野鳥をペットとして飼うための捕獲許可が中止へ

第11次鳥獣保護事業計画に向けた「基本指針」策定に向けての議論
-野鳥をペットとして飼うための捕獲許可が中止へ-

平成23(2011)年度は各地道府県が、鳥獣保護法に基づき、平成24年度から5年間の鳥獣保護事業計画を改定する年にあたっています。この改定にあたって、基本的な考え方を示す「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(以下、指針)の策定が、2010年~2011年7月、中央環境審議会にて行われました。当会はこの議論に対し、野鳥保護の観点から、「野鳥の愛玩飼養(ペットとして飼育すること)目的のための特別捕獲許可」の制度廃止を中心に提案してきました。


野の鳥は野に!(メジロ 写真提供 全国野鳥密猟対策連絡会)

「愛玩飼養制度」とは?

野鳥をペットとして飼うことは、戦前は広く行われていましたが、好ましくないので種類を限って許可するとして昭和25(1950)年に7種類のみが指定され、昭和32(1967)年の審議会の答申で、「本来は捕獲を禁止すべきものであるが、(中略)最小限度においてこれを許可するようにすべき」とされました。昭和53(1978)年の自然環境保全審議会の答申では「鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長することとなるおそれがあるので、廃止すること」として、以後、対象種を減らして来ていました。

年度 種数 種名
1950(昭和25)年~
1979(昭和54)年
7 ヒバリ、ヤマガラ、メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1979(昭和54)年~
1980(昭和55)年
5 メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1980(昭和55)年~
1999(平成11)年
4 メジロ、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1999(平成11)年~
2007(平成19)年
2 メジロ、ホオジロ
2007(平成19)年~ 1 メジロ

「野の鳥は野に」をモットーとする当会や全国野鳥密猟対策連絡会(密対連)等の自然保護団体の働きかけの結果、平成19(2007)年にようやく、メジロ1種、1世帯1羽のみ認める、というところまでこぎつけていました。しかし、密猟者が愛玩飼養の登録票を見せて警察の取締りを逃れようとするといった弊害が大きく、当会や密対連の行っている野鳥密猟問題シンポジウムでもたびたびその問題点が指摘されてきました。

そこで今回、指針が検討されるにあたり、当会は密対連、そして許可数の多い西日本の3つのブロック(近畿、中四国、九州・沖縄)と連携して制度廃止を環境大臣に要望し、案を検討した中央環境審議会の委員各位にも働きかけて来ました。

「原則として許可しない」

7月13日に開催された中央環境審議会野生生物部会の答申で、野鳥の愛玩飼養について「原則として許可しない」と示すことが決まり、環境大臣が指針として8月に都道府県知事に示す見込みとなりました。この問題が提起されてから実に54年めにして、ようやく制度廃止の道筋が示されることとなりました。

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