No.55 2008年10月号


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目次 ■支部の動き
 グリンピア八女鳥獣保護区の更新について【筑後支部投稿】
 八重山支部の支部認定を取消
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■事務局からのお知らせなど
 フィールドマナーの改定案
 2007年度支部探鳥会集計結果のご報告
 『こんばんはシマフクロウ』発行    
 支部卸販売をご利用ください
 新制度対応検討委員会臨時答申と意見募集
 次回の理事会・評議員会の日程
 理事会議事録
 新制度対応検討委員会議事録
 「支部報とりまとめ発送」次回日程のご案内
 全国連絡会 会場変更
 会員数

支部の動き

■グリンピア八女鳥獣保護区の更新について【筑後支部投稿】■

 1.経緯
 グリンピア八女鳥獣保護区は、福岡県の南部・筑後地区の八女郡黒木町木屋地区の熊本県に接する山中にある。グリンピア八女は、1988年に厚生年金保養基地として設立され、それに合せて「身近な鳥獣生息地の保護区*1」として鳥獣保護区が指定された。鳥獣保護区の広さは272haで、県が管理している。ここには溜池が点在し、オシドリが生息している。グリンピア八女は、2004年11月に国から譲渡を受け、黒木町が管理を行っており、ホテルなどの施設・公園管理については民間が委託管理を行っている。今年4月には社団法人 国土緑化推進機構の森林セラピー基地の認定を受けている。
 グリンピア八女の位置はこちら
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=all&nl=33/11/09.424&el=130/41/44.876&scl=250000&bid=Mlink


グリンピア八女付近の環境 グリンピア八女の景観 グリンピア八女での観察会

 この鳥獣保護区は、2008年11月14日が指定期限で、県の第10次鳥獣保護事業計画では11月15日から次の10年間の更新が行われる計画になっていた。ところがこの更新をめぐり、黒木町はイノシシの被害が大きいとして更新を希望せず、但し公園域であることから「特定猟具禁止区域として銃猟を禁止することへの変更*2」を答申した。

*1 「身近な鳥獣生息地の保護区 市街地及びその近郊において、鳥獣の良好な生息地を確保し若しくは創出し、豊かな生活環境の形成に資するため必要と認められる地域又は自然とのふれあい若しくは鳥獣の観察や保護活動を通じた環境教育の場を確保するため必要と認められる地域を対象とする。」(福岡県の第10次鳥獣保護事業計画書)

*2 特定猟具禁止区域への変更
鳥獣保護区の更新は公聴会を開いたり県の環境審議会にかけたりする必要があるが、更新しない場合にはこれが不要である。かつ、特定猟具禁止区域の指定時には鳥獣保護区の指定と違って公聴会や審議会は不要なので、鳥獣保護区を特定猟具禁止区域に変更する際には、現行法では審議会での審議は必要ないということになってしまっている。
(特定猟具禁止区域とは、かつての猟銃禁止区域が平成18年の法律改正により名称変更になったもので、人への危険の予防や静穏の保持のため、銃器に加えてわな等の猟具の使用も禁止できるようになった。)
 これに対し、福岡県筑後農林事務所(林務課)、及び福岡県環境部自然環境課(野生生物係)は、町の要請をそのまま受け入れ、更新をせず「特定猟具禁止区域」とする意向であった。筑後支部は、イノシシの被害対策の必要は認めるが、被害額の根拠がはっきりとしておらず、また、県のイノシシの被害対策がキチンとなされておらず市町村任せであることと、更にはイノシシの被害は県域各地で広がっており、安易にこれを認めると、他の鳥獣保護区の存続への影響が大きいことから、強く反対の意向を示した。
 7月7日の反対表明から2ヶ月間、県自然環境課、筑後農林事務所、黒木町と数度の打合せを行い、自然保護室の古南室長の助言を得ながら粘り強く交渉を進めた。県自然環境課には被害データの提出を求めたが、「被害データは園芸振興課が担当しており自分のところでは出せる責にない」ということで、データの提出は無いままであった。最終的には筑後農林事務所から2006、2007年度の黒木町、立花町、八女市(主に旧上陽町分)のデータを得た。但し、黒木町のみ被害額が特出しており(2007年度黒木町1億5,588万円、立花町1,557万円、八女市2,255万円)、また、2006年度の筍の被害額が無いことから、これを問合せたら2006年度の筍の被害額が新たに追記(3億2,656万円)され、2007年度の被害額が半減(7,109万円)するなどの杜撰なデータであることが分かり、県及び筑後農林事務所などはこれらのデータの検証を行っていないことが浮き彫りになった。(別紙表1参照)
 県は、黒木町の意見を受け入れる姿勢をなかなか変えなかったため、最終的には地元木屋地区区長会の説得しかないとして、9月2日(火)に黒木町と木屋地区区長会との会議を持ち(県環境審議委員の広塚忠夫筑豊支部事務局長も同席)、「鳥獣保護区の重要性、イノシシ被害については町だけの対応ではなく、隣町村を含めた広域圏で対応するようにすれば被害を少なく出来ること」を述べ、更新の賛同を求めた。その結果、次のふたつの条件付ながら、更新の賛同を得て、「鳥獣保護区を更新する」こととなった。やれやれ、ほっとしたことである。

*3 ふたつの条件
1)イノシシ箱ワナを、年間を通し保護区域内に設置できること。
 ⇒(注)有害鳥獣駆除委員を任命すれば、実施可能:黒木町農林課が対応で了解
2)イノシシ駆除の方策を平成20年度内に立ち上げ、実施に移すこと。
 ⇒(注)モデル地区指定など重点的な取り組みを検討実施委する委員会組織(仮称)を早急に立ち上げる。

2.今後の対応
 イノシシなどの鳥獣害については、人口減・高齢化に伴う山林・里山の荒廃などにより更に拡大し、今後の鳥獣保護区の更新に当たっては、同じような問題が発生することが予測される。これに対応するためには、日本野鳥の会としての鳥獣害に対する対応、里山の保全について、より積極的に取り組む必要がある。

 1)被害額の科学的な算定と、その検証体制の確立を要求する。
(被害額が突出しているところについては、県及び農林課事務所はきちんとした検証を行い、また、それらのデータについて公開を原則とし、提示の要求があれば、提示し、保存期間についても5年間を義務付けるなどを求める)
 2)有害鳥獣捕獲の効果的な運用(広域化、時期の選定など)を働きかける。
 3)福岡県の特定鳥獣保護管理計画(イノシシ、シカ対象)による被害防除の取組みの推進(特に更新を迎える保護区や、被害が大きい地域をモデル対策地区として取り組む)を働きかける。
 4)鳥獣被害特措法(鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律)による取組みの促進を働きかける。

 なお、今回の反省として、県自然保護課との定期的な意見交換の場が中断しており、意見交換が十分でなかったこと、地元との交流が少なかったことがある。これを契機として、これらを改善し、今後の鳥獣保護に生かして行かねばならないと思っている。

(筑後支部長/松富士将和)

■八重山支部の支部認定を取消■

 大変残念なことですが、沖縄県の八重山支部が認定取消となり、全国の支部数は88支部、沖縄県はやんばる支部のみとなりましたのでお知らせいたします。八重山支部の認定取消に至る経過は下記のとおりです。
 八重山支部所属の会員の皆さまには、支部認定取消に至る経過の説明と会員種別変更などのご案内を個別にお送りしております。また野鳥誌では11月号に認定取消の記事を掲載いたします。
 また今後、八重山地域で新支部設立の動きがありましたら、できるだけの支援をする予定です。

◎数年前より
・八重山支部の会員の方から、支部報が来ない、支部からの連絡が何もないなどの苦情・ご意見が財団事務局へ寄せられておりました。
・そのため、その都度、八重山支部の本若博次支部長(支部事務局兼務)へご連絡し、会員の方への連絡など対応をお願いしておりました。

◎2006年12月〜2007年4月
・その後も苦情・ご意見が続きましたので、2006年12月に、支部会員の皆さんへ活動休止のお知らせを行うように、支部長へお願いをいたしました。
・これを受け2008年1月には支部長より、事務作業の余力がないので活動休止通知を財団事務局で用意して欲しいとのご依頼を受けましたので、文案を作成して支部長へお送りしました。
・しかしその後、電話とFAXで何度も支部長へご連絡を試みたものの、支部長からのご返事はいただけませんでした。

◎2007年5月
・支部長と連絡が取れないため、2007年5月に前支部長のア山陽一郎様にご連絡し、支部長、島袋憲一副支部長、島村修元支部長、ア山陽一郎前支部長が集まられて対応を協議していただけることとなりました。
・この会合は5月30日に石垣市内で開かれることとなり、これに出席するため財団事務局の担当職員が石垣市へ出張いたしました。
・しかし開始時間の直前になって支部長が欠席となり、会合では具体的な検討ができませんでした。

◎2007年6月〜11月
・支部事務局での会計処理が滞っていると思われるため、6月に島袋副支部長とご相談し、収受した支部会費を支部へは送金せず、財団事務局で一時預かりすることとしました。
・6月以降、島袋副支部長、島村元支部長、ア山前支部長のお三方が運営正常化のためのご尽力をされました。
・この結果、2007年11月には支部長出席の元、財団の担当職員も交えて会合を持つことができました。
・この会合の場で、2008年早々に臨時総会を開催して役員交代、会計報告などを行い、支部運営を正常化させることが合意されました。

◎2007年12月〜2008年4月
・しかしながら、12月に予定された準備会合には支部長が出席されず、その後も副支部長が支部長への連絡を試みられるもご返事がない状況が続きました。
・このため2008年2月に改めて会合がもたれることになり、担当職員も石垣市へ出張したのですが支部長は出席されませんでした。
・3月以降も合意された臨時総会の開催には至りませんでした。

◎2008年5月〜9月
・これらの経過を踏まえ、財団支部規程第6条第3項の定めにしたがい、2008年5月の財団定例理事会で、八重山支部は支部の機能が失われて回復の見込みが立たないと見なせるとして、支部の認定取消に関する審査委員会の設置が決まりました。
・その審査委員会での審議の結果、7月に認定取消に該当するとの答申が出され、この答申を元に開催された8月の財団臨時理事会で認定取消が了承されました。
・これを受け、9月19日の財団常務会で最終確認が行われ、八重山支部は同日付けで認定取消となりました。

(会員室長/小林豊)

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.433

●2008/8 道北
・2008年度ウミネコのコロニー調査結果
●2008/8 東京
・武蔵野で繁殖を始めたエナガ
・モズはパンを食べる
・アホウドリの移住 
・野鳥居第3号
・トウネン 
●2008/8 徳島県
・吉野川河口埋め立てについて要望書 
・2008年春のタカの渡り
●2008/8 北九州
・6月に北上しないカモ、カモメの記録
・回顧録ツルを調べる
・2008年度ホオアカ調査報告
●2008/6 佐賀県
・希少ルリカケス指定解除へ(5/4 朝日新聞)

●2008/8 道北
・2008年度ウミネコのコロニー調査結果
 5/23、支部、宗谷支庁、北海道大学、環境省、朝日新聞、利尻町立博物館の共同で利尻島のウミネコのコロニーを調査した。飛来数は78,000羽で前年より15,000羽減った。飛来推定数は巣の数を2倍し、非繁殖個体数をその3割として加算している。98年の2万羽より毎年増加し、一昨年は最多の10万羽に達した。巣の数は平均で草地:0.6個/m2、50cm以上の笹地:0.1、50cm以下の笹地:0.8、岩場:0.6であった。産卵数は平均1.6個/巣であった。
(道北「オロロン」NO.32-3,P3)

●2008/8 東京
・武蔵野で繁殖を始めたエナガ
 小金井市鳥類目録(1990)にエナガは84年以降、市内で観察され出し、86年以降は夏でも記録され、繁殖していると思われるとある。多磨霊園での記録は88年以降、エナガの出現個体数が年々増加している。96/6、幼鳥を含むファミリーが見られ、2000年以降は数多くの営巣例がある。23区内では今の処、練馬区の石神井公園、杉並区、世田谷区の砧公園等で繁殖記録がある。
(東京「ユリカモメ」NO.634,P14〜15)
・モズはパンを食べる
 モズは肉食なので、パンは食べないと多くの人が言う。3/2、多摩川探鳥会で細道にまかれていたパンの切れ端をモズが飛んで来て食べるのを複数で確認した。ムクドリもそのパンの切れ端を食べていた。
(東京「ユリカモメ」NO.634,P16)
・アホウドリの移住
 聟島(むこじま)へ移住させたアホウドリの雛10羽が、5/26、全て巣立ちした。2000年、米国で絶滅危惧種に指定された時、日米豪でアホウドリ回復チームが組織された。山階鳥研では米政府、環境省と協力して、小笠原諸島の聟島に新たな繁殖地を創る取組みを開始した。約30日齢以降、親は雛を残して採餌に出、2/19、約40日齢の雛10羽を聟島へ移動して人が給餌した。聟島では過去にアホウドリが繁殖しており、近縁種のクロアシアホウドリ、コアホウドリが繁殖している。この2種に世話をさせると、アホウドリを番に選ばなくなる恐れがあり、雛の体重は仮親の2倍近く、充分育てる事はできないと判断した。
(東京「ユリカモメ」NO.634,P19)
・野鳥居第3号
1、2号に続き、今回3号が発行された。中西悟堂研究会編、生態系トラスト協会刊行 定価2000円(税込)。中西悟堂の野鳥保護の思想を引き継ぐ場所として、横浜自然観察の森、那須野ヶ原のオオタカの森、四万十ヤイロチョウの森の活動も紹介されている。
(東京「ユリカモメ」NO.634,P20)
・トウネン
シギ・チドリ類の秋の渡りは7月中旬頃から始まり、11月頃まで続く。当初は成鳥ばかりが南下し、8月下旬になると、その年生れの幼鳥が混じり始める。成鳥は一般に摩耗した夏羽で傷んでいる事が多く、幼鳥はフレッシュな羽である。欧米の詳しい図鑑には、春のフレッシュな羽衣と秋の摩耗した羽衣が載っている。トウネンは体重19〜51gと2.5倍の差があるが、これは渡り前後の脂肪量の差による。
(東京「ユリカモメ」NO.634,P23)
●2008/8 徳島県
・吉野川河口埋め立てについて要望書
国交省が吉野川河口・住吉干潟を一部、水防演習のため埋立てた事に、支部は5/23、要望書を提出した。現地事務所は水防演習終了後、専門家、自然保護団体と協議し、土砂撤去作業を行い、環境回復を図った。以前の生態系が回復するまで国交省はモニタリングを了承した。
(徳島県「野鳥徳島」NO.359,P3)
・2008年春のタカの渡り
鳴門山展望台と室展望台で観察した。期間中、鳴門山では総計2045(サシバ462、ハチクマ24、ノスリ1501、ハイタカ12、ツミ12、オオタカ21、不明他13)。室では総計3131(サシバ1609、ハチクマ135、ノスリ1217、ハイタカ1、ツミ128、オオタカ25、不明他16)。逆行き西行きは鳴門山でハイタカ80、室で201を記録した。サシバの通過初認は3/15の室での4羽、最大は4/23の室での335羽であった。ハチクマは初認は5/4の室での19羽、最大は5/18の室での61羽であった。その他では4/12、ハイイロチュウヒ、4/26、チゴハヤブサ、4/29、チュウヒが何れも室で見られた。
(徳島県「野鳥徳島」NO.359,P4〜5)
●2008/8 北九州
・6月に北上しないカモ、カモメの記録
6/7、築上町でマガモ♂1、♀1。6/13、北九州市八幡西区でホシハジロ♂2、♀1。6/27、同地でホシハジロ♂4。6/17、小倉南区にスズガモ♂1。何れも6月初記録。6/7、築上町でユリカモメ3(95/7、小倉南区に記録有)。
(北九州「北九州野鳥」NO.266,P8)
・回顧録ツルを調べる
84年、野鳥の会は日本に生息しているツル類の保護を図る目的として、「ツル保護特別委員会」を設立した。委員は地元北海道、九州の関係者を含め22名で、私も91年まで委員を務めた。91/3、委員会解散し、活動成果を集約し、全国的なツル保護への関心を呼び起こした、北海道のタンチョウ保護戦略を策定した、ツル保護基金を1億円近く集め、それを活用して鶴居・伊藤タンチョウサンクチャリの開設と根室市東梅のタンチョウ繁殖地の買上げを支援したとある。出水市や周南市のナベヅル、マナヅルはどうでも良かったとの感じで、野鳥の会を辞めた。
(北九州「北九州野鳥」NO.266,P9)
・2008年度ホオアカ調査報告
5/25、カルスト台地の平尾台でホオアカをカウントした(調査コース総計10.8km)。雄ソング個体30、雌雄不明26、計56羽、昨年は60羽。ここ10年はカウント数に大きな変化は無いが、石灰岩の採掘が続いている。
(北九州「北九州野鳥」NO.266,P10〜11)
●2008/6 佐賀県
・希少ルリカケス指定解除へ(5/4 朝日新聞)
奄美大島周辺に生息する国の天然記念物で鹿児島の県鳥ルリカケスについて、環境省は「種の保存法」に基づく国内希少野生動植物の指定から外す方針を発表した。希少種解除は全国初である。ジャワマングースの駆除が進み、天然林も回復傾向にあり、1千羽以上が生息とされた。環境省は「住民の自然保護の努力が報われた。奄美が目指す世界自然遺産登録に有利に働くのでは」としている。
(佐賀県「野鳥さが」NO.153,P3)


○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.434

●2008/8 埼玉県
・2008春シギ、チドリ類調査報告
・DVD「日本百鳴鳥」
●2008/8 神奈川
・オオタカが準絶滅危惧種になっても
・ホシハジロの雌雄比
●2008/8 南富士
・ヒメアマツバメ
●2008/夏 和歌山県
・春の鷹渡り報告
・自然公園の抜本的見直し
●2008/8 兵庫県
・ツグミの終認記録
・ケリの食事メニュー
・オオルリの囀り
●2008/8 筑豊
・諫早訴訟開門調査アセス次第(7/11 西日本新聞)
●2008/8 佐賀県
・リュウキュウコノハズク北限福岡沖ノ島に(6/8 朝日新聞)
・原発予定地に絶滅危惧種の鳥 (/26 朝日新聞)

●2008/8 埼玉県
・2008春シギ、チドリ類調査報告
 4/29、さいたま市の大久保農地で調査した。観察されたのは5種、114羽で前年より190羽少なかった。ムナグロが昨年の283羽が今回98羽に減少した。他はタシギ8、コチドリ3、キアシシギ3、チュウシャクシギ2であった。
(埼玉県「しらこばと」NO.292,P4)
・DVD「日本百鳴鳥」
支部会員の佐藤進氏がDVD「日本百鳴鳥」を完成させた。鳴声と映像を182種収録、2時間半、価格3,990円(送料別) 発売元シンフォレストhttp://www.synforest.co.jp/dvd/SDA84/
(埼玉県「しらこばと」NO.292,P12)
●2008/8 神奈川
・オオタカが準絶滅危惧種になっても
06/12、環境省はオオタカを準絶滅危惧にランクを下げた。都市周辺や西日本で増加傾向が把握され、観察例増加からも概ね妥当としてよい。保護活動で何らかの成果が有ったとも捉える事ができる。森林総合の尾崎研一氏は、現環境省の指針ではオオタカ保全に重要な空間スケールに対応していない、保全が開発計画の後追いになる、保全対策に多額の費用が掛かるとして、オオタカ個体群が存続可能な区域を保護区にして、その中で保全する事を提案している。この考え方では新たに生息域を広げている生息密度の低い地域や、毎年営巣場所を変えざるを得ない都市環境ではこの枠組みから外れる懸念がある。環境省も指摘のごとく、暫く推移を確認する必要がある。同指針で育まれてきた行政と関係者が連携し、オオタカを保護しようとする仕組は継続しなければならない。
(神奈川「はばたき」NO.435,P2)
・ホシハジロの雌雄比
1月の支部のガンカモ調査では、2000年から雌雄分けて記録している。ホシハジロでは例年、雄の比率が高い感じで、今年の県下での調査では♂/♀=1.7で、キンクロハジロもほぼ同じ比であった。 3月、川崎市内で調査した結果では、逆に♀が多く、その比0.8で、総数200羽では統計的に有意か判断できない。雌雄で飛来時期が異なるのかも、今後も観察をしていく。
(神奈川「はばたき」NO.435,P6)
●2008/8 南富士
ヒメアマツバメ
ツバメとあるが、ハチドリやヨタカに近い仲間である。翼が極めて長く、湾曲し飛翔姿は鎌のような形をしている。嘴はとても小さいが、ヨタカのように大きく開く。脚は体の前の方にあり、4本の指が全て前を向いており、岩棚に爪を引っ掛けて留まるように進化した。爪は鋭く、手に取ると手に血が出る。1950年代まで日本では殆ど記録が無く、60年代に関東以西の太平洋岸で見られ出し、初めての繁殖は静岡市で確認された。半年以上、何度も子育てするらしく、冬は数が減り、何処へ行くのか分らない事ばかりである。
(南富士「さえずり」NO.309,P7)
●2008/夏 和歌山県
・春の鷹渡り報告
3/22〜5/30、加太・砲台跡で調査した。3/25、サシバ29が初通過。他にノスリ23、ハイタカ7(内6が西へ)、ツミ1、オオタカ1、ミサゴ3、計64羽。5/3、ハチクマ2が初通過。4/12、サシバ63がピーク、4/15、ノスリ105がピーク。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.100,P5〜6)
・自然公園の抜本的見直し
自然公園制度発足から50年経過し、一部の公園は宅地化で資質を失い、指定されていない自然環境もあり、和歌山県は県立自然公園を抜本的に見直す事になった。有識者検討会で保全すべき対象を明確にし、残すべき自然資源をグランドデザインとして取りまとめた。一部で自然公園の見直しが行われているが、県全域の見直しは全国初である。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.100,P9)
●2008/8 兵庫県
・ツグミの終認記録
5月、神戸市内で26kmを車で回り、ツグミの残留を見てみた。5/4、3羽を確認し、5/5は0、5/6、1羽、それ以降3日間確認できなかった。今まで神戸市では5/5にはツグミがいなくなると思っていた事が確認できた。
(兵庫県「コウノトリ」NO.165,P4)
・ケリの食事メニュー
姫路市内の水田で営巣しているケリの糞を採取し、顕微鏡で見ると、大量の砂に混じって甲虫の翅、脚、ケラの前脚、巻貝の殻が出てきた。野外観察ではケリがミミズ、クモ、バッタ等を食べるのは見ている。ケリはこのような餌が豊富な水田に依存しているのは確かで、圃場整備で水田の生物多様性は衰退しているが、ケリの有無がその指標となる。
(兵庫県「コウノトリ」NO.165,P12)
・オオルリの囀り
オオルリの囀りの例として、190秒間に40回囀り、6種類のレパートリーがあり、各レパトートリーは出てくる頻度が異なるが、ある組合せが多く出る。十姉妹の囀りでははっきりした決まりが出て、岡ノ谷一夫氏はこれを文法と呼んで、その研究から言語の起源の謎を解く鍵を見つけたとしている。
(兵庫県「コウノトリ」NO.165,P13)
●2008/8 筑豊
・諫早訴訟開門調査アセス次第(7/11 西日本新聞)
排水門の常時開門を命じた地裁判決に対し、国はこれとは別にアセスを新たに実施し、開門調査を模索すると表明した。アセスには開門に反対する地元の同意が必要で、農水省は地元に下駄を預ける形で責任転嫁を図っている。開門調査が農業に与える影響が大きいとして、実施されない可能性がある。更に調査のために排水門補強工事に6年必要と主張し、その間に諫早湾の環境が変化する恐れもあり、農水省のアセス提案は空手形に見える。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.366,P17)
●2008/8 佐賀県
・リュウキュウコノハズク北限福岡沖ノ島に(6/8 朝日新聞)
リュウキュウコノハズクの北限分布が鹿児島県トカラ列島から500km北の玄界灘の沖ノ島に広がった。同島では70年代から野鳥の会の調査、鳴声等で存在は知られていたが、今回初めて2羽が捕獲され同定された。同島の個体群が渡り鳥か留鳥か不明で、4つある亜種の中での差異の解明が待たれる。
(佐賀県「野鳥さが」NO.154,P7)
・原発予定地に絶滅危惧種の鳥(6/26 朝日新聞)
中国電力が山口県上関町で建設準備を進めている上関原発予定地近海で、環境省が絶滅危惧種に指定しているカンムリウミスズメが見つかった。春の繁殖期以外に初めて生息が確認された。主な繁殖地は宮崎県の枇榔島と伊豆諸島であるが、非繁殖期はどこにいるのか分かっていない。
(佐賀県「野鳥さが」NO.154,P8)


○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.435

●2008/8-9 札幌
・2007年度支部探鳥会記録のまとめ
・ハヤブサとハト
・アオサギが珍鳥を捕る
●2008/8 いわき
・観測者の目線 
●2008/9 埼玉県
・2008年冬カモ科調査
・困ったカメラマンたち
●2008/9 東京
・なぜ続く珍鳥ムシクイの発見
・南硫黄島自然環境調査報告シンポジウム
・東京バードフェスティバル2008
●2008/9 南富士
・アカエリヒレアシシギの水飲み
・「雛を拾わないでキャンペーン」に意外な落とし穴?
●2008/8-9 京都
・第14回鳥獣保護セミナー開催
・淀川水系ダムで国交省へ抗議書を提出
・死んだ鳥は剥製にできるか

●2008/8-9 札幌
・2007年度支部探鳥会記録のまとめ
45回の探鳥会で確認は127種、内20種が北海道レッドデータ種であった。干潟環境が乏しい札幌ではチドリ科の記録はコチドリのみと寂しい。タヒバリ、ツバメも見ない。ニュウナイスズメも記録が落ちた。エゾビタキ、フクロウの仲間も記録されなかった。
(札幌「カッコウ」NO.303,P4〜9)
・ハヤブサとハト
ハヤブサはハトを見つけると、血相を変えて一直線に追撃して行く。ハトは肉が美味い。中国やフランスでは人がハトを一般的な食材にしている。ハトは効率的に捕獲持ち帰るのに都合の良い大きさである。ハヤブサは森林に入らず、広い空間を使い、ハト(ドバト)もそのような空間を使い、外敵に対し飛んで逃げる習性がある。ハヤブサの速さはハトを上回り、これらの理由でハヤブサはハトを好んで獲る。
(札幌「カッコウ」NO.303,P15)
・アオサギが珍鳥を捕る
6/14、札幌市内の中島公園で、アオサギが草地で小鳥を咥えて出てきたのを撮影した。写真をバンディングの専門家が見て、都市公園では珍しいシマセンニュウと判明した。
(札幌「カッコウ」NO.303,P19)
●2008/8 いわき
・観測者の目線
現代物理学での量子力学開拓者のボーアは、観測者の目線によって観測対象物の状態までも変化するとした。我々野鳥の会のメンバーは鳥を見る時、一観測者としての主観、客観性に深い洞察力を持たねばならない。
(いわき「かもめ」NO.91,P3)
●2008/9 埼玉県
・2008年冬カモ科調査
1/12〜14、県内32箇所での調査では、カモ科総数は10,162羽で、05〜07年の1万4千羽以上から3割減った。温暖化による越冬地の北上があるのか。今回の内訳はマガモ2,866、種不明2,106、カルガモ1,890、コガモ1,305、ヒドリガモ968等。 (埼玉県「しらこばと」NO.293,P4)
・困ったカメラマンたち
4人のカメラマンが2組に分れ、2人が走り出し、ジを追いたて、飛立ったキジを別の2人が撮影した。鳥獣保護員を指導する人のブログに、アオバズクの録音の声で昼間でも飛ばせるとか、サンコウチョウの巣を自慢げに掲載している。マナーの悪さを指摘すると、数時間で消す。アオバズク営巣現場で「ストロボ撮影をする奴は悪い、俺はストロボは使わない、撮影の邪魔になる枝を切るのはしょうがないよなぁ」と言う。「野鳥の会はマナーとか何かとうるさいから、入会しない」と聞くが、もっとうるさくなりましょう。
(埼玉県「しらこばと」NO.293,P5)
●2008/9 東京
・なぜ続く珍鳥ムシクイの発見
日本産鳥類目録改訂第6版(2000)で東京都本土で記録の記述が無いムシクイ類は5種ある。その5種のその後の東京都での状況は、チフチャッフは07/1〜3、日野市で記録された。ムジセッカは04/2〜3、多摩地区の多摩川河川敷、板橋区の荒川で記録された。キマユムシクイは03年以降、6回記録がある。カラフトムシクイは01年、08年と2回記録がある。コノドジロムシクイは01/1〜2、葛飾区の水元公園で記録がある。関東で記録される珍しいムシクイ類は晩秋から早春(特に1月以降)に記録が多い。
(東京「ユリカモメ」NO.635,P12〜13)
・南硫黄島自然環境調査報告シンポジウム
07/6、無人島の同島での3回目の学術調査が、25年ぶりに行われた。6/1のシンポジウムで鳥類について、森林総研の川上和人氏から報告があった。今回繁殖が確認された鳥類は陸鳥6種(カラスバト、ヒヨドリ、イソヒヨドリ、ウグイス、メジロ、カワラヒワ)、海鳥6種(シロハラミズナギドリ、アナドリ、オナガミズナギドリ、クロウミツバメ、アカオネッタイチョウ、カツオドリ)であった。セグロミズナギドリも繁殖している可能性が高い。シロハラミズナギドリが増え、クロウミツバメへの圧力になっている。
(東京「ユリカモメ」NO.635,P22)
・東京バードフェスティバル2008
5/17、18、支部は東京港野鳥公園で開催のフェスティバルに参加した。「バードウォッチングを始めよう」と題した探鳥会を実施し、ブースでは野鳥への餌付け問題提起、定例探鳥会を紹介した。
(東京「ユリカモメ」NO.635,P24)
●2008/9 南富士
・アカエリヒレアシシギの水飲み
下を向いたまま、水を吸上げる事ができるのはハトだけと聞いているが、アカエリヒレアシシギは細い嘴をピンセットのように細かく動かし、水の表面張力を利用して、水を喉まで運ぶと日経サイエンス08/9号にあった。水質汚染が進むと、この微妙な採水の仕組が機能しなくなる恐れがある。
(南富士「さえずり」NO.310,P9)
・「雛を拾わないでキャンペーン」に意外な落とし穴?
先日、飛べず地面にうずくまるオオルリを会員が発見したが、同キャンペーンを思い出し、そのまま立去った。写真を見ると、羽がボロボロに摩耗した、雄の成鳥で、違法飼養されていたものが、逃げ出したものであった。9月以降は飛べない雛は殆どいないので、飼い鳥の時もある。
(南富士「さえずり」NO.310,P10)
●2008/8-9 京都
・第14回鳥獣保護セミナー開催
支部主催で、7/11、京都市で開催された。近畿ブロック各支部、環境NGO、環境省自然環境局、京都府森林保全課、本部自然保護室等から計40余名が参加した。質疑で予察表に基づき、被害発生前でも実施する計画捕獲は実態と乖離する懸念があると指摘があった。特定外来種のアライグマ駆除は京都市、長岡京市、亀岡市等で効果を上げており、全国的に拡げる必要がある。
(京都「そんぐぽすと」NO.153,P9)
・淀川水系ダムで国交省へ抗議書を提出
H9年、河川法改正で今までの治水、利水に「良好な河川環境の形成と保全」が加わった。この趣旨でH13年、「淀川水系流域委員会」が設置されたが、最近は雲行きが怪しく、国交省は同委員会の審議を待たず、6/20、淀川水系4ダムの建設案を公表した。支部は国交省近畿地方整備局へ同委員会の4ダム建設見直し結論に対し、見切り発車で建設強行する姿勢に強く抗議した。
(京都「そんぐぽすと」NO.153,P14)
・死んだ鳥は剥製にできるか
法的には野鳥の死体は無主物で、取得した人のものになるので、取得者での剥製は可能である。希少種については行政担当に連絡を要する。密猟を助長する恐れがあるので、剥製は持って欲しくない。
(京都「そんぐぽすと」NO.153,P15)

(自然保護室ボランティア・神奈川支部/森 要)


事務局からのお知らせなど

普及室より


フィールドマナーの改定案

 近年、従来の「やさしいきもち」では不足していると、フィールドマナーの見直しを求める声が支部などから寄せられています。このため昨年、各支部へフィールドマナーについてのアンケート調査を実施しましたところ、回答のあった支部の内6割で深刻または極めて深刻なマナー問題があるとの指摘がありました。また問題の内容としては、野鳥の撮影に関するものがもっと多くあげられていました。(このアンケート調査結果は支部ネット通信2007年11月号でご報告していますhttp://www.wbsj.org/info/shibu/net/2007/11.html#n0
このため、今回、フィールドマナーを改定して、従来の「やさしいきもち」に付け加える形で、写真マナーと観察マナーを従来より細かく具体的に明文化することを考えています。


 現在考えている案は下記のとおりです。11月15〜16日の全国ブロック・支部連絡会(全国連絡会と略)では、このフィールドマナー改定案へのご意見をいただきたいと計画しています。また全国連絡会に参加されなくても、ご意見をお寄せいただけます。内容の過不足や表現の仕方などさまざまな考え方があるかと思いますので、どうぞメール、ファックスなどでご意見をお送りください。なお、聞き間違いなどを避けるため、電話でのご意見はご容赦ください。
いただいたご意見を踏まえまして改定内容を確定させ、来年より告知に努めて参りたいと思います。告知は、支部で活用できる簡単なパンフレットをインターネットからダウンロード配布や、ホームページへの掲載の他、望遠鏡やカメラのメーカーなどへの告知協力依頼などを考えております。


1.従来のフィールドマナーに付け加えるマナー (今回の変更分)
(1)野鳥写真マナー
野鳥の写真を撮ったり印刷物に掲載したりインターネットで公開したりする場合は、「やさしいきもち」に加え、以下のマナーをお守りください。但し、保護、研究、普及教育や報道など、野鳥保護につながる特定の目的を持った撮影は除きます。
@営巣中(巣作り中含む)の巣(巣穴・巣箱・巣台などを含む。以下同じ)、およびその巣にいるヒナあるいはその巣に入ろうとしている親鳥の撮影は、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。
A国内への渡来の少ない珍しい種は、主な生息地や渡りのルートから外れて飛来した場合が多く、鳥が弱ってしまっているケースもあります。その鳥が十分に休んで採食もできるように、接近し過ぎたり、飛ばせてしまうような撮影は避けましょう。
B撮影を目的とした餌付け、撮影時にストロボなどの人工照明の使用は、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。
C公園やいろいろな人が利用する公共の場所などでは、撮影のために植物の移植や剪定、土砂や岩石の移動といった環境の改変は控えましょう。
D通行の邪魔にならないよう撮影してください。特に道で集団になっていたり、三脚を並べていたりすると、通行の迷惑です。また駐車は、通行や近隣の迷惑にならないよう十分に配慮しましょう。
E近隣の方々の生活や仕事を覗くような形にならないよう、レンズの向け方にも注意しましょう。
F印刷物やネットなどに写真を掲載する場合は、以上のことに留意して撮影されたものを使用するようにしましょう。

(2)野鳥観察マナー
野鳥の観察では、「やさしいきもち」に加えて、以下の観察マナーもお守りください。

@国内への渡来の少ない珍しい種は、主な生息地や渡りのルートから外れて飛来した場合が多く、鳥が弱ってしまっているケースもあります。その鳥が十分に休んで採食もできるように、接近し過ぎたり、飛ばせてしまうような観察は避けましょう。
A国内への渡来の少ない珍しい種の観察情報をネットに発信したりマスコミなどへ提供したりする場合は、その場所へ観察する人が大勢集まりトラブルになることもあるので、細心の注意を払うとともに、地域での事前の相談も行うようにしましょう。
B通行の邪魔にならないよう観察してください。特に道で集団になっていたりすると、通行の迷惑です。また駐車は、通行や近隣の迷惑にならないよう十分に配慮しましょう。
C近隣の方々の生活や仕事を覗くような形にならないよう、双眼鏡や望遠鏡の向け方にも注意しましょう。

2.従来のフィールドマナー(変更無し)
(や)野外活動、無理なく楽しく
自然は、人のためだけにあるのではありません。思わぬ危険が潜んでいるかもしれないのです。知識とゆとりを持って、安全に行動するようにしましょう。

(さ)採集は控えて、自然はそのままに
自然は野鳥のすみかであり、多くの生物は彼らの食べ物でもあります。あるがままを見ることで、いままで気づかなかった世界が広がります。むやみに捕ることは慎みましょう(みんなで楽しむ探鳥会では、採集禁止が普通)。

(し)静かに、そーっと
野鳥など野生動物は人を恐れるものが多く、大きな音や動作を警戒します。静かにしていれば彼らを脅かさずにすみますし、小さな鳴き声や羽音など自然の音を楽しむこともできます。

(い)一本道、道からはずれないで
危険を避けるため、自然を傷つけないため、田畑の所有者などそこにくらす人に迷惑をかけないためにも道をはずれないようにしましょう。

(き)気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
撮影が、野生生物や周囲の自然に悪影響を及ぼす場合もあるので、対象の生物や周囲の環境をよく理解した上で影響がないようつとめましょう。餌を与える行為も、カラスやハトのように人の生活と軋轢が生じている生物、生態系に影響を与えている移入種、水質悪化が指摘されている場所などでは控える必要があります。また、写真撮影や給餌、観察が地元の人や周囲の人に誤解やストレスを与える場合もあるので、十分な配慮をしましょう。

(も)持って帰ろう、思い出とゴミ
ゴミは家まで持ち帰って処理しましょう。ビニールやプラスチックが鳥たちを死にいたらしめることがあります。またお弁当の食べ残し等が雑食性の生物を増やすことで、自然のバランスに悪影響を与えます。責任を持ってゴミを始末することは、誰でもできる自然保護活動です。

(ち)近づかないで、野鳥の巣
子育ての季節、親鳥は特に神経質になるものが多く、危険を感じたり、巣のまわりの様子が変化すると、巣を捨ててしまうことがあります。特に、巣の近くでの撮影はヒナを死にいたらしめることもあるので、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。また、巣立ったばかりのヒナは迷子のように見えますが、親鳥が潜んでいることが多いので、間違えて拾ってこないようにしましょう。

(普及教育担当室長/小林豊)


2007年度支部探鳥会集計結果のご報告

 2005年度より、毎月全国各地で開催されている探鳥会の実施報告を年度ごとにとりまとめた結果をお知らせしています。今回は、2007年度の実績を中心にご報告します。


1.はじめに
探鳥会活動は、多くの方に野鳥の魅力を知っていただく入り口であるとともに、今後、当会の活動への理解・支援の裾野を広げていく上で、根幹をなす活動といえます。探鳥会活動がより周知され、広く一般の方に参加していただくためには、まず現状の把握が必要と考え、年間実施回数、参加者数、会員・非会員比率、リーダー数などを各支部からご報告いただいております。2005・2006年度については、結果と傾向をまとめ、2007年度の全国ブロック連絡会や支部ネット通信でご報告いたしました。今回は、2007年度の結果を中心に、2005・2006年度との比較も交えてご報告します。


2.実施報告をいただいた支部(2008年8月末現在)
2007年度は、以下の30支部からご報告をいただきました。
旭川支部、滝川支部、秋田県支部、山形県支部、北上支部、宮城県支部、福島支部、郡山支部、二本松支部、栃木県支部、群馬県支部、吾妻支部、東京支部、奥多摩支部、神奈川支部、軽井沢支部、沼津支部、愛知県支部、三重県支部、滋賀支部、大阪支部、岡山県支部、香川県支部、徳島県支部、愛媛県支部、福岡支部、筑豊支部、筑後支部、熊本県支部、鹿児島県支部
(参考:2005年34支部、2006年26支部)


3.探鳥会保険加入件数と比較した、報告回収率(2005〜2007年度)
探鳥会保険の加入件数は、年間約3000件(2005年度:3,189件、2006年度:3,105件、2007年度:3,279件)になりますが、実施報告から読み取れる探鳥会計画数は、2005年度1,849件、2006年度1,603件、2007年度は1775件でした。保険加入数と比較すると、報告回収率は2005年度58.0%、2006年度51.6%、2007年度54.1%と、約5〜6割です。(表1)(表2)

※探鳥会保険加入のために67支部からいただいているデータからは、年間約3千回、約9万人の参加者数が読み取れますが、実施報告をいただいている支部は30支部にとどまり、回数・参加者数ともに保険加入数と開きがあります。今後報告の回収率が上がれば、より実態に即した結果のご報告と分析が可能になります。支部の皆様にはお手間をおかけしますが、引き続きご協力をお願いいたします。



4.2007年度の支部探鳥会集計結果について(表3の見方)
@2007年度の支部探鳥会結果報告に基づいた集計結果です。探鳥会の開催数が多い支部の順に並べてあります
A探鳥会回数:<計画数・中止・実施数>と項目をわけて記載しました。
Bスタッフ数:<リーダー・サブリーダー・スタッフ(リーダー+サブリーダー)>と項目をわけて記載しました。この場合の<リーダー>は探鳥会の主たる担当者、<サブリーダー>は主たる担当者ではないが、解説や安全管理などの側面でサポートを行っている方々です。スタッフは、リーダーとサブリーダーの総称としています。リーダー・サブリーダーと明確に役割を分けていない支部もあります。
C実施1回あたりの平均数:<参加者・スタッフ>と項目をわけて記載しました。
D平均対応数:<スタッフ1名あたり>を記載しました。

5.2007年度実施結果概要(表3)と、2005・2006年度との比較
2007年度の探鳥会実施回数は合計1775件、参加者数は34771人でした。一回あたりの平均参加数は20人になります。また、一般非会員数は3744人と、全参加者数の10.8%でした。




 探鳥会スタッフ数は、リーダー3479名、サブリーダー1257名と、年間計4736名が運営に携わっていることがわかりました。参加者数をスタッフ数でわると、スタッフ1人あたりが対応している人数は平均9人になります。(山形県支部を除く29支部の平均です。)
2005・2006年度との比較では、回数、参加者数、非会員比率、リーダー数ともに大きな変化は見られませんでした。


6.2007年度実施結果・支部ごとの比較
支部ごとに探鳥会の回数、参加者数、非会員率、リーダー数を比較し、それぞれ多い順に5支部までを表にしています。
@実施回数
・探鳥会の回数が最も多かったのは大阪支部で、計画数303回/実施数263回でした。(表4)
・全体の傾向を見ると、「1回以上50回以下」が20支部と最も多く、約7割を占めています。(グラフ1)



A参加者数と非会員比率
・探鳥会の参加者数が最も多かったのは東京支部の5,785人でした。(表5)
・全体の傾向は「1人以上1,000人以下」が21支部と、約7割を占めています。



・また、参加者に占める非会員比率は、軽井沢支部57.0%、筑後支部36.0%、吾妻支部31.5%、熊本県支部22.6%、三重県支部20.7%でした。軽井沢支部では、参加者のうち、非会員数が会員数を上回っており、他の支部とは異なる傾向が見られました。(表6)



B1回あたりの平均参加者数
・実施1回あたりの平均参加者数が最も多かったのは、岡山県支部の41.8人でした。続いて香川県支部36.8人、以下表のとおりです。(表7)
・全体の傾向を見ると、「1人以上20人以下」が21支部と最も多く、約7割を占めています。(グラフ2)



C1回あたりのスタッフ数
・スタッフとは、リーダーとサブリーダーの合計を表します。実施1回あたりのスタッフ数が最も多かったのは、岡山県支部の4.7人でした。続いて東京支部4.5人、福島支部4.0人、大阪支部3.9人、鹿児島県支部3.7人でした。(表8)
・全体の傾向を見ると、「スタッフ2人」が13支部と最も多く、約4割を占めています。(グラフ3)



Dスタッフ1人あたりの平均対応人数
・スタッフとは、リーダーとサブリーダーの合計を表しています。スタッフ1人あたりの平均参加者数が最も多かったのは、筑豊支部の15.1人でした。以下、秋田県支部13.0人、沼津支部12.7人、熊本県支部12.2人、軽井沢支部・愛媛県支部11.5人でした。(表9)
・反対にスタッフ1人あたりの平均対応人数が少ない支部は、二本松支部3.8人、大阪支部4.9人、神奈川県支部6.0人、奥多摩支部・徳島県支部6.3人でした。(表10)
・全体の傾向を見ると、「6人以上10人以下」が19支部と最も多く、全体の7割を占めています。(グラフ4)


7.終わりに
 3年間のデータから、探鳥会の参加者数は年間1600〜1800件、参加者数は年間のべ32,000人〜44,000人で推移しており、回数・参加者数・スタッフ数ともに、ほぼ変化がなく安定しています。この結果からは、支部の探鳥会運営のノウハウが蓄積され、リーダーの養成を含めて運営システムが安定していることが伺えます。一方で、表6)が示すように、一般非会員が20%を越える支部はわずか5支部、全参加者の中の非会員比率は10.8%と約1割にとどまります。

 身近な自然が失われ、地球規模での環境破壊が深刻な社会問題となっている近年、野鳥を含め自然環境に対する意識は、社会全般で高まりを見せています。探鳥会は、身近な環境で野鳥や自然とふれあい、それを守ることの大切さを感じてもらう、きっかけとして最適の場ではないでしょうか。現在、当会の活動は合計約5万人の会員・サポーターに支えられていますが、より多くの方に活動へのご理解とご支援をいただくためには、その何倍もの方に野鳥の魅力や当会の取り組みについて知っていただく必要があります。年間約4万人の参加がある探鳥会への一般・非会員の参加が増えれば、当会の進める自然保護の裾野はますます広がるとともに、会員・支援者の増加にもつながるのではないかと思います。

   昨年度、探鳥会の一般向けアピール・広報という観点から、表面は探鳥会のご紹介、裏面は各支部で探鳥会情報を掲載いただく仕様の「探鳥会パンフレット」を発行し、各地でご活用いただいています。また、第一回全国ブロック協議会では、「はじめての方、一般・非会員の方」を対象にした探鳥会の取り組みをテーマに、情報交換を行いました。今後も、さらに多くの方が探鳥会をとおして野鳥に親しみながら自然保護の大切さを知り、当会の支援者になっていただくためにはどんな工夫が考えられるか、検討を重ねてまいります。日頃より探鳥会の運営にご尽力されている支部の皆様には、是非、その基盤となる実施報告の提出にご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。

(普及室/岡本裕子、林山雅子)


シマフクロウの保護を呼びかける小冊子『こんばんはシマフクロウ』発行


 当会では、これまで野鳥保護区を設置し維持管理を行うことでシマフクロウの保護に取り組んでまいりましたが、その暮らしや必要な環境を広く知ってもらうことが保護活動をより進めることになると考え、小冊子「こんばんはシマフクロウ」を2万部発行し、一般への無償配布を計画しております。
 現在約130羽40つがいと、絶滅の危機に瀕しているシマフクロウの生態については、まだ一般の方にはあまり知られておりません。また当会としても、その数の少なさや、人が近づくと繁殖を放棄してしまうことなどから積極的な広報は行っておりませんでした。
 この小冊子では、シマフクロウの生態や、その生息環境を守ることの大切さが、誰にでも分かりやすいイラストやマンガを交えて解説されています。また、全体を通して、保護のために何ができるのかを読みながら考えていただけるよう構成されています。
 支部の皆様には、冊子のサンプルをお送りしますので、是非ご覧ください。また、配布にご協力いただける場合は普及室・担当掛下までお知らせください。
 なお、冊子の制作と無償配布にあたっては、当会のすすめるシマフクロウの保護・普及活動にご理解をいただいた以下の法人にご協賛いただきました。
 株式会社アレフ、王子製紙株式会社、東亜建設工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、明治乳業株式会社、株式会社メガネスーパー(50音順)


◎冊子「こんばんはシマフクロウ」お問い合わせ先
 普及室・掛下 TEL 03-5436-2622

(普及室/岡本裕子、掛下尚一郎)


支部卸販売をご利用ください


 「バードショップカタログ2008秋冬号」を発行しました。すでに各支部販売事業ご担当者様宛にも支部卸販売のご案内と合わせてお届けしています。以下に今回のカタログの注目情報をお知らせします。

オリジナル新商品盛りだくさん!
今回のカタログも当会オリジナルの新商品が満載です。おすすめの商品をご紹介します。

・「バードウォチング長靴カモフラージュ柄」
商品番号441230 SS (23.0cm)〜441235 3L (28.0cm) 税込価格¥4,980
 「折りたためて持ち運びができる!」と皆様からたいへんご好評いただいております「バードウォッチング長靴」にカモフラージュ柄が新登場です。長靴上部の止め紐(ドローコード)に使いやすい「ゴム紐」を採用したほか、膝をついた作業にも支障が無いように止め具(コードストッパー)の位置を側面にして、さらに機能の向上を図りました。

・「バードウォッチングくつ下」
商品番号441225 税込価格¥1,575
 観察や撮影で長時間立っていると足が疲れる方や、登山をしながらバードウォッチングを楽しまれる方には、足が疲れにくい「バードウォッチングくつ下」がおすすめです。「土踏まず」「アキレス腱」には締め付け効果、「くるぶし」「つま先」「足の甲」には衝撃を吸収するために厚手のパイルを使用しました。

・「野鳥シール2種セットU」
商品番号605276 税込価格¥630
 お子様にも人気の「野鳥シール」の第2弾です。テーマは「絶滅危惧の鳥たち」と「カラフルバード」です。親しい方へのお手紙、名刺や名札に貼って話題づくりに使ったり、パソコンや携帯など身近な愛用品に貼ったりと、使い方はいろいろです。探鳥会やイベントの景品等でもお使いいただければ幸いです。

 この他にも、シマフクロウの刺繍入りマフラー等、バードウォッチングが楽しくなるグッズや便利なグッズを多数ご案内しております。ぜひ、ご利用ください。

●会員価格を設定しました(一部の光学機器)
 会員価格は、日本野鳥の会会員限定の価格として、例年『ワイルドバードカレンダー』で皆様にご利用いただいておりますが、今回のカタログでは光学機器の一部にも設定いたしました。
 日頃、会員の皆様からカレンダー以外の会員価格のご要望の声、支部の皆様から「会員募集の際に何か特典があると勧誘がしやすい。」という声などをいただいておりましたこと、そして、少しでもお求めやすい価格で商品をご提供できるように、今回、メーカーにも協力を得て設定することができました。
 すでに会員の方にご案内いただくのはもちろん、新入会員募集の際のアピールポイントの一つとしてもご活用いただければ幸いです。
 各支部での販売を通じてバードウォッチングの輪が広まるとともに、その販売収益が支部活動の一助となることを願っております。どうぞ拡販にご協力お願いします。

●支部卸販売のご注文、お問い合わせ
 普及室 販売出版グループ(TEL:03-5436-2623 FAX:03-5436-2636 [email protected])までお願いします。

(普及室/瀬古智貫)



総務室より

■新制度対応検討委員会の臨時答申と意見募集について■

 支部ネット通信2008年6月号に掲載したとおり、新制度対応に伴う「支部」の名称等に関する問題点が生じています。
 この問題点について、新制度対応検討委員会は、8月1日に開催された第4回委員会にて審議を行い、その結果を以下のとおり臨時答申としてとりまとめました。つきましては、本通信にも臨時答申書の全文を掲載いたします。
 なお、この臨時答申の内容について、各支部の皆様の意見を聴取することになり、意見募集のお知らせ、ならびに「新制度対応検討委員会臨時答申書」の文書を、8月20日付で各支部へ郵送にて送付しました。これに対し、10月5日の締め切り日までに各支部からたくさんのご意見をいただきました。ありがとうございました。

 寄せいただいたご意見は、10月24日に開催予定の第5回新制度対応検討委員会にて審議される予定です。


2008年8月19日

財団法人 日本野鳥の会
会 長  柳 生 博 殿

新制度対応検討委員会
委 員 長 佐藤仁志
副委員長  遠藤孝一
委  員  鈴木君子
吉田 新
伊藤直人
川端一彦
松田道生
アドバイザー 阿部裕行
永島公朗


新制度対応検討委員会
臨時答申書


 新制度対応検討委員会は、財団法人日本野鳥の会(以下「野鳥の会」という。)柳生博会長より諮問された、公益法人制度改革にかかる新制度対応に伴う「支部」の名称等の問題への対応方針に関し、臨時答申としてとりまとめたので、下記のとおり答申する。

〜   記   〜

T.はじめに
(1)公益法人制度改革の背景と経緯等の概要について
2008年2月15日付け「新制度対応検討委員会一次答申書」で述べたとおり。(なお、委員の構成については、佐久間仁委員の評議員退任に伴い、2008年4月1日付けで川端一彦評議員に委員交替となった。)

(2)新制度対応に伴う「支部」の名称等の問題点に関する経緯について
2008年 4/25 第3回委員会開催、制度改正にともない「支部」の名称使用が難しくなることを確認、早急に情報収集することになる
  5/2 内閣府公益認定等委員会事務局へ支部名称等の件問い合わせ、問題点を把握
  5/13 内閣府公益認定等委員会事務局へ支部名称等の件再問い合わせ
  5/24 理事会および評議員会へ、支部名称等の件について報告、審議
  6/20 支部ネット通信6月号に「新制度対応に伴う『支部』の名称等に関する問題点について」
を掲載し、各支部へお知らせ(別紙2)
  6/下旬 各支部へ公文書にて支部ネット通信6月号掲載文と同じ文書を送付
  7/17 内閣府公益認定等委員会事務局訪問、支部の名称等についてヒアリング
  8/1 第4回委員会、支部名称等について5/24の理事会、評議員会の場で役員、評議員から出さ
れた意見、並びに8/1までに寄せられた各支部からの意見等に基づき審議し、その結果を
臨時答申書として提出することとなる

(3)2008年8月1日までに寄せられた各支部からの意見等について
寄せられた意見では、「財団の名称を変更せず支部の名称を変更する」をやむなしとする声が多数であった。なお、『日本野鳥の会○○支部』の名称を残して欲しいとの意見や、財団の名称を変えて欲しいとの意見もあった。

U.答申本文
1.対応案の骨子
(1)新制度対応に際しては、現在の「日本野鳥の会○○支部」の名称から、「支部」の二文字を削除し、名称を「日本野鳥の会○○」に統一する。
(2)各支部における支部名称変更に必要な手続き等は、財団の新制度移行申請に間に合うよう、遅くとも2010年3月までに終えていただくよう各支部に要請する。

2.理由
(1)「日本野鳥の会」の名称は全国に抜群の知名度をもっており、この名称のもとに、約5万人の会員を有する全国団体として、財団法人および89支部(NPO法人1団体及び任意団体88団体)が一体感を保ちつつ、全国的な活動と地域的な活動を相互に補完、連携しあいながら、それぞれに独立性をもって活動している。
このたび、国の制度改正に伴い、財団か支部のどちらかが名称を変更せざるを得ない状況が生じた。
一つの選択肢として、支部の名称を現状のまま変更しないことが考えられるが、その場合、必然的に財団法人(新制度対応後は「公益財団法人」)の名称を変更させることとなり、この場合、公益財団法人の名称の中に「日本野鳥の会」の6文字を残すことは極めて難しい見通しである。その結果、対外的に混乱を招くことや財団と89支部の一体感は大きく損なわれる可能性がある。各支部がそれぞれの地域において、支部の名のもとに歴史と実績を重ねて活動している事実は大きいが、将来にわたり財団にも支部にも「日本野鳥の会」の名称を残すことができる方策を選択する方が、ベターと考えられる。
 したがって、財団法人の名称は変えないものとし、支部の名称変更をやむを得ないものと判断する。ただし、支部の名称の変更は、可能な限り最小限とし、各支部の活動への悪影響をできるだけ最小のものとすべきである。
 なお、支部の名称がバラバラとなることによる一体感の喪失を避けるため、支部名称の変更にあたっては、統一的な変更を図るべきである。

(2)現在のところ、財団の新制度への認定申請は2010年3月下旬〜5月頃が想定されている。この申請の前までには各支部において、支部総会による議決など、支部名称変更に必要な手続き等を終わらせていただく必要がある。

3.補足
会員制度、会費制度については、基本的な枠組みは現在と変更せず、「総合型会員」、「本部型会員」、「支部型会員」の種別や、財団で一括して会費を徴収し、預かった支部会費を各支部に送金する仕組みなども原則として変更しない方向で検討を進める。
   ただし、「支部」や「本部」といった呼称を別の用語に変える必要があり、具体的にどのような呼称に変更するかは、引きつづき検討する。

(総務室長/原元奈津子)


■次回の理事会・評議員会の日程■

 日程のみお知らせします。開催場所は東京都内です(詳細未定)。正式な開催通知は、後日関係各位へ郵送します。


●平成20年度第3回理事会(定例)
  日 時:2009年2月21日(土)
●平成20年度第2回評議員会(定例)
  日 時:2009年3月14日(土)

(総務室/五十嵐真)

■理事会議事録■

 「平成20年第2回理事会(8/21)議事録」について掲載いたします。


●平成20年第2回理事会(臨時)議事録
【日時】平成20年 8月 21日(木) 
【方法】寄附行為第29条第3項および第33条に基づく書面表決
【理事現在数】17名
【書面表決理事】(敬称略)17名
柳生 博 、佐藤 仁志、鈴木 君子、吉田 新、滑志田 隆、安西 英明、飯塚 利一、磯崎 博司、土屋 正忠、花田 行博、小室 智幸、河地 辰彦、西村 眞一、高木 清和、川瀬 浩、日比野 政彦、高野 茂樹
【議案】
第1号議案 八重山支部の支部認定取消の件
【議案の概要】
八重山支部の支部認定の取消。
議案の理由は、支部規程第6条第3項により設置された本件について検討する八重山支部審査委員会より、同支部は、会員数は支部認定基準細則第3条の認定基準を満たすものの、(1)探鳥会などの活動がとても限られている、(2)支部総会や役員会が開かれていない、(3)支部報が発行されていない、(4)会計処理が不明瞭である、この4項目について改善の目途が全く立っていないことから、認定取消に該当すると思われるとの答申が提出されたことによる。
書面表決による議決とする理由は、平成19年度第4回理事会で同支部の活動停止状態と財団事務局の対応状況について報告があり、平成20年度第1回理事会で審査委員会の設置が決定され、その席上で、執行部より書面表決による臨時理事会での決定も有り得るとの確認があったこと、また審査委員会答申に早めの認定取消が適切との指摘があったことによる。
【議事録署名人】
会長からの指名により、磯崎博司理事、花田行博理事を選任し、両氏もこれを承諾した。
【議事の経過の概要及びその結果】
上記議案について、書面表決を実施した。
その結果、8月21日までに書面による回答のあった理事17名のうち、17名の賛成を得たので本議案について、原案どおり承認可決した。
 上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、議長及び出席理事の名において記名、捺印する。

平成20年 8月 28日   財団法人 日本野鳥の会
議 長      柳生  博
議事録署名人   磯崎 博司
議事録署名人   花田 行博

(総務室/五十嵐真)

■新制度対応検討委員会議事録■


 公益法人制度改革に伴う当会の対応を検討する「新制度対応検討委員会第4回」が、8月1日、当会西五反田事務所にて開催されました。
 本件については支部の皆様にも重要な意味をもつことから、本検討委員会の議事録を支部ネット通信上で公開しております。

●新制度対応検討委員会(第4回)議事録
【日時】2008年8月1日(金)14:00〜17:00
【場所】西五反田事務所 会議室
【出席】
佐藤仁志委員長、遠藤孝一副委員長、鈴木君子委員、吉田新委員、伊藤直人委員、松田道生委員、川端一彦委員(14:20到着)、阿部裕行アドバイザー、永島公朗アドバイザー
【事務局】
飯塚利一事務局長、原元奈津子総務室長、岩下路子総務室長代理、小林豊会員室長、吉家奈保美総務室担当、五十嵐真総務室担当
【傍聴】児山章二(評議員)、室瀬秋宏(十勝支部長)

委員長・副委員長挨拶
 佐藤仁志委員長より、挨拶があった。

傍聴紹介
 傍聴として、児山章二評議員、室瀬秋宏十勝支部長の紹介があった。

議題1.第3回委員会以降の動き等について報告
 原元総務室長より、4/25第3回委員会以降の関連する動きについて、5/24理事会および評議員会にて、「理事、評議員の定数及び選出方法変更等に関する方針」が決定したこと、これら方針を各支部、顧問へ報告したこと、6月下旬「新制度対応に伴う『支部』の名称等に関する問題点について」文書を全支部へ送付したこと、7/17公益認定等委員会を訪ねヒアリングした結果、一般の人が支部を公益財団法人の一組織である、と誤解しないような名称とすべきである等の見解を得たこと、8月以降に政府より定款のガイドラインが公表される見込みであること等、資料に基づき報告があった。

議題2.今後の検討項目と検討スケジュールおよび移行スケジュールについて
原元総務室長より、今後の本委員会の検討項目について、内容、スケジュールについて資料に基づき説明があり、以下の討議と結論となった。

●検討項目について
<結論>佐藤委員長より、支部の名称等に関する問題および支部代表者会議の詳細に関する問題に関して、これらを本委員会の検討項目とする旨の提案があり、了承された。

●移行スケジュールについて
・認定が下りる時期を教えてもらうことはできないのか。(遠藤)
―認定審査の進捗状況は教えていただける見込み。申請書類に不備があれば、審査が長引くこともあり得るし、審査期間はおおよそ数ヶ月としか分かっていない。かえって2010年6月以降の移行へスケジュールをずらした方が混乱なく移行ができる。(原元)
・新制度における最初の理事は、旧評議員会によって選任されるのか。(阿部)
―事実上、旧理事会及び旧評議員会の両方によって選任することになる。なぜなら、現理事及び現監事は、新制度移行後も有効だが、移行と同時に新メンバーとする場合は、定款変更案の附則に掲名する形でおこなう方法が考えられ、定款変更案は、旧理事会及び旧評議員会における承認を要するので、新理事等の選任は結果として旧理事、旧評議員両方の承認を得ることとなる。一方、評議員の選任については、主務大臣の認可を受けた選任方法によって選任し、かつ、定款変更案附則に掲名、すなわち理事会及び評議員会における承認を得るといった2つの条件をクリアすることが必要。選任にあたっては、最初の評議員の選任から中立的な立場にある評議員選定委員会によっておこなうことが求められる見込み。(原元)
<結論>2010年4月を目指して認定申請を進める場合、認定の日付により移行の登記が、3月〜5月頃となる可能性があり、前年度中に移行せざるを得なくなったり、2009年度決算のための理事会や評議員会を旧制度で行うか新制度で行うが混乱が生じたりするおそれがある。このため、2009年度決算のための理事会及び評議員会については、旧理事及び旧評議員の任期伸長によって対応し、これが終了した2010年6月以降に移行となるよう申請時期を2〜3ヶ月遅らせることとなった。

議題3.監事の定数と任期、会計監査人について
原元総務室長より、監事の定数と任期、会計監査人について、資料に基づき説明があり、以下の結論となった。

●監事について
<結論>定数2名とし、その内訳の明文は設けない。任期は法定通り4年とする。

●会計監査人について
<結論>設置することとし、定款への記載、登記等を行う。具体的な記載方法については、これから検討する。

議題4.「支部」の名称等に関する問題について
原元総務室長より、支部から寄せられた意見、現在の会員数と会員制度、これまでの会員制度の変遷について、資料に基づき説明があり、以下の討議と結論となった。

●「支部」名称について
・支部側の立場を考慮すると、まず本委員会の方針を示すべき。(川端)
・これまで、本部と支部はグループだと示したかった。公益法人認定法とは、そもそも発想が違う。(松田)
・名称によって、本部と支部とが一体ではないが、緊密であることは示したい。「日本野鳥の会●●支部」の「支部」を取ることで独立性を示し、全ての支部について表記方法を統一することで緊密性を示すことで良い。(阿部)
・表記方法によって統一感を持たせる方が良い。支部によっては「県」が付くものとそうでないものがあるが、これについては支部に任せる。表記について、例えば「奥多摩日本野鳥の会」という表記ではおかしい。オールジャパンなのだから。(遠藤)
・「県」が付くと行政におもねっているようで、付けたくないという支部もある。(松田)
・これを機会に「奥多摩」支部は、「多摩」に変えたいという意見がある。(鈴木)
・現行の表記から「支部」を取るようにお願いする。また、「県」を取るか否かの変更についても支部が希望すれば可能。(川端)
―支部の名称については、現行でも「●●支部」の●●の部分については、近隣支部との調整がされていれば、各支部の任意で変更も可能であり支部の裁量の範囲。実際、近年も福島県相双支部や南相馬支部が名称を変更した例がある。(小林豊)
・支部の名称については当会のアイデンティティに関わる問題である。NPO法人化した支部についても、十分に説明し理解を得て進めることが必要。(川端)
・各支部に名称変更の手続きのスケジュールを知らせることが必要。(川端)
さらに佐藤委員長より傍聴者に対して意見が求められ、以下のような発言があった。
・「日本野鳥の会」という名称がなくなってしまうので、財団の名称を変更するのはおかしい。本委員会で方針を示し、支部がそれに従う形が良い。本部から支部へ言えるのは、法律上のルールだけ。「県」を付けるか否か等は、支部に任せるべき。(室瀬/傍聴者)
<結論>支部の名称については、現行の表記から「支部」を削除すること、なおその際に現行の地域名称を変えたい支部がある場合は、従来通り、近隣支部との調整などを条件に各支部の任意とすることとなった。支部名称を変更すること、及びその期日は財団の認定申請に間に合うようにしていただくこと等を、文書にまとめて全支部へ要請し、問題がないかどうか等の意見を聞くこととなった。

●今後の「支部」の呼称について
・「連携団体」は、同じ目標へ向かっているといった感じが表現されていて良い。(阿部)
―「連携」という言葉は、他団体や個別の事業にも使うのでまぎらわしいのではないか。(小林豊)
・運用の仕方でクリアできる。定款記載上は、「支部」を「連携団体」とすることで良い。(川端)
<結論>定款記載上、「支部」については今後、「連携団体」と記載する方向で進めることとなった。

●支部への連絡について
<結論>「支部」の名称変更に関する事項は、緊急を要すため、8月中に臨時答申を出し、会長へ答申することとなった。
議題5.次回の日程等について
 原元総務室長より、次回(第5回)の日程等について、資料に基づき説明があり、10月24日(金)14:00〜17:00、場所は西五反田会議室で開催することとなった。

以上

(総務室/五十嵐真)


■「支部報とりまとめ発送」次回日程のご案内■


 次回の支部報取りまとめ発送日は11月25日(火)ですので、支部報は下記の要領でお送りくださるようお願いします。(支部報取りまとめ発送についての詳細は、支部ネット通信2008年4月号をご覧下さい。)

送付期日:2008(平成20)年11月21日(金)必着
送付部数:110部
 ※東京支部におかれましては130部お願いします
 ※神奈川支部、埼玉県支部、奥多摩支部、千葉県支部におかれましては120部お願いします
 ※ご事情により必要部数に満たない場合は、総務室にて発送先を調整させていただきます
 送付先:〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
 (財)日本野鳥の会総務室 支部報担当宛

本件に関するお問合せ先:03-5436-2620 総務室 五十嵐真(いがらしまこと)

(総務室/五十嵐真)

会員室より


■全国連絡会 会場変更■


 11月15〜16日で予定しておりました、全国ブロック・支部連絡会(全国連絡会)ですが、会議場として予定しておりました公共施設が、選挙になると不在者投票場となるため使えなくなることが分かりました。総選挙の日程は予想もつきませんが、万一ぶつかってしまうと会議ができなくなってしまいますので、急遽、会場を変更いたします。
 新しい会場は下記のとおりです。またホテルの変更に伴い、参加費が当初見込みの1万4千円から500円程度上がってしまいそうです。ご出席の連絡をいただいている支部には、個別にご案内をお送りしております。
 また、出席のお申し込みはまだお受けしております。どうぞご参加をお願いします。ただしホテルの方は、確保している部屋数が埋まりますと、他のホテルをご紹介することになり、費用も変わって参りますのでご了承ください。

(1)会議場
大正大学
東京都豊島区西巣鴨3-20-1
【行き方】
東京駅・浜松町駅より、JR山手線上野・池袋方面乗車、巣鴨駅下車。都営地下鉄三田線西高島平方面へ乗り換え、一駅目の西巣鴨駅下車、徒歩2分
(東京駅からの所要時間約30分)

(2)宿舎
アパホテル東京板橋
東京都豊島区上池袋4-47-1
TEL:03-5974-8111
会議場より徒歩約10分
JR埼京線板橋駅東口前(山手線池袋駅から大宮方面へ一駅)

(3)懇親会
さくら水産
板橋西口店 東京都板橋区板橋1-55-16
TEL:03-5943-7311
会議場より徒歩約10分、宿舎より徒歩約2分
JR埼京線板橋駅西口前(山手線池袋駅から大宮方面へ一駅)

(会員室長/小林豊)


■会員数■


●10月1日会員数 43,627人(対前月-92人 )
 会員数は先月に比べ92人減少しました。
 9月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より104人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。
 9月の入会者数は137人で、前年同月の入会者数93人に比べ44人増加しました。
 また、9月の退会者数は241人で、前年同月の退者数221人に比べ20人増加となりました。

表1 9月の入会・退会者数
※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とはずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2.都道府県別の会員数
備考:その他は海外在住の会員を示します。

表3.支部別の会員数
備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/上田康之)


■支部ネット担当より

●先月号訂正お詫び
 先月号で、オリジナルカレンダーの記事が間違っておりました。お詫びいたします。
 訂正済みのものをインターネット版に掲載しております。インターネット版は下記からご覧いただけます。

●電子メール配信をご登録ください
 本通信は電子メールでもお送りしています。お申し込みは支部単位で下記のメールアドレスまでどうぞ。各支部2アドレスまでご登録いただけます。
 また第1号からのバックナンバーはインターネットでご覧いただけます。URLは次のとおりです。
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/index.html

(会員室長/小林豊)

支部ネット通信 第55号
◆発行
財団法人日本野鳥の会  2008年10月20日
◆担当
会員室
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2632
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]