餌台(バードフィーダー)の管理について

餌台(バードフィーダー)を設置する時の注意

2009年3月6日掲載
(2009年4月2日更新)

餌台(バードフィーダー)は、自宅にいながら、野鳥を間近に観察することができるツールですが、衛生管理を徹底して、節度をもって行わないと野鳥に感染症が広がることが起こり得ます。

2009年1月以降、北海道旭川市内でスズメが死んでいるとの道への情報が相次ぎ、現在までに50羽以上の死がいが確認されているとのことです。その内、旭川市旭山動物園が、家庭の庭先で見つかった死がいと餌台の周りにあった糞を採取して調べたところ、高確率でサルモネラ菌が検出されたことなどから、サルモネラ菌の一種による感染症の流行とみられています。糞などで不衛生な餌台にスズメが集まり、スズメ同士の感染拡大が起きたことが考えられます。
自然界においては他にもさまざまな野鳥の死因が考えられ、現時点で今回すべてのスズメの死因がサルモネラ菌とは断定できないものの、人為的な影響による野鳥の感染症の拡大を防ぐためにも、餌台を設置する時は、以下の点に十分注意してください。

餌台(バードフィーダー)は清潔にし、管理を十分に

餌台を不潔にしておくと、思わぬ事態を招く場合があります。今回のケースだけでなく、2005年から2006年にかけて北海道で発生したスズメの大量死についてもサルモネラ菌の一種が原因であった可能性が指摘されています。サルモネラ菌は感染した野鳥の糞とともに排泄され、餌や水を介して流行が広がります。また土壌などの環境中にも少量は存在し鮮度の落ちた食物の中で急激に増殖することもあります。サルモネラ菌に限らず、古い餌や汚れた水はいろいろな病気の感染を拡大させる原因となります。餌台によって野鳥の健康を損ねないよう、清潔で適切な管理をするようお願いします。
もしも病気の流行がおきた場合は、一時、餌台を撤去する等の対応が必要です。そのような流行情報が入った場合、引き続き当会ホームページ等でお知らせしますので、対処方法等をご確認ください。

  • 空間にゆとりをもって設置
    複数の餌台(バードフィーダー)を集中して設置すると、多くの野鳥が群がり見ていて楽しくなります。しかし、限られた場所で野鳥が群がる状態は野鳥にとってストレスですし、喧嘩による怪我や免疫の低下、個体同士の直接的な接触や排泄物の摂取が増えることなどにより、病気に感染しやすくなります。過密な状態をつくらぬよう、餌台は空間にゆとりをもって設置してください。
  • 餌は新鮮で清潔、適切な種類のものを
    新鮮で清潔な質のよい餌を準備し、筒型は一度に多くを入れすぎない、オープン型は毎日新しい餌と入れ替えてください。長期に渡って保管した餌の使用や、高温多湿な場所での保管は避けてください。殻つきの種子や新鮮な果物などの適切な種類の餌を選ぶのも大切です。残飯やスナック類などはくれぐれも使わないでください。
  • 餌の量を調整し、節度ある量に
    清潔を保つためにも、1日で食べきる程度の餌を入れてください。初めて設置する方は、様子を見ながら餌の量を調整してください。大量の餌を長期間にわたって与えすぎると野鳥の健康だけでなく、行動や生態にも影響が出る場合があります。一度に大量の餌を置かないようにし、適度な数が時々訪れる程度の節度ある量にしてください。
  • 餌台(バードフィーダー)の清掃は手袋着用で、作業後は手洗いを
    餌台の清掃は専用の清潔な手袋を着用して行い、餌の補充などで餌台を触った後には、石けんなどでよく手を洗ってください。手洗いは、人と動物の共通感染症を防ぐための基本的な注意です。
  • 餌台(バードフィーダー)とその周りや地面はこまめに掃除する
    餌台や水場(バードバス)に糞が付着している場合は取り除き、容器を洗ってください。また月1~2回※1を目安に消毒しましょう。家庭用塩素系漂白剤等※2を用いて所定の通りに漬けおきして消毒し、その後よく水で流し乾燥させてから使ってください。
    食べこぼして糞とまじったような餌は病気の流行や拡大の原因となります。雨で濡れた餌にはカビや細菌がふえやすくなりますので特に注意が必要です。また、餌台の周囲の土壌※3が糞で汚染されるとそこに病原体が長期に渡って保存されてしまうこともあります。ネズミやハエなどが集まるのも好ましい状況ではありません。餌台の上はもちろんのこと、周りや地面に落ちた糞や餌は必ずこまめに掃除して取り除いてください。
  • 尖ったところがあれば補修を
    餌台(バードフィーダー)に尖った箇所や、鋭い角等があると野鳥の体に傷がつき、傷口から病気に感染する場合があります。そうしたことのないように、餌台は時々点検し、危険な箇所があれば放置せず、すぐに交換や修繕をしてください。

※1もし餌台や近辺で感染症の流行が発生した場合にはさらに頻繁に行ってください。
※2塩素系消毒剤の代わりに熱湯消毒をする方法もありますが、その場合は5分程度煮沸しないと効果がありません。取り外せて高温に耐えるような容器(陶器やステンレスなど)では有効ですが、野外で台の表面にお湯をかけた程度のやり方では効果はほとんど見込めませんので注意しましょう。取り外せない容器や容器の周囲の台などにはアルコールや塩素系消毒剤をスプレー等で吹きかける方法がありますが、それらでは短時間の不十分な効果しか得られません。特にアルコールはすぐに揮発するので浸透性の無い材料ならば効果がありますが、木質のような材料には表面的な短時間の効果しかありませんので注意しましょう。サルモネラ菌など木質の中で長期に渡り保存されてしまうような病原体もあります。そのような感染症が発生した場合には、上記の消毒剤を表面にスプレーする程度では流行の拡大を完全に防止することはできません。木質の材料を用いる場合はシーズンごとに新しいものに交換する、実際に感染症が発生した餌台は廃棄するなど、陶器やステンレスの容器とはまた別の配慮が必要です。
※3病原体によっては、病気の鳥の糞などにより餌台の周辺の土壌が汚染されると、そのまま長期に渡って土の中に保存される性質のものがあります。餌台で発生しやすい感染症ではサルモネラ菌がその代表です。土壌の消毒は前述のような家庭用塩素系消毒薬やアルコールなどの消毒薬ではできません。もし濃厚に汚染された場合には、土の入れ替えなどの根本的な対策をしない限り完全な除去はたいへん困難で専門家用の土壌消毒薬を用いても影響が出なくなるまで数ヶ月またはそれ以上もかかります。そのような場合は、1年~2年は餌台を用いるのを止めるのがベストです。サルモネラ菌であっても1年以上土を休ませれば徐々に菌の数は減少していきます。そして再開する場合は少量の餌からはじめて鳥の様子をよく観察しながらにしてください。もしどうしても餌台を楽しむのを続けたい場合には場所を完全に変えてください。

季節を選んで設置してください

野鳥の多くは春から夏の子育ての期間、昆虫など、それぞれの種に適した動物質の餌を主食にしています。不適切な栄養成分の餌を与えられるとヒナは健康に育つことができません。自然界に食物が豊富な春~夏にかけては、餌台(バードフィーダー)を置くのは控えてください。

監修:阿寒国際ツルセンター 渡辺ユキ獣医師