No.147 2016年06月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせなど
第21回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会
 相双大会の報告

◆事務局からのお知らせなど
6月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版
 の取り組み

『Strix』第33巻への投稿をお待ちしています!
支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ
2017年会員証作品を募集中
平成28年熊本地震への対応状況
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.798

●2016/4 札幌
・野鳥アイヌ語ぽつりぽつり
・札幌にオオセグロカモメを呼びこんでいた
・2016年オオワシ・オジロワシ一斉調査
●2016/4 埼玉
・「Japanese」の鳥
●2016/3 千葉県
・国内初1億年前の恐竜の卵(1/9日本経済新聞)
●2016/3 新潟県
・里山環境とサシバの繁殖生態
・携帯GPSを使ったノジコの分布調査
・山地渓谷でハヤブサが繁殖
●2016/4 奈良
・オジロビタキとニシオジロビタキ
・2016ガンカモ調査
●2016/3 和歌山県
・ガンカモ調査
●2016/4 福岡
・ 真田丸

●2016/4 札幌

・野鳥アイヌ語ぽつりぽつり
 アイヌ語でチカプやチリは、鳥を意味する。カムイチカプ(神鳥)はシマフクロウである。ハチャムはムクドリとされるが、漁狩猟に余り関係していないハチャムが地名として残っているとされるが、ハッ・サム(山葡萄・の傍)かも知れない。増毛はマス(カモメ)ケ(来る)の意味であろう。ケイマフリはケマ(足)フレ(赤い)からで、エトピリカはエト(嘴)ピリカ(美しい)である。シジュウカラはパケ(頭)クンネ(黒い)と言う。オオジシギは鳴き声からチビヤクと呼び、セキレイ類はオウチ(交尾する)チリ(鳥)と言う。鳴き声からはカッコク(カッコウ)、トゥトゥッ(ツツドリ)、ワウ(アオバト)がある。アカショウビンはウユィケ(震える)チリ(鳥)と呼び、トラツグミはシプイ(肛門)マウ(風)クシ(通る)とし、声が尻から出ているとされた。参考書:分類アイヌ語辞典動物編 千里真志保、コタン生物記V 更科源蔵、北海道の地名 山田秀三。
(札幌「カッコウ」NO.382,P4〜7)

・札幌にオオセグロカモメを呼びこんでいた
 2002/6、海岸から十数Km離れた札幌中心街で数組のオオセグロカモメが立体駐車場屋上で繁殖した。2000年頃、札幌中央卸売市場に生ゴミや毀れた魚を拾いに来るオオセグロカモメが話題になっていた。札幌市のゴミ収集も整備され、中央卸売市場も建て替えられ、現在はオオセグロカモメが手を出せる状態でない。しかし、今も札幌市内の立体駐車場屋上で繁殖しており、近くの豊平川等の豊富な餌を利用している。
(札幌「カッコウ」NO.382,P10)

・2016年オオワシ・オジロワシ一斉調査 
 2/21、石狩川を中心に調査した。オジロワシ23羽を確認した。この調査は1980年、ワシ類合同調査グループが道東からスタートし、1985年には北海道、本州北部でも実施されるようになった。
(札幌「カッコウ」NO.382,P10)

●2016/4 埼玉
・「Japanese」の鳥
 英名でJapaneseが付く鳥名が22種いる。内16種は日本では留鳥で、他も日本を中心にした狭い地域で棲息している。日本固有種とされる鳥は10種、その内、Japaneseが付くのはカヤクグリとアオゲラの2種のみである。目録7版でJapaneseが無くなり改名された英名はタンチョウ、トキ、ノジコで、タンチョウは中国が国鳥に選定しようとしたが、Japaneseが付いていたので、取りやめたとか言われる。トキは日本固有種が絶滅しているので当然かも。逆に英名にJapaneseが新たに付いた種は4種ある(サンコウチョウ、シジュウカラ、イカル、メボソムシクイ)。
(埼玉「しらこばと」NO.384,P2〜3)

●2016/3 千葉県
・国内初1億年前の恐竜の卵(1/9日本経済新聞)
 兵庫県は丹波市にある1億1千万年前の地層から、小型恐竜か鳥類と思われる卵の化石4点と卵殻片約100点が見つかったと発表した。化石は4cm高、2cm幅で表面の模様から小型獣脚類恐竜か鳥類のものと判断された。卵の形状を留めた化石として国内初である。
(千葉県「ほおじろ」NO.419,P13)

●2016/3 新潟県
・里山環境とサシバの繁殖生態
 サシバは西日本や関東地方で減少が著しく、東北地方ではそれは小さい。魚沼市の400kuで5月上旬〜7月末調査した。サシバの行動圏は営巣林から半径500mと言われる。結果は25箇所でサシバを確認、内訳は繁殖5箇所、番形成6箇所、単独14箇所、幼鳥3箇所(6羽)であった。7/21には成鳥を見なくなる。7月後半、幼鳥は分散し、繁殖地からいなくなる。
(新潟県「野鳥」NO.81,P2〜3)

・携帯GPSを使ったノジコの分布調査
 ノジコは日本でのみ繁殖が確認されており、繁殖分布は中部地方から東北地方の一部に限られている。新潟県では上・中越地方に多い。H27/4/30〜7/3、ルートセンサスで、ノジコを確認した場所を携帯GPSで記録した。これより見えてくるノジコが選んでいる環境は湿った崩土と思われる。新しい時代に堆積した砂や岩があり、地殻変動で隆起し、崩壊が生じている場所で、このような堆積層は新潟県では上・中越地方に多く、東北地方に多く、西日本には少なく、ノジコの分布偏りに影響している可能性が高い。ノジコが何故湿った崩土を好むのか不明であるが、湿った崩土には餌の虫が多い?
(新潟県「野鳥」NO.81,P4〜5)

・山地渓谷でハヤブサが繁殖
 3/9、交尾を確認。3/14、大雪で真冬に逆戻り。5/17、抱卵確認。6/7、1羽孵化。7/10、1羽が巣立つ。8/1、幼鳥確認最終日。
(新潟県「野鳥」NO.81,P6〜7)

●2016/4 奈良
・オジロビタキとニシオジロビタキ
 学術論文化された記録が無いとしてニシオジロは検討種とされたが、今村(2014)が出て、日本産鳥類種になる見込み。両者の識別には複数のポイントでの合わせ技が重要である。上尾筒:オジロは光沢のある漆黒色、ニシは黒褐色。斜めから見ると識別は困難。嘴:オジロは全て黒で頑丈、ニシは下嘴基部が肉食で小ぶり。これに反する個体もいる。体下面:オジロは喉が白っぽい、胸や上腹は灰色がかる、ニシは全てバフ色。体上面:オジロは大雨覆、三列風切の羽縁が太く、汚白色、ニシは羽縁は細く、バフ色味。声:オジロはニシの2倍のテンポ。ニシは人の耳で鳴声の回数を数えられる。
(奈良「いかる」NO.153,P3)

・2016ガンカモ調査
 1/9〜18、奈良県内52箇所を調査した。総計18,628羽で内訳はコガモ5,589、マガモ3,404、オシドリ2,908、カルガモ2,178、オナガガモ1,573、ヒドリガモ1,404、ホシハジロ638、キンクロハジロ442等。海ガモのホオジロガモ3、スズガモ1は内陸部では珍しい。ツクシガモ10も意外な発見である。池が太陽光パネルで覆われている例があった。
(奈良「いかる」NO.153,P3)

●2016/3 和歌山県
・ガンカモ調査
 1/10、県内一斉調査した。総計9,633羽で、内訳はマガモ3,112、ヒドリガモ2,200、カルガモ1,629、コガモ989、オシドリ540、ホシハジロ408、オカヨシガモ339等。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.125,P13)

●2016/4 福岡
・ 真田丸 
 NHKの大河ドラマ「真田丸」、3/6放映の鷹狩りのシーン、狩用のオオタカに餌をやり、空に放つと、ノスリに変身していた。その後もトビの飛翔で鳴き声がオオタカの声であった。時代考証に3人のスタッフ名、野鳥考証?もやって欲しい。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.438,P11)

・2015年度ハチクマウォッチング
 9/6〜10/12、福岡市の片江展望台で調査した。過去16年間のハチクマ記録,、平均5千羽が今期は7,049羽に達した。9/17〜9/23の1週間で65%に当る4,553羽が通過した。東京大学の研究ではハチクマの秋の渡りルートは背振山系の南北にあり、その幅は50qもあり、片江展望台では確認できる範囲は4〜5q程度である。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.438,P17)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.799

●2016/4 道北
・道北ではヒヨドリは少ない
●2016/4 秋田県
・秋田県のハクガン
・ニュウナイスズメの名の由来
・2015年タカの渡り
・2016年カモ科鳥類生息調査
・ヤブヨシキリ秋田県初記録
●2016/4 千葉県
・千葉県の顔の白いエナガ(幹事会)
・迷惑ムクドリ、タカが撃退(2/26朝日新聞)
・海鳥保護でネコ捕獲、思わぬ副作用(2/1毎日新聞)
●2016/4 伊那
・鷹狩り
●2016/4  富山
・北帰行渡りを考える
●2016/4 北九州
・曽根干潟のツクシガモ、ズグロカモメ
●2016/3 鹿児島
・H27年度ガンカモ類調査

●2016/4 道北
・道北ではヒヨドリは少ない
 利尻島ではヒヨドリは珍しいとある。北海道では西から東に向かうに従い、低地から高地になるほどヒヨドリの出現率は低くなるようである。ヒヨドリは暖かい地方の鳥で北海道の生息状況は気温が影響している。道北の出現率は4割程度で道央より小さい。普通の小鳥は-13℃程度で羽根を膨らまし暖をとるが、ヒヨドリは寒がりのため-6℃程度で羽根を膨らませる。
(道北「オロロン」Vol.39 NO.3,P8)

●2016/4 秋田県
・秋田県のハクガン
 秋田県でハクガンが初めて記録されたのは1972/1で、その後は22シーズンの内、6シーズンに1〜2羽のみであった。1994/95年から順調に増えだし、2004/5年には2桁、2013/14年には3桁(106羽)に達した。2015/16年には232羽(成151、幼81)である。2014/11/21には八郎潟干拓地に飛来した群れにアオハクガンが混じっていた。ハクガンには白色型と青色型があり、別種と思われていたが、最近の研究で羽毛を決める遺伝子の1つが異なるだけで、同じハクガンである。アオハクガンは北米大陸東部に分布し、日本に渡ってくる事は知られていなかった。
(秋田県「探鳥あきた」NO.59,P2〜4)

・ニュウナイスズメの名の由来
 3つの説がある。ニュウナイは新嘗の訛り、新穂を人より先に食べる意。ニュウ(ニフ)は頬の黒斑でニュウナイはそれが無い意。東国へ流された藤原実方の霊が雀になって内裏に帰ったとの伝説より入内の意。ニイナメスズメからニュウナイスズメに変化したのか?ニュウが無い雀であれば、ニュウナシスズメと言うのでは。内裏に入るために身を清めた雀から入内雀と言うのは納得できる。
(秋田県「探鳥あきた」NO.59,P11)

・2015年タカの渡り
 9/3〜29、秋田市高尾山でハチクマ561、ハイタカ56、サシバ25、ノスリ24、ツミ24、オオタカ15、トビ10、クマタカ7、チゴハヤブサ7等。10/5〜31、秋田市平和公園でノスリ962、ツミ51、オオタカ37、ハイタカ36、ミサゴ8、チゴハヤブサ8等。
(秋田県「探鳥あきた」NO.59,P14〜15)

・2016年カモ科鳥類生息調査
 1/16,17、秋田県内123箇所で調査した。ガン類25,736羽、内訳はヒシクイ13,540、マガン11,393、シジュウカラガン586、ハクガン202、コクガン5。ハクチョウ類は2,610羽でコハクチョウ1,347、オオハクチョウ1,263。カモ類25,515羽、内訳はマガモ8,917、カルガモ6,700、カワアイサ3,932、コガモ2,114、スズガモ813、ホシハジロ790、キンクロハジロ639、ウミアイサ399、クロガモ386、オナガガモ269、ホオジロガモ136等。トモエガモ114、オカヨシガモ6は7年ぶりの飛来記録となった。オオバンは46羽(内十和田湖に37)と増えている。
(秋田県「探鳥あきた」NO.59,P16〜17)

・ヤブヨシキリ秋田県初記録
 2015/10/14、大潟村でヤブヨシキリが記録された。山階芳麿著「世界鳥類和名辞典」ではシベリアヨシキリと呼ばれていたが、日本鳥類目録第7版でヤブヨシキリに改名された。体長13pと小さく、繁殖地はバイカル湖西部で、越冬地はインドである。今回、我国5例目の記録となる。
(秋田県「探鳥あきた」NO.59,P17)

●2016/4 千葉県
・千葉県の顔の白いエナガ(幹事会)
 日本には4亜種のエナガがいる。亜種シマエナガ、チョウセンエナガ、エナガ、キュウシュウエナガである。後者3種は南方系である。1982年、フィールドガイドが出る前、高野伸二氏から千葉には顔の白いエナガがいると聞いた。日本鳥類目録改定版6版(2000年)、同7版(2012年)には亜種シマエナガが青森、栃木、千葉、新潟、長野に飛来したとある。千葉県では幻の鳥なのか。
(千葉県「ほおじろ」NO.420,P2)

・迷惑ムクドリ、タカが撃退(2/26朝日新聞)
 糞や騒音をまき散らすムクドリを追い払うため、千葉県我孫子市ではタカを使って効果を上げている。火薬銃で追い払っても、ムクドリは慣れてしまう。5年前から、塒の十数本のケヤキにネットをかけて防いでいる。我孫子市は日本放鷹協会の鷹匠に委託し、7月より延べ22日間、ハリスホークを放つと、7/28にはムクドリ1万3千羽が8/14には4,100羽、9/25には100羽まで減った。160万円掛かった清掃費も105万円で済んだ。
(千葉県「ほおじろ」NO.420,P12)

・海鳥保護でネコ捕獲、思わぬ副作用(2/1 毎日新聞)
 北海道天売島で国内に約30羽しかいないウミガラスを保護するため、2014/10より野良猫の捕獲を始めたが、ネズミの人への害が目立ちだした。昨年12月より、環境省はネコの捕獲を中断している。ネズミが海鳥を襲う可能性もあるため、両者並行して取り組むため、ネズミの海鳥への影響調査を始めている。
(千葉県「ほおじろ」NO.420,P13)

●2016/4 伊那
・鷹狩り
 鷹狩りの起源は4千年前の中央アジアで我国には中国、朝鮮半島を経て伝わった。日本書紀には仁徳天皇の章に出てくる。鷹匠用語で蒼鷹と言えばオオタカ♀で、♂は兄鷹(ショウ)と区別している。鷹狩りに使うタカは巣内で捕えたものを巣鷹、巣立って2年以内の嘴が黄色いものを黄鷹、それ以上のものは山帰りと呼び、山帰りは鷹狩りの訓練が難しく、よく逃げて行く。徳川家康は生涯に1,000回以上鷹狩りをし、鷹狩り用のオオタカを年貢として納めさせていた。
(伊那「かわせみ」NO.45,P2〜3)

●2016/4  富山
・北帰行渡りを考える
 温帯のアメリカ中央平原での水鳥繁殖地の調査で1,432箇所のキツネの巣穴に1,857体のカモの骨があった。骨は7〜9割が♀であった。台湾の調査でも♀は繁殖期に捕食される例が多く、1年後の生存率は♂80%に対し、♀は44%であった。寒帯はこれらの天敵密度や寄生虫害が少なく、白夜で短期間に増える食べ物を求めて水鳥の多くは北極圏に渡る。
(富山「愛鳥ニュース」NO.103,P2)

●2016/4 北九州
・曽根干潟のツクシガモ、ズグロカモメ
 2015/12〜2016/3、曽根干潟でのツクシガモ最大数は370羽(2/17)、ズグロカモメ356羽であった。
(北九州「北九州野鳥」NO.358,P9)

●2016/3 鹿児島
・H27年度ガンカモ類調査
 1/3〜17、鹿児島県7地区で調査した。総計16,120羽で内訳はオオハクチョウ2、ヒドリガモ5,022、オナガガモ3,326、マガモ3,160、カルガモ2,369、コガモ761、ホシハジロ605、ヨシガモ356、キンクロハジロ160、オシドリ146、ツクシガモ101等。
(鹿児島「るりかけす」Vol.149,P13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.800

●2016/4 十勝
・コヒバリ観察
・タカブシギ(鷹斑鴫)
・十勝の自然 ワタリガラス(2016/2/22放送)
●2016/4 神奈川
・緑の基本計画と生物多様性地域戦略
・人の名がついた鳥
・全国の野鳥の行動データベース(東京大学生物多様性研究室)
●2016/4-5 京都
・2015年度ガンカモ調査
●2016/4 徳島県
・春のノスリの渡り新記録
・ちょっと気になる野鳥の和名 キツツキ
●2016/5 香川県
・リュウキュウサンショウクイ
●2016/4 山口県
・第34回ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
●2016/5 福岡
・クロハゲワシ
・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(研究部)

2016/4 十勝
・コヒバリ観察
 1/21、25、帯広市でコヒバリを観察した。今回も含め、北海道では過去1991年以来、写真無の例も含め8件報告があるが、全て10月末〜3月に集中している。ロシアのアムール川流域まで分布するものがオホーツク海側に分散するのを示唆している。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.191,P25〜27)

・タカブシギ(鷹斑鴫)
 英名でWood Sandpiper(森のイソシギ類)と呼ばれる。日本では主に旅鳥で、関東以南では少数が越冬し、南西諸島では比較的普通に越冬する。渡りの時は開けた干潟、砂浜を殆ど利用せず、内陸湿地の鳥である。過去30年で春は
-90%、秋は-85%と大幅に減っている。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.191,P30〜32)

・十勝の自然 ワタリガラス(2016/2/22放送)
 ワタリガラスはユーラシア大陸、北米大陸の広い範囲に分布し、全長60pを超える世界最大のカラスである。北海道東部へ冬に少数が渡って来るのみであったが、1990年代より渡来数が増え、釧路、十勝地方まで分布し、100羽程度までになっている。増えた時期はエゾシカが爆発的に増え、かなり駆除し、残骸が多く放置された頃で、ハンターを上空から見つけ、銃声がするとシカの解体を待って降りてきて残滓を食べる。アイヌ語でオンネパシクル(年老いたカラス)と言われ、アイヌがシカを追っていた頃には身近なカラスであったのかもしれない。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.191,P34〜35)

●2016/4 神奈川
・緑の基本計画と生物多様性地域戦略
 「緑の基本計画」は国交省が中心になって都市緑地法に基づき施行される。主に市町村が緑地の保全と緑化を推進し、計画的に施行している。概ね5年ごとに見直し、公聴会の開催、市民の意見募集を行っている。「生物多様性地域戦略」は環境省が中心になって生物多様性基本法に基づき施行される。これは市町村で未だ策定していない自治体もあるが、市町村で生物多様性保全と自然環境の利用を目的に施行している。神奈川県ではこの両者を関連させ包括的に扱う動きがある。野鳥の会会員は具体的なデータを持って、地域の自然保護に貢献するチャンスがある。
(神奈川「はばたき」NO.527,P2)
 
・人の名がついた鳥
 鳥の和名で日本人名がついたものはイイジマムシクイ(飯島魁:日本鳥学会初代会頭)、オガワコマドリ(小川三紀:鳥類学者)、ノグチゲラ(野口?)、アサクラサンショウクイ(朝倉?)、マキノセンニュウ(牧野?)、ウチヤマセンニュウ(内山?)。亜種ではモミヤマフクロウ(籾山)、オリイコゲラ(折井)、ナミエオオアカゲラ(波江)、モスケミソサザイ(茂助?)、オサハシブトガラス(長)。ラテン語名では黒田、岩崎、豊島、大城、堀、鷹司、徳川等が入っている。
(神奈川「はばたき」NO.527,P4)

・全国の野鳥の行動データベース(東京大学生物多様性研究室)
 神奈川支部が取り組んできた鳥類目録のデータベースを、全国的に広げる事は意義がある。生物季節(phenology)として米国では100年以上に渡り、鳥、昆虫、植物の記録の蓄積がある。鳥の行動についてのデータベースをこの生物季節の視点で充実させたい。
(神奈川「はばたき」NO.527,P6〜8)

●2016/4-5 京都
・2015年度ガンカモ調査
 1/9〜11、京都府の委嘱により府内189箇所を調査した。ヒシクイ1、コブハクチョウ1、コハクチョウ2、カモ類総計19,630羽、内訳はマガモ5,405、コガモ2,933、カルガモ2,546、ヒドリガモ2,306、ホシハジロ1,370、オシドリ1,351、キンクロハジロ1,039、オナガガモ796、スズガモ542、ヨシガモ320、オカヨシガモ283等。
(京都「そんぐぽすと」NO.199,P10〜14)

●2016/4 徳島県
・春のノスリの渡り新記録
 3/12、鳴門山展望台で一日に60羽のノスリが通過した。当地では最大数記録である。9:30〜11:00、15:00頃にピークがあった。当日、ツバメ、アオバトの通過も確認した。過去のノスリの渡りの最大数は2015/3/21:374羽、2014/3/22:342羽、2004/3/14:328羽、2008/3/16:310羽であった。
(徳島県「野鳥徳島」NO.451,P2〜6)

・ちょっと気になる野鳥の和名 キツツキ
 キツツキは平安時代のテラ(寺)ツツキ→ケラツツキを略してケラになったとされる。ケラの由来は寺ではなく、キツツキ類の鳴き声から来ていると思う。
(徳島県「野鳥徳島」NO.451,P12)

●2016/5 香川県
・リュウキュウサンショウクイ
 サンショウクイは日本等の北東アジアで繁殖し、東南アジアやインドで越冬する。日本固有種のリュウキュウサンショウクイは南西諸島北部、九州南部で繁殖する。「西日本におけるリュキュウサンショウクイの分布拡大」(2011 三上ら)では2010年までに、四国、紀伊半島でも確認された。1980年代サンショウクイが減少し、空いた地域にリュウキュウサンショウクイが進出した。インドシナでは海抜2,350mの高地にもサンショウクイが分布する。
(香川県「かいつぶり」NO.388,P6)

●2016/4 山口県
・第34回ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
 1/11、山口県内47箇所で一斉調査した。総計22,351羽で、内訳はマガモ7,592、ヒドリガモ3,636、カルガモ2,858、オシドリ1,590、オナガガモ1,475、ホシハジロ1,349、ヨシガモ1,004、スズガモ756、コガモ618、オカヨシガモ608、キンクロハジロ436、トモエガモ115、ウミアイサ113等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.244,P16)

●2016/5 福岡
・クロハゲワシ
 2015/2/27、福岡市西部の糸島市の立石山でミサゴ、トビ、カラスにモビングされ西へ移動する空飛ぶ畳と形容される翼開長3m近くのクロハゲワシが確認された。日本では2、3年に1羽が観察されるかどうかの鳥であるが、韓国の花浦川湿地では100〜200羽が越冬している。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.439,P9)

・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(研究部)
 1/4〜17、福岡県内129箇所で調査した。カモ類総計25,226羽で、内訳はホシハジロ8,161、スズガモ5,871、マガモ4,738、ヒドリガモ1,995、カルガモ1,675、オナガガモ739、キンクロハジロ381、ウミアイサ358、オシドリ284、コガモ275、オナガガモ264、オカヨシガモ228等。雌雄報告あったものではマガモ♂61%、ヒドリガモ♂56%、ホシハジロ♂60%、スズガモ♂34%であった。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.439,P13〜16)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.801

●2016/4 道南桧山
・国後島古釜布→根室間の海鳥目視観察(北海道大学名誉教授)
●2016/5 埼玉
・ツバメの冬塒
・埼玉県鳥獣保護管理員推薦
●2016/6 奥多摩
・ホオジロガモ生態調査(研究部)
●2016/5 南富士
・密猟の根絶を目指して(保護部長)
●2016/5 静岡
・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類カウント
●2016/5 愛知県
・海上の森ソーラー発電施設の要望書
●2016/4 兵庫
・2016年カモ科鳥類・カワウ生息調査(研究保護グループ)
・兵庫県における野鳥のリハビリの現状と課題
●2016/5 徳島県
・徳島県初記録 ムジセッカ
・ちょっと気になる野鳥の和名 メダイチドリ
●2016/5 北九州
・コオバシギとカブトガニ(研究部)
●2016/5 長崎県
・第18回県民鳥オシドリ一斉カウント

●2016/4 道南桧山
・国後島古釜布→根室間の海鳥目視観察(北海道大学名誉教授)
 2007、2011、2013年、計3回、9月に海上から観察した。アホウドリ類は根室海峡では水深30m以浅の海域には入らない。ミナミオナガミズナギドリは北太平洋の中央部で見ると、体の下面が純白に見えるが、日本の200海里内で見ると、くすんで見える。日本近海では海面がミクロン単位で油膜に汚染されているためと聞く。アジサシ類は餌を食べた後、トウゾクカモメに襲われ螺旋状に急上昇し振り切るのを見て、アジサシ類の翼が独特の形をしているのに納得する。ハイイロ、ハシボソミズナギドリは南半球で繁殖し、北半球に渡って来た幼鳥は2、3年、繁殖地に帰らない。どこにいるのか不明であるが、北半球の亜熱帯の海?ロシアでは国後島周辺の6割の海面を自然保護区としているが、日本には具体的な法制度が無い。
(道南桧山「はちゃむ」NO.114,P7〜10)

●2016/5 埼玉
・ツバメの冬塒
 11/28、秩父市で戸を細く開いた縁側からツバメが飛び込み、翌日、飛び去っていった。同宅では毎年、家の中でツバメが繁殖している。ここで巣立ったツバメか。更に12/26〜31、2羽が、1/8には1羽がやってきて塒にした。越冬とは言いにくいが、県内では稀な事例である。
(埼玉「しらこばと」NO.385,P4)

・埼玉県鳥獣保護管理員推薦
 当会より3名の幹事を埼玉県へ2016年度の埼玉県鳥獣保護管理員に推薦した。
(埼玉「しらこばと」NO.385,P12)

●2016/6 奥多摩
・ホオジロガモ生態調査(研究部)
 2015/11/15〜2016/4/3、多摩川羽村堰周辺で調査した。11/14、初認。11/15〜12/25、5羽以下で推移、その途中北日本での降雪大荒れでも変化せず。12/25の北日本の悪天候後、12/26より渡来数が増え、1/31に最大25羽。その後3/5まで減少し、その後2羽程度になり3/15、終認。越冬期のホオジロガモは採食には早瀬、休息には平瀬が必要と思われる。羽村堰付近はこの両者が連続している。多くは潜水時採食するので、食性の観察例は少ない。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.230,P2〜7)

●2016/5 南富士
・密猟の根絶を目指して(保護部長)
 支部は全国的に野鳥の密猟根絶を目指す組織「全国野鳥密猟対策連絡会」に所属し、協力している。支部は毎年、保護部で密猟パトロール、警察への協力、小鳥店での販売状況調査等を行ってきた。この結果、密猟は少なくなったが、未だ密猟は続いている。
(南富士「囀」NO.59,P9)

●2016/5 静岡
・2016年ガン・カモ・ハクチョウ類カウント
 静岡市周辺で調査した。総計4,242羽で内訳はヒドリガモ1,146、コガモ888、カルガモ713、マガモ305、キンクロハジロ211、オカヨシガモ178、ホシハジロ171、スズガモ168、オナガガモ161、ウミアイサ145、ヨシガモ102等。
(静岡「野鳥だより」No.435,P2〜4)

●2016/5 愛知県
・海上の森ソーラー発電施設の要望書
 2月、瀬戸市が建設中止を勧告したにも拘わらず、海上の森で法に反したソーラー発電所に対し、愛知県はそのまま静観し、不法物を後追いで認可した。4/7、他3団体と連名で県へ撤去、現状復帰の抗議、要望書を提出した。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.351,P6〜7)

●2016/4 兵庫
・2016年カモ科鳥類・カワウ生息調査(研究保護グループ)
 1/10前後、兵庫県中南部の177箇所で環境省のカモ科鳥類調査、カワウの全国一斉調査に協力した。総計30,513羽で内訳はオオハクチョウ8、コハクチョウ4、ヒシクイ1、ホシハジロ10,349、スズガモ4,786、ヒドリガモ3,451、コガモ1,821、オシドリ1,509、ハシビロガモ1,492、カルガモ1,476、キンクロハジロ1,351、オナガガモ1,332、マガモ1,149、オカヨシガモ1,040、ミコアイサ335、ヨシガモ201等。 カワウは97箇所で確認され、総計2,267羽であった。環境別では、海岸・河口(931ha)で、カモ類16,810羽(18.1羽/ha)、優占種は、ホシハジロ9,142、スズガモ4,785。河川(755ha)で、3,061羽(4.1羽/ha)、ダム湖(380ha)で1,289羽(3.4羽/ha)。ため池(716ha)で9,156羽(12.8羽/ha)。
(兵庫「コウノトリ」Vol.211,P8〜16)

・兵庫県における野鳥のリハビリの現状と課題
 傷病鳥の保護を県に相談しても、結果的に「ほっとけ」となる。個人で獣医に頼むと、かなりの治療費を払う事になる。兵庫県には野鳥のリハビリを行う公的な施設が無い。鳥獣保護管理員に野鳥の専門家もいない。6年前から大阪のバードレスキュー協会とタイアップし、個人的に保護、リハビリをして12年間、54種、310羽の野鳥を扱ったが、近々私の施設は閉じる。
(兵庫「コウノトリ」Vol.211,P27〜29)
 
●2016/5 徳島県
・徳島県初記録 ムジセッカ
 4/2〜10、阿南市の海岸付近の湿地でムジセッカを確認した(写真有)。四国では高知県、香川県で記録がある。
(徳島県「野鳥徳島」NO.452,P2)

・ちょっと気になる野鳥の和名 メダイチドリ
 メダイチドリは江戸時代前期にはめだいしぎ、後期からめだいちどりと呼ばれていた。名前の由来は目が大きいチドリとするのが定説になっている。メダイチドリの目が他のチドリ類より格別に大きいとは思われない。古人が目大千鳥と名付けたのは、成鳥夏鳥では目の周辺の羽毛が黒く、目の光彩も黒いため、顔の黒い斑全体を大きな目と見なしていたのではないか。
(徳島県「野鳥徳島」NO.452,P7)

●2016/5 北九州
・コオバシギとカブトガニ(研究部)
 アルゼンチンとチリの間にある群島ティアラ・テル・フエゴに生息するコオバシギは毎年、南米の南端から北極圏まで行き来する。途中、米国東海岸のデラウェア湾でカブトガニの卵を食べる。カブトガニは漁業で乱獲され、1/5に減り、コオバシギは年々減っている。
(北九州「北九州野鳥」NO.359,P14)

●2016/5 長崎県
・第18回県民鳥オシドリ一斉カウント
 1/17、島嶼部の壱岐市、五島市を含め県内一斉調査した。総計3,855羽(♂2,299、♀1,556)であった。

 (自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


ブロックからのお知らせなど

■第21回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会相双大会の報告■

【日 時】:平成27年5月14日(土)〜15日(日)
【会 場】:晴風荘
【担 当】:日本野鳥の会相双支部
【参加連携団体】:相双支部(11名)、ふくしま(10名)、郡山支部(10名)、いわき支部(6名)、南相馬支部(3名)、会津支部(11名)、白河支部(3名)
【その他参加者】:立谷秀清(来賓・相馬市長)、黒沢涼一(来賓・福島県生活環境部自然保護課長)、深澤圭太・三島哲雄・羽賀淳・二宮英美(国立環境研究所)、安藤康弘・浦達也(財団事務局)


集合写真

【内 容】:
○開 会(13:00)
・開会の言葉: 相双支部長 白瀬 豊
・あいさつ:
 福島県連会団体連合会長 白岩 康夫
・来賓挨拶:
 福島県生活環境部自然保護課 黒沢 涼一
 相馬市長               立谷 秀清
 公益財団法人日本野鳥の会   安藤 康弘

○会 議
1.議事
・第一号議案 平成27年度事業報告(主なもの)
(1)要望・請願・陳情関係
 @H27.6.4:県知事宛に猪苗代湖のカワウコロニーにおける試験的銃猟実施の反対を要望。
 AH27.8.15:国道289号第一片見橋の撤去工事再開に関し、9月初旬以降に再開の条件を付け、同意書を県に提出。
(2)啓蒙活動
 @「地球にやさしい“ふくしま”:県民会議」への参加。
(3)調査活動
 @H27福島県委託事業「福島県に於けるカワウの生息調査」を8・12・3月に実施。
 AH28.1に「H27第47回ガンカモ科鳥類生息調査」を県内各連携団体で実施。
 BH27ふくしまレッドリスト(鳥類)見直し調査業務を県内各地で実施、取り纏めた。
(4)会議・その他
 @H26.5.16〜17に第20回福島県連携団体連合会総会を白河支部の担当で実施。
 A関東カワウ広域会議・福島県カワウ保護管理協議会・福島県カワウ対策地域協議会に出席し、カワウの適正な保護
 管理に協力した。
 B福島県自然環境審議会に出席した。
 C福島県野生動物保護アドバイザー会議に出席し、「福島県の生物多様性の指標作り」と「ふくしまレッドリスト
 改訂の問題点」の検討を行った。
 D福島県に於ける地熱資源開発に関する情報連絡会に出席し、情報収集を行った。
 E日本野鳥の会ひょうごより、H27.12.24に一定額の義援金をいただいた。
 F「福島県鳥類総目録」を印刷中。

・第二号議案 平成27度収支報告・監査報告

・第三号議案 平成28度事業計画(主なもの)
(1)啓蒙活動
 @地球にやさしい“ふくしま”:県民会議」への参加。
(2)調査活動
 A福島県委託事業「H28に於けるカワウの生息調査」の実施。
 B「第48回がンカモ類生息調査」の実施(H29.1の第二日曜日)。
 C福島県委託事業「福島県版レッドリスト(鳥類)」に向けたデータ収集。
 D「福島県鳥類総目録」の作成に向け、各連携団体から鳥類のデータを収集。
(3)会議
 @福島県カワウ保護管理協議会・福島県カワウ対策地域協議会への参加。
 A福島県自然環境審議会への出席。
 B福島県野生動物保護アドバイザー会議への出席。
 C福島県に於ける「地熱資源開発に関する意見交換会」に出席し、磐梯朝日国立公園での地熱発電に関する諸問題
 について情報と意見の交換を行う。
 D福島県の太陽光発電と風力発電設備の設置計画を最大限の関心を持って見守る。

・第四号議案 平成28年度収支予算(案)

・第五号議案 次回の連合会総会について:ふくしまの担当で、土湯温泉で開催予定。

○発 表(14:30)
(1)「太陽光発電が自然環境に与える影響」:財団事務局 浦 達也
→野鳥への影響
=生息地の@直接喪失・A改変と分断、B忌避
→住民トラブル事由は、@景観が最多で、A防災上の懸念、B生活環境への影響、C自然保護上の理由と続き、発生件数は長野県・大分県・山梨県などで多い。
→問題解決には、立地場所の選定と環境アセスメント実施の法制・条例化などが必要。
(2)「バードデータチャレンジ」の2015年度結果説明: 国立環境研究所 深澤 圭太
→スズメ、ウグイス、ガビチョウが避難区域で確認された。次回のワークショップは10月8日に郡山・逢瀬公園事務所にて開催。
(3)「RDBふくしまの鳥類調査について」:福島小鳥の森 細井俊宏
→10kmメッシュ×142個で実施。330種(うち県内希少種69種)の鳥類を確認。オオヨシキリとオオタカは前回と比べ、確認数が減少傾向にあった。
(4)「松川浦のシギ・チドリ類について」:相双支部
→2015年から松川浦周辺でシギ・チドリ類が減少。それは、津波の後しばらく湿地だった場所が乾燥化してきたためと考えられる。

○会・支部の活動報告等
 ・こおりやま…第70回愛鳥週間で、カッコウ調査について保護功労者表彰を受ける。
 ・白河…ケリの繁殖地2か所にメガソーラー設置されたが、無事に繁殖成功。今後も監視する。
 ・いわき…2011年に開設したホームページの公開性を高め、本部ともリンクさせる。
 ・相双…相馬市が市史を編纂し、第8巻に松川浦の鳥類情報が掲載されている。

○閉会の挨拶: ふくしま 志賀 裕悦

○早朝探鳥会(15日6:00〜6:50)
・晴風荘周辺にて探鳥会を実施。ヒバリ、オオヨシキリ、セッカ、キジなどを観察。

(自然保護室/浦 達也)


事務局からのお知らせなど

■普及室より

■6月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■


<ツメナガキセキレイ?>

 前回、新版のお詫びと訂正について書かせていただきましたので、過去のことではありますが、『新・水辺の鳥』改訂版の訂正についても、お詫びとともに報告させていただきます。
 2012年に発行された日本鳥類目録改訂第7版に準拠すべく、『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』では2013年に改訂版を発行しました。翌年には早くも2刷発行となったのですが、会員からご指摘をいただき、、『新・水辺の鳥』改訂版でツメナガセキレイの間違いが発覚しました。図版の横に記された種名がツメナガキセキレイになっていたのです。ただちに正誤表を挟み込むことにして、2015年、3刷の段階で修正できましたが、1刷を購入された方、2刷の正誤表を挟み込む前に購入された方には、誠に申し訳ありませんでした。
 かつて、先輩にどんな図鑑を見ておくべきか?を尋ね、「常に最新のもの」と言われた時はよく意味がわからないでいたのですが、今は増刷のたびに、どこを、どこまで直すべきか?を悩みながらも判断を下さなくてはならない立場になってしまいました。それでも、有難いことに、当会発行の図鑑類は売れ続けているので増刷が出せます。生物学者で図鑑に関わる知人は何人もいますが、増刷が出せることを羨ましがられます。あまり売れない図鑑も数あるようで、正誤表も作れない、直したくても直せないという事態はよくあるのだそうです。

<ヤマドリ雌は55センチ?>

 『新・山野の鳥』改訂版では、4刷でヒメアマツバメの翼開長を28cmから32pにしたこと(2015年6月号)やヒヨドリ幼鳥の図版を谷口高司さんに描きなおしてもらったことはすでに紹介しました(2015年7月号)。ヒヨドリについては幼鳥が巣立つ頃ですから、下尾筒の羽毛が成鳥のようには見えない点を是非、確認してみて下さい。
 『新・山野の鳥』改訂版はお陰様で、現在5刷発行の準備に入っています。さて、どこを、どこまで直すべきか?ですが、『フィールドガイド日本の野鳥』の新版では先のヒメアマツバメのように、より適正と思われる数値を検討してきたので、『新・山野の鳥』でもその数値で揃えたほうがよいという観点から見直してみたら、ヤマドリ雌の全長が55pのままでした。
 前回お詫びさせていただいたように誠に申し訳ない見落としもあったわけですが、これまで紹介してきた以外にも、『フィールドガイド日本の野鳥』は多くの方々にチェックしていただいてきました。ヤマドリ雌については、松田道生さんから「ほとんどの図鑑が全長を55pにしているが、もう少し小さいように思われる」というご意見をいただき、新版では、HBW(Handbook of the Birds of the World)などが採用している51〜54pという数値を参考にしたので、『新・山野の鳥』改訂版でもそれに合わせたいと考えています。
 『新・山野の鳥』が売れ続けているので、それに対応させた『CD声でわかる山野の鳥』も版を重ねており、現在14刷(2014年6月発行までで13刷となる)の準備中です。例えば、CDの冊子(P17)でメボソムシクイの飛来時期が「5月下旬から」と記されていますが、「5月中旬頃から」としたほうがよいと考えているところです。目録6版まではメボソムシクイの亜種に分類されていたものが、目録7版で別種のオオムシクイとされたことに鑑みて、『フィールドガイド日本の野鳥』の新版(P344)では、メボソムシクイを5月中旬頃から、オオムシクイは5月下旬頃からと記したためです(早いものではメボソムシクイで4月下旬、オオムシクイでは5月中旬の飛来もあるので悩ましいところですが、図鑑の記載では、一般的と思われる時期を選択しています)。

<ヤブヨシキリはどこで?>

 4月発行の秋田県支部報に、秋田県下での標識調査でヤブヨシキリが記録されたことが紹介されていました。目録7版で新たに掲載されたヤブヨシキリは、新版ではP333で図版、P342で解説文を記して、さらにその類似種の中で、セスジコヨシキリ、スゲヨシキリ(*)にも触れています。
 ヤブヨシキリの繁殖地はバイカル湖から西、越冬地はインドなどですから、今後も記録されるだろうか?という観点から、類似種の解説文中に含める程度でもよいのではないか?という意見もありました。しかし、目録7版によるとセスジヨシキリは2002年の与那国島での記録しかないのに対して、ヤブヨシキリは北海道、舳倉島、久米島と距離的に離れた場所でも記録されていました。今後も国内で記録される可能性が高いと考え、図版付きで掲載することにしたのですが、それでよかったと思えます。

*スゲヨシキリは目録7版では検討中にもありませんが、2013年に日本鳥学誌(Vol.62、2)で観察記録が掲載されたので、扱うことにしました。


© 谷口高司
▲画像:新版で谷口高司さんに追加していただいた図版から、今回は本文にあるヤブヨシキリです。新版では増補部分のイナダヨシキリの横に図版を掲載しましたが、それに対応した解説文を入れるスペースがなく、解説文は別ページとなっています。
 ただし、図版で比較できてこそフィールドガイドなので、図版は解説ページの横にも掲載しました。


(普及室/安西 英明)


■自然保護室より

『Strix』第33巻への投稿をお待ちしています!

 『Strix』(野外鳥類学論文集, 1982年創刊)は、当会が発行する、鳥類の生態、探鳥会の記録、繁殖や行動、飛来などの観察記録等を掲載する和文誌です。会員の皆様からの数多くの投稿とご支援に支えられ、Strix編集部の上田恵介先生(編集長、当会副会長)、三上かつら氏(副編集長)による論文指導と編集のもと、査読者や英文校閲者のボランタリーのご協力を得て、これまで発行してきています。
 第32巻は、特集「カンムリウミスズメ」で、日本周辺でしか見られない絶滅危惧種の海鳥の生態や保護・調査活動を紹介する予定です。現在、発行に向けて編集の最終段階で、近々、皆さまにお届けできる見込みです。
 次号、第33巻(2017年6月発行予定)では、特集「長期モニタリングから見えてくるもの」(仮称)を予定しています。
 日本では鳥類を指標としたモニタリング調査としては、環境省の「モニタリングサイト1000事業」やNGOと環境省、大学の研究者が共同で進めている「全国鳥類繁殖分布調査」などがあります。モニタリングサイト1000事業では、全国規模での鳥類の分布状況の変化や夏鳥、草原性の鳥類の減少、外来鳥類の拡大などの情報が得られています。また、2016年度からは、1970年代と1990年代に行われた2回の調査と比較する全国鳥類繁殖分布調査の現地調査がスタートしており、今後、新たな知見が明らかにされることでしょう。
 こうした全国的な動きがある中、自然系施設や支部活動において継続して行われているラインセンサスや探鳥会での記録、初見日などの生物季節など日々の観察記録などのデータが長年にわたって蓄積されてきています。
 支部の皆様が、通い慣れたフィールドでの観察や探鳥会の記録などから、どのような傾向が読み取れるのか、お持ちのデータを、この機会にぜひまとめていただき、Strixにご投稿いただければと思います。
 温暖化や外来種の侵入、生息地の減少等、鳥類の置かれている状況が悪化する中、その状況を明らかし、保護活動や保全対策に結びつけていくためにも記録を論文化しておく必要があります。どうぞよろしくお願い致します。

●Strixへの投稿の詳細は下記をご覧ください。
http://www.wbsj.org/activity/conservation/publications/strix/strix_rule/

●原稿の送り先
【Eメールの場合】:[email protected] へ
【郵送の場合】:
141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル 
日本野鳥の会自然保護室Strix第33巻係 宛て

●第33巻の投稿締切:2016年10月31日(月)

(自然保護室/山本 裕)


総務室より

■支部名称・代表者・事務局変更のお知らせ■

 名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。
【支部長及び事務局長の変更】
●日本野鳥の会島根県支部
  新支部長:佐藤 仁志
  前支部長:飯塚 洋一
  新事務局長:井山 明 
  前事務局長:飯塚 洋一
  変更年月日:2016年5月15日より

【支部長、代表の変更】
●日本野鳥の会静岡支部
  新支部長:増田 章二
  前支部長:佐藤 昌彦
  変更年月日:2016年5月19日より

●日本野鳥の会ひょうご
  新代表: 鈴木 博
  前代表: 丸谷 聡子
  変更年月日:2016年6月12日より

 (敬称略)


(総務室/鈴木 美智子)


会員室より

■2017年会員証作品を募集中■

 2017年会員証を飾る野鳥写真を募集しております。
 テーマは自由で、郵送かメールにて受け付けております。
 詳細は、当会ホームページまたは野鳥誌6月号の応募要項をご確認ください。
 野鳥写真を撮影される支部の会員の方にも広めていただき、投稿の機会をご紹介いただけたらと思います。
皆様からのご応募お待ちしております。

●応募締切:2016年8月5日(金)

●応募資格:当会の会員であること

●選考について
 会員証選定作品1作品と特別賞3作品を選考し、野鳥誌に掲載、記念品をプレゼントさせていただきます。また、最終選考まで残った20作品につきましては当会媒体(HPなど)にて別途ご紹介させていただきます。

●応募要項の詳細は下記をご覧ください。http://www.wbsj.org/join/join-and-changes/personal/kaiinsho_boshu/

※当会HPトップページの「おしらせ」欄、または、トップページ>ご支援>ご入会・ご変更>個人会員>2017年会員証作品募集からお入りいただけます。

●お問合せ先
会員室 会員グループ
TEL:03-5436-2631/FAX:03-5436-2636
E-mail:[email protected]

(会員室/佐藤 ゆき乃)


■平成28年熊本地震への対応状況■

 この地震で大きな被害がありました、熊本県、大分県の現在の状況と、6月8日現在までの財団事務局の対応をご報告いたします。

●熊本県支部、大分県支部の状況と対応について
 会員室では地震後から定期的に、熊本県支部、大分県支部へ、状況確認のため連絡しております。

○熊本県支部
 大きな地震はなくなりましたが、震度1程度の小規模な地震は毎日10数回あり、落ち着かない日々が続いているとのことです。支部と協議の上、5月下旬発送の「会員継続のお願い」「自動引き落としのお知らせ」も停止することにしました。会員の皆さまの状況確認、及び今後の対応を支部と連携して行ってまいります。
○大分県支部
 地震活動は落ち着く方向にあるとのことで、支部と協議の上、4月下旬に一旦停止した「会員継続のお願い」「自動引き落としのお知らせ」の発送を再開することにいたしました。お送りする際には、発送が遅れました事へのお詫びのお手紙を同封いたしました。なお、被害が大きかった湯布市、別府市、竹田市にお住いの方へは、被害状況により会費免除対象となる旨のご案内を6月中旬頃までに郵送いたします。

●現在地震活動は収まってまいりましたが、雨の多い季節となり2次災害も心配されます。会員室からは引き続き支部に状況確認を取り、対応を進めてまいります。

(会員室/沖山 展子)


会員室より

■会員数■

 6月1日会員数35,853で、先月に比べ33人増加しました。5月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より15人多くなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。5月の入会者数は204人で、前年同月の入会者179人に比べ25人増加しました。また、5月の退会者は189人で、前年同月の退会者205人に比べ16人減少しました。

表1. 5月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(6月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(6月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

 この季節は、子育てに奮闘している野鳥たちに出会うことが多くなります。先日、ヨシ原で、コジュリンの伸びやかな歌声やオオセッカのディスプレイフライトに魅了されていると、オオヨシキリのヒナが親鳥の後についてヨシの間を移動するかわいい姿を見ることができました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号では、『2017年会員証作品募集』や『Strixの投稿募集』の記事が掲載されています。ぜひ、日頃の皆様のご活躍された内容をご投稿ください。
 梅雨入りし、蒸し暑い日が続いております。皆さま、お体をくれぐれもご自愛ください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第147号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2016年6月23日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]