プレスリリース 2009.05.11
三宅島全体で4392羽のアカコッコが生息していると推定。日本野鳥の会が三宅島で国の天然記念物・アカコッコの一斉調査を5月9日(土)、10日(日)に実施
2009.05.11
(財)日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数5万1千人)は、1993年より「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」(三宅村立)にレンジャーを配置し、三宅島に生息する野鳥の保護、三宅島の復興に携わっています。今回、日本の固有種で国の天然記念物にも指定されているアカコッコが、三宅島でどのくらい生息しているのか調べる一斉調査を昨年に続いて実施し、4392羽が生息していると推定しました。つきましては、報道関係各位の記事掲載・報道をお願い申し上げます。
調査の結果について
今回の調査結果から、三宅島全体でおよそ4392羽のアカコッコが生息していると推定しました。また、環境ごとの個体数密度では、噴火の影響をあまり受けていない森林や、森林の中に畑地が点在している場所に多く、逆に噴火の影響を受けた森林や草地には少なく、森林が消失し裸地化したところには全く出現しないという傾向が出ました(図)。昨年度は試行的な意味合いが大きく、島全体の羽数は算出していませんので、三宅島全体におけるアカコッコの推定総羽数を算出したのは今回が初めてとなります。
三宅島の森林は2000年の噴火後に放出した火山ガスによって、中腹部以上ではほとんど消失し、麓でも草地に置き換わった場所があるなど、大きな影響を受けました。噴火以前のアカコッコの総羽数は、失われた森林の面積を考えると、今回推定された総羽数よりはるかに多く生息していたと考えられます。
現在の三宅島は火山ガスが噴火直後に比べ1/10以上減少し、植生も次第に回復しつつあります。今後も毎年調査を実施し、アカコッコの推定羽数を比較していくことによって、三宅島の自然環境の変化をモニタリングしていきたいと考えています。
島内全域のアカコッコの羽数推定方法
- 航空写真や現地調査などから、島内を7つの環境(樹林、明るい樹林、草地、緑の多い市街地、緑の少ない市街地、緑の多い畑、裸地)に分け、環境ごとに面積を出します。今回実施したコースもこの7環境ごとに分かれて設定しています。
- 実際に調査した面積は1コースあたり50m×1000m。記録したのはさえずっていたアカコッコのオスの羽数なので、1コースで記録した羽数は50m×1000mあたりに出現したオスの羽数ということになります。
- 調査した面積におけるオスの羽数を、各環境ごとに島全体の面積と比較し、各環境における島全体のオスの羽数を算出します。
- 各環境ごとのオスの羽数を合計して、島全体のオスの羽数を算出します。
- さえずっていたオスは全て繁殖に参加し必ずメスとペアになると仮定します。雌の羽数を足すためにオスの羽数を2倍して、島全体のアカコッコの羽数を算出します。
例)樹林の場合
三宅島全体の樹林の面積÷調査したコースの面積×調査したコースの面積に出現したアカコッコの羽数×2(メスの数)=三宅島における樹林全体のアカコッコの羽数

図.環境ごとのアカコッコの個体数密度
アカコッコ個体数一斉調査とは?
伊豆諸島やトカラ列島など一部の離島でしか生息が確認されていないアカコッコは、その希少性から天然記念物および絶滅危惧種に指定されています。また、バードウォッチャーに人気が高く、三宅島では観光面においても非常に重要な存在であり、三宅島を代表する生物の一つです。しかし、噴火など度重なる環境の変化によって、アカコッコをとりまく状況は大きく変化していると考えられます。しかし近年においては生息個体数の状況を調べるような調査などは十分には行われておりません。
そこでアカコッコ館では、①アカコッコの個体数から三宅島の自然環境をモニタリングすること②2000年噴火後のアカコッコの生息環境、の2つを調べることを目的に、調査員を募って一斉に個体数を数える調査を2008年春に初めて試みました。今年度は2回目の調査で、島内からは総勢約30名の方が調査員として参加しました。調査員の養成のため、アカコッコの識別や調査の講習会などを行ってきました。アカコッコのさらなる保護を目指して今後毎年継続してこの調査を実施していく予定です。
アカコッコ一斉調査について
- 調査日
1日目 2009年5月9日(土) 午前4:00~午前8:00
2日目 2009年5月10日(日) 午前4:00~午前8:00 - 1日の調査スケジュールについて
4:00 調査員調査地集合
4:00~5:00 アカコッコ一斉調査
5:30 調査員アカコッコ館に集合
5:30~10:00 調査のまとめ - 調査方法
島内に設定した約1kmのコースを歩きながら、左右両側25m以内でさえずっているアカコッコの数を数え、調査票と地図に記入します。安全面や精度などを考え、二人一組で調査します。調査初心者の方は、経験者と組んで実施します。 - 調査地
三宅島島内全域(道路、林道に沿って約1kmのコースを25箇所設定。島全体の面積の約2%を調査エリアとしてカバーしています。)
アカコッコ(国・天然記念物、環境省RDB 絶滅危惧ⅠB類)について
アカコッコ館の名称にもなっている野鳥・アカコッコは、伊豆諸島とトカラ列島でのみ繁殖する日本固有のツグミの仲間です。伊豆諸島では、大島から青ヶ島にかけて生息し、北部より南部の島で多く見られます。三宅島は本種の代表的な生息地で、三宅村の鳥にも選定されています。自然林から二次林までのさまざまな環境で暮らし、中でも照葉樹林の低木層があまり発達していない場所で多くみられます。また、林のふちで餌を探し、主にミミズやムカデ、昆虫類などを食べています。子育ての時期は4月から7月にかけてで、木の根や草の茎、コケなどを土で固めたお椀状の巣を樹上に作ります。卵の数は2~5個で、雌雄共同で雛を育てます。
三宅島の自然と日本野鳥の会の活動
三宅島は、東京から南南西へ約180kmの太平洋上にある、周囲約38km、面積は55km2ほどのほぼ円形をした火山島です。温暖な気候が育くんだ照葉樹林に覆われており、国の天然記念物のアカコッコ、イイジマムシクイ、カラスバト、固有亜種のオーストンヤマガラやミヤケコゲラなど三宅島ならではの野鳥が生息しています。野鳥の生息密度が高く、別名”バードアイランド”とも呼ばれ、IBA(重要野鳥生息地)の1つにも選定をされています。当会では、三宅島の豊かな自然と野鳥の保護、三宅村の振興の両立を目的に、「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館(以下、アカコッコ館)」を拠点に活動をしています。現在、三宅島では、2000年6月に始まった火山活動により、照葉樹林が大きくダメージを受け、野鳥の生息環境の激変が起きています。住民の生活も5年ぶりに全島避難からの帰島とはなりましたが、未だに高濃度地区などで活動が制限されている場所もあります。当会ではこうした状況の中で、科学的な調査方法に基づいた野鳥の生息状況の把握、島民と自然が共存する復興のあり方への支援、特色ある三宅島の自然を活かした島の経済復興を応援しています。
三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
アカコッコ館は、特色ある三宅島の自然を将来へと受け継ぎ、自然にふれあうための拠点として、三宅村が1993年に開設した施設です。火山活動のために2000年9月から休館していましたが、2005年7月より約5年ぶりに運営を再開しました。日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、来訪者への自然解説や自然環境の調査、自然情報の発信、自然ガイドの養成などの活動を行っています。
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」
〒100-1211 東京都三宅島三宅村坪田4188
TEL:04994-6-0410 FAX:04994-6-0458 E-mail:[email protected]
開館時間 午前9時~午後4時30分
休館日 月曜日(祝日の場合はその翌日)年末年始(12月29日~1月3日)
利用料金 一般200円(15人以上の団体:2割引)中学生以下・65才以上:無料
アカコッコ館http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
この件に関するお問い合わせは
三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」
〒100-1211 東京都三宅島三宅村坪田4188
(担当:江崎逸郎、篠木秀紀)
TEL:04994-6-0410 FAX:04994-6-0458 E-mail:[email protected]
参考写真



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[PDF] 三宅島のアカコッコの生息数を4392羽と推定。国の天然記念物・アカコッコの一斉調査に関するプレスリリース







