カワウの生態と調査 カワウの生態と基本的な調査について解説します。
 
 
もくじ
生態編
  カワウの形態
  分布と生息環境
  ねぐら・コロニー
  採食
  環境汚染の影響
  物質循環の役割
  行動圏
  生息状況の変遷
     
調査編
  ねぐら個体数調査
  繁殖状況調査
  河川飛来調査
  移動調査
ねぐら個体数調査
 ねぐらにおける個体数の調査は最も基本的で重要な調査である。カワウは多くの場合は水辺近くの林をねぐらとして利用する。ある地域内に生息するカワウの個体数を把握するには、カワウが夜を過ごすねぐらでその数を調べることが、容易で間違いの少ない方法である。
 カワウのねぐらの位置がわかっていない場合には、まずアンケートによる情報収集を行い、また、早朝に湖沼河川などの採食地において飛来方向を調べることでねぐらを探す。
 個体数の調査を行なう時は、調査は日没前2〜3時間前から開始するのが好ましい。まず、調査開始時にすでにねぐらに入っているカワウの個体数をカウントしておく。その後、ねぐらを出入りするカワウの個体数を方向別に時間とともに記録する。
 コロニー全体を見渡せる調査地点を設定できる場合は、1ヶ所から数名で見る方向を分担して調査する。一方、1ヶ所からでは調査地点全体を見渡すことができない場合は、調査地点を複数設ける必要がある。調査地点を複数設ける場合には、各調査地点の分担する方角を明確にして、ダブルカウントが起きないように注意することが重要になる。
 カワウがねぐらに帰還する時間帯は、繁殖期であるかないか、天候などによっても左右されるが、調査終了は日の入り30分後を目安とする。はじめにいた個体数に出入りした数を足し引きして、最終的にその日にその場所でねぐらをとったカワウの数とする。
 個体数の調査と合わせて出入りの方角を記録できれば、採食・休息場所の大まかな方向も推測できる。高圧線のように観察が容易なねぐらで、帰還方向の調査が不要な場合は、日没前後に調査を開始しても個体数は正確にカウントできる。
 コロニーで個体数を調査する場合は、巣立ち前の巣内ヒナを数えないようできるだけ注意する。余力があれば、ねぐらを構成する幼鳥・若鳥・成鳥の比率を調べられると、個体群動態の把握や未来の個体数の予測などに繋がる。
 このねぐらの調査は少なくとも年3回、夏、冬、巣立ち直前(7月、12月、3月)の時期にに行なうことが望ましい。

 調査用紙は、こちらからダウンロードできます。