「(仮称)北薩風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第2018-010号

「(仮称)北薩風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

平成30年 5月 9日 提出

項目 記入欄
氏名 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 公印省略
住所 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された(仮称)北薩風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

 現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)を縦覧している(仮称)北薩風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類、国内希少種および天然記念物に指定されているナベヅルとマナヅルについて、衝突死(以下、バードストライクと言う)および移動経路に対する障壁影響等が発生する可能性があることが懸念される。
 そのため、以下の理由から考えて、ナベヅルおよびマナヅルの生息状況等の確認に係る調査について、いわゆる発電所アセスのガイドラインに準じるのではなく、専門家等と協議しながら、質、量とも十分な調査を実施することを求める。

・鹿児島県ではナベヅルおよびマナヅルは主に出水平野で越冬するが、本計画地はその出水平野のすぐ南の紫尾山系に存在する。秋の渡り期にナベヅルおよびマナヅルがこの紫尾山を越えてさつま町に飛来した例が何度もあり、また、数年前には数百羽のナベヅルとマナヅル群がさつま町より南の薩南地区の田畑に飛来、採餌し、出水平野に戻ったことが観察されている。これらのことからナベヅルとマナヅルは、本計画地を通過して出水平野とさつま町の間を行き来していることは明らかであり、そのように利用が多い場所に風力発電施設を建設すると、バードストライクまたは障壁影響が発生する可能性が高い。そのため、ナベヅルおよびマナヅルの生息や行動に影響を出さない対象事業実施区域を選定することを目的として、事前調査を行うべきである。

・ナベヅルおよびマナヅルの出水平野への一極集中による鳥インフルエンザの被害拡大の懸念から現在、環境省や(公財)日本野鳥の会をはじめとする関係機関により、出水ツル分散事業が実施されている。そのツル分散の候補地には、計画地周辺を含む鹿児島県内の各地が有力視されているが、ツル分散事業が成功した場合、計画地を通過、利用する個体が増えることが予想される。そのため、ナベヅルおよびマナヅルが山地を越える際にどのような地形を利用するのか検討したうえで、ナベヅルおよびマナヅルの生息や行動に影響を出さない対象事業実施区域を選定することを目的として、事前調査を行うべきである。

以上