プレスリリース 2017.11.20

北海道知事宛に
美々川・ウトナイ湖の保全にかかる要望書を提出しました

 日本野鳥の会(財団事務所:東京)は、当会の第1号サンクチュアリであり、ラムサール条約湿地でもある「ウトナイ湖」と、湖に流入する「美々川流域」の保全にかかる要望書を北海道知事宛に提出しました。
 道央圏において、原始河川の姿を今なお残す貴重な自然として道民にも広く知られた美々川は、近年、特に最上流域での水質悪化が危惧されています。
 現在、最上流域には養豚施設が存在し、今後は畜産クラスター事業による大規模肥育施設の建設も予定されており、ますます懸念しているところです。
 今回提出した要望書は、北海道に対して水質悪化への監視や改善を求めるとともに、道の自然環境保全条例による保護担保措置、自然再生事業(進行中)による美々川・ウトナイ湖の保全、さらには、ラムサール条約湿地の範囲を、すでに登録指定済の「ウトナイ湖」から拡大し、美々川流域も含めるという当会の活動について、理解や協力をお願いするものとなっています。詳細につきましては、要望書(本文)をご参照ください。

水質悪化が懸念される美々川
水質悪化が懸念される美々川

問い合わせ先
*公益財団法人 日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室(東京事務所)
担当:田尻浩伸(たじり ひろのぶ)
電話:03-5436-2634
*公益財団法人 日本野鳥の会 保全プロジェウト推進室(ウトナイ湖サンクチュアリ)
担当:中村 聡(なかむら さとし)
電話:0144-58-2505または080-2872-2709


日野鳥発第2017-056号
平成29年11月20日

北海道知事
高橋 はるみ 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長  遠藤 孝一

美々川・ウトナイ湖の保全についての要望
(特に、美々川源流域で懸念される水質悪化について)

 日頃より北海道の自然環境保全行政にご尽力いただき、心より感謝申し上げます。特に美々川自然再生事業では、各種調査とともに子どもを対象にした環境学習などが実施されており、幅広い活動に深く敬意を表します。
 さて、本会は苫小牧市および地域住民の皆さまのご理解のもと、1981年にウトナイ湖に日本で第1号のサンクチュアリを設置し、ウトナイ湖をはじめ周辺地域の自然環境保全活動を推進してまいりました。
 ウトナイ湖に流入する美々川の流域は、道央圏において原始河川の姿を今なお残す貴重な場所として道民にも広く知られています。そのため、1980年代より北海道の「自然環境保全地域」指定が検討され、苫小牧市からも毎年、北海道への要望事項として取り上げられてきましたが、現在においてもなお、指定には至っておりません。一方で、この約40年の間、流域では様々な形での土地利用が進み、源流域での水質悪化など、急激な環境の変化が危惧されます。
 美々川源流域には、以前から多数の養鶏施設が存在し、高濃度の窒素による影響が確認されていたものの、2004年に「家畜排せつ物法」が本格施行されて以降は、改善の兆しも見られていました。しかし、その後2011年頃より、再び窒素濃度の増加が起きています1)。
現在は(有)山中畜産による養豚施設があり、また、今後は畜産クラスター事業による大規模肥育施設が建設されると伺い、非常に懸念しているところです。
 美々川やウトナイ湖は北海道の貴重な財産であり、また、新千歳空港にも近く、観光資源としての可能性も大いに秘めています。つきましては、美々川流域の保全について、以下のとおり要望いたしますので、ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。

  1. 美々川源流域において、(有)山中畜産の所有する養豚場から排出される糞尿が、適正に処理されているかどうか、調査すること。
  2. 美々川源流域において、畜産クラスター事業による大規模肥育施設が水質悪化等環境汚染につながらないよう、厳しく監視および指導すること。
  3. 美々川流域を北海道自然環境保全条例に基づく「自然環境保全地域」に指定すること。
  4. 美々川自然再生事業を継続し、美々川やウトナイ湖の保全活動をより一層推進すること。
  5. ラムサール条約湿地である「ウトナイ湖」の登録地を拡大し、今後「美々川流域」も対象範囲に含めるべきという本会の提案について、検討すること。

以上

1)リバーフロント研究所報告第26号2015年9月 美々川・ウトナイ湖における自然再生の取り組み