海洋プラスチックごみから、海鳥を守ろう

日常生活のあらゆる場面で使われるプラスチックが、プラスチックごみとして海洋環境を汚染し、海鳥やウミガメ、魚などの様々な生きものに影響を与えています。海洋プラスチックごみの問題は、どこか遠くで起きているものではなく、私たちの日常生活と密接につながっています。この問題を解決するには、私たち一人ひとりが行動することが必要です。

日本野鳥の会は、プラスチックに頼らない持続可能な社会を目指して、関係団体とともに政策提言や普及啓発活動を行っています。

政策提言活動

普及啓発活動

  • 2020年9月2日 教材「海洋プラスチックごみについて考えよう」に音声解説をつけた動画を作成しました。環境学習等でも自由にご活用ください。
    動画の視聴はこちら
  • 2020年7月10日 海洋プラスチックごみの問題を普及する教材「海洋プラスチックごみについて考えよう」を作成しました。どなたでも自由にダウンロードしてご活用いただけます。
    詳細はこちら
  • 2020年2月23日 シンポジウム「海洋プラスチックごみから海鳥を守ろう」を開催しました。当日のプログラム、報告書は、こちらからダウンロードできます。
  • 2019年7月04日  キャンペーン・海の日減プラチャレンジ

プラスチックごみによる海洋汚染

プラスチックごみで埋め尽くされた海岸(マニラ)
プラスチックごみで埋め尽くされた海岸(マニラ)

私たちの暮らしの中で、レジ袋やペットボトル、ストロー、弁当の容器など、数えきれないほどの様々なプラスチック製品が、日々大量に消費されています。こうしたプラスチックがごみとして廃棄され、河川を通じて海洋に流入し、深刻な海洋汚染を引き起こしています。

プラスチックの生産量は1950年以降全世界で増え続け、2015年には4億トンを超えています。海洋中には1億5000万トンを超えるプラスチックが存在し、年間800万トンのプラスチックが新たに流入しています。このペースで進むと、2050年には海洋中のプラスチック重量が魚の重量を上回るという衝撃的な予測もあります。

海鳥・海洋生態系への影響

プラスチックごみに囲まれたコアホウドリ 写真:OWS
プラスチックごみに囲まれたコアホウドリ
写真:OWS

海洋プラスチックは800種を超える生物に影響を与えており、毎年100万羽の海鳥、10万匹の海棲哺乳類、ウミガメ、そして魚が、プラスチックの影響により命を落としているといわれています。

海鳥では、全世界350種のうち、少なくとも97種でプラスチックの採食が確認されました。海面で採餌するアホウドリの仲間は、海水面に浮かぶごみを餌と間違えて飲み込むことがあります。親鳥からの給餌により、ヒナの体にもプラスチックごみが取り込まれます。プラスチックを与えられたヒナの中には、脱水症状や栄養不良で死んでしまうものも少なくありません。北西ハワイ諸島のミッドウェー環礁とその周辺海域には、海流により大量のプラスチックごみが集まります。ここで繁殖するコアホウドリのヒナの大部分が、プラスチックごみを取り込んでいます。歯ブラシやライター、ペットボトルのキャップなどのプラスチックごみがぎっしり詰まった状態のヒナの死体も発見されています。

また、ごみに付着する化学物質が鳥の体内で影響を与える可能性もあります。放置されたプラスチックごみは劣化して粉々になり、5㎜以下の細かなマイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックは油になじみやすく、海を漂う間に化学物質を吸着します。その中には有害な化学物質も含まれます。マイクロプラスチックはプランクトンを餌とする魚貝類に取り込まれ、それを食べる海鳥の体に蓄積されます。食物連鎖により、マイクロプラスチックに付着した有害物質も濃縮されるため、海鳥だけでなく海洋生態系全体への大きな脅威となっています。

プラスチック廃棄処理の問題

プラスチックは自然界では分解されないため、半永久的に海洋中に漂います。海洋に流出せずに適切に廃棄されたとしても、その先の処理には課題が残ります。政府は、日本でのプラスチックの有効利用率は86%(2017年)としていますが、その内訳をみると、リサイクルされているのは全体のわずか12%にすぎません。有効利用86%の中には、熱回収(プラスチックを焼却し、発生する熱を再利用する)や海外輸出が含まれており、熱回収は温室効果ガスであるCO2を発生させ、地球温暖化を加速させます。海外輸出は、廃プラスチックを処理する体制が整っていないアジアの国々に、日本で処理しきれないプラスチックごみを押し付けているのが実態です。なお、有効利用されていない14%は、単純焼却や埋め立て処理されています。こうした状況から、日本では、既に処理能力を超える量のプラスチックが生産・廃棄されている現状がわかります。

私たちにできること ‐使い捨てプラスチックの排出を減らそう

イラスト:片岡海里

イラスト:片岡海里
イラスト:片岡海里

プラスチックごみによる海洋汚染をくい止めるために、私たちにできることを考えてみましょう。

①まず、リデュース:
プラスチックごみによる汚染を食い止めるには、使い捨てプラスチックの使用をできるだけ減らすことが大切です。外出するときには、ペットボトルではなくマイボトル(水筒)を持っていきましょう。買い物では、レジ袋をもらわずに、マイバッグを使いましょう。使い捨てのスプーンやストローをもらわない、旅行先で使い捨ての歯ブラシやシャンプーなどのアメニティを使わないなど、少し気をつけるだけでできることがあります。
プラスチック製スポンジの代わりに天然素材のスポンジを使う、プラスチックではなくビン入りの製品を選ぶなど、プラスチックに代わるものがあれば、代替品を使いましょう。大量生産、大量消費社会を変えていくには、プラスチックに限らず、モノを使い捨てせずに大切に使うことが重要です。

②ごみを拾おう:

干潟のクリーン活動
干潟のクリーン活動

身の回りのごみを拾いましょう。全国各地で、様々な団体によるごみ拾い活動が行われています。海辺や川のごみを拾うクリーン活動に参加してみましょう。

③広げよう:
この問題を解決するには、プラスチックに依存する社会を変えていくことが必要です。消費者である私たちが行動に移すことが、社会を変える第一歩になります。量り売りや詰め替えサービスなど、プラスチック削減に積極的に取り組む企業やお店で買い物をし、応援しましょう。
使い捨てプラスチックを作らない・使わないように事業者に働きかけたり、プラスチックに頼る社会を変えるような政策を国に提言するNGOや団体の活動に参加し、支援することも、海洋プラスチック問題を解決する大きな力になります。
一人ひとりにできることは小さくても、多くの人が取り組むことで、社会が変わっていきます。プラスチックの使用を減らすために何ができるか、考えてみましょう。そして、この問題を家族や友達に伝えて、行動する仲間を増やしていきましょう。