プレスリリース:サシバ、ミゾゴイ等希少鳥類の保全のため岐阜県御嵩町のリニア残土処理予定地の計画変更を御嵩町他に要望

2023年8月3日

サシバ、ミゾゴイ等希少鳥類保護のために、重要湿地を残土処理場にしないよう要望

(公財)日本野鳥の会(事務局:東京。以下、当会)、日本野鳥の会岐阜(岐阜市)は、環境省の重要湿地(生物多様性の観点から重要度の高い湿地)に指定され、サシバ、ミゾゴイなど希少鳥類の貴重な生息地である「美佐野ハナノキ湿地群(東濃地域湧水湿地群の中の湿地の一つ)」(岐阜県御嵩(みたけ)町)を、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が進めるリニア事業における残土置き場にすることに対して、計画変更を求める要望書をJR東海、岐阜県、御嵩町、環境省、経産省に提出しました。

該当湿地を含む残土置き場予定地周辺では、例年、2つがいのサシバが繁殖しています。しかし、今年度は1つがいのみが成功し、もう1つがいは繁殖に失敗した様子です。ミゾゴイは、2004年からの調査で古巣、羽、鳴き声などを確認しており、繁殖しているものと考えられます。

JR東海によるリニア残土処理計画

候補地A、Bの造成計画(平面図)

環境省の重要湿地内に、残土処理計画がある民有地(候補地A)と町有地(候補地B)とがあり、その候補地内にハナノキが散在し、サシバやミゾゴイの生息エリアとなっている。

「御嵩町リニア発生土置き場に関するフォーラム(第2回令和4年8月11日)」より引用

御嵩町美佐野地区の町有地と民有地において、リニア中央新幹線建設による残土処理計画を、JR東海が進めています。新しく御嵩町長となった渡辺幸伸氏は、当計画について白紙の立場で、今後地域住民等の声を聞いて判断すると述べています。町有地に計画されている置き場に持ち込まれる残土は、要対策土(※)が含まれ、天然由来のヒ素などの重金属が残土に含まれている可能性が住民から指摘されています。

※要対策土:土壌汚染対策法の基準を超える天然由来のヒ素やフッ素が含まれる残土のこと。

サシバ

木の枝にとまるサシバ

サシバは、日本の東北地方以南で繁殖をする中型のタカの仲間です。南西諸島から東南アジアで冬を越し、繁殖のために日本に渡来する夏鳥で、特に秋の渡りの時期には大きな渡りの群れが日本各地で観察されます。サシバは日本の里山環境において、ごく普通に見られていたタカですが、2006年の環境省のレッドリスト改定で絶滅危惧Ⅱ類に選定されるなど、急激な減少が心配されています。
写真提供:オオタカと美しい自然を守る会
リニア残土計画予定地周辺で2023年撮影

ミゾゴイ

ミゾゴイ

IUCN絶滅危惧種、環境省絶滅危惧Ⅱ類、岐阜県絶滅危惧Ⅱ類。夏鳥で冬季はフィリピンなど南方へ渡って越冬します。繁殖地は、ほぼ日本。岐阜県のレッドデータブックでは、減少要因として「本種の繁殖地となる丘陵帯の樹林が住宅や道路建設によって開発され、繁殖場所が減少している」とあり、保全対策は「繁殖地となる里山環境の保全に努める。特に、営巣場所となる樹林を伐採しないよう配慮する」とあります。
写真提供:日本野鳥の会岐阜:資料写真

ミゾゴイの巣

コナラに営巣したミゾゴイの巣。写真は2023年4月17日にリニア残土計画予定地周辺で撮影。今までにホオノキ、アラカシでも巣を確認。谷地形の樹林内で高さ10~15メートル程度の高木の枝先に、枯れ木を組み合わせて巣を作ります。
写真提供:オオタカと美しい自然を守る会

添付資料

要望書:岐阜県御嵩町のリニア残土処理予定地内のサシバ、ミゾゴイ等希少鳥類の保全について(御嵩町長他宛)[PDF/192KB]

報道関係者様 担当及び問い合わせ先

公益財団法人 日本野鳥の会  施設運営支援室/大畑(おおはた)、自然保護室/田尻(たじり)
(大畑)E-mail: [email protected]

日本野鳥の会岐阜 代表/伊藤(いとう)
E-mail: [email protected]

※写真はデジタルデータの提供が可能です。使用については必ずご相談ください。禁:無断転載。

日本野鳥の会 組織概要

組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL:https://www.wbsj.org/

日本野鳥の会岐阜 組織概要

組織名:日本野鳥の会岐阜(会員 約300人)
代表者:代表 伊藤恭博
URL:http://gifubird.sakura.ne.jp/

本プレスリリースのPDF版はこちら/894KB]

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