JP054 蕪栗沼(かぶくりぬま)

宮城県:登米市、大崎市

宮城県:登米市、大崎市

位置 N 38°38′ E 141°06′
面積 150ha

環境構成【湖沼/水田/農地/沈水・挺水植物】

竹丸勝朗
写真:竹丸勝朗

宮城県北部の平野と丘陵地の接点に形成された沼沢。
伊豆沼・内沼同様丘陵地帯に挟まれた広大な沢沼地だったものが幾度かの干拓を経て現在の形になった。遊水地であり平常時、恒常的に維持される水面は小さく、沼の広い範囲にヨシ・マコモ・ガマなどが密生する湿地となっている。沼内で小山田川に萱刈川が合流して沼地の南側から合流し下流は旧迫川となる。沼内の河川沿いや過去の増水で土砂が溜まったような場所は堤防状になるなど周囲よりやや高くヤナギ林などが成立している。伊豆沼・内沼が開水面を主とした構成であるのに対して、蕪栗沼は湿地や河畔林を主とする環境である。渇水時には沼の水面の広い範囲が干潟のように露出する。ラムサール条約登録に先立って蕪栗沼に隣接する白鳥地区の水田が沼として復元された。
周囲は、北側からスギ植林や畑、人家を配した低い丘陵が接しているほかは、東側、新野谷地にあった開拓集落が集団移転したので人家が少ない広い水田地帯である。

選定理由

A4i マガン
A4iii カモ類

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(蕪栗沼・周辺水田)
<その他>
ラムサール条約湿地、東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地

保全への脅威

  • 陸化の進行
  • 採餌に利用される広範囲の水田の維持
  • 渡り鳥の増加・集中による水質悪化や植生への影響、伝染病の懸念がある。

保全活動

  • 環境管理:実施者(蕪栗ぬまっこくらぶ・宮城県)
    内容:水位調整、陸地化防止、湿地維持管理、啓発
  • 外来種のコントロール:実施者(蕪栗ぬまっこくらぶ)
    内容:ブラックバス等外来魚の駆除
  • 環境教育活動:
    内容:小中学校への出前授業、水辺の生き物観察、渡り鳥の観察、国際交流(蕪栗ぬまっこっくらぶ)、探鳥会(日本野鳥の会宮城県支部)
  • 保全のための人材育成活動:実施者(蕪栗ぬまっこくらぶ、大崎市)
    内容:おおさき生きものクラブの運営
  • 法律制定、政策、規制:実施者(環境省)
    内容:鳥獣保護区
  • モニタリング調査:
    内容:鳥類、植物、昆虫、魚貝類のモニタリング、希少生物のモニタリング(蕪栗ぬまっこくらぶ・宮城県)、調査研究(日本雁を保護する会)
  • 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(蕪栗ぬまっこくらぶ)
    内容:エコツアーの実施

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 381KB)

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JP053 伊豆沼(いずぬま)

宮城県:登米市、栗原市

宮城県:登米市、栗原市

位置 N 38°43′ E 141°07′
面積 1,800ha

環境構成【湖沼/水田/沈水・挺水植物/農耕地】

本田敏夫
写真:本田敏夫

宮城県北部の平野と丘陵地の接点に形成された湖沼。
伊豆沼・内沼は古くは迫川流域に広がる広大な湿地だったが、幾度かの干拓により今の形になった。湖沼と言うよりは平らな湖盆を持った沢沼地の性格が強い点で蕪栗沼とよく似ている。水深が浅くハスやヒシその他の沈水・浮葉植物が繁茂し岸沿いにはヨシ・マコモなどの挺水植物帯が広がり、その外側や堤防、流入する河川に沿ってヤナギ林が形成されている。広い開水面は場所により渇水期に干潟のように泥底が露出する。
沼周囲の平坦地のほとんどは水田であり、沼を囲むように西から伸びる低い丘陵は、スギ植林、コナラ-クリ二次林、畑、住宅地その他、多様な土地利用がされている。

選定理由

A4i マガン・オオハクチョウ・オナガガモ
A4iii カモ類

保護指定

サイトの一部(10~49%)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(伊豆沼)
<その他>
ラムサール条約湿地、東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地

保全への脅威

  • 複数の保護の網がかかっているのは水面を主とした地域のみ
  • 流入水の汚染などによる環境負荷の増大
  • ブラックバスの影響と考えられている淡水魚相の単純化
  • 治水工事に伴う湖岸形態の単純化
  • ガン類が採餌に利用する広域の水田の規模や環境改変
  • 洪水による堤防の決壊、それに伴う河川環境の改変と工事による直接の影響

保全活動

  • 環境教育活動:
    内容:探鳥会(日本野鳥の会宮城県支部)
    普及活動(宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター、雁を保護する会、追町野
    鳥観察館、宮城県、伊豆沼・内沼環境保全財団、伊豆沼湖沼群の自然を守る会)
  • モニタリング調査
    内容:生息数カウント(雁を保護する会)、調査研究(日本雁を保護する会)
  • 外来種のコントロール:実施者(バスバスターズ(栗原市)
    内容:ブラックバス駆除
  • その他:
    自然再生全体構想策定(平成21年10月)(宮城県)

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 377KB)

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JP052 迫川(はさまがわ)

宮城県:栗原市

宮城県:栗原市

位置 N 38°46′ E 141°80′
面積 10ha

環境構成【河川/砂礫/樹林/広葉樹林・針葉樹林】

本田敏夫
写真:本田敏夫

北上川の支川。
宮城県北部の水田地帯を流れる河川は、河床勾配が小さく比較的緩やかであることが多い。川岸からすぐにヤナギ類の河畔林が成立し広い河原はあまり見られない。
迫川の中流、栗原市若柳や栗原市佐沼などの市街地を流れる部分は、早くから河川改修整備が行われたこともあり小礫や砂が堆積する河原が形成された。若柳や佐沼の市街地を離れると集落が堤防に沿って細長く続く水田地帯になる。
若柳より下流の流域は河川改修によって流路と平坦に整地された高水敷に分けられ、それ以前は畑や水田として利用されていた高水敷は乾性草地になっている所が多く、流路に沿って形成される湿性の草地は少なく河畔林の成育もおおむね抑えられている。

選定理由

A4i コハクチョウ

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である

保全への脅威

  • 洪水による堤防の決壊、それに伴う河川環境の改変と工事による直接の影響。

保全活動

  • 特になし

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 465KB)

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JP051 陸前江ノ島(りくぜんえのしま)

宮城県:女川町

宮城県:女川町

位置 N 38°24′ E 141°36′
面積 55ha

環境構成【島嶼】

小室智幸
写真:小室智幸

牡鹿半島の付け根、太平洋に面した女川港の沖合約14kmにある人が居住する江ノ島とその周囲の無住の島嶼。海、島、岩礁、崖、露岩、常緑広葉樹自然林、草地、住宅地、耕作地。
もっとも陸に近い二股島、沖合の平島、江ノ島、足島と北にある笠貝島などを含めて江ノ島列島と呼ばれる。江ノ島以外は無住なので人為による環境の改変はほとんど行われていない。
江ノ島は人が常住しているために島本来の自然植生のほとんどが失われているが、他の島々では海岸線から島の高所に向かって露岩の岩磯→イネ科植物やオオイタドリその他の草地→ヤブツバキ、タブノキ、クロマツなどの樹林へと移行し暖地性の樹木が島の高所を覆い、自然植生が失われずに残っている。また、二股島や平島では急な岩崖が島の一部にある。

選定理由

A4i ウミネコ

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
都道府県指定鳥獣保護区(江ノ島列島)、国立公園(三陸復興)、自然環境保全地域
<その他>
国指定天然記念物陸前江ノ島のウミネコおよびウトウ繁殖地

保全への脅威

  • 鳥類の生息地になっている島には人との直接の関わりで脅威と判断される事柄は特にないが、必要な調査以外の目的で繁殖期に頻繁に人が立ち入ることがあれば生息鳥類に影響を及ぼす。
  • 近年、ドブネズミが急増し、ウミネコの繁殖やその他ウトウ、ウミツバメ類の繁殖への大きな影響が懸念される。
  • 推定であるが、宮城県沿岸部におけるウミネコの繁殖率が大幅に低下しており、その一因として、繁殖期における食糧不足が懸念される。

保全活動

  • モニタリング調査:
    内容:鳥類標識調査、モニタリングサイト1000(環境省)
    *環境省東北地方環境事務所によって江ノ島列島足島のドブネズミ駆除のため平成28年度に殺鼠剤散布が行われ、29年度に残留生息調査が実施された。

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 597KB)
※陸前江ノ島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

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渡邊野鳥保護区シマフクロウ根室第2(わたなべやちょうほごくシマフクロウねむろだいに)

シマフクロウのための野鳥保護区
北海道根室地域 63.6ヘクタール

写真

シマフクロウを対象とする野鳥保護区。1つがいのシマフクロウが主に利用しており、周辺に生息する2つがいのシマフクロウの行動圏もかさなる重要な山林を渡邊士乃武氏からのご寄付を元に買い取った。

2018年度「みまもって!ナベヅル・マナヅル」

 秋も深まり、ナベヅル、マナヅルの渡来時期になりました。
 日本はこれらのツルの世界最大の越冬地ですが、かつて国内各地にあった越冬地はほとんど消滅し、鹿児島県出水市での集中化が長年の課題になっています。
 越冬地の復元・保全のため、国内の主要な渡来地がある11県で、狩猟登録者や住民、行政等の皆さまにチラシ、ポスターを配布し、ツルが飛来した場合の協力を呼びかけました。配布は、各県にご協力いただきました。
 皆さまもツルを見かけた際には、下記の注意事項にご協力をお願いします。

※チラシを印刷したい方は、画像をクリックしてください。

チラシ
A4版チラシ(PDF:766KB)

野鳥保護資料集第33集 《記録集・国際シンポジウム》野鳥と風力発電のセンシティビティマップ-その作成と活用方法

 風力発電事業の環境影響を回避・低減するには、適切な立地選定、つまり大きな環境対立が予想される場所への立地を事前に回避することが最も重要です。風力発電施設が鳥類に与える影響を左右する最大要因は風車の立地場所であり、欧州諸国ではこれまでに風車が鳥類に影響を及ぼした繁殖妨害や生息地放棄等の事例を蓄積し、鳥類が風力発電の建設による影響を受けやすい場所を示すような、センシティビティマップ作りが行われています。
 風力発電の先進国と言われる国々では、地域の環境保護のみならず、風力発電の導入促進の観点からもセンシティビティマップ作りの必要性が指摘されています。一方、日本ではセンシティビティマップ作成の体系的な方法論が確立していないため、我々が欧州諸国からマップ作成の取組みについて学ぶ意義は大きいという状況です。
 そこで当会は、欧州諸国での野鳥と風力発電のセンシティビティマップ作成の先進事例と、一部地域で取り組みが始まった国内でのマップ作りの事例を紹介し、今後、日本でどのようにセンシティビティマップ作りを進めていくべきかを議論するため、2018年2月17日(土)に横浜市内で「国際シンポジウム・野鳥と風力発電のセンシティビティマップ~その作成と活用方法」を開催しました。本資料集は、その内容を報告するものです。本書により政府、風力発電事業者、自然保護団体、その他関係機関が野鳥と風力発電のセンシティビティマップについてさらに注目し、日本全国でマップが作られるようになることを願っています。

本書の内容

第一部 講演

  1. 環境省における全国向け野鳥と風力発電のセンシティビティマップ
    有山義昭(環境省自然環境局野生生物課 計画係長)
  2. 衝突履歴を利用した全国スケールのセンシティビティマップ作成の試み
    北村亘(東京都市大学 環境学部 講師)
  3. 鳴門市でのゾーニングにおけるセンシティビティの評価検討について
    市川大悟(世界自然保護基金ジャパン 気候変動エネルギーグループ)
  4. 北海道北部における繁殖海鳥の洋上風力発電センシティビティマップ作成事例
    風間健太郎(北海道大学 水産科学院 博士研究員)
  5. 北海道宗谷地域における野鳥と風力発電のセンシティビティマップ作成事例
    浦達也(日本野鳥の会 自然保護室 主任研究員)
  6. 国内外のゾーニングの取り組みと今後の課題
    分山達也(自然エネルギー財団 上級研究員)
  7. 野鳥と風力発電の調和‐センシティビティマップの重要性
    トリストラム・アリンソン(バードライフ・インターナショナル)
  8. アイルランドにおける風力発電のための鳥類センシティビティマップ作成ツール
    ウーナ・ダガン(バードウォッチ・アイルランド)
  9. ブルガリアにおける野鳥のセンシティビティマップと風力発電開発
    イリーナ・マテーバ(ブルガリア鳥類保護協会)

第二部 パネルディスカッション

パネリスト:トリストラム・アリンソン、ウーナ・ダガン、イリーナ・マテーバ、有山義昭、市川大悟、風間健太郎、浦達也、分山達也
コーディネーター:北村亘

*資料集全文(PDF:13MB)を、以下から無料でダウンロードできます。
表紙

野鳥保護資料集第32集 地域と自然のための風力発電とは

 風力発電施設の立地によっては、地域住民による反対活動などの地域紛争がしばしば起こることが報告されるようになってきました。紛争の要因としては、野鳥の生息地を中心とした自然環境の破壊、低周波騒音被害の発生、景観の悪化などがあげられます。
 風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーは分散型電源といって、消費地の近傍に小規模の発電所を設置し、発電所周辺の住民が中心となって電気を使用し、地域住民が発電所設置による何らかの便益を得られるのが本来の姿です。しかし、日本では発電施設の大規模化が進み、また、特に風力発電においてはある地域に計画地が複数生じる一極集中型の開発が進んでいます。それは、再生可能エネルギーの賦存量が多い地域が、大手事業者などに風力や太陽光エネルギーを支配され、地域の自然環境を搾取され、地域住民は施設立地による恩恵は何もなく、ただ疲弊していくエネルギー植民地のようです。
 そのため当会は、なぜ日本ではこのように地域住民からの自然資源の搾取が起き、また、地域住民は直接的な便益を得ることができないのか、欧米でも風力発電の導入が盛んだが、このような問題は起きていないのかを知ることを目的に、2017年10月15日(日)に北海道・豊富町でシンポジウム「地域と自然のための風力発電とは」を開催しました。
 国内で多くの再生可能エネルギー導入を手掛け、海外の事情にも詳しい環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏や地域住民の代表としてサロベツ・エコ・ネットワークの長谷部真氏らをシンポジウムに招き、風力発電や太陽光発電の導入と地域住民との関係について海外事例と国内での状況について学び、議論しました。本資料集では、その内容について報告しています。
 当会は、日本で地域住民にとってメリットのある、地域住民が主体となる風力発電など再生可能エネルギーの導入はどのようなものかについて一人一人や地域住民が考えるきっかけとなることを期待し、本書を発行しました。そして、風力発電や太陽光発電と地域住民との共存がはかられること、そして再生可能エネルギーが真にクリーンなエネルギー源となることを期待しております。

本書の内容

第一部 講演

  1. 自然と地域と調和する自然エネルギーによる持続可能なエネルギー社会に向けて
    飯田哲也(環境エネルギー政策研究所 所長)
  2. 風力発電を対象とした環境アセスメントにおける合意形成への課題
    北村亘(東京都市大学 講師)
  3. 風力発電計画と地域の自然環境
    長谷部真(サロベツ・エコ・ネットワーク)
  4. 景観と人の暮らし
    稲垣順子(とんこり堂)

第二部 パネルディスカッション

パネリスト:飯田哲也、北村亘、長谷部真、稲垣順子
コメンテーター:小杉和樹
コーディネーター:浦達也

*資料集全文(PDF:10MB)を、以下からダウンロードできます。
表紙

田村野鳥保護区シマフクロウ日高第1(たむらやちょうほごくシマフクロウひだかだい1)

シマフクロウ保護のための野鳥保護区
北海道日高地域 14.5ヘクタール

写真

シマフクロウを対象として14番目に設置した野鳥保護区。
日高地域は、国内のシマフクロウ分布の南限であり、今後分布を拡大していく上で重要な場所である。この地域周辺では民有林の伐採が行なわれだしたため、2007年に野鳥保護区の設置を開始し、この野鳥保護区は2018年、会員の方からのご寄付を元に14.5ヘクタールの土地を購入して誕生した。この地域では当野鳥保護区を含めて合計145.2ヘクタールの森林を守っており、シマフクロウ1つがいの生息が確認され、繁殖を行なっている。

ことぶき野鳥保護区シマフクロウ日高第1(ことぶきやちょうほごくシマフクロウひだかだい1)

シマフクロウ保護のための野鳥保護区
北海道日高地域 6.1ヘクタール

写真

シマフクロウを対象とした日高地域の野鳥保護区。
日高地域は、国内のシマフクロウ分布の南限であり、北海道の西部へ分布を拡大して行く上で重要な場所である。この地域周辺では民有林の伐採が行なわれだしたため、2007年に野鳥保護区の設置を開始し、この野鳥保護区は2018年、会員の方からのご寄付を元に6.1ヘクタールの土地を購入して誕生した。この地域では当野鳥保護区を含めて合計145.2ヘクタールの森林を守っており、シマフクロウ1つがいの生息が確認され、繁殖を行なっている。