プラスチックごみによる海洋汚染とプラスチック廃棄処理の問題

プラスチックごみによる海洋汚染

プラスチックごみで埋め尽くされた海岸(マニラ)
プラスチックごみで埋め尽くされた海岸(マニラ)

私たちの暮らしの中で、レジ袋やペットボトル、ストロー、弁当の容器など、数えきれないほどのさまざまなプラスチック製品が、日々大量に消費されています。こうしたプラスチックがごみとして廃棄され、河川を通じて海洋に流入し、深刻な海洋汚染を引き起こしています。

プラスチックの生産量は1950年以降全世界で増え続け、2015年には4億トンを超えています。海洋中には1億5000万トンを超えるプラスチックが存在し、年間800万トンのプラスチックが新たに流入しています。このペースで進むと、2050年には海洋中のプラスチック重量が魚の重量を上回るという衝撃的な予測もあります。

海鳥・海洋生態系への影響

プラスチックごみに囲まれたコアホウドリ 写真:OWS
プラスチックごみに囲まれたコアホウドリ
写真:OWS

海洋プラスチックは800種を超える生物に影響を与えており、毎年100万羽の海鳥、10万匹の海棲哺乳類、ウミガメ、そして魚が、プラスチックの影響により命を落としているといわれています。

海鳥では、全世界350種のうち、少なくとも97種でプラスチックの採食が確認されました。海面で採餌するアホウドリの仲間は、海水面に浮かぶごみを餌と間違えて飲み込むことがあります。親鳥からの給餌により、ヒナの体にもプラスチックごみが取り込まれます。プラスチックを与えられたヒナの中には、脱水症状や栄養不良で死んでしまうものも少なくありません。北西ハワイ諸島のミッドウェー環礁とその周辺海域には、海流により大量のプラスチックごみが集まります。ここで繁殖するコアホウドリのヒナの大部分が、プラスチックごみを取り込んでいます。歯ブラシやライター、ペットボトルのキャップなどのプラスチックごみがぎっしり詰まった状態のヒナの死体も発見されています。

また、ごみに付着する化学物質が鳥の体内で影響を与える可能性もあります。放置されたプラスチックごみは劣化して粉々になり、5㎜以下の細かなマイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックは油になじみやすく、海を漂う間に化学物質を吸着します。その中には有害な化学物質も含まれます。マイクロプラスチックはプランクトンを餌とする魚貝類に取り込まれ、それを食べる海鳥の体に蓄積されます。食物連鎖により、マイクロプラスチックに付着した有害物質も濃縮されるため、海鳥だけでなく海洋生態系全体への大きな脅威となっています。

プラスチック廃棄処理の問題

プラスチックは自然界では分解されないため、半永久的に海洋中に漂います。海洋に流出せずに適切に廃棄されたとしても、その先の処理には課題が残ります。政府は、日本でのプラスチックの有効利用率は86%(2017年)としていますが、その内訳をみると、リサイクルされているのは全体のわずか12%にすぎません。有効利用86%の中には、熱回収(プラスチックを焼却し、発生する熱を再利用する)や海外輸出が含まれており、熱回収は温室効果ガスであるCO2を発生させ、地球温暖化を加速させます。海外輸出は、廃プラスチックを処理する体制が整っていないアジアの国々に、日本で処理しきれないプラスチックごみを押し付けているのが実態です。なお、有効利用されていない14%は、単純焼却や埋め立て処理されています。こうした状況から、日本では、既に処理能力を超える量のプラスチックが生産・廃棄されている現状がわかります。

私たちにできること ‐使い捨てプラスチックの排出を減らそう

ご支援のお願い

日本野鳥の会が、海洋プラスチック対策をはじめ、さまざまな自然保護活動を継続していくためには、みなさまのご支援が必要です。みなさまのあたたかなご支援をお待ちしております。

オンライン寄付はこちらから

また、マイボトルやマイバッグなど、プラスチック削減につながるグッズや、地球にやさしいさまざまな商品を販売しております。販売収益は自然保護活動に活用させていただきます。

グッズの購入はこちらから