- 日本野鳥の会
- 当会の活動
- 自然保護
- 絶滅危惧種の保護
- チュウヒの保全に向けた調査
- 危機的な状況にあるチュウヒ
危機的な状況にあるチュウヒ
日本でもっとも少ないタカの仲間
チュウヒは、トビやノスリのように比較的観察しやすいタカの仲間ですが、国内での生息は危機的な状況です。現在、環境省のレッドリストでは絶滅危惧IB類(図1)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)では国内希少野生動植物種に指定されています。
| カテゴリー(略称) | 内容の説明 |
|---|---|
| 絶滅 (EX) | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
| 野生絶滅 (EW) | 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
| 絶滅危惧I類 (CR+EN) | 絶滅の危機に瀕している種 |
| 絶滅危惧IA類 (CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
| 絶滅危惧IB類 (EN) | IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
| 絶滅危惧II類 (VU) | 絶滅の危険が増大している種 |
| 準絶滅危惧 (NT) | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
| 情報不足 (DD) | 評価するだけの情報が不足している種 |
| 絶滅のおそれのある地域個体群 (LP) | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
図1:環境省レッドリストのカテゴリー
当会は、2018年から2020年にかけて全国を対象に、現地での調査や当会会員などの協力を得てチュウヒの繁殖状況の調査をしました。その結果、全国で「135つがい」しかいないことが分かりました(図2)。これは、日本で繁殖が確認されているタカの仲間の中ではもっとも少ない種ということになります(亜種を除く、図3)。

図2:2018-2020の全国調査で明らかになったチュウヒのつがい数



図3:日本で繁殖つがい数が少ないタカの仲間(亜種を除いた上位3種)
なぜ少ないの?
なぜこれほどまで日本で繁殖するチュウヒの個体数は少ないのでしょうか。その理由として考えられているのは、「生息環境の悪化」です。
チュウヒの生息環境であるヨシ原や草原は、不毛の地とみなされ、宅地や農耕地などと別用途の土地として開発され環境が変化することが多くあります。図4は、国土交通省国土地理院が公表している明治・大正時代と1999年の日本の湿地面積を比較したものですが、これによると、明治・大正時代から約61%もの湿地が減少していることが分かります。

図4:明治・大正時代と1999年の日本の湿地面積の比較(国土地理院(2000)より引用)
近年は、再生可能エネルギー発電施設との軋轢も生じており、太陽光パネルによって採食環境が狭まるなどして繁殖率が下がった事例も確認されています。さらに、植生の変化による生息環境の悪化も発生しています。これは、植生遷移など自然的要因も含んでいますが、人為的な開発(河川の直線化や農地開発のための水路の整備など)により生息地(特に湿地)が乾燥化し、樹林化を招いています。チュウヒは、開けた環境を好むため、樹林が多くなることで、生息地として適さない環境となってしまうのです。

また、チュウヒの脅威となるものとして、生息環境の悪化だけでなく、カメラマン等による繁殖地やねぐらへの過度な接近、タヌキやオジロワシなどによる捕食もあげられています。
シカやイノシシの増加による生息環境の悪化も懸念されている参考図書・文献(発行年順)
- 森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.文一総合出版,東京.
- 国土地理院.2000.日本全国の湿地面積変化の調査結果.
- 環境省.2016.チュウヒ保護の進め方.
- 長谷部真・浦達也.2024.サロベツ周辺のチュウヒと保全活動.チュウヒサミット2024予稿集.日本野鳥の会三重.三重県.
- 多田英行.2026.チュウヒの繁殖地保全の課題.BIDER1月号.文一総合出版.東京.







