野鳥により種子散布される樹25種

ここでは、野鳥によって種子散布される可能性が高いと思われる木の実の一部を紹介します。

■イチイ(イチイ科)

分布:北海道から九州に分布(四国・九州では山岳地帯に分布)しているほか、庭木としてもよく用いられます。
特徴:常緑針葉樹で、高さは20m前後。春に花をつけ、初秋に赤い実をつけます。

種子散布の対象となる主な樹種:
アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、エナガ(エナガ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■ヤマモモ(ヤマモモ科)

分布:関東以南に自然分布しているほか、街路樹などとしてもよく目にします。
特徴:常緑広葉樹で、高さは20m前後。春に花をつけ、初夏に実を赤い実をつけます。
実は、人も食べることができ、ジャムや果実酒に利用されます。

種子散布の対象となる主な樹種:
ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■ムクノキ(ニレ科)

分布:関東以西に自然分布しているほか、神社などで大木を目にすることがあります。
特徴:落葉広葉樹で、高さは20mを越え、幹も太く生長します。春に花をつけ、緑色の実は秋に熟すと黒っぽくなります。

種子散布の対象となる主な樹種:
モズ(モズ科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ツバキ科)


■エノキ(ニレ科)

分布:北海道、沖縄を除く全国に普通に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは20mを越え、幹も太く生長します。春に小さな花をつけ、実は秋に熟し、くすんだ橙色や茶色っぽい色になります。

種子散布の対象となる主な樹種:
アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、カケス(カラス科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■クスノキ(クスノキ科)

分布:本州中南部、四国、九州に広く分布しています。また、神社に植えられているほか街路樹としも多く利用されています。
特徴:常緑広葉樹で、高さは20mを越え、幹も太く生長し、中には、20mを越えるものもあります。古くから樟脳(しょうのう)として防虫剤や防腐剤に利用されてきました。初夏に小さな花をつけ、秋に熟した実は黒くなります。

種子散布の対象となる主な樹種:
カケス(カラス科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■アケビ(アケビ科)

分布:本州・中国・九州に分布しているほか、庭木としても利用されています。
特徴:蔓(つる)性の落葉広葉樹で、他の木に巻きつきながら生長します。また自立し低木として生長しているものもみられます。春に花をつけ、秋に紫色の実をつけます。熟すと紫色の皮(果皮)が割け中の果肉が露出します。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、エナガ(エナガ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■ヒサカキ(ツバキ科)

分布:本州・四国・九州・沖縄に分布し、照葉樹林で特によくみられるほか、植込みなどにもよく利用されています。
特徴:常緑広葉樹で、高さは6m前後になります。春に小さな花をつけ、特徴的な香り(人により臭いと感じる)がし、秋から晩秋に黒い実をつけます。

種子散布の対象となる主な樹種:
アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ヤマザクラ(バラ科)

分布:本州・四国・九州に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは20m前後になります。春に花をつけ、初夏に黒く実が熟します。

種子散布の対象となる主な樹種:
アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■ノイバラ(バラ科)

分布:北海道、本州、四国、九州に分布している。
特徴:蔓(つる)性の落葉広葉樹で、高さは2m前後になります。初夏に花をつけ、秋に赤い実をつけます。

種子散布の対象となる主な樹種:
アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ナナカマド類 (バラ科)

分布:北海道から九州の山地を中心に分布しているほか、北海道や東北地方を中心に街路樹としても利用されています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは6~10mに生長します。初夏に白い花が咲き、秋に真っ赤な実をつけます。また、紅葉が美しい木としても知られています。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)

※ナナカマドは、近縁種との判別が難しいため、ナナカマド類として掲載しました。


■カラスザンショウ (ミカン科)

分布:北海道を除く、ほぼ全国に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは10m前後になります。森林の倒木や山火事、伐採などにより
できた裸地環境に先駆的に生える種です。夏に花をつけ、赤っぽい実は、秋に熟すと黒い種子が露出します。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、エナガ(エナガ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■サンショウ (ミカン科)

分布:沖縄を除く、ほぼ全国に分布するほか、庭木としてもよく利用されています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは3mほどに生長します。春に花をつけ、秋に赤い実(雌株のみ)をつけます。若い芽は「木の芽」として、雄花は「花山椒」として、すり潰した実は香辛料として利用されています。

種子散布の対象となる主な樹種:
シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ヌルデ (ウルシ科)

分布:ほぼ全国に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは5mほどに生長します。森林の倒木や山火事、伐採などによりできた裸地環境等に先駆的に生える種です。夏に小さな花をつけ、秋に茶褐色の実をつけます。熟した実は、白い粉状の物に覆われます。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ハゼノキ (ウルシ科)

分布:西日本を中心に関東以西に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは10mほどに生長します。初夏に小さな花をつけ、秋に実をつけます。熟した実は、茶褐色となります。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アカゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■クロガネモチ (モチノキ科)

分布:西日本を中心に関東以西に分布しているほか、街路樹や庭木としても利用されています。
特徴:常緑広葉樹で、高さは10mほどになります。初夏に花をつけ、秋に真っ赤な実をつけます。

種子散布の対象となる主な樹種:
モズ(モズ科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ツルウメモドキ (ニシキギ科)

分布:全国に分布しているほか、庭木としても利用されています。
特徴:蔓(つる)性の落葉広葉樹で、他の木に巻きつきながら生長します。初夏に花をつけ、秋に実をつけます。実は熟すと赤い果実が露出します。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■コマユミ (ニシキギ科)

分布:北海道から九州まで分布しているほか、庭木としても利用されています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは2mほどになります。初夏に小さな花をつけ、秋に実をつけます。実は熟すと朱色の果実が露出します。

種子散布の対象となる主な樹種:
 コゲラ(キツツキ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、エナガ(エナガ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ミズキ (ミズキ科)

分布:北海道から九州まで分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは15mほどになります。初夏に花をつけ、晩夏から秋に黒く実が熟します。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、カケス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、エナガ(エナガ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■キヅタ (ウコギ科)

分布:ほぼ全国に分布しています。
特徴:蔓(つる)性の常緑樹で、冬でも葉があるので「フユヅタ」の別名もあります。晩秋から初冬にかけて花をつけ、初春頃に黒っぽく実が熟します。

種子散布の対象となる主な樹種:
カケス(カラス科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ヤマグワ (クワ科)

分布:北海道から九州に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは10mほどになります。春に花をつけ、梅雨頃、赤い実が目立ちます。実は熟すと黒っぽい色になります。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アカゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■エゴノキ (エゴノキ科)

分布:全国に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは10mほどになります。初夏に花をつけ、夏ごろから黄緑色の実が目立ち始め、晩秋に実が熟すと皮が割け、茶褐色の種子が露出します。

種子散布の対象となる主な樹種:
カケス(カラス科)、ハシボソガラス(カラス科)、ハシブトガラス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ツグミ(ヒタキ科)


■ネズミモチ (モクセイ科)

分布:関東以西に分布しています。
特徴:常緑広葉樹で、高さは7mほどになります。初夏に花をつけ、晩秋に黒っぽい紫に実が熟します。よく似た「トウネズミモチ」は、外来生物法で要注意外来生物に指定されているので混同しないように注意が必要です。

種子散布の対象となる主な樹種:
ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ムラサキシキブ (シソ科)

分布:全国に分布しているほか、庭木としてもよく利用されています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは3mほどになります。初夏に花をつけ、秋に紫色に実が熟します。

種子散布の対象となる主な樹種:
コゲラ(キツツキ科)、アオゲラ(キツツキ科)、モズ(モズ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、シロハラ(ヒタキ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ルリビタキ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■クサギ (シソ科)

分布:全国に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは4mほどになります。夏に花を咲かせ、秋に青紫色に実が熟します。また、森林の倒木や山火事、伐採などによりできた裸地環境に先駆的に生える種です。名の由来は、葉に独特の匂いがあるからと言われています。

種子散布の対象となる主な樹種:
ヤマガラ(シジュウカラ科)、シジュウカラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ムクドリ(ムクドリ科)、コムクドリ(ムクドリ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)


■ガマズミ (スイカズラ科)

分布:北海道、本州、四国、九州に分布しています。
特徴:落葉広葉樹で、高さは3mほどなります。初夏に花をつけ、秋に赤く実が熟します。

種子散布の対象となる主な樹種:
アオゲラ(キツツキ科)、カケス(カラス科)、ヤマガラ(シジュウカラ科)、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)、メジロ(メジロ科)、ヒレンジャク(レンジャク科)、ムクドリ(ムクドリ科)、アカハラ(ヒタキ科)、ツグミ(ヒタキ科)、ジョウビタキ(ヒタキ科)