プレスリリース 2008.07.24

 日本野鳥の会は、国際的課題である生物多様性の問題について、広く小学生にも知ってもらいたいと「ワイルド・バード・シンフォニー第1番『白いファンタジア』」(DVD)を理科等の教科教材として全国の小学校(1,000校)に寄贈した。
寄贈に際しては、日本野鳥の会の法人特別会員である、農林中央金庫の支援を得て実現した。

 「生物多様性」の問題は、「地球温暖化」の問題と並び、今や国際社会における主要課題である。(財)日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数5万1千人)は、絶滅の危機にあるタンチョウやシマフクロウを中心に、その生息地を買い取るなどして「野鳥保護区」を設置する生物多様性の保全に向けた活動を行っている。タンチョウを主人公にしたアニメーション映画「ワイルド・バード・シンフォニー第1番『白いファンタジア』」は、昨年、故人の寄付により製作され、その後DVD化し全国の児童養護施設などに寄贈したが、この度、本作品を通してさらに全国の小学生にも生物多様性の問題について関心を持ってもらいたいとの考えから、日本野鳥の会の法人特別会員である農林中央金庫の支援を得て、日本野鳥の会のサンクチュアリが所在する地域の小学校1,000校に本DVDを寄贈した。 本作品の内容は、自然や生命の大切さ、人と自然の共存の大切さを伝えるもの。
寄贈に際しては、小学校の理科及び道徳の教科教材に役立つよう日本野鳥の会が独自に制作した指導者用の『指導プログラム』と併せて寄贈した。
日本野鳥の会では、今後もさらに法人等の支援を得て、小学校への寄贈を拡大していく。
なお、本DVDの一般への実費頒布(一本2,000円税込み、送料別)も受け付けている。

プレスリリースに関するお問い合わせは
財団法人 日本野鳥の会

担当:会員室 メディアグループ チーフ
安藤 康弘 [email protected]
山本 幸 [email protected]

〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2632 FAX:03-5436-2635   http://www.wbsj.org


補足説明資料

  1. 日本野鳥の会の生物多様性保全に向けた主な保護活動について
  2. 農林中央金庫について
  3. サンクチュアリについて
  4. 指導プログラムについて
  5. 寄贈先の自治体について
  6. 昨年度の事業について
  7. 本作品のシナリオ(概要)
  8. 本作品のスタッフ・キャスト

1.日本野鳥の会の生物多様性保全に向けた主な保護活動について

 野生生物の種の絶滅を防ぐことは生物多様性保全の基本的な取り組みのひとつであり、生息地の破壊や消失をともなう開発は、動植物の絶滅の要因の中でもっとも大きな原因になっています。日本野鳥の会では、全国的な野鳥の生息状況の調査結果をもとに、「重要野鳥生息地(Important Bird Area、以下IBA)」をリストアップして、野鳥にとって重要な地域の保全を呼びかけるIBA事業や、絶滅の危機にある種を対象にその生息地を買い取って独自の「野鳥保護区」として管理する野鳥保護区事業を行っています。野鳥保護区事業は、直接対象となる種を保護するだけでなく、生息地の豊かな自然を維持していくことで、そこに暮らすあらゆる動植物を守ることができ、生物多様性の保全に向けた重要な取り組みのひとつとなります。
 また、種の保全活動として、日本野鳥の会では、タンチョウとシマフクロウ、クロツラヘラサギ、アカコッコ、チュウヒなど、絶滅の恐れのある種を対象に保護活動に力を入れて取り組んでおり、特にタンチョウとシマフクロウについては、野鳥保護区事業等で力を入れて取り組んでいます。タンチョウの保護活動については、1987年より保護活動を行っており、以前は十数羽まで減少したタンチョウが、現在は1,000羽を超えるまでに回復しました。しかし、タンチョウを取り巻く環境は依然厳しく、分布は北海道東部に限られており、冬季は人為的な給餌に依存していたり、生息地である湿原は減少する一方です。また、営巣地(約300ヶ所)の約半分は法律による保護指定が行われていないという状況が続いています。日本野鳥の会が直接運営を行う「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」では、会のレンジャーが常駐し、生態調査や自然解説などの他に、タンチョウ営巣地でありながら法律で保護指定されていない湿原を購入等により野鳥保護区として設置し、野鳥保護区内の環境変化のモニタリングや、周辺部で起きる開発への対策、巡回監視などの保全活動を続けるなど、タンチョウの保護活動に継続して取り組んでいます。
 シマフクロウについては、現在、国内では北海道内に生息する約130羽のみで、そのうち、つがい数は40つがいが確認されているのみと、絶滅が心配されています。日本野鳥の会では、2004年に根室地方でシマフクロウの生息地を買い取り、保護区を設置しました。また、生息地の周辺の野鳥保護区等で、森を育てシマフクロウの生息地拡大のための取り組みを行っています。今後、特定の地域に孤立しているシマフクロウの生息地の拡大分散を視野にいれて野鳥保護区の設置や森作りを進めていくなど、保護保全を進めていく予定です。

野鳥保護区事業における保護区設置の詳細
■タンチョウ保護のために設置された日本野鳥の会野鳥保護区一覧(2008年4月現在)

  名   称 所在地 設置(年度) 所有する面積(ha) 協定等による面積(ha) 利用状況
1 永野野鳥保護区飛雁川 北海道別海町 2006   15.6 1つがい営巣
2 渡邊野鳥保護区飛雁川 北海道別海町 2006 15.3  
3 明治乳業野鳥保護区牧の内 北海道根室市 2007   235.5 2つがい営巣
4 明治乳業野鳥保護区槍昔 北海道根室市 2007   231.8 1つがい営巣
5 渡邊野鳥保護区ソウサンベツ 北海道根室市 2002 368.1   2つがい営巣+
1つがいの自然採食地
6 藤田野鳥保護区酪陽 北海道根室市 2003 22.1   1つがい営巣
7 三菱UFJ信託銀行野鳥保護区酪陽 北海道根室市 2008 34.8  
8 エクソンモービル野鳥保護区・春国岱 北海道根室市 1994 110.1*   1つがい営巣+
4つがいの自然採食地
9 持田野鳥保護区東梅 北海道根室市 1987 7.6   1つがい営巣
10 渡邊野鳥保護区フレシマ 北海道根室市 2004 203.7   1つがい営巣
11 渡邊野鳥保護区別寒辺牛湿原 北海道厚岸町 2006 35.3   1つがい営巣
12 早瀬野鳥保護区別寒辺牛湿原 北海道厚岸町 1994 284.6 80.8 3つがい営巣
13 渡邊野鳥保護区チャンベツ 北海道標茶町 2004 216.3   3つがい営巣
14 渡邊野鳥保護区大別川 北海道厚岸町 1997 235   2つがい営巣
15 渡邊野鳥保護区尾幌川 北海道厚岸町 2006 6.1   1つがい営巣
16 石澤野鳥保護区尾幌川 北海道厚岸町 2006   5
17 渡邊野鳥保護区温根内 北海道鶴居村 2006 24.1   1つがい営巣
18 古山野鳥保護区温根内 北海道鶴居村 1993   12.9 1つがい営巣
19 早瀬野鳥保護区温根内 北海道鶴居村 1990 19.5  
      小計 1582.6 581.6  
      合計 2164.2  
* 一部持ち分あり

■シマフクロウ保護のために設置された日本野鳥の会野鳥保護区一覧(2008年4月現在)

  名  称 所在地 設置(年度) 所有する面積(ha) 協定等による面積(ha) 利用状況
1 持田野鳥保護区シマフクロウ根室第1 北海道根室市 2004 13   1つがい営巣
2 持田野鳥保護区シマフクロウ根室第2 北海道根室市 2005 7.9  
      合計 20.9  

2.農林中央金庫について

 農林中央金庫は、農林水産業の協同組合等を会員とする、協同組織の全国金融機関であると同時に、国内有数の機関投資家でもあり、多彩な機能を発揮しています。
 農林中央金庫では、環境への貢献活動として、森林資源の保全に向けた取り組み(森林再生を目的とした公益信託の設定、間伐材を使用するペレットストーブの寄贈の取り組み、間伐材を利用した名刺の推奨運動など)を積極的に展開しています。
 また、地域・社会への貢献活動として、全国の本支店では人と自然と産業の豊かな調和・自然環境の保全・街の美化を願って「花いっぱい運動」(地方公共団体や学校などへの花種・球根・苗木・花壇等の寄贈等)を展開し、地域の環境保全や緑化推進に積極的に取り組んでいます。
 このような地域・社会への貢献活動の一環として、(財)日本野鳥の会の法人特別会員として、野鳥を中心とする野生生物・自然環境の保護や調査研究といった取り組みを支援しています。

本社所在地:
〒100-8420 東京都千代田区有楽町1-13-2
DNタワー21(第一・農中ビル)
TEL:03-3279-0111  http://www.nochubank.or.jp

3.サンクチュアリについて

 日本野鳥の会では、1981年に北海道にウトナイ湖サンクチュアリを設置しました。これを手始めに、現在は、会自ら運営するサンクチュアリを2ヶ所、地方自治体からの受託により運営しているサンクチュアリ9ヶ所を手がけています。
サンクチュアリは、第一に野生鳥獣の生息地の保全を目的とした場所です。また、保全だけでなく、訪れた人がそこの自然を直接体験する場所でもあります。レンジャーと呼ばれる専門の職員がいて、保全のための調査や環境の管理、小学生を始めとした来訪者への環境教育や自然体験の手助けなどの活動を行います。また、サンクチュアリにはネイチャーセンターと呼ぶ拠点施設があり、レンジャーのさまざまな活動の拠点であり、また来訪者への情報提供や地域の人々の活動の拠点でもあります。

4.指導プログラムについて

 指導プログラムは、【理科編】と【道徳編】、【資料編】に分かれており、小学校の学習指導要領や小学校で実際に使用されている教科書に沿った内容となっています。理科編では、「動物と人間との共生を学ぶ」を学習のねらいとして授業例を記載しており、道徳編では「生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する心を育む」などといったことを学習のねらいとして掲げ、授業内容の例示をしています。資料編では、教員が参考資料として使用できるように「生き物の絶滅について」、「生き物が絶滅する原因について」などについて説明されています。
 なお、指導プログラムは今後、随時改訂される予定です。

5.寄贈先の自治体について

 今回のアニメーション映画DVDの寄贈先は、日本野鳥の会のサンクチュアリが所在する地域の小学校1,000校です。寄贈先の自治体については以下の通りです。

都道府県 市町村 管轄サンクチュアリ
北海道 根室市、別海町、標津町、中標津町、羅臼町 根室市春国岱原生野鳥公園
北海道 釧路市、釧路町、浜中町、弟子屈町、白糠町、厚岸町、標茶町、鶴井村 鶴居・伊藤サンクチュアリ
北海道 苫小牧市 ウトナイ湖サンクチュアリ
福島県 福島市 福島市小鳥の森
東京都 大田区、品川区 都立東京港野鳥公園
東京都 三宅村 三宅島自然ふれあいセンター
神奈川県 横浜市 横浜自然観察の森
愛知県 豊田市 豊田市自然観察の森
石川県 加賀市 加賀市鴨池観察館
福岡県 福岡市 福岡市油山自然観察の森

6.昨年度の事業について

 2007年度は、「ワイルド・バード・シンフォニー第1番『白いファンタジア』」(DVD)を全国児童養護施設協議会、全国母子生活支援施設協議会、および財団法人児童健全育成推進財団の協力を得て、全国の児童福祉施設(児童養護施設:約560ヶ所、母子生活支援施設:約280ヶ所)および児童館(約3,000ヶ所)などに寄贈しました。寄贈先の子どもたちからは「タンチョウと共に生きることの大切さを感じました」などの感想文や手紙が多数寄せられました。
 また、映画の完成を記念して、試写会(東京)および上映会(札幌)を開催し、制作者らのトークショーや小学生による合唱披露などを行い、それぞれ約450名の親子が参加し、大盛況に終わりました。

7.本作品のシナリオ(概要)

 西暦3087年、タンチョウロボットが未来から現在の世界へとやって来ます。タンチョウロボットがいる未来は、既に鳥たちを始め多くの動植物たちが絶滅しています。このロボットは、生物のDNAを採取し、自らを絶滅した生物の標本とするために作られた生物ロボットなのです。
 タンチョウロボットは、現在の世界で少女に出会い、彼女に見守られながら、未だ絶滅していないタンチョウの生態を学んで仲間に入ろうと一生懸命努力します。しかし、ある時、自らの正体をふと少女に吐露してしまい、少女は人間のこれから犯す過ちに気づいてしまいます。
 タンチョウロボットは少女とのふれあいを通して、ともに生きることの意味に気づきます。今に生きることの大切さを思い、そして少女も、今のままであってくれることを願ったその刹那、一瞬の閃光が全体を包みます。
 タンチョウロボットは虹色に輝き、新しい姿となって生命のシンフォニーが奏でられます。

8.本作品のスタッフ・キャスト

<スタッフ>
原作・監督・脚本・プロデューサー・・・・・・・・・・・・宇井 孝司
■プロフィール
演出家・脚本家。1961年 埼玉県生まれ
<主な作品>
テレビシリーズ・アニメーション「ジャングル大帝」監督、脚本(1989~90)
(文化庁芸術祭優秀子供番組賞受賞)
ビデオ・アニメーション「たれぱんだ」監督(2000)
(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞)
映画・アニメーション「葉っぱのフレディ」監督、脚本(2002)

鳥・動物キャラクターデザイン・・・・・・・・・・・・・・村上 康成
■プロフィール
絵本作家。1955年 岐阜県生まれ
ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞(1986・88・89)、ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ金牌(1991)、
日本絵本大賞受賞(2003)
<主な作品>
絵本「ピンクのいる山」(徳間書店)(2000)
絵本「よだかの星」(岩崎書店)(2005)   他多数

音楽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡辺 俊幸 
■プロフィール
作曲家。1955年 愛知県生まれ。
洗足学園大学 音楽・音響デザイン科 客員教授。
<主な作品>
映画「モスラ」「モスラ2」「モスラ3」(1996~1998)
映画・アニメーション「葉っぱのフレディ」(2002)
テレビドラマ「利家とまつ」(NHK大河ドラマ)(2002)(2007) 他多数

<キャスト>
ミス・リード(タンチョウロボット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・子安 武人
■プロフィール
声優。1967年 神奈川県生まれ
<主な出演作品>
テレビアニメ「楽しいムーミン一家」スナフキン役(テレビ東京他)(1990~92)  他多数

老人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柳生 博
■プロフィール
俳優。1937年 茨城県生まれ
財団法人日本野鳥の会会長(2004年~)
<主な出演作品・著書>
テレビ「生き物地球紀行」(NHK)(1992~2000)  他多数


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