烏帽子島

環境構成

該当地域

烏帽子島(面積約0.01㎢)は、糸島半島と壱岐島のほぼ中間の玄界灘にあり、岩礁からなる無人島である。植物相は貧弱で、島の上部にヒゲスゲやイソヤマテンツキなどが生えるのみである。石垣の隙間やヒゲスゲが生えている窪地などでカンムリウミスズメが繁殖しており、県指定鳥獣保護区になっている。
周辺海域では、ヒラメ、カレイなどの底刺し網漁やタイ、ブリなどの延縄漁が行われている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 県指定烏帽子島鳥獣保護区(特別保護地区)

繁殖している海鳥

カンムリウミスズメ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 釣り人の上陸(瀬渡し船)に伴う移入種(ネズミ類)の侵入と海鳥の捕食

保全活動

  • 日本野鳥の会福岡支部(鳥類調査)
  • 糸島漁業協同組合(福岡県漁業調整規則による刺し網漁の期間操業)

沖ノ島・小屋島

環境構成

沖ノ島(面積約0.85㎢、周囲約4㎞)は、福岡市の北北西78㎞の玄界灘にあり、島全体が宗像大社の神域とされ、一木一石とも持ち出すことが禁じられている。植生の原始性が高く「沖の島原始林」として国の天然記念物に指定される。小屋島は本島の南南東側約1㎞に位置する標高29mの岩礁である。
沖ノ島ではオオミズナギドリ、小屋島ではカンムリウミスズメおよびヒメクロウミツバメが繁殖する。沖ノ島本島、小屋島、御門柱および天狗岩の区域は海鳥の重要な集団繁殖地として、国指定鳥獣護区とされている。
島の周辺海域では、雑魚固定式刺し網や延縄漁が行われている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 国指定沖ノ島鳥獣保護区(特別保護地区)
  • 国指定天然記念物 沖ノ島原始林

繁殖している海鳥

カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメ、オオミズナギドリ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 移入種(ドブネズミ)によるカンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメの捕食と繁殖への影響(小屋島)
  • 移入種(ノネコ)による捕食(本島)
  • 延縄漁中に設置する浮標への海鳥の激突

保全活動

  • 日本野鳥の会北九州(調査モニタリング)
  • 北九州市立自然史・歴史博物館(海鳥調査保全活動)
  • 宗像漁業協同組合漁業者(ゴミ拾い)

西南諸島

環境構成

沖ノ島は、宿毛市の南西約24㎞の太平洋上にあり、全島が花崗岩に覆われている。蒲葵島は大月半島先端と沖ノ島の間にある無人島で、ヒゲスゲやハチジョウススキなどの草本が生え、オオミズナギドリの繁殖地となっている。宿毛湾の無人島ではカンムリウミスズメが繁殖する。黒潮の影響を受け、気候は温暖で高温多雨。亜熱帯植物が多く生育する。
周辺海域では、一本釣り漁などの漁業が行われているほか、磯釣りやダイビングなどのマリンスポーツも人気を集めている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 足摺宇和海国立公園特別地域
  • 県指定姫島鳥獣保護区特別保護地区
  • 県指定蒲葵島鳥獣保護区

繁殖している海鳥

オオミズナギドリ、カンムリウミスズメ

海鳥・海洋保全への脅威

  • イノシシによるオオミズナギドリの巣穴破壊
  • 釣り人の立ち入りによる攪乱

保全活動

  • 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
  • 高知県(鳥獣生息状況調査)

隠岐諸島

環境構成

該当地域

隠岐諸島は島根半島の北、約40㎞から80㎞沖にあり、島後島、知夫里島、西ノ島、中ノ島の4つの有人島と多数の無人島からなる。オオミズナギドリの集団繁殖地として、星神島(西ノ島町)と沖ノ島(隠岐の島町)が国指定、大波加島(知夫村)が県指定の天然記念物になっている。また、白島、松島、二股島、大森島でもオオミズナギドリが繁殖している。急峻な星神島では、カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメの繁殖も確認されている。
周辺海域は、対馬暖流とリマン寒流が流れ、好漁場として知られ、イワシ、アジ、サバ類など回遊魚を対象としたまき網漁業を中心に、カニ類、イカ類、定置網漁等が行なわれている。磯釣りや船釣りに多くの人が訪れるほか、ヒオウギ貝、イワガキなどの養殖が行なわれている。
大陸の一部であった時代から、海の底や湖の底にあった時代、火山活動による隆起、本州と陸続きになった時代を経て、現在は本州(島根半島)と隔離されており、オキサンショウウオなどの固有種が生息し、北方系のオキシャクナゲやオオイワカガミ、大陸から入ったトウテイランやチョウジガマズミ、南方系のナゴランやヒトモトススキなど地域を特徴づける植物が見られる。特徴ある自然景観や地形をもとに、2012年には世界ジオパークの一つ「隠岐世界ジオパーク」として登録された。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 大山隠岐国立公園(特別保護地区)
  • 国指定天然記念物 オオミズナギドリ繁殖地(星神島、沖ノ島)
  • 県指定天然記念物 オオミズナギドリ繁殖地(大波加島)
  • 県指定・波加島鳥獣保護区(特別保護区)、焼火山鳥獣保護区(特別保護地区)、大森鳥獣保護区(特別保護地区)、大満寺鳥獣保護区(特別保護地区)、海士鳥獣保護区、隠岐国分寺鳥獣保護区、白島鳥獣保護区、亀の原池鳥獣保護

繁殖している海鳥

カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメ、オオミズナギドリ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 移入種(ネズミ類)による捕食(大森島、二股島、二股小島、沖ノ島、大波加島)
  • ハシブトガラスによる海鳥の雛や卵の捕食
  • 釣り人の上陸による繁殖攪乱、ゴミの放置

保全活動

  • 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
  • 日本野鳥の会島根県支部(調査活動)

経島

環境構成

該当地域

経島(面積約3,000㎡)は、日御碕神社の西方約100m沖の日本海上にある無人島で、ウミネコの繁殖地として天然記念物に指定されており、渡航は禁止されている。周辺海域ではブリの一本釣りや、アワビ、サザエの採介漁業が行われている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 大山隠岐国立公園(特別地域)
  • 国指定天然記念物 経島ウミネコ繁殖地

繁殖している海鳥

ウミネコ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 移入種(ノネコやアナグマ)やカラス類による捕食

保全活動

  • 出雲市(ウミネコの生態調査・観察)
  • 漁業協同組合JFしまね大社支所婦人部・組合員(海岸清掃)
  • 漁業協同組合JFしまね大社支所(一本釣り禁漁期の設定、採介の一部禁漁)
  • 漁協によるゴミ拾い

冠島・沓島

環境構成

冠島(面積0.22㎢)は舞鶴市の約10㎞沖の若狭湾上にあり、東西413m、南北1,316m、標高169mの無人島である。オオミズナギドリの集団繁殖地として島全体が天然記念物に指定されている。
冠島の北東2.2㎞にある沓島には、数千羽のウミネコのほかオオミズナギドリ、カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメの繁殖が確認されている。両島で繁殖している海鳥は、その周辺海域だけでなく日本海を広く採食圏としていることが標識調査や衛星発信機の調査で判明しつつある。
両島の周辺海域では、サザエの刺し網、ブリの一本釣り、ウマヅラカワハギのすくい網の他、定置網漁や箱メガネでのサザエやアワビ漁も見られる。また、磯釣りや船釣りに訪れる人々を対象とした遊漁船業やダイビングなどのレジャー産業も経済活動の一部になっている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 国指定冠島・沓島鳥獣保護区(特別保護区)
  • 若狭湾国定公園

繁殖している海鳥

オオミズナギドリ、カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメ、ウミネコ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 1997年のナホトカ号のような重油流出事故
  • 漂着ゴミ(特に冬季風浪によるもの)
  • 移入種(ドブネズミ)による捕食

保全活動

  • 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
  • 冠島調査研究会・舞鶴市教育委員会・環境省・山階鳥類研究所(オオミズナギドリ等の海鳥の生態調査)
  • 舞鶴市(市内小中学校への環境教育講座)
  • 京都府漁業組合(ワカメ資源保全のための禁漁期間を設定)

紀伊長島

環境構成

該当地域

紀伊長島沖には数多くの無人島が点在している。中でも耳穴島はカンムリウミスズメの繁殖地として知られ、オオミズナギドリ、カラスバト、ウチヤマセンニュウなども繁殖している。
黒潮が流れる周辺海域は魚種が豊富で、好漁場として知られる。定置網(ブリなど)やエビ網漁(イセエビ)の他、釣り客を乗せての漁業や島への渡船業が行われている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 国指定紀伊長島鳥獣保護区(特別保護地区)

繁殖している海鳥

カンムリウミスズメ、オオミズナギドリ

海鳥・海洋保全への脅威

  • レジャーボートのスクリューによる海鳥の巻き込み
  • 釣り人やマリンレジャーをする人の上陸による繁殖地の攪乱

保全活動

なし

遠州灘

環境構成

遠州灘は静岡県の御前崎から愛知県の伊良湖岬までの約110㎞にわたる海域で、天竜川、大井川が流入している。海岸線は砂丘が続き、アカウミガメの産卵場や、コアジサシの営巣地となっている。浜名湖周辺の観光地化が進み、レジャーとしての釣りや、マリンスポーツ、潮干狩りなど多くの人が訪れることによるコアジサシの営巣地の攪乱が脅威となっている。
遠州灘では、浜名湖からの淡水の流入量が多く、プランクトンが多く発生する。これを餌とする魚が集まるため漁業が盛んで、船曳網漁(シラス漁)、底曳網漁、はえ縄漁(フグ漁)、カツオ一本釣り漁業、刺し網漁(ワタリガニ、ヒラメ、カレイ)などが行われている。シラス漁に関しては全国一の漁獲量を誇る。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 県指定天竜川以西遠州灘鳥獣保護区

繁殖している海鳥

コアジサシ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 砂浜への車の乗り入れによるコアジサシ繁殖地の攪乱
  • 防潮堤工事や犬、猫の侵入によるコアジサシ繁殖への影響

保全活動

  • 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
  • 日本野鳥の会遠江(海岸からの年3回のモニタリング調査、遠州灘海岸への車両侵入規制の行政への要望)
  • サンクチャリージャパン(アカウミガメ、コアジサシなどの保護活動)
  • 市民・自治会(海岸のゴミ拾い)
  • 湖西市環境課(市内の小学生とその保護者を対象とした環境学習会の実施)

七ツ島

環境構成

ウミネコのコロニー

七ツ島は輪島市沖約20㎞に位置し、大島・荒三子島・御厨島・竜島・狩又島・赤島・烏帽子島からなる。最も大きい大島(面積0.03㎢、標高約62m)の中央には、無人の七つ島灯台が立っている。その他の6島は、周囲を約40mの崖に囲まれ、人が近づくのは難しい。島ではカンムリウミスズメ、オオミズナギドリ、ウミネコ等が繁殖している。
1970年代までは漁の時期には漁業者が生活していたが、現在は無人島となっている。周辺海域はアジ、タイなどの良い漁場で、刺し網漁(メバル、ノドグロ、アマダイ、マダイなど)や延縄漁の他、素潜りの海女漁が行われている。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 能登半島国定公園
  • 国指定七ツ島鳥獣保護区(特別保護地区)

繁殖している海鳥

カンムリウミスズメ、オオミズナギドリ、ウミネコ、ウミウ、ヒメクロウミツバメ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 移入種(ウサギ)の侵入による植物への影響、土壌流出
  • 移入種(ドブネズミ)による海鳥の捕食
  • 藻場の減少

保全活動

  • 環境省(七ツ島におけるカンムリウミスズメ調査、大島でのウサギ駆除、植生の復元保護・調査活動)
  • 日本野鳥の会石川(保護・調査活動)
  • 石川県漁業協同組合輪島支所(海女漁の期間設定、底引き網漁の漁期設定、藻場再生を目的とした外敵駆除)

火山列島

環境構成

火山列島は東京から約1,200㎞南に位置し、北硫黄島(面積5.57㎢)、硫黄島(面積23.16㎢)、南硫黄島(面積3.5㎢)からなる。北硫黄島、硫黄島は、人為的攪乱が多かったが、第二次大戦後、北硫黄島は無人島となり、硫黄島は現在、自衛隊が常駐している。南硫黄島は、人の居住の歴史がなく、貴重な自然が残されている。海岸から急峻な山(標高918m)となっており、熱帯から亜熱帯に移行する植生で、かつ、南方系と北方系の植物が見られ、固有の植物も数多く見られる。山頂付近の蘚苔林の中には、木性シダも自生する。
火山列島では、アカオネッタイチョウ、クロアジサシ、ヒメクロアジサシ、シロハラミズナギドリなどの海鳥が繁殖している。中でも南硫黄島はクロウミツバメの世界で唯一の繁殖地である。

海鳥の繁殖地の保護指定

  • 国指定北硫黄島鳥獣保護区(特別保護地区)
  • 小笠原国立公園(特別地域、特別保護地区)
  • 南硫黄島原生自然環境保全地域
  • 天然記念物(南硫黄島)

繁殖している海鳥

アカオネッタイチョウ、オナガミズナギドリ、セグロミズナギドリ、シロハラミズナギドリ、カツオドリ、クロアジサシ、ヒメクロアジサシ、クロウミツバメ、アナドリ、クロアシアホウドリ、オーストンウミツバメ

海鳥・海洋保全への脅威

  • 移入種(ネズミ類)による海鳥の捕食(北硫黄島)

保全活動

  • 東京都(北硫黄島におけるアカガシラカラスバトの生息状況調査)
  • 東京都・小笠原自然文化研究所(小笠原諸島における海鳥の生息状況調査、硫黄列島におけるオガサワラオオコウモリの生息調査)