シンポジウム・風力発電が渡り鳥に与える影響を考える‐障壁影響、バードストライク等への対応‐

風車

発電効率の良い有力な自然エネルギー源として世界各国で導入が進められる一方、希少な野鳥の衝突事故といった問題をはらむ風力発電。今後、自然エネルギーへの転換と、渡り鳥をはじめとする生物多様性保全をどのように両立させていくか、海外の先進的な取り組みから学びます。

日時:
2016年12月11日(日)13:00~17:30
(開場12:30)
会場:
慶應義塾大学三田北館ホール
アクセス・キャンパスマップ https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html
定員:
100名
申込み:
日本野鳥の会自然保護室 まで、メール・電話で申込み
Eメール:
[email protected]
※シンポジウムタイトル、お名前、ご所属をご記入下さい。
電話:
03-5436-2633

プログラム

  • はじめに 風力発電が野鳥に与える影響と環境影響評価の課題
  • 基調講演① Aonghais Cook氏(アオンガズ・クック、 British Trust for Ornithology)
    風力発電が渡り鳥に与える影響-障壁影響とその対策を考える‐
  • 基調講演② Tristram Allinson氏 (トリストラム・アリンソン、BirdLife International)
    渡り鳥に影響が出やすい場所での風車建設を避けるためのマップ作り
  • パネルディスカッション「渡り鳥に影響を与えない風力発電の実現」

パネリスト

Aonghais Cook氏(アオンガズ・クック、British Trust for Ornithology)
Tristram Allinson氏(トリストラム・アリンソン、BirdLife International)
増田正悟 氏(環境省)
浦 達也(日本野鳥の会)

モデレーター

樋口 広芳氏
(東京大学名誉教授、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授)

講師プロフィール

Dr Aonghais Cook (アオンガズ・クック)

風車

BTO(British Trust for Ornithology)の湿地・海洋調査チームの生態研究学者。
北海での4つの洋上風力発電計画の影響評価や、セヴァーン(Severn)潮力発電の戦略的影響評価など、この8年以上にわたり再生可能エネルギーの野鳥への影響評価に取り組んでいる。こうした調査研究や個々のプロジェクトを通じて、個体群レベルへの影響や累積的影響をふまえて衝突リスクを評価するという方法論のもと、再生可能エネルギーが野鳥に与える影響を最小限にするために、行政や産業界への指導や助言を行う中心的な役割を果たしている。

<講演概要>

風力発電は、野鳥に対して「タービンとの衝突」「生息地の移動」「障壁影響」等の影響を与えるが、中でも「障壁影響」は最も知られていない。障壁影響は鳥類が風車との衝突を避けるための回避行動に起因し、渡りの期間や、営巣地と採餌場所との移動の際に起きやすい。本講演では、洋上・陸上両方の風力発電施設に関する、現在の立証に基づいた障壁影響についてお話したい。これまで使われてきた手法の強みと弱点を考慮し、また、障壁影響が異なる種間でどのように変化するか注視し、特に障壁影響に脆弱であると思われる種やグループに焦点をあてて、その影響を緩和するために考えられる手段について話し合いたい。

Tristram Allinson (トリストラム・アリンソン)

風車

バードライフ・インターナショナルのグローバル・サイエンスオフィサー。多岐にわたる科学的な監視技術や専門技術の提供に携わっており、特に渡り鳥やその経路の保護に注力している。風力発電が鳥類に与える影響においては、バードライフの科学的な取り組みをリードする役割を担い、中でも、帆翔性の鳥類の脆弱性マッピング手法の開発など、野鳥の衝突リスクを評価するための空間的マッピング手法の開発に重点を置いている。

<講演概要>

風力発電の野鳥への影響を避ける最善の方法は、潜在的に脆弱なエリアに風力発電施設を建てないことである。そのためには、正確な鳥類学データに基づいた空間的なマッピングの手法が必要であり、バードライフ・インターナショナルでは、こうした手法の開発を担っている。バードライフでは、GEF(Global Environment Facility), UNDP(United Nations Development Programme 国連開発計画)、MAVAの支援を受けて、中東や北アフリカ、地中海沿岸部をカバーする、地域レベルでは初となる脆弱性マップを開発した。本講演では、飛翔性の鳥類に悪影響を与えるような場所に風力発電施設を建設しないために、これらの手法がどのように使われるかをお話したい。

お問い合わせ:
(公財)日本野鳥の会 自然保護室 電話:03‐5436‐2633
住所:
〒141‐0031 東京都品川区西五反田3‐9‐23 丸和ビル
主催:
(公財)日本野鳥の会
共催:
慶應義塾大学生物多様性研究ラボ
バードライフ・インターナショナル東京
後援:
慶應義塾大学SFC研究所、環境省