第5次食育基本計画の骨子(案)に意見を提出しました

第5次食育基本計画

“皆さんは昨日の晩ご飯に何を食べましたか?”

私は親戚の裏山で採れたタケノコを使った炊き込みご飯、サケの西京漬、厚焼き卵、アサリの味噌汁、裏の畑で育てたほうれん草のおひたしなどを食べました。
特にタケノコは毎年の楽しみで、春を感じながらいただいています。

それぞれの料理の食材を考えてみると、モウソウチクPhyllostachys edulisPhyllostachys edulis、お米(イネOryza sativa)、サケOncorhynchus keta、鶏卵(ニワトリGallus gallus domesticus)、アサリRuditapes philippinarum、ダイズGlycine max、麹菌(ニホンコウジカビ)Aspergillus oryzae、ホウレンソウSpinacia oleracea、ダイコンRaphanus sativus var. hortensisなどが挙げられるでしょうか。
どの食材にも学名があるように、生物である私が食べた食事は基本的に全て、生物由来です。豊かな食は健全な生物多様性が維持されていてこそ、得られるものなのです。

食事に限らず私たちは自然の恵みを受けて生きていますが、生態系が私たちにもたらす恩恵を生態系サービス、その中でも今回のようなサービスを供給サービスと言います。
つまり、食の根底は生物や生態系、生物多様性に支えられているため、食育を考える時、農業や漁業による食料調達、その運搬や調理、廃棄に関することを学ぶのはもちろん、生物多様性にも視野を広げて学ぶ必要があるでしょう。

そこで、今回パブコメが行われた「第5次食育基本計画の骨子(案)」に対して、私たちは生物多様性が生態系サービスを通じて食を支えるという視点から意見を述べました。

骨子全体の根底にあるべき考え方として、農林漁業の生産物が生物であること、その生育には健全な地球環境が必要であることを踏まえ、生物多様性の保全、気候変動対策、汚染対策を進めることが重要で、その理解を食育の目標のひとつとする、ということがあると考えています。

提出した意見から抜き出すと、以下の通りです。

「2025年(令和7年)4月に改訂された食料・農業・農村基本計画」では、食料の持続的な供給のため、食育の推進等によって食料・農業・農村に関する理解を深め、国民の行動変容につなげることが記載されています。同計画の「4.消費者の行動変容(P119)」では、有機栽培や環境配慮等の情報を元に商品を選択する行動変容を促す取り組みの推進が書かれていますが、行動変容を起こすには、そもそもなぜ有機栽培や環境配慮等が必要なのかの理解が必要です。

「食料・農業・農村基本法第三条」にある通り、食料システムには環境に負荷を与える側面があり、その低減によって環境との調和を図ることが必要です。農林漁業の生産物は生物であり、その生育には健全な地球環境が必要であることから、生物多様性の保全、気候変動対策、汚染対策を進めることが重要で、これらの理解を食育の目標のひとつとすることが必須と考えます。現在の本骨子(案)では、生物多様性について直接述べられたか所が1か所しかありませんが、国民がその重要性を学ぶ機会をできるだけ多くすることで、より効率よく目的を達成できると考えます。そこで、骨子の取り組み全体において生物多様性や生態系サービスが食、農林漁業を支えていることが伝わるよう配慮するとともに、生物多様性や生態系サービスが食、農林漁業を支えていることを学ぶ機会を作ることを明記してください。


ほかにも、私たちの食の背景にある学ぶべきこととして、ゲノム編集をはじめ育種に関すること、肥料原料や種子のほとんどを輸入していること、食料自給率の低さから海外の食材に依存する割合が高いこと、などがあります。
私が食べたアサリは外国産でした。海外から輸入されたということは、原産国の干潟生態系に影響を与えている可能性があることにほかなりません(テレカップリングと言いますが、このお話はまたの機会に)。

また、中国原産であるモウソウチクはタケノコ以外にもさまざまに利用可能である一方で、人の管理を離れると在来の生物多様性に影響を与えることから「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」に指定されています。
身近なところでは、キウイフルーツやニジマスも産業管理外来種です(外来種の問題も、またの機会に)。

私たちがこれからも暮らしていくためには安定して食料を得ることが必要で、そのためには生物多様性の保全が欠かせません。普段の暮らしにおいても、産地を気にしたり、生物多様性に配慮された商品を選んだり、食品廃棄をなるべく出さないように気をつけたり、できることはたくさんあります。
将来に渡って季節の食事を楽しめるよう、毎日の食事で生物多様性を感じ、守っていきましょう。

皆さんは昨日の晩ご飯に何を食べましたか?


当会が提出した意見はこちら