カワウの生態と調査 カワウの生態と基本的な調査について解説します。
 
 
もくじ
生態編
  カワウの形態
  分布と生息環境
  ねぐら・コロニー
  採食
  環境汚染の影響
  物質循環の役割
  行動圏
  生息状況の変遷
     
調査編
  ねぐら個体数調査
  繁殖状況調査
  河川飛来調査
  移動調査
分布と生息環境
 日本に生息するカワウの亜種は、日本とその周辺(サハリン、韓国、台湾)にのみ分布し、主に本州以南に生息するといわれていたが、現在は北海道でも生息が確認されている(図1)。日本には全部で4種のウ類が生息するが、ヒメウとチシマウガラスは北海道の沿岸部の限られた地域に分布し、またウミウの分布はほぼ日本全国の海岸線に限られる。カワウのみが他の3種と異なり、内湾を中心とした沿岸部から内陸の河川、湖沼までの水域を広く利用する。カワウは主に水辺の林や構造物にねぐらをとり、沿岸部や内陸の湖沼河川を採食地にしている(図2)。調査する場合や対策を考える場合には、ねぐら・コロニーと採食地を分けて考えると良い。

図1
図1:カワウの世界的な分布。(環境省2004、特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編)より。地図をクリックすると別ウィンドウで大きな地図を表示します。)

図2
図2:カワウの生活。休息・睡眠・繁殖をするねぐら・コロニーと、採食・休息する沿岸部や湖沼河川を一日の生活の中で利用する。(原画:miyasaka 一部改変:高木憲太郎)