高峰(標高1,510m)でもある。地勢は、隆起準平原に溶岩が噴出してできた古い火山で、地盤は安山岩が主体となっている。
山の中腹以下では暖地性の常緑広葉樹がよく茂り、あちこちでスギ、ヒノキの造林も行われているが、標高700m以上の上部の大部分は、ブナ、トチノキ、ホオノキ、ミズナラ等の落葉広葉樹を主とする原生林で、その林床を2~3mのチシマザサが覆っている。
環境省のモニタリングサイト1000のサイトがあり、調査コースは、氷ノ山の西尾根(県境尾根)南斜面に建設された坂ノ谷林道の標高1,090m地点から西尾根登山道との合流地点近くの標高1,400m地点までの1㎞で、ブナの原生林地域である。構成する胸高直径10cm以上の主な樹木は、ウリハダカエデ、オオイタヤメイゲツ、コシアブラ、トチノキ、ナナカマド、ブナ、ホオノキ、ミズメの8種で、本数ではミズメ>ブナ>コシアブラが上位を占め、この3種で約70%となる。胸高断面積ではブナが約65%、次いでトチノキが約12%を占め、この2種の大木がこの地の多様な生き物の生息を支える植物群の主体になっていると考えられる。

選定理由

A3

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
県指定鳥獣保護区(扇ノ山、氷ノ山)、国定公園、都道府県立自然公園(氷ノ山後山那岐山国定公園、音水ちくさ県立自然公園)、自然環境保全地域、保護林

保全への脅威

  • 一部で、昔からスギ、ヒノキが植林されている。あまり拡大されていないように見えるが、ブナやトチノキなど天然木の減衰により植林域が拡大されることが懸念される。
  • 町おこしのための自然食材の商品化や他所からの山菜採りにより、チシマザサの大量採取が行われ、林床の減衰に拍車をかけている。コルリ、クロジ、ヤマドリなど林床に生息する鳥に悪影響を及ぼしていると考えられる。
  • 異常気象、気候変動による、大木のブナの立ち枯れや林床の減衰
  • レクリェーションとしての山菜採りや4WD、モトクロスバイク、スノーモービル等の乗り入れを懸念している。特に4WD、バイクは林道を傷つけ、水の流れが変わることがあり、生態系のサイクルに悪影響をあたえるものと考える。
  • 外来種の影響(氷ノ山には2004年からソウシチョウが確認されるようになり、現在では上位優占種に入っている。チシマザサの群落を主な生息場所とし、クロジ、コルリ、ウグイスなどとの競合があるとされるが、これらの種の減少には林床の衰退もあり、明確な因果関係はわからない。 在来種ではハシブトガラスの侵入が多くなった。)

保全活動

  • 環境管理:
    内容:自然公園法において規制(国)
    ブナ林の復活を目指して植樹、育成(ブナを植える会)
    古生沼野高山性湿生植物群落の復元作業(兵庫県生物学会西播磨支部)
  • モニタリング調査:実施者(日本野鳥の会ひょうご、兵庫県生物学会)
    内容:5年サイクルのモニタリングサイト1000の定点の一つを坂ノ谷に調査コースとし、5年毎のモニタリングと不定期の自主調査を実施。(日本野鳥の会ひょうご)
  • 環境教育活動:実施者(日本野鳥の会ひょうご)
    探鳥会の実施(不定期)

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 1,005KB)

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