白島とその周辺海域に生息する鳥類の保全と生物多様性を守る要望書

令和2年7月7日

北九州市長 北橋 健治 様

日本野鳥の会北九州支部
支部長 川﨑 実(公印省略)
北九州市戸畑区牧山新町2-16第一コーポ松本

公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤孝一(公印省略)
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

白島とその周辺海域に生息する鳥類の保全と生物多様性を守る要望書
~(仮称)白島沖着床式洋上風力発電事業(株式会社グローカル)の計画に際して~

事業実施想定区域は、生態系ピラミッドの頂点に立つ希少な猛禽類が多く生息しており、また、小鳥類の渡りが多い場所と推測されます。そのため風力発電施設の稼働後には、バードストライクや障壁影響を含む生息地放棄等が発生することが大きく危惧されます。また、既設並びにすでに計画が進められている他の風力発電事業も多数存在するため、以下の配慮と対応を求めます。

北橋市長におかれましては、日頃より北九州市の環境保全にご尽力され、また私どもの鳥類をシンボルとする自然環境保全活動についてご理解・ご協力をいただき感謝申し上げます。

さて、株式会社グローカルによって進められている(仮称)白島沖着床式洋上風力発電事業計画における鳥類への影響についてです。
私ども日本野鳥の会北九州支部は風力発電事業の導入については、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために重要な事業と考えておりますが、自然環境のシンボル的存在である鳥類の重要な生息地に風力発電施設が建設された場合には、鳥類の生息に悪影響を与え、生物多様性への脅威となることがあるため、そのような場所を避けて施設を建設することが重要と考えております。

この度の計画における事業実施区域は、希少な鳥類が多く生息し、鳥獣保護区(特別保護地区)である白島に極めて近距離です。若松区沖に位置する白島は石油備蓄基地である一方、北九州市内では稀な島嶼地域における特有の生物多様性に富んでいます。その理由としては、オオミズナギドリ(日ソ・日豪渡り鳥条約掲載種)の国内でも数少ない集団繁殖地であり、さらに、留鳥のカラスバト(国天然記念物・絶滅危惧種)、ミサゴ(準絶滅危惧種)、ハヤブサ(国内希少野生動植物種・絶滅危惧種)などの希少種が生息していること、そして渡り鳥の貴重な休息地であることです。
この度の計画における事業実施区域は、この白島の生物多様性について配慮した計画とは言えず、計画が実現すれば、希少な鳥類の生息放棄などの重大な影響が発生し、白島の生物多様性が揺らぐおそれがあります。

よって、市長におかれましては、「地域エネルギー拠点化推進事業」と同時に、北九州市内でも貴重な白島の生物多様性を守るため、生息する希少な鳥類の重要性をあらためて事業者に伝え、その配慮について、これまでの市長意見より一歩踏み込んだ事業者への御助言をお願いする次第です。

私たち北九州支部からの意見を参考にして頂ければ幸いです。

以上