カワウの生態と調査 カワウの生態と基本的な調査について解説します。
 
 
もくじ
生態編
  カワウの形態
  分布と生息環境
  ねぐら・コロニー
  採食
  環境汚染の影響
  物質循環の役割
  行動圏
  生息状況の変遷
     
調査編
  ねぐら個体数調査
  繁殖状況調査
  河川飛来調査
  移動調査
繁殖状況調査
 カワウのコロニーがある場合、そこから巣立つカワウの数を調べることも個体数の増減を予測する上で重要なことである。カワウの繁殖期は、地方によって異なる。下北半島では3月中旬から9月、愛知県では11月から7月、東京都の上野不忍池や埼玉県の国営武蔵丘陵森林公園では初秋から初夏までのほぼ1年中繁殖活動が見られる。
 営巣数調査の最も簡単な方法は、約70日に一回巣を数えることによって、その場所での繁殖ペア数を推定することである。カワウは産卵から巣立ちまでの期間が最短でおよそ70日であるので、この間隔で調査を行えば、重複や数え漏らしなどを少なく抑えることができる。その上で余力があれば観察の間隔を短くして、各巣ごとの巣立ちヒナ数を調べられると情報がより確かなものになる。
 カワウの巣のステージ(産卵後の日数)は大まかに外見から判断することができる。D段階、E段階のヒナ数を調査することで巣立ちヒナ数の推定ができる。

繁殖段階の判別
1 空巣    
2 造巣行動  
3 ディスプレイ その他  
4 抱卵…………………………………… 親A
胸から腹をしっかりと巣に落ち着けて、尾羽が背に対して垂直に上に向くという典型的なポーズをとるので、判定しやすい。抱卵日数は25〜28日である。
5 抱雛…………………………………… 親B
6 ヒナ 孵化後1週間くらいまで……………… ヒナB
ヒナが小さいうちは、抱卵との区別が難しいところもあるが、餌やりを始めることから観察を続ければ判別はできる。孵化後47〜60日で巣立つ。
7 ヒナ 孵化後3週間くらいまで……………… ヒナC
翼の羽軸が少し出てきている。
8 ヒナ 孵化後5週間くらいまで……………… ヒナD
翼の産毛が抜けるが、頭・翼に産毛が残る。
9 ヒナ 巣立ち間際まで……………………… ヒナE
身体全体から産毛がなくなる。

 調査用紙は、こちらからダウンロードできます。