No.68 2009年11月号


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目次 ■プレスリリース
 岩手県のウインドファーム 再度の要望書
■支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
■事務局からのお知らせなど
 オリジナル年賀はがき販売開始!
 12月は「ウィンターフェア」開催!
 新制度対応検討委員会の開催と傍聴募集
 新制度対応検討委員会議事録
 会員数

プレスリリース

■岩手県のウインドファーム 再度の要望書■

 発表した内容は、下記のとおりです。一部内容と要望書本文、画像は省略しています。このプレスリリースの全文は、当会ホームページからご覧いただけます。
http://www.wbsj.org/press/091027.html

岩手県のウインドファームにおけるイヌワシの衝突死の対処について再度の要望書を提出

2009.10.27

 日本野鳥の会の東北地方17支部からなる日本野鳥の会東北ブロック協議会と財団法人日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博 会員4万2千人)とは、株式会社ユーラスエナジーホールディングスに対して2009年10月27日、岩手県のウインドファームにおけるイヌワシの衝突死の対処を求める要望書を提出しました。また同時に、同社への指導と、東北地方における風力発電所の建設にあたって留意すべき野鳥と生息地の保全について、環境大臣に対して要望しました。

●経緯
 2008年9月20日、岩手県釜石市和山の風車の翼(ブレード)に衝突死したイヌワシの死体が発見された。日本野鳥の会岩手県連絡協議会(盛岡支部、北上支部、宮古支部)、(財)日本野鳥の会の代表らは2008年12月8日、事故の再発防止のために早急な対策を行うよう、同ファームを運営する株式会社ユーラスエナジーホールディングスに、また、事業者への指導を釜石広域ウインドファームにおいて、岩手県知事、環境省東北地方環境事務所に要望した。
しかし、事業者からは未だに一切の回答がない。このことは、釜石広域ウインドファームにおけるイヌワシと風力発電施設の共存のみならず、東北地方における風力発電施設とイヌワシの共存についても、今後に大きな不安を残している状況となっている。
そこで、2009年6月13日に岩手県西和賀町で開催された「第32回日本野鳥の会東北ブロック会議」において、要望書の提出が決議されたもの。

●株式会社ユーエスエナジーホールディングス向け要望の概要

  1. 再発防止委員会を早急に設置すること。
  2. 事業者が事故後にロボットを置いて再発防止策としているのは不十分。ロボットが役立っているか調査し、役立っていなければ、新たな再発防止策が実行、評価されるまで、風車の運転を停止すること。
  3. 事故が再発した場合には、風車の運転を停止すること。

●環境省向け要望の概要

  1. 株式会社ユーラスエナジーホールディングスに対し、再発防止委員会を設置し衝突事故の再発防止策を立案し実施することを再度、指導をすること。
  2. 東北地方において、風力発電施設の影響を受けやすい場所には風車の設置をしないよう、風力発電の立地適正化に関するマニュアルに明記すること。
  3. 風力発電施設の設置にともなう大規模な道路の新設、森林伐採をしないよう、風力発電の立地適正化に関するマニュアルに明記すること。

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.484

●2009/8 オホーツク
・森林について
●2008/4 岐阜県
・2008年ガンカモ調査結果報告 
●2008/6 岐阜県
・ソウシチョウは困り者 
●2008/8 岐阜県
・鳥の右利き、左利き 
●2008/9 岐阜県
・ブッポウソウのいる村を訪ねて 
●2008/10 岐阜県
・アカアシミズナギドリ保護される 
●2008/11 岐阜県
・クモの巣に絡まったイワツバメ 
・芭蕉と野鳥たち 
●2009/8 兵庫県
・2009年ツグミ終認記録 
・メボソムシクイとオオムシクイ 
●2009/8 北九州
・足輪ツルから判ったこと 
・平成21年ガン・カモ調査報告
・ホオアカ調査報告

●2009/8 オホーツク
・森林について 
 関連するキーワード。FSC(Forest Stewardship Council) 森林管理協議会は世界的な森林破壊をくい止めるため、93年、カナダで設立されたNPOで、現在、78カ国に会員がいる。国際的な森林認証を行い、その森林で生産された木材を流通させ、適切な森林管理をする人を支援し、森林の保全に寄与している。カーボン・ニュートラルは化石燃料を使わず、植物由来のエネルギーを使い、CO2を植物に吸収させ、CO2を増加させない。カーボン・オフセットでは自分のCO2ガス排出量を他者の削減量を購入し、埋め合わせ(オフセット)する。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.267,P2〜3)

●2008/4 岐阜県
・2008年ガンカモ調査結果報告 
 08/1/12〜18、県内87箇所で調査した。コハクチョウ2、マガン2、カモ類29,383羽が確認された。内訳はカルガモ6,831、マガモ6,499、コガモ5,525、ヒドリガモ3,645、キンクロハジロ1,415、オナガガモ1,371、オカヨシガモ643、トモエガモ576、ホシハジロ574等で、長良川下流のトモエガモは例年になく多い。地域別では木曽川下流、長良川下流で県下の6割を占める。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.486,P3,8〜9)

●2008/6 岐阜県
・ソウシチョウは困り者 
 ソウシチョウは1931年、神戸市で20羽の群が観察され、80年代からは九州、近畿、関東でも観察される。六甲山や筑波山では優先種になっている。環境省は05年、特定外来種に指定した。岐阜県では95年、岐阜市内で4羽が記録された事があるが、その後定着は認められない。06〜07年、岐阜市で2、3羽が越冬し、多治見でも同時期に越冬個体が撮影され、県内での定着が心配される。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.488,P7)

●2008/8 岐阜県
・鳥の右利き、左利き
 東京大学の樋口広芳先生が40羽のヤマガラで調べた結果では、右利きが6割、左利き4割であった。鳥の利き足は巣立ち後1〜2箇月ではっきりし、経験で身につけるらしい。利き足があるのはシジュウカラ科以外にオウム類、ワシタカ類で知られる。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.490,P7)

●2008/9 岐阜県
・ブッポウソウのいる村を訪ねて 
 長野県の天龍村を訪問した。ここでは90年にブッポウソウの繁殖が確認されたが、地域の人にはそれ以前からこの鳥が知られていた。99年、村の鳥に指定し、2000年に37箇所で橋を主に、巣箱を架けた。現在、6つの橋と役場で繁殖している。岐阜県北部ではブナ林で繁殖するが、岡山県でも天龍村でも樹木に架けた巣箱は使わず、違いがある。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.491,P9)

●2008/10 岐阜県
・アカアシミズナギドリ保護される 
 08/7/24、高山市のスキー場付近の道路で、アカアシミズナギドリが保護され、翌日、富山県の海岸で放鳥された。日本海側で確認される事が多い外洋性の鳥で、岐阜県では初記録で、県内の300種目の記録となる。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.492,P2)

●2008/11 岐阜県
・クモの巣に絡まったイワツバメ 
 08/6/10、高山市内の道路脇にイワツバメが地上でうずくまっていた。よく見ると、細いビニール紐のようなものが翼に絡んでいた。クモの糸を丁寧に取り除くと飛び立って行った。巣を作るため、クモの糸を利用する野鳥もおり、危険と隣り合わせである。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.493,P3)

・芭蕉と野鳥たち 
 芭蕉は約1000の俳句を残しており、調べた743句の内、39句に18種の野鳥が登場する。ホトトギスが11句、ヒバリ:5、カイツブリ、チドリ、スズメが各3、キジ:2、カモ、タカ、ウ、シギ、クイナ、ツル、ガン、コウノトリ、ゴイサギ、ツバメ、ハト、ウズラが各1であった。代表句として「鷹ひとつみつけてうれし伊良湖碕」「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.493,P8)

●2009/8 兵庫県
・2009年ツグミ終認記録 
 5月、神戸市西区で26km、約1時間回ってツグミを見た結果、5/5の2羽の後は、全く確認できす、今年のツグミの終認は5/5(昨年は5/6)とした。
(兵庫県「コウノトリ」NO.171,P2)

・メボソムシクイとオオムシクイ 
 見た目ではこの両種は区別がつかない。しかし、鳴声は全く異なる。メボソムシクイは地鳴きはジュとかジュジュと低く、弱々しい声で、囀りはゼニトリと4音で、4拍子である。その亜種とされるオオムシクイは地鳴きはジジッと高く大きな鋭い声で、囀りは尻下がりの早口のジジロ、チチロと3拍子と言われる。声の高さもメボソムシクイよりずっと高い。メボソムシクイには3拍子で囀る個体もいるが、4拍子と同じように声紋は平坦である。
(兵庫県「コウノトリ」NO.171,P12〜13)

●2009/8 北九州
・足輪ツルから判ったこと
 周南市で北帰行のツルの背に発信機を装着し、渡りルートを調査した事がある。海洋上に墜死したと思われる個体からの電波が3日間と15日間も発信続けた例がある。死体漂流では発信機は海水で機能しなくなる。ツルは飛べなくなった時、海上に不時着すると考えている。ナベヅルの雛は足が届かない水面では泳ぐし、飼雛中のタンチョウの親は足が届かない川面を渡る時は、雛を連れて泳ぐと、有名な写真家から聞く。しかし、水面から直接飛び立てず、大海原に着水は死を意味する。着水しても暫くは、水鳥のように海上を漂っているのでは。
(北九州「北九州野鳥」NO.278,P8)

・平成21年ガン・カモ調査報告 
 1/11〜14、曽根干潟を含む18箇所で調査した。結果はコクガン1、カモ類20種、24,337羽であった。内訳はスズガモ9,288、オナガガモ6,868、マガモ2,184、カルガモ1,481、ホシハジロ619、ツクシガモ601、キンクロハジロ567等。曽根干潟は12,253羽で、総合計の半数を占める。
(北九州「北九州野鳥」NO.278,P10〜11)

・ホオアカ調査報告
 5/24、小倉南区の平尾台でホオアカをカウントした。10.8kmの調査コースで、♂ソング26、雌雄不明37、計63羽で、全国的に見て、近畿以西では少ないが、ここでは高密度に生息している。

(北九州「北九州野鳥」NO.278,P10,12)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.485

●2009/8 滝川
・自宅のバードテーブルに来た鳥たち
●2009/8 秋田県
・秋田県内の初記録の鳥類 
・タンチョウ独り冒険の旅 
●2009/8 神奈川
・空からオタマ
・川の見方 
・崖の土を食べるカワラヒワ
●2008/12 岐阜県
・飛騨でのタカの渡り
●2009/8 三重県
・豊津浦、町屋浦のシギチドリ 
・ナベヅルの越冬地に銃猟禁止区域を設定
●2009/8-9 京都
・タカは千の風に乗って 
・巨椋池干拓地のケリの繁殖生態調査 
●2009/8 長崎県
・オシドリ分布調査
・佐世保市烏帽子岳のタカの渡り記録

●2009/8 滝川
・自宅のバードテーブルに来た鳥たち
 H20/12〜H21/4、会員アンケート結果より。ほぼ毎日来た鳥:ヒヨドリ、シジュウカラ、アカゲラ、シメ、スズメ、アトリ、ゴジュウカラ、ハシブトガラ、カラス、よく来た鳥:ムクドリ、キレンジャク、カケス、ヤマガラ、ハイタカ、ヒガラ、ツグミ。
(滝川「あかもず」NO.37,P11)

●2009/8 秋田県
・秋田県内の初記録の鳥類
 79年、支部発足時の県内の記録は255種、現在は341種である。2000年以降では下記22種が加わった。ホシムクドリ、セグロサバクヒタキ、ヨーロッパトウネン、ヒメウズラシギ、ワタリガラス、ハシグロヒタキ、クロコシジロウミツバメ、ツメナガセキレイ、ズグロカモメ、ヒメハマシギ、シロハラクイナ、シロアジアシ、ヒメハジロ、カナダカモメ、ヒメクイナ、ハマヒバリ、ギンムクドリ、イナバヒタキ、コオリガモ、カラフトムジセッカ、クロウタドリ、コヒバリ。
(秋田県「野鳥あきた」NO.52,P15〜18)

・タンチョウ独り冒険の旅 
 08/3、石狩市でタンチョウ幼鳥が見つかり、その後秋田県までやって来て10箇月滞在し、09/4、北海道南部へ戻った。北海道ではナベヅルと一緒になった。北海道のタンチョウは19世紀までは越冬のため一部本州へ移動していたと思われる。タンチョウの死因の6割近くが電線衝突等の人間生活による。この個体は、今年また、5/29、大潟村に帰ってきた。
(秋田県「野鳥あきた」NO.52,P29〜35)

●2009/8 神奈川
・空からオタマ 
 6/17現在、空からオタマジャクシの報道は怪現象扱いで、落ちているのはオタマと小鮒だけでは竜巻説は説得力に欠ける。新聞紙上で野鳥の会のコメントして「オタマは鳥にとってまずい食べ物で、栄養価も低い」とあり、これは適切なコメントでない。また、山階鳥研の「鳥が食べた物なら、消化され団子状になる、鳥は空中では吐かない」との断定調のコメントも載っていた。机上の理論でなく、フィールドワーカーの方が原因究明のヒントが得られる。事例はアオサギの繁殖地に近く、子育て最盛期で、サギが吐き出したものが本命である。
(神奈川「はばたき」NO,447,P3)

・川の見方
 支流を含めた一つの川全体を水系と呼ぶが、河口部の川名で呼ばれるとは限らない。流域は分水界に囲まれた範囲である。川の上流から見て、右岸、左岸決まる。一級河川は複数の都府県を流れ、国が、二級河川は県が管理している。河川法は1896年に制定され、1964年の改正で、治水から利水へ、97年の再改定で環境の要素が加わった。堤防は人家から見て、堤防間を堤外地、住宅地側を堤内地と称する。ヤナギ林やヨシ原は湿った所で、丸石河原は乾燥し、チドリ、コアジサシが営巣する。名前にカワラ(河原)のつく貴重な植物が疎らに
生える。
(神奈川「はばたき」NO,447,P6〜7)

・崖の土を食べるカワラヒワ 
 3/29、小田原市の川で、地層が露出している崖に数羽のカワラヒワがへばりつき、土を飲み込んでいた、ナトリウム不足解消のためか。支部の鳥類目録にはカワラヒワが海水を飲んだ、砂浜の海草を食べたとの記録がある。
(神奈川「はばたき」NO,447,P8)

●2008/12 岐阜県
・飛騨でのタカの渡り 
 88/9、乗鞍スカイライン夫婦松駐車場でタカの渡り観察が記録されている。90年からは支部の全県一斉調査が行われている。91/9/22、飛騨、信州堺の野麦峠、柳欄峠で約1000羽のサシバ、ハチクマ約1,000羽が、91/9/29、下呂町観音峠(白樺峠と岐阜市の金華山の中間)で約200羽が記録された。高山市のチャオスキー場(野麦峠の南西)は交通の便がよく、99年より観察している。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.494,P8)

●2009/8 三重県
・豊津浦、町屋浦のシギチドリ
 環境省モニタリング1000、シギ・チドリ調査結果に独自の調査結果を加え、解析した。キアシシギの秋の通過のピークは8月下旬で、ハマシギは1月頃に、400羽前後が見られる。08年からはミヤコドリが見られ、09/7/4に16羽が観察された。90年代までシロチドリは旺盛に繁殖したが、この10年は10羽以下の雛である。ミユビシギは世界に60万羽、東アジア飛行ルートには22,000羽、日本では秋に2,000羽程度が観察される。ここでは、その1%を超える300羽前後が確認され、この海岸は同鳥の重要な飛来地で、越冬個体も見られる。これ以上の海岸の改変は避けるべきである。
(三重県「しろちどり」NO.61,P5〜9)

・ナベヅルの越冬地に銃猟禁止区域を設定
 昨年末にナベヅル11羽が伊勢市に滞在し、今までにも何度か飛来があり、地元に伊勢豊浜ナベヅルを守る会が発足し、保護に乗り出したが、一時猟銃の音のためか、姿を消した。支部は同会と共に、県へ猟銃禁止を働きかけ、銃猟禁止区域が実現した。
(三重県「しろちどり」NO.61,P10)

●2009/8-9 京都
・タカは千の風に乗って
 タカ類が渡る時、帆翔のための高度は普通約200〜500mで、時には1500mを越す。高度1000m内の風に乗って渡っているのでは。上空の風を知るには気象庁のホームページで全国31箇所の気象監査装置ウィンドプロファイラーの観測結果が参考になる。
http://www.jma.go.jp/jp/windpro/
(京都「そんぐぽすと」NO.159,P17)

・巨椋池干拓地のケリの繁殖生態調査
 京都盆地の巨椋池干拓地の水田で、繁殖中、耕起で卵を壊された28個体のケリにカラーリングをつけてその後の様子を調べた。2週間後、同じ水田で再営巣したもの3個体(11%)で、他は調査地から去った。
(京都「そんぐぽすと」NO.159,P18)

●2009/8 長崎県
・オシドリ分布調査
 東彼杵郡とその近郊部でオシドリ個体数をカウントした。07/10〜08/4:初認10/17、終認4/15で1/20の一斉調査では♀387、♂564、計951羽であった。08/10〜09/4:初認10/5、終認4/6で1/18の一斉調査では♀40、♂27、計67羽で、08/11の計174羽から大幅に減っていた。
(長崎県「つばさ」NO.264,P2〜3)

・佐世保市烏帽子岳のタカの渡り記録
 08/9/1〜30の記録はアカハラダカ43,233羽、ハチクマ534、オオタカ11、ハイタカ1、サシバ15、ハヤブサ23、チゴハヤブサ3、チョウゲンボウ2、ノスリ1。ピークはアカハラダカは9/16の11,277羽、ハチクマは9/26の200羽であった。08/9/23のハチクマの県下一斉調査では、平戸市で976羽。佐世保市冷水岳では300羽を記録した。

(長崎県「つばさ」NO.264,P7〜8)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.486

●2009/8 道南桧山
・バルディーズの原則
・北海道では会員は増加傾向
●2009/9 東京
・東京都のワカケホンセイインコについて 
・外来種の現状を調査します 
●2009/2〜8 岐阜県
・托卵の話 
●2009/4 岐阜県
・2009年ガンカモ調査結果報告 
・ヒヨドリ大量死亡事故
●2009/8 山口県
・2009年春期シギ・チドリ類県内一斉調査結果 
・ガン・カモ・ハクチョウ類県内一斉調査結果
●2009/8 宮崎県
・金御岳のサシバ
・コアジサシの繁殖ピンチ
・ミゾゴイが営巣 トヨタのテストコース予定地 (8/7 中日新聞)

●2009/8 道南桧山
・バルディーズの原則
 89年、アラスカ沖で原油流出事故を起こし、10万羽以上の海鳥と100万頭以上の動物の命を奪った「バルディーズ号事件」を機に、米国の市民団体により定められた企業が守るべき10項目の環境保全倫理原則。その中に、環境への影響を伝える情報公開、損害賠償責任を負う、環境担当の役員の配置、年次監査報告の公表等がある。
(道南桧山「はちゃむ」NO.85,P7)

・北海道では会員は増加傾向
 会員が減少する中、善戦している上位10支部の中、北海道が6支部(小清水、江別、十勝、道南桧山、オホーツク、小樽)もある。これらは会員増加傾向にあり、当支部では人との関わりを大切にしている活動があるのかも。
(道南桧山「はちゃむ」NO.85,P11)

●2009/9 東京
・東京都のワカケホンセイインコについて 
 日本では1969年以降、籠抜け個体群が見られ、多くは消えたが、現在は東京都を中心に大きな群があり、千葉市、前橋市にも20羽程がいる。東京都大田区の東京工業大学の銀杏並木に1200〜1500羽が塒しており、周辺で巣立った雛は、徐々にその塒に集まってくる。塒から23kmの神奈川県大和市の調査では、塒から10km付近で巣外育雛期を過ごしていた。捕食者の影響と、巣穴への移動で、繁殖期が始まる頃には塒での数は減る。この塒から30km圏内の深い森でない場所に広がるが、雛への給餌は吐き出して行うため、洞への出入りだけでは繁殖の確証が難しい。
(東京「ユリカモメ」NO.647,P12〜13)

・外来種の現状を調査します 
 東京都ではソウシチョウは広く分布し、殆どの地区で確認されている。ガビチョウは23区以外に多く、カオグロガビチョウは大田区、世田谷区でも生息確認されている。支部はワカケホンセイインコと特定外来生物の野鳥4種の生息情報を求めている。
(東京「ユリカモメ」NO.647,P14)

●2009/2〜8 岐阜県
・托卵の話 
 世界には約80種の托卵鳥がいる。カッコウ科約130種の内、約50種が該当する。北米のコウウチョウ、アフリカのテンニンチョウでも見られる。カッコウは仮親との遭遇が少ない、夕方近くに托卵する。仮親はカッコウを見ると、追い回すが、しつこく攻撃される事で、近くに巣があると逆に知るのかも。私の調査ではオオヨシキリは1/4の巣で、カッコウの卵だけを排除していた。愛知県立大学の安藤教授はカッコウに体温測定装置をつけて放鳥した結果、夜間は10度程体温が下がっており、これが托卵と関係している?南米のオオハシカッコウは共同巣で互いに托卵し、北米のキバシリカッコウは自分の巣、同種の種、他種の巣に産卵し、托卵性のヒントになる。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.496〜502)

●2009/4 岐阜県
・2009年ガンカモ調査結果報告 
 1/10〜17、県下83箇所を調査した。ガン類1羽、カモ類24,276羽が確認された。内訳はカルガモ5,629、コガモ5,079、マガモ4,177、ヒドリガモ2,968、キンクロハジロ2,005、オカヨシガモ1,139、ホシハジロ641、ヨシガモ624、カワアイサ473等。カルガモ、コガモ、マガモは3年連続して減っている。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.498,P3,8〜9)

・ヒヨドリ大量死亡事故 
 美濃加茂市でヒヨドリが24羽、大量死した。岐阜大学の調査では、嘔吐物が呼吸細気管支に入り、ピラカンサの誤嚥に起因する高度肺鬱血となり、呼吸困難で死亡したとされ、病理学的に他の要因は否定された。嘔吐の原因に何かあるのかも知れない。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.498,P12)

●2009/8 山口県
・2009年春期シギ・チドリ類県内一斉調査結果 
 4/29、県下21箇所で調査した。30種、3,211羽を記録した。内訳はチュウシャクシギ1,582、ハマシギ895、アオアシシギ102、タカブシギ88、タシギ66、オバシギ49、ダイゼン47、オグロシギ47、キアシシギ46、ムナグロ44、イソシギ35、コチドリ35、ソリハシシギ32、オオソリハシシギ25、ウズラシギ25、トウネン22等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.204,P12)

・ガン・カモ・ハクチョウ類県内一斉調査結果
 1/12、県下44箇所で調査した。総計23,629羽で、内訳はガン、ハクチョウ類は0、ヒドリガモ8,751、マガモ5,902、カルガモ1,917、オナガガモ1,575、オカヨシガモ1,213、ホシハジロ996、コガモ901、ヨシガモ634、キンクロハジロ558、オシドリ532、ウミアイサ286、ハシビロガモ124等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.204,P13)

●2009/8 宮崎県
・金御岳のサシバ
 ここでは9月中旬からサシバの渡りがあるが、10/9を中心に前後1週間に集中する。過去7年間の平均では10/5:618、10/6:1,099、10/7:1,132、10/8:966(天気が悪い日が多かった)、10/9:2,284、10/10:1,362、10/11:1306、10/12:1,141、10/13:598。総数は02年:21,204、以後16,000〜18,000で2万台にはならない。昨年は18,018。調査のボランティア募集している。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.215,P2〜4)

・コアジサシの繁殖ピンチ 
 串間市の福島港で繁殖するコアジサシを保護するため、4月末〜8月、保護地域の占有の許可を受け、草刈、ゴミ拾い、看板設置、ロープ張りをした。2名が毎日2時間、監視にあたった。5/10、抱卵確認、150羽程に増え、6/3、雛誕生したが、放し飼いの犬にやられた。地元テレビで放映し、犬の被害が無くなったが、その後は野良猫の進入があり、巣立ち1羽のみであった。アニマルネットで防護柵が必要で、行政へコアジサシの保護の現状を報告した。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.215,P5〜6)

・ミゾゴイが営巣 トヨタのテストコース予定地 (8/7 中日新聞)
 愛知県企業庁とトヨタ自動車が豊田市と岡崎市で計画する、テストコース予定地で、絶滅危惧TB類のミゾゴイ(世界で1000羽程度の説)の営巣を「21世紀の巨大開発を考える会」と野鳥の会愛知県支部が確認した。両会と愛知県野鳥保護連絡協議会、日本湿地ネットワークは環境省に影響回避の助言をするよう要望した。代替地の検討、ラムサール条約登録地を求めている。県企業庁も3箇所で9羽のミゾゴイを確認しており、「ラムサール条約登録申請の国内要件を満たさない」としている。これは今秋の「自然環境保全技術検討会」に諮問される。

(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.215,P17)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.487

●2009/8-9 宮古
・風力発電、人も苦しめる 
●2009/8-9 軽井沢
・ニホンジカによる高山植物の食害状況 
●2009/9 千葉県
・2009年カモ類調査報告 
・ササゴイとクロサギのコロニー 
●2009/9 長野
・2009年カッコウ初鳴き調査まとめ
●2009/3-7 岐阜県
・森林保全と生物多様性
●2009/9 大阪
・野鳥の地方書の調査 
・カツオドリ、大阪初記録
・コウノトリの巣に絶滅危惧の昆虫 (6/10 神戸新聞)
・世界最古のシロハヤブサの巣発見 (6/21 GIGAZINE)
・クマゼミがアブラゼミを追いやる (8/2 日経新聞)
・小翼羽 
●2009/9 福岡
・フラッシュでの撮影

●2009/8-9 宮古
・風力発電、人も苦しめる 
 風力発電はクリーンエネルギーとして、今年3月現在、全国に1500基(186万KW)が設置されている。人家より200m設置の例もあり、耳鳴りや頭痛、眩暈が酷く、体調不良を訴える住民が増えている。風車が出す100Hz以下の低周波音が原因として、愛知、静岡、兵庫、愛媛各県で健康被害が訴えられている。豊橋市の例では因果関係がはっきりしないとして、終日運転している。中部電力の13基では低周波被害の安全基準が無く、住民の理解が得られないとして、計画凍結した。環境省は今年度、初の現地調査をすると報じられた。
(宮古「ミサゴの海」NO.205,P2)

●2009/8-9 軽井沢
・ニホンジカによる高山植物の食害状況 
 長野県の鹿の分布は南部に集中し、南アルプスでは適正密度の5倍が生息と言われる。県北部の戸隠、飯山にも進入している。千曲川源流では2000年頃から、シカの食害が顕著になり、レンゲショウマ、ツバメオモトも消滅した。食圧のため、小さなマイズルソウは更に矮小化し、クガイソウ、クルマユリのような背丈の高い植物は、こぞって無くなっている。逆に毒のあるマルバダケブキやバイケイソウは増えている。シカは雪に弱いためか北岳や白根三山での被害は殆ど無い。しかし、白根三山に81年、ライチョウ縄張りが63あったが、現在14に減り、サルとシカの影響と思われる。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.316〜7)

●2009/9 千葉県
・2009年カモ類調査報告 
 1月、県内97地点で調査した。総計100,198羽で、内訳はオオハクチョウ26、コハクチョウ129、スズガモ65,795、オナガガモ7,832、コガモ6,422、ヒドリガモ5,295、マガモ4,507、カルガモ3,755、クロガモ1,901、キンクロハジロ1,685、ホシハジロ933、ヨシガモ869、ハシビロガモ417、オカヨシガモ378、ビロードキンクロ122、オシドリ105等。ここ4年間は総計10万前後と安定している。海岸線180kmで6定点観察では全体把握が難しい。
(千葉県「ほおじろ」NO.341,P3〜6)

・ササゴイとクロサギのコロニー 
 ササゴイは千葉県では珍しい。5月、南房総の2箇所でクロサギのコロニー内でササゴイの繁殖が確認された。3番のクロサギの傍に1、2番のササゴイの小規模である。
(千葉県「ほおじろ」NO.341,P11)

●2009/9 長野
・2009年カッコウ初鳴き調査まとめ 
 会員からの情報をまとめると、長野市周辺では今年のカッコウの初鳴きは5/16〜28で、ツツドリは4/19〜5/15、ホトトギスは5/17〜29、ジュウイチは5/5〜26であった。ツツドリの渡来が最も早い。カッコウは市街地でも鳴くが、その他は山間部が多い。
(長野「野鳥ながの」NO.474,P6〜7)

●2009/3-7 岐阜県
・森林保全と生物多様性
 「○○の森」の多くは何かしら自治体が関与している。下草や低木を刈り取り、小奇麗な林は、生物多様性の評価からは、豊かな自然とは言えない。園芸種が植えられ、金を使って自然破壊をしている。地域の自然をよく知る事が大切である。奥山の公有林でも未だ、自然林を伐採し、植林をしている。植林による生態系への悪影響についての記事は少ない。本来自生しないもの、園芸種を植えたり、元々生えている樹木を伐採し、他の単独種を植えたり、希少な動植物がいる湿地を壊したりがある。植樹=無条件に自然に良い事と思い込み、「生態系を乱す目的で実施している訳ではない」との弁解のみである。
(岐阜県「濃飛の野鳥」NO.497〜501)

●2009/9 大阪
・野鳥の地方書の調査
 03年、WINGで「野鳥関係の地域資料」を調査し、「野鳥をよむ」(アテネ書房)の巻末「野鳥の本リスト」を加筆した「野鳥和書集成」の松田道生氏も訪ねた。05年、「鳥類地方書目録」を自費出版し、07年、関東、北陸、中部の地域別鳥類文献目録を発行した。10年には「鳥類地方書目録」を、調査、研究の参考書として発行予定。
(大阪「むくどり通信」NO.203,P3〜4)

・カツオドリ、大阪初記録
 7/22、港区の海岸で衰弱したカツオドリが保護され、翌日、回復し、放鳥された。大阪湾ではカツオドリは初記録となる。
(大阪「むくどり通信」NO.203,P9)

・コウノトリの巣に絶滅危惧の昆虫 (6/10 神戸新聞)
 豊岡市のコウノトリの人工巣塔で、絶滅危惧扱いのアカマダラコガネが確認された。数年前、ハチクマの巣で幼虫が見つかり、この昆虫は大型の野鳥と何らかの関係があると考えられる。
(大阪「むくどり通信」NO.203,P10)

・世界最古のシロハヤブサの巣発見 (6/21 GIGAZINE)
 猛禽類の巣として世界最古のものがグリーンランドで発見された。シロハヤブサの巣で、放射性炭素年代測定で、2360〜2740年前から使われ、それ以外でも3箇所で1000年以上前の巣が見つかり、巣の中で600年以上前の鳥の羽も確認された。(GIGAZINEはブログ形式のニュースサイト)
(大阪「むくどり通信」NO.203,P10)

・クマゼミがアブラゼミを追いやる (8/2 日経新聞)
 大阪ではアブラゼミが減り、クマゼミが目立つが、温暖化で南方系のセミの進出と考えられていたが、大阪市立環境科学研究所の山崎一夫氏の調査では、セミを食べるヒヨドリの増加が影響しているのではとしている。クマゼミは遠くへ逃げ去るが、アブラゼミは遠くへ逃げず、鳥の捕食を受けやすく、都市部のアブラゼミが減ったという。
(大阪「むくどり通信」NO.203,P10)

・小翼羽
 初列風切最外側羽根のすぐ外側にある小さな羽で、種により数が2〜7枚と異なる。多くは3、4枚で人の親指に当たる所に縦に重なって付着している。羽軸も羽弁も頑丈で、飛翔速度が落ちた時、親指を立てるように、この羽を立て、翼縁に隙間を作り、そこを通って翼の上面の空気の流れが高速になり、揚力をつけ、離陸や、着陸時に使う。大型の鳥でよく見え、アオサギの着地時、正面から最も見易い。
(大阪「むくどり通信」NO.203,P12)

●2009/9 福岡
・フラッシュでの撮影 
 アオバヅクの営巣木でフラッシュをバンバン焚いて撮影する人がいる。さらりと注意するのがポイントである。複数から言われると本人も気づく。写真展では明らかにフラッシュを焚いた写真は、駄目と伝えましょう。自動発光装置は必ずオフにして撮影しましょう。

(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.359,P7)

○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.488

●2009/9-10 群馬県
・コシジロアジサシ 
●2009/9 埼玉県
・日本鳥類目録の現状と展望 
●2009/9 南富士
・密猟、違法飼養取締りの現実
●2009/9 静岡
・2009春のタカの渡り 
●2009/9 滋賀県
・コアジサシ、アカショウビンの繁殖地の保護 
・サメビタキ属
・目立たぬ存在アナグマ
・子ども達とツバメ観察
・注目すべき県内の記録
●2009/9 岡山県
・風力発電予定地での鳥類調査を終えて
●2009/9 北九州
・ハチクマが東シナ海を渡るのはなぜ?
・全国野鳥密猟対策連絡会の活動について
●2009/9 筑豊
・ソウシチョウ調査

●2009/9-10 群馬県
・コシジロアジサシ 
 コシジロアジサシはサハリン、カムチャッカ、アラスカ沿岸で繁殖し、越冬地は不明で、日本では記録が少ない。95年、群馬県と埼玉県堺の利根川で初めて見られ、その後も毎年同地で渡りの時、少数が見られる。04/5/5:11羽、08/5/14:4羽等。
(群馬県「野の鳥」NO.295,P2〜4)

●2009/9 埼玉県
・日本鳥類目録の現状と展望
 2000年、日本鳥学会は「日本鳥類目録」改訂第6版を発表したが、多くの種の分類が検討中保留とされ、5版から26年も経って、コジュケイは外来種、亜種シベリアツメナガセキレイは認めないとの結論は遅い。欧米では遺伝子の比較で種の判定が導入され、従来の研究方法と補完している。最近発行されたMaek Brazi氏の「Birds of East Asia」によると、コガモとアメリカコガモは別種となり、ハチジョウツグミ、リュウキュウキビタキ、リュウキュウサンショウクイ、オオトラツグミ、チョウセンウグイス、イシガキシジュウカラは大胆に独立種になっている。海外の文献で日本の野鳥を問い直すのも一考では。
(埼玉県「しらこばと」NO.305,P2〜3)

●2009/9 南富士
・密猟、違法飼養取締りの現実 
 野鳥の密猟や違法飼養の取締りに鳥獣保護員は協力している。裁判になると正式な鑑定書が必要になる。これが技術的に可能なのは通常は標識調査員(バンダー)であるが、現実の裁判では鳥獣保護員の意見が優先的に採用される。両者が同一であれば、問題無いが、資格を持たぬものが鳥体を手にするには、法改正も必要になる。静岡県では、押収した野鳥の内、施設に持ち込まれるのはほんの一部で、他は放鳥されるが、飛翔力が落ちている個体は死を意味する。
(南富士「さえずり」NO.322,P7)

●2009/9 静岡
・2009春のタカの渡り 
 3/16〜5/27の内、33日間、静岡市葵区平山農道で、タカの渡りを観察した。総計はサシバ338、ピークは4/6の143。ノスリ154、渡りはダラダラと続く。ハチクマ38、5/11以降通過。オオタカ20、調査の早い時期に多くが通過。ハイタカ15、ツミ11等。5/21、ハチクマがディスプレイ(両翼を背面で合わせる)して通過した。
(静岡「野鳥だより」NO.367,P8〜9)

●2009/9 滋賀県
・コアジサシ、アカショウビンの繁殖地の保護 
 草津市で池が埋立てられた更地でコアジサシが20組ほど繁殖している。市にお願いし、柵と立入禁止の立て看板を設置し、十数羽の巣立ちがあった。寺院の境内で繁殖するアカショウビンにカメラマンが間近に来るため、同地保存会と支部の連名で、鳥類繁殖地、立入禁止の看板を設け、ロープを張った。会員にもマナーの悪いカメラマンに注意するよう徹底し、改善された。
(滋賀県「におのうみ」NO.18,P12〜13)

・サメビタキ属
 エゾ、サメ、コサメビタキはサメビタキ属と呼ばれ、姿形がよく似ている。サメビタキはアイリングが明確で、コサメビタキは目先の白が目立つ。嘴はエゾビタキが最長で、コサメビタキの下嘴にオレンジ色がある。エゾビタキは後ろから見ると、白い線が目立つ。サメビタキは胸の模様に濃い色の筋があるものがいる。フライングキャッチで飛んでいる虫を捕らえるため、嘴の周りに羽毛が変化した長い髭があり、虫を捕らえるのに失敗した時、パチンと嘴を閉じる音がする。
(滋賀県「におのうみ」NO.18,P15)

・目立たぬ存在アナグマ 
 ムジナ(狢)は多くはアナグマを指し、一部ではタヌキを指す。同じ穴のムジナと言われ、アナグマが掘った穴にタヌキも住み着く。この混同がタヌキ鍋の誤解を生んだ。タヌキの肉は臭くて不味く、アナグマは美味で、正体はアナグマ鍋であった。嘗ては冬眠しているアナグマの穴を掘り、捕っていたが、今は数が少ない。テンやクマ同様、受精後着床遅延で春の出産となる。多様性を生み出す小撹乱を行う動物はエコロジカルエンジニアと呼ばれ、林床に複雑な穴を掘るアナグマは、生態系の多様性に寄与している。
(滋賀県「におのうみ」NO.18,P21)

・子ども達とツバメ観察 
 草津市では各公民館で子供対象に「わんぱくプラザ」という事業が行われている。H19年から街のツバメを調査しよう!と支部が協力している。ツバメの基本的な生態を説明し、現場へ出て地図に記入している。支部のツバメの塒入り観察会にも参加する子供もおり、「子ども環境会議」にも出展した。
(滋賀県「におのうみ」NO.18,P22〜23)

・注目すべき県内の記録
 5/29、草津市下物で電線に止まるアカアシチョウゲンボウ(成♂)の写真が撮られた。滋賀県内初記録である。7/3、多賀町でホオジロカンムリヅルが見られた。アフリカの鳥で、昨年9月、千葉県の動物園から逃げた個体で昨年から県内に来ていた。
(滋賀県「におのうみ」NO.18,P27)

●2009/9 岡山県
・風力発電予定地での鳥類調査を終えて 
 津山市の五輪原高原で予定されている32基、8万KW出力で、5月に環境影響評価実施計画書の公告、縦覧を受け、支部は1年にわたる鳥類調査を実施し、7/21、岡山県知事に要望書を出した。風車予定地はクマタカ、イヌワシが利用しており、建設中止に向けて事業者を指導する事、サシバ、ハチクマ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、ハヤブサも事業予定地を通過しており、建設中止を要望する。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.174,P2)

●2009/9 北九州
・ハチクマが東シナ海を渡るのはなぜ? 
 長崎県の福江島から中国大陸まで約600km、何故、ハチクマはリスクをおしてこれほど長い海を渡るのか。九州と大陸がつながっていた昔から渡っていた結果の説があるが、沖縄方面の島伝いには無い、渡った先の大陸にハチクマにとっていい事があるのでは。
(北九州「北九州野鳥」NO.279,P8)

・全国野鳥密猟対策連絡会の活動について 
 野鳥の会の30年間の活動で実現した「かすみ網の捕獲目的での所有、使用、販売禁止」の法律改正を受け、専門的な取り組みのため92年同会(通称、密対連)が京都で発足した。支部も入会しており、03年から4年間、野鳥販売店調査を実施した。今年は11/28、29、熊本市で第17回シンポジウムが予定される。
(北九州「北九州野鳥」NO.279,P10)

●2009/9 筑豊
・ソウシチョウ調査
 8/18、英彦山で6コース、ラインセンサス(左右50m)で野鳥をカウントした時、ソウシチョウは総計262羽を記録した。ヤマガラは45羽、ヒヨドリ32、シジュウカラ27、ガビチョウは2であった。今後、モニタリング1000の調査方法「スポットセンサス」(約250m間隔毎に定点を設け、10分間観察)に変更も検討する、携帯GPS測位活用も検討する。

(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.379,P8〜9)

(自然保護室ボランティア・神奈川支部/森 要)

事務局からのお知らせなど

普及室より

■オリジナル年賀はがき販売開始!■

 毎年皆様からご好評をいただいておりますオリジナル絵柄の年賀はがきを販売しております。今年は、当会が重点的に保護事業を進める「カンムリウミスズメ」や、今までなかった横書きデザインの「ルリビタキ」にもご注目ください。
 ぜひ、探鳥会等でご案内いただき、商品を通じた野鳥のすばらしさの普及、会員・支援者の輪の拡大、販売促進にご協力いただければ幸いです。


●商品番号610143 年賀はがき トラツグミ/村上康成
 50枚組 4,400円
●商品番号610144 年賀はがき カンムリウミスズメ/水谷高英
 50枚組 4,400円
●商品番号610145 年賀はがき ルリビタキ/小林絵里子
 50枚組 4,400円

・お年玉付年賀はがき[郵便事業(株)発行]にイラストとカンムリウミスズメロゴマーク、日本野鳥の会シンボルマークに加え、メッセージ「日本野鳥の会は、創立75周年を機に、カンムリウミスズメを守る取り組みに着手しました。」を印刷。
・図柄は3種類で、各50枚(4,400円)からご注文を承ります。50枚以上は、どの絵柄でも10枚単位(880円)で追加注文をお受けします。
・インクジェット紙ではありません。

●年賀はがきのご注文
@各支部の販売事業ご担当者様まで  または
A日本野鳥の会 普及室 通信販売係
〒141-0031  東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2626 FAX:03-5436-2636

●本件についてのお問い合わせ
普及室 販売出版グループまでお願いします。
 TEL:03-5436-2623  FAX:03-5436-2636
 [email protected]

(普及室/瀬古智貫)

■12月は「ウィンターフェア」開催!支部卸販売をご利用下さい■

 会誌「野鳥」12月号に「ウィンターフェア2009」のカタログを同封させていただきます。また、支部販売事業ご担当の皆様には、11月下旬に当フェアについての支部卸販売のご案内を別途お送りいたします。
 掲載商品は、全て支部卸販売の対象商品となります。探鳥会やイベント等で会員や参加者の皆様にご案内いただき、支部でご注文を取りまとめていただければ、支部卸価格で販売させていただきます。商品を通じたコミュニケーション、支援者の輪の拡大にぜひご活用ください。
 定番の光学機器の割引セールですが、今回は25〜45%OFFの商品が目白押し!です。

●本件についてのお問い合わせ:
普及室 販売出版グループ

(TEL:03-5436-2623、FAX:03-5436-2636、[email protected])までお願いします。

(普及室/瀬古智貫)

総務室より

■新制度対応検討委員会開催のお知らせと傍聴募集について■

  新制度対応検討委員会(第10回)を下記の通り開催いたします。 傍聴のご希望を承りますので、ご希望の方がいらっしゃる支部はお取りまとめのうえ下記方法にてお申し込みください。なお、会場に限りがございますため、ご希望多数の場合は抽選とさせていただきますことを予めご了承ください。

●新制度対応検討委員会(第10回)
【日時】 2010年1月18日(月)14:00〜17:00(予定)
【会場】 (財)日本野鳥の会 西五反田事務所 会議室(予定)
【傍聴申込方法】
@支部名、A申込責任者の方の氏名・お電話番号、B傍聴ご希望の方の氏名(ふりがな)・お電話番号(日中つながるもの)をご明記の上、1月8日(金)迄にメールまたはファックスにてお申し込みください。
【お申込・お問い合わせ】
(財)日本野鳥の会 総務室総務グループ 五十嵐、小川
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
Eメール:[email protected]

(総務室/五十嵐真)

■新制度対応検討委員会議事録■

 10月14日、「新制度対応検討委員会第9回」が当会西五反田事務所にて開催されました。本件については支部の皆様にも重要な意味をもつことから、本検討委員会の議事録を本通信上で公開しております。

●新制度対応検討委員会(第9回)議事録
【日時】2009年10月14日(水)14:00〜16:10
【場所】(財)日本野鳥の会 西五反田事務所 会議室
【出席】佐藤仁志委員長、遠藤孝一副委員長、鈴木君子委員、吉田新委員、松田道生委員、川端一彦委員、伊藤直人委員、阿部裕行アドバイザー、永島公朗アドバイザー
【事務局】飯塚利一事務局長、安西英明主席研究員、小林豊会員室長、岩下路子総務室長、五十嵐真総務室員、小川富由美総務室員
【傍聴】室瀬秋宏十勝支部長
【欠席】なし

委員長挨拶
 佐藤仁志委員長よりご挨拶があった。

傍聴紹介
 傍聴として、室瀬秋宏支十勝支部長の紹介があった。

報告1.第8回委員会以降の動きについて
 五十嵐真総務室員より、5月30日開催の理事会および評議員会にて、「定款の変更の案(骨子案)」、「最初の評議員の選定に関する選定委員会(以下、選定委員会)」について承認されたこと、7月28日に最初の評議員選任方法について環境省より認可されたこと、10月20日開催の理事会(臨時)にて外部委員3名の選出が承認される予定であること、また、8月末時点における全国の認定認可状況等について報告があった。

議題1.「定款の変更の案」について
 五十嵐総務室員より、前回の会合以降に加えた変更点として、第4条「事業」、第5条「財産の種別」、第25条「役員及び会計監査人の設置」、第26条「役員並びに会計監査人の選任」等について、変更内容の説明が資料に基づきなされた。

 佐藤委員長より、第4条「事業」について、当会オリジナル商品に関する事業は公益目的事業と位置付けること、一方、仕入商品に関する物販事業は収益等事業と位置付けること、岩下総務室長より、現状の事業を整理し、公益目的事業は自然保護事業と普及事業とに分け、それぞれ収支相償となる形で認定申請するとの説明があった。

 これを受け審議が行われた結果、原案通り承認された。

議題2.支部代表者会議(仮称)について
 事務局より、議題に関するこれまでの議論を取りまとめた資料が配布された。

 平成20年度第1回理事会および評議員会を始め全国支部・ブロック連絡会等において、新制度への移行に伴い、新たに会員・支部の意見を財団運営に反映する仕組みが必要であることは確認されており、その具体化に向けて意見交換を行った。

 意見交換において、会議体としてのあり方、開催の目的、開催の頻度、費用負担等についてさまざまな意見が出され、これらを事務局において整理することとなった。

 出された意見の主なものとして、会議体のあり方については、会議体を新設すべきとの意見と既存のブロック協議会を活用すべきとの意見が出された。開催の目的については、財団と支部(連携団体)との意見交換の場、活動方針や事業理念等を共有する場、支部等の地域活動の成果を発表する場、課題解決のための場といった意見が出された。

議題3.次回の日程について

  次回(第10回)は、2010年1月18日(月)14:00〜17:00西五反田事務所にて、開催することとなった。

(総務室/田中 綾)

会員室より

■会員数■

●11月6日会員数42,045人(対前月-68人 )

 会員数は先月に比べ68人減少しました。
 10月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より122人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。10月の入会者数は99人で、前年同月の入会者数163人に比べ64人減少しました。
 また、10月の退会者数は221人で、前年同月の退会者数 215人に比べ6 人と増加となりました。

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とはずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。


備考:その他は海外在住の会員を示します。

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

●全国連絡会のお申し込み受付中です
 8月号でお知らせしました全国連絡会、下記のとおり開催です。ご参加をどうぞお願いいたします。
 各プログラムの詳細は、10月号をご覧ください。
●日時:2010年1月30日(土)〜31日(日)
●会場:川崎グランドホテル(川崎駅徒歩10分)
     http://www.kawasakigrandhotel.jp/
●参加費(予定):
 ○シングル室 1名15,000円
 ○ツイン室(二人部屋) 1名13,000円
※部屋数に限りがありますので、先着順です。
●日程:
30日(土)
 13時00分 受付
 13時30分 開会
   柳生会長よりの挨拶
   会の趣旨説明
 14時00分
   保護調査関係情報交換会
   「カンムリウミスズメを中心とした海鳥の調査と保護の取り組みの促進について」
 17時30分 一日目会議終了
 18時00分 懇親会
31日(日)
  9時00分
   普及教育関係情報交換会
   「探鳥会への一般・非会員の参加促進について」
 12時00分 昼食
 13時00分 
   制度変更進捗と当連絡会の今後について
 15時00分 閉会
●申込:
 【参加申込】ブロック・支部名、氏名、シングル・ツインの別、連絡先を明記の上、ハガキ、FAX、メールで下記までお送りください
 締め切り/12月10日到着分まで
 ・シングル室、ツイン室は先着順でお取りします
 ・上記ホテルで確保している部屋数を超えた場合は、他のホテルをご紹介することになります


●メール配信をご利用ください
 本通信はメール版も発行しており、支部単位で2アドレスまで送付先をご指定いただけます。印刷版では送付部数が限られますが、メール版ですと幹事さんがたくさんいても簡単に転送でき、情報共有に便利とお思います。
 転送の範囲は、特に定めていません。一般の会員さんにはお届けしていない通信ですが、お見せできないものではありませんので、転送の範囲は各支部にお任せしております。実際、一般会員が参加されているメーリングリストに転送さている支部もございます。
 メール配信のお申し込み、お問い合わせは末尾のメールアドレスまでお願いします。

(会員室長/小林豊)

支部ネット通信 第68号
◆発行
財団法人日本野鳥の会  2009年11月20日
◆担当
会員室
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2632
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]