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チュウヒの保護への取り組み
プロジェクトのビジョンと目標
チュウヒは、絶滅の危険性が高いにもかかわらず、十分な保護が行われていないのが現状です。繁殖環境として利用する原野(湿原や草原)は、開発行為の影響を受けやすく、また放置されたままだと植生の遷移により樹林化してしまいます(詳細は 危機的な状況にあるチュウヒ へ)。そのため、チュウヒを保護するには、現在残っているチュウヒの繁殖地での開発行為の抑制、好適な繁殖環境の維持または再生をすることが必要です。
工事中箇所の近くにとまるチュウヒ(撮影:長谷部 真)国内最大級のチュウヒの繁殖地である北海道の「サロベツ原野」と「勇払原野」では、多くのチュウヒが民有地のササ原やヨシ原で繁殖をしています。このような場所は、圃場整備や再生可能エネルギーの発電施設または工場誘致などを目的に開発される恐れがあります。また、それぞれの地で湿原の乾燥化による植生の変化がみられており、チュウヒの繁殖環境は、常に消失の危機にさらされているのです。


勇払原野

サロベツ原野
当会は、2024年に創立90周年を迎え、その記念事業として「チュウヒ保護プロジェクト」をスタートさせました。本プロジェクトでは、2大繁殖地のサロベツ原野と勇払原野での保護を進めていくため、調査や普及、野鳥保護区の設置などの保護活動を進めていきます。勇払原野には、直営施設の「ウトナイ湖サンクチュアリ」を有し、さらにサロベツ原野では、地域の自然保護団体などと協働で、様々な自然保護活動を進めてきました。私たちは、チュウヒを保護していくために現地の拠点やネットワークと協力しながら、2028年に本プロジェクトの目標を達成すべく、鋭意取り組んでまいります。

具体的な取り組み
調べる
当会は、チュウヒの有効な保全策立案のため、繁殖状況の把握や生態調査、繁殖個体数の変化を知るためのモニタリング調査を行っています。
2大繁殖地での生態調査
チュウヒの個体数をこれ以上減少させないために有効な保全策の立案、実施を目指しています。その実行には繁殖状況の基礎情報が必要であるため、繁殖つがい数の多いサロベツ原野と勇払原野にて繁殖状況調査や行動圏・環境選択に関する調査をしています。
全国つがい数のモニタリング調査
全国的な減少がみられているチュウヒの繁殖状況の変化を把握するために、現地調査や当会会員または地元の専門家へのヒアリングに努め、全国規模でのモニタリングを行っています。

生息環境創出のための調査
チュウヒの個体数維持または増加の有効な手段として、「生息環境創出」があります。実際、イギリスでは、チュウヒの近縁種ヨーロッパチュウヒが1つがいまで減少しましたが、国内の各地で生息環境創出を行ったところ、個体数が増加した事例があります。2025年には当会もイギリスを訪問して活動状況や経緯についての現地調査を実施し、その結果を参考に日本国内でチュウヒのための生息環境創出を目指して、有効な手段の検討を行っています。

RSPB Ouse Fen Nature Reserveで保護区の管理者と水の管理方法について話す

RSPB Frampton Marsh Nature Reserveで保護区の管理者とヨシ原の管理について話す
伝える
多くの方々にチュウヒの生態や保護の必要性を知っていただくために、観察会などを行っています。
観察会・講演会
チュウヒの生態や保護の現状を多くの方々に知っていただけるように、観察会や講演会の開催または地域イベントへの出展を行っています。

勇払原野での観察会で解説するレンジャー

ほろのべ名林公園まつりのステージでチュウヒについて解説する当会職員
展示

当会直営施設のウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンターなどで、チュウヒの生態を紹介したパネルやポスターなどを展示しています。また、パンフレットを作成し、チュウヒの生態や状況などの知識の普及に努めています。
守る
当会では、チュウヒの生息地に開発問題が発生した場合、その事業の見直しまたは影響低減を要望し、チュウヒの生息地の保護に努めています。たとえば、勇払原野のチュウヒの繁殖地で計画された風力発電所の建設計画では、地元関係者と協力して行政への要望書提出や事業者との直接的な意見交換、交渉を継続し、営巣地を守ることができました(詳しくはこちら)。

風力発電の建設計画から守られたチュウヒの生息地

事業の見直しを求め、要望書を提出する職員







