参院選を通じて自然保護に参加しよう

2025年7月11日

皆さんご存じのとおり、今月20日に第27回参議院議員通常選挙が行われ、定数248人のうち半数(比例代表選出議員50人、選挙区選出議員74人)が改選されます。

現行の制度で課題となっている法律の改正や新法の制定をはじめ、今後の国会でも自然環境に影響する重要な議論が行われると考えられます。その結果次第で、自然保護は加速することもあれば、減速することもあるでしょう。場合によっては環境が悪化するようなことが起こるかもしれません。

そこで、選挙に先立ち、主要政党(注)がどんな政策を掲げているのか、今回の参議院選用に公表されたマニフェストや特設ページから、自然環境保全に関係するおもだった政策をまとめてみました。投票先を検討する際の参考にしていただき、投票を通じて自然環境の保全に参加しましょう。

なお、参院選用に公表されたマニフェストや特設ページ(文末に出典URLを掲載)に記載がなくても、一般政策のページで生物多様性や気候変動、プラスチック対策、農業政策について記載している政党もあります。投票の前には、要約前のマニフェストや一般政策のページも確認されることをおすすめします。

(7月14日 表を修正)
(7月14日 農業政策のうち自然環境保全に関係するものを追加)
(7月17日 表を修正し本文に太字を追加)
(7月18日 表を修正)

投票日:2025年7月20日(日)

2025年参議院選挙 政策・マニュフェスト

生物多様性の保全や種の保護に関するもの

政党 摘要
自由民主党 希少種保護など、自然と共生する社会を実現。
立憲民主党 豊かな生物多様性を守るためネイチャーポジティブの実現。
ナショナル・トラスト活動の支援を行う法制度の検討。
違法伐採木材の日本市場からの排除。
公明党 「30by30」の実現に向けて、国立公園・国定公園等の保護地域の拡張を推進。
自然共生サイトの認定加速化と、生物多様性の保全に取り組む事業者等に対するインセンティブ整備を推進。
TNFD等対応およびネイチャーポジティブ経営への移行促進。
野生生物の生息・生育状況を把握し希少種の保全を図り、地域のシンボルとなる希少種の保全活動やそれを通した地域づくりを推進し、また希少種保全に対する理解醸成を促進。
日本維新の会 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本共産党 大規模開発による環境破壊をやめさせ、生物多様性を守る。
生物多様性保護の取り組みを抜本的に強める。
鳥獣対策、外来生物対策を抜本的に強める。
国民民主党 生物多様性を埋め込んだグリーンインフラを増やす国土柔軟化政策を進める。
れいわ新選組 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
社会民主党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
参政党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本保守党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず

気候変動対策に関するもの

政党 摘要
自由民主党 2050年ネットゼロ(温室効果ガスの排出と吸収を差引きゼロ)に向け、地球温暖化対策計画を実行し、地域脱炭素を支援。
立憲民主党 地球温暖化対策推進法の抜本的見直し。
2050年再エネ電気100%と早期のカーボンニュートラル。
環境破壊につながる太陽光発電や風力発電の大規模開発を最大限抑制と屋根置き太陽光発電や営農型太陽光発電を普及。
公明党 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進める。
国内におけるサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を加速し、地域脱炭素と地方創生の同時実現を図る。
再エネ海域利用法を改正し、促進区域の指定に当たり、国による海洋環境調査を着実に実施し、海洋環境等の保全の観点からの適切な配慮に努める。
日本維新の会 再生可能エネルギーの導入拡大や送電網整備、洋上風力や地熱発電の推進、核融合発電を含む次世代原子力発電、そして規制改革と投資促進を通じて、GX(グリーントランスフォーメーション)を強力に推進。
日本共産党 自然環境に配慮した再エネ導入を進める。
戦略的アセスの導入、累積的影響の反映など環境アセスメント制度の改善。
再エネの2035年度の電力比率を8割、40年度までに100%。
すみやかに原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、30年度にゼロ。
2035年までに温室効果ガスを75%~80%削減。
国民民主党 徹底した省エネルギーと電源の低・脱炭素化、イノベーション実装による大幅なCO2削減。
火力発電の高効率化、低炭素化、炭素貯留促進と原子力、再エネの積極的活用。
れいわ新選組 再エネ普及等で2030年に温室効果ガス70%以上削減、2050年までのできるだけ早い時期にネットゼロを目指す。
地域の自然や暮らしと調和した地域分散型再エネ普及を目指す。
社会民主党 脱炭素と脱原発をセットで目指し、「グリーンリカバリー」(環境と両立する産業を育成し雇用を創出する)を推進。
参政党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本保守党 日本の山や海の環境を破壊し、電力供給を不安定にし、電気代を高くする再生可能エネルギー(太陽光・風力発電)の導入反対。

プラスチック対策に関するもの

政党 摘要
自由民主党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
立憲民主党 プラスチック汚染に関する法的拘束力ある国際条約の策定を後押し。
廃棄物の定義を明確化し、排出者責任を徹底させるとともに、国として責任ある対応を行う。
公明党 プラスチック資源循環法に基づき、国内資源循環の深化及び海洋プラスチックごみ対策を推進。
使い捨てプラスチック消費の削減、河川流域での回収、生分解性プラスチック等への転換などを推進。
海洋プラスチックの資源循環を図るため、漁協など関係者の連携による漁業系廃プラスチックの収集・分別や再商品化を展開。
プラスチック汚染対策に関する国際条約の策定に向け、日本として議論をリードする。
日本維新の会 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本共産党 プラスチック対策と拡大生産者責任の徹底。
廃棄物対策と地方自治体の負担削減。
企業の責任を明確にして資源循環を進める。
国民民主党 国際的な取り組みを強化するとともに、生態系への影響を防止するための規制を導入する。
れいわ新選組 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
社会民主党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
参政党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本保守党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず

農業政策のうち自然環境保全に関係するもの

政党 摘要
自由民主党 環境と調和のとれた農業の確立を図る。
立憲民主党 農地を維持するため、農地に着目した新たな直接支払制度を創設する。
有機農業の振興。
公明党 環境負荷低減への取り組みをはじめ農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図るため、日本型直接支払制度を拡充する。
環境保全型農業直接支払交付金については、有機農業について収量が少ない初期の取り組みを重点的に支援する制度に拡充する。
「みどりの食料システム戦略」に基づく化学農薬使用量(リスク換算)の半減。
環境負荷低減の取り組みを導入する「クロスコンプライアンス」の本格化。
日本維新の会 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
日本共産党 競争力・効率一辺倒ではなく、国土の多面的な利用、環境・生物多様性・食の安全に配慮する人と環境にやさしい持続可能な農業をめざす。
生態系への影響懸念が指摘されるゲノム編集の遺伝子組み換え同等の規制と表示義務づけ。
国民民主党 国土、水源、自然環境の保全等、農業の公共的・環境的役割を重視した農政を展開する。
れいわ新選組 農薬と食品添加物の規制を強化する。
地場有機食材の給食での活用を進める。
社会民主党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず
参政党 有機農法の普及。
農薬使用、遺伝子組み換えなどの情報を消費者が正確に把握できるよう食品表示法の改善。
日本保守党 今回の参院選用に作られた資料には見つけられず

出典URL

政党 摘要
自由民主党 https://storage2.jimin.jp/pdf/pamphlet/202507_manifest.pdf
立憲民主党 https://cdp-japan.jp/visions/election_policies/
公明党 https://www.komei.or.jp/download/433045/(2025参院選重点政策)
https://www.komei.or.jp/content/manifesto2025/(2025 政策集)
日本維新の会 https://o-ishin.jp/policy/pdf/2025_election_manifesto.pdf
日本共産党 https://www.jcp.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/06/202506_sanin_seisaku.pdf(2025参院選基本政策)
https://www.jcp.or.jp/web_policy/(政策)
国民民主党 https://new-kokumin.jp/file/DPFP-PolicyCollection2025.pdf
れいわ新選組 https://san27.reiwa-shinsengumi.com/wp-content/themes/san27/assets/pdf/reiwasan202507manifest.pdf
社会民主党 https://sdp.or.jp/27th-hce-sdp/assets/pdf/2025_hce_manifesto_sdp.pdf
参政党 https://sanseito.jp/sanin_election_27_policy/
日本保守党 https://hoshuto.jp/lp/home-2025-sangiin/

※注:政治資金規正法(第三条)が定める「政治団体」の以下の要件を満たす政党を「主要政党」としました。

  • 所属する国会議員が5人以上
  • 所属する国会議員が1人以上で、次の選挙のいずれかで全国での得票率が2%以上
    • 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙又は比例代表選挙)
    • 前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)
    • 前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)

出典:政治資金規正法 第三条(e-Govポータル)