四国のIBA

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IBAコード サイト名
128 吉野川下流域
129 剣山系
130 石鎚山系
131 加茂川河口
132 鹿野川ダム
133 四万十川中流域山林
134 西南諸島

JP127 熊毛八代(くまげやしろ)

山口県:周南市

山口県:周南市

位置 N 34°05′ E 131°56′
面積 1,038ha

環境構成【水田】

小林繁樹
写真:小林繁樹

周南市八代は標高約300mの中国山地に囲まれた盆地で、山すそまで稲田が続き、のどかな田園風景が広がっている。本州で唯一のナベヅルの渡来地であり、鹿児島県出水市とともに国の特別天然記念物に指定されている。盆地の中央、魚切地区にツルの監視所が設けられており、そこから前方の給餌場に集まるナベヅルを観察するのがよい。減少する飛来数に危機感が高まり八代のツル渡来数回復対策事業が開始され、八代鶴保護センターが建設された。またツルの飛来地の魚切地区の電線の地中化も行われた。

選定理由

A1 ナベヅル

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である
<その他>
東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地、国指定特別天然記念物八代のツルおよびその渡来地

保全への脅威

  • 水田・湿田の放棄、休耕田化
  • ねぐらの減少
  • 飛来個体群の高齢化及び亜成鳥群の未定着
  • 周辺地域において外来種の侵入が報告されるなど、当地域においても監視が必要である。
  • 冬期の作付(ムギ等)面積が拡大傾向にあり、餌場の水田環境が失われる。

保全活動

  • 環境管理:実施者(周南市、下松市、八代のツルを愛する会、夢現塾、米川環境保全協議会等)
    内容:ねぐらおよび餌場環境整備・維持(主体;周南市、共同実施)
    *下松市および米川環境保全協議会は下松市内にある、ねぐら(1箇所)の整備を行う。
  • 環境教育活動:実施者(八代小学校、八代南土地改良区(ツルの郷を守る会)、ツルの里生き物研究会、NPO法人ナベヅル環境保護協会)
    内容:
    • ツル観察日記の発行(八代小学校)
    • 水辺の生き物教室(八代小学校、八代南土地改良区)
    • 生きもの調査イベント(ツルの里生き物研究会)
    • 観察ガイド(NPO法人ナベヅル環境保護協会)
    • ツル保全のための年賀状コンクール(NPO法人ナベヅル環境保護協会)
    • 探鳥会(日本野鳥の会山口県支部)
    • 八代のツルの生態を知る学習探鳥会(八代のツルを愛する会、ナベヅル環境保護協会、夢現塾、米川環境保護協議会)
  • 法律制定、政策、規制:実施者(文化庁、周南市)
    内容:
    • 特別天然記念物指定(文化庁)
    • ツル保護対策事業の実施(周南市)
  • モニタリング調査:実施者(周南市)
    内容:
    • 渡来羽数
    • 行動記録(1時間おきに利用する水田番号を記録)
    • ねぐら利用箇所調査
  • 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(農事組合法人 ファームつるの里)
    内容:エコ米生産および販売
  • その他:実施者(山口県、周南市、八代鶴保護センター)
    八代のツル渡来数回復対策事業:平成14年度から鶴保護センター建設開始。平成18年には鹿児島県出水市から保護された3羽の幼鳥を受け入れ飼育、馴化後、平成19年に第1回目の放鳥が行われ、以後継続されている。

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JP126 児島湖・阿部池(こじまこ・あべいけ)

岡山県:岡山市、玉野市

岡山県:岡山市、玉野市

位置 N 34°35′ E 133°57′
面積 1,000ha

環境構成【人工干潟】

岡山市デジタルミュージアム
写真:岡山市デジタルミュージアム

岡山市と玉野市にまたがる児島湖は面積約10.88㎢、最大水深5.4m、平均水深1.9m、締切堤防の総延長 1,558mである。1962年に児島湾の一部を締切堤防によって海水を遮断して淡水化した人工湖である。ダム湖を除いた人造湖としてはオランダのアイセル湖に次ぐ世界で2番目の広さを持つ。1975年当時は生活排水などの問題でCOD(化学的酸素要求量)値が11~12ppm程まで悪化した。流域の下水道整備を行うと共に、人工ヨシ原を作り、湖底のヘドロ浚渫工事などを行い、2008年にはCOD値が8.1ppm程度まで下がった。それでもまだ、湖水の環境基準値であるCOD値5ppmを大きく上回っている。地域住民を含め水質改善に取り組んでいる。冬期のカモ渡来数は20,000羽を数え、岡山県下最大の渡来地である。

選定理由

A4iii カモ類

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である

保全への脅威

  • 児島湖へ流入する河川の水質悪化問題
    流域面積543.7k㎡(岡山県の1/13の面積)、流域内の人口62.6万人(岡山県の1/3の人口)が関与する湖の水質問題である。
  • カワウによる生息魚類への影響が懸念される(繁殖地が近接)
    冬季には2,000羽を超えるカワウが近くにねぐらを構えている。
    漁業への影響が多大である。
  • 児島湖・阿部池の中で阿部池の西側の水面全体に水上ソーラーパネルが設置された。

保全活動

  • 環境管理:実施者(岡山県)
    内容:児島湖流域水質保全基金を設け「児島湖畔環境保全アダプト制度」で17団体が参加して、草刈や浮遊ゴミの回収、湖岸にハナショウブやヨシの植栽等を行っている。
  • 外来種のコントロール:実施者(岡山県)
    内容:岡山県の外来種対策として、ブルーギルやオオクチバスのリリース禁止等のパンフレットを作成して広報に努めている。また、ヌートリア捕獲チームを編成して捕獲に努めている。
  • 環境教育活動:実施者(日本野鳥の会岡山県支部、児島湖流域エコウェブ)
    内容:地域の皆さんや学校教育の中で探鳥会を開催して野鳥の生息状況を説明している。エコウェブは、清掃活動や水質検査調査などを地域の子供たちと行う。
  • 保全のための人材育成活動:実施者(日本野鳥の会岡山県支部、児島湖流域エコウェブ)
    内容:地域の方々と共に自然環境を観察し、状況について考える機会を作っている
  • 法律制定、政策、規制:実施者(岡山県、岡山市)
    内容:平成3年に岡山県児島湖環境保全条例を制定。平成19年に「児島湖の長期ビジョン」を制定。第6期湖沼水質保全計画(平成23年から27年)」を制定
    「児島湖水辺環境整備基本計画」を策定
  • モニタリング調査:実施者(日本野鳥の会岡山県支部、児島湖流域エコウェブ)
    内容:日本野鳥の会によるガンカモ生息調査年2回実施。エコウェブによる水質監視活動
  • その他:
    内容:児島湖周辺に4,000本を超す河津桜を植樹して花回廊を作っている。春には多くの市民が訪れる。(児島湖花回廊事務局)
  • 児島湖クリーン基金の助成(岡山市)
  • 水質浄化活動などの環境改善問題への取り組み(児島湖21県民の会)

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JP125 経島

島根県:出雲市

島根県:出雲市

位置 N 35°26′ E 132°38′
面積 1ha

環境構成【島嶼】

佐藤仁志
写真:佐藤仁志

日御碕神社西側の沖100mにある約3,000㎡の小島。「経巻」を積み重ねたような形状の柱状節理の石英角斑岩からなり、植生はほとんど見られない。

選定理由

A4i ウミネコ

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国立公園(大山隠岐)
<その他>
国指定天然記念物経島ウミネコ繁殖地

保全への脅威

  • 日御碕神社の神域であり、渡航を禁じられていることなどから人による脅威はないが、餌資源の豊凶、気象変化、タカ類やカラス類による被害などにより繁殖率に年変動あり。

保全活動

  • モニタリング調査:実施者(出雲市教育委員会)
    内容:繁殖状況調査を毎年実施

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※経島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

JP124 隠岐諸島(おきしょとう)

島根県:隠岐の島町、海士町、西ノ島町、知夫村

島根県:隠岐の島町、海士町、西ノ島町、知夫村

位置 N 36°15′ E 133°17′
面積 34,800ha

環境構成【森林/島嶼】

江崎逸郎
写真:江崎逸郎

隠岐諸島は、本土から約60kmの沖合にあり、最も大きな島である島後と、中ノ島、西ノ島、知夫里島の3島からなる島前のほか、180余の小島からなる。対馬暖流とリマン寒流の影響を受けているほか海洋性気候の影響などにより、南方系や北方系、大陸系の植物などが混在する特異な植生が見られる。
島全体が火山地形で、島後には中央に大満寺山(608m)、島前には西ノ島の焼火山(452m)とそれぞれ中央火口丘地形が見られ、一帯は比較的自然の豊かな森林となっている。
島の中央部や海岸部、島嶼にはタブノキなどの照葉樹林が点在しており、カラスバトの生息に適した環境が残っている。

選定理由

A2 カラスバト

保護指定

サイトの一部(10~49%)に法的な担保がある。
<保護指定の内容>
県指定鳥獣保護区(波加島、焼火山、大森、大満寺)、国立公園(大山隠岐)、都道府県立自然公園、自然環境保全地域
<その他>
国指定天然記念物沖島オオミズナギドリ繁殖地、県指定天然記念物大波加島オオミズナギドリ繁殖地、西ノ島町指定天然記念物カラスバト繁殖地

保全への脅威

  • 昭和30年代以降、複数回にわたり放鳥されたキジやコジュケイが繁殖しており、狩猟シーズンにはハンターが島を訪れる。

保全活動

  • 保全のための人材育成活動:実施者(隠岐ジオパーク協議会)
    内容:ガイド養成等
  • 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(隠岐ジオパーク デスク)
    内容:エコツアーの実施
  • その他:
    隠岐の島町五箇地区で越夏したコウノトリを「幸(さち)」と名付け餌場環境の整備を行うなど、地元の住民等による保護活動の実績がある。

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※隠岐諸島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

JP123 宍道湖(しんじこ)

島根県:松江市、出雲市、斐川町

島根県:松江市、出雲市、斐川町

位置 N 35°26′ E 132°56′
面積 9,639ha

環境構成【潟湖/河川】

佐藤仁志
写真:佐藤仁志

宍道湖は、中国山地の船通山を水源とする斐伊川の下流部に位置する周囲約45kmの汽水湖で、2005年に中海と共にラムサール条約の登録湿地となった。松江市から見る夕焼けは有名。ここで採れるヤマトシジミは全国一の漁獲高を誇り、宍道湖七珍も有名。湖岸はほとんどがコンクリート護岸で、斐伊川の河口部などわずかに砂州とヨシ原が残っている。トンボの仲間のナゴヤサナエや、日本で宍道湖で初めて発見されたシンジコハゼなど希少動物も多数生息している。

選定理由

A4i マガン・キンクロハジロ・スズガモ
A4iii カモ類

保護指定

サイトの大部分(50~90%)に法的な担保がある。
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(宍道湖)
<その他>
ラムサール条約湿地

保全への脅威

  • カメラマンのマナー低下
  • 遊漁者の河口部への侵入
  • ヌートリアやブラックバスなど外来種の侵入

保全活動

  • 環境管理:実施者(国土交通省)
    内容:浅場造成やヨシの刈取りなど
  • 環境教育活動:実施者(国交省、島根県、(公財)ホシザキグリーン財団など)
    内容:水辺の環境学習など
    「宍道湖グリーンパーク」の運営((公財)ホシザキグリーン財団)
    探鳥会(日本野鳥の会島根県支部)
  • 保全のための人材育成活動:実施者(島根県など)
    内容:島根県自然保護レンジャーなど
  • モニタリング調査:実施者((公財)ホシザキグリーン財団、日本野鳥の会島根県支部)
    内容:冬鳥のカウント調査(10月~3月に毎月実施)

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JP122 中海(なかうみ)

鳥取県:米子市、境港市 島根県:松江市、東出雲町、安来市

鳥取県:米子市、境港市
島根県:松江市、東出雲町、安来市

位置 N 35°28′ E 133°12′
面積 10,000ha

環境構成【潟湖/河口/ヨシ原/水田】

桐原佳介
写真:桐原佳介

中海は、日本で5番目の面積の湖で、面積約9,200ha。平均水深6m。北は境水道を介して日本海とつながり、西は大橋川を介して宍道湖とつながっている汽水湖である。日本有数のガンカモ類の越冬地で、毎年約20,000~30,000羽が越冬する。流入河川は飯梨川、大橋川、伯太川、田頼川など。

選定理由

A4i コハクチョウ・ホシハジロ・スズガモ・キンクロハジロ
A4iii カモ類

保護指定

サイトの大部分(50~90%)に法的な担保がある。
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(中海)
<その他>
ラムサール条約湿地、東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地

保全への脅威

  • 大橋川の改修工事
  • 中海周辺農地の圃場整備等環境改変
  • 自然観察施設「米子水鳥公園」の管理者の交代
  • 米子水鳥公園内のつばさ池の塩分濃度の上昇(0.1%→2%)により、池の生態系が大きく変化している。特に、主要な水草であるリュウノヒゲモの衰退が著しく、これを主要な巣材に利用しているカイツブリの繁殖に大きな影響が出ている。池の塩分濃度の上昇は、米子水鳥公園がある中海干拓地彦名工区の地盤沈下により、塩分濃度が約2%の中海からの浸透水の影響を大きく受けるようになったことが原因と思われる。
  • かなり以前から鳥取県米子市と島根県安来市を結ぶ橋を中海に架ける計画が検討されているが、現在協議は中断したまま。

保全活動

  • 環境管理:実施者(NPO法人中海再生プロジェクト ほか)
    内容:中海アダプトプラグラムを展開し、周辺地域の企業・団体が中海の湖岸の一定区域の清掃活動を定期的に実施している。また、IBAサイト内の米子水鳥公園は、中海水鳥国際交流基金財団がボランティアの協力を得ながら、園内を水鳥生息地として良好に維持管理している。
  • 外来種のコントロール:実施者(公益財団法人中海水鳥国際交流基金財団)
    内容:IBAサイト内の米子水鳥公園において、ミシシッピアカミミガメやアメリカザリガニ、オオキンケイギク等の外来生物の駆除に取り組んでいる。
  • 環境教育活動:実施者(公益財団法人中海水鳥国際交流基金財団 ほか)
    内容:IBAサイト内の米子水鳥公園を拠点に、一年を通じて湿地の生物をテーマとした自然観察会、工作教室、湿地保全活動の体験プログラム等を実施している。また、NPO法人日本野鳥の会鳥取県支部が、毎年中海の水鳥観察会を開催している。
  • 保全のための人材育成活動:実施者(公益財団法人中海水鳥国際交流基金財団)
    内容:IBAサイト内の米子水鳥公園を拠点に、小学生から高校生を対象にラムサール条約湿地間の交流事業を展開し、参加した子どもたちは交流を通じて湿地保全の意欲を高めている。
  • 法律制定、政策、規制:実施者(環境省)
    内容:国指定鳥獣保護区および特別保護地区に指定
  • モニタリング調査:実施者(公益財団法人中海水鳥国際交流基金財団 ほか)
    内容:IBAサイト内の米子水鳥公園の野鳥を定期的にカウントし、調査結果をデータベース化してモニタリングしている。また、NPO法人日本野鳥の会鳥取県支部および日本野鳥の会島根県支部が、毎年10月~3月にガンカモ類の一斉調査を定期的に実施している。
  • 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(NPO法人中海再生プロジェクト)
    内容:全国から参加者を募り、中海オープンウォータースイム大会を毎年開催している。
  • その他:実施者 (NPO法人自然再生センター)
    内容:中海の水質悪化の主要因の一つである、湖底の浚渫窪地を、中国電力(株)の支援・協力を得て、火力発電所の石炭灰を加工したHiビーズ、Hiビーズ・ロック(石炭灰造粒物)を覆砂して埋め戻す事業に取り組んでいる。
  • その他
    彦名・水鳥ふれあいウォーキング大会
    子どもと中海の未来を考える会
    米子市環境フェア
    中海体験クルージング&中海環境フェア
    新春汽水域研究発表会
    汽水域懇談会

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中国のIBA

中国のIBA

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IBAコード サイト名
122 中海
123 宍道湖
124 隠岐諸島
125 経島
126 児島湖、阿部池
127 熊毛八代

JP121 氷ノ山(ひょうのせん)

兵庫県:養父市、宍栗市、新温泉町、香美町 鳥取県:鳥取市、若桜町、智頭町、八頭町、岩美町 岡山県:西栗倉村

兵庫県:養父市、宍栗市、新温泉町、香美町
鳥取県:鳥取市、若桜町、智頭町、八頭町、岩美町
岡山県:西栗倉村

位置 N 35°21′ E 134°31′
面積 10,000ha

環境構成【森林】

松重和太
写真:松重和太

山岳、隆起準平原、火山地形、落葉広葉樹林(原生林)。
氷ノ山は、中国山地の東端にあって兵庫県北部の但馬地域の西部に位置し、兵庫県と鳥取県にまたがる山岳地帯の国定公園にあり、兵庫県における最高峰(標高1,510m)でもある。地勢は、隆起準平原に溶岩が噴出してできた古い火山で、地盤は安山岩が主体となっている。
山の中腹以下では暖地性の常緑広葉樹がよく茂り、あちこちでスギ、ヒノキの造林も行われているが、標高700m以上の上部の大部分は、ブナ、トチノキ、ホオノキ、ミズナラ等の落葉広葉樹を主とする原生林で、その林床を2~3mのチシマザサが覆っている。
環境省のモニタリングサイト1000のサイトがあり、調査コースは、氷ノ山の西尾根(県境尾根)南斜面に建設された坂ノ谷林道の標高1,090m地点から西尾根登山道との合流地点近くの標高1,400m地点までの1㎞で、ブナの原生林地域である。構成する胸高直径10cm以上の主な樹木は、ウリハダカエデ、オオイタヤメイゲツ、コシアブラ、トチノキ、ナナカマド、ブナ、ホオノキ、ミズメの8種で、本数ではミズメ>ブナ>コシアブラが上位を占め、この3種で約70%となる。胸高断面積ではブナが約65%、次いでトチノキが約12%を占め、この2種の大木がこの地の多様な生き物の生息を支える植物群の主体になっていると考えられる。

選定理由

A3

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
県指定鳥獣保護区(扇ノ山、氷ノ山)、国定公園、都道府県立自然公園(氷ノ山後山那岐山国定公園、音水ちくさ県立自然公園)、自然環境保全地域、保護林

保全への脅威

  • 一部で、昔からスギ、ヒノキが植林されている。あまり拡大されていないように見えるが、ブナやトチノキなど天然木の減衰により植林域が拡大されることが懸念される。
  • 町おこしのための自然食材の商品化や他所からの山菜採りにより、チシマザサの大量採取が行われ、林床の減衰に拍車をかけている。コルリ、クロジ、ヤマドリなど林床に生息する鳥に悪影響を及ぼしていると考えられる。
  • 異常気象、気候変動による、大木のブナの立ち枯れや林床の減衰
  • レクリェーションとしての山菜採りや4WD、モトクロスバイク、スノーモービル等の乗り入れを懸念している。特に4WD、バイクは林道を傷つけ、水の流れが変わることがあり、生態系のサイクルに悪影響をあたえるものと考える。
  • 外来種の影響(氷ノ山には2004年からソウシチョウが確認されるようになり、現在では上位優占種に入っている。チシマザサの群落を主な生息場所とし、クロジ、コルリ、ウグイスなどとの競合があるとされるが、これらの種の減少には林床の衰退もあり、明確な因果関係はわからない。 在来種ではハシブトガラスの侵入が多くなった。)

保全活動

  • 環境管理:
    内容:自然公園法において規制(国)
    ブナ林の復活を目指して植樹、育成(ブナを植える会)
    古生沼野高山性湿生植物群落の復元作業(兵庫県生物学会西播磨支部)
  • モニタリング調査:実施者(日本野鳥の会ひょうご、兵庫県生物学会)
    内容:5年サイクルのモニタリングサイト1000の定点の一つを坂ノ谷に調査コースとし、5年毎のモニタリングと不定期の自主調査を実施。(日本野鳥の会ひょうご)
  • 環境教育活動:実施者(日本野鳥の会ひょうご)
    探鳥会の実施(不定期)

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JP120 二津野ダム(ふたつのだむ)

奈良県:十津川村

奈良県:十津川村

位置 N 33°56′ E 135°46′
面積 230ha

環境構成【ダム湖】

岩崎弘典
写真:岩崎弘典

紀伊山地十津川の本流に作られた面積約200haのダム湖。
当ダムのある十津川村は奈良県の最南部に位置し、面積は奈良県の約5分の1を占める日本一広い村である。
東は近畿の屋根大峯山脈、西は伯母子山地に囲まれていて、村の中央部を十津川が北から南へと流れている。
ダム湖周囲の斜面には、かつて薪炭材を採取していたシイ・カシの二次林が豊かに広がり湖面にまで覆いかぶさっていて、ドングリはこのダム湖で越冬するオシドリの食物となり、木陰は天敵から身を守る格好の隠れ場となっている。
ここで越冬するオシドリの個体数は、ダムの上流域、湖面、堰堤下、を含めると2,000羽を超えることもあり、国内最大級の越冬地である。

選定理由

A4i オシドリ

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である

保全への脅威

  • ダム湖の水位変動
  • 大雨による土砂崩れで、水の濁りが解消しない(平成23年の大規模水害により、周辺の土砂崩れでダム湖内に土砂が流入したうえ、水が濁り、いまだに濁りが無くなっていない。
  • レジャーフィッシング(ブラックバス)により、水面上をボートが移動することで、オシドリが休む場所を奪われる

保全活動

  • モニタリング調査:実施者(日本野鳥の会奈良支部)
    ガン・カモ・ハクチョウ調査(毎年)
    ガン・カモ・ハクチョウ類全国一斉調査2004(奈良県)

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